【掌編】100℃

レス1 HIT数 615 あ+ あ-


2021/08/17 21:16(更新日時)

朝。

目が覚めると油のにおい。

眠ってたんだわたし。

歯も磨かないで。

机にラーメンが置いてある。

固まらないで光ってる油が、

ゴキブリの背中みたい。

ひどい想像。

ひどい想像なのに、何も考えてないのかな、

わたしは箸を持ち、

ちぎれかけの麺を口に運ぶ。

まずい。

なんでわたしこんなもの食べてるの。

頭が空っぽ。

ああ冷蔵庫も空っぽだ、

だんだん生活のことが、思い出されてくる。

でもそれだけ。

吐きそう。

うえ。

何してたのかな。わたし昨日、

そう、

家を出た、

歩いた、

座った、

仕事は、

うえ。

それで、

何したのわたし?

ラーメンを放って眠るぐらい、何をしたの?

どうしてこんなに部屋が汚いの?

何もしてないの?

生きてただけ?

今日は土曜日?

何なの。

シンクにスープを捨てる。

そのまま食べたものも戻してしまいたい。

戻してしまいたい、

わたし昨日、何もしてない。

おとといも何もしてない。

何かしたことなんて一度もない。

いつの間に壊れちゃったのかな。



ゴミ箱を見る、

ラーメンの袋が捨ててある、

熱湯三分。

口の中が気持ち悪い。

お茶、

お茶作ろう、

水を火にかける。

沸々と鍋の底から気泡が上がってくる、



昨日の夜も、

きっとわたしこうしてたのね。

覚えていない。

こうして、

何もしていないわたしが座ってたのね。

100℃を超えて沸き上がる水が、

水の音が鳴っている。

生きているだけの私の横で、

心音よりも強く、

水の音が鳴っている。




No.3354090 (スレ作成日時)

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No.1

やっぱこれが主流なのかなと思って一行分けにしてみましたが、情景の掘り下げが難しいですね。これなら散文詩のほうがスリリングでいいような気がします。

作者はまだ一人暮らししたことないです。

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