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まぁ、まったりとな!
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パンツパーク
→朝起きて俺が庭に刺さってたらどうする?
──こいつまたくだらない事を言ってやがる
サタン
→ハーゲンダッツを横に置く
パンダ
→警察呼ぶに一票
キャリアウーマン
→パンツさん///可愛い///
ここふ名無し
→ふへへ、ふへへへへへ
匿名さん26
→我、永久に主についてくで候。
パンツパーク
→はぁーん!ハゲって言ったやつ許さん!
匿名さん
→まぁまぁ、この画像みて癒されとけよ
──こいつらはいいよな。俺は失恋してるってのに。
その日の深夜、大介は暗い照明のBARのカウンターで頭を抱えてのたうちまわっていた。
「うるさいよ。てかもう落ち着けよ」
「落ち着けねぇんだよ!!!」
ドンッと拳でテーブルを叩くけど顔が赤くて迫力はない
何度も思い出して
何度も恥ずかしくなって
何度も後悔して
その横でサタンがため息をつく
「あーぁ、お前のせいで盛り下がるし、パンダちゃん達は気まずそうに帰っていくし最悪だよ」
その発言に
「最悪は俺だよ·····」
とため息で答える
顔を手でおおいうなだれていると、その首に細い腕が巻きついてきた。
「なにが最悪だってぇー?」
耳の近くで明るい声
「ポッポ!」
大介に後ろから抱きつく形で、つまみのピーナッツを持ってきたのは店員のポッポだった。
彼女はショートカットの髪がいやに色気を醸し出す美人だ。
「なになに?なんの話し〜?」
大介に絡んだまま、仕事中だというのに、ごく自然に話の中に入ってくる。
「大介がフラれた話」
「うっそぉ!?まじで?」
からかうようにケラケラ笑い合う2人。
心底楽しそうだ。
大介はただ舌打ちをするのがせめてもの反抗だった。
それを見てポッポが微笑む。
「やーん、可哀想な大介。ポッポがなぐさめてあげよっか?」
甘く呟く声。
ふざけてるけど半分本気。
「ポッポ·····」
首に巻かれた腕をほどきながら、強く握って彼女の瞳を見る。
色っぽい視線が絡まった。
ポッポが期待すると
「·····ダメだぁ〜、俺もう帰るわー」
そう力なく言うと立ち上がり、肩を落として帰ろうとする。
「え〜!なんでよぉー、今日ポッポの家に来ればいいのにぃ〜」
後ろで抗議してくるポッポに
素っ気なく適当に「また今度」だけ言ってヒラヒラと手を振った。
「おい、これ忘れ物!」
行く手を阻むように
足の当たりに真っ直ぐな物が現れる
サタンがズイッと差し出したのは水滴もすっかり乾いたピンク色の傘。
そう、あの子の傘だ。
「あ〜、いいよ。お前返しといて、パンダちゃんと連絡取れるだろ?」
あの子が店を飛び出した時席に忘れていた傘。
同じ大学の友達に渡せばすぐにあの子の手元に戻っただろう。
しかし、それを俺が返したい!と言って半ば強引に受け取ってきた。
「なに言ってんだ。自分で会う口実作ったくせに」
口実。
その通りだ。親切心なんてまるでない。
あるのはただ会いたいという下心だけ
「そのつもりだったけどもういいや。なんか変な女だし、気の迷いだったんだよ。」
傘から目を逸らし、帰ろうとするのにサタンが追い打ちをかけてくる。
「会って数分で告白したくせに」
「数分!?」
ポッポが驚く
「だからこそ気の迷いだろ。ノリだよノリ!」
「会って数分で大っ嫌いと言われて落ち込んでんじゃん」
「大嫌い!?」
ヒドイ 私の大介に·····というセリフは2人とも聞き流した。
「一目惚れだったんじゃねぇの?」
一目惚れ·····ありえねぇし。
だけどその瞬間、彼女の顔が突然浮かび上がった。
最初の緊張気味な笑顔。
驚いた顔
なぜか怯えた表情
慌てた仕草
そのすべてがキラキラしていた
そして最後に大嫌いと言った強い瞳
──なんでだ?
なんで嫌いなんだ?
