幽霊やってます
ほんともう
私もやりたくてやってんじゃないですよ?
14/11/02 03:00 追記
愚痴からファンタジーにチェンジしました。
どうしてこうなった?
14/11/05 09:32 追記
今更ですが思ったより長くなったので、感想スレ立てました。
感想頂けたら嬉しいです
m(_ _)m
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「薬を使われてたとはいえ15年も自分を幽霊と思いこんで、普通の生活にいきなり戻れると思うか?稀血でも戻れない。貴血だからこそ戻れた。その貴血でも耐えられない程の事、君は何をした?」
「俺だって美月の事を考えてたんだよ!俺じゃ駄目なのは知ってる!だからアンタに任せて嫌でも応援するしかなかった」
息子なりに考えたんだろう。
だが、わかっていない。
もっと早くに姿を消させるべきだった。
執事としての私の責任、執事失格だ。
「息子さんは冷静じゃない。一度家に戻り、よく調べてまたお伺いします。それと、そろそろ点滴をしたほうがいいかもしれません。唇が荒れてきている」
息子よりも日向様のほうが美月様を幸せにできるだろう。
しかし残念ながら幸せを決めるのは他人じゃなく美月様本人だ。
日向様をお見送りし、美月様の部屋へ急いだ。
部屋に戻ると眠っている美月様の手を握りながら、泣いてる常の姿が目に入った。
「常、日向様の仰るとうりだ。美月様の記憶にムラがある事には気づいていたか?」
「……ああ、主治医やメイドは覚えていても、屋敷の中や自分の名字は忘れていた。おかしいとは思った」
息子の隣に椅子を引き寄せて座る。
「美月様はそれだけ精神がギリギリだった。かろうじて普通に見えたのは血とお前のおかげだろう」
「……」
「長い間幽閉されていたのにも関わらず、助けだされたらすぐに生活に馴染んだ。不思議に思わなかったか?」
「……」
「お前に救われていた事も大きいだろう。今の状態は美月様が望んでいるのかもしれないな」
「美月がなんで?」
「眠っていればお前はそばにいる。結婚もしなくていい。どうだ?望みどうりじゃないか」
「それじゃ美月は…」
「目覚めない可能性のほうが高いと考えている。現実を受け入れないで眠ったまま」
私にも少なからず責任がある事は言えなかった。
これほど常を必要としているとは思わなかったからだ。
年をとり恋愛が心を占める重さをすっかり忘れていた。
ふふっ、やっぱり喧嘩してる
ジョウが謝ってる?
おかしいな
これ位の喧嘩ならジョウは私の頭を軽く叩いて終わるのに
ジョウ、私、赤ちゃん
何か違う
幸せ『そう』だけど
何かが違う
この幸せな世界の
『私』はどこ?
日向の家に戻ったがこれといった情報は得られなかった。
だからと言って美月さんをあのままにしておけない。
だいたい常という男が気に入らない。
俺じゃ駄目だから嫌でも応援するしかなかった?
好きな男に俺との事を応援されてみろ。
傷つくに決まってるだろうが。
美月さんは『振られましたが』と言っていたから、多分告白はしたんだろう。
気持ちをわかってて応援するような事を言ったのかやったのかはわからない。
ただ間違いなく原因はあの男だ。
藤井医師にネカフェから連絡をもらった時は、婚約者という相手を見てみたい一心だった。
親のような夫婦にはなりたくなかったから、どんな相手か見てみたかった。
言い寄る男を必死に無視してる姿を見て守りたいと思った。
誘拐された事を笑いながら話すのが痛々しくて、幸せにしてあげたいと思った。
ゆっくり時間をかけて関係を作ろうと思っていたのに、あの男は本当に余計な事をしてくれた。
自分の殻に閉じこもった美月さん。貴血がそれにどう影響するのかがわからない。
暴走したら終わりだ。周りを破壊しまくって元には戻れなくなるだろう。
また明日、月王家に行ってみるしかないな。
昼過ぎに月王家に着いた。
メイドに案内され部屋に行くと美月さんは点滴をしていた。
やはりまだ目覚めていない。
試す価値はあると思い、血を口に数滴入れたが反応は無かった。
このまま眠り続けるにも限界がある。
いくら貴血が強いからと言っても点滴だけで生きていけるのか?
