🌊鯨の唄🌊
昔、書いたオリジナル短編小説を少しかえながら書きます。
22/07/31 03:06 追記
※残酷な場面もたくさん出てきます。出来たら優しい方や子供さんは見ないでください。
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夜、わたしは眠った彼のもとをそっと離れた…。
このごろは夜も近くにいないと心配する。
でも正直、そんな彼に少し疲れていた。
母さんが懐かしかった。
わたしは今夜は岩礁に帰ろうとして、ふとあの男の顔が、よぎった。
わたしは、あの船をさがした夜だから人間も寝てるかもしれない。
人目もう一度みてみたい。
わたしは、伸び上がって看板の中をのぞく。
カタッと音がして、あの時の男が半身を起こし、こちらを凝視している。
今夜は、目の鋭さもなくただただ疲れ切ってうつろな目をした彼がいる。
男は目で、わたしになにかを尋ねている。
わたしは、迷いながらも抑えられない気持ちのまま彼を、手招きしてしまう。
来るわけないのに、そっと動いて、彼はゆっくりしずかに海に入った。
その時私は、きめた。
連れて行くと…!
わたしは彼の手をにぎる。
力強い手!!
でも私だって負けない!
ギュッとつかんでいつもの岩礁を目指す。
岩礁についたとき、彼の目をじっと見ながら考える。
人間の呼吸はどのくらいもつだろうか?
彼の首にエラがない。
これでは海で息出来ない。とにかくもうスピードで穴をぬけて海面に出る!
わたしは、下にもぐるのよ!と目で合図する。
わたしはかれを抱きかかえた。
貝や海老や魚以外抱えたことない。
水に溶け込まず、水をはじく固い肌、
ギュッと抱えて、潜って穴へ…
死なないで!!
そう思いながら全速力でけど岩に彼をぶつけないように泳ぎ、海面に浮上した…。
激しく咳込む彼が心配で、笑ってしまう。
わたしは心配や不安なときに口をあけて歯を出してしまう。
彼は、少しビクッとしたが、すぐに大きな口の両端をくいっともちあげて見せた。目は少し強気で冷たい色をしている。
この顔はなんだろう?苦しかったから怒っているのだろうか?
ごめんなさい。
わたしは彼の手をひいて砂浜に座らせた…。
連れて来てしまったこと、苦しい思いをさせたことを謝りたかった。
でもどうしていいかわからなくて…
苦しい思いをした口にわたしの口を触れさせた。
そしたら不思議なことがおきた…。
急に彼と言葉が通じるようになったんだ。
彼と話せるようになって彼の素性を聞いたとき…
わたしは彼を責めなかった。
わたしは母さんに教わっていた。
だれかを何かをせめてはいけないと。
みんなに責られて、追放された母さんだからわかるのだというその苦しさ。
だからわたしは責めなかった。
正直…ひどい人間だと思った。
彼の一番嫌いなタイプの人間だ。
理解出来なかった。
なぜ人間は、たくさんたくさん殺さないと生きれないの?
だけど、私だって食べるために命を奪う。
たくさんころしたってどのくらいかな?
でも私だってたくさん魚や貝を殺したわ…。
だってお腹がすいてしまうから。
彼もたくさんお腹がすいたの?
大きな口だから?
わからなくてなにをはなしていいかわからなくなった。
わたしは、今日もこの岩盤に囲まれた砂浜にいた。
このごろは自分で砂浜に落ちているもので道具をこしらえ
魚や小さな貝や、蟹をとって食べている。
ここには野菜や果物がないので、岩のりや、流れてきた海藻を食べた。
わたしは、もうずっとここにいようかと考えていた。
国も家族ももうどうだっていいような気がした…。
ふぬけてしまったかもしれない。
所詮人間は、ひとりだし、こんなご時世で
なんとか生きていくために選んだ兵士の道…。
これは、想像を超えて過酷だった…。
いつも怒っていた。
だいたい毎日怒っていた。
暑さ、空腹、心よせれるもののいない、集団だからこその孤独感。
同じ人間をころすという、それだけで過酷な行為…。
それを自分の心が受け入れれていないままにそれ重ねていくこと。
兵士の学校で教えられたのは、とにかくひとりでも多くの敵をころすこと。
それが国のためであり、家族を守ることになること。
その過酷な行為と引き換えに、給料を出してくれたこと。
ある日、持ってきた食べ物がなくなり、信じていた援軍と補給が全く来なかったこと。
金は家族に送金されるようにしていた。
それさへ、本当に送られているだろうか?
当然、家族からの手紙なんかもくるはずもなく。
とくに仲の良くない妹…。両親は病気の兄や妹のぶんも男らしく強く家族を守ることを求めていた。
家族のためと思うのは兄のためだ。
兄が愛した家族だから俺がかわりにまもらなければと。
本当は、甘えん坊の次男坊だったんだ。
だけど、両親はおれを愛していなかった。
兄さんだけがおれを愛してくれた。
おれは、この島で毎日一人暮らしながら
兄さんによく話しかけるようになっていた。
こんな遠い南の海に兄さんがいるわけない。
兄さんの霊はきっと、家族を見守っている国にいるはず…。
なのに。
おはよう兄さん。今日は天気がいいよ。
今日はどんな魚が釣れるかな?