──理由が知りたい
もっと彼女が知りたい
名前を知りたい
名前を呼びたい。呼ばれたい。
声が聞きたい。
笑った顔がみたい
どうしてだろう、さっきからこんな事ばかり考えている。
「いいならいいよ。俺返しておくし」
サタンが差し出した傘を引っ込めようとする。
「──!」
その瞬間、それを奪い取るように乱暴に掴む
──なによりも、もう一度
·····会いたいんだ。
大介が出ていった店内でサタンがつぶやく
「あれって結構マジかもな·····」
「『一目惚れ』?まっさかぁー、またいつもの女の子引っ掛ける手でしょー」
ポッポはカウンターに入り他のテーブルへの酒を作っている。
「どうかな〜?だって全然余裕ないし、動揺しまくり。今日だってあの子が帰ってからボーッとしちゃって、他の女の子に話しかけもしなかったんだぜ?」
サタンは楽しげに話す。
「あれは本気だよ」
〜♪
「おっ、パンダちゃんだ」
スマホを取り出して一気に笑ったり謝ったりしている。
ポッポはそれを横目にみながらカクテルをグラスに注ぐ。
お酒が少し指に跳ねたのでそれをペロッと舐めながら
「本気、ねぇ·····」
と冷たい瞳で呟いたのを誰も聞いていなかった。
──恥ずかしい。
大介はさっそく後悔していた。
ここはミクル女子大学 正門前。
出入りするのは女子ばっか。
加えて今日は良い天気。
男が1人、ピンク色の傘を持って立っていると皆が注目する。
クスクス、ヒソヒソ、ジロジロ
女の子は好きだけど、女の子の集団(完全アウェー)は苦手だ。
──まだ出て来ねぇし。もう帰ったとか?てか学校に来てんのか?
今日はもう引き上げよう。
そう決心した時だった
校舎の方から喋りながら出てくる集団の中に、またしても光がみえた。
──あっ!
彼女だ!
どうしてだろう。こんなに離れているのに良く見える。
近付いてくる彼女の視線がふと俺をとらえた。
露骨に眉間にシワ
負けるかっ!!
「姫さん!!」
俺の前まで無言で近付くと少し気まづそうな表情で
「なんですか?」と言った。
シカトでもされるのだろうと覚悟していた俺は、たとえ素っ気ない言葉でもドキドキしていた。
「いや、あのさ、昨日傘忘れていったから·····届けようと思って、コレ·····」
ヤバい、焦って噛む。
「わざわざ·····すみませんでした。」
「え!?いや、全然、それよりも傘なくて雨大丈夫だった?」
「はい·····小雨でしたし」
あくまでも目を合わせようとしない、ギクシャクした感じが「イイカンジ♡」に見えたのか数人の友達は先行ってるね。と笑顔で去ろうとした。
「あっ、待って!私も·····」
追いかけようとするが
明らかに彼女の細い肩が揺れた。
「神楽姫?神楽姫っていうの?」
友達が消えた方向を向いて振り向かない彼女。
でも俺はかまわず続けた。
やっと名前が判明してテンションが上がっていたからだ。
「かわいい名前だね。ピッタリって感じ。ねぇ、俺も友達みたいに名前呼んでいい?」
いつもの軽い口調でペラペラ喋りまくる。
それでも、何気に「かわいい」と「呼んでいいか」発言は勇気がいた。
すっかり浮かれていた。
というのに、それに驚いたように彼女がやっと振り向く。
真剣な瞳で。
「わからないの?」
「──へっ?」
「名前を聞いてもまだわからないの?」
───名前?
「あはは、そうだよね。やられた方は覚えていても、やった方は大したことじゃないもんね。今、それが良くわかったわ。こっちは一目で気付いたのに、そっちは名前を聞いても無反応だもんね。」
皮肉っぽく唇をつり上げてみせる神楽姫。
「ちょちょ、待って!なに?やっぱ昨日も思ったけど俺ら会ったことある?」
しかも、やった、やられたって·····
「まさかナンパで!????」
─バコンッ!!!
神楽姫のバッグが顔面にクリーンヒット
「いってぇー」
「あんたのナンパになんか引っ掛かるわけないでしょ!やっぱ最っ低!!」
かわいい顔が怒りをあらわにして走り去ろうとする。
それをまた腕を掴んで引き止めた。
「なんだよ。どういうことか説明してくれなきゃわかんないんだって!教えてくれよ!」
もう訳がわかんない。キミはいったい誰なんだ?!
「覚えてないんならもういいんです」
「よくない!」
「いいの!」
「良くねぇんだよ!俺はアンタが好きだって言っただろ!好きな女に嫌われて、その理由が知りたくてなにが悪い!」
また勢いで好きだと·····。そしてスジが通っているかどうかの屁理屈をこねてしまった·····。
軽く落ち込む大介。
見開いた瞳が冷たく伏せていく。
「じゃあ、教えてあげる」
腕を力いっぱい引くと案外簡単に束縛は解かれた。
「私は小学4年生の時にアナタと同じクラスだった。」
それだけいうと神楽姫は唇だけで笑う。
「ここまで言ってわからないなら本当に最低だよ。比嘉くん。うぅん、だいぴょん·····」
にっこりと微笑んだ。
「──!!」
「じゃあね、もう二度と会わないと思うけど」
そして彼女はいつの間にかきたバス停の列に走っていき、人に紛れて乗り込んで行った。
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