三年間の片思いの末に待っていた結末

レス173 HIT数 64331 あ+ あ-


2014/01/16 00:53(更新日時)

わたしが高校生のときの恋愛話です


「三年間の片思いの末に待っていた結末」

弓道部で一緒になったあるひとりの男の子に、片思いをする。
彼を好きで好きで仕方ないわたし。
告白なんてできない。
でも………

色々あって、男子が一時期信じられなくなりました。私も想像していなかったから。


・話の途中で、エロも含まれてきます。ご注意を

No.1957645 (スレ作成日時)

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No.173

【あとがき】注意:ネタバレ含みます!


主です。ここまで読んで下さって本当にありがとうございます。
皆さんから感想スレで応援のメッセージを頂く度に、励まされ、感動をもらいました。
自分ではこんなに長い小説を書くのは初めてなので、どうなるか不安でした。
自己満足でやっていって、だんだんと読んでるよ!というコメントをもらってやる気になって、文章が上手く伝わっているのか不安に思うことも多く有りました。

わたしが一番意識をしたのは、感情移入をして欲しかったので感情部分を力入れました。
「ゆいはこう思っていたから、今後の展開がどうなるんだろう」
「幸せになってほしいな」
「本当に青山ゆるせないい!」

そうゆう意見を頂いた時は正直「やったー」と思いました笑
自分が力を入れた部分が伝わっていて嬉しかったです。

ラストまで読んでどう思ったか気になります。多分色んな意見があるんだろうなって思う。
怒るとこでスパッと終わりにすればよかったとか、ボタンなんてもらわなくてもよかったとか、最後一緒に過ごしたのはどうなんだ?とかとか。それぞれの思いはあるだろうなと思います。

これは一人の少女が青春時代に駆け抜けていった恋物語です。多くの恋物語の一つと思ってとらえて下さい。
わたしはここまで書けて本当に楽しかったし、達成感に溢れています。
後半は個人的に忙しかったので、遅くなったりしました; すいません。それでも待っていてくれた人が一人でもいてくれたのが嬉しかったです。本当にありがとう。


もし、ミクルでもう一度小説書こうかな!って気になって書き始めたら、また見て下さいね。

今後はこちらに書き込みすることはないと思うので、
http://mikle.jp/threadres/1988214/
に出没します。感想スレなので、よければ感想教えて下さい。
忙しくなかったら、一人一人に返信します。

150日以上の時間を使って描いた「三年間の片思いの末に待っていた結末」はこれで終わります。
本当にここまでおつきあいしてくれて、ありがとうございました!!!!!!




*この話は実話を元に創作したフィクションです

主……椎名ゆい より

No.172

そんなこんなで、私は元気。
恋も順調。仕事も新しい場所が見つかって、やる気と希望に満ちている。

あの時の苦労がなかったら、恋愛下手で何も知らない女だったかもしれない。
この先も忘れることはない出来事。これからも、いい恋愛をしたい。そして、結婚をしたい。
泣いた日はたくさんあったし、辛かったけど雨はきっと止む。だから立ち直れたの。
彼氏を見ていると、青山くんもこんなこと言っていたなーと似たような発言しているからなんだか不思議な気持ちになる。
やっぱり、どこかで高校の時に憧れていた存在が強かったから意識してしまうんだろうな。
青山くんではないけど、以前好きになった人と似ている人が一緒にいて、たわいのない会話をして、デートをして…そんな日々が幸せに思う。ありがたいとも思う。

今つきあっている人が結婚相手になるかどうかもわからない。何があるかわからない世の中だから、とりあえず今を大事にしようっていつも思うの。後悔してからやっても遅いから。一緒にいる時間は精一杯愛したい。
もし、違う相手と結婚するのであればその時も後悔がないようにつき合いたい。あの時の経験があったから強く思う。
一瞬を大事にしていこうと。だから、これからも私は頑張りたい。恋に仕事にプライベート。



青山という存在の男がいなければ、わたしは恋愛について深く考えなかったと今は思う。


もっと輝きたい、可愛くなりたい、素敵になりたい。
強く生きたい。そう、思うんだ。


~fin~

No.171

もう、青山くんのことは辛くない。辛くないけど、もし会えたらちゃんと彼氏できたって報告したい。
忘れられないと思っていた過去も、経験と時間でいつかは大丈夫になる。

実際、青山くんには色々狂わされた。高校の夏に色々起きてしまつまたわけだが、あの時の私の精神状態は気づかないうちに深刻化していて。ある日予備校に行く途中、突然の動機と不安が襲ってくるような発作が起きた。
それが、何度も続いてわからなくて病院へ行くと精神病にかかっていたのだ。自分でもビックリした。

どれだけ自分を我慢して追い詰めて、それだけでにしたかった物なのか?今では疑問である。
やっぱり、高校だったからこそ、燃えるものがあったと思う。制服の恋なんて寿命が短い。だから、その一瞬でも好きな人と一緒になれたら、自分にとって幸せなんだと思ってた。ステータスにもなると思ってた。


あれから、青山くんには会ってない。
たまに部活の仲間同志の会話で話に出てくるぐらい。
「そーいえば、彼どうしてんのかねー?」

みんな知らない。男子ですらよくわかってない。ただ、県外で寮生活しているとだけしか聞いてない。連絡先は私は既に消していたから、もう関わることもない。
けど、今のネットて怖くてさ。
消したはずの相手が、LINEにいたりするんだよね。
「友達追加」の候補欄を見ると、そこには青山くんがいたんだ。

ビックリした。もう、とっくの昔に消したのに。なんで出てきたんだ?てね。追加しないけど、彼のホーム画面を見ると友達と変装している(ハロウィンの仮装と思われる
姿があった。顔はよく見えないけど、なんとなくわかる。こいつが青山だって。でも、あの時みたいにときめかないなーー。
なんで、好きだったんだろ。
変に美化しすぎていた、神と崇めていたんじゃないかって思うわ…
成長した彼を見て、ちゃんと上手くやっているんだろうかと思った。性格に難がある彼。噂では寮で孤立してたとか同じ大学に行った人が言ってたみたいだ。

No.170

呆れた友人が友達を紹介してくれた。
友人が紹介したXさんのおかげもあって私は変われたの。
最初は興味なかったけど、一途な気持ちに惹かれていって、セックスするってなった時も、泣いた私を待っていてくれたし。
少しずつ少しずつ私に触れてくれた。お薬みたいなものだった。
あの時、Xと付き合っていなければ腐っていたかもしれない。私はそこで、青山くんの気持ちが忘れられた。青山くんの代わりじゃない、この人は私の彼氏なんだってちゃんと思えた。

でも、2年ぐらい付き合ってから距離が出来てしまい破局。


破局後に、私は彼氏ではなく男友達を作りたいと思った。
高校から好きなアニメや漫画の趣味が合う男友達が、ずっと欲しくていい機会だから探そうと思った。
手段はネット。アニメや漫画とか好きな相手を探してLINEで声かけてみる。

そんな方法で出会った人がいた。
2ヶ月ぐらいLINEのやり取りをして、その後ランチを一緒にいきましょうという話になり、会うことになった。
LINEではとても気が合う仲のいい友達。好きなものとかも一緒で、私は親近感を持っていた。
そして、ランチ当日。特徴を頼りに彼を探す。その人っぽいのがこちらをチラチラ見ていた。
声をかけるとその人だった。

細くてひょろっとして、童顔で。声がすごく安心できる第一印象が最高に良かった。イケメンではないが、普通にいいなーと思った。
ランチに行く時、そこまで会話しながら向かってたんだけど驚いたことがあったの。





その人、そっくりだったんだ。







仕草と歩き方、喋り方、そして後ろ姿。似ていた。とってもびっくりした。
青山くんがいる。目の前に青山くんが……

でも、彼は青山くんとは正反対の性格で。仕草とか喋り方は似ていても、気配りとかは彼の方が全然良かった。嫌な顔をせず、最後まで楽しく過ごせた人だった。
こんな人は初めてだ。LINEでやり取りして、すごく波長が合うなーて思って会ったら実際にもすごく波長があって。
その日を境にもっと仲良くなったし、どんどん惹かれていった。
そしてお付き合いを始めた。
告白された、したわけでもなく、意思の確認をしてお互い両想いだってこと解っていたからお付き合いをした。
最初は青山くんに似ていて懐かしいとすごく思ってたけど、今はそんなこと思わない。やっぱ別の人だと思う。

彼に出会って、忘れていた青山くんを思い出し過去の自分を振り返っていたらこの小説書いてみようかなーなんて思った。
面白いよね、昔好きだった人に似ている人と付き合うなんて。

No.169

〜その後〜

私は高校を卒業し、大学に行った。大学に行ってからは、次の恋を探そうと必死になって男を探した。けど、大学の中でいい人見つけるの難しくて友達止まりみたいな中途半端は人が結構いた。
男性と話すのは得意ではないけど、青山くんを忘れるには彼氏を作って恋をしなきゃ埋められないと思ったの。代わりが必要だった。誰でもいい。ただ、私を1番に愛してくれる人が彼氏ならそれでいいって。

ネットでも探したら結構話しかけてくれる人が多くて、そこから実際に会った人もいる。でも皆なんかイマイチ。
どうせ体とか欲求解消なのかなーて思うとイマイチ踏み出せない。
なんだかんだで、色んな人と遊んでた。体の関係は持たなかったけど、中には触ってくるやつもいたし。

でも、気にしなかった。
お触りまでならいいけど、それ以上はダメってお預け。そんなこんなで、青山くんの代わりが見つからない、見つかるわけなんてない。
苦しい気持ち、もう会うことはない彼への未練がより心が苦しくなる。未練なんてなくなったと思うと急に出てきて。
もう悩む必要なんてないのに、好きだった時間が長かったから、忘れることができない。
だから、誰かが埋めてくれればいいなーて思った。
でも、いざ相手といい関係になって、お触りとかして相手が迫ってくると、すごく怖くなって泣き出してしまう。

「ごめんなさい、わたし怖いの。ごめんなさい、ごめんなさい…」
相手を困らせた。
男が迫ってくると、あの時の私は

「この人もセックスしたら消えてしまうんだ。きっと私を捨てるんだ。どこかに消えていなくなってしまうんだ。だったら、何もしたくない。もう、あんな気持ちになりたくないよ。怖い怖い怖い!!」

抵抗感が強かった。
彼氏は欲しい。けど、セックスは出来ない。したくても、怖くて涙が出てくる。
そんな時期が続いた。

No.168

この大切な時間ほど、すぐ終わってしまう。電車に乗ってもう、駅についてしまった。
いつもの最寄り駅。高校の時、いつも青山くんと途中まで一緒に帰ってここでバイバイした最寄り駅。
彼とはここから逆方向。だからここが一番切なかった。楽しい電車内の会話も、ここにくるとさよならしなくてはいけないから。
そして今日もここでお別れ。最後の最後もこの駅で。

そっと手が離れる。

「青山くん、今日はありがとう」

「いや、それはこっちの台詞だよ。本当にありがとう。」

「大学頑張ってね。遠いけど、うまくやるんだよ?」

「うん。椎名さんも良い大学生活送って。俺も頑張る」

「もうきっとしばらく会わないだろうから、本当にさよならかも。わたし、大きくなれたよ。絶対青山くんよりもいい彼氏作るから」

「ははっ。それを願ってます。じゃあ、このまま話してると辛いし切ないから…俺は行くよ」

「うん、ばいばい。元気でね」

「そっちもな。じゃあ、ばいばい」

彼が離れる。どんどん背中だけ見える。後ろを一度も振り向くことなく、彼はまっすぐ歩いていった。潔い、凛とした心構えを感じる。もうこれで終わりなんだ。全部、全部ね。
遠くなるまでみつめていた。駅周辺は人がたくさんいるけど、彼の姿は決して見失わない。今まで見てきたから。だから、本当に見えなくなるまで私は立ち止まっていた。
やっと見えなくなると、私は大きく息を吸い込んで吐き出す。





「さようなら、青山くん」

歩き出す。前を向いて。視界が歪んで見えなくても、とりあえず歩く。泣かない。もう終わったことなんだから。

三年間の片思いの末、待っていたものは
時間をかけて気づいてくれた両思いだった。

この両思いが、新しい恋のスタートだ。さようなら好きだった人。私はいま新しい一歩を踏み出した。

No.167

帰り道。彼は一度実家に帰らないといけないと言っていたので、アパートから二人で駅を目指した。その道の途中のこと。

「ねえ、青山くん。もう今日限りの恋人なんだからさ、手繋ぎたいな」

「え!?手!?」

「うん。ねえ、それぐらいいいでしょ?」

すごく恥ずかしそうにしている。
「俺……人のそういう所見られるの……ちょっと」

「はあ?なんでよ。あんた公園で抱きついてきたくせに!」

「あ、あれは暗かったからできたんであって!……ううう。まあ、人はここあんまいないけど……」


もぞもぞとしている青山くん。少しかわいい。私は袖を引っ張る。
彼はそっぽを向いたまま、私の手を掴んできた。そして、恋人つなぎをしてくれたのだ。
嬉しくて、思わず手をまじまじと見る。これがずっーとしたかったんだ。彼とこうやって手を繋いで歩く事。彼は下を向いて照れている。

「うれしい!すごくうれしい」

最初で最後の恋人繋ぎ。もう二度とない出来事だ。だからしっかりと握りしめた。
手を繋ぎながら、会話をする。他人から見れば恋人そのものだ。でも、今日だけ。もう会えない。会う機会があっても、会わないだろう。辛くなるから、寂しくなるから。この手を離したらあなたは遠い所へ行ってしまう。それでもこの瞬間がすごく幸せだ。

一番最後に恋人繋ぎ。順番が色々おかしかったけれど、嬉しかった。
妄想だけの世界で終わるだろうと思ってたから。

No.166

「でも、もうすぐ青山くんは……ここから離れる……」

「……うん。」

私は無理だと解っていても、聞いてみた
「ねえ、わたしたちさ…………。これからどうなるかな。」

「どうなるって?」

「離れても、つき合えるかな?つき合いたいな……ずっと待っていたから。私はつき合えたら……嬉しい。遠距離になるのは…わかってる」

「椎名さん……、」

言葉に詰まる青山くん。ぎゅっと抱きしめると言いづらそうに言葉を放った

「俺たち色々あったじゃん。だから、この先もつき合うってことになると辛いと思う。俺は、椎名さんにひどいことをした。だからつき合ったらイケナイと思うんだ。お互い、大学の生活が始まるじゃんか。そこで俺よりもいい人を見つけるんだ。
この関係も今日で最後。
俺、椎名さんと最後にくっつけて嬉しかった。色々言いたいこと言えてスッキリした。だから、区切りよくここで終わりに………したい」

「…………」

解ってる。つき合ってもきっと辛いんだろうってこと。遠距離なんてしたことない。
それに、あんなに怒鳴った相手をもう一度信用するのも難しい。解ってるのに、本当はどこかで一緒にいたいって思っていて。
けど、彼の言葉は正論だったから受け入れられた。ここでもう終わりにしようって。
最後にたくさん愛しあえて、それで満足じゃないか。

「うん、ここで区切り付けよう。わたしも、ずるずるしていたくないし。えへへ、無理だってわかってたけどちょっと確認してみたかっただーけ!」
私は笑って誤摩化した。寂しい気持ちは溢れてくるけど、でも青山くんから好きっていってもらえて最高にしあわせ。次にいこう。次の恋を探そう

No.165

彼とのセックスはこれまでと違い、優しく気遣ってくれるものだった。大丈夫と声をかけてくれたり、触れるたびに、キスをする。恋人のような触れあい方。これが本当の気持ちが通じ合ったセックスなのかな。
彼のものが中に入る時も、少ししか痛みがなくて、あとは気持ちよかった。優しく愛につつまれて、名前を呼ぶと彼も返してくれる。
「椎名さん……ん、しい……なさん」

その言葉が愛おしくて。手に入れたかった言葉が現実におきていて。それがどうしようもないくらい泣けてくる。嫌い、憎い、死んで欲しい。色んなことを思った相手だけど、結局は好きで好きでたまらない。
愛が憎しみに変わる事がどんなに残酷で悲しいことなのか私は痛いほど思い知った。
今までの彼は、私に対してはっきりわかっていなかったから、少し乱暴に扱ってたけど今は違う。
仕草のひとつひとつが、私を包んでくれる。思ってくれる。

もっと早くにその優しさが欲しかった。
もっと早く、早くその言葉とぬくもりが欲しかったよ。



事が終わり、ベッドで二人はしばらく寄り添っていた。寒かったから服を少し着てくっついていた。
私は彼に甘える。胸に顔をうずめ、ごしごしとこすりつけた。頭を撫でてくれて、額にキスをする。

「ねえ、いつから好きだって気づいたの?」

「うーん。椎名さんに怒られてからかな。その前の俺は、椎名さんのこと好きだったんだろうけど、わかっていなくてさ。いい人だなー落ち着くなって思って気にはなってたんだ。でも、それは友達だからそうゆう気持ちになるんだと思ってさ。鈍感ってよく言われるけど、本当に鈍感だわ俺」

「うん、鈍感すぎ。おかしいよ。自分のこともわかんないなんて」

「そうだよな。気持ち気づいてからは、椎名さんに対して会話するのが申し訳ない気持ちと、嫌われてることわかってたから話さなかった。だから気持ちも言えなかったし伝えても信用してもらえないと思ったんだ。
だから、約束してたこの日まで待っていた」

No.164


どうしてと繰り返す言葉に、彼は優しく抱きしめる。
今までとは違う。全然違う抱きしめる温もり。無理矢理力を込めてるんじゃなくて、そっと包み込んでくれるような感じだった。
こんなにも、違うの?そのぬくもりはとても優しかった。

「嘘でしょ?…なんで、なんで今なの…。私はずっと、あなたを見てきて感じてきた。
あなたから、そんなこと言うなんて…信じられない。」

本当に信じられない。でも、ぬくもりは本物だった。
「あー…俺の好きな匂いだ」

わたしの髪の毛にうずくまる。
その言葉に胸が締め付けられる。嬉しい、悲しい、嬉しい。どうしようもないほどに嬉しい。

「ごめん、こんな時で…椎名さんが好きなのは本当だから。」


「本当…に、好きなの?」

「うん。」

「本当?」

「好きです」

まっすぐな言葉。間を置かずに私に伝えてきた。そして
「椎名さんは??」

「…す……き」

その言葉を聞くと、私に優しいキスをした。フレンチキス。
激しくない、ただ唇を重ねただけの甘いキス。
青山くんが溢れてくる。今まで悪い憑き物につかれた私の心が浄化して、青山くんが好きだった気持ちが蘇ってくる。
フレンチキスを何度も重ね、唇の感触を味わう。そして、舌がそっと入ってくる。
押しては引いて、緩急をつけた舌に身体が求めていた。

いつの間にか重なるように倒れ、二人の世界に入った。

No.163

彼が大きな声を出したからびっくりした。


「椎名さんとくっつきたいって思うのは、椎名さんともう会えないからであって。気持ちの利用じゃない。
俺は、椎名さんと色々あって告白されて、遊んだりイチャイチャしたり、怒ってくれたことをあの日からずっと考えた!

椎名さんとの関わりがなくなった時、初めてわかった。気づいた。
許してくれないこともわかってるし、怒る気持ちもわかって言ってる。俺は本当に気づいたんだ。」

「やめてよ…わけわかんないこと言ってないで、はなしてよ」



必死に押し返すが、彼の抱きしめるチカラのほうが強かった。



「椎名さん、俺…俺さ」


「はなしてよ!」











「俺は、椎名さんが好きなんだ」









「え?いまなんて…」




時間が止まったのか?それとも聞き間違いだったのか。
動揺を隠せない。

「好きなんだ。椎名さん。今まで分からなかった椎名さんに対しての気持ちが、やっと時間かけてわかった。離れて気づいた…。
好きって気持ちがこんな気持ちなんだとわかった」

「どうして?え、なんで、なんで好きなの?は?」


「真っ正面から向かってくれたのは、椎名さんだけだった。
一緒にいて安心してしまう、なんだか楽しくなる。そういう気持ちが前から椎名さんにはあって。
でも、なんなのか分からなくて。ちーちゃんと付き合った時も、椎名さんだけには伝わってほしくなかった。
あれは俺が断れなかったことも悪かったんだ。最終的に押しに負けてしまって、形になってしまったとき、椎名さんのこと考えた。
けど、俺本当に周り見えてなかったから、バカだったから…浮かれてたからノリでそんなことなって……椎名さんがそれで怒鳴った時は、もう後悔しかなくて。
ごめんな」

ぎゅうっと強く抱きしめられる。
放心状態の私から出た言葉は


「どうして…どうして、もっと早く好きって言葉言ってくれなかったの?」

No.162

「お、思い出??」

ちょっとびっくりした。なんだ、いきなり思い出って

「嫌だってこともわかってるし、憎まれてることも知ってる。
けど、もうきっと会えないから…最後に…最後だからくっつきたい」


「はぁ?な、なにそれ。くっつきたいって、セックスてこと?イチャイチャってこと?私言ったじゃん!中途半端に利用しないでって!わかってないじゃん全く」

私は声を荒げた。彼を思い切り睨みつける。

「セックスしたいのはそうだけど…気持ちの利用じゃない。違うんだ、、」

「違うもなにも、青山くんは今まで私に都合のいいようにしてきたじゃん。それで思い出だけほしいなんて、おかしいよ。わけわかんない!
何も変わってないんだね。本当にショック。ありえない。
どうして、わかってくれないの?なんでなの?
だいたい、私がどれだけあんたのことを………っ」



と言いかけた時、彼が抱きしめてきた。




え?なんで?どうして?



「ちょ、やめてよ!いやだ!したくないって!また、利用しないでよ!!」

「話し聞けよ!!まだ途中!」

No.161

そう言うと、彼は少し戸惑った。
「いや、椎名さんにはーいろいろ迷惑かけたし、色んなことがあったなって思って。本当に申し訳なかったておもう」

「……」

「あの後はちーちゃんと別れた…てことぐらい知ってるか。軽率すぎたと思う。ちょっと見えてなかったなと。
椎名さんとは一緒にいて楽しかったんだ。本当に。」

「私も楽しかったよー。楽しかったけど、悲しかったな。私も早く告白すればよかった。」

「なんていったらいいのか、わかないけど、分かったこともあってさ。」

「分かったこと?」

「椎名さんに怒られてから、それなりに落ち込んで…自分の格好とかも少し改めてみたりしてさ。
それと自分の気持ちも改めてみたりした」

「そう、それなら良かったよ。
嬉しい。」

「俺さ、一週間後にここから引っ越すんだ。」

少し心臓が飛び跳ねた

「そっか…。大学県外の奥の方だもんね」

「そうなんだ。それで、寮生活するんだけど、もう荷物はあっちにある程度送っていて。あとは重要なものとか一週間後に持ってたら、こっちに戻ってくるのは長期休みぐらいになる。」

「実家から離れて嬉しいんでしょ?」

「ははっ。まぁ、そうだね、あそこは居心地よくないし。離れたかったしさ。」

「ふーん。じゃあ、もうしばらく青山くんとは会わないってことだね。今日が最後かも。笑」

「そうなる可能性は高い」

嬉しいような、悲しいような。なんだか複雑な気持ちだ。狂わされた人が離れた所にいってくれる。
それだけでも、届かないと思えるから多少踏ん切りも改めてつくわけだ。だから、嬉しいのに。


「あのさ、椎名さん…」

「なに?」

「これからどうしようか…」

「まぁ、もらうものももらったし、話せたし…もう少し話しててもいいけど。だって、もういなくなるんでしょ?」

「うん。だから、本当に勝手なお願いなんだけどさ…」


「ん?」




「椎名さんと最後に思い出がほしい!」

No.160

青山くんと話すのも会うのも久々だった。私は卒業してからすぐ髪の毛を染めて、結構明るい茶髪になった。
化粧も少し濃くなって、アイシャドウとかつけまも濃いものをするようになる。この姿を見て、彼はどう思うんだろう。ギャルとまではいかないけど、前の印象とは確かに違うわたし。


会う当日、とある駅から彼の居るアパートは近かったので、直接くるよう言われた。
道に迷わず、彼の家に着く。アパートはそこまでボロい感じではなく、今風な作りの形をしていた。
二階に上がり青山という表札を確認するとインターホンを鳴らす。

すぐ彼は出てきた。

「どうも。久しぶり。ここまで来てくれてありがとう」

そういって、スリッパを出した。

私は恐る恐る、中に入っていく。叔父と叔母のアパートだから、年季の入った置物がいくつもあった。部屋は比較的綺麗だ。
彼が寝床にしている部屋へ向かう。

座布団の上に座り、彼は隣にやってきた。

しばらく沈黙が続く。何を話していいのか分からない。
すると彼から
「これ、約束のやつ」

小さいポリ袋に入ったボタンを手渡された。あー本当にくれるんだなぁと実感
「ありがと。覚えててくれて。大事にします」

「こんなんでいいのか分からないけど。うん。椎名さん髪の毛染めたんだね。なんか変わった」

「ふふ、でしょ?もう染めてもいいからねぇ。結構気に入ってる」

「卒業して、一ヶ月経つのかー早いな…」

「そうね。ってか、話したいことって何?」

No.159

【外伝】6


大学に入学し、お酒が飲める年齢になってからは、一緒に飲みにいったりもするようになる。何人かで集まっては、たわいのない会話をして昔話に浸って。
だから今後も、付き合いは続くだろう。

でも、当時のいざこざについての話題には一切触れない。触れたくない。
あの時は本当に悲しかったし、ショックだった。私の中ではなかったことにしている。長谷川とも付き合ってなかったんだと思ってる。 長谷川は友達でいいんだ。
これからも友達のままで。
長谷川からもその話はしてこない。だからお互い暗黙の了解なのかもしれない。黒歴史だ。

友達でいたほうがいい関係っていうのは本当にあると思う。
その時のノリと気分で、仲良かった相手と付き合ってしまう人は何人もいるだろう。
けど、その相手を男としてみれるか。セックスできるのか。
そこを考えると、私は長谷川とセックスなんて気持ち悪くてしたくないと思った。
いま考えると、若かったなーと思う。なんとなくの好奇心で突っ走る時代が、高校時代だ。
恋する自分に恋をして、彼氏いた方が充実してる女子高生に見られてさ。だから、必死になって誰かいないか探すんだよ。


でも、時には周りを見ないと危険な道だってこともあるから気をつけて。



Fin




※次回から本編<<152の続きです

No.158

【外伝】5

「椎名も、最近頑張ってるじゃん。結構当たってるし」

実際、調子は良かった。長谷川はなんだかんだで私の方をちゃんと見てたんだなぁと思った。

久々に話したのにも関わらず、前のように淡々と会話んする私たち。小さい頃からの付き合いがあったから、こんな風にまた話せてんのかな?と思う。
あんな嫌な態度をとっていた長谷川はその日を境に消え、普通にまた接する用になった。
なんだかその日以来、すごく嬉しくて部活の楽しみも増えた気がする。


ある日サトウに話しかけられた
「椎名ちゃん…長谷川のやつと仲直りしたの?!?」

「え、あーーうーん。仲直りってことでいいのかな?ごめんとか言われてないけど」

「は?!なんだそりゃ。なんで、なんで今まで喧嘩なかったみたいに接してんの?」

「私もわかんないわ笑
まぁ、ずっと恨んでたら疲れたから私も段々いいやってなってさ。それで、このまえ普通に話しかけたら元に戻ったの。わけわかんないよねー」

「はぁ…?俺もわけわかんねー。
まぁ、お前ら昔からの付き合いだもんな。良かったんじゃねー?」

困ったような表情をしながらも、嬉しそうに言ってくれた。サトウは本当にいいやつだ。気を使ってくれてありがとう。


そして、二年生も終わり三年生へとなった。
最後のクラス替え…
知り合いはいるのかとドキドキして教室に入ると、

「お、椎名じゃん!!」

長谷川の姿がいた

「え?まさか、え、同じクラス?」

「そのまさかだよ笑
びっくりだわーー!中学の時も最後同じクラスだったよね俺ら笑
どんだけだよ」

大笑いしてる長谷川。
確かに中学のときも同じクラスだった。思わずこっちも笑ってしまう。

「また、あんたと一緒かよ。
なんなのさーもぅ」

「しらねーよ!俺だってびっくりだわ。世の中こえーー!」


なんやかんやで、最後まで一緒のクラスで一緒の担任だった長谷川。
一時期は恋愛で縺れてしまったけど、こうやって元に戻れたのも、ちょっとした勇気だった。

No.157

【外伝】4
冬になると、長谷川の憎しみは何故か薄れていた。憎すぎて疲れたというか、もういいやと諦めていたのかなと今は思う。

気軽に話せる異性はやっぱり今まで長谷川だったわけだ。
中途半端な気持ちで長谷川と付き合う自分も悪かったなて思う。だから、今は機会があれば話してもいいかなって。

でも、ただ彼には謝ってほしいなという思いが強かった。
けど彼はプライドが高い。自分から謝ることはまず滅多にないだろう。だから、期待して無駄なのだ。

部活中、たまたま同じ仕事の役割を任された。
彼は私と一緒にいてどんな反応をするのか見ていたら、私の顔を見るなり眉間に皺を寄せ、そっぽを向く。なんだこいつ、逆ギレなのかよ。
少しむかっとした。自分が悪いと思っていないのかな…
いつまで経っても意地を張った態度をしてくる。
なんだかなー。というか、なんで意地を貼るんだろ。よくわかんないわ。


ここまで意地を貼ってる態度見てると、気分が悪い。
本当にガキだなーこいつわ。そんなことを思っていたけど、結局タイミングはない。
彼も私を相変わらず、見るなりそっぽを向く。離任式のこともあるし、とりあえずダメもとで話しかけてみようかなー。と思った。


部活の自主練習の最中。
的に刺さった矢を取りにいく仕事をしていた。そこには後輩数人と私と長谷川がいる。
長谷川が距離を置いて私から少し遠ざかる。あからさますぎて、さすがに心の中で笑った。

的から矢を抜いて、一本ずつ泥をぬぐってから、元の場所に戻す仕事をし終えて、長谷川に声をかけた

「今日寒くて手が動かないわ。あんた今日調子いいね」


すると、長谷川はびっくりしたような嬉しそうな顔をして
「うん、今日はなんだかすげー調子いいんだよな!寒いけど、めっちゃ、矢が当たる。なんだろこれ」

久々に話したのにも関わらず、待ってましたかのように、明るいトーンで話してきた。思わずびっくり。今までの態度はなんだったの?こいつ

No.156

【外伝】3
そんなことを考えながら部活をしていると、長谷川と話すチャンスが何故か増えた。周りに誰もいなかったり、たまたま部活戻るタイミング同じだったり。
でも、私から声をかけるのも悔しい。負けた気がする。

いままで仲良くやってきたあいつと、こんな簡単な会話さえも出来なくなってしまった…と思うとすごく寂しかった。
安易に恋人なんてなるんもんじゃない。友達は友達だ。大切にすれば良かった。


部活以外でも支障が出るようになった。
選択授業で、連絡係になった人に先生の言葉を伝えなきゃいけない機会が何度もあった。
連絡係は隣のクラスに伝えること。私は連絡係で、長谷川も連絡係だった。しかも隣のクラス。最悪だ。

どうしても伝えられないから、あの時は友人に簡単な事情を説明して「喧嘩してるから、話したくないの。代わりに伝えてくれる?」
というと、友人は代行してくれた。
でも、何度も友人に頼るのも気が引ける。迷惑だろうし

そんなこともあったり、中学の別の友人とあったりすると、長谷川に話したくなる現象が頻繁に起きた。

許したわけではない。ただ、元に戻りたいのかも。
普通に…普通の関係に。

No.155

【外伝】2

高校二年生 秋

長谷川と話さなくなったのは5月頃だろうか。秋になっても関わることはない。
部活で任された仕事が、たまに重なるとサトウが気を使って変わってくれたりしたから、部活でも関わらなかった。

そう、これでいい。あいつが所詮体目的と経験目的だったんだ。幼なじみだからといってあんまりにも、ひどい。
ずっとずっと許せないでた。


そんな時、部活の帰り道で久々に中学の友達と遭遇する。
「ゆいー!久々だね!」

中学で仲がよかったアケミだった。久々の再会に思わず声を上げてしまい、抱きしめた。
せっかくなので喫茶店に入って、お茶でもすることしなった。

「あんたきゅーどーやってんの?すごいね!!矢飛ばすんでしょ?ありえねー!」

「最初はそう思ったけど、頑張れば出来るもんだって!」

「すごいねー。あ、確か長谷川も同じ学校で部活も一緒だって聞いたけど?あいつ元気??」

「あ、えっと。うん。元気」

「なんかあったの?」

「いやーそのーー…なんというか、彼高校デビュー?したみたいな。ハハッ!ちょっと浮いてるんだよねーハハッ」

「まじかー?!まぁ、中学ん時はチャラい男子が偉そうにしてたから肩身狭かったんだろーなぁ。
浮いてるってのが残念だね笑」

「そーなんだよねぇーはは…」

「まぁ、仕方ないっしょ。他にも高校デビューして女と遊んでるやつ沢山いるしさー?
あ、そうそう中学の時の体育の斎藤先生が離任しちゃうみたい」

「ええ?!まじで?!ショック…」

「でしょー?だからさ、離任式行こうと思ってんだけど、せっかくなら久々に顔あわせしたいじゃん?長谷川誘っといてくれる?」

「え、?」

「あんた同じ学校なんだし、話す機会あるでしょー?頼むねー。わたしアド知らないの」

アケミはそう言って、私に伝言を託した。NOといえば、噂好きのアケミに不信に思われる。だから、Yesとしか答えられなかった。

とはいっても、あいつに伝えなくても…バレないんじゃない?
と思った。
しかし、斎藤先生という人にはすごくお世話になった。長谷川もすごい仲良かったし、高校合格した時もお祝いしてくれたっけ。
合格報告も長谷川と一緒にいったんだよね。

斎藤先生が好きだって言ってた長谷川のこと考えると伝えなきゃって思った。しかし、絶交中。
話すのも嫌だ。なんだかなーと悩んでしまう。どうしようか

No.154

【外伝】1

長谷川。
私の唯一の異性の親友であり、良き理解者であり、小学校からずっと同じ学校だった幼なじみだ。

彼とは高校も一緒で部活も同じ。どんだけ繋がってるんだとお互い笑あった日々を思い出す。
それが突然変わってしまった。

高校二年生の時、長谷川と一緒にお昼ご飯を食べて長いこと話しているうちに、いい雰囲気になって、付き合うことになった。
その時の私は、気まぐれ半分好きだから半分。
なんだかもやっとした始まりだった。青山くんとも進展ないし、クラスもうまくいかない。そんな時、長谷川はちゃんと話を聞いてくれて心の拠り所であった。


しかし、この関係も長くは続かない。青山くんへの思いと、長谷川を恋人して思えないこと。長谷川とは友達に戻りたい。恋人ではない、幼なじみだと気づいたとき、彼が無理矢理襲ってきた。

それが怖くて逃げ出した。それ以来一切話していない。


絶交状態の彼と、実はこんなやりとりがあった…

No.153

【お知らせ】

いつも読んで頂きありがとうございます。皆さんには感謝感謝です!
物語もいよいよクライマックスです。年内の更新はここまでとさせて頂きます。

予定していたお正月限定の外伝企画ですが、内容を変更します。
最初は青山くんとのお正月の思い出話を予定してましたが、イマイチ盛り上がらない内容になりそうなので止めましたwそこで皆さんの記憶に残っているかわかりませんが「長谷川」の話に変更します。
長谷川とは幼なじみだったけど、恋人関係になったら絶交してしまった人です。思い出しましたか?