「血でも駄目ですね」
疲れが顔に出ている月守さんが呟いた。
自分と同じように落胆しているのだろう。
「美月さん自信が起きたいと思わないと難しいかもしれないですね。何か五感に刺激を与える事ができればいいんですが…」
「五感でございますか?」
「はい。思い出のある音や匂い、何かありませんか?」
「残念ながら…」
万事休す、四面楚歌。そんな言葉が浮かぶ。
「美月さんは暴走した事は無いですか?リミッターが切れて暴れまくったり、その…言い難いですが姿が変わったり」
「日本酒を召し上がった時にその様な事はありましたが、暴れる事はありませんでした」
「日本酒はもう飲ませてみましたか?」
「はい、倒れた初日に…」
駄目だ、俺じゃ他に思いつかない。
あとは何をすればいいんだ?
何が残されてる?
『もしもし?悪い久しぶり、日向だ。お前、稀血の研究してたよな?俺の血少しやるからちょっと頼まれてくれないか?実は…』
大学時代の友人に連絡を入れた。
個人の趣味で研究しているがかなり詳しいヤツだ。
美月さんの事は言わずに
「眠った稀血を強制的に起こす方法」
を聞いてみた。
折り返し連絡がくるのを待つしかない。
調べてわかったが稀血は他にいても、貴血は美月さんただ1人だった。
情報が少なすぎる。
稀血の場合は眠るのは丸一日。
それなら貴血は10日間程で目覚めるかもしれない。
確証は無いが…。
タバコの本数が8本になった頃、連絡が来た。
『調べたけど無理だな。自己防衛で眠るんだろ?それを無理に起こしたら精神イカレるに決まってる。昔は何人かこれで壊れて狂って見境なくなってるらしい』
『わかった悪かったな。血は今度やるから、ありがとう』
他に打つ手は何か無いか?
美月さんの部屋に戻ると月守さんがただ見つめていた。
この人も色々調べたんだろう、一層疲れが見える。
「月守さん、10日間様子を見ませんか?」
「10日ですか…」
「はい、僕ら稀血は丸一日で目覚めます。貴血の力はおよそ10倍、ですから10日間です。色々調べたんですがそれに賭けるしか方法は見つかりませんでした。申し訳ないです」
「とんでもない!お手数おかけ致しました。ありがとうございます」
待つ事しかできない自分の不甲斐なさに腹が立つ。
確証のない仮説にしか頼る事ができない無い現状が。
「そういえば息子さんは?」
「何か買いに行きました。心当たりがあるとか」
あの男なりに考えてるのか。
美月さんに一番近いのならもしかしたら、とは思う。
ただこの状態をあの男がひっくり返せるとは思えない。
美月と約束した花を買った。
昔プレゼントすると約束した花。
病院でも渡したし、お前が帰ってきた時もちゃんと用意しといたろ?
またお前に持って行くから。
だから起きてくれよ。
目を覚ましてくれよ。
もう使用人とか血もどうでもいい。
一緒に居よう。
屋敷に着き、美月の部屋へ走る。
突然部屋に入った俺に驚きオヤジと日向が振り向くが構ってる余裕は無い。
美月が眠るベッドの横にユリの花を置いた。
「美月ならこれでわかる…気づく筈なんだ」
幸せなユリの香りがする
ジョウがくれた花
ジョウが私の為にくれた花
ジョウには迷惑で重荷だった花
ジョウには大した意味の無い花
ジョウと私には関係ない花
そんな花なんかいらない
いらない花なんて
壊しちゃえ
目を開けた美月の瞳は紫だった。
髪は銀髪のロング。
オヤジや日向の事も目に入っていなかった。
俺の事すら。
起き上がると片手で花瓶を砕き、体ごと3階の窓から飛び降りガラスの破片を浴びている。
「美月さんを止めます!」
日向が窓から飛び降り、抱きかかえようとしたが美月のほうが素早く日向の背に周り腕を抑えている。
庭に急ぐと背を向けた美月の足下に日向が倒れていた。
「美月…」
振り返った美月は泣いていた。
俺は何を間違えた?
俺がここまでしてしまったのか?
黙って涙を流す美月としばらく見つめあっていた。
「ごめんなさい、ジョウ」
そう呟いてから俺に倒れこんできた。
何が起こった?
美月に何が起きてるんだ?
美月と日向を部屋へ運び、考えていた。
ごめんなさい?
俺に言ったのか?
日向にか?
何に対してだ?
謝らなきゃいけないのは俺なんじゃないのか?