兄さん、美味しい貝がとれたんだ、味見してよ、
兄さん、今夜は珍しく少し冷えるな。
でもここには焚き火に使う木もないんだよ。
兄さん、今夜は月が綺麗だよ。
酒でもあれば一緒に月見をしたいね。
ごめんよ。兄さんは下戸だったよね。
兄さん…。
兄さん…。
兄さん…。
あの過酷な戦場で、
思えば、色白男はわたしの拠り所だったのかもしれない。
彼のいるそこだけは空気がしんと静かで涼やかで…。
兄さんの面影を彼に見た。
こんな場所でまた会えたような気がしたんだ。
けどわたしは弱かった。
最初の隊長は、勇猛果敢な善人で部下よりも前に出て率先して戦い勇敢に戦死した。
次の隊長は、空腹のあまり食べたものに毒があり死んでしまった。そのころには補給も途絶え毎日食べて生きていくことにも苦労した。
地元の人間は、敵のわたしたちを怖がり憎むだけだ。
次に隊長になったのが私だった。
わたしは、前の隊長たちの失敗は歯たくなかった。
なんとか生き続けて戦い続けるためにわたしが選んだ道は
鬼の道だった…。
地元の人間をおどして食べ物を奪うこと。
逆らえばころすこと。
戦う英気を養うために女を慰み者にすること…。
そんなわたしに最初はためらうものもいたが、みんな疲れきっていた。
こんな状態では戦えるわけがない。
大半がみんなわたしに従った。
けれどそのことによって
色白男はわたしという人間を地元民と同じような鬼を見るような目でみるようになる。
それがわたしをいっそういらつかせた。
私についてこないでちまちま、野のものをとって食べて、だから力もでずたいした戦果もだせない優男なんかを愛していたから…。
優男は偉そうにいった…。
いや、偉そうにではなかったかな…。
静かに小さな声でいった。
気の弱い男だった。
だれかから奪って、傷つけて殺してえたものを食べて生きていくなら死んだほうがマシだと。
わたしは、そのあと何度もその男を殴った…。
みんなで死ねと言うのか?
馬鹿か?お前は?
わたしはこんなところで死ぬために生まれてきたわけではない。
まだ24なんだぞ。
わたしが、わたしの隊が生きて戦果をあげるにはこのくらい乱暴でなければならないのではないか?
優しいものは先に死んでしまう…。
おれなんかは、生きている。
子の因果は子に報い?
おれには子供なんかいないよ…。
された側の気持ちがわかっているわけもない。
人間は、自分と自分の存在を肯定し許容してくれる人間を、守ろうとすると思う。
つまりは結局のところはみんな、自分が一番大事なんじゃないだろうか?
だけど色白男だけは例外だった。
考え方はにているのに
優男ならなぜか腹がたった。綺麗事をいっているだけの弱い人間に思えた。
無条件に色白男に愛されて。
わたしには嫁がいない。
国を、離れるときに無事を願ってくれるような女もいなかった。
両親も妹もそのときは、力を入れて頑張るんですよ!
とおれが見えなくなるまで見送ったけれどだれも涙は見せなかった。
兄さんだって、わたしを愛してくれたけれど、それは家族の中の一人としてなんだ。
戦争ってなんだ?
職業が兵士ってなんだ?
わからないよ。
わたしは、おれは、生きているからこそ、こうやってふりかえることが出来る。
兄さんは、兄さんも本当は、もうおれを軽蔑しているかもしれない。
おれが話しているのは、おれがおれの心の中に作った幻なのかもしれない。
ひとりになったおれは、小さなヤドカリを飼っていた。
とくに食べたいとも思わない白いヤドカリは不思議に、可愛く。
わたしの心を慰めてくれた。
飼っているといってもそいつはあちこちをカサコソと行き来しているのだが
ここから出られないのは同じだろ?
人間はと書いて間の人と読む。
それは善と悪の間を揺れ動くものの意味ではないだろうか?
ときに悪に染まり、
なのに環境が変わればこんなにも穏やかになれる。
しかし死んでしまったら?
もう星や月を見たり、ヤドカリの可愛さを発見することも出来ないではないか…。
おれが、(もうわたしとは言わない。もう兵士ではない)
ころしてしまった人は、もう生きていない。
おれが、純情を奪った女は、もう嫁にいけないかもしれない。
なのにたまに若い身体がうずけば、自分を自分で慰めてしまう。
そろそろわたしは25になっただろうか?
わたしの(作者)の前世はなんだろう?とときどき考える。
輪廻転生が本当にあるのならばだけれど
幼いころよく夏の戦争番組を、熱心に見ていた。
ビルマの竪琴や、外国の戦争映画もみた。
女にうまれたのに女性らしさがあまりない。
わがままで甘ったれで…
暴力はしないけれど、口はときに暴力的。
もしわたしが戦争中に生きていたら、そんな状況を、とても我慢できなかった
もしその中で男として生きていたらもしかしたら悪いことをしたかもしれない
そんなことを考えて…
またわたしは海が好きで、
とくに太平洋のような南の海が好きだ。
だからそこに人魚が住んでいたら、シロナガスクジラなんかもいたら
過酷な戦場から戦場に向かう途中でそんなものに出あっていたら
そんなふうに考えて…話を作っていきました。
また、個人的に主人公の兄や色白男のような男性との接点はありまけんが
昔からわたしは、友達でも女性的で大人しくて静かでなのに真のあるような人を友人として、好きになりました。
男性にうまれながら女性的な面が多い人が当時、戦場に行った場合どうしたのだろうかなども少し考えて入れてみました。
一応、架空の時代の架空の国の話としていますが、
先の戦争のイメージは強く入っているのは
わたしが幼いころから見てきた戦争番組の影響なのですいません。
けど歴史の事実とはぜんぜんズレてるし、精神科の薬を服薬していて誤字脱字が多いのをゆるしてください。
また、一部には非常に不快に感じる方もいるかもしれずすいません。
どうしても、主人公の鬼と化した兵士の立場にたった内容でありますから
不快で腹が立つ方もいるでしょう。
その場合は見ないか、削除投票をお願いたします。
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