「長谷川とのその後」
が実はありまして、本編には書きませんでした。絶交してしまった長谷川と、実はこんなことになっていた!?という内容にしますのでよろしくお願いします。

ではよいお年を^^

No.152

連絡は後日してくれるそうだ。彼が言いたいことってなんだろう。謝りたいとか?いまさら何言ってんだばーかとも思ったけど、反省して謝ってくれるなら気持ちはいい。何を話すかわからないけど、これで最後だ。

彼は県外の大学へ進学が決まっている。進学先は多分一人暮らしか寮生活になるだろう。
だから、今後一切関わることがないのだ。それもあって、ちゃんと最後ぐらいは話したいとも思った。






そして彼から連絡がくる。

日程は一ヶ月後。場所はレストラン………ではなく、アパートだ。


「え?なんでアパートなの?誰のアパートよ。」私は問う。

「ゆっくり話すにはアパートがいいと思ってさ。叔父のなんだけど、寮生活これからするのもあって貸してくれたんだ。しばらく実家から離れて暮らす」

「そうなんだ。まあ、確かにゆっくりはできるけど…」

「レストランでこの話聞かれたくないんだ。って思わない?誰かが鉢合わせても嫌だしさ…」

「んーわかってると思うけど、変な事すんなよ。それが条件」

「わかってます…。」


一度活はいれた相手だ。馬鹿じゃないかぎり、手出しはしないだろう。
これが最終決戦。最初で最後の甘酸っぱい恋物語。

三年間の片思いの末に待っていた結末とは…

No.151

<卒業式>

教室では写真撮影大会。いろんなところでカメラの音が響きわたる。
その中には有名大学に合格した人もいれば、浪人してもう一度頑張る人もいるし、公務員になる子もいる。それぞれが道を決めて人生最後の制服を楽しんでいた。

担任の先生とも最後。顧問の先生もしばらく会わないだろう。だからたくさんの人と写真を撮った。
卒業式で代表が御礼の言葉を述べるとき、色んなところから鳴き声が聞こえた。わたしももちろん泣いていた。いままでのこと思い返すと、きりがないくらに高校は楽しかった。人がたくさんいて、つきあいも難しかったけど、それでも楽しかったと最後は思える。この高校に入学できて良かったと思った。

卒業式が終わると、弓道部は伝統なのか毎年渡り廊下に集合して、後輩からお祝いをもらう行事があった。
後輩たちからお祝いの品をもらう。一番かわいがった後輩からのプレゼントはすごく嬉しかった。
そこには久しぶりに三年生が集まった姿が見れて、もうこうやって集まることもほぼないんだろうと思うと悲しい。そこにはもちろん青山くんもいる。

恒例の行事が一段落した所で、自由時間になった。後輩と別れを惜しむ人や写真を撮る人。
わたしは、後輩と触れあう前に確認しなければいけないことがある。
久しぶりに彼に話す事だ。もう、これで最後だ。終わりにしよう。緊張はしたけど、まっすぐ彼の所に言って話しかけた。


「……ねえ、ボタンのこと…覚えてる?」

彼はちゃんと顔をみて話し手くれた。
「うん、覚えてます。あのさ……」

「ん?なに」

「ちゃんとゆっくり話したいんだ、椎名さんと。今までの事とか色々話たいんだよ。
だから、後日でもいいですか?」

彼からの思わぬ提案に驚いた。ゆっくり話したいなんて彼から言うんだ…。少し嬉しかった。

「いいけど。わたしも最後だし、そのぐらいの時間ならとれるよ」

「うん、ありがと……。」

彼は伝え終わると少し安心した顔をして、去っていった。

No.150

後日…………


サトミから何故かすごく謝られた。彼女は事実を知らなかったわけだし悪いことなんてないのに、責任をかんじているようだ。何度も大丈夫と伝えたが、サトミはすごく反省している。少しめんどくさいことに巻き込んでしまったのかも…。

ちーちゃんのネット上のリアル(今で言うツイッター)をサトミから教えてもらって見たら、
どうやら別れたようだ。ちーちゃんには申し訳ないけど、彼には反省してもらわないと困る。それにしても、私が怒ってからすごいスピードで別れたな。彼にとってちーちゃんは、気まぐれだったんだと思った。


私は彼に本音をぶつけてから、いつもより明るくなって、受験勉強も集中できるようになった。
だから11月の推薦入試に合格することができたのだ。モヤモヤが消えると、こんなに頑張れるんだと実感した。


青山くんはというと、廊下ですれ違う限り、前のような落ち着いた格好と髪型に戻っていった。
昔の青山くんを思い出す。でも、もう彼はいない。私の中では死んだようなもの。以前のように関わる事もなくなったし、帰り道自転車で同じになっても無言で通り過ぎていく。
むしろ、彼を見るだけで心臓が痛かった。恐い感情が溢れてくる。関わったらまた嫌な思いをする…そんな重いがよぎって気分が悪くなる。前よりも道を変えたりして、なるべく彼を避けて帰ったりした。





いつのまにか季節も2月。あと一ヶ月で卒業だ。
友人を連れて、久しぶりに弓道場を訪れた。懐かしいかけ声が聞こえる。
的に矢が突き刺さる音、風が吹き抜ける音、弓がしなる音。
ここで全てが始まった。青山くんを追いかけたあの日々が頭をよぎる。彼が弓を持つ姿をいつも見ていた。
袴姿で弓道している姿はとてもかっこよくて、すごくドキドキしたな。

いつも座っていた所で座ってみる。右を向くと男子の連中がいて、その中に彼が佇んでいた。
一人で遠くのほうを見つめる彼。時には的ばかり見ていて、こっち向かないかなーと期待したこともある。
今では、後輩達がその場所を占領している。もう、わたしたちはいない。
彼もいない。でもここに来ると、みんな居るような気がして、声が聞こえてくる。
男子の声、女子の声、笑い声、怒る声。その中に青山くんの声もあった。
もっと、ああすればよかったとか後悔しても戻ってこない。彼のことは恨んでる。嫌いだ。

でも、なんでかわかんないけど、
たまに彼の声が聞こえるんだ。もちろん、私の近くにいるわけでもない。学校にいるとき、お弁当食べてるとき。どうでもいい時間に彼の声がよぎる




『椎名さん』


馬鹿みたい。未練がまだ残ってる自分がすごく悔しい。

No.149

「私ね、一年生の時から思ってたんだけどさ。青山くんの第二ボタンが欲しい。」


「え?おれの?怒ってるのに?」

「そりゃ、許さないし嫌いだし。でも、第二ボタンをもらうのが密かな夢だった。好きな人ができたら、卒業式にもらいに行くってね。こんなに怒鳴りつけたあげくに、お願いするのも馬鹿げてるよね。わかってる。
でも、後悔したくないから。だから、あなたの第二ボタンを卒業式に下さい。」

「……………」

青山くんは困ったように首をかしげた。
「椎名さんは……優しいんだな。俺のなんかでよければ、あげるよ。」

「約束だよ。忘れたら絶対に許さないから!絶対に」

「忘れないよ。卒業したら、椎名さんに渡す。約束はちゃんと守るから。」

「……うん。ありがとう。嬉しい。じゃあ、もう卒業式までさよならだね。」


もう伝えることはない。これから卒業式まで一切関わらない。わたしの好きな人。大切におもってきた人。
さようなら。もう二度と戻ってこない青春。


「じゃあ。来てくれて、ありがとう。もう、言いたい事はないから。青山くんは何かある?」

「俺は‥‥ちゃんとはっきりさせる。約束は破らないから。
だから……ごめんなさい。ごめんなさい。」

「うん。また卒業式で。さようなら」

私は自転車にまたがり、その場を離れた。少し距離が遠くなってから後ろを振り返ると、自転車にまたがったまま、俯せになり頭をかかえた青山くんが見えた。
罪悪感と達成感で複雑な気持ちだ。少しは、反省して悩むといい。


気分は軽かった。嘘のように心はすっきりした。

No.148

青山くんは倒れた自転車を直した。ハンドルを強く握りながら、私にこう言う
「悪かった。本当に、本当に申し訳ないことをした。謝罪しても、許してくれないことは解ってる。
俺は、自分の気持ちがわからない。ちーちゃんより、椎名さんのほうが大切だってことは嘘じゃないんだ。
好きとか、そういう感情がよくわからない。俺にはわかんないんだ。」

そのまま顔を下にむけて、深いため息をつく。
「青山くんは、どうするの。ちーちゃんのこと」

「………」

「流れでつき合った、浮気をした、別に好きでもない相手に対して、いつまでごっこ遊びしてるの?
ごっこ遊びも、私だけにして。今のあなたには、何もわからないだろし、傷が浅ければ人はまた立ち直れる。」

「………うん。」

「もう、わたしのような人を作らないで。せめてもの…願いだから。片思いして裏切られることは、ご飯が喉に通らないぐらい辛いんだよ。
あと、自分では自覚してないようだから関係ないけどこれも伝えておく」

一呼吸置いてから、私は彼にこう言った。


「自分が気分屋で、その性格でどれだけの人が嫌な思いしたのか知らないでしょ?」

「…え?なにそれ」

「青山くん、日によってさ、態度違いすぎるんだよ。部活の男子が距離を置いてたの何故か知ってる?それが原因だからだよ?なんで、自分の気分で態度が毎回違うの?みんな怖がってたし、それで嫌いになった人もいた。青山くんさ…わたし、本当に変わっちゃったて思うの。
花崎くんと一緒に行動してから、影響受けたのか知らんけどチャラい格好して…部活の仲間にも挨拶しないで…。色々後ろめたい言葉が、青山くんに集まってる。気分屋なのはよくない。それから、あなたの今の学校のスタイルは…似合わない。青山くんらしくない。」

「部活メンバーって、皆そうゆう風に思ってるの?」

「皆には聞いてない。けど、男子からも女子からも聞いた。何回も何回も。どうせ誰も言わないだろうから、この際伝えておいた方がいいと思って。もっと周りを見た方がいいよ…。それだけ。
チャラく生きたいなら止めはしない。でもね、昔のほうが青山くん楽しそうだった。その時に戻ったらいいなって。勝手に思ってます。」

本当に勝手な思いだ。おせっかいだ。どうせ嫌われるなら、今まで思ったこと言っても恐くない。
彼には花崎の影響を受ける前に戻って欲しかった。
その言葉がを聞いてから、彼は自転車によりかかるように、顔を伏せた。ショックだったのか、それとも思い返しているのか。

「こんなにも憎いのに、わたしは青山くんが好きだった。きっとしばらくは好きな気持ちは消えない。
けど、もう辛いから話す事はこれからないでしょう。一緒の授業になっても話さないし関わらない。」

「うん、いいよ……俺は。なにも言う権利はない」

「だからこれが最後に話す事になるかも。わたしね、夢があったんだ」

「‥‥ゆめ?」

これは今まで作中でも書かなかったことだ。密かに思ってきた夢だったから隠していた。
もう関わる事が今後なくなるなら、これを伝えて終わりにしたかった。この夢は高校1年の時からの夢だったから。

No.147

「………もう……いやだよ。あんたなんて好きにならなきゃ良かったんだよ。」
我慢していた涙があふれる。今まで、彼の前で全然見せなかった涙が一気にあふれてきた。

「好きにならなきゃ‥よかったのに。好きだから、止められなかった。求めてくれることが嬉しくて。一緒にいることが幸せで。けれど、あなたは遠いところを見ていて。
きっと好きじゃないんだろうなってことも、わかって‥‥いたのに。あなたが、誰かと交際してる話を聞いたら許せなくて。誰かを裏切るような関係だったてことも…嫌で…。………っ。うう‥‥。
あなたはいつも曖昧で辛かったよ。片思いは辛いよ‥。あなたは、少なくとも2人の人を裏切った。
ちーちゃん、いつか別れるだろうから適当に恋人関係になって、その間私とセックスをした。
そして椎名ゆい。あなたは気持ちを知っていたのに、体を触る、求めることをしてきた。勘違いさせた。そして、めんどくさい関係に巻き込まれた」

彼はずっと下を向いたまま、なにも言わなかった。

「私もね、悪かったんだ。駄目だったんだよ。つき合ってもいないのに、勝手に舞い上がって勘違いしてさ。
そして勝手に恨む。ちょっと理性があれば、こんなことならなかったのに。ガキだよ本当に」

「椎名さんは悪くない‥‥全て、俺がしたことだ。ちーちゃんにも、申し訳ないことをした。
本当に、俺が全部いけないんだ」

「私にも非はあるんだ。告白したら潔く身を引けばよかったんだ。
でもね、もう部活もなくなって青山くんに会えないかもって思ったら寂しくて。せめてすごく仲のいい友だちでいたかった。だから、遊びに誘ったの。
でも一線超えてしまったから、友だちには戻れない。それに、あなたのこと、もう好きになれない。すごく憎いから。本当は友だちでいたかった。仲良くまた一緒に‥‥‥一緒に‥‥‥」




走馬灯のように、今までの事が流れ込んでくる。一緒に電車に乗って帰ったこと、バスに乗って雑談してたこと、ディズニー行ったこと、ゲームしたこと、部活のこと。あなたの背中をいつも必死でおいかけたあの時代が巡る。




「………仲良くまた一緒に帰りたかったよ…。」


ただそれだけだ。それだけあれば、私は幸せだった。楽しみが帰り道だったから。部活だったから。
友だちでいて、いつの日か私のこと本当に好きになってくれたらそれで良かったんだ。
もう、一緒に帰れない。あの日には戻れない。

No.146

私は今まで人に対してぶちぎれたことは何回あるだろう。あっても、友だちに文句をきいてもらうか、小学生のときは本人に対してぶつかったけど。
でも、こんなに憎いほどの怒りを相手にぶつけたのは初めてだった。

唖然とする青山くん。それを睨む私。
「なにかと言えば、違うとかそんなこと思ってないとか……言い訳ばっかでなんなんだよ!反省しろよ!わたしは、わたしはあんたのおもちゃとして生まれたんじゃないの!!!」

「……おもちゃって、思ってないから」

「おもちゃじゃない……?都合のいいように体を触ってきて、快楽を求めて…あなたが好きだから抵抗しなかったんだよ。それなのに、悪い事だってことも解っていたけど、あなたは!何もわかってくれない。いつも苦しんで悩むのは私だけ。好きな気持ちわかるわけないよね。人の気持ち踏みにじるのは、楽しかったかい?」

「だから、そんなこと……」

「ちゃんと一人の人間として、青山くんが大好きだったのに!性的なことだけ求めていつも終了してたじゃない!利用しないでよ!私の恋心を勝手に利用すんな馬鹿!!!あんたにこんな事されるために、生まれてきたんじゃない。私にはちゃんと家族がいて、支えてくれて…人形じゃないんだよ……。屈辱だよ…。」

「じゃあ、椎名さんは!どうしてほしいんだよ?」

「謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ!」

「謝ってるじゃないか!他に何を求めるんだ。こんな言い争いしても決着がつかない。俺が全部悪かったんだ。俺が、なんもしないでいれば良かった。それだけだ」

「自分が全部悪かった、はいそうですねって終わらせねえよ!逃げんな!話を聞け!!!」

彼は顔を下に向ける。深いため息をついて、明らかに動揺しまくっている。
「聞いてるよ‥‥いつまでこんな話するんだ」

「………もう……いやだよ。あんたなんて好きにならなきゃ良かったんだよ。」
我慢していた涙があふれる。今まで、彼の前で全然見せなかった涙が一気にあふれてきた。

No.145


「俺も…椎名さんとこうなると思わなかったよ。一緒にいて楽しい人だったから。俺もわかんない。けど、ちーちゃんとはつき合っていることになってるけど、椎名さんの方が、大事だと……思ってる」

「つき合ってることって何?あなたは、好きでもない人と恋人ごっこしてるの?なんでそんなことするの?彼女はあなたのことが好きで告白したんでしょ?それをつき合ってるつもりないとか、本当に気持ち利用してるよね?違うの?」

私は睨みつけた。強い口調で言葉を放つ。彼は下を向いて、めんどくさそうに頭をかいている

「はは…めんどくさいよねこの状況。でもはっきりさせたいから呼んだの。嫌いになってもいいよ私のこと。人の気持ち利用して‥‥あんたは楽しかった?」

「おれは、利用してない。椎名さんのこと、そんな風に思ったこと‥‥」

「じゃあ、どうして体に触れたりしたの?好きだってこと知ってて、近づいたんでしょ?いい餌だったんじゃないの?私はいままで何回も好きだって伝えてきた。けど、あなたは、曖昧に濁した言葉で返す!辛いよ。好きになってる自分が。利用されてるんだとわかった辛さが」

「ちーちゃんのことは、そのうち自然になくなるか‥‥どうせ卒業するんだし。椎名さんは本当に……なんというか……俺、恋愛わかんないから。好きとか愛とか。けど、椎名さんは特別な存在だったてのは嘘じゃないんだよ。」







<ガッシャーーーーーン!!!!!!!!!!!>






からからと、自転車の車輪がむなしく回る。彼の自転車が蹴り飛ばされ横になった。
曖昧な表現に怒りが爆発して、今まで人に対して怒ったり怒鳴ったりしなかった私が、喉の奥から声をだした










「おまえ、調子のってんのもいいかげんいしろよ!!!わけわかんねえんだよ!!!!!!」

No.144

土曜日の夕方5時頃。とある公園で待ち合わせをしていた。私は先に自転車で着いていて、ベンチに腰掛けて待っている。寒い。今日は天気も悪いから、秋なのにすごく肌寒い。

見慣れた自転車が向こうから来た。青山くんだ。ベンチの近くに自転車を止めると、私のほうに近づいてきた。「おまたせ。」彼は不機嫌だ。なんでわざわざ、こんなことしなきゃならないんだというような顔をしている。嫌々わたしに話しかけてるのがすぐわかった。

わたしはベンチから立ち上がり、彼の正面に立つ。
「ごめんね今日は。急に呼び出して。ありがとう。今日はね、聞きたい事があって呼んだの」

「うん、なに??用件は」

「青山くんさ、ちーちゃんとつき合ってるんだね」










その言葉を聞いた彼は顔が引きつった。10秒ぐらい間が空いてから、うんと返事をした。
「‥‥それ‥‥誰から聞いた?」
彼はよほど知られたくなかったらしい。凄い目つきで睨んできた

「後輩と仲がいい友だちだよ。だってちーちゃん、色んな人に言ってるみたいだよ?隠したかったみたいだけど、残念だね。彼女はおしゃべりみたいだから。」

「‥‥‥‥あいつ」
チッと舌うちをした。


「そのことに関して聞きたいのと、夏休みのことで聞きたいから呼んだの。
わけわかんないかもしんないけど、もうはっきりさせたいから。ちーちゃんとつき合ってもう一ヶ月経つみたいだけど、その間になんで私と会ったの?」

「それはー誘ってくれたからさ」

「そうだね、私が誘った。けど、なんでセックスまでしてくれたの?彼女がいるのになんで?私はいつ、ダッチワイフになったの?」

「ワイフだなんて、そんなこと思ってない!」

「でもそうなるじゃん。今までのこと考えると。体を求めてきたよね?嬉しかったよ。青山くんが少しでもすきになってくれたんじゃないかなって。けど、あなたはいつも自分だけ満足してて、わたしの気持ちを知りながら利用してたとしか思えない」

「気持ちを利用したつもりはない‥」

「じゃあ、なんでちーちゃんとつきあったの?好きだったの?」
私は彼に歩み寄る。近づいて顔をみようとするが、彼は後ずさる。


「あれは、文化祭終わってから、あの子にすごいメールされて。告白が何度もあったというか。それに、カワシマの妹もあったし、断るとカワシマにも迷惑かかるっつーか。断れなくて。
でも、どうせもうすぐ卒業するし、ちーちゃんとつきあってるという状況でもいづれは終わるわけだ。だから、告白してつき合ってはいるけど、俺はそこまで本気になってない。
なに、椎名さんは俺とちーちゃんがつき合ったことに怒ってんの?」

「まあ、否定はできないよ。悔しいのは確かだもん。でもね、それ以上に浮気相手のように扱われたのが、私はショックなわけ。わたし、浮気相手なんてなりたくなかったんだよ?」

「浮気って……俺は、押されまくって断れない状況で恋人という形になってしまった。
ちーちゃんとは、デートに一度行っただけで、椎名さんとしたようなことはしてないから」

「でもわたし、恋人じゃなかったよ?彼女でもなかったんだよ?そんな相手に、どうしてそんなこと言えるの?あんたおかしいんじゃないの?」

No.143

私は彼にメールをした。

『いきなりでごめん、土曜日の夕方空いてる?ちょっと直接会いたい用事があって』

<<青山くん
『その日予備校だけど、夕方だったら終わってるからおK。話したいことってなに?』

<<わたし
『メールで話すと長いし、お互いめんどくさいと思うから会って話したいんだ。だから今は言えない。』

<<青山くん
『‥‥わかった。そうゆう内容なら別にいいけど。そんなに時間掛からない感じ?』

<<わたし
『多分ね。そこまでかからないよ。忙しいと思うけど、お願いします。』

<<青山くん
『了解~。当日また連絡しますね』


これでいいんだ。全て、全て伝えよう今までの気持ち。もう疲れたから。
さようなら、わたしの青春。もう、かえってこない青春。

No.142

ここまでくると、そうだとしか言えないじゃん。涙と言葉が次々に漏れる。

好きの感情が怒りに変わり、私の中で爆発した。
部屋にあった赤いボールペンでコピー用紙一枚分びっしりと彼の名前を書いた。





<青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山>







その紙をカッターで切り刻む。文字は砕かれ、彼の思いも引き裂かれ、青山という存在を消し去りたいという願望がわいてきた。ひたすら切り刻む。細かくなった破片は私の涙でふやけていった。
馬鹿げている。こんなことしても戻らないのに。目の前で切り刻まれる文字が、快感すら覚えた。


「青山く…ん、なんでなんで。なんでどうして。私はなんだったのよ!なんでよ!わかんない。わかんないよ!!!!」




こんなことになりたくなかった。なんでどうして?青山くんと2ショットで写った写真を引き出しから取り出し、手で引き裂いた。彼の顔は一瞬で崩れる。私の笑顔も一緒に。


私はこのままにしておくつもりはなかった。彼に伝えないと気が済まない、むしろ言わないといけない使命感が私を襲っていた。嫌われてもいい。もう、好きにならなくてい。ただ、私の屈辱と憎しみを彼に伝えたい。

このまま何も知らずにわらって過ごしてるなんて絶対に許さない。

No.141

青山くんが触れなければ、私はこんなに苦しまなくて済んだんだ。告白して、あのとき借りたワイシャツさえなければ、こんなことなかったかもしれない。帰り際に抱きしめることなんてしなければ、あなたを忘れられたかも知れない。

そもそも、私が「もっとお話ししたい」て言わなければよかったんだ。



初めて公園で二人になった帰り際、抱きしめられて期待した。そしてそんなことが二度も。きっと私のこと好きなんだと。思った。家に行った時も、もっと仲良くなれればいいと思った。
まさか襲われるなんて考えなかった。そんな曖昧な関係が続き、私の欲求も高まっていくなか、彼は自分だけ満足できれば私のことなんて考えてくれないような行動をとった。


文化祭という舞台でヒーローのように騒がれる彼を見て辛かった。自分だけの彼にしておきたい、魅力を知ってほしくない。辛いという気持ちが、私を痛めつける。せめて、繋がりたい。そう思った。夏休みにエッチをしようとしたが、失敗に終わり、その日からいつになったらしてくれるのか期待してた。でも彼はアクションを起こさない。

寂しかった。襲われると期待してたら、そんな展開なかったから寂しかった。体はうずいていたのに。
生殺しになれた体を埋めて欲しい。埋めてくれたら、君を忘れよう。もう、ここまできたらどうにもならないよね。なんの手段もない。だったら抱いてほしい。それで終わればいいや。



そして悲劇はおこった。




彼は受験を理由にして告白を断ったのに、どうしてちーちゃんは良かったの?
文化祭で頭がお花畑になってたのかな?なんで、浮気相手にされたのかな。
私ね、浮気したくないし、浮気相手にもされたくないって昔から考えていたんだ。それが、破られたよ。

正直ちーちゃんはどうでもいいんだ。むしろ憎いぐらいで。でもね、だからって浮気相手になりたくなかったよ。
結局なんだったんだろうか。私は性欲処理の人形だってこと?笑わせないで。
じゃあなんで「大切だから」っていったんだ?貴重な性欲処理だったから?もう嫌だ。
好きな人からそんな風に思われるのは屈辱。もう、さんざんだよ


私も悪かった。あきらめが悪かった。途中で、気づいて理性を取り戻せばよかっただけの話。
できなかったのは、彼が近づいてくるから。大好きな彼が、甘い誘惑をくれるから。断れないし、誘われてしまうでいいように流された。子供だよ本当に。積極的になりすぎたと思う。
自分の悪い所もわかってる。


けど、あいつはどうなんだ?何も知らないで笑って過ごすのかな。そのままちーちゃんと付き合い続けるの?冗談じゃない。私がいままでどんな気持ちで、貴方に接してきたのか知らないよね。
事実を知らないまま、終わらせたくない。
どうしてこんなことしなのって。好きな気持ちを利用してたんでしょ?
わかりたくないし、認めたくない。

No.140

のの子にすべてを話した。夏休みのこと、文化祭後のこと。そして、彼のこと。
のの子は怒りで表情が崩れている。

「ちょっと、それはないよ。調子のりすぎだろあの根暗。ふざけんなよ。サトウに頼んで、悪い目に……」

「それは……やめて。私が関係もったことを、部活に知られるのは避けたいから」

「あ、だよね。あんまよろしくない話題だもんね。もう、あいつは腐った」

「わたし…………死ぬのかな」

「はあ?なにいってんの!?あんなやつの為に死ぬなんていうな!あんなの人としておかしいから。そんなこと思わないの」

「わたしね、わかってたよ。叶わないかもって。頑張っても無理だろうって。このまま変な関係続いてもいけんって。でも、微かな望みにかけたら、これだよ。
もう………やだなあ。恋したくない」


涙が止まらない。のの子は私の体を撫でてくれた。次の授業は出られそうにないから、保健室で休むことにした。メールで、花代に伝える。

【青山くんが取られちゃった。わたし、なんだったんだろうな】

すると、すぐ返信が帰ってきて【いまどこにいんの?!!】

保健室というと、すぐに駆けつけた。幸い、保健室の先生は生徒の事情には首をつっこまないで見守ってくれる人だったので、面会が許可された。
花代にも全てを話す。話してる間も涙が止まらなくて、何度も中断した。花代もいつの間にか泣いていた。

「な、なんであんたが泣くの?」

「……だって、あんまりじゃん。ゆいは頑張ってたのに、知ってたから。彼の行動は許せないし、悔しい」

「ばか、泣かないでよ‥‥あんたには、ちゃんと彼氏いんだから。」

「でも‥‥‥ひどいよ」

一生分泣いた気がする。泣いた後の空はぼやけて、よく見えなかった。
視界もぼやぼや。このまま信号渡ったら死ぬのかなって。そんなことも考えたり。私は抜け殻になった。
私が死んだら、彼は悲しんでくれるのかな?その原因が私だったら、どんな風に落ち込んでくれるのかな。
このまま死んでしまったら、あなたはこの先どう生きてくんでしょうか。





「どうして、こんなことしたの?青山くん」

No.139



「ちょっと、ねーーゆい??聞いてる?大丈夫?驚きすぎた?大丈夫、皆驚いてるから!」

「いや、そうじゃなくて」

「え、なに?」

「あの、いや、わたし、その」

「え………………。ゆい、もしかして、青山くんのこと……すき……だった?」


「ちがうよ!そんな、そんなことないから。ちがうから」

そうは言ってるが、涙があふれてきた。サトミは察して、慌てて私をなだめようとする。
「ゆい!ごめん、わたし、余計なこと……」

「いや、むしろ、真実が知れて嬉しかったから、いいの。きにしないで」

「そんなこと言われても!ゆい、本当にごめん!どうしよ,,」

「サトミが落ち込む必要ないから」

「でも……ゆいのこと……」

「傷つけたのは青山だから」



チャイムが鳴った。授業が終わり、教室から人が出て行く。
「ごめん、サトミ。本当にありがとう。ごめんね、こんな姿みせて。じゃあね。あとで連絡するから」

「ゆい!あ、ごめん………」

サトミの罪悪感溢れる顔が辛かったが、私は走り出した。廊下を駆け抜ける。
廊下にのの子の姿を見た。


「ん、あーーゆいじゃん。おっはよ……ってうわ!!」

胸に飛び込んだ。私はのの子の胸に顔をうずめ、大泣きしながら声を出す


「あ、あ、、、あのね、、」

「どうしたのゆい!ちょっと待って。」

彼女は私の腕を引っぱり、人気のいないとこに連れていってくれた

「ゆい、ゆっくり話して。どうしたの?」

「う、裏切られてしまったよ………彼に………。彼に………。彼がね…………ヒック、あ、、」

「え、ちょっと、まって、え?どうしたの?!」

涙が止まらない。心が痛い、頭も痛い。苦しい、言葉にするのが辛い。

「青山くんが……取られちゃったよ……う、ああああああああああ!!!!!!!!!
ひどい、ひどいよこんなの。ひどい……あああ………わたし、浮気相手なんて……なりたくなかったのに」



のの子は絶句している。なにも言葉が出ない。ただ、私を強く抱きしめてくれた。

No.138

ちーちゃんは、同じ学年のカワシマくんの妹で、兄弟で同じ部活に所属していた。ちーちゃんは入学して間もない時から、先輩を狙って速効つきあっていた。一部でも話題になってたほどだ。
劇を見て、ちーちゃんは昔から気になってた青山くんに完全に惚れる。そこで、兄からメアドを聞き、その日に連絡。そして彼女告白。告白手段は不明。ちーちゃんは彼からこう言われたそうだ。

「この件は、3年生に絶対ばらすな。兄にもだ。それが条件だ」

といったそうだ。
でも、おしゃべりな彼女は仲間に結果報告を言いまくる。その中のひとりが、サトミと仲がいい後輩で、そこから漏れたそうだ。
この件については、彼女の友人とサトミ、私ぐらいしかしらないらしい。サトミは他の3年女子にまだ伝えてないそうだ。

サトミはちーちゃんと青山くんが会ってるのを見ていた。
ちーちゃんが、調理実習で作ったお菓しを彼に渡している所。密会しているとこ。
何度か目撃していたから、その情報はデマではないとわかる。
「ちーちゃんも、あいつのどこがいいんだろうね?わかんないなー。青山の奴も兄にばれたくなからって、そんなこと言うなんてねww 文化祭終わってから調子のりすぎ。」

そして、ちーちゃんは彼とつきあってもうすぐ一ヶ月になるということ。




私が彼とエッチしたのは文化祭が終わって二週間後のことだ。


つまり、そのとき既に彼は、浮気をしたことになる。
そして私も巻き込まれた。そう、”浮気相手”とされた。

No.137

文化祭が終わってから約一ヶ月ちょっとをすぎようとしてた時、選択の授業が自習になった。
私は、部活で一緒だったサトミという子と談笑していた。

「サトミは最近どー?」

「文化祭がほら、劇だったじゃん?大盛況で嬉しかったのと、あれからクラスの人と仲良くなれたんだー。気になる人もできたし!」

サトミはそーいえば青山くんと一緒のクラスだったけ。彼女は装飾を担当していた。
サトミは私が彼を好きなことは知らない。サトミはむしろ、彼のことを昔から嫌いと言っていた。

「青山くんがさ、主役だったじゃん?あれから、彼はクラスでも結構目立つような存在になってて。本当うざい。やだ。」

「そこまで人気者なの?」

「なんか、一部の男好きの女子が騒いでるだけ。ほら、花崎の周りってコミュ力高い男多いじゃん?だから女子とも仲いいの。でも青山くんは人見知りだから、あんま女子と話してなかったけど、今絶好調だから調子のってる。うざーー」

胸の奥にしまっていた恋愛感情が蘇る。ちくちくと指す嫉妬の痛み。もう、好きになりたくないのに。やっぱり好きなんじゃん私。

サトミは急に目を丸くして、何かを思い出したように私に顔を近づける。
「そうだ、ゆい!そうそう!思いだしたわ。すごい話きいたんだよ。マジ話なんだけどね」

内緒話だったから、二人で机にうつぶせになり顔を近づける
「なになに?!どーーしたの?」

「ふふ、びっくりしちゃったわ。青山のやつ、ありえねーー。」

ドキッと心臓がびっくりする

「…………え?彼が?どうしたの・・」

「あいつさ、彼女いるの知ってた?」

「え、え???何それ、いつの話よw」

「一ヶ月前かなー。そうそうちょうど一ヶ月前かも。聞いたマジ話。青山の奴に彼女できたって」



それって…………もしかして………わたしのこと……???どうゆうことなんだ




「相手がさ、一年のちーちゃん!あの、小さくて先輩好きの子だよーー。ありえないわ」













え?ちーちゃん???


