そしてまた、私は貴方を好きになる。
実際に起こった私の話です。
つたない文ですが、ご了承下さい。
(物語中に出てくる人物等の名前は架空です。)
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私ね、誰よりも貴方が好きなんだ。
どうしてこんなに大好きなのか判らないくらい。
初めて見た日から、私は貴方を好きになるって決まってたのかもね。
ねぇ、何で好きになっちゃったんだろう。
何で貴方と出会ってしまったんだろう。
今の私には、貴方以外誰も見えないよ……。
初めて貴方を見たのは、小学校6年生の時、運動会で6年生が必ず行う種目、組み立て体操の練習の時だった。
地元の中学からある先生が私達の小学校に来たのがきっかけだった。
「アレが中学の新しい先生?」
「舞華、アレとか言うなよ(笑)」
「遠いから顔見えないじゃんっ。イケメンかな(笑)」
なんて、友達数人と軽いノリでそんな話をしてた。
実際、遠くからだったから本当に、判らなかった。
「でもまだ若そうだね~」
「だからイケメンかな」
「舞華、アンタさっきからソレばっかだよ?」
「だって、男は顔じゃん」
『組立魂』と書かれたTシャツを着ながら私はその人を見ようと必死になったが、その日は結局見れず終いだった。
けれど、後に私はこの人とは知らずにこの人を間近で見る事となる。
それからどのくらいの日が経ったのだろう。
すっかり肌寒い季節となっていた。
「廊下寒い~」
「この薄暗さが寒さを語ってる(笑)」
集会か何かで体育館へ行く時、私の未来が動き出した。
それは保健室前の廊下を、当時仲が良かった彩乃と歩いてる時に起こった。
「あ"~、もう家帰る………」
「舞華、どーしたの………」
眼を見開き、すれ違った若いスーツ姿の男性を見たまま私はフリーズした。
大好きなバンドのメンバーに何処となく似てるその人は、その日、中学から研究授業を見に来た先生の一人らしかった。
少し時間が経ってから、
「……今の人、格好良くない!?」
「格好良かった!!」
「何なの?!中学の先生は何!?イケメン!?」
勿論、その時私は運動会の練習の時に居た人と同一人物なんて思ってもいなかった。
「でもさぁ」
「あ?」
「身長がウチらと変わらないような……」
「まぁ、格好良ぃから良いじゃん♪」
すっかり"中学のイケメン先生"の存在も忘れ、卒業までの一日一日を大事に思うようになりだした3学期の終わり。
6年生全員で中学を見学しに行く行事があった。
「ドキドキだね~♪」
なんて、小学生らしい会話をしながら、小学校から歩いて15分弱の位置にある中学へ向かった。
まずはクラス事に分かれて授業見学。
3年は卒業したから1、2年の授業を見た。
算数が大嫌いな私にとって、数学は正に地獄の様だった。
英語も全く意味が判らなくて、さっぱり理解出来なかった(笑)
そんな私達が最後に向かったのは、特別教室。
体育館の近くにある"金工室"で私はまたフリーズしかけた。
「………!?!?!?」
何と言う奇跡(笑)
忘れかけてた"中学のイケメン先生"が居た。
「………(この人、この前見た…あの先生じゃん!!!)」
一人でパニクる脳みそを整理させながら、眼をパチクリした。
教室を出てから友達に
「あの人さ、この前見た人だよね?」
「えっ、そうだった?判らなかったー」
結局気付いてたのは私だけ。
その日、中学行って印象に残った事。
それは数学と英語とその人だった。
「クラス一緒~!!!」
「やっったぁ♪」
いよいよ入学式がやってきた。
さすが雨学年。
その日は凄い雨だった。
同じクラスになった友達の兄妹が、ここの中学に通っていたので、その友達から中学の先生の話を色々聞いた。
「舞華のだぁい好きなバンドのメンバーに似てる先生が居るんだよ~」
「マジで?見たいかも♪」
「確かウチらの学年の先生で……大和先生だっけ?」
「へぇ~。入学式の時見れるかな?」
「見れるっしょ♪」
そして入学式本番。
体育館前の廊下で、その先生を見た。
「舞華、あの人。大和先生」
「…………っ」
また会った。
また、この人に会えた。
しかも、ウチらに何か教科を教えてくれるらしい。
「にっ、似てないよー!!」
「えー、似てる似てる」
『大和先生』
一番最初にこの学校で覚えた先生の名前だった。
「……何コイツ!!!」
私は大和先生を大嫌いになっていった。
この先生は理科の先生だった。
授業初日から早速理科があったんだけど……
正直、授業の最初の自己紹介とか覚えてない(笑)
先生が何を言ったかも、私や友達が何て言ったかも覚えてない。
多分ソレはこの人に見とれてたんだろう。
もう、そういう事にしとこう←
問題はそっから。
「このクラスさぁ、下ネタ駄目なヤツ居る?」
朝っぱらから、この教師は何を言うんだろう。
私は唖然としてた。
「俺の授業、普通に下ネタ結構出てくるから、駄目なヤツは耳塞げよー♪」
コイツ、馬鹿だ。
何で私はコイツを格好良ぃと思ったんだろう。
下ネタは別に大丈夫だけど……ストレートに言うなよ!!