「常、日向様は打撲で済んだ。今の事と今後の事を話そう」
美月から離れる訳にはいかないので、眠っている美月の部屋で話す事になった。
「先程の美月さんですが、暴走とは少し違います。常君の持ってきたユリがきっかけなのは間違いありませんが、とにかく目覚めて良かった」
「美月様の貴血の力はこれだったという事ですか?」
「いえ…全力じゃないですね。全力だったら僕は死んでました。まだ理性は残ってるようでしたし。それから常君、聞きたい事がある」
「…なんですか」
「美月さんは泣きながらずっと呟いていた。ごめんなさい、と。よく思い出して欲しい、最初に倒れる前に何を話していた?」
「アンタと海行ったって聞いたから、これで晴れてお役御免になるなって」
左頬が熱くなった。
コイツ手ぇ出すの早いな。
「原因はわかった。晴れてお役御免て言葉だ。しかも美月さんをフってるだろ?」
「…美月と俺が無理なのはアンタもわかってるだろ」
今度は後頭部に衝撃が走る。オヤジだ。
「俺だって美月がいいよ。無理なもんは無理なんだろ?だから結婚しようが勝手にそばに居るよ。日向家についていく」
「君は呆れるな、家に入れると思うか?」
「あの…それより美月様の外見なんですが戻るんでしょうか?」
確かにまずい。
紫の瞳。銀髪。牙。
「僕にも正直わかりません。一度開放されると力は出やすくなるとしか言えません」
「じゃあ最初から貴血を嫁に狙うんじゃねーよ。同じ稀血にしとけよ」
「常!」
「俺からすりゃ羨ましいんだよ。俺が稀血だったら問題ないしよ」
「じゃあ稀血になるか?常君」
「はあ?」
何言ってんだこのボンボン?
「ただし後天的に無理矢理だから、ものすごい苦痛がある。全身の血が変わるわけだから。それでもやるか?」
「やる」
「即答じゃなく、よく考えてから…」
「やるよ」
「日向様、ここからは私が説明致します。常、本気なのか?」
「オヤジ知ってたのか?なんで今まで言わなかった?」
今から言うから黙って聞け、と前置きされ説明を受けた。
美月がつけてる血のピアス。
旦那様と奥様の血のピアス。
あれを噛み砕いて、後は耐えるだけらしい。
「わかった。でも大事な遺品だよな、美月が起きてから話して頼んでみるよ」
「美月ー!起きろ、牙抜くぞ」
「君ちょっと待て!いきなりそんな…」
サラサラの銀髪が揺れた。
美月はこっちのほうが似合うなと思った。
「……ジョウ」
「待て泣かないでくれ、頼む!ちょっと大事な話があるから!」
抱きつかれた。
オヤジと日向は出て行った。
ひとしきり泣いた後に鏡を見てまた泣いて、落ち着くまで2時間かかった。
「そういう訳で大事なピアスなのは知ってる。でも俺にくれないか?」
「でもすごい苦しむんでしょ?ダメだよ死んじゃうよ」
「美月を追い詰めたから次は俺の番」
「ダメ!」
「じゃあ日向の嫁になる?」
「それとこれとは…」
「美月、結婚して下さい。その為に必要なピアス下さい」
「~~~っ!」
「大丈夫ですか?日向様」
「はぁ、もうやってられませんよ。月守さんはどうして今になってピアスの事教えたんですか?」
「申し訳ありません。美月様が常を嫁ぎ先に連れて行くと言ってたんです。その話を知らない常も勝手に着いて行くと言いだしますし。もういいかと思いましてね」
「なんだ、最初から僕の負けじゃないですか」
「美月様は残念ながら、だめんず好きのようで。日向様の魅力には気づけないんですよ」
「…上が騒がしくなりましたね。常君、1ヶ月は苦しむでしょうね」
ピアスを噛み砕いた瞬間から内蔵が焼かれるようだった。
全身の血が沸騰して声も出せない。
水を飲んでも吐く、とにかく吐く。
少し落ち着いてもまた全身が沸騰する。
1ヶ月それを繰り返し、やっと血が馴染んだ時には俺も銀髪になっていた。
美月の外見は変わらないが、これはこれで可愛い。
結婚式はやらずにこのまま変わらず暮らしたいという美月の希望で、前と変わらず暮らしている。
日向がたまに遊びに来るくらいだ。
旦那様と奥様はこの為にピアスを作ったんじゃないかと思っている。
だから必ず
美月を大事にします。
おわり
終わりました
初めの話とガラッと変わってしまい
大変申し訳ありません
m(_ _)m
読んで下さった方
ありがとうございました
あと勝手に作中に入れてしまった方
ごめんなさい
ありがとうございました‼
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