私の心臓が止まりそうな勢いで脈をうった





「文化祭終わってから、速効つきあったんだって!ほら、ちーちゃんてさ、うちの学年のカワシマの兄弟じゃん?カワシマの妹彼女にするとか、頭大丈夫かよってねww」


「………どうして?う、うそ」

「嘘だと思うじゃん?でも私、後輩から聞いたからマジ情報なんだわ。びっくりしたよ。ちーちゃんから告白したみたいだけど、なんか青山は周りにばればいように誰にも言うなっていったんだってさ。でね……」


サトミの言う事をまとめるとこうだ

No.136

【お知らせ】

いつも読んで下さり、ありがとございます。主です。
年末年始が迫ってまいりました。お正月はどんなことをしますか?主はまだ未定です。多分羽を伸ばしてます。

気が早いですが、年明けに「外伝」を更新します。
年明けぐらいは、明るい話題を書きたいと思いまして、考えました。
内容は青山くんとの正月の思い出話です。時期的には、高校1年と2年のときになりますね。明るくて純粋な話になると思うので、帰省先やこたつの中で読んで頂ければ嬉しいです。

〜あらすじ〜
彼に年賀状を出そうか出さないか迷う主人公ゆい。そんなん出しちゃえよ!という友人の応援で年賀状を描こうとするが、何を書いていいのかわからない!
それにあけおめメールも送らないといけない!両方送るのってうざい?迷惑?
悶々と考えたゆいは、出そうと色々工夫する。すると…………!?




面白いか解りませんが、正月には最適な内容にはなりますので。
これからもよろしくお願いします。では!

No.135

エッチが終わってから、彼の部屋で雑談していた。
久しぶりに彼とたくさん会話したこともあり、すごく盛り上がった。そうそう、こうやって一緒に話しているとすごく幸せなんだよ。それに楽しい。だから好きになった。部活がなくなってから、そうゆう機会もなくなってだんだん離れていくのが恐かった。

だから、友だちで仲良くしたいって夏休みに会ったんだ。全てはそこだった。
きっと親が知ったら悲しむだろうな。つきあってない人とエッチしたよって知ったら,倒れるんじゃないかな。だから、少し後ろめたい気持ち。
けど、これでよかったんだ。望んでいたことだから。彼がこうして私と話してくれる。それが幸せ。
今まで好きだった。だから、もうこの恋は今日で終わりにしたい。

ぎりぎりの時間まで、私は彼と会話していた。
昔のように。帰り道によく話していたような世間話を。
これが、いつまでも続けばよかったんだ。心の奥がぎゅっとした。


家に帰るといつもどおりに、母が迎えてくれる。父もいる。
心には罪悪感が溢れた。こんなこと望んでなかったよね。私、悪い子だよ。でも勝てなかった。欲に。
心のなかで私は何回も謝罪した。ごめんね




彼とエッチをしてからしばらくは、満足感で満たされていたのと、アソコがすごく痛くておさまらなかった。
3日ぐらいは、少し血がでるからナプキンでおさえていたけど、こんなになるんて知らなかった。
どこから血が出ているのかわからなかったので、恥ずかしかったけど、アソコを鏡で見る。すると、膣の入り口の端が筋のような切り傷ができて赤くなっていた。
触ってみると、うっすら赤い液体がつく。分泌液と血が混じっているのだ。エッチで身を削るもんだな…。

気持ちは自然と明るい。一週間、二週間経っても青山くんへの嫉妬心のような気持ちはわかなかった。
だから、私にとってはエッチできて正解だったんだ。





あれから約一ヶ月のことだ。わたしは衝撃の事実を知る事になる

No.134

太い棒を無理やり広げてつっこまれようとしてる。その棒が入りきらなくてぎちぎちと、無理矢理広がっているのだ。
わたしは痛いとしか言えなかった。彼も困った表情をして、

「痛いといわれても、どうしようもできないよ。」

止まらない彼。私は、痛くてその時のことはあまり思い出せない。とりあえず痛かった。
全部入れるのにどのくらい時間がたったんだろう。動かされても痛いし、喘ぎ声というのも、上手く出せない。痛い!痛い!と叫ぶしかなかった。
それでも、彼は欲に頭が支配され、気持ちいいと嘆いている

「椎名さんの中気持ちいい。すごいわ」

耳元で囁かれると、少し安心した。
好きな人の言葉だけで、安心感が感じられる。
私は彼にしがみつく。彼の匂い、体温、呼吸がすべて伝わってきて…痛いけど幸せで。私は彼の名前を呼ぶ。何度も何度も。もう二度とこんなことないだろうから。
青山くんは「気もちいい」としか言ってくれない。
エッチして何か変わればいいのに。私から抜け出せなくなってしまえばいい。
彼の動きは激しくなった。いつのまにか、痛みも麻痺してきて少し慣れてきた所だ。

「……っく!!でる!!!」


そういって、私の体にしがみついた。体がはねる。彼を見るとどうやら逝ってしまったみたい。
わたしはアソコがとても痛かった。じんじんと脈打っている。けど、嬉しかった。
「椎名さん、どうだった?」

「うう、痛かったけど、嬉しかった」

「はあ、はあ。疲れたね。シャワー浴びよっか。気持ちよかったよ」

中には出ていないけど、お互い初めてなこともあり、心配だったからアソコは念入りに洗った。水がアソコに染みる。私の処女はあっけなく奪われた。でも後悔しなかった。
大好きな人と繋がれて嬉しかったし、エッチを体験できたことも嬉しい。これで、諦められる。
今まで、繋がりたかったんだ。やっと繋がれた。もう、恐くない。

No.133

キスを交わす。濃厚なキスが口一杯に広がった。必死に絡みにいく。欲しかった。あなたとくっつきたかった。

あなたと繋がりたかった。
ただそれだけ。もう、好きになるのは疲れたから。せめて、あなたと繋がっていた思い出を下さい。
そんなこと言えないけど、私はそう思いながらキスをした。

服を脱がされ、ベッドに押し倒される。
彼は余裕がないのか、吐息が荒い。愛撫も短い。

「椎名さん、いいの?いれていいの?」

余裕のない表情で見つめる。わたしは黙って頷いた

「入れてください。」
そう言うと、彼はズボンを脱ぎ、ブツを出し、ゴムをつける。

「うーん、どうなってんだこれ」

初めてつけるのか、焦って上手くつかない。私も付け方をあまり知らないから、どうすればいいかわからなかった。
やっと付いたとき、すぐ様私の中に入れようとした。

「ま、まってよ。初めてだから、ゆっくり入れて欲しい」

「ゆっくりで言われても、わかんないよ。俺だって初めてなんだから。」

彼なりにゆっくりと入れてきた。
なにかが、入り口を広げる。それはわかった。
その入り口を開く感じが、とても痛くて思わず涙がでる。
「い、いたい…い、いた」

痛すぎる。なんだこれは。気持ちいいとか嘘じゃないのか?
腹の中に何か突っ込まれるような、その感覚

No.132

久々に彼の家。
いつもより、少しおしゃれをして、下着も新調して、気合十分だった。

呼び鈴を押すと、ドアが開いて彼が待っていた。
今日はワイシャツにジーパン。シンプルだけど、かっこいい。

彼の部屋に着くと、お茶を出してくれた。一息着いてから話を始める

「青山くん、最近変わったよね」

「ん、なにが?」

「んーー。雰囲気?格好とか。髪型とか。前より、オシャレになったよね」
本質に触れないで、聞いてみた

「あー。なんか、気に入ったというか。文化祭の劇の影響大きかったのかな。そんな大きい変化でもないよ」

「そうかなー。髪の毛とか、前より派手じゃない?」

「ワックス使うと結構、髪の毛たちやすいんだよね。花崎たちに勧められて使ってから、結構アドバイスとかもうけたんだわ」

「ふーん。花崎くんと仲良しだね」

花崎がいなければ、青山くんは今まで通りだったのかもしれない。整った制服着た青山くんだったのかもしれない。そんな嫉妬が私を襲う。

「そーいえば、なんで急に遊ぼうなんて言ったの?」

そういって、彼は私の隣に来る。
「いやー夏休み開けてから、全然連絡しなくなったし、交流なくなったからー。たまには、どうかなって」

「なんで、2人でゆっくりできる所がよかったの?」

「え?えっと、それは…あ、青山くんとゆっくりお話したかったんだよ」
と笑顔を交えて誤魔化した。

「ふーん。まぁ、いいや」

そういって、私の膝に寝転ぶ。
久々の彼の体温。ちかい距離にいる。
今だけ独占しているんだ。それが嬉しい。たまらなく嬉しい。文化祭の時、色んな人に見られて、遠くにいってしまったように感じたから。だからこうしてることが嬉しいのだ。

頭を撫でる。髪の毛がワックスで硬い。それが切ない

「青山くんは、甘えるの好きだねー」
そういって、撫でる。


むくっと、彼が起き上がると
「それだけ?」

「え?なにが?」

「今日遊びに来たのって、俺とイチャイチャしたかったんじゃないんですか?」

「あ、えっと。う…まぁ、それも否定はできないけど」

「ふふ。やっぱそうなんじゃん。
俺も椎名さんにくっつきたかったよ」

そういって、私を抱きしめた。
ああ、この温もりが欲しかったんだよ。彼の匂いが広がる。
寂しかった気持ちが埋まって行く。嫉妬も消えていく。
青山くんも同じ気持ちだったんだ。すごい嬉しい。

No.131

文化祭終わってから、私の思考は青山くんと繋がりたい…エッチすれば何か変わるかもしれない。って発想になった。
私自身、青山くんがクラスでもいい感じに目立ち始め、人気もでてきた状況に苛立った。嫉妬ばかりして疲れた。それに、彼が本当はどうしたいのか分からない。
私は青山くんのこと好きだけど、もうこれ以上好きでいると、辛すぎる。

だから、体を一度でもいいから繋がって、思い出にしたかった。
初めてこんなに好きになったから。だから、初めてを彼にあげたいと思ったし、エッチしたいって思った。
それで、忘れよう。もう、こんな関係辛いから。忘れた方がいい。

せめてもの思い出だけ、私は欲しい。色んなことがあってから、やっと出た結論だ。
きっと、友人にいったら反対されるだろう。オカシイとも思うよ。
けどね、それでも欲には勝てない。ただ、彼が欲しい。


私は久々に、彼に連絡をした。

『久しぶり!文化祭お疲れ様。
また、青山くんと遊べるかな?』

<<青山くん
『久しぶり。お疲れ様椎名さん。
別にいいけどー。どこで遊ぶの?』

『2人でゆっくりできる所で遊びたいな』

<<青山くん
『家ってこと?』

『家とかね。空いてたりする?』

<<青山くん
『空いてる日はあるけど、時間少ししかいれないよ?それでもいいならおいでよ』

『うん、少しでもいいよ。嬉しい!じゃあ青山くん家にいくね』


こうして、私は青山くんの家に行くことになった。
土曜の午前中。家族はいない。買い物にいってるらしい。爺さん婆さんは、介護施設?だそうだ。お爺さんが少し具合悪いみたい
皆午後2時ごろには帰宅してくるから、それまでは一緒にいれる。

それで十分だった。
これで、やっとまた遊べる。
一つになれば、何か変わるかも。変わったらいいな。
これで、諦められるよね?



そんな淡い期待を胸に抱いて。


私はバカだと思う。

No.130

自分はこんなに独占欲強かったけ?なんだか怖くなってきた。


そして文化祭も閉会式。
優秀賞が毎年選ばれるのだが、今年は青山くんのクラスが選ばれた。
クラスで盛り上がる青山くん。
いつもみない彼。


優秀賞か。


私はトイレにこもって、頭を抱えた。どうしようもない感情が溢れて、涙が出てくる。止まらない。
私は、彼が目立って欲しくなかった。誰かが青山くんカッコいいって思われるのが嫌だった。
自分が知ってることを、他の人も知ってしまう…そんな現実が嫌だった。
主役で大活躍し、クラスからもちやほやされてる。人が変わったかのように、気さくにクラスメイトに話しかける。ドンドン変わっていく。昔の彼は消えてしまう。

目立ってほしくない。そのままでいてほしい。それから、私のこともっと見て欲しい。ただ、それだけの感情が溢れてくる。どうにもならないってことも、分かっているのに。

「上手くいかないな…」

文化祭は楽しかった。けど、彼がいることで私は苦しめられた。
近くにいるから苦しい。いっそ嫌いになりたいのに。
それでも好きな私がいる。



文化祭終わってからも、学年全体の興奮は冷めなかった。文化祭で一体感となったクラスは頭がお花畑状態で、一時的な仲間意識でテンション上がってるような感じだ。

青山くんも、文化祭から服装が乱れている。劇の延長戦なのか?もう、そんなだらしない格好しなくていいんじゃないか。
頭もワックスでツンツンだし、それも過去最高にツンツン。
私はあなたのさらっとした髪の毛が好きなんだよ。

このままだと、何もないんじゃないか?私は諦めきれない。
せめて、彼と、彼と繋がりたい。
ここまできたら、彼と一緒になりたい。
体だけでもいい。繋がっていたい。私のこと大切だって言ってくれたの嬉しかった。
けど、あなただけ満足して、私は全然足りてない。

No.129

少し落ち着いてから、私は彼に声をかけた

「お、おつかれさま」

「あ、見に来てくれたの?!ありがとう。」

「すごい良かったよ!演技すごいうまかったし!このーー!」

「照れるな。結構練習したからね。わざわざ見てくれてありがとう」

「ねね、記念に写真一緒に撮っていい?」

「え?俺と?恥ずかしいな…」

「衣装同士で撮るのなんて滅多にないから。ね?」

そういって、友人に携帯を渡す。

「じゃーいくよーゆい!はーいもう少し近づいて?はいーチーズ!!」



写真を取れただけでも嬉しかった。幸せだった。
「あ、ごめん、次の公演始まる前に急いでご飯食べないといけないんだ。ありがとう」

「忙しいんだね」

「うん、ゆっくり見てる時間もないよ。じゃあ、また。おーーいまてよ花崎!!」

いつもより上機嫌だったな。
あんなにみんなに見られて。目立って。黄色い歓声うけて。
どうしてかな。こっちだけ見てて欲しい。私にだけ見せた特別な笑顔を振りまかないでよ。
苦しい。苦しいよ。

二回目の休憩のとき、私は渡り廊下で後輩のちーちゃんと青山くんが楽しそうに会話しているところを見た。

笑っている。



なんで、私じゃないんだ?
そのビッチから離れて。先輩好きのぶりっ子なんだよ?
袖に手を入れて萌え袖ぶってるちーちゃんが、クソムカついた。
青山くんもなんで、なんでそうやって楽しそうにしてるの?
なんだか、避けられてるみたいで。悲しい。
私を見ても、目を逸らす。挨拶もない。夏休みはなんだったのかな?


文化祭二日目は人で賑わった。
クラスにもたくさんの人が溢れる。私のクラスも並んで待っててくれる人がたくさんいて、嬉しかった。

けど、悔しかったのが青山くんのクラスの演劇がすごい人気だったんだよ。口コミで生徒の間で広がってて。1日目見なかった人たちがたくさん見に来ていた。
だから、たくさんの人に青山くんが見られる。触れてしまう。

なんだか、イライラした。どうしようもなく。ちやほやされて生きてる彼を目の前で見たくない。ただそれだけ。
彼のクラスの周りには昨日来た後輩たちが、また見に来ていた。
もう、最悪だった。好きな人が、こんなに目立ってしまうなんて。なにもアクションがないなんて。恋愛一つで、文化祭なんてつまらなくなる。

自分に課された業務はきちっとこなしたが、心はモヤモヤ。
そんなモヤモヤが、私のおばけ役にも反映されて、昨日よりも怖くなったそうだ。

「椎名さん、今日めっちゃお化けっぽくない?いいね!」

とクラスメイトから褒められる。
嬉しかったけど、全部青山くんが原因なんだ。たまたまお化け屋敷だったから、良かったけど。接客だったら最悪だよね。

No.128

<文化祭当日>

わたしのクラスのおばけ屋敷は大盛況だった。脅かすのもはじめてだから、ワクワクしたしどうやって脅かそうか考えた。

私は曲がり角で立っている。
そこにお客さんがきて、大体の人はヒィ!という悲鳴をあげ、恐る恐る通ろうとする。通り過ぎたあとに、後ろから
「私の大事なもの返してええァ!」と叫んで走ってくる。
という感じの脅し方。

叫ぶセリフは気分によっても変えてる。だから楽しい。
友達も来てくれて、脅かしてやったら、泣いてしまった。
「ごめんごめん、私だよ。椎名だよ!」というと
「もー!ばかぁ!!うぅ」と言って、叩かれまくった。
そんなこともあり、なかなか楽しい文化祭になるんだろうなと思った。



廊下で人の塊が一斉にあるクラスに入っていった。
青山くんのクラスだ。どうやら、彼の演劇はすごい人気で、話も演劇部の人が脚本書いたから本格派らしい。面白かったという声を沢山聞いた。

私も休憩時間に、友達と青山くんのクラスに入って見に行った。
不良姿の青山くんが登場する。セリフ、動きもしっかりしていて、棒読みじゃなくて感情がこもった言い方だ。
花崎と二人での戦闘シーンはあつかった。それに、かっこよかった。
観客からは、歓声もあがったし、中にはかっこいー!と話してる女子もいた。部活の後輩も見に来ていて、きゃー!とヒソヒソ話している。

劇が終わり、たくさんの拍手が起きた。終了後、青山くんに声をかけようと彼に近づこうとする。
すると、後輩たちが群がっていた。

先輩すごかったです!楽しかったです。演技うまいですね!!かっこよかったです!!先輩!

そんなことを言われて、まんざらでもない反応。準主人公…というかほぼ主人公だった。花崎と青山くんの二代主人公。だから、彼はかなり目立った。目立って欲しくなかった。

一年生の先輩好きでちーちゃんという子がいるんだが、(前にもチラッと出てきた)
その子が、キラキラした目で彼を見て恥ずかしがりながら、すごかったですと伝えていた。
なんか、嫌な気分だった。自分が目立っているから、嬉しいんだね。後輩からもかっこいーて言われて。

No.127

具体的に彼は、髪を逆立てている・ワイシャツはみでてる・シルバーチェーンがじゃらんじゃらん・眉毛を整えて恐い印象という感じだ。
青山くんのクラスの近くにいく。演劇のメンバーで盛り上がってるようだ。
見ると、彼は花崎のメンバーと舞台装飾の女子と談話をしてる。楽しそうに。

きどった笑いに怒りを覚える。どうして他の人にも笑うの?
自分が一番でありたい、それだけなの。だから、だから体も許したのに。
学校が始まって、まるで今までの事なかったかのように音沙汰ない。あまりにも悲しかった。そして苦しかった。憎しみさえもわいてきた。

文化祭準備も大詰め。わたしのクラスもかなり良い雰囲気で仕上がってきた。
衣装合わせもして、わたしはセーラーを着て髪の毛はワックスでぼさぼさ。伊達めがねをして真面目なJKに見える。
しかし、顔はファンデで白くなって唇からは血が出ている。顔にも血しぶきが飛んでいるから、かなり上手くできたと思った。ニコっと笑うと仲間からは「椎名さん、不気味だからやめてwww」
と言われた。ちょっと嬉しかった。

高校で最後の文化祭なわけだし、楽しく過ごしたい。だから、今年はいつもより頑張っていた。
視察をしにくる他のクラスも、わたしのクラスを見て「うええ!こわ!」とか良い反応をくれた。
その中に、花崎と青山くんメンバーが向こうから歩いてきた。

花崎が「うおおお!お化け屋敷じゃん。楽しみだなあ。おい、委員長すげえな!」
といってわたしのクラス委員長に絡みに行く。他のメンバーも知り合いに話しかけてる中、青山くんは独りになった。私のお化け姿を見て、一瞬目を見開いたが、「もしかして、椎名さん」

「うん!そうだよ、よくわかったね!わたし死んだ女子高生役なのー。青山くんも、それは衣装?」

「そうそう。不良だから、ごくせんみたいな格好してるけど笑」

髪の毛も編み込んでいて、お洒落だったし新鮮だったからかっこ良かった。
「髪の毛いいね。自分でやったの?」

「いや、クラスの化粧とかうまい人がやってくれて…。新鮮だよね」

「ふーーん。」

他の女が触ったんだ。心が痛い。嫉妬が渦巻く。いますぐ、その髪をほどきたい。
なんで平気な顔して歩いてくるんだ。理不尽な感情ばかりこみ上げてきた。

「劇みにいくね」
にこっと笑って青山くんに言った。

「う、うん。ありがとう。頑張るよ。すごい気合いいれてるから」

一瞬引きつった。笑顔が恐かったんだろうな。そして花崎が戻ってくると、「じゃ」といって行ってしまった。
私は、何を思ったのか彼の袖を引っ張る。

「っ!な、なに?」

「あのさ……。なんというか…。いや、もどかしいわ。ごめん」
袖を離す。彼はなんともいえない困った顔をして、何も言わず花崎と行ってしまった。


本当は、一緒に回りたいとか遊びたいとかそうゆう話したかった。でも、いつだって貴方は冷たい。時々優しい姿をみせると思えば、そうでなかったり。なんでかな。一緒に文化祭回りたいっていうのは本心なのに。言えないな。体を見せあってしまったから、なんか別の壁が出来てしまってね。恋人になりたいのに、なれない距離が言葉を煮積ませる。

No.126

新学期。文化祭の出し物の調整が始まる。
私のクラスは今年お化け屋敷だった。青山くんは演劇。
なんと、青山くんは準主役だそうだ。これは見に行かなきゃと思った。

学校で青山くんとすれ違う。彼の隣に花崎がいた。何か声をかけられるかなって期待したけど、
そのまま横を通り過ぎる。会釈もなし。言葉もなし。
普通の青山くんだ。夏であんなに変なことになったのに、かれは涼しい顔をしてる。それが悔しかった。
私だけ、なんだか期待してて悔しかった。



学校全体が文化祭準備モードになってきた時、私もクラスの装飾や役柄を確認していた。私は死んだ女子高生役をいう、驚かす側だ。他の驚かし役の人とも打ち合わせをして、それなりに楽しく準備が出来たことを覚えている。
そんな中、花代からこんな話を聞いた

「ねえ、青山くんさ、すごいチャラくなったよね」

「え??」

「あんまり見ない?なんか夏休み開けて、文化祭準備になったらさ、髪の毛とか前より盛ってるし服装も乱れ始めてる感じでさ。しかも準主役なわけじゃん?それでクラスの人からも今ちやほやされてるっぽい」

嫉妬した。どうしてクラスで楽しそうにしてるの。私といる時も楽しそうにしてたのに…。それが悔しい。悔しいよ。青山くんの話題は3年弓道部メンバーでも話題になっており、他の女子も「どーしたのあいつ?」「なんか、恐いよね」と評判が下がっていた。
「わたし、この前彼におはよーって声かけたら無視されたの!無視!元部活メンバーなのに。なにあれ!」と激怒してる女子もいる。

そして男子からもだ。私がたまたま違うクラスを独りで視察していた時に、サトウに声をかけられた
「よ!椎名ちゃん!久しぶりだね」

「あ、サトウじゃん。おひさだねー。どうよクラス?」

「まあまあかなー。俺らも演劇だからさ。役とかひどいひどい!
あ、そうそう‥青山くんのとこも演劇だよな」

「そうだね。彼は準主役みたいだよね」

「どんな役か知ってるか?チンピラのリーダーだってさw」

「え!?!そんな役なの??」

「あいつのクラスの話がヤンキーvsヤンキーで、その抗争止めるって話らしい。んで、そのヤンキーのリーダーの一人が青山くん。もうひとりが花崎なんだよ。だから花崎vs青山ってかんじになるね」

花崎…またあいつは余計なことをしたんだろう。きっと役がいないから俺たちが一緒にやろうぜ!とか強引に誘ったとしか思えない。

「その役作りだかなんだかしらんけど、最近チャラいって部活仲間で話題になってるわけだ…」

そこにスマブラが上手いA君も割り込んできた
「そうそう!あいつどうしたの?!夏休みでなんかあった!?てぐらいさ、チャラいよなーー。やっぱ嫌いだよあいつ」

「ちょ、A!!大きい声で言うなってーの!」

「わ、わりい;椎名さん、青山と仲良かったけ?気悪くしたらごめんな」

「あ、いやあ、事実だしね。私も今の青山くんはなんだか‥嫌だなって思うよ」
男子からも女子からも悪い意見しか聞かない。昔から少し変わってはいたけど、あんなにチャラい感じになるとは思わなかった。

No.125

大切だと言われる事がどんなに嬉しいか。私は彼のことを昔から一方的に大切だと思ってきた。本当に好きだから。けど、彼はそんなこと言ってくれない、恋人じゃないから。わかってる
でも、確かな証拠が欲しくて頑張っているんだ。そしてさっき、大切だと言われた。

好きと捉えていいのかな?勘違いじゃないよね?
彼に抱きしめられ、私も抱きしめ返す。思いっきり。
目と目が合う。彼が耳元で囁いた
「触ってください」

なんのためらいもなく、私はそれに触れる。大切な、大好きな青山くん。
気持ちよくなってほしい。ただそれだけの気持ちで奉仕した。




カラオケに着く。彼とは初めてのカラオケ。
お風呂で彼を奉仕してから、私は少し体を揉まれたぐらいで終わった。また自分だけムラムラした気持ちだけが残る。カラオケに着いて、彼は機嫌良さそうに笑顔で曲を選んでいた。
「ねえ、、、」

「ん?どうしたの」

私は彼の胸に飛び込む。頭をこすりつける。
「あ、甘えてみたかっただけ」
そう言って抱きしめた。このまま襲ってほしい。私をめちゃくちゃに襲ってほしい。

「はいはい、俺先に歌うね」

マイクを取って、歌い始める。私の本当の気持ちは伝わらない。それでも甘え続ける。
けれど、頭をぽんぽんされるだけで終わった。



夏休み最後に青山くんに会ったのはこの日で最後だった。
青山くんにしてほしかったこと、なりたかった形は不透明になってしまったけど新学期始まったら、授業で会えるかもしれない。それに、文化祭もあるんだ。文化祭で一緒に回れたらいいな…なんて妄想もしてみた。
夏の間で私たちは特別な関係になったわけだから、学校でも何かしらアクションがあってもいいよね?
新学期に何かしらの期待を胸に、私は残りの夏休みを予備校で過ごした。

No.124

家の前に着く。携帯を見ると着信がまた入っていた。
とりあえず、電話してみる

「もしもし。青山くん?着いたんだけど」

目の前の扉が開き、タンクトップ姿の彼が出てきた。
玄関に上がり、靴を揃えてると腕をつかまれた

「ねえ、ここまで来るのに汗だくになったでしょ?風呂はいらない?」

「いや、二回も入りたくないし。大丈夫だよ。とりあえず、部屋で休もう?」

といって、上に上がろうとした私を思いっきり引っ張った。そしてそのまま脱衣所に入る。
頭が混乱した。

「な、なにすんの?わたしお風呂は入らないよ?入るならここで待ってるから独りではいってよ」

「一緒がいい。一緒じゃなきゃ嫌だ」

そういって私の服を脱がし始めた。え、ちょっと待って、わたしお風呂に入るとか準備できてない
「青山くん、やめてよ。ねえ、わたし入りたくない!家で入ってきたから十分なの」