「アイツ何なの!?」
授業が終わってから、私の怒声が廊下に響いたのは、言うまでもない。
その大和先生とやらは、私の仲良しの友達と、これから親友ちゃんになる友達のクラスの担任だった。
「部活行こー♪……ありゃ?」
友達が泣いてた。
何でか理由は知らなかった。
「アィツどしたの?」
「ん~……ちょっと色々あったの」
これから親友ちゃんになる友達、紗衣ちゃんが言った。
人気が少なくなってくB組。
なかなか友達が来ない。
するとあの大嫌いな大和が、友達の前の席に座って、友達の頭の上に手を置き、ポンッてやった。
「(わ、何か良いな)」
不覚にも私はそう思ってしまった。
普段、隙あらば下ネタか彼女の話ばかりの先生が案外優しいなんて思ってもいなかったから、正直見直した。
……見直さない方が現在の為に良かった、かもだけど。
見直して、苦手な先生まで私の中で格が上がった大和先生。
実は総合学習で、私が所属してたグループの担当でもあった。
何だか判んないけど、凄い偶然。
お陰で校外学習のバスの席が近かった。
バスガイドが太ったおばちゃんで、
「……何でオバハンなんだよ」
と、乗った時にツッコミを入れてた。
アナタ、モデルさんみたいにスタイル良くて、超美人な彼女サンが居るじゃないと思いながら苦笑。
「先に言っとくけど、電気会社の人の説明、ちゃんと聞けよ。寝んなよ」
「とか言って、先生寝るんでしょ」
「俺は生徒じゃねぇから良いんだよ」
何だ、このオレ様ぶり。
しかもその後マジで爆睡してたし。
ほんのちょっとだけ寝てる先生を可愛ぃって思ったのは、私だけの秘密。
「理科のテスト無くしてしまい、答え直しやってないので、明日までに全部直しやって持って来ます」
「……何で夏休みに俺の所来なかったの?」
夏休みも終わり新学期早々、怒られた。
理由は、夏休みの宿題であるテスト直しを、問題と回答用紙を無くしたせいでやらなかったから。
「毎日色んな所探してたんで、行く暇が無くて」
「でも、普通は言いに来るよな?」
「ハィ」
「明日必ず持って来いよ」
超怒られると思ったら、案外あっさり。
放課後、友達に模範解答と問題用紙を借りて、家でひたすら解いた。
そのお陰で、翌日の理科の課題テストは40点満点の39点だった(笑)
それから何も先生とは問題無く、普通に2学期を終えた。
年も明け、3学期。
私の人生は、1月の終わりにやってきた。
職業体験のグループの担当までもが、大和先生でますますこの人との絡みが増えた。
ある日、そのグループで何故か妄想についての話題になった。
どんな内容かは覚えてないが、くだらない話だったのは覚えてる。
その日の掃除の時間、ウチの班で同じグループの男子がたまたま通りかかった大和先生にさっきの話をし出した。
「そんな事、俺言ってねーよな、和田?」
「え、言ってたじゃん」
私は事実を言ったまで。
嘘なんかついてないのに。
「お前……妄想か?(笑)妄想族じゃん(笑)」
「は?!どっちが?!」
私は職員玄関を飛び出して、先生を追っかけて、ベシッと背中を叩いた。
「……バカ!!!!!(怒)」
「アハハッ(笑)」
笑いながらいなくなってく先生。
先生を叩いた手と顔が赤くなってる自分がそこにつっ立っていた。
……私が、この人を本気で好きになった瞬間だった。
- << 14 『私の人生は』 ではなくて、 『私の人生の転機は』 です💦 脱字、申し訳なぃです😠💧
あの日以来、先生の近くに行くと体が熱くなって、動けなくなる。
喋った内容すら覚えてない。
「先生、パソコンのアドレス教えて(・∀・)」
「(笑)…中村、教えてやって」
「じゃあ私が夜、舞華の携帯に送るよ♪」
「紗衣、ありがと♪」
毎日が輝いてた。
でも何であの時、私はあんなくだらない決意をしてしまったのだろう……。
「決めた、告る」
「……へ?」
「告って、気持ちにけじめつける」
つもりだった。
これで、自分の気持ちとおさらばするつもりだった。
なのに、何でもがいたままなんだろう。
ずっと、ずっと、深い水底から這い上がれないまま。
ねぇ。私、どうすれば良いんだろう……?
『話って何?』
「あの、ね」
『うん』
「先生の事が……好きなの」
『………そっか』
それは忘れもしない3月5日。
携帯越しに先生の声が聞こえた。
大丈夫だって言い聞かせてたのに、こうやって声が聞こえると、凄く泣きそうだった。
『判ってると思うけど…「うん、言ってスッキリしたかっただけだから」
慌てて私はその先の言葉を遮った。
聞きたくない。判りきってるから、これ以上辛くなりたくないの。
「ありがとね、先生。おやすみなさい」
電話を切って、涙が溢れた。
こんなに好きだったんだって改めて実感して、余計泣いた。
「明日……理科だ」
次の日の時間割を見て、私はまた泣いた。
だって1時間目から理科って、神様は意地悪だって強く感じたから。
翌日。本当に1時間目から理科だった。
前が直視出来なくて、ひたすら遠くを見つめたままだった。
話も頭に入って来なくて、自分は今何をしてるんだろう、もう昨日の気持ちと決別したはずって言い聞かした。
でも、駄目なんだ。
「じゃあ次~…和田」
声が、姿が大好きでやっぱり泣きそうになる。
「え、あ…はぃ」
意味が判らないまま、適当に答えを言ったら間違えた。
昨日の今日で指されて間違えるなんて…。
「ん~、ちょっと違うかな。それは別に大丈夫なんだよ」
……あれ?優しい。
いつもなら
『それ違ぇよ(笑)他にあんだろ~?』
とか言うのが多いはずなのに。
先生が優しかったのは、それだけじゃなかった。
午後にあった卒業式の合唱練習。
後4日に迫った卒業式の合唱練習は、先生達にも力が入ってた。
仰げば尊しと校歌を唄った。
校歌を唄ってたら、近くを大和先生が通った。
唄うのが大好きな私は結構ノリ気で歌を唄った。
唄い終わったら、隣で大和先生がニッと笑って(超格好良かったな←)
「声、出てんじゃん♪」
って、私を誉めてくれた。
「マヂですか?ありがとーございます♪」
ここまで優しくしてくれなくて良いのに。
また……また好きになっちゃうじゃん。
この人は、凄く優しい人なんだ。
やっと判った。
いつもは俺様で、アホじゃないのって思うケド、本当は優しいんだって判った出来事。
あれから数日後。先生とメールしてたら
『俺の好きな曲。GO!GO!7188のこいのうたってやつ。今の和田に合ってると思ってさ。もし良かったら、聴いてごらん』
ネットで調べてて歌詞を見た。
『教えて下さい神様
あの人は何を見てる?
何を考え 誰を愛し
誰のタメに傷付くの?』
一番最初にハマった歌詞。
今の私とピッタリだよ。
『歌詞見たよ。凄くハマってた(笑)』
『曲も良いぞ~♪』
なんて先生が言うからまた調べて、今度は聴いた。
体が震えた。
鳥肌が立つなんて、久しぶり。
凄く好き、この唄。
私はこのままこの曲にハマっていった。
「こんなに優しくされたら、また好きになっちゃうよねー」
学校の帰り、毎日の様に友達とそう話しては、笑ってた。
ホワイトデーに貰ったプレゼント。
ピンクのサルのキーホルダーと、ラィチの紅茶。
小さな手紙が入ってて、一言書いてあったっけ。
今でも、その手紙とサルは大切に残ってるよ。
紅茶は、大嫌いなアールグレイだった。
気付いたら……無くなってた(笑)
中1の優しぃ優しぃ記憶はここまで。
私は2年に進級した。
中2の梅雨。
夜中、先生3人が家に来た。
その中には今年から所属学年じゃなくなったハズの大和先生の姿もあった。
理由はいじめ。
私は新しいクラスでいじめに遭った。
その中の主犯格の元担任が大和先生で
『自分にも責任はあるから』
と言って、来てくれた。
でも、私と大和先生と母で、全くもって関係のない、しょうもない話ばかりしてたのも事実だった(笑)
結局イジメも収まって、中2も終わろうとした頃――3年の卒業式当日、私は泣いた。
先輩達の卒業なんか悲しくなかった。
嫌な事をされた訳でもない。
ただ、朝のSHRで男子がクラスで放った一言に泣いたの。
『大和先生、結婚するんだってー』
『29日に式挙げるって言ってた』
「……(コィツ、何言ってんだ?)」
頭の中が真っ白になってった。
サーッと引いてく血の気。
直立不動のまま、周りの話なんか聞こえず、椅子に座り込んだままだった。
「……舞華」
友達が心配そうにこちらを見た。
「………嘘」
SHRが終わってから、他クラスの友達に泣きついた。
「舞ちゃん!?どーしたの?」
「先生が……結婚するって……っ」
一通りSHRの時を話した後、私は涙を流したまま、卒業式会場の体育館に向かった。
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