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まぁ、まったりとな!
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その日、比嘉大介は駅前に乱立するチェーン店の居酒屋に居た。
ガヤガヤ騒がしい店内でヤル気なさげに隣に座る友人に話しかける。
「おい、お前ホントに良い子くるんだろーな。この前、最悪だったじゃねぇか!」
「大丈夫だって。この前プリクラ見せてもらったらみんなイケてたし♪」
自信満々の友人に
(女のプリクラって詐欺多いだろうが)
と心の中でツッコむ。
「それにパンダちゃんめちゃくちゃ可愛いし」
「それって『パンダちゃんは』可愛いってだけだろ」
「可愛い子の友達はみんな可愛い♡の法則」
(──んな訳ねぇ)
大介はだらしなく机に肘をついて隣の男を見る。
だけど、その度におこぼれとしてコイツが狙った女が連れてくる友達を俺は貰ったりしている。
──しかし、だ
この頃、めっきり勝率が悪い。
「この頃、お前が幹事の合コン、ロクな女いねぇじゃん」
ぶすっとした顔で文句を言うとサタンはヘラヘラとした笑顔で反論する。
「うっせーな、俺は俺が好き子と仲良くなれればそれでいいんだよ。それに大介は自分で女調達出来るからいいじゃん」
「俺らはエサか。。。はぁ」
ため息を被せるように他の男たちが口を挟む。
「そうだよ。大介はモテるからいいけど俺らは〜」
「しかもこの前も唯一の可愛い子もっていきやがって!!」
ヤバい、苦情がこっちにきた。
「いや、でもまぁ、いっか!どうせ遊ぶだけだしな!楽しかったらいいとするかっ」
笑って誤魔化しながら合コン仲間の2人をなだめる。
合コンで本気で付き合う女を見つけるつもりはないし
当分「本気で付き合う女」を探すつもりもないから一晩遊ぶ分には丁度いい。
いつもそのつもりだ。
さて、今日は2枚目気取り?盛り上げ役?どんなテンションでいこう。そう考えながらタバコをくわえると
「あっ、パンダちゃんこっちこっちー♪」
と、この前他校との交流サークルで知り合った子を手を振りながら呼ぶサタン。
今日のメンバーはサタンお気に入りの「パンダちゃん」とその友達の4人だ。
つまり4対4の王道合コン。
パンダちゃんが先頭で手を振りながら俺らの席に近付いてくる。
次々に現れるその子たちは·····
「おぉ!結構当たりじゃん!」
そう目立たないようにほくそ笑んだ次の瞬間、1番後ろをついてくる背の小さい女の子を見つけた。
白い半袖のニットにフワフワな肩までの髪。
大きい目、小さな赤い唇·····
思わずくわえたタバコをポトッと落とした。
でもそんな事にも気付かない。
(──かわいい·····。)
心臓が鳴った。
ヤバい。
ドキドキしてきた。
なんだ·····これ?
鼓動が早くて苦しいくらいだ。
瞳を奪われて視線が離れない。
苦しいのに逸らしたいのにそれが出来ない。
なんだよこの感じ·····。
なんで突然。
なんで一瞬で·····
なんでだよ!?
なんだ、なんだと動揺しているのは自分一人で、話は進行していく。
「じゃあ、みんなそっちの座席に座ってー」
サタンが仕切る声が聞こえたけど、俺は馬鹿みたいにボーとしながらその子の仕草一つ一つを見つめていた。
まずその子は顔見知りのサタンに挨拶をした。
──なんかムカつく·····
友達同士で見つめ合い席を譲り合う
──俺の近くに来い!来てくれ
そして男たちに軽く挨拶
──目が、合った·····!
心臓がまた弾ける。
すると彼女は俺を見ると、さっきまでの緊張気味な笑顔が一瞬で消え、ぽかんと小さな口を開いたと思ったら今度は大きな瞳をさらに見開き、
ガッシャーーン
と水滴のついた傘をハデに落とした。
皆が驚く中
あぁ、雨が降り出したんだな。と俺はいらぬことを考えていた。
「ちょ、大丈夫?」
隣の女の子に声をかけられ彼女はハッとしたようで、すぐにしゃがみ傘を拾う。
──が何秒かそのままで立ち上がらない。
また声をかけられスクッと立ち上がる。
行動が妙だ。
でも可愛い。
そして小声で
「ねぇ、パンダ私やっぱりかえっ」
「もー、まだそんなこと言ってるの?ハイハイ、座って座って」
活発そうなパンダに引っ張られ強引に座らされる
パンダはもちろん幹事であるサタンの向かいの席。
パンダの隣が彼女。
そして俺はサタンの隣!!
ラッキー♪と浮かれていると下を向いていたフワフワの頭がこちらを見る。
「ひっ·····!」
明らかに怯えた声。
え?俺?
「ねぇ、ちょっと席交換して」
パンダと反対側の子に焦って話しかけるが
「席交換はまた後で!取り敢えず乾杯しよ〜」
との声がかかり、あえなくその会が始まった。
乾杯を終えて、料理を一通りオーダーすると幹事が仕切り出した。
「んじゃまぁ、お互いに自己紹介ってことで!名前くらい言っていこうか!」
まずは言い出しっぺのサタンが名乗る。
次に俺。
「比嘉大介でぇーす!笑いの神に愛されてて滑ったことがないってのが悩みでぇーす!大介って呼んでください♪」
「そう、こいつ女に呼び捨てにされると嬉しいんだってMだから」
「そうそうww」
サタンとのお決まりのネタで大体の合コンは笑いが起きる。
笑えなくても空気を読んで笑ってくれる。
なのに俺の向かいの彼女はうつむいたままだ。
──ノリ悪くね?
チッと少し舌打ちしたけれどフイに目が合うとグイッといっきにそらされる。
そんな仕草までもいいと思ってしまう。
ヤバい。俺どうかしてる。
こういう時は明るい感じの子に目をつけるのに、なんだってこんな無愛想なやつに·····
でも、なんか光ってる·····
明らかに1人だけ光ってるんだけど。
これってオーラかなにかか?
こんなん見える人だっけ俺·····
地味に悩んでいると彼女の番になった。
声が聞ける。名前が聞ける。
「·····です。」
ボソボソと小さな声で聞き取れなかった。
たまらず
「え?ごめん、もう一度 言ってくれる?」
─やったよ俺、話しかけた!
内心ものすごく緊張したにも関わらず
「····················。」
答える気なし·····か。
「ちょっと、姫?どうしたの?」
パンダが心配そうに顔を覗き込むので、すかさずニコニコ顔でまたトライ
「姫?姫ちゃんってゆーの?かわいいね俺も呼んでいい?」
「····················。」
なんだよ
この子一体なんなんだ
それから俺はイライラしたりドキドキしたり、結局は彼女から目を離せなかった。
発見したことはなんだか怯えているようではあるが、周りにもちゃんと気を配っていること
それなりに話を振られると答えること、でもそれに俺が絡んでいるとうつむいて「ハァ」しか言わないこと。
なんだ?彼女も俺を意識しているのか?
そうポジティブに考えてみたものの、どちらかというと顔は赤いというよりも青いことで、その思想は否定せざるを得ない。
初対面なのに、こんなに妙に反応するなんて
もしかして·····
思い切ってなんの脈絡もなく聞いてみた。
周りも一瞬無言になる
「──!」
ビクッと箸を持つ手が震えた。
「え?やっぱ?どこでかな?俺なんかしたのかな?」
何かやらかしたのかという不安と、接点があったという期待が駆け巡る。
皆が注目する中
「やっぱり」と微かに唇が動くのを俺だけが見た。
初めてハッキリとし声を発し箸を置き、立ち上がる。
「ごめんねパンダ。今日はもう帰るよ。本当にごめん。」
戸惑うメンバーたち。謝られたパンダもどうしていいか分からない様子だ。
それも見ずに荷物をまとめてスタスタと歩き出す。
誰も声を掛けれず見送るしかなかった。
しかし、
出口に行くには俺の真後ろを通らなければならない。
「待ってよ」
俺は反射的に彼女の腕をつかんだ。
彼女がビクッと揺れるがこっちもビリッと電流が走る。
触れてしまった·····
「なんですか?離してください!」
ハッキリと目が合うのは2回目。
意外にも強気な瞳だった。
挑むような·····負けないというような·····
「あの·····俺なんかしたかな?そしたら謝るから。帰って欲しくないんだけど」
自分ではないみたいな弱気な言葉だ。
だけど考えるより先に言葉が出てくる。
今はただ引き止めたい。
その一心だった。
普段の俺からは信じられない。
しかし、それ以上に驚くことをこの口は言い出すことになる。
「何もしてませんよ。離してください!」
心底迷惑そうに顔を歪める。
だけど、どうしてもこの腕を離したくない。
しつこく引き止める。
「ちょっと、もう少し話したいし」
「なんでですか?何を話すんですか!」
ぐぐぐっと彼女も力を入れる。
それがわかるとこっちもさらに必死になってしまう。
「とにかく帰らないで」
「なんでですか!?」
「「は?!」」
反応したのは他の奴らだ
当の彼女はポカンとしている。
そしてかなり間をおいて
「は?」と同じ反応をした。
俺の方は、さらに何テンポもズレて慌て出す。
「いや、あの、これは·····」
「からかってるんですか?」
「違っ」
否定の返事だけは早い
驚いていた瞳が一気に冷めていき、ひとつ大きく息を吐き出すと決意したように伏せられた。
「じゃあ、答えます」
なにを·····
回らない頭で考える前に、
そう叫んで腕を振り払うと、ものすごい勢いで出口に向かった。
「「えっ!?」」
みんなも事態を飲み込めず、彼女が店のドアをピシャリと閉めたあたりでようやく声をあげた。
だけど俺はまだ間抜け面でポカンとしている。
どうやら俺はあの子に本気で一目惚れしていたらしい。
そして告白してフラれた───
この間約45分
あまりにも短い恋に
「えっ?」
ようやく声が出た。
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