ふと鏡をみると、自分が写った。背後から青山くんに襲われてる自分の姿。
鏡で見て、とても恥ずかしくなる。余計に嫌になってきた

「やめてよ、イチャイチャしたいなら、青山くんの部屋でもいいじゃん。ねえ、」

「いますぐがいい。椎名さんと一緒に入りたい」

脱がされていく。抵抗してるけど、敵わない。そのまま風呂場に連れていかれた。
さっさと上がろうと思いドアの前にいくが、彼が塞いでいる

「なんでこんなことするの?」
わたしは彼を睨みつけた。さすがにイライラした。

「椎名さんに舐めてほしい。お願い」

「いやだよ、そんな…」

目の前に差し出される。なんでこんなこと一方的にされなきゃならないの。

「いやだ…いや……こんなの……青山くんじゃないよお。やだ……」

頬から涙が流れる。彼はそれに気づいたのか、静止した
「ねえ、青山くんにとっての私って何?どうゆう存在なの?私はあんたのこと好きだけど、わかんないよ。望まれたり、られなかったり。好きなのに、好きなのに辛い……」

涙が止まらない。今までの気持ちがあふれてくる。
「ねえ、わたしはなんなの?あなたにとっての私って…。わかんないよ。言葉にしなきゃわかんないよ」

彼は静かに抱きしめた。いつもより10倍ぐらい優しく

「俺にとって椎名さんは、大事で大切な人だ。大切だから…求める」


そっと抱きしめられる。ぬくもりが愛おしい。
彼が愛おしい。初めて大切だって言われた。それが嬉しかった。

No.123


【いいよ!どうする?】
何して遊ぼうか。私は最後ぐらい、普通に遊びたかった。
カラオケとかどうかなー?とおもい、彼に聴いてみる
<<私
【カラオケどうかな?まだいってないし!】
<<青山くん
【いいけどー。とりあえず、うちに来れる?】
<<私
【え、なんで??】
<<青山くん
【少しだけなら、家にいれるから、少しこない?それからカラオケ行こうよ】

また家…嫌ではなかったけど。なんというか。抵抗があった。
<<私
【少しだけって、よくわかんない。一時間ぐらいってことかな?そのあと、ちゃんとカラオケいってよね】

そのメールを返したあと、私は汗だくだったからシャワーを浴びることにした。
シャワーを浴びていたら、私の携帯が何度もなり始める。
母が風呂場まで携帯を持ってきてくれた。
画面を開くと、青山くからの着信。
一度風呂から出て通話に応じる

「もしもし、どーしたの?」

「椎名さん、早くきて~」

「え?なんで。ちょっと待ってよ。わたし、いまシャワー浴びていて…」

「親が買い物出ていていつ帰宅するかわかんないんだよ。だから、早くきて?シャワーなんて、うちでも浴びられるよ」

「いや、本当に汗だくだったから。わざわざ借りるの嫌だし。もう少しまってて!」

「はやくねー」

電話の彼は少し声が荒かった。息が荒かった。
発情?してるのか、それとも運動してるのか。そんな息切れだった。とりあえずさっさと着替えて支度している最中も電話がなる

「なに?もう少しまっててよ」

「はやく、はやく会いたいよゆいさん」

下の名前で呼ぶとか反則…思わずドキッとしてしまう。
そこまで早く会いたいの?急すぎてよくわからない。でも会いたいことに変わりない。
私は急いで自転車に乗り、彼の家まで走り出した。

No.122

冷たい背中は私を予想以上のダメージを与えた。
やっとここまできたのに。突然人が変わったように冷たくなった。気分屋もいいとこだ。

きっと、彼に会わない方がいいのかもしれない。可能性なんて小さいもだった。保証もないわけだし。
それでも諦めたくない感情が勝っていたから。わたしは特別の存在になりたいだけなのに。
私を求めるならあげるのに。けど、再び遠のいてしまった。すぐそこにあったのに、彼はいとも簡単に突き放す。

前からそうだ。部活の男子とすごく仲良しかと思えば急に冷たくなって。喧嘩したのかと相手に聞くと、「いや、全然わかんない。こっちが知りたいんだけどw」と困惑していた。
自分の気分次第で、態度が変わってしまう。それは残酷で、時に都合が良いから嬉しくて。
夏休みも終わりに近づいた。

青山くんとはあんなことがあったけど、もう一度会えないかと思っている。でも、最後に言われた言葉がグサリときた

「貞操は守られた。それでいいんじゃない?」


他人事のような言い方。自分は関わりたくないかのような言い方。
私の身体は守られたから、それでよかった?わからない。
身体を求めたかと思えば、他人のように振る舞う。もっと一緒にいたいと思って近づいたら、離れられる。
ここまで好きな人に接近できたことなんて今までなかったから、私はどうしても頑張りたかった。
もう一度彼に会いたい。夏休みの最後ぐらい、もう一度。


そんなことを考えてたら彼からメールがきた

【今日ひま?】

びっくりした。予備校も休みだったから、私は暇だよと返した

【これからよかったら遊ばない?】

思いもよらないことだった。彼から誘われるなんて、こんな嬉しいことはない。

No.121

青山くんはその音を聞くと、急に青ざめて急いで電話に出た。

「…っもしもし。……うん、ん。え??な、なんで?」

彼の声が困惑に変わる。嫌な予感がした

「急だよ……。っ、わかってるって。家のことやってあるから。わかりましたから。はいはい、はーーい。」

顔が暗くなった。どうしたんだろう。急に冷たい雰囲気になって、なんと声をかけていいかわかんない
「椎名さん、」

「あ、どうしたの?電話……」

「親が、帰ってくる」

「え?」

「親たちが予定よりも早く帰宅してくるそうだ。今、最寄り駅の手前で買い物してるんだって。あと少ししたら、ここに帰ってくる」



頭が動かない。なんで、あと少しだったのに、どうして。なんで、ひどいよ。
青山くんと近づけるチャンスだったのに

「じゃあ、帰らないといけない…のか」

「ん、ごめん、とりあえず準備して家から出ましょう」

急によそよそしい態度をとった。まだ一緒にいたいのに。まだやりたいことたくさんあるのに。どうして
渋々帰る準備をし、外に出た。
彼は何故か自転車に乗っている。

「これから、どうしようか…。まだお昼前だしさ、ご飯とかいく??」

「急にあんなこと言われてお互い興が冷めたと思うんだ。今日は帰ったほうがいいよ…」
下を見て話す。さっきまで目があっていたのに、なんで?

「で、でも。まだ早いし。ご飯ぐらいなら一緒に食べてもいいんじゃないかなって…」

彼は深いため息をつく。明らかに機嫌が悪い。そして、こう言い放つ





「椎名さんの貞操は守られた。それでよかったんじゃないの?大事にしないとね…。
この現場を親に見られてもまずいから、俺は予備校いってくるわ」






私は固まった。いきなりの予備校発言に戸惑う。
どうして、どうして切り替えられるの。さっきまで甘えていたじゃない。自分の都合がわるくなったから機嫌をそこねたの?そんな、悲しいよ。まだ一緒にいたいのに。どうしようもない感情に体が溢れていく。
「わ、わたし、青山くんと……もうすこし…一緒にいたかったよ」
私は彼の胸によりかかろうとした。
すると、彼は避けたのだ。後ろに身を引いて自転車を構える

「いきなりで予定変わってごめん。椎名さんの体は傷つかないで終わったんだ。
じゃあ、またね…」



遠くなる。青山くんが、遠くなる。もう、こんなチャンスないのに。なんで、どうして
貞操がなによ、わたしはあなたにあげるって、決めていたのに。どうして。
なんで急に冷たくなるの?傷つかないですんだ?もう私は何度も傷ついてる。遅いよ

一番傷つくのはあなたのその態度だよ。
遠くなる自転車を見つめることしかできない。イタイ。ちくちくする。
胸の奥がどうしようもなくイタイ。


「ねえ、どうして離れるの?」

No.120


朝になった。私はどのくらい寝れたんだろう。しばらく寝れないでずっと起きていた。隣に好きな人がいるから、安心して寝る事ができない。寝れても二時間程度だろう。そのあとずっっと起きていた。
朝6時。彼は爆睡している。自分の家だからこんなに安心してねてるのかな。私だけ寝れてないとか馬鹿みたい。

彼が起きるまで、わたしは漫画を読んでまっていた。
ときどき彼を見る。ぐっすり寝ている姿を独り占めしている自分に優越感。
独占している。この瞬間がたまらない。そっと頬にキスをした。
彼は起きない。彼は知らない。私がどんだけ、あなたのことが好きか。
もう一度キスをしようとしたとき、彼は目覚めた

「………ううん。しいな……さん?」

「青山くん、お、おはよ!すごい寝てたね」

「うう……うん。寝てた……」

私の腕を引っ張り、布団に連れ込む
「ううん………もう少し寝たい……いい抱き枕」

私を抱き枕にし、体を密着してくる。鼓動が早くなる。
このまま、わたしを食べてしまって。
昨日は私が満足しないまま終わってしまったから、欲求が今日は強いのだ。
寝ている彼に、首筋を舐める。
寝ぼけてなにをいってるかわからない。そこがまた愛おしい。

彼に抱かれ、私も再び睡魔が襲ってきた。二人で一緒にもう一度寝た。




気づくと、9時だった。青山くんが先に起きていて、コンビニのパンを机に出してくれた。

「ごめん、寝ちゃった」

「おはよう。いい抱き枕だったよ」
まだシャキッとしない顔で微笑む。その姿が新鮮で、ドキッとした。
軽い朝ご飯を食べて、着替え、のんびりとしていた。

青山くんに迫ってみたり、くっついてみたり。恋人のように寄り添う。
青山くんも私に触れて、キスをしてくれる。
ベッドにいくと私を押し倒し、覆い被さってきた。

「ああーーこの体勢で入れたらどうなるんだろう。気ちいいかな?」

「わ、わかんない。やってみないと」

「繋がろう、椎名さん。ね」

甘い言葉で囁いてきた。彼の腰がモゾモゾと動いていて、すごくもどかしい。
わたしはうなずくと、彼が襲ってきた。

やっとだ。このまま私に溺れてしまえ。私の快感を刻み付けたい、彼と繋がりたい。
このまま愛しあって幸せになりたい。
触れるところが熱くなる。高揚する。いつもより強引で激しいキスに興奮する。
もっと、もっと。足りない。

あなたが足りない。














<トルルルルルルルル トルルルルルルルル>


携帯が鳴る。彼の携帯だった。

No.119

だんだん、息が荒くなってくる。
そうそう、そんなかんじ。うまいよ椎名さん。といって、頭を撫でてくれる。
それがとても心地よくて…

そして口にあるものもギチギチと更に大きくなってきた。
こんなものをいつまで咥えていなきゃいけないんだ。そろそろ顎が限界。
少し休もうとしたとき、顔を掴まれて「や、やめないで。もう少し…だから」

どうやら、終わりが近づいてるようだった。
なら最後だから、力を出し切ってしまおう。わたしは更に激しく動かしてみる。
彼の息が荒くなる。

「や、やばい、本当…う、離して!」
そういって、私の口からモノを取り出すと同時に胸の辺りにも何かがかかった。

熱い。なんだこれは。どろっとした液体。見たことないもの。粘りけがある謎の液体。
私は理解するまでに時間がかかった。
わかったときは、すごい驚いて叫んでしまった。

「え、え、え?!!!い、いっちゃったの!?!!?!」

「う、うん。すごい気持ちよかった」

私のご奉仕で気持ち良くなってくれたなんて、すごく嬉しい。初めてだったから、自信なかったけど私でも出来るんだとおもった。

このあとは、遂に繋がるのか…私はドキドキした。
もうあとは、彼にリードしてもらい、私はそれに答えよう。ドキドキワクワクし、お互いの体を綺麗にした。

風呂から上がると、青山くんは疲労感がでていて
「あーー。すごい疲れた。さっきのすごい気持ちよかったから、なんか、性欲がなくなっちゃった…」

「え?!な、ま、まじて?!」

「すごい、さっきまであんなに興奮してたのに、今はなんともないや…うぅーなんか安心したら眠くなってきたわ。ねよー?」

「ま、まってよ。え、じゃあ、今日は…そのぉ…」

「明日もあるから。ね?楽しみはとっておこう」

そ、そんなぁ…内心すっごく残念だった。何故なら、私はムラムラしてるからだ。これからだというのに、あっちが満足して終わってしまった。一日目がもったいない。
私は体を触られたが、もっと触ってほしかった。けど、あっちはその気じゃない。

そんな…勝手すぎるよ。
落胆してる様子にも気づかず、ベッドに入る青山くん。
「椎名さん、おいで」

そういって、ベッドに呼んだ。
ベッドから、またイチャイチャが始まるのかな?
私は飛び込んだ。

彼は腕枕をしてくれて、額にキスをした。

「じゃあ、おやすみ椎名さん」

そういって電気を消す。
え、これで終わり??

その後も何もしてこないで、彼の寝息が聞こえてきた。
私はモヤモヤしたまま隣にいる。どうして、どうして触れてくれないの。
隣に寝てるのに。どうして。

お風呂でイチャイチャしなきゃよかったかな。モヤモヤとムラムラが混じり合って、気持ち悪くなってくる。いくらなんでも、勝手すぎるよ青山くん。
気分屋なのは知ってるけど、あんまりだよぉ
でも、明日もあるわけだし…
明日にかけよう。まだ終わったわけじゃない。
私は寝ている彼の胸にうずくまり小さく呟いた

「大好き、青山くん」

No.118

初めて間近でみる。男のモノを。
なんというか、不思議な形で、どうしてこんなに大きくなるんだろう。

これは大きいという部類に入るのだろうか?わからない。でも、標準的な大きさなんじゃないかと思う。きっと。

動かし方も分からなくて、適当に上下に動かして見た。
強かったらしく、痛いといわれ、彼からレクチャーを受けながらやってみた。

優しく撫でるように触り、裏の方を指先でツーーーっとなぞる。
先のほうも指でいじってみると、おもしろい反応を見せた。

次は口にいれる作業。
口に入るのも抵抗があった。目を閉じながら入れようとするが、直前で止まってしまう。
なんだか、どうしたらいいかわからない。

とりあえず口にいれてみた。
はむっと。
動かしてもみた。ぎこちない。
なかなか難しい。舌を動かしてと言われて、舌を動かしてみる。
すると、反応がかえってきた。

手探りしながらも、初めてのご奉仕は興味津々。こんな風になってるんだ、こんなに硬いんだとか、ちょっと塩味なんだとか。
漫画だけでの知識も間違っていなかった。
だんだん疲れてくる。普段口なんて動かさないもんだから、すぐに離して深呼吸して、の繰り返し。だんだん辛くなってきた

「椎名さん、がんばって。」

「そう言われても、すごく…疲れるんよ」

私が疲れてくると、彼からの反応もなくなってくる。そうすると、だんだん不安になってきた。
私は必死で口を動かし、彼に気持ち良くなってもらおうとがんばった。

No.117

お風呂は一階にある。玄関の脇にあって、脱衣場もとても広い。それぐらい広い脱衣場だった。
洗面所の鏡は横に大きくて、自分の姿がまるまると写ってびっくりした。

「ほ、ほんとに、一緒に入るの??」

「俺、一緒に入りたいなー。入ってみたいなーー」

男の子とお風呂なんて、小さい頃以来だよ。彼はさっさと服を脱いでしまう。

「わああああ!!!!ちょ、わたし後ろ向いてるから、先に!先に入って!!」

「わ、わかった。そんな恥ずかしがられると、こっちも動揺するよ」

「普通はするから!ばか!」

先にお風呂場に入って行った青山くん。私は脱衣場に一人残され、とりあえず深呼吸した。
どうせ裸の付き合いになるんだ。今更遅いよね。うん。
相当恥ずかしかったけど、逃れられないと思って、私は服を脱いだ。
手で体を隠しながら、恐る恐るお風呂場にはいる。

彼は既に湯船につかっていた。

「は、はいりまーす…」

適当に体にお湯をかけて、端っこのほうに身を寄せて湯船につかった。
一緒に入るだけでも恥ずかしいのに、密着するとか、ありえない。

「なんで、そんなに離れるの?」

「は?それは、恥ずかしいに決まってるじゃん!!すごい恥ずかしいんだよ?いきなり裸になって!もう、恥ずかしすぎて死にそうだよ…」

彼の顔を見れないでいると、後ろから抱きしめられた。

裸同士で抱き合うと、肌の密着度が更に増して、鼓動が速くなる。
腕の筋肉とか、足のふとももの筋肉とかよく見えて、なんだか高まってくる。

「柔らかいし、すごい白いねー」

後ろから触ってくる手がもどかしい。私も触れたい。触れて見たい。

私は向きを変えて、青山くんと見合う形になった。
下半身は見ないようにした。見れないでいた。

お湯と汗で濡れる姿がとても艶やかで、胸がまた締め付けられる。
その汗も全て舐めてあげたい。何も言わずにお互い、キスをした。優しいフレンチキスから、絡み合うキス。
裸だから、なんか、感覚が直に伝わってくる。そしてくすぐったい。

お湯で気分が更に高まる。頭も熱てってきて、このまま襲われてしまいたい。食べてほしい。性欲がどんどん溢れてきた。

青山くんも同じみたいで、体を触ってくる。そして、下半身からも硬いものが当たってきた。

「こ、興奮…してるの?」

「そりゃあーね…。ねえ、椎名さん、触ってくれないかな」

「え、で、でも…」

「もう、ここまできて恥ずかしすぎてとか言わせないよ?お願い。」

だよね。今更すぎるよね。
頭ではわかってる。でも、どこかでダメだとも思ってる。けど止まらない。

下半身に触れてみた。
なんだか、この前よりもとっても硬いような。裸だから?
目をそらしている。


「一回外でよ?」

そういって、湯船から上がった。
「舐めてくれますか?」

「えええええ?!!??!わ、わたし、したことないよおぉ?!!?!」

知識はあっても、経験がないから不安だった。
「お願い。もう、我慢できない。椎名さん…」

そんな、声で迫られるとドキドキしてしまう。私は高揚した、気分と共に、彼のモノを手にとった。

No.116

ドサ!!



私がうとうとしていると、何かが体の上に乗っかってきた

「食べ終わりましたよー椎名さーん」

そういって、上から押さえつける。
突然の出来事にびっくりし、「え!?お、おもい!それに少し寝てたからびっくりしたよ!おもいーーー!どけぇーー」

「いやです」

「重いよー!本当にー!どいてどいて!!」

「逃がしませんよ」

そういって、私がくるまってたタオルケットを剥がしてしまう。
代わりに、彼が私を包む。

「あーーやっと、やっとくっつけたー」

その言葉が頭の上から聞こえて、涙が出そうになった。
私も会えて嬉しい。くっつけて嬉しいよ。嬉しい嬉しい嬉しい。

そのまま目が合い、唇を交わした。
強引な口づけ。淫らに絡まる手と手。
二人の世界とはこういうことなのかな。周りが見えない。青山くんしか見えてない。他のことはどうでもいい。

体をお互い触り、青山くんがリードし始める。
前回緊張していた私は、今回あんまり緊張していないせいか、気持ち良く感じた。色んなところを触られても心地よいと思った。
胸を触られても心地よいと思ったし、嫌な感触はなかった。青山くんに体が慣れてきている。

「青山…くん……」

名前を呼んでみる。
けど、彼は目の前の出来事に夢中で気づいてくれなかった。
少しショックだ。
とてつもなくムラムラしてきて、どうにかなってしまいそうになる。このまま一緒になりたい。私をどこかに連れて行ってほしい。

青山くんはこっちを見て
「椎名さん、お風呂はいる?」

「あ、うん。入る入る、どっちが先に入ろうか?」

「そうじゃなくて、一緒に入るって意味だよ」

「え?」

「一緒に入ろうか」

「ちょ、ちょっとまって!は、裸になるんだよ!?!」

「どうせ、裸見せ合うわけじゃん。恥ずかしいのは最初だけだよ」

「そ、それはそうだけど…」

「じゃ、いこ。」

そういうと、強引に手を引っ張っていった。
私は少し彼を静止させ、着替えを持って彼の後をついて行った。

No.115

<お泊りの日>

いつもなら自転車で行くのだが、この日は雨だった為、バスで行くことにした。
最寄り駅から出ているバス停で待ち合わせていて、青山くんが来るのを待っていた。

予備校帰りの彼がこっちに向かって小走りでやってきた

「ついにこの日だね笑 やっほー椎名さん。」

いつもより機嫌がいい青山くん。こっちまで嬉しくなる。
「今日はよろしくね。なにもってきていいかわからなくなっちゃったわ」

私の荷物はリュックでパンパンだった。とにかくお泊りをあまりしたことないから焦っていたのだ

「着替えとかあれば後は大丈夫ですよ。じゃ、バス乗ろうか」

彼とバス乗るのもいつぶりだろうか?
高1のときはよく一緒にバス乗ってたけど…久々ですごく新鮮だった。

到着し、コンビニで夜食を買ってから彼の家にいった。
今日は誰もいない。私と彼で二人きり。こんなドキドキするようなことはもう一生ないかもしれない!貴重な体験だ。
私は前日の夜、興奮しすぎて全然寝れていなかったのだ。
だから、一緒に部屋で夕飯食べていたけど、正直眠くて食欲がなかった。

「青山くん…ごめん、食欲あんまなくて、眠いんだ…」

「そうなの?俺まだ時間かかりそうだけど…ベットに横になってていいよ。食べ終わったら声かけるからさ」

「わかったー。ごめんよー。」

そういって、青山くんのベットに入る。彼の匂いがたくさんした。
タオルケットにうずくまると、彼が隣で寝てるみたいでドキドキする。すごく安心するよ…このまま寝れそう。青山くんに包まれながら、私はうとうとと、睡魔に襲われていた

No.114

でも、のの子に泊まりのことは伝えられなかった。
何故だろう。どこかで罪悪感があったからだと思う。楽しみでいる自分で圧倒されてるけど、私の今までの理性が、「ダメだよ。」って言ってる。

別の日に花代と会うことになった。
だから、花代にも今までのことと、のの子言えなかったお泊りのことを話した。

「えー!まじで??そんなとこまでいっちゃったのぉー?きゃー!」
なんだか嬉しそうな反応をした。

「どうだと思う?わたしたち。」

「話だけ聞いてると、初々しいカップルって感じだよねぇ。
でも、青山くん、ゆいに気があるんでしょ?!シャイだから、言えないのかもしれないし。気づいてないだけじゃないかなー」

「気づいてないかー。自分に対して不器用っぽいからなぁ」

「その不器用なとこを、ゆいがカバーするんだよ。お泊まりで2人の気持ちがもっと近づくといいね。」

「だよね!気持ち近づけるために、お泊まりするんだもん。」

「あとちょっとかもしんないし!まだわかんないよー!」

花代に励まされなんだか照れ臭くなった。でも心の中で引っかかってた糸がほどけたような。
あと少しの気持ちを近づけるためにお泊まりする。そのために必要なお泊まりだから。
と自分に言い聞かせていた。


切なくて、少し苦しいけど…
あと少しかもって思えば大丈夫な気がするの。体がくっつけば、きっと何かが変わる。
私は確信していた。


お泊りの日までに私は、下着を新調し、洋服も新しく購入したり譲ってもらったりと準備をしていた。
初めてのお泊りどうなるのか、すごく楽しみでずっーとワクワクしていた。
青山くんと一日一緒にいられるだけでも嬉しいのに!だから幸せな日にするって期待してる。

No.113

「うん。マジ。初体験は中2だからねー。今思うとなんでかなーって感じするけど。
相手は社会人だったから、なんでも買ってくれたんだよね」

そんな過去があったとは知らなかったのでビックリした。中2の時とかわわたしは家でゲームしてたかも…

「でも、わたしは本気じゃなかった。相手もきっと中学生だからってのもあったとおもうなぁ。とりあえず色んな物買ってもらって、それからお家いってエッチするみたいな。

こともあれば、他校のヤンキーのやつと付き合ってみたりー少し気になってた相手と寸前までいったとか。まぁー色々やったよ」

「の、のの子すげえ…。そんな歳からそんなことを」

「今思うと信じらんないんだよ。
青山くんは、少なからずゆいのこと気になってはいるはず。
でも彼には性的欲求と関心が高すぎると思う。
ゆいが好きだってこと知ってるから、その気持ちを逆手にとってる可能性もあるし…」

「そ、そんなことないよ!だって、彼は…彼は…」

「認めないのもわかるよ。けど、男の性的欲求は大きいんだよ?
こっちが疲れてても、もう一回挿れてもいいとかしょっちゅう!
ダメって言うと、本当はしてほしいんだろって勘違いするんだよねバカは。」

のの子は大きなため息をついた。
わたしを見てこう言う

「ゆい、辛くないの?」

心に突き刺さる。
図星だったからだ。彼とイチャイチャしてるときは楽しい。けど関係性のこと考えると、辛くなる。

「辛いけど。辛いけど、ここまできたら引き下がれない。今更戻れない。わたし、それでも青山くんが振り向いてくれるかもっていう期待に信じてんの。
可能性があるなら、それにかけたいの。」

「ゆいがこの先彼と付き合っていくならだけど、気持ちとかはハッキリしとかないとね。
彼がゆいのこと、いいお友達って思ってるみたいだけど、今は違うよ。一人の女として見てる。じゃなきゃ、こんなことにならないはずだよ?この関係性のままでもいいよって言うなら、わたしは止めないし。」

「のの子…」

「でもね、1番辛いのはあんたなんだから。振り回されてるようなもんだよ?話聞いてると、彼のことイライラする。
ハッキリ本心言わないとことか、本当に前からなんだよね!あー!」

彼はなに考えてるの分からない。それに気分屋だ。わたしを襲いたくなったのも気分なのかもと思うと辛い。わたしの気持ちだけ一方通行って切ない。
でも諦めたくなかった。ここまで接近できたのは初めてだから。

「のの子ありがとう。なんだか楽になった!」

「それなら良かったー。もう、それか違う恋に走ってもいいんだよ?
もっともっーーーと遊びなさい椎名さん笑」

「のの子に椎名さんって呼ばれると、キモい」

「はぁ?なにそれー!ひどいなー!!」

たまには友達とこうやって話すのもすごく楽しい。予備校では友達作るつもりないから、一人でいる。ほぼ毎日会話をしない夏休み。青山くんとは話すけど…
のの子に感謝したい気持ちでいっぱいになった。

No.112

私はのの子に久々に会った。二人で買い物することになったからだ。
特に買いたい物はなかったが、とりあえず私の話がメインということで、ファーストフード店に入り、端っこの席でガールズトークを始めた。

「で、夏休みに入って青山くんとなんだか色々あるようだけど、どーしたのぉー?」

私は公園のことから家に遊びに行ったことまで簡単に説明した。
体に触れられたことものの子には伝えた。
彼女は終始ビックリしていて
「あの青山くんが?!そんな野獣だったけ?!え?!!!」
とすごく驚いていた。

「で、あんたらはイチャイチャするまでな関係になったってわけか…。なんだか凄いことになっちゃったわねぇ」

「うん、私も…予想出来なかった」

「まぁ、ずっーーと好きな相手だった上に、あの一匹狼でなに考えてんだか分からないアイツにねー。襲われるなんてあんま考えたくないわ」

「でさ、こっからが相談なんだけど…あ、青山くんって結局わたしのことどうなんだと思う?わたし分からないの。
もっと一緒にいたいとか、帰り際に寂しそうに帰るの?って言われたこととか、初めてなのに私に沢山迫ってきたこととか…。」

「男性は、女性よりもあんま初めてとかそうゆうの気にしない人は多いみたいだよ。行為が目的っていうか。それをすることによって、欲求解消!みたいな。
だから、初だとかそういうことは、考えないほうがいいよ」

ポテトで私を指しながら語った。

「そうなんだろうか…私は初めてな相手だって聞いた時は飛ぶほど嬉しかった」

「わかるよ。好きな人の初めてだもんね。私がこれから愛してあげるんだっ♥︎って思うとテンション上がるもん。
まぁー今のあんたらはイチャイチャする友達って感じだよね。
お互いのこと信用してるけど、関係の名称が定まってないでフワフワっーてしてる」

「的確すぎてなんも言えないわ
…」

「わたしは昔遊んでたからね結構笑 弓道部に入って半年したら改心したよ。マジで不思議すぎるー」

「え?遊び人だったの?!!」

No.111

しばらく抱きしめていてくれた。
幸せだ。飛んでいける。
彼がこっちを見て
「俺、椎名さんともっと一緒にいたいなー」
私は心臓が飛びてるかとおもった。
なんて嬉しい言葉。

「わたしも、わたしも一緒いたい。もっと、たくさん。青山くんと一緒にいたいよ」

「でも、もうすぐ帰るんだよね?」

「う、うん。親が…うるさいから。本当は帰りたくはない…」

「ねぇ、8月の○○日空いてる?」

「え?あーその日は、特になかったけど」

「泊まりこない?」




え?泊り?

「泊まれたら、椎名さんともっと一緒にいれる。それに、もっとイチャイチャできる。親たちは、旅行行っちゃってるから、いないんだ。だから、2人っきりだよ」

「まじて?と、泊まっていいなら泊まりたい。けど…泊まるってこと…は、その…それ以上しちゃうの??」

恥ずかしがりながら、聞いてみる

「我慢できなくて、そうなっちゃうかも……しれないね?否定は出来ないな」

私を見つめる。
好きな人とお泊り。これ以上ない幸せ。至福の時間。彼をもっーーーと独占できる。もっと彼といれる。

私は青山くんに襲われてから、心の底ではこう思っていた
「青山くんに初めてあげてもいい。」と。

大好きな人に初めてをあげたい。彼は当てはまっていた。ただ、恋人の関係ではないだけで。
でも、彼は私を求めてる。だから応えたい

「わたし、青山くんが…あなたが、初めてなら嫌じゃ…ない」

「え??!」

「あなたが初めての相手なら嬉しい。青山くんもしたことないんでしょ?私が初めての人になるんだよね?」

「そうなったら、椎名さんが初めての相手だよ。」

「わたし、SEXしてもいいよ。青山くんなら。青山くんにとっての初めてにもなれるなら」

「嬉しい…。俺なんかでいいの?」

「うん。青山くんだから…」

「止まらないよ?止めても止まらないからな」

「わかってる。だから、お泊りしてもっと近づきたい」

何を言ってるんだろ。と思いつつも、これが私の本心。
彼の初めてももらえる。プレミアムだ。嬉しい嬉しい。

「人を泊まらせるのも久々だなぁ。しかも女の子泊めたことないから緊張するかも」

「わたしも男子の家に泊まったことないから、そのー緊張しちゃうかも」

お互い顔を見合わせてへへっと笑う。これが恋人だったら。
私たちはなんて言うんだろう。友達以上恋人未満ってやつか!?
それでも楽しかった。幸せだった。

No.110

「でもいつかは、誰かに貫通させられちゃうんだよ?今のうちに慣れといても、大丈夫じゃない?」

「それは将来的な話であって、今は無理だよ!さっきだって痛かったもん。」

「じゃあゆっくりしてみるね」

そういってまた指を入れてきた。
本当に痛かった。何も知らない体にはきつい。処女にはきつい!
処女卒業したひとは、これ以上のものを入れているのかと思うと尊敬するわ、
本当に痛いから、「痛いからやめて!お願いだから。」

と伝えても、大丈夫だよ。最初だけだといって、そのまま行為を続ける。
「痛い痛い!指いたい!入んない!きっつい!むりむり!!!!」

必死に伝えても、彼は性欲で理性がぶっ飛んでるらしい。私の言葉をむなしく、無理矢理指を入れてきた


「いっ………っつぁ…。い、いだい」

「そんなに?そこまで?」

「…うん、痛いよ。やめて、マジで。」

青山くんは残念そうにすると指を抜いた。その時も再び激痛が走る。
呻いている私に「締まりよさそうで、綺麗だったよ」
といってきたが、正直どーでもいい。痛い痛い。
少し涙が出た。痛いといってるのに、やめてくれない彼への怒りと普通に痛かったていうことに涙がでる。

「ごめん、椎名さん…周りが見えてなかった」

そういって、私を抱きしめる。
落ち着く。好きな人の胸の中は落ち着く。
痛みはあるが、少し和らいだ。ぎゅーっと抱きしめてくれることが、なによりも幸せだから。どうして、こんなことで許してしまうんだろう。
彼だから?彼が特別だからなのかな?

No.109

前回と同じように私は彼に体を預けてしまった。
キスをすると頭がふわふわとする。
私の気持ちも一緒に流れ込んでほしい。私は精一杯キスをした。
青山が絡みつく。もっと欲しいな。もっと触れたいな。
欲求だらけの私に彼の優しい愛撫が私の胸を締め付ける。

ねぇ、どう思ってるの?
私は幸せだよ。好きな人とイチャイチャできて幸せ。すごく幸せ。
あなたはどうなの?
こんなことするのは、私だからなのかな。期待してもいいのかな。

もっと欲しい。体がどんどん火照ってきた。
「ねえ、触っても…いい?」

そういって私の下半身を撫でる。
正直抵抗はあった。けど、彼が欲しい。もっとしたいという欲求のほうが強くて、私は頷いてしまった。

スカートの中に手をいれ、下着の上から触られる。くすぐったくて、触られるところが熱い。
なんだなモゾモゾする。

「直接触ってもいい??」

「ん、ううーーん…でも、汚いし…こ、怖いよ」

「大丈夫。汚くないよ」

そういって、私の頬にキスをした。
断れないじゃない。そんなことされたら。私は再び頷いた。
青山くんの手が伸びる。初めて男の人に触られる…緊張する。

そして、敏感なところを触れる。
私は変な声がでた。
思わずびっくりして、顔を隠す。
そのまま彼の手は動く。なんだか、気持ちいいかもしれない…?
恥ずかしさと気持ちよさで、心はぐちゃぐちゃだ。
時折、彼はどうかな?って尋ねるけど返答する余裕がなかった。




チクッ!!



「い、痛い!!な、なに??」

「ある程度湿ってるから、指入れられそうだなって。ね」

「え!痛いよ。やだよ。それは嫌だ!」

No.108

私はスイッチが入ったように、次は首筋を舐め、肩を舐めてみたりと愛撫をしてみた。
声を殺しているのが、なんとも言えない。我慢してるのがかわいい。

好きな人の体舐められるなんて最高だ。私は幸せすぎる。
鎖骨やお腹、胸まで愛撫した。
わたしは舌がもともと長いので、舌先を使って何かをするのが得意だった。
スパゲティをくるくるしたり、ブドウの皮を剥いたりと色々器用な事は昔からできる。

巧みにうごく舌先に青山くんも堕ちていき、声にならぬ声を出している。
もし、お互いの性別が違っていたら、わたしは青山くんを襲っていたわ。男性側に立つってこんなに相手がかわいいって思えるんだなぁ。

「椎名さん…」

「どしたん?」

「下も…」

といって、私の手を引っ張り、股間に手を当ててきた。
わたしはとんでもなくビックリして

「ひえええええぇ!!
無理無理!!そこまで出来ない!無理無理!!」

「ここまできてそれ?ねぇ、少しでいいからさ。ズボンすっごいきつい」

「し、知らないし…」

「ズボンの上からでいいから、触って欲しいなー」

「で、でも、わたし、したことないし、なんか、やばい」

わたしが躊躇っていると、青山くんが勝手に私の手を掴み、ズボンの上に被せた。
膨れ上がっている。これは、漫画や動画と同んなじだ。
そして、熱い。ホッカイロのように、触ってると熱くなってくる。

試しに握ってみると、それは硬かった。膨張してる上に硬いので本当に気持ちよかったんだなと確認。
嬉しい。慣れない愛撫でも気持ちよかったって思ってくれたみたいで。

「はいはい、おしまーーい!
これ以上触ってても、また更なる要求がくるからおしまいです」

「ええーーー。俺ムラムラするよ…」

「私が帰った後にでも抜いてください」

「椎名さんもしてるでしょ?」

「何が?」

「ムラムラしてるでしょ?俺を襲って興奮したよね?途中からすごい気持ち良くなったもん」

二人の位置が変わる。今度は私が下だ。
「今日は楽しい一日になりそうだ」

No.107

「いざ、参る!」

私の手は震えた。緊張している。無防備に寝っ転がりやがってる彼を、この前散々いじってきたから、仕返しをしてやろうと思った。

とりあえず、頬にキスをしてみた。
ふにっと柔らかい。青山くんに頬にキスをしてしまった…もう、これだけで幸せ。
そのあとはどうしよう。頭を撫でてみた。
毛が柔らかいので、とても触り心地がよい。「よしよし」と言いながら頭を撫でると、恥ずかしそうにしてる青山くんがいて萌えた。

「次は?」

「ま、待ってよ!わたしパニクってるの!ばか!」

「耳舐めてみて?」

そういって、耳をこちらに向けた。
人の耳を舐めるのも初めてだから、なんか抵抗感あったけど、まずは手でなぞってみる。
すると、もじもじと彼は動いた。
これでも気持ちいいのか。
恐る恐る、耳たぶに口を近づけて加えてみる。プニプニにして気持ちい。

「そこじゃなくて、もうちょっと上とか…」

耳たぶはなんともないようだ。
耳の淵をなぞって舐めてみた。すると、効果抜群だったのだ。
反応が面白い。なんだか興奮してきた。
異性を襲うっていうのは、興奮してくるものなんだと理解。

私はスイッチが入ったように、次は首筋を舐め、肩を舐めてみたりと愛撫をしてみた。
声を殺しているのが、なんとも言えない。我慢してるのがかわいい。

好きな人の体舐められるなんて最高だ。私は幸せすぎる。
鎖骨やお腹、胸まで愛撫した。
わたしは舌がもともと長いので、舌先を使って何かをするのが得意だった。
スパゲティをくるくるしたり、ブドウの皮を剥いたりと色々器用な事は昔からできる。

巧みにうごく舌先に青山くんも堕ちていき、声にならぬ声を出している。
もし、お互いの性別が違っていたら、わたしは青山くんを襲っていたわ。男性側に立つってこんなに相手がかわいいって思えるんだなぁ。

No.106

青山くんと再びデートする日になった。
今回はあの怖いお母さんがいないから少し安心。青山くんの道のりは覚えていたから、一人で自転車をこいでいった。

チャイムを鳴らすとすぐに青山君がでてきた

「いらっしゃい。まってたよー」

待っててくれたんだ。なんか彼氏みたいだな。なんてことをすぐに考えてしまう。
階段を上がり青山くんの部屋に行こうと思ったが、一階がどうしても気になったので、ちらっとのぞいてみた。
玄関からすぐの扉はリビングになっていて、ステンドグラスで作ったランプやら、アンティーク調の食器棚があった。カタログに載ってそうなお家だなー本当。

再び青山君の部屋に入るわけだが、緊張はあまりしなかった。
きっと何かしてかるかもしれないってことは想定内だし。とりあえず、ゲームしよ!ゲーム

「青山くん、ゲームどこ?早くやりたいよー楽しみにしてきたんだよ」

「それが、その…この前急に花崎に貸してくれって言われて、貸しちゃったんだよね…」

「は?」

花崎あいつ本当に空気よめない。益々嫌いになった。

「ごめんね。どうしても!ていうからさ…」

「あ、あははは。仕方ないねー。お友達の頼み事だしね。まぁ、違うゲームでもいいよ」

「そうだねー。じゃあ、腕相撲しよ」

「な、なんで??」

「腕相撲して勝ったほうが、やりたいこと決めるってのはどう?各々したいことあるだろうし。
あ、椎名さんは両手使ってきていいから」

「んーまぁ、いいけど。」

とりあえずやることもないから、腕相撲をやってみた。
お互いの手を見つめ会い、私の合図でゲームはスタートした。

両手を使って青山くんの腕をねじ伏せようとする。
が、強固な腕はなかなか倒れなかった。むしろ圧倒され、じりじりと迫ってくる

「んな、ばかな!!」
わたしが力いっぱい反対方向へ押し返すも、あけっけなくバタン!と私の腕は崩れ落ちた…

「そもそも、男子と女子じゃ力が違うっつーの!卑怯!」

「負け惜しみですな?いけませんよー。そんなんじゃ。じゃっ!俺の勝ちってことで。従ってもらうよ」

ニコニコとしながら何かを企んでいる。
「じゃあ、俺を襲ってください」


「え??」

「椎名さんこのまえ、散々マグロだったじゃん。俺も女の子に襲われてみたい」

「あれは、そっちが勝手にやってきたじゃん!!私は知らないし…」

「俺が勝ったんだから、言うこと聞いてよ」

「襲うってさ…ど、どうすればいいのさ。わたし、本当にわかんないんだよ??なに、首とか舐めればいいの?」

「うん、そうそう。俺、ベッドで寝てるからやってみて」


ベッドでくつろぐ青山くん。
わたしは複雑な心境。襲ってもいいけど、どうしたら…むしろ夢にまで見た瞬間。
私はふと、アンアンを読んだことを思い出した。そいえばテクニックとか書いてあったなー。
青山くんを気持ち良くさせれば、私に陶酔するかもしれない。なんてことを思いながら青山くんの上に被さった。

No.105

わたしは予備校でボーッとしていた。教科書にむかって、青山くんを想像する。教科書の文字が、青山くんの言葉のように見えてきた

*ゆいさん
*安心するから…
*本当に帰っちゃうの?

色んな言葉が頭に溢れる。
あーーー集中できないよ!!これじゃやばいって。頭から全く離れない。今度あった時はどうなってしまうんだろう…と想像したらもっとドキドキしてくる。

このまえは青山くんが誘ってくれたし、今度は私が誘う番だよね…?
でも、どうやって誘えばいいのだろうか。

私は青山くんを求めてる。心も体も青山くんでいっぱいだ。でも足りない。
ノートに色々デート案を書き出してみた。

○再び公園でお話する
○カラオケいく
○映画をみる

カラオケだったら2人っきりになれるから…いいかも
って、何考えてんだろう!!!
書いたデート案を消しゴムで消す。
青山くんはどう思ってるんだろう。
また会いたいのかな?


私はあの日以来久しぶりにメールをしてみた

<<やっほー。暑いけどバテバテになってない??
息抜きにまた、遊びませんか?公園いってもいいし、手軽な感じで会えたら嬉しいな!(^_^)

送信っと。
別に私は公園でもいいんだ。ただ、彼と話しているだけでも幸せ感じるから。返信は割と早くきた

<<やっほー。おつかれ。
うん、いいですよ。空いてる日がちょうどあるし。
公園は…そろそろマンネリじゃない?

ま、マンネリ?まじか。まだ二回しかいってないのに。早いだろう。
あんまり気乗りしなかったのかな。私は少しショックをうけた。

<<そっか、じゃあーカラオケとかー。どうですかね?
【青山くん】
<<ごめん、今月あんまりお金ないんだ。○○日は予定ある?
家に誰もいないんだけどさ。家で会わない?
【わたし】
<<え、またお家にいくのはなんだか悪いよ…。それに、また変なことするんでしょ?!
【青山くん】
<<そ、そんなことはないよー(ー ー;)
新しいゲーム買ったんだよ。椎名さんも前やりたいっていってたやつ。だから、それやらない?

わたしはそのゲームがものすごくやりたかったので、テンションが一気に上がった。
青山くんにも会えて、ゲームもできる。一石二鳥だと思い、また彼の家に行くことにしたのだ。

今度はちゃんと心構えを持って、どう対処するかイメージトレーニングをしていた。
イメージトレーニングしても、結局は流されてしまう自分が見える。惚れた弱みなんだろうな…
やっぱ逆らえないんだよ。困ったな。

No.104

「イチャイチャして、わたしなんも出来なかったけど、本当は嬉しかった。でもね、いきなりだとやっぱり、全然準備できてないからさ。青山くんが求めてくれて、わたし嬉しかった。」



「そっか。うん、わかった。

あ、飴いる?よかったらどうぞ」



そういって青山くんは小鉢に入った飴を口に入れた。

わたしは、もらうよといって、手を差し伸べた。

が、



彼は口に入っていた飴を、キスをして私に渡してきたのだ。口移しというやつだ。

「うううーー!!ふうんんんーー??!!」



「…っぷは。ふふ、お土産。今日は楽しかった。ゆいさん」



初めて下の名前で呼ばれた。嬉しくて涙が出そうだ。それより、口に入った飴が甘くて甘くて溶けてしまう。

帰り道、彼が途中まで送ると言ってきたが私は断った。一人で考えたかったからだ。

お母さんにも軽く会釈して、私は夜道を自転車でかけていく。





青山くんが触れたとこが熱い。きゅんきゅんする。唇には彼の触感がまだ残っていた。

夢にまでみた好きな人とのキス。こんな形で成立するなんて思わなかった。

飴が甘い。メロン味だこれ。 



頭の中で彼の言葉が何度も再生された。低い声で囁く甘い言葉。誘惑の言葉。

どれもこれもドキドキしてしまう。どうしようもないくらい悔しい。

そして苦しい。どうして、どうして。



駄目だとわかっていても逆らえなかった。私の体はおかしくなってしまったのかも。

”ゆいさん”

反則だ。今まで椎名さんだったのに。なんで、なんでそんなに嬉しいことばかり言うの。

振り向いてよ。私にこのまま。

私を知って、このまま堕ちてしまえ。何もわからないぐらいに。



一気にイケナイ関係になってしまったと思う。それでも諦めたくなかった。青山くんが振り向いてくれるかもっていう希望を持っていたから、私は諦めなかった。ここまできたら、やれるとこまでいく。

No.103

再び、扉がノックされた。

<ドンドン!!>



「ちょっとあんた、こっちきて!また鍵しめてーーもお!ちょっと用があるからいらっしゃい」



私は飛び起きて再び部屋の隅に隠れた。青山くんも乱れた髪を直し、嫌々ドアを開ける。

廊下に青山くんは呼び出された。お母さんがため息まじりに

「もう、何時だと思ってるの?7時よ?暗くなっちゃったじゃない。椎名さんを引き止めておくんじゃないわよ。女の子なんだから親も心配してるだろうに…。考えてるの?この時間まで引き止めておくと夜なんだから帰り危ないじゃないの。わかってんの?」



「はいはい、わかってますよ。そんなに心配しなくても大丈夫だって」



「わかってないから言ってるんじゃないのよー。椎名さん、こんな時間だけど、お母さんとかに連絡した?」



急に振られてびっくりした。

「あ、はい!大丈夫です。連絡してます。すいません、長々とお邪魔して、もう帰るんで…」



遠回しに、もう帰れ!とでも言っているんだろうか。またこんなお母さんが来られちゃこっちも心臓が持たない。





「あら、そうなの?悪かったわね。催促してるわけじゃないの。ただ、お母様とかが心配すると、こっちも困るから。連絡してるならいいわ。ごめんなさいね。」

そう言うとお母さんは立ち去っていった。



青山くんは大きなため息をついてこっちを見た。

「また邪魔されたよ…ごめんね。」



「お母さん厳しいのねーw いいんだ、私もそろそろ帰らないといけないし。ね。

青山くんに…色んなことされたから、そろそろ心臓持たないとこだったし」



荷物をまとめ、帰る準備をした。でもなんだか寂しい。さっきまで、あんなにくっついていたのに。急にシラッとした空気になってしまって。もっとくっつきたい。私の体は完全にスイッチが入ってしまってる。

荷物もまとめ終わって、じゃあっと言って立ち去ろうとしたとき



「本当にもう帰る?」



青山くんが切なそうな声で言ってきた。心がずきずきして、痛い。

どうしてそんなこと言うの?帰りたくないよ。もっと一緒にいたいよ。でも、でも。

No.102

強引にキスをされ、また力が抜けていった。だめだそれ、理性とかふっとんでしまう。

わたしの足に固いものが触れた。なんだろう、足を動かしてみるとすぐにわかった。



「んな、な、な、興奮してるの……?え、ちょ、」



「してるよそりゃ。椎名さんの反応とか見てたらな。だから、止まらないんだ。」



何度もいうが、わたしは男性経験がまっったくない。だから、高校に入ってから性的な知識をたくさん知ったし、まだ知らないこともある。

だからこそ、いま目の前で性的興奮が起きていることに口をポカンとあけて動けなくなってしまうのだ



「え、そのあの、わたし悪くないよ?!知らない知らない。だから、その許して」



何に許して欲しいのかも解らず、ただこの状況をどうにかしたいと思う。

好きな人に触られると、全部が熱くなる。くっついてるだけでも熱いのに、それ以上の興奮だ。



「触ってみたい?」



思わず吹き出してしまった。本当に理性がどっかいってしまったみたいこの人

「触れませんし、触りません!だから、さあ…」



「続きしたくないの?」



「あ……う、それは……その……。うう」



「していい?ねえ」



「あ、えっと………」



頭では駄目だってことわかっている。けど、それ以上に自分の体は彼を求めている。どうしよう。わかんない。どもっていると、青山くんはそのまま私の服をまくりあげ、色んな所を舐めていった。

くすぐったい。でもなんとなく気もちいい。再び頭が熱くなり、力がぬけて吐息がもれた。

青山くんは定期的に「どう?ねえ」「気もちいい?」とか聞いてくる。わたしには答える余裕がない。

だから顔を隠して何も見ない状態でいた。



「なんで隠すの、見せて下さい」



「い、いやです…。むり。」



彼が私の手を舐めた。びっくりして手の力が緩んだ瞬間、またキスをされた。激しい。私は圧倒されっぱなしで、本当にマグロ状態。キスをする度、青山くんが近くにいて安心してくる。

ずっと好きだった彼が、キスをしてくる。好きな気持ちがドンドン溢れてきて、私は彼の背中に手を伸ばし抱きしめた。



好きだ好きだ好きだ。



わたしもあなたのことが知りたい。少しでも、わたしを愛しいを思ってくれてるのなら私はあなたに捧げていい。

キスをしているだけで、本当の恋人のようだと思った。

恋人になれないなら、青山くんが恋愛をわかってくれるまで待つ。今の青山くんには解らないんだろう。だったら私が、解らせてやる。だから、私を頼ってほしい。求めてほしい。キスするだけでもあなたにこの気持ちがどんどん流れ込んでいきますように。そして、本当の気持ちに向き合ってくれますように。



イチャイチャしてるだけでも、時間が経つのはものすごく早かった。

No.101

何事もなかったかのように部屋を出て行ってしまった。私はふうーーと大きなため息をつく。

疲れた。青山くんがいきなり襲ってきた出来事にも驚いたし、お母さんが突然来て息子に怒るシーンも見た。

手にもってた教科書は青山くんので、すぐ近くにあったから咄嗟の判断で切り抜けられたもんだ。教科書を投げ捨て、机にうずくまった。

「もう…なんなん……。はああ。驚きの連続だよ」



「ごめん、いきなり母さんが来て。いつもあんな感じだから」



「いきなり息子の部屋にくるのかあのお母さん?」



「そうなんだよね。困るよ本当に。だから鍵かけてるんだけど、かけてると怒るんだ。いっつも。本当にうるさいよね。」

言葉には怒りがこめられていた。あんなお母さんだったら、誰でも一人になりたくなりますよね一人暮らししたい理由に納得。



「とりあえず、わたし疲れた。色々。青山くんがいきなり変なことしてくるから………って!うわあああ!」



彼は私の腕をひっぱり、どこかに連れて行く。私を思いっきりベッドに叩き付けた。

「な、なにすんの!わたし、恥ずかしいからって何度も言ったよ」



「さっきの続きしたい。ねえ、」



そしてわたしの耳元でこう呟く

「椎名さんもそうでしょ?」

No.100

すると、急に青山くんが離れた。



「椎名さん、部屋の隅っこいって」



「え?」



下から足音が聞こえてきた。お母さんが近づいてきたのだ。

慌てて、部屋の隅っこにいき、乱れた服と髪を直した。



<トントン>

「ちょっとーー……。ん、なんであんた部屋に鍵しめてんのよ!なに考えてんの?」



お母さんはそのままノックをし続けた。



「母さんなんだよ!いま、勉強してるから鍵かけてるだけじゃん」



「あんた変なことしてないでしょうね?勉強するなら鍵なんてかけなくていいじゃない」



「母さん急に部屋くるじゃん。困るから」



「開けなさい!開けなさいよ。ねえ、ちょっと。開けなさい!開けなさいよ!」



ドンドンと扉をノックする。開けなさいと何度も連呼し、その度に扉が揺れる。恐い。ここまで迫ってくるのか。他人がいるのに、ここまでやられるとさすがに気が引ける。

身だしなみは整えたけど、この状況お母さんに言ったほうがいいのかな…





「あ、あのお…!わたしたち、勉強してるんで!その、心配なさらず!!」



と私が叫ぶ。青山くんはきょとんとした顔でこっちを見た。とりあえず開ければ?と小声で彼に伝える。

けど、表情が暗い。そうはしたくないようだ



「椎名さんが心配しちゃったじゃないの。あんた、とりあえず開けてよ。私お菓子と飲み物もってきたんだから。開けて!」

渋々、青山くんはドアを開けた。



お母さんはぎろっとした目つきで私を見た。私は既に座って、机に向かって教科書をよんでいる。その様子を見て安心したのだろうか、優しい声のトーンに変わった

「ならいいんだけどね。ほら、お菓子切れたと思って持ってきたのよ。お客さんなんだから、飲み物とか切らせちゃいけないでしょ?何回言ってもわかんないんだからー。あんたわかってるわよね?変な事はおこさないように」



わたしがいる前で”変なことすんな”と言われると、なんだか嫌な気分になった。まるで私が誘惑してあなたの息子さんを食っちまいますよーって思われてるみたいな。まあ、男女が一緒にいるから余計に心配してるのはわかるけど。やっぱり、このお母さん苦手だ。

No.99

彼が私の上の服をまくりあげて私の胸を見ようとした。ブラジャーにそっと手を伸ばす。



「本当に、柔らかいんだね…。すごい」



「はがっ……ら、らへだよ。ひょんな…、ねえ!」



止まらない。彼はわたしの言葉を無視し、ブラジャーをとってしまう。男の人に初めて直で触られた。

けど、きもちよくない。漫画とか動画とかだと胸触られただけで、女の人は喘いでるのにわたしは違った。なんとも思わない。緊張しすぎて、感じるとかできない。恥ずかしい、恥ずかしい。恥ずかしいからもう止めて下さい。

青山くんの手が下に伸びていく。まさか!?



「ふんんん!!……っぷは!それは、そこだけは!だめ!」

口の中にあった指を出し、強い口調で言った。

そこまで準備できていない。なにより、キスだけでもこんな恥ずかしいのに。いきなり胸まで見られて耐えられない。



「ごめん、でもやっぱ気になって。どうなってるのかなってね」



「そんなん、知りません!ううっ!な、なんで背中舐めるの?くすぐったい!」



「だから、声おおきいって」



そういうと次は唇でふさぎ込んできた。

あっ!と思っているうちに、口の中ににゅるっとした物がもぞもぞ動く。

舌が入ってるとはこうゆう感覚なのか。キスをされると、また力が抜けていった。今度は頭もボーっとしてきて、ここちよい気分になった。もうこのままでいいかも。力が抜け、崩れ落ちる。

そこに青山くんが被さる。



このまま襲われててもいいや。私の理性はどっかに消えていた


No.98

柔らかい。人の唇とはこんなに柔らかいのか。

重ねただけなのに、急にスイッチが入ったみたいに体から力が抜けていく。

力が入らない。抵抗しようともできない。彼は口を開けて舌をいれようとするが、そこまでいきなりできないから必死で口を塞いだ。



次に首筋を舐められる。味わったことのない快感が体にはしった。声にならぬ声が漏れる。

恥ずかしい。やめて、もう恥ずかしいからやめて。いきなりこんなこと、無理だよ。

彼の手が私の胸に触れた。



「あ、青山くん!本当に!だめだよ!どこまでするきなの!!!」



「………どこまでだろう…。できるとこまで」



「馬鹿なの?!わたし色々初めてなんだよ!キスとか、襲われるとか!…っはう!」



「俺も初めてだよ。やり方とかよく解んないし。きもちよくない?」



「そ、そんなことはない…って、そうゆう問題じゃないの!」



わたしは力いっぱい青山くんを押しのけた。起き上がり、青山くんから離れようと部屋の端っこにいこうとする。

が、すぐに掴まれて、青山くんが後ろから抱きしめてきた。



「逃がさないよーーっ。ね?」

そう言って私の体を抱きしめ、また触り始めた。男を知らない私は、動揺してどうしたらいいかわかんない。

逃げたいと思う自分と、このまま襲われてもいいやって思う自分がいる。理性があるうちに、わたしは逃げ出したいと思った。けど、予想以上につかまえる力が強くて抗えない。



長谷川にも前襲われかけたけど、その時は恐怖しかなかった。本当に恐かったんだ。

けど、今は違う。むしろ、ドキドキして気分が舞い上がってるようだ。

そんなことを考えてるうちにも青山くんの手は止まらない。再び胸を服の上から触ってきた。



「だ、だめだよ!わたし、青山くんのこと………好きだから、こんなことされると本当に……うう」



「大きいこえだしちゃ駄目だよ?下には母さんいるから。」



そう言って、私の口の中に指をそっと入れてきた。口の中で指が動く。なんだか気持ち悪いようないいような。

No.97

「え?なにがどうして?え?ってちょっ…まっ…。うう!」

慣れない手つきで私の体を撫で始めた。耳元には青山くんの吐息がかかる。そして、ヌルッとした感触が耳に伝わった。

「ひゃああ!な、なにい?うっ……!」

耳を舐められた事がないから、このくすぐったい感じがびっくりした。
体を触られてるのも初めてで、どう対処していいかわかんない。気もちいいとか、そういうのわからなくて心臓が爆発しそうだ。青山くんに触られてる、襲われてる、押し倒されてる。一気に色んなことが起こった。

青山くんの顔が私に近づく。私の唇に手を当てるとそのまま青山くんの唇も迫ってきて、

「ちょおおおおおお!!!!ま、まって!き、キスは!キスは待って!いや、それ以外も!あ、甘えるってこういうことなの?ちがうでしょ」

「俺、ドキドキして我慢できない。椎名さんが部屋に入ったときからずっと」

吐息が熱い。顔がマジだ。好きな人に襲われるとか漫画じゃないの?でも現実におきている。
「でも、わたしたち、つき合ってないよ?こんなのおかしい…」

「おかしいけど、止まらない。もっと椎名さんが知りたい」
耳元で囁かれた。私は耐えられなかった。急に体がぽかぽかしてきて、自分も彼を欲してることがわかる。でも、このままいくとおかしい。駄目だってこともわかる。友だち同士なのに、体触られるとか、どうしてかわかんない。でも、青山くんは、私で欲情してるんだ。私を求めてる。
逆らえない。ずっと好きだったんだ…。こうやって0距離でいられることが、どんなに幸せか。わたしはこれでも十分なのに。

青山くんがまた顔を近づけてきた
「青山くん!冷静になって!わたし、このままされると、頭の中おかしくなりそう」

「なっていいよ…」

「なにいってんの?!つき合ってないのに、そんなキスなんてできないです。嬉しいけど、違うよ。恥ずかしいよ」

「俺のこと嫌いになってもいい。嫌いでもいいから。甘えさせて」

「嫌いなんか今更、なれるか馬鹿!本当に待って!心の準備が全くもってされてないんですよお!!!」

「それでもいいよ」


「まっ…………っ……!?……ふっぅう…ぐぐ」



ファーストキスは青山くんに奪われた。あっけなく。

No.96

度肝を抜かれた。彼からそんなことを言ってくるとは。思わなかった。
甘えるってことは、なんだ、膝枕とか肩に頭のっけるとかそういうことなのかな?

「嫌じゃないよ。私なんかでよければ、どうぞ甘えてくださいな」
そういった自分も恥ずかしい。けど、嫌じゃない。むしろ大歓迎だ。

ありがとうと呟くと、彼は私の肩に頭を乗せてきた。どうしよう、すごく頭撫でたい。むしゃくしゃにしたい。
男の人に初めて頭乗っけられたから、すごく興奮する。そしてかわいい。
こんなにかわいく思えるんだ。不思議。いつも強がってる一匹狼くんが、こんな風に私によりかかってるなんて…。我慢できずに、わたしは頭を撫でた。

「わしゃわしゃ。こうやって寄りかかる青山くんってかわいいね♥」

というと、ますます体重をかけてきた。顔を私の肩にうずめ「んーーー」とうなってる。どうしようもなく、愛おしいし、ドキドキする。でも、お母さんが下にはいるんだ。寄り添うぐらいなら、問題ないよね?
と自分に言い聞かせていた。

「やばいな…」

青山くんが低い声でつぶやく。顔が見えないからどんな表情かも伺えない。

「どうしたの?青山くん………」











<ガバっ!!!!>





青山くんが目の前にいる。いや、天井に青山くんがいる。
わたしはさっきまで座っていたのに、なぜか床にいる。押し倒されている。
声が出なかった。スローモーションのようにわたしは倒れ込んでいった気がする。

「俺、もっと甘えたい。椎名さん、もう、限界だ」

No.95

「ありがと。やっぱ椎名さんは積極的な人だよ」
そう言って笑うと、私の隣にきた。

近い。けど、なんともいえない距離感。急にドキドキしてきた

「急に隣にきて、なんですか?」

「ん?いや、なんとなく落ち着くから。隣に」

わたしは頬が緩んだ。落ち着くとか、反則すぎる。狙ってるのかこいつ。
「でさ、恋愛恐いとか言ってる俺が、寂しいとか思うのがなんか矛盾してて。困るんだよな」

「確かに。寂しいって思うのはーやっぱお年だから!かなw 恋愛したいとか思わないの?」

「思うけど…。今は受験があるから、そっちに行く勇気がないんだ。」

「もっと積極的にいかないといけないぞー。青山くん草食系なんだか、肉食なんだからわからんな。
急に抱きしめたりするから、わたしびっくりしちゃうよ。」

「…安心するから」



「へ?」



「椎名さんと一緒いたら、安心しちゃってさ。だから抱きしめたくなったんだよあのとき。いきなりで申し訳なかったけど」

安心するって言葉が胸に突き刺さり、きゅんきゅんした。自覚してるのかこいつ?一気に鼓動が早くなる

「な、なにそれ!ますます意味わかんない!」

「ごめん…。  あのさ、もしだけど、」

「うん?」

口元がもごもごしている。体操座りをして、言おうか言わないか迷ってる
「椎名さんが嫌じゃなきゃ、今、甘えていいかな?」

No.94

青山くんが用意してくれた小さいケーキを口にし、なにを話そうか迷っていた。
ちらっと彼をみると、いつもよりなんか落ち着きがない。何か言い足そうな顔をしていて、グラスに触ったりケーキつっついたりしてた。

「青山くん、大丈夫?」

「あ!うん、ごめんね;女の子部屋に呼ぶとかいつぶりだろうなーーってさ」

「わたしも男子の部屋入るのは中学生以来だから正直緊張はしてるよ。だから一緒だよ」

「ま、まじか!俺だけじゃなかったんですね。ちょっと安心。」

「それにしても、部屋の数多くない?1階はちらっとしか
見てないけど、2階いくつ部屋あるのさ」

「うーん、小さい部屋とかいれると5部屋かな」

「5こもあんの?!!普通じゃない!」

「まあ、両親共働きだし、じいちゃんばあちゃんもいるから、部屋の数多くなっちゃったんじゃないかなあ?」

わたしたちはそれから、予備校とか志望校の話をしたり部活の話(思い出話)をして盛り上がった。
予備校はお互い大変だねって話になり、青山くんも文系だけど、また分野が違うから勉強してることが違う。情報交換をしあっていた。

「そいえばさ、椎名さんは寂しくなったりしないの?」

急な話で驚いた。「寂しい?まあ、友だちには夏休み中会ってないから寂しいな」

「そうじゃなく、なんだろ。安心できる人がいて欲しい寂しさかな」

「ああ、人肌的な寂しさはもちろんあるよ。彼氏もいないわけだしね。埋めてくれる相手募集中ですw」

「やっぱあるよね。そういうの。俺もあるんだ。」

青山くんがこんな話するの珍しいから、すごく気になった
「青山くんも寂しいんだ?甘えたいとか?」

「うん、まあね。恥ずかしいけど。甘えたい時ってあるなやっぱり。」

「そうだよねー。特に好きな人には甘えたいかなっておもうけど」
とわたしは青山くんをわざと見つめる。青山くんは恥ずかしそうに目をそらした

「でも、俺、好きになるとか…できなくて。恋愛恐いんだよね」

「こわいの…?」

「うん、昔の話だけど、好きな人がいて両思いだったんだ。お互い小学生だから手をつなぐぐらいしかできなかったけど。それでも嬉しかったし。
けどな、その子が急死しちゃったんだよ。事故で。」

「え!?そんなことがあったの」

「それ以来、全力で好きになるっていうのが恐いし、恋愛っていうのがわからなくなった。好きとか思うけど、それは恋愛的な好きとは違ったりしてさ。俺、わかんないんだよね。小学生の頃の出来事を未だに引きずってるのもよくないってわかってるけど…。どうしてもね」

「そうだったんだ…。つき合うと死ぬとかおもうわけ?」

少し顔が強ばる。
「否定はできないかな。」

「でも、簡単に人は死なないよ。その子は事故だったから本当に気の毒だと思う。でも、死ぬことばかり考えてたら、生きてくのも辛くなるじゃん。それに、わたしは死なないよ。まだやりたいことたくさんあるし!」

聞かれてもいないけど、わたしは青山くんと一緒にいたいって意味を込めて”死なない”と言った。死ぬことが彼を引き止めてるなら、そうじゃないって言うしか方法がないから。青山くんには踏み出してほしい。

No.93

青山くんの家にいく当日になった。どきどきというより、ワクワクの方がしている。
どんな家なんだろう…。わたしは最寄り駅で待ち合わせしていたので、そこで青山くんと合流し、自転車で彼の家に向かった

「わたしなんか誘ってくれてありがとうね」

「いえいえ、こっちこそいきなりだったのに、来てくれてありがと!」

「このまえ行った公園から近いんだっけ?」

「そうそう!だから、少しは道わかるかな?」

このまえ行った公園から約10分ぐらいの所に青山くん家があった。
一軒家だ。わたしは息を飲んだ。

「ひ、ひ、ひろ…」

昔ながらの庭があり、家は横に広がっている。車が3台も止まっていてたから敷地も広いのだろう。
田舎にあるわけじゃないから、土地代も高いところのはず!
少なからず、金持ちだと思った。

「ご両親は、なにしているの??」

「二人とも働いてて、公務員だよ」

ああ…だからこんなに広い家…。少しなっとくした。
門をくぐると立派な扉がある。扉を開けると、何人も靴が置けそうなぐらいの大きな玄関がだった。
公民館のような玄関といえばいいのだろうか。普通の家の2倍ぐらいはある。中の作りは和風で、見た目とは違った。わたしが小さい声でお邪魔しまーすと言うと、奥から誰か来た。

青山くんのお母さんだ。髪の毛にはパーマがかかっていて、華奢な人だった。服装もお洒落だ。
「あら、こんにちは。いらっしゃい。あれ、もう一人は?サトウ君もくるんじゃないの?」

どうやら、お母さんにはサトウと3人で勉強会をすると伝えていたようだ。
「サトウ急に予備校の予定はいったから行けなくなったんだ」

「あ、そう。あんたうるさくしないでね。いつも音楽とか大きな音でかけてんだから。
あ、あと椎名さん?だっけ?部活一緒だったのねえ」

「あ、はい!そうです。こんにちは。」

「なんもないけど、ゆっくりしてって。ちゃんと勉強するのよ?」

お母さんの雰囲気は少し恐かった。気が強いというか、自分にかなり自信をもってるタイプの人の顔だ。
少し距離を置きたくなる。


青山くんの部屋は二階にあって、立派な階段を上ると、奥のほうに部屋が何個もあった。
その中のひとつが彼の部屋だ。入ると、和室で掛け軸やら、アニメのポスターが綺麗に飾ってある。
模造刀のようなものも飾ってあったから、かなり和風のものがすきなんだと思った。

「すごい、和室だね」

「あ、うん。俺、和風の物が好きでさ。じいちゃんとかがいらないって言ったやつは、もらってるんだよ。掛け軸とかよくわかんないけど、なんか様になるでしょ?」

「うん、確かに笑 かなり広くて驚いたよ」

「たいしたことない家だよ。あ、飲み物もってくるから、まってて」

といって部屋から出ていった。
下からはお母さんの声が聞こえる。なんか持っていきなさいよあんた!はやくしなさい!みたいなことが聞こえる。私はあのお母さん苦手だな…。なんというか、オーラが強いから。青山くんが窮屈だと思うのも、なんとなくわかるような。とにかく家と部屋が大きすぎて落ち着かなかった。

No.92

また抱きしめられてしまった。
2回目。

青山くんがわたしから離れると、何事もなかったように「さ、帰ろう」といって歩き出した。
急に人が変わったように、積極的になった彼。
理解できない。
わたしが今まで知っていた青山くんは、もっとシャイで奥手で、いつも一匹狼で…。
二人きりになると見せる一面なのか?なにそれ、アニメみたいじゃん!

彼の気まぐれなのか、本気なのか。わからないけど、私は喜んでいる。すごく喜んでる。
だって顔がにやけてしまうから。


「テストも終わってもう夏休みだねーー。予備校行く事になるからめんどくさいな」
と青山くんが愚痴をもらす

「わたしも行くから、満喫できるかどうか…。夏休みか…。あ、あの、」

「うん??」

「ひ、暇な日があったらまた、遊べたらいいな!!って」

「うん、そうだね。暇な日程あったらメールするね」

「ま、まじで!?嬉しい」

「予備校いってばかりも飽きるしな。予定合ったら遊ぼう」



また会えるかもしれない。しかも夏休みに!部活終わってしまったから、夏休みあえることないだろうっって思っていたけど、そんなことなかった。チャンスは回ってくるんだね!!!
わたしは夏休みを有意義にすごせそうだと確信した。


<夏休み>

毎日予備校に通っている。わたしは午前中に集中講座があるから、だいたい午後か夕方ぐらいには終了。
文系の大学を目指してるから、毎日文系づくしだった。
青山くんからメールはくるのかな?毎日期待していた。けれど、そう簡単に叶うものでもない。

夏休みはじまって2週間がたったとき、わたしから連絡しようと思っていた。
矢先だった。


<<青山くん
【こんにちはー。元気? 明後日て空いてるかな?前に家に遊びにいきたいって椎名さん言ってたから、もしよければ我が家に遊びにきませんか?母親がいるから、うるさいかもしんないけど、それでもよければ】


びっくりした。家に招待されてしまってるの私?どうゆうこと?
青山くんの家には妄想の中で何度も訪れた。もちろん、どんな家かも妄想の中だからわからないけど。
男子の家に行くのは小学生ぶりだ。だからその感覚でいくとお家でゲームとかするのかな?
それとも、また抱きしめられてしまうのか……?

とにかく私は男性と接することが全くないから、警戒心とかもないわけで、好きな相手から誘われたからもちろん行くことにした。
お母さんもいるし、別に変なことはないよね。あるはずがない

【遊びにいきたいですっ!】

No.91

「抱きしめなくていいんですか?おれは、もっかいしたい」

「なな、なんで?!恥ずかしい!」

「椎名さんの反応が可愛かったから。別にいやならいいんだ」


どうしよう、この展開。抱きしめられたいとは思ったけど。まさか彼から口にするなんて。普段積極的じゃないから、すごく驚いてる。

「あ、あのー、抱きしめて欲しいよ?でも、その、すごく恥ずかしいんだよ?予想以上に恥ずかしいんだよ。耐性ないから、慣れないんだよ」

「じゃあ、帰る?」

「…………それは………」

わたしは動けない。顔もみれない。下をむくしかない。
青山くんが近づいてくる。わたしの腕に触れた


「ちょっーーとたんま!!!む、むりむり!むりだよ!心臓が、死ぬから!」
耐えられない。これから、片思いしてきた大好きな人に抱きしめられるとか予想以上に苦しい。心臓が心が頭が。

「目つぶってれば、大丈夫だよ」

「そうゆう問題じゃないんだって…言ってるじゃん」

「………ったく。」


青山くんとの距離は0になった。


背中には彼の大きな腕が回っている。私の小さい体が一瞬で包み込まれた。
このまえより、抱きしめる力が強くて苦しい。
そして時間も長い。

なんで、なんでこんなことするの?わたし、益々本気になっちゃうじゃん。どんどん好きになるじゃん。
青山くんは、私をどうおもってるの???

No.90

周りには全然人がいなかった。昼ぐらいは人が結構いるようだが、夕方もすぎてくると、道も暗いので人が寄り付かない。ほぼ二人で散歩コースを独占してるようなもんだった。

暗い道のなか、二人で歩くのはとてもドキドキしてスリルがあった。
たまに触れる腕と腕がもどかしいし、近くにいるのに触れられない。なんともいえない距離にいた。
このまま青山くんに飛びつきたい。抱きしめたい。大好きっって言いたい。
暗いせいもあって、わたしは青山くんを欲していた。欲しい。全部欲しい。
私もあげるから、欲しい。性欲だろうかこれは。
ムラムラするし、イライラするし、すごくもどかしい。

つき合っていないけど、周りからみたらカップルなんだろうなーそう考えただけでも嬉しい。


幸せにひたっていると、私の携帯が連続してなった。母親からのメールだった

【ちょっと、こんな遅くなるって聞いてないよ?早く帰ってきて!】
過保護な母は、帰りが遅くなると心配する。こんなメールが3通ぐらいきてたのに、スルーしていたから、怒っているようだ。

「あ、お母さんが心配してるわ…。うち、うるさいんだよね。微妙に門限あるし;」

「あ、まじか!それじゃ、そろそろ帰らないとね」

「う、うん…。で、でもゆっくりいこ?」

「んははっ。うん、わかった」

自転車を置いたところまで戻る。その手前に噴水の広場があった。そこに着くと青山くが立ち止まった

「どうしたの?」

「…あ、いや。椎名さんは、このまま帰っても大丈夫なのかなって」

「ん??どうゆう意味??」

「このまえしたこと、しなくていいのかなって」


このまえ…まさか、抱きしめること!?
「え、え。あ、あれはその…青山くんが勢いでやったことでしょ?その、私の気持ちを考慮してというか」




「抱きしめても…いいですか?」


「は、はい?」

聞き間違えたのか?抱きしめても……いいって言ったのか?

No.89

青山くんとの会話はこのまえとあまり変わらず、雑談がメインだった。たくさん話せてとても嬉しい。
隣でこうやって話せるなんて夢みたい。このまえの出来事が本当だったのか、これも夢かもしれない。なんだか現実にはいないような気もしてきた。それぐらい、幸せでありえないことだった。

話していると、よそ見をして携帯をいじってる中学生が接近してきた。わたしらの存在に気づいていないのか、曲がって歩いてきてる。ベンチめがけて歩いてくる。
そのとき、手前にあった石に中学生が足をもっていかれ、わたしのほうに倒れこんできたのだ。

「うわあああ!!」

わたしが頭を手で守ろうとすると、青山くんが瞬時に私の肩を抱き寄せて、私は彼の胸に飛び込む形になった。


「あ、あ、すいません!俺よそ見してて!ご、ごめんなさい!」
中学生はベンチに倒れ込んだものの、大きな怪我はなかった。が、恥ずかしかったんだろう、すごく顔が真っ赤だ。すぐさまその場を離れていった

わたしはしばらく動けないでいた。青山くんに、また抱きしめられて?しまっている。でもこれは事故なわけだし…。故意にしたわけじゃない。けど、めちゃくちゃ嬉しい。このまま抱きしめられていたい。
青山くんがすっとわたしを離すと
「危なかったなーー。大丈夫?」

「あ、はい!大丈夫です!」

「なんで敬語なのw 椎名さんってさ、いいにおいすんだね」

「え?!」
わたしの頭の中は爆発しそうだった。というかしている

「さっき抱き寄せた時に、甘いというかさわやかっていうか、洗剤なのかな?優しい香りがしたから。すごいいいにおいだったよ」

「な、なにいってんの?!恥ずかしいじゃん!」

”いいにおいだね”
も今まで妄想してきた。何度も。だから、実際にこんなこと言われると相当恥ずかしくて、心がむずむずしてくる。嬉しいに恥ずかしいしで、全身がきゅんきゅんしてしまう。わたし死ぬかもしれない
そんなことを思って会話をしていたら、いつのまにか夕方になっていた。

「あーー美術館もいってみたかったなあ」

「本当?もう閉館してるかもだけど、美術館の周りも散歩コースにたいになってるから面白いよ。いってみる?」

「そうなの?じゃあ、行こう!」
まだ帰る時間ではないし、もっと一緒にいたい。わたしは美術館の散歩コースを青山くんと一緒に歩いた。

No.88

テスト勉強に集中できないでいた。原因は青山くんだ。こんなにも妄想が広がるのは久々で、また抱きしめられたらどうしようとか考えてしまう。花代に言ったら、
「ええ!?まじで!よかったじゃん。ゆいの気持ちが少なくとも伝わってグっときたんじゃないのーー?」
と、自分のことのように喜んでくれた。のの子とは反対の反応だった。

わたしはテストが終わったら青山くん!と自分を奮い立たせ、勉強に挑んだ。


<テスト終了>

私はその日のうちに彼にメールをした。

【青山くんテストお疲れさま!どうだった?
でさ、このまえ会った時に約束してたことだけど、いつ会いますか?】

<<青山くん
【お疲れ!うーん、まあまあだったな!! あ、そうだなー今週の土曜日とかどう??】
<<わたし
【空いてるよ!♪】
<<青山くん
【じゃあ、土曜日にしようか。またお話するかんじかな?そうだったら、違う公園にしない?】
<<わたし
【うん、またお話したい!!お願いします。 そうだねー違う場所でもおk】
<<青山くん
【じゃあ、俺の家の近くにある少し大きい公園があるんだけど、そこにしない?
近くに美術館もあるから、飽きたらそこ行ってもいいし笑】
<<【へー気になるな。じゃあ、その公園でいいよ!楽しみだな】


こんな感じでさくさくと話が進んでいった。
1時ぐらいに最寄り駅で待ち合わせて、自転車でその公園に行く形になった。わたしはすごく楽しみだった。こんなわくわくした気持ちは初めてだった。もし、もう一度、抱きしめられたらどうしよう…。
そんなこと、ないとおもうけどね。だってあの時は、わたしがぺらぺら喋っちゃったから…。
変な期待を持っている自分が、なんだか楽しかった。


<当日>

「青山くんっ」
自転車を押して、駅で待つ青山くんのとこに駆け寄った。
その時もまた本を読んでいて、格好が、シャツにネクタイというわたしが一番好きな格好だった。
もちろん彼には好みなど話していない。かっこよすぎて、直視できなかった。

「椎名さんこんにちはー。ん、今日はスカートにニーハイなんですな。ふふふ。」

わたしの格好を見て嬉しそうに微笑んだ。狙ってこの格好にしたかいがあった。青山くん喜んでくれてよかった。
二人で並んで自転車をこぐのは、告白したとき以来だった。
最寄り駅から公園は少し遠かったけど、そのぶん青山くんと話できたし、わたしにとってはご褒美だ。

公園につくとそこは広々とした自然公園で、複数のベンチと遊具が並んでいる。ファミリーが遠くの遊具で遊んでいたが、わたしたちが座ったところからは遠いのでさほど気にはしなかった。
「すごくいい場所だねー知らなかった!」

「帰り道とか、たまに寄るんだよね。ここで本読んだり、携帯いじったりすると落ち着くんだ」

青山くんのお気に入りの場所に招待されたわたしは、なんだか優越感に浸ってしまった。

No.87

まだ希望を捨てちゃいけないんだ。これはさらなるチャンスだ。上着ありがとう!
興奮しすぎて、思わずのの子に電話してしまった

「…もしもし。ああ、ゆい?どしたのー?今日は楽しかったのかな?」

「やばいの!!!」

「は???」

「すごく、どうしていいかわかんないの!嬉しいの!やばいの!」

「ちょっ、落ち着いてくんない?わけわかんない」

「あ、あのね、抱きしめられた!!!」

「…ん。ん??え、青山くん?」

「青山くんに抱きしめられてしまったの!!」

「えええ!!!なんで?つき合う事になったの?」

「違う。なんかよくわかんないけど、御礼らしい!」

「はあ?御礼?なんでまたそんなことを。え、でもあの人が抱きしめるとか想像できない。
ゆい、襲われたりしてない?」

「抱きしめられただけだよ!どうしよう、すごく嬉しいの!!」

「嬉しいのはわかったさ。襲われてはないのね…。ゆい、とりあえずあんま無茶しちゃだめだよ?だってどうして告白断った奴が抱きしめるのかよくわかんない。私気持ち悪い」

「多分ね、私がいままで好きだったことアピールしたからだと思うの。今までの思い伝わったよ。だから、愛おしくなったんだって。もう、頑張るしかないよ!!」


「なんだかなー。まあ、嬉しそうでなによりだけど。なんか、恐くない?わけわかんないんだけど」

「わけわかんないのは私もだよ。でも、少しは好きになってくれたかも」

のの子はなんだかか乗り気じゃない。難しい声をだして「うーーん」とうなってる。
「なに、のの子。焼きもち?!」

「んなわけあるかい!いや、まあ、いいや。とりあえず、ほどほどにね。何あるかわかんないんだから」

もっと話していたかったけど、のの子が乗り気じゃないから終わりにした。わたしは今とても幸せ。飛んでいけそう。すきな人がいるってこんなに楽しいんだね。






この時はまだ知らない。私も彼も。まだ知らない。
のの子の言葉を聞いていれば
自分を見失わなければ
変わっていたかもしれないのに。

No.86

一瞬頭の中がフリーズした。何がおきているのだろう。
なぜ、私は憧れの夢にまで見た青山くんの胸の中にいるんだろう。
そして、なぜ、なぜ?

なぜ抱きしめられているんだ?


青山くんの匂いがする。温かい。男の人に抱きしめられるってこんな…こんなにドキドキするの…?


「あ、へ?へえええええええ?????
な、なななな、なに、青山くん!?え!??」

「待って。しばらくこのままで」


「え?あ、あの…」

青山くんの吐息が近い。近すぎて体全体が高揚しているのがわかる。
こんな光景、妄想の中だけだった。青山くんに抱きしめられたらって何度も何度も思ったし、夢にもでてきた。
それが今、なぜか現実になっている。どうして

わたしは固まっていた。
10 秒ぐらいすると、青山くんがそっと離れて
「椎名さんが、ちゃんと告白してくれたのに、俺なんも答えてあげられなかったから。せめてもの御礼というか。ね!」

「お、お、御礼!?ななな、なんでいきなり、抱きしめるの?!わたし、初めて男の人に抱きしめられてしまったよ??」

「俺も初めてだよ」

「ど、どうして?御礼って?」
私は興奮のあまり、早口で青山くんに迫った

「今日話しをちゃんと聞いて、椎名さんは俺のことすごく好きでいてくれたことが嬉しかった。だから、なんというか、抱きしめたくなった。」

「だ、抱きしめられてしまった…。あ、青山くんに抱きしめられて…しまった」

「もう一回する??」

「ば、馬鹿じゃん?!心臓が持たないです!」

青山くんは楽しそうに笑った。わたしは、嬉しくてどうにかしてしまいそうだった。心のなかでは叫んでいる。

「それじゃ、またね椎名さん。気をつけて」

「うん、ま、またね」
私は青山くんに見送られながら自転車で公園を去っていった。
まだ、心臓がドキドキしてる。まだ感触が残ってる。どうしよう。
余計に好きになってしまった。
このまま友だちでとか、最後かもとか考えてたのに、本当に好きだから青山くんの側にいたい。
恋人になりたい。時間が掛かっても一緒にいたい。
抱きしめたってことは、少しでも私に好意を抱いてるってことなのかな。
それとも、今日の話で彼の中の私が変わったのかもしれない。

No.85

青山くんが私の格好をじろじろと眺める。
「な、なに??」

「いや、うん。ニーハイいいなって思って。すごく」

きっと顔が赤かっただろう。私はすぐに顔を隠した。ニーハイ好きだとは聞いていたけど、本当にほめられるとは思わなかった。ドキドキしている
「あ、ありがと…。  あ、もうこんな時間。名残惜しいけど、そろそろ帰らないと親が…」

「そうだね。だいぶ真っ暗だから気をつけて帰ったほうがいいよ。」

「ま、またテスト終わった時ね。楽しみにしてます…」

「うん、こちらこそ。楽しみにしてるよ!」

終止どきどきしっぱなしだったけど、楽しかった。お互い自転車があるところに向かおうと、ベンチから立ち上がる。私はポケットの鍵を探していた

「ん??んん?あれ、ないない。どこだああ?」
鍵が見つからない。ポケットを漁っても感触がない。
鞄も確認したけどなかった。

「もしかしてこれ??」
と青山くんが私の鍵を拾ってくれていた。どうやら立ち上がった時に落ちたようだ。

「ああ。それだ!ありがとう。」

彼の所にある鍵を私は受け取ろうとした。








え?












青山くんが私の背中に手をのばしてきた。
そのまま私が青山くんの胸の中に入るような形になった。

わたしの手を引っぱり、抱き寄せてきたのだ。

No.84

ふうっーとため息をつくと、青山くんが
「そういえば、この前の告白なんだけど…」

いきなりの話題に私は変な声が出てしまった。青山くんからふられると思わなかったから。
「え、えっとその…あの時はいきなりでごめんね」
声が小さくなってしまう

「いやいや、俺本当に嬉しかったんだって。まっすぐ告白してくれたことに感謝してるんだよ。だから、謝んないでよ。むしろ、俺のほうが…」

「あ、うん。なんとなく無理かもってわかってたから。すごく傷ついたけどね。でも仕方ないことだし…。でも、まだ青山くんのことは好きだよ」

「…っ。あは、恥ずかしいな」

青山くんは目をそらした。恥ずかしがってるところが可愛い。

「椎名さんは、いつから、そのーー俺の事そんな風に思ってたの?」

「一年生の頃から」

「えええ!!?まじで?!そんな時から!?」

「そうですよーー。だからずっと青山くんのこと好きだったんだ。だからディズニーにも誘ったり、一緒にゲームしたりしたんじゃん」

「ああ、だからディズニーは4人だったのか…」
長年の謎が解けたかのように、ほうほうとうなずく。あのとき、皆で行けばいいじゃんって青山くん言ってたからね。

「一緒に帰れる人っていうか、方向同じ人は青山くんしかいなくて。だから一緒に帰ってたら気になったの。
それに、色んな趣味の話で盛り上がったし、すごく楽しかった。青山くんに片思いしてて辛かったけど、でも一緒に部活できてすごく嬉しかったんだよ」

本当は言いたい事たくさんあるけど、上手くまとまらない。とりあえず、一緒にいて楽しかったことと辛かったことを彼に話してみた。青山くんは本当に私が好きだった事知らなかったみたいで、本当に良い異性のお友達としか思っていなかったそうだ。
だから、わたしから告白した時はえらく驚いて頭が真っ白になったとか。

「あーあ。全然気づいてくれなかったんなら、もっと積極的にいけばよかったなあーー」
と私はふてくされた。

「そんな、椎名さんは十分積極的な女の子じゃん」

「どこが??」

「んーーこうやって、いろんなこと話してくれたり、告白したり…そういうとこ圧倒される」

「こんぐらい、好きな人の前では普通なんだよっ。鈍感すぎ!」

「す、すいません…」

怒ってみたりもしたかった。体を小さくして謝る姿がとっても愛おしい。
私は彼が好きだ。振られても。きっと高校にいる間はずっと好きなんだろうな。
そんな会話をしていると、いつの間にか辺りが暗くなっていた。

「うわーーもう暗くなった。はやいなー。もっと話していたかったな」

「俺も。楽しかったから名残おしい」

青山くんから名残惜しいとか言われるなんて、思いもしなかったからドキッとした。わたしも名残惜しい。もっと話していたい。一緒にいたい。

「あ、あのさ、テスト終わったらまた、こうやって話したいな」

「うん!いいよ。テスト頑張らなきゃな」

「ほ、本当に?また話してくれる??」

「うん。いいですよ」

また、こんな機会があるなんて。きっとこれが最後かもって覚悟してたから。次の約束がめちゃくちゃ嬉しかった。叫びたい。嬉しいーーーって叫びたい。

No.83

「青山くん長男なんだ!3人兄弟かー。楽しそうだね。
おじいちゃん達と暮らしてるってことは家も大きいのかな?」

「友達呼んだときは広いっ!て驚かれたなー。花崎を呼んだ時もすごい広いっていわれたし。
玄関が無駄に広いんだよねー」

「金持ちかあなたは!」

「いやいや、そんなんじゃないよ。元々、塾をやっていた家をリフォームしたから玄関が広いんだって。」

「へぇー。気になるなー。」

「機会があったら、お呼びします笑」

「呼んでくれるの?!絶対いくわ!是非よんでよんでー!
そんな広いお家だったら賑やかだろうなー」

「あ、うん。でも…俺は早く家を出て1人暮ししたいんだよね」

急に顔が暗くなる。
「え、なんで?そんなに?」

「そんなにっていわれると、悩むけど。割と早く実家から離れたいかなーって思ってるんだ。
俺、母親としか血が繋がってなくて。離婚してるんだよ。」

「そうだったの?!!!
じゃあ、青山くんは本当は違う名前だったってこと?」

「そうそう。俺、本当は青山じゃなかったんだよー。前の名字は小学生までだったかなー。」

「なんか、変な感じだ。青山くんでなれてるから。
兄弟とも血が繋がってないの?」

「うん。兄弟は、今の父親が出来た時に生まれたんだよ。
じいちゃんとばあちゃんも、父親の親だし。だから、俺は青山って名字嫌いなんだ」

「なんか、変なこと聞いてごめん。そんな複雑なかんじだったとわ。
だから県外の大学目指してるのか」

「そうそう!実家は居づらいんだよ。窮屈だし。って椎名さんにこんな暗い話してもな;ごめん」

苦笑して青山くんは謝ってきた。
「大丈夫だよ。青山くんにそんな事情があるなんて知らなかったわけだし。 じ、じゃあ、青山って呼ばない方がいいのかな?嫌なんだよね??」

「呼び方は今のままでいいよ笑
俺はただ名字が嫌いだけ。でも人から呼ばれるのは仕方ないってわかってるから。今のまま呼んでくれる?」

どこか寂しそうな表情だった。
家に血縁者は母親しかいない。だから、どこか窮屈なんだと思う。どこまで嫌なのかは聞かないけど、前の名前の方がよかったてことは、今の家庭には不満があるわけだ。

青山くんは一匹狼。部活内でも1人でいることが多い。気分屋だから、すごく明るい時もあれば怒ってる?時もある。だから彼自身、複雑なわけで。
でも、皆とわいわいしてる時はものすごく楽しそうだった。普段はクールに装ってる彼だけど、たまに見せる無邪気な姿がすごく可愛かった。

青山くんが一匹狼であるのも、気分屋な性格なのも、もしかしたら家族が原因なんじゃないかと私は少し思った。

No.82

自転車を漕いで待ち合わせ場所の公園にいく。
公園には一台の自転車が既に止まっていた。青山くんの自転車だ。

いよいよだ… 心臓がバクバクして、告白のときみたいに苦しくなった。告白するわけでもないのに。
怖いのと楽しみなのが混じり合って、パニックになってる。

一呼吸してから、私は自転車を止めて公園に入った。





ベンチには青山くんが、座って本を読んでいた。
服装は長袖の黒いロンTにダメージジーンズ。ジーンズにはシルバーチェーンがかかっている。
すごくラフな格好だけど、胸がキュンっとした。ラフな格好も素敵だな

恐る恐ると青山くんに近づいていく。彼は本に夢中で気づかない



「あ、あ、あのぉ…」

というと、青山くんは顔をあげて、あっ!と声を上げると本を閉じた

「久しぶりです。早く着いちゃって、ごめんね」

「全然、そんな!大丈夫だよー!お待たせしました。あの、今日はありがとうね」

「そんな、お安い御用ですよー。あ、座る?」
といって隣をあけてくれた。

青山くんの隣の席とか、本当に心臓がやばいです。いざ座ると、頭が真っ白になった。
な、なにをどうすれば。

「あ!えっと、この前は上着貸してくれてありがとうね!!これ!はい!!あとお礼にプレゼントも入ってます」

「ん、なんだろ…

お!これは、プリンじゃないか!ありがとー。そんな、買わなくても大丈夫なに。なんか、すいませんな」

プリンを手にとって、少し笑みが零れる。その顔を見て、私は緊張がほぐれた。

「上着貸してくれたのすごく嬉しかったよ。プリン好きだって聞いてたから、買ってみた」

「うん、大好物ですよー。嬉しいな。俺なんも、もってきてないよ」

「大丈夫。勝手にしたことだから…。

あ、さっき何の本見てたの?」

「これ?これは、今度アニメ化する○○○ってやつだよ。ラノベ。」

「お、新刊でたんだねー!これアニメ化するんだー。知らなかった。いつはじまるの?」

「うんっとねー…」

自然と会話ができた。それから、そのアニメの話題をしたり、何故か中学生のときの話しとか家族こうせいの話しとか、普段はしないような話をした。
家族構成はほとんど知らなかったから新鮮だった。

No.81

3日経つのはあっという間だった。
その間、お礼に青山くんの好物のプリンを買っといたり、洋服を買ったりと気合いをいれていた。
青山くんはニーハイの格好が、好きだと前言っていたからニーハイにショートパンツという組み合わせの格好で行くことにした。

何を話そう。と思って花代に相談すると、
「うーん。それはーなんだろう。弓道部の話しとかさー、最近どう?とか。部活なくなって寂しいよねみたいな。
それでー部活やってた青山くんはかっこよかったんだよー?て話繋げるとか…おかしいかな?」

「おかしくはないけど、もっと、なんな話題ない?!?」

「あー。ほら、二人ともアニメ好きじゃん?その話題にすればいいんじゃないかな。
最初は緊張すると思うから、入りやすい話題を持ってきて話した方が盛り上がるとおもうよ。

青山くん、ゆいに少しは気を持ってくれたらいいね」


といっても最近アニメとか見てないんだよなー。でも、その話が一番話しやすいなっ。
私はその話題から入ることにした。

当日は学校が早上がりだったので、さっさと家に帰宅して、着替えて少し化粧をしてみて、髪の毛もあいろんでストレートにした。
これから青山くんに会えることが、とっても嬉しくて。でもとっても不安で、お腹が途中で痛くなった。

振られてから、話すとかすごく複雑な気持ち。でも、このまま会話しなかったら、きっと会話しないまま卒業してしまいそうで怖かった



<テロリン、テロリン♪>

青山くんからメールが来た。

【ごめん、早く着いちゃった。
ので、ベンチ座って待ってますねー】



予定より30分も早い。私は用意がまだ中途半端だったから、かなり焦って家を出た。

No.80

上着を返すついでに青山くんにもっとお話ししたいアプローチか…。
私が思ってるのは、公園でベンチに座りながら話したい。ただそれだけ。それだけでも、かなりドキドキするし勇気がいる。


ちゃんと答えてくれるんだろうか…。
もう放課後に部活はない。からメールとかでしか手段がない。



廊下で青山くんを見た。花崎と相変わらず楽しそうに話している。


昨日の出来事が、脳裏に浮かぶと目が痛くなった。
私も花崎だったら、青山くんの隣にいれた。何も気にせず、一緒にいれたのに。
青山くんの笑顔を見ると、苦しい。

「ありがとう、ごめんなさい」
と青山くんが言った言葉。肩を握りしめた感触。
忘れられなくて。しばらく立ち直れないって思ってる。

でも。ちゃんすがあるなら、掴みたい。
青山くんが受験に集中したいのはわかる。けど、恋人になれないなら、もっとお友達でいたい。
それで、あわよくば…

メールしよう。私は決心した。

でもいざメールしようとすると、心がいたい。振られたばかりだし、もう伝わらないのかって思うと、やる気を失くす。
けど、それ以上に、好きだ!て気持ちが強いから私の手はうごいた

【青山くん、この前は送ってくれてありがとう。それから、突然変なこと言って困惑させてごめんね。ありがとうね。

それで、青山くんから借りた上着なんだけど、洗濯したから返したいんだ。
でね、よければだけど…
公園とかでゆっくりお話しできたらいいなって思ってます。青山くんにまだ伝えきれてない所があるというか、純粋にもっと話したいだけなんだ。】

送信。
気持ち悪いな…でも、いい返信きたら嬉しい。



<<青山くん

【この前はありがとう。風邪は引かなかったかな?こちらこそ、なんか、動揺しててなんて言ったらいいかわかんなくて。あ、洗濯してくれたの?!すいませんね(・_・;
じっくり話したい感じなのかな?別に俺で良ければ全然構わないよ!
椎名さんの気が済むまで話したらいいさ】


え?!本当?!!
わたしはめちゃくちゃ嬉しくなった。てっきり断られると思っていたから。
これで、また彼と話せる。しかもプライベートで!!

場所は二人の地元の中間地点にある公園にした。あまり人もいないので、安心して話が出来る。

青山くんが「楽しくなかったらごめんよ」ていってたけど、全然そんなことない!むしろ、プライベートであってくれることが嬉しい。
青山くんともっと仲良くなりたい。
一番にはなれないかもだけど、見てて欲しい。、覚えててほしい。


日にちは3日後に決まった。


嬉しくて世界飛んでいけそう。





No.79


のの子と花代にメールを送った。

[告白したよ。今まで応援してくれてありがとう。ありがとう。残念だけど、終わりだから]


明日会ったら、慰めてもらおう。
とりあえずご報告だけでもしないとね。





次の日

昼休みのの子に呼ばれて、一緒にお昼を食べた

「おつかれさま、ゆい。」

「うん。ありがと」

「すっーーごい、顔暗いよ?目も腫れてるし。そんな顔したって、進めないよ」

そんな私をのの子は頭を撫でてくれた。
涙が滲み出てきた。
でも、また目が腫れてしまう。我慢しないと。
とりあえず、お弁当を開けて食べながら話した。私はいつもより、全然食欲がなくて、お腹の辺りも調子がわるい。おかずを少し食べてはため息ばかりはいていた。
とりあえず、昨日の経緯をのの子に話す。

「なんで帰り際に肩触るのー。反則だよそれ!」
と言ってのの子は怒った。

「ね、反則だよ。あっちはなんとも思ってないんだろうけどさー。」

「そこがまたムカつく!あ、てかさ。上着借りたんでしょ?いつ返すの?」

「まだわかんないな…正直、未練残ってるし好きだし、あったらどうすればいいかわかんない。振られたわけだから、もう青山くんに振り向いてもらう努力とかする必要ないんだもん」

「じやーゆいは、青山くんと話したくないの?」

「…そんなわけない。すごく話したい。何話すとかわかんないけど、今まで、どんな風に私を見てきたのか知りたいし。それに、私はずっと好きだったわけだから、その話しも伝えたい。好きだった気持ちを伝え切れてないよ」

「んじゃ、こっからはあんたがまたキッカケを掴むの。その上着が鍵っしょ?」

「は?」

そういうと、のの子はいい事が思いついたらしく、ぐいっと私に近づいた
「いい、ゆい?上着を返すのは当然じゃん。でも、ただ上着返すだけじゃ、勿体無いよ!
メールする時に、上着返す序でに青山くんといろいろ話したいなーって言えばいいんだよ。
いろいろ積もる話がしたいからって」

「え、えーー?!それは、それは大丈夫なのかな…。一回告白された相手だよ?気まずくない?」

「少なくとも、あんたの話聞く限りではタイミングが悪かったから告白受け入れられなかったと思うの。
彼、真面目だから勉強とか集中したいとおもって、ゆいにそういったんじゃん。
でも、ゆいはまだ話したいこと沢山あるんでしょ?」

「はなしたい。はなしたい。はなしたい。話し足りないよ!」

私は青山くんに好きとしか伝えてない。好きだけの言葉じゃ伝わらないほど、青山くんのこと考えている。せめて、その思いを伝えたい。
彼女になれなくても、友達のままで関係続けたい。
もう部活がないから、ほぼ青山くんに会うことはない。だからこそ、繋がりを残しておきたい。

「のの子、わたし…前向きに生きるわ。まだ好きだもの。」

「今まで頑張ったんだから、大丈夫だよ。ね!」
そういって私の肩を叩いた。

No.78

青山くんから借りた上着に顔を埋める。
青山くんの匂いがする。近くにいるような気がする。肩の感触と共に、余計に青山くんと一緒なんだという錯覚が。





家に着いて、自室にこもる。
足から崩れていった。
告白するのは初めてじゃない。中学のときに一度した。これが二度目。
中学のときも振られた。
いつも、いい人止り。

どうしてかな。わからない。
わかってるのに、頭の中では「なんだどうして、なんでなんで」と繰り返してる。
上着の匂いを嗅ぐたびに、心がシュンッと寂しくなる。
学校に行く意味もなくなった。だって部活も引退したし。青山君の顔見ても、傷つくだけだ。
一気に全部失った。私の学校での生きがいが。なくなった

これからどうすればいいんだろ。
上着を見て思う。あぁこれも返さなきゃいけないのか。
顔見なくちゃいけないんだね
今会えば泣いてしまいそうだよ。


「どうすれば、よかったんだろうね。私が行動すればよかった?もっと、魅力的になればよかった…?
前が見えないよ…。明日が怖い。
青山くんとどうすればいいかわかんない、まだ好きだから。好きなのに、なのに叶わないなんて」

痛む心を抑えるように、青山くんの上着にうずくまる。そして、涙がひとつ、またひとつと上着に染みていった。







この上着が後に幸せと絶望の鍵になる。予想しなかった出来事が私を待っていた。

No.77






「俺、椎名さんのこと、

すごい大切な友達だと思ってるから」







声が出ない。
時間が止まったかのように、周りがスローで流れていく。
頭でその言葉を理解するには時間がかかった。何が起きたのか。何がどうなったんだと



「椎名さんは困った時助けてくれて、心から感謝してる。それに、こうやって、自分の気持ちを俺に伝えてくれたこともうれしい。メールで済ます人とかいるじゃん?
そうゆうの嫌なんだ。今まで告白されたときはそうだったから…。
だから、だからこそすごく嬉しかった。

椎名さんいい人だから、俺みたいな奴はもったいないですよ。
もっといい人いるから。俺みたいなやつじゃなくて」

「どうして、そんな。そんなことない、わたしは、青山くんだったから好きになったんだよ?他の誰かなんて考えたことないよ。
好きだから青山くんに告白したんだよ」

「ありがとう。本当に」

「わ、わたしね、その、お付き合いとかできたらいいなって…」

「俺たち、受験生じゃん…きっと会えないし、これから忙しくなるし。県外行くかもしれないしさ。
だから、悲しい思いするぐらいなら、友達のままでいたほうがいいですよ。
嫌いじゃないからね?そうゆうんじゃないから。
椎名さんのことは、信頼してる」

「そ、そうだね…そうよね…。受験生だもんな。」





ああ、私は友達なのか…。



うまく言葉がでない。
今、すごく自分を殺したい、
どうして、どうして今更伝えたんだと。もっと早くに伝えていれば。
もしかしたら、告白成功したんじゃないかって。

頭が真っ白で、何をどうしたらいいかわからない



「椎名さん、今日はありがとう。
もう、遅くなっちゃったから。早く帰ったほうがいいよ?」

「あ、えっと、その。うん。
あ、この上着どうしたらいい?」
私は羽織っていた上着を脱いだ

「それは今度返してくれればいいよ。それじゃあ、ここで…ありがとう。ごめんなさい」

そう言うと、私の肩に手を置いて握りしめた。そのまま自転車にのって、青山くんは、去って行った。



肩に青山くんの感触がのこる。ぎゅっと握った感じが。ムズムズする。
余計に心が締め付けられた。
なんで、なんでなんで最後に触れるんだよ。今まで直接触れたのは手ぐらいじゃんか。
肩を握りしめるとか、どうして。
罪悪感から?元気出せってこと?
出ないわ。
私の青春は玉砕したのだ。

”大切な友達”

No.76

>> 75 感想スレありますよ。

No.75

うぉー!! 続きが気になりますo(^o^)o

No.74

うぉー!!! 続きが気になりますo(^o^)o

No.73

>> 72
あっ!すいません!
ありがとうございます!
失礼しました!

No.72

>> 71 感想スレありますよ!

No.71

きりかたあああああああああ
更新お疲れさまです!

No.70


「そろそろ、最寄り駅だね。雨のせいで2時間ぐらいかかったけど、椎名さん大丈夫?」

「うん、親には言ってあるから。」

最寄り駅が近づいてきた。
駅の通り道を通る時は、自転車を押して歩かないといけない。
夜だから人は少なかったけど、わたしらはゆっくり押して歩いた。


「今までお疲れさま!楽しかったな弓道」

「…うん、すごく楽しかった」
君に会えて

「終わるのがすごく残念だよ。なんかむなしいな」

「わたしも、すごくむなしい」
君に毎日合えなくなる事が寂しい。悲しい。

「青山くんにね、私いままで言ってなかったことがあったんだよね。」

「え??なに、なんかしたっけ」

「いままで帰り道一緒だったのに、言おうとして毎回チャンスのがして。ずっと言えないでいた。
でも、もう引退するから、言います。」

「うん、なに??」


「わたしね、」

「わたしね


青山くんがね、青山くんが…」




走馬灯のように今までの思い出が蘇る。出会った事、話した事、助けてもらったこと、一緒に帰ったこと、遊んだこと、教えてもらった事
言葉にできないくらい感謝があって、想像してるより好きが破裂しそうなぐらい好きで。君がいないと、見えないと、すごく落ち込むし。君に会えると、一日気分がいいんだ。



「青山くんが、す。す、すす、s」

「???????」

「すす、す、、、、す、、、、、、、です。











好きです。ずっと好きでした!」












心臓が爆発しそうなぐらい、鼓動が早い。頭がカーーーっと熱い。
この言葉を言うのにどれだけの時間がかかったんだよ。本当に。





「……へ!?お、おれ!??え、あ、ありがと」

動揺しまくる青山くん

「いきなりでごめん、でも伝えたかったの。1年生の頃からね、好きだったんだ。ずっと。言えなかった」

「本当に………まじか。え、あ、あ、ありがと。
俺、こうやって直接真っ正面から言われたことないから今すごく嬉しい……


「え、そうなの?じゃ、初…?」

「そうそう。うわーーすごい、どうしよ。恥ずかしいね!」

「いや、恥ずかしいのこっちだし。めっちゃ緊張したし」

「あーーびっくりだよ。えっと、その、椎名さんありがとう。こんな俺を好いてくれるなんて。
こうやって言ってくれてすごく嬉しい。ありがとう。

思えば椎名さんとは弓道部の中でも割と交流が多い女子だったな。話してて楽しいしね。気もあう、趣味もあう。


だから、俺は、」

No.69

自転車が電気を発電する音がうるさい。
シュンシュンシュンシュンシュンシュン…
辺りは、車の交通量が多いからまだ少し明かりがあるけど、車がいないときは本当に暗い。


でも、隣には君がいる。
だから全然恐くない。むしろ嬉しい。


わたしは今、青山くんと二人で自転車をこいでいる。
今までの弓道部での思い出を振り返りながら、二人で進む道。


学校付近まで着たとき、何度青山くんと同じ道を共にしたんだろうと思った。
何度も何度も同じ道を歩いていたのに、チャンスはいくらでもあったのに
今になって”伝える”なんて


「もう、引退なんだねうちら」

「な。実感わかないなーー。放課後とか、普通に部室行っちゃいそうだ」

「わたしもだよ笑 青山くんとは唯一地元が近い人だったんだよね」

「俺も最初はびっくりしたなーー」

「ね、何度か一緒に駅まで帰ったりしてね。すごく楽しかった」

「俺も最初一緒の地元の人がいなくて寂しかったけど、椎名さんいてくれて嬉しかったな」

「えへへ。嬉しい。色んな漫画を貸してくれてありがとう。すごい面白いのばっかりでさー」

「それはよかった」

「あ、ねえ、青山くんって…大学県外………なの?」

「そうなんだよね。行ければだけどさ。」

「何系?」

「色々迷ったけど、法律系の学科行こうと思ってるんだよ。だから、引退したから予備校通わないといけないな。椎名さんは?」

「わたしはーー文学かなーまだ、明確にここ!て大学ないんだけどねえ」

「文学に合うと思うよ。予備校行くの面倒だけど、がんばらないとなー」


そんな会話をしている最中、頬に冷たい雫が当たった。
……雨??
そしてまた、ぽつ。ぽつ。小雨が降ってきた。

「ええ!こんな時に小雨?!傘持ってきてないよお」

「俺もないw早めに帰ろう!強くなっても困るし。」

雨のせいで急ぎ足になるのは悔しい。でも、正直半袖だから寒くなってきた。
風邪も引くと困るから早くかえろ。
信号まちをしているとき、思わずくしゃみがでてしまった
「へっくし!!!…ふぁあ。」

「さむい??」

「あ、いや、こんぐらい耐えれるレベルだから!!!」

大丈夫!と言ったんだが、既に青山くんは羽織っていたワイシャツを脱いで、私にかぶせてきた。
「俺、下も長袖だから。これで雨防げるでしょ?一応w」

あ、青山くんの服…。サイズがデカイから、袖から手が出ない。萌え袖状態。
袖の当たりに鼻をあてると、青山くんの匂いがした。胸が締め付けられるほどに愛おしくなった。
青山くんを羽織ってるみたいで、すごく幸せな気分だ。これがあれば、わたし安眠できる!そして温かい

「…ありがとう」

「いいよいいよそんぐらい。寒いのは嫌だしね!」

鼓動が早くなる。やっぱり好きだ。匂いをかいだだけで、こんなにドキドキするなんて。
私は君が好きだ。イマすぐ飛び込みたい。抱きしめたい。られたい。

No.68

凄い、続き楽しみです!!
頑張って下さい!

No.67

ワクワク♪
いつも楽しく読ませて貰ってます(^o^)

No.66

無事に全員集まり、打ち上げ開始となった。
花代とのの子には告白することを伝えておいたので、

「ゆい!今日はがんばんなさいよね!!」
「ゆいの気持ち伝えれば大丈夫だよ。前向きにいこう?」
と励まされた。


正直どうなるかわかんない。青山くんと部活で一番接してきた女子は私だ。のの子や他の部員にも言われた。
一時期「ゆいって、青山くんとつきあってんの??」とまで言われた。
私が告白して、かれがイエスといえば天国。ノーと言えば…絶望。
イエスの言葉を信じるしかない。ネガティブになってはいけない。崩れてしまいそう。


トイレにいく時に、青山くんとすれ違った
「あ、青山くん。今日は…その、覚えてる?」

「うん、覚えてるよ。帰宅のことでしょ?」

「そうそう、よろしくね」

よかったちゃんと覚えていてくれた!
楽しいひと時も終わりをむかえ、恒例の思い出写真撮影会になった。
今まで仲良くしてきた後輩と一緒に撮ったり、3年同士で撮ったり。


そこにのの子が「ちょっとこっちきて!!」
いわれるがままに行ってみると、「ここ立って」隣には青山くんだ。

「え?!えええ!?な、のの子?!」

「撮りたいんでしょ?wはい、青山くん笑顔笑顔!!」

サトウも乱入してきて
「おい、青山くん笑って!はい、ポーズ!」


<カシャっ>


2ショットが取れた。念願の。そういえば、2ショット撮った事なかったな。
「青山くんありがとう…」

「いえいえ。あ、帰りだけど、俺が自転車またがったら椎名さん先に出発してくれる?見つかると後輩とかうるさそうだし!」

「わかった!そうするね」


いよいよだ。いよいよ、決着のときが

No.65

ーー大会当日ーー

最後の大会。私は努力が認められ、団体戦レギュラーの座を獲得できた。
大会は2日ある。1日目が女子。2日目が男子。2日目の夕方に打ち上げをするという日程になっている。

大会自体はとっても緊張したし、たくさん泣いた。惜しいとこまでいったが、そこで終わってしまったのだ。私の高校生活も終わったなと実感。
2日目の男子はなかなか良い成績で上がっていった。しかし、準決勝まででその上は狙えなかった。
お互い健闘した結果、わたしたちらしい終わりを迎えられたんじゃないかと今は思う。


男子の試合が終わってから、一人ずつ後輩にコメントを言い、お互い泣いてからの感動のフィナーレを迎えた。
そっからは、気分も一新!打ち上げモードに入って、急いで支度した。
3年生のうちらは先に帰ることができたので、いったん自宅に帰った。わたしはこの日の為に買った新しいワンピースを着て、この日の為に練習してきた巻き髪でスタイリングをし、慣れない手つきで化粧をした。

準備はok!!後は、打ち上げ会場に向かうだけだ。
普段制服だから、3年生だけ私服っていうのはすごく新鮮。打ち上げ場所についた時、後輩からは
「先輩!!!私服///やばいです!!!!!きゃ!!!!!」と謎の歓声を浴びた(笑)

当然男子も私服。
青山くんの私服を見るのは久しぶりだ。ディズニー以来かも。
黒いワイシャツをはおって、ダメージジーンズにはシルバーのチェーンがかかっている。
シンプルだけど、ものすごくかっこよかった!
当然後輩たちからは黄色い声援を受けていた。

No.64

ある日の部活、サトウが話しかけてきた。

「椎名ちゃんさ、青山くんどうすんの?」

「は?!!え、ちょっと!」

私は慌てて、サトウを人のいない所へ連れ出した。
「いきなり何言い出すの」

「いや、だって、椎名ちゃん。もう3年生になっちゃったから。それなのにつき合う感じでもないしー」

「だ、誰に私が青山くん好きだって聞いたの?」

「そんなん見てれば解るし、のの子のやつだって椎名ちゃんと話してるとき青山くんとの話めっちゃしてるじゃん。みてればわかるわ。」

感だけはとってもいいサトウ。
「で、どうすんだよ。おまえ」

「ど、どうするって。それは…。ちゃんと…」

「言うんだな?」

「うん。部活終わったらだけど。」

「引退してからかよ!おいおい、もうさっさと言っちゃえよ。」

「な、なんでサトウに色々言われなきゃならんのよ」
私はサトウを睨みつける。
サトウはため息をつくと「あのな、青山くんがどこの大学行きたいとか知ってる?」
と言われ、当然知らないので首を横に振る。

「青山くん、卒業したら県外の大学いっちまうかもしんねーんだよ。だから、椎名ちゃんが好きなら告白早いとこしちゃって、つき合うならそれで残りの時間過ごした方がいいと思ったんだよ。」

「け、け、県外…もう志望校決めてんだ…。」

「なんで県外かは知らないけど、まあ、行きたいんだろうね。だから椎名ちゃん、なんつうか頑張れ」
少し困った顔をしてサトウが立ち去る。
頭が動かない。県外にいっちゃうんだ青山くん。じゃあ、残り時間も少ないってことか。

「わたし、ちゃんと言うから!」
サトウの足が止まりこちらを振り返った

「今まで、サトウとか、のの子とかにお世話になりっぱなしだったけど、自分でなんとかするし、ちゃんと伝えるから。だから、ありがとうね」
サトウはちょっと安心した顔をして「うん、そっか。ならいいんだ」


大会のこともそうだけど、私の一番の山場は告白。
3年間思い続けた人への集大成。もう、悩んではいけないんだ。強い決心を持ち、私はのこりの部活に力を注いだ。

No.63

部活も最後なのに集中できない。
青山くんの告白について頭がよぎるから。言いたい、伝えたい。でもあなたは知らないまま引退するんでしょうね。それは残酷すぎる。
だから、どうにかしてチャンスを作りたい。言うタイミングは、打ち上げのとき。
打ち上げの場所はもう決まっていて、学校から自転車で40分もかかるバイキングのお店だった。
わたしの家からだと約1時間もかかる。それは青山くんも同じ。
だから、帰り道、一緒に帰りたい。

「終わる時間も遅いし、どうせ帰る方向同じなら一緒に帰らない??」

て言うタイミングを見計らってるのだ。行きと帰りで一緒になればいえるんだけど…。部活中は難しい。最後の大会だけあって全体的にピリピリしてるから。
そんなこと気にしていたから、あと3週間で部活が終わってしまうところまできた。

どうしたらいいの。帰るタイミングも自転車になってから合わなくなったし、チャンスがない。チャンスをください!
空を仰いで神様にお願いする。届け届けと。














久々に朝練に参加しようとおもって、いつもより家を早く出た。
同じ学校の生徒は全然見当たらないいつもの通学路。自転車もまばら。
違和感を感じながら走っていると、後ろから声が聞こえた


「椎名さん?」


振り返ると、青山くんだった。
チャンスがきた!!嬉しい!!

「あ、青山くんも朝練?」

「そうだよ。もう大会近いしね。頑張らないと、レギュラーになれないよ」

「そんな、青山くん男子の中でも結構当たってるじゃん!大丈夫だよ」

「油断はできないよ?椎名さんも頑張ってるし、入れるといいね!」

「ありがと…//  あ、あのさ、」

「ん?」

「急に話変わるけど、頼み事があってね」

「ほほう。どうしたんだい」

「打ち上げあるじゃん?あのお店すごく遠くて行きはいいんだけど、帰るとなると道暗いし、恐いし、ここらへん変質者よくでるから…。
で、青山くんと地元は近いわけだから、途中まで一緒に帰れないかなっておもったんだけど……………………」

「ああ、そうだね。この道もすごく暗くなるから…。全然いいですよ。一緒に帰ろう」

「ほ、本当に??!ありがとう!たすかる!!」

「俺でよければ。用心棒にはならないかもだが」

「そんな!いてくれれば安心だよお!」




これで、悩み事はなくなった。青山くんと帰れる。
打ち上げの後に帰れる!これで、告白できる。
もう、今度は失敗しない!伝えるんだ。私の気持ちを。

No.62

変わったことがもう一つ。


いままで青山くんは電車とバス通学だったのに急に自転車通学になってしまった。
原因は花崎だ。あいつが自転車通学していて、青山くんと地元も近いことから誘ったんだろう。
だから、行きと帰りを一緒に帰宅するなんてことはなくなってしまったのだ。
それを知ったときはショックだった。
もう時間ないわけだし、それで更に追い討ち…。

もう、ここまできたら追いかけてやる!とおもってわたしも自転車通学を始めたのだ。
最初は筋肉痛がひどくてつらかったけど、慣れてくると片道3㌔ぐらいも楽になっていった。

そして、自転車通学で使う道も彼とほとんど同じ。だから、運が良ければ一緒に帰れるかもしれない!
そんな淡い期待を持って毎日自転車を漕いでいた。

けど、そんな期待はそう簡単に叶うものではない。待ってるだけで、いつ青山くんが通りかかるかわからない。本当に運だとおもった。






そんなある日、部活から帰ってるときだった。
いつものように、人のいない道を走っていると、後ろから声をかけられた。


「おつかれー!」

青山くんだった!!
わたしは嬉しくて声が裏がえってしまったが、
「わわ、おつかれさま!!」

思わずニヤニヤしてしまった。



ひさびさに青山くんと一緒に帰宅できるのはものすごく幸せだった。
自転車だから、周りの音がうるさいけど、負けないぐらい大きな声で話して、
「でさー中学のときの修学旅行でねーやばかったんだよ!!」

「まじか!(笑)どだったの?」

たわいのない会話をするだけで幸せだった。隣にいれることも幸せだったし。








そんな時間もつかの間に終わる。

あー楽しかった!と余韻に浸っていた。
でも、それもつかの間だった。
カレンダーを見るとあと1ヶ月?いや、1ヶ月もない。
部活引退だ……………


もう時間がなかった。

青山くんに告白する日はドンドン近づいているのだ

No.61

【3年生編 】



恐怖のクラス替えから、私の3年生生活始まった。
2年生のときは、知らない人ばかりで無理やりな空間に閉じ込められてはいたけど、なんとか頑張ってここまできたから。

きっと報われる!と信じて新しいクラスへと向かった。



大丈夫だった。なんと、部活の仲間が2人もいたのだ!!安心。
顧問に前からクラスの不満などを言っていたこともあり、顧問が裏で手を回してくれたらしい。本当に有り難い。
顧問は学校でもそこそこ強い立場にいたので、クラス替えのメンバーも操ることができたのだ。今でも感謝している。



青山くんはというと、
なんと、花崎と同じクラスになってしまった。よりによって、あの男。
あの男は品がないし、とりあえずうるさい。青山くんに悪影響しか与えていないと思っている。
花崎と一緒にいることがムカついた。

のの子は青山くんと同じクラスだったので、そこからクラスの情報も聞くことができる。



3年生は部活の時間がすくない。引退が6月中旬なのだ。だから、あと2ヵ月しか部活できない。



わたしは決めていた。今度こそは告白すると。
こうなったら、引退したあとの打ち上げで告白しようと決めた。もう、この日が全ての最後だ。けりをちゃんとつけよう。





ー部活ー


新しい一年生が入ってきた。
雰囲気でいうと、まだ中学生のやんちゃな感じが残っている。
その中でも早速強者が登場した。

入学してから割と早い段階で彼氏を作っている、しかも3年生とだ!
その女子は「井上」といった。
皆からは、「ちーちゃん」と呼ばれていて、名前がチヒロなのもあるけど、背が小さいからちーちゃん。だそうだ。

3年女子の間では「すっごい肉食女子がきたんだなぁー……」と引いていた。

井上は、男の先輩に対しては可愛い仕草をみせ、上目使いで話す。ジャージの袖に手を埋めて口元に当てもじもじと接してくる。
こいつ、計算高い………。
だから、青山くんと話している姿を見るとめちゃくちゃムカつくのだ。

めんどくさいブリッコがきたなーと矢に怒りをこめて、放った。

No.60

【3年生編】に入ります。

本番はここからです。むしろ本編です。
1~2年生編を見て、私が青山くんに抱いてた気持ちと思い出を思い出しながら見てくれたら嬉しいです。



3年生編の後半は過激なものになってくるので、ご注意ください。



ここまで、見てくれてありがとうございます。

「主より」

No.59

「ねえ青山くん、」


私は胸を押さえながら言った

「ん?どうしたの」

「……今日楽しかったね」

「ね。楽しかったな。皆でゲームやるのって本当に楽しいよ。なかなか盛り上がったし、よかったよね」

「う、うん。またやれたらいいな」


青山くんの笑顔を壊したくない。
でも、自分の気持ちをいつまで留めておくんだろう?
喉まで言葉がでてきている。

この雰囲気で気持ち伝えて…いいんだろうか。今日は半日青山くんと一緒にいれたんだし。気持ちが少しでも近づいているはず。
だから、チャンスを逃してはいけない。わかってる。けれど…

「あ、あのさ。」

「…ん?椎名さんどうした?」

「あ、あのね、」

「うん」

「あの、そのえっと、あの、

わたしね、わたしはね。」

「………?」

「わたし、今日こうやって青山くんと一緒にこれたこと感謝してる。すごく楽しかったの。本当に。青山くんと居ると楽しいし、もっと話したくなるんだよ。

だからね、だから、わたし…す、す」




頭の中には自分の鼓動が聞こえる。激しい音で息苦しい。







「だから、好きなんだよね。こうやって一緒にかえるのー!へへ!」


「なんだよ。照れくさいじゃん。止めてよ(笑)…でも、ありがとう。すごい、照れるけどうれしいわ。」

「へへ、あはは。だから、ね。うん、今日はありがとう」




言えない。

言えない言えない言えない。言えないのだ。


好きすぎて、言葉にするのが怖くて怖くて。壊れるぐらいなら、言わなくても…いいのかなって。そんな甘えが出た。
もう2年ぐらい片思いしてるんだ。そんな簡単に言葉に表せない。
また言えなかった。青山くんがいてくれたら、それは私の幸せ。あなたが笑ってくれたら、それで幸せ。付き合いたいって思うけど、それはいつも夢の中の出来事で。

何事もなかったように、話題を変え残りの帰り道を歩いた。





わたしは、まだ青山くんに気持ちを伝えられていない。



そのまま、進級してしまうのであった。




【2年生編終わり】

No.58

のの子の家に上がると既にスマブラで暑くなっているメンバーがいた。
「おまえらおっそいよおーー!」
「イチャイチャしてたのーー?ふふ」
からかってくる花代とA君。

「い、いちゃいちゃとか!///うちらすごい頑張って探したんだよ?ねえ、青山くん!」

「そ、そうですよ。てか、もうスマブラやってるとかずるい!」

「おまえらが遅いのがわりいんだよ。ほら、さっさとやろーぜ!」



約4時間ぐらいはゲームをずっとやっていた。
皆でゲームするのも久しぶりだったし、強い人達とできたのも嬉しかった。
協力プレイはないけど、青山くんと1vs1の時は複雑な気持ちだったなあ。
でも、すごく楽しかった。

この集まりが終わったら帰りも青山くんと一緒。
帰り道、夕焼けの空の下で私は言えるのだろうか。伝えたいこと、教えたいこと。彼にちゃんと言えるだろうか。
こんなチャンス滅多にない。今日だけでも、青山くんと急接近できたと思ってるし、たくさん話した。このままの雰囲気で帰りたい気持ちはものすごくある。



でも、でも…そろそろ告白とかしないと…。


この気持ちを伝えたら、この関係が崩れてしまいそうで恐い。
私と距離ができそうで恐い。
こんなに青山くんのこと思っているのに、彼はどうなんだろう




わたしの葛藤は爆発しそうだった。
そして、集まりも終わり解散する時間になった。
ここからだ。のの子と花代には伝えてない。告白するか迷ってること。
言ったら余計なちょっかいとか、アドバイスもらいそうで嫌だった。
自分で整理したい。


私は言えるのだろうか。








青山くんと、今度は迷わないで帰り道を歩く。
この道は長い。いつ言えばいいのか、タイミングもわからない。
彼の顔は、すごい満足した表情だった。今日の出来事が楽しかったんだろうな


この笑顔を、わたしの言葉でぶちこわしてしまわないかと不安がよぎった。


どうしよう、どうしよう

No.57

門をくぐると、開いた道がひろがっている。
ここを通れば近道になる!!


「こら、あんたら何やってんだ!」

と警備員のおじさんがこちらにむかってきた。
「あんたらここが、大学だってわかんないのかね?」

「あ、いえ、その道に迷ってしまって」
と私が言葉につまっていると警備員が
「あんたらどこの高校だね?」
高校名まできくのかよ!さすがに、聞かれて何か連絡でもされたらまずいので言えない。
すると青山くんが
「遠いところからきたので、わからんかったんですよ。すいません」
「そういうこと聞いてるんじゃなくてな、どこの高校かってきいてんだ」

すると、青山くんが目で「いこう」と合図し、
「すいません、先急いでますんで!!!」と言って二人で走り去った。
警備員が後ろから「おい!あんたら!!!まて」と叫ぶが、無視!!

なんとか、大学内から出ると青山くんはすごく楽しそうに笑っていた

「なんで青山くん笑ってるのよ」

「え、ああ。だってあの警備員あんな怒ると思わなくてさ。こうやって逃げてくるの漫画みたいだなっておもってさww」と良いながら笑っている。

楽しそうにしてくれてるならそれでいいかと思った。



その後、二人で協力しあいながらのの子の家を探した。楽しそうに道を探してる青山くんを見て、私まで楽しくなって、すごいテンションが高かった。

やっとの思いでのの子の団地の前に着いたのはバス降りてから1時間後だった。
のの子の団地の周りには、桜並木があっていたるところで桜が見れた。
中でも、満開とまではいかないが、ほとんど咲いてる桜があって私と青山くんは見とれていた。

「あーーもう春なんだねえ」

「はやいよな。なんだかんだあっという間だしさ。俺たちも受験生になるんだね…」

「ああ…受験かああ。そんな時期になっちゃったんだね。そしたら部活もあと少ししかないじゃん」

「うん。総体が最後だよ。頑張らないとね…。それにしてもこの桜綺麗だな…」

しばらく二人でみとれていた



「また、桜みれるといいね」
と青山くんがいった。

”また”って言葉にドキッとしたし、切なくもなる。
またっていっても、そのとき私たち卒業してるかもじゃん。そんな未来ないかも。


でもわたしは、微かな未来に”また桜が見れる”ことを期待していたから、
「うん、また見たいな!」
と返事をした。微かな希望を持って。

No.56

いよいよ当日だ。
土曜日の部活は早めに終わるのでその帰りにのの子の家にむかった。サトウとA君、花代は「お先~☆」というと颯爽と立ち去っていった。
花代は行く前に私の所に来て「ゆい、今日はファイトだよ!?がんばー!」といって応援してくれた。
少しだけど緊張がほぐれた…。ありがとう





いざ!青山くんとバスに乗ることになった。
二人で座れる席にで座って、無言のままバスは出発する。な、何を話そうかな……。
ひさびさにこんな近くで話すもんだから緊張しまくって、声が出ない。青山くんは外眺めてるし、どうにかしないと!
とりあえず、今日の話題をふってみた

「ねぇね、青山くんはスマブラでどんなキャラクター使うの?」

「ん?俺はー…ルカリオかカービィだなぁ。ルカリオが基本的に多いけど、時にはカービィも使うってかんじ」

「へぇーー。ルカリオはまだ使ったことないやー。カービィいいよねぇ。空飛べるしさ」

「そうそう。そこがいいよね。」

「あ、わ、わ、私はね、マリオを使うのですよ!」

「マリオ?すっごいスタンダードだね。あんまいないよ。皆飽きちゃって使う人少ない」

「あれが一番ね、シンプルでいい!」

そうだねー。で会話が終わってしまう……。
でも、私はめげずに違う話題にした。

「そ、そーいえば!青山くんランキングに入ってたことあったよね?強いんじゃーん!」

「あ、あれはたまたまですよ……// それよりか、A君はめっちゃ上手い。彼は本物ですよ」

「へぇー。早く見てみたいなー!!」


……じゃなくて!A君の話はいいんだよ!
もっと、こう青山くん中心の話にしたいのに!うまくいかない…。そうこうしているうちに、のの子の家の最寄り駅に着いてしまった。


最寄り駅からのの子の家は歩いて30分ぐらい。こっからまたバスも出てるみたいだが、さっき乗ったし、気分転換に歩いていこうって形になった。
当時はガラケー主流なので、スマホのような地図アプリが充実していない。
だから、紙の地図がすごく頼りになるのだ。

地図を見ながら青山くんと協力して周辺を探す。
「ここは……どこなんだろう」
私はため息混じりに呟いた。同じ用な建物が多すぎてわからないのだ。
のの子は集合住宅に住んでいて、団地?よりもちょっといいところ。市営住宅に住んでいた。だから、周りには市営住宅がたーーーくさんある。
初めてだから全部同じに見える。

途方にくれていたら、青山くんが何かを見つけた
「椎名さん、ここ抜けられそうだよ?」
そういって指差したのは、大学のキャンパス入り口だった。正面玄関ではなかったので、人気が少ない。
それに、遠くの方で婆さんが犬の散歩もしている。
これなら、私達でも通り抜けて……いいよね?
わからぬまま、先を急いでたから門をくぐって中に入っていった。

No.55

花代は私と一緒に恋話をするとても仲の良い友人だ。花代にはつきあったばかりの彼氏がいて、いつも幸せ話を聞いている。勉強になることが多いから、話していてとても楽しい相手。
彼女はうちの学年の女子で一番スマブラが上手かった。そういう理由でも彼女を誘ったのだ。

ゲーム大会の計画としては…
まず、自転車通学組が先にのの子の家に行く。
そして、電車&バス通学の私と青山くんは2人でのの子の家へ行く。のの子の家に行くのは初めてだから場所は知らない。だから迷う確立大!!
そこを狙っている。

迷って、青山くんと協力し一体感が生まれてもっーーと仲良くなれるんじゃないかと考えた。
それに、帰りも一緒。ほぼ一日一緒にいる事になる。こんなチャンス滅多にない!

だから私は思った。

今回のチャンスを活かさなきゃって。






告白するチャンスなんじゃないかって。

No.54

>> 53 感想ありがとうございます。
よければ感想スレがこちらにあるので、こっちに書き込んでもらえると嬉しいです。
http://mikle.jp/threadres/1988214/

これからも頑張ります^^

No.53

全て読ませて頂きました!
ドキドキしながら読みました💓
また続き楽しみにしています(^o^)

No.52

ある日、バスに乗ると後から青山くんが乗車してきた。

「あ、おつかれさま!」
と私がいうと、ぺこっとおじぎして席に向かう。その後ろからは花崎がついてきた。

え!こいつも一緒なのかよ…。

途中まで一緒なんだろうなあと思っていたら、花崎と青山くんが地元トークをし始めた。
まさか、花崎と青山くん住んでるとこ近いの?!
私は青山くんの地元からは少し離れている。けれど最寄り駅は同じなので、会話はできる。
花崎と盛り上がってる姿を見ると、なんだか切なくなった。
地元同じなんじゃ、仲良くなるにきまってるよな…。

こいつさえいなきゃ、青山くんは清純だったのに。
友だちの影響って本当にすごい。なんだか悲しい。





ーー季節は春ーー

まだまだ肌寒い季節。部活内であるブームがおきた。
任天堂ソフトのスマッシュブラザーズという格闘ゲームが、部活内で一気に人気になったのだ。
原因はよくわからないげ、男子の中で大会をやり始めたら後輩も参加するようになり…そこから後輩たちもやりはじめ、女子にも広がっていった。誰が一番強いのかランキングは更新されていく。

その中でも一番強いのがA君。ものすごく上手い。2~3位はだいたい変動があるけど、たまに青山くんも入ったりしていた。

そんなスマブラブームの中で、のの子がある提案をしてきた。
「ねえ、ゆい。私の家にもスマブラあるんだけどさ…。皆でやらない!?」

「え?!持ってるの??意外…」

「弟のだけどねwでもゲームを普段しない私でも、結構はまっちゃってさ。だから、せっかくだし男子誘っちゃおうかなーーって思って。ね」

「だれ呼ぶつもり?」

「そんなの言わなくてもーーわかるでしょ??」
ニヤニヤした顔で見てくる。

「あ、青山くんとか?」

「そうそう♪せっかくだし、急接近しちゃいなよ!あとのメンバーは、一番強いA君。それから…サトウかなw」

「サトウと仲いいよねあんた」

「あいつ一番話しやすいんだよ。それに、青山くんを上手いこと誘ってくれるだろうし!ね」

そういってのの子は早速、サトウに連絡した。
男子2人はサトウに誘ってもらうことにして、私たちはもう一人女子を呼ぼうと思って探した。
物語では初めて出てくる人物だが、のの子と同じぐらい仲良しで恋の相談にも乗ってくれる『花代(はなよ』を誘った

No.51

次の日、顧問から話がされた。


「仲間の注意を受け止めろ。それもできないやつは大会にも出れん!
仲間同士で衝突があったらお前らはそのままにするのか?
最近、チームワークがなってない。そんなんで良いチームになれんのか?衝突するのは人間だから、当たり前だ。だけど、それを引きずってばかりいる少数派のせいで壊れるのは、とんでもない話だろ。
もっと助け合え。いまのおまえたちには、それが足りない。
それぐらいきちっとやれ!この馬鹿野郎ども!」

顧問は熱血系の人なので、結構怒ると恐い。口も悪くなる。
今回のことは、遠回しながらも伝わっていた。さすが先生だなーーと感動した。


顧問の言葉もあってか、その次の日から空気が良い方向に変わってきた。
青山くんが男子と話している。すごく和やかだ。
長谷川も孤立していたが、少しずづ関係が戻ってきたようだ。


部活が終わったあと、青山くんが私のところに来た
「椎名さん、その、ありがとうね」

「ん?え?」

「このまえ、声かけてくれたじゃん?あれ、すごく嬉しかったし、励みになったんだよ。
だから、言ってくれてありがとうね。それだけ」

「あ、いや、べつにそんな!元気ないとさ、寂しいじゃん?だから、元気になってくれて良かったよ。」


青山くんからお礼を言われるなんて、こんなに嬉しいことはない。
にやにやが止まらなかった。
青山くんがまた部活で笑顔見せてくれるのが、私は幸せだった。

No.50

少し駆け足になるが、文化祭の話を簡単にします。

わたしの教室の出し物(アイス屋)は、連日大盛況だった。毎日いろんな人が買いにきてくれて、大忙しだった。
同じ部活の仲間と後輩も来てくれた。けど、青山くんの姿は見かけなかった。
わたしが当番じゃない時に来てたらしいけど、会えなかった。

わたしは休憩時間に青山くんの教室に行った。中は迷路になっていて、クイズに正解すると進める形式だった。
そのクイズを出す係が青山くんだったのだ。
でも、特に会話はしなかった。せっかく会ったのに、何もないなんて…。

でも良い事もあった!クラスの人達と、だいぶ打ち解けられたということ。
もともと一緒に行動してた人とは、もっと仲良くなれたし、あまり話さなかった人とも会話できるようになったし。すごく嬉しかった。進歩できて良かった。
文化祭準備の時に仲良くなった男子がいて、その子とは打ち上げの最中とかもたくさんお話していた。
少し、恋心っぽいものを抱いたけど、青山くんの好きには勝てないのですぐに冷めてしまった。



ーー季節は冬ーー

来年からは受験生か…。進路について考えねば。
そんなことを考える季節だった。

そんなある日、部活終わりに青山くんが顧問に相談している姿を見た。
わたしも顧問に用事があったから少し離れた位置で待っていた。
会話はなんとなくだけどわかった。

部活で孤立している件について話している。
皆が冷たいから居づらい、部活中にうるさいから注意したら睨まれた、正直辛いです先生…。
下を向いて話している。


目には、少しだけ涙が溜まっていた。
本当に辛かったんだね。顧問は、「わかった。遠回しに注意はしておく。あとはお前次第だ。」
青山くんは返事をしてその場から立ち去った。
私に気づいたとき、彼はもっと下を向いて小走りで通りすぎた。

何を思ったのか、わたしは彼を追いかけて手を掴んだ
「な、なに椎名さん?!」



「だ、だ、大丈夫だから…!大丈夫だから!!がんばろ?元気だしてください。」



彼は私の言葉を聞くと、久しぶりに笑顔を見せてくれた
「…………っうん。ありがとう…ね。」

「あ!あの、いきなり掴んじゃって、ごめん…ね?」

「ううん、いいんだ。…ありがとうございます。」


彼のあんな顔を見たら、何も言えずにはいれなかった。ほっとけなかった。
何も出来ないけど、彼を励ましたかった。

No.49

青山くんと一緒に歩いてるのに、すごく消えたい。この場から去りたい気分だ。
すると、青山くんが「じゃあね、椎名さん。お疲れさま」
と言って走っていってしまった。



その先には、花崎がいた。





ああ、彼に捕られた。どうしようもできない。
わたしは恋人じゃないのだから。行かないで!と言えない。制限する理由がない。
青山くんは笑顔で花崎と話す。遠くからでもわかる。笑い声が聞こえる。
もっとお話したかった…。

この夏休みは、青山くんと仲良くなるどころか、離れていく感じに思えた。
遠くの人になっていく。部活の関係で上手くいかないのは分かる。
でも、悪かったとこは、青山くんにもあったんだし…。まだ、改善できると言いたい。
でも私が言ってどうするんだろう?ただのおせっかいな友人。なだけだよ
彼女だったらどうだろう?彼の話を聞いてあげる。言わなくても、何も言わずに抱きしめてあげたい。頭を撫でてあげたい。

彼女だったら…………か。
わたしは、まだ自分の気持ちを伝えてない。いつ伝えるんだろう。
今言っても、きっと彼は花崎と遊ぶことに夢中だろう。返事も期待できない。




後悔した。一年生の頃、ディズニーデートした時に告白しちゃえばよかったんだ。
なんで、こんなにずるずる引きずってるんだろう。
ほんのちょっと勇気があれば!できたことなのに!好きっていえば、全部終わるのに。済んでしまうのに!
言葉がでないんだ。いつもいつも、彼と一緒にいると、何話そうかと必死で頭を動かす。
話す事で精一杯だから、告白するという余裕ができない。





結局、夏休みは部活をして、文化祭準備をして終わってしまった。

No.48

見てます!
更新頑張って!

No.47

夏休み中の部活で毎日青山くんと会うわけだが、なんかおかしいぞ?と思うようになってきた。


髪の毛はつんつんで、今まで眼鏡をかけていたのにコンタクトに変えた。制服にはじゃらじゃらしたシルバーのチェーン。女子が「青山くんって最近、ちゃらくない?どうしたのーー。」
と会話していた。男子と一緒にいると、なんだか別次元。浮く。
そこまでチャラい格好をしてるわけじゃないけど、いきなり、髪の毛とか制服とかアレンジしだしたから驚いてしまったわけだ。

私にはわかる。あの糞男の花崎とやらの真似してるんだと。どうして花崎は青山くんに近づいたんだ。今までの青山くんをかえしてほしい。かえないでほしい。
いままでのサラサラの髪の毛でいるほうが似合っていたのに…。ワックス使うと別人みたい。
清楚な人がだんだんと黒くなっていく感じが、すごく切なかった。
変わらないで。そのままでいてよ…。

願っても止まらない。
彼は花崎に汚染されていく。花崎と一緒にいることが今、彼の中で安心するんだろう。でも、花崎とあなたは似合わないんだよ。お願いだから、どうか遠くの人にならないで。変わらないで。



ある日、青山くんと帰るタイミングが一緒になったから、後ろから青山くんに声をかけた
「青山くん!おつかれー!」

彼は不機嫌そうに「おつかれ」と返してきた。
どうしてそんな、怒った顔をするのだろう。
「最近、文化祭とかの準備もあるしー部活もあるから忙しいよね。青山くんもこのまえ、学校でやってたでしょ??」

「…そうだけど。」

会話が途切れる。なんで、そんな暗いの?部活で居場所が…ないから?
私はあなたの味方だよ?って言いたい。言いたいのに、言ったらきっと「椎名さんには関係ないだろ?」て言われてしまう。

No.46

夏休みは文化祭準備を平行しながら、部活に通っていた。
ある日、クラスで準備会があったから教室で作業していた。
装飾用の飾りを作っていたんだけど、途中で材料がきれてしまい委員長が
「椎名さん、悪いけどC組までいってC組の委員長に借りにいってくれる?私のこと言えば大丈夫だから!」
おつかいを頼まれた私は、廊下に出た。

夏休み中だけど、各教室にちらほらと準備している生徒がいた。
みんな気合いはいってるなー、わたしんとこも頑張らないとな。



C組付近に近づいたとき、遠くに青山くんがいた。
青山くんも文化祭の準備してるんだ!一緒にできてなんだか嬉しい…。

と思っていたら、青山くんの隣に声がうるさい男子がいて、その人と楽しそうに会話してる青山くんがいた。あの人………………って、まさか!
面識はないけど、有名な男子だったから知っていた。

彼は『花崎』という。

花崎は学年でも色んな人に顔を知られてると思う。
なぜなら、遅刻魔で先生に怒られる姿をよく目撃すること。
その2、しゃべる声がうるさい。
その3、いつもテンション高いからうるさい。
とりあえず、目立つ生徒だった。だからわたしでも知っている。
やんちゃな所もあるらしいが、色んな人と友だちで顔が広い。周りを巻き込むのが好きな人間って感じ。

そんな花崎と青山くんがどうして、あんな楽しそうに会話してるんだろう。
弓道部では見せない笑顔で話していた。性格も見た目も正反対なのに………。
不思議でたまらなかった。
そういえば、今日の青山くんは髪の毛にワックスつけてツンツンしてるな……
。花崎と似たような髪型をしてる。
まさか、真似してる??そんなに仲良しなの?!
すごく意外な組み合わせだ。しばらく見てしまった。
いつも静かな青山くんが、あんなうるさい奴とつるむなんてあり得ない。似合わない。





この花崎という人物が、今後青山くんに影響をもたらすのであった。

No.45

ーー夏休みーー

部活内の雰囲気が変わっていた。長谷川は元から嫌われていたこともあって、よく一人でいることが多かったが、青山くんも一人でいる所をよく見るようになった。
男子を観察していると、青山くんがとある男子に話かけてもその男子の反応は「そうだね」で終わり。その後も会話に入ろうと青山くんは話に入っていくが、スルーされていく様子だった。

のの子と「最近、青山くん…嫌われてない?」と話をしていた。
どうしてだろう。元々い一匹狼って感じだから、一人でいることは多かったけどそれとは違う。
私はさりげなく、女子にも何があったのか聞いてみた。

「あーー青山くん?最近なんか微妙だよね。原因はよくわからないけど、もめたって話は聞いたよ。」

誰と揉めたんだろう…?私は男子にも聞いてみることにした。
たまたま近くにいたA君に声をかけた

「A君さ、最近青山くん嫌ってんの??」

「え?!なんでわかるの??!」
図星かよww

「だって、あからさまに避けてるじゃん。男子全体。なんかあったの?」

「まあ、日頃の積み重ねで爆発したってのもあるんだけどさ。あいつ結構な気分屋なんだよ」

「うん、それはなんとなくわかる」

「だろ??でも、俺たちいつも一緒いるから疲れるし、あいつが機嫌悪いとこっちが気使わなきゃいけないからさーー。ていうのもあってこのまえB君がキレちゃったわけ。」

「ええ!?B君と青山くん仲良しじゃん」

「それは過去形。このまえ部活の男子でアニメのイベント行ってきたんだよ。そんで青山とB君は一緒に行動してたんだけど、青山のやつがあれも買いたいこれも見たいって言ってB君の意見も聞かずに連れ回してたんだって。
さすがにB君も怒って『少しはおれの話もきいてよ』っていったんだけど、『わかった』て返事しただけで、そのあとも青山のわがままに振り回されてしまったってわけ。その帰りに、B君キレちゃってさ…。」

「そうだったんだ…。」

「そのイベもあって日頃のストレスに耐えられなくなったわけだよ。女子にはわかんらんだろうなーー。あいつ好きになる女いんのかね?どうかしてるよ」

「…」

あいつ好きになる女いんのかね?どうかしてるよ って言葉に胸が痛かった。
そんなに気分屋の性格ひどいんだ…。
でも、青山くんには良い所たくさんあるし!!そんな、アニメのイベントで上手くいかなかったからキレるとか馬鹿じゃなにのB君!と思った。
当時のわたしはそう思った。

でも、今ならわかる。恋は盲目で、好きな相手の悪いとこなんて見えないし、気にしない。そんなもんだ。だからA君が話してくれたことにちゃんと耳を傾ければよかったのだ。





夏休みに入ってから、青山くんは暗くなった。
このときから、彼の中で色々な感情が渦巻いていたのかもしれないと思う…。

No.44

長谷川と別れてから何日かたった。
久しぶりに青山くんと帰るタイミングが一緒だったので、一緒にバスに乗った。
二人席ではなく、前後も席に座って話していた。

「椎名さん、最近はどう?」

「大丈夫だよ…。ありがとうね、色々助かったよ。」

「椎名さんが長谷川に怒ったて話聞いたけど、本当?」

「あーそれね(苦笑い)うん、あんまりにも不謹慎だから怒っちゃって。周りも驚かせちゃったわ。でも、これで関わることもないかなー」

「まあ、これから文化祭も近いわけだしさ。切り替えていけばいいんじゃない?」

そういって笑顔を向けた。その笑顔にドキッとしたし、私のことを心配してくれたのも嬉しい。ドキドキがやばかった。
それから車内で、文化祭について話をしていた。
私のクラスは飲食で、アイスの販売。青山くんは教室を迷路にするという娯楽だった。お互いに「遊びにいくね!」と話てその日は帰宅した。

文化祭の前には夏休みだし、いっぱい青山くんと交流できたらいいなーなんて思いながら、長谷川の件を忘れようとしていた。

No.43

ーー部活ーー


サトウと青山くんに目が合った。
そっと近づいてきて「椎名ちゃん大丈夫か?」と声をかけてくれた。

「まあ、とりあえずは…。」

「休んでも良かったんだよ?」と青山くん

「いや、大会近いしさ、あいつが理由で休むのはもったいないから」

「そっか……。って、きたよ!長谷川!」


後ろを振り向くと、いつもどおりの長谷川がいた。
あんなことしておいて、なんで平気な顔してんの??
長谷川はこっちに気がつくと、微妙な顔して
「あ……………。おまえ…」


声をかけてきたので私はその場を離れた。
なんで会話しようと思うわけ?おかしいでしょ!!
涙をぐっとこらえて、わたしは部活を始めた。




今日の部活はあっという間だった。
いつもなら、居残り練習して帰るけど今日はもうやる気になれない。帰ろう
自分の矢を持ち、射場から出ようとしたとき、
なんと長谷川が隣にいた。
わたしと同時に射場から出るのを狙ってたらしい。

わたしは恐くなって早歩きで部室に向かう。

「椎名……あのさ、」

「話したくない!!」
こいつどうゆう神経してんだ

「さっきは取り乱してごめん。」

「……………………」

「おまえが浮気みたいな発言したからつい」

「は?!浮気もなにも、本心を口にしただけでしょ?わたしはもう、この関係続けたくないって言いました。出来れば、もう関わりたくない。」

「あっそーーー」

「…………」

「なに、そんなに襲われるの嫌だったの?」


わたしはカチンときた。





『うっさいよ!!!!黙れよ!!!関わりたくないんだよ!!何様なんだよ!』






私が大きな声で怒鳴ったため、一緒に部室へ向かってる仲間達と後輩がびっくりしていた。
一番驚いてるのは同学年の仲間達だ。
こいつら仲良しだったんじゃねーの、どうしたんだよってコソコソ言っている。

「なに怒鳴ってんだよ…。こわぁー」
煽るような口調で言ってきた。


もうなに言っても通じない、いっそこの持ってる矢で突き刺してやろうかと思った。
そこにサトウが走ってきて「おいおいおいーーこんなとこで喧嘩すんなよ。後輩とか驚いちゃうだろうよ」
わたしと長谷川の間に入る。長谷川が「てめぇには関係ねえーんだよ。消えろ」

「長谷川、ちょっと落ち着こうか。関係ないけど、乱闘とかになっても部の責任だからね?」
にらみ合う二人。


私はサトウに小声で「ごめん」と伝えてから小走りで部室へ逃げた。




この日からわたしと長谷川の関係は友だち以下になったのだ。
話しかけもしないし、目も合わせない。
部活内では喧嘩したと噂が広がり、どうして喧嘩したのかまではあの二人以外知らなかった。
でも仲の良かったのの子には、二人に教えた内容と同じことを伝えておいた。
のの子はそれから部活内で私と長谷川が一緒にならないように、裏でいろいろ工作してくれたのだ。
すごく感謝している。

No.42

わたしはその日、授業に出れるような精神状態じゃなかったので部室で落ち着いてから、保健室に逃げた。青山くんとサトウは今日あった出来事は内密にしといてくれると約束してくれた。

サトウが
「椎名ちゃん、とりあえず俺らの中で秘密にしておく。でも今後、長谷川の奴と部活でも顔合わせるわけだろ?気まずいと思うけど、ちゃんと来いよ。あんな奴が理由で部活の成績悪くなるのも悔しいじゃんか!あと、なんか長谷川にされたら相談のるから。
どこまで対処できるかわかんねーけど、あんまりにもひどいようだったら、皆にも伝えなきゃいけないしな…。ないことを祈るけど…。」

そう言ってくれたので私は少し安心した。味方がいるだけで、こんなにも安心する。
わたしは保健室のベッドで今後どうしようか考えていた。
ちゃんと伝えてはいないけど、【別れた】ってことでいいんだよね?
顔合わせても無視しちゃっていいよね?部活でも無視していいよね?

考えるだけで心が重くなる…。まさか、体目的でつき合っていただなんて…。幼なじみなのにどうしてなんだ。
フリーだったから寂しさの埋め合わせってやつなのか。
そんなことを考えてるうちに眠りについてしまった。



学校が終わって、部活動の時間になった。
教室に荷物を取りにいくと、クラスで一緒に行動している子が
「ゆい大丈夫???!昼休み以降ずっと来なかったから心配したんだよぉ?」
とわたしのことを心配してくれたのだ。形だけかもしれないけど嬉しかった。
性格と雰囲気は私と正反対の子達だけど、こうやって心配してくれると、普段無理にでも合わせて行動しててよかったなーと思う。

No.41

                     
「あのな、椎名ちゃん。あいつ以前どうだったかは知らないけど、高校では相当な女好きって俺らでは把握してるんだ。

俺が知る限りだと、最初は弓道部の女子のNさん。(のの子ではない)それから、一ヶ月ぐらいして当時同じクラスだったKさん、Kさんも長続きしなかったなー。それから他校の奴が2人ぐらい。
まあ、彼女できてもころころ変わるんだよな。あいつ。
それは椎名ちゃんも知ってることだよな。

多分この話は知らないと思うんだ。
長谷川がなんで彼女をすぐ変えていたのか、それはセックスが目的だったからだよ。

1年生の頃、俺にセックスのコツを無理矢理教えてきてな。
なんでそんなに詳しいんだよって聞いたら
「何人も経験してるからじゃん。俺、たくさん経験したいから彼女たくさん作って、やりまくるんだ。おまえには無理かもなw」



ようするに、あいつにとって彼女は経験値でしかないんだよ。彼女とも呼べるのかわかんないけどな………。
あれだよな、典型的な高校デビュー間違ったver.て感じだよな。
女ができて変わっちゃうやつ。部活でもセックスとかの話になると、あいつがすっげー自慢してくるんだわ。彼女いても他の女と関係持ったとか平気で話してくんのな。

さすがに、こいつ頭おかしいわってなって最近自然とはぶっちゃってるんだよね。
だから、部活の男子からは相当嫌われてる。



すげえ盛ってるよ。女子が二人きりになるのは、まずいと思う。

でも、椎名ちゃんは幼なじみだし、そんなことはないだろうって思って言わなかったんだ。
まさか…………こんなことになるなんてな…………。」



サトウは悪くないのに、サトウが落ち込んでいる。
青山くんも黙っている。
わたしは色々びっくりで、どうしたらいいかわからない。

告白したのも、やっぱりセックスしたカップル見て興奮したからなんだ。
本心ではないんだ。私とも関係を持ちたかったんだ。
そうなのか_。そうだったんだ。

私も彼の経験の踏み台でしかなかったということか。
だから、あんなに欲情してたんだね。


笑えてくる。すごく笑えてくる。今まで通り友だちに戻りたいって思った自分が馬鹿だった
わたしも彼を裏切ったと思う。青山くんが好きなのに、勢いでつき合って。それから本当の気持ちがわかって。嘘の気持ちでつき合っていた。許されないことだとおもう。



でも、彼は、長谷川は、

それ以上にクズ野郎だったんだね。


また、涙が出てきた。さっきよりも声が出ないぐらい泣いた。
部活仲間の前で嗚咽上げながら泣くのは、すごくみっともなかったなって思う。でも、止まらなかった。
わたしは無意識に青山くんの胸によりかかって泣いていた。
サトウは居づらそうにしていたけど、タオルを貸してくれて、それで涙を拭き取った。

青山くんの手が背中をさする。それは優しいリズムだった

No.40

部室につくと、サトウがコーラを奢ってくれた。とりあえず飲んで、少し落ち着いた。

「でさ、椎名ちゃん。どうしたの?普段、そんな気が狂ったように走ったりしないじゃんか。」

普段からそんなんだったら、おかしいわと突っ込みたくなったが、そんな元気もでない。
とりあえずどうしよう…真実を二人に話すことはできない。
同じ部活仲間なわけだし、私が原因できまづくなっても困る。
わたしがどもっていると、青山くんがすぐ隣に来て背中をぽんぽんしてくれた。

「サトウくん、そうやってすぐ詮索すんなよ。彼女はそれどころじゃないんだしさ。」

「あ、ごめんな」

「ううん、大丈夫。ありがとうね。助かった。本当に。二人には助けてもらったから事実をいわなきゃいけないよね」


そこでわたしは少し話しを改ざんすることにした。
まず、つき合ってたという事は言わない。クラスにいずらくて、長谷川と立ち入り禁止区域でよく相談しながらご飯食べていたということ。今回、なぜ私は取り乱したのかという理由は、ちょっとしたことで言い争いになって、長谷川に襲われかけたという理由。


二人とも呆然としていた。
特にサトウの驚いた顔が本当に「まじか」って書いてあるぐらい驚いてた。






サトウが「まさか、長谷川あいつ…椎名ちゃん【にも】そんなことしたのかよ:」








にも……………??わたしにも??


「サトウ、それどういうこと?私以外にもあるの?」

青山くんも知っている様子で、うつむいていた。知らないのは私だけか


「椎名ちゃん、長谷川を仲良かったから言わないでおいたんだけど。こんなんことになったらな…。
伝えるしかないな。あのな……」


サトウから聞いた話は、今までわたしが知っている長谷川ではなかった。
他校の高校生の話にしか聞けなかった。

No.39

<お知らせ>

感想スレを立てました。その名のとおり感想、疑問、などなどはこちらに投下してください。

http://mikle.jp/threadres/1988214/

いつも読んで下さってありがとうございます!!!


主より😃

No.38

恐い。いつもの知ってる長谷川じゃない。
恐い恐い恐い!こいつは、ただHがしたいだけなの…??どんだけ発情期なの?
こんなことしたくない。 ふとももを撫でてるのがわかった。気持ち悪い。
もっと近づいてきて、首筋を舐められた。
気持ち悪い!!本当に、気持ち悪い、友だちとこんなことしたくない
思わず、悲鳴をあげてしまった。



いままで、あげたことない恐怖にみちた声を発した。

「きゃああああああ!!やだ!!!いやだ!!やだあああ!!!」


「おまえ、声あげんな!誰かくるだろうが!!」
長谷川が3本ぐらい指を口につっこんできた。苦しい。
ふごふごとしか言えなくて、指を思いっきり噛んだ

「痛っ!!!!おま…」

わたしはその隙に長谷川に蹴りを入れて、倒れたとこで全速力で駆け出した。


階段を降りて降りて駆け抜けて、空中廊下を目指した。
後ろから音が聞こえても知らんぷりして、思い切り駆け抜けた。
空中廊下まできた時に、誰かと思い切りぶつかった。










ぶつかった相手はサトウだった(のの子が片思いしてる部活の男子)

「って…!!ん??え、椎名ちゃん?!どうしたの」

知っている人がいて、すごく安心した。
サトウの隣にはなんと青山くんがいた。
青山くんは驚いた顔でこっちを見ている。
青山くんだ…助かった…………。
青山くんを見たら、安堵してしまい思わず涙が零れてきた。

「え!椎名ちゃん?!ちょ、大丈夫?え、どうしよ、痛かった??」


「ちがう……の。ちがう………っ、うう、ああっ。わたし、わたしどうしたらいいか…うっ」

困り果てたサトウに変わって、青山くんが近づいてきて肩をさすってくれた
「とりあえず、落ち着こう。なんかあったのはわかったからさ。大丈夫?歩けそう?
ここだと先生とか生徒くるから、どっかいこう」

「あ、部室空いてるからそこいけばいいんじゃね青山?あそこなら誰もこないよ。」

「う、う………でも………じゅ、授業が…はじまっちゃう……。」

「いいよ、べつに。次の授業さぼるつもりで俺たちうろうろしてたんだよ。椎名さんが大変そうだから、そっちにつき合うよ。いこ?」


青山くんがわたしの背中を支えてすぐ近くに居てくれる。




幸運だった。長谷川とあんなことがあってから、まさか青山くんとサトウに会うなんて。すごく幸運だった。

No.37

わたしは翌日のお昼休みに長谷川とお昼を食べた。
いつもの立ち入り禁止区域で。


なんとなく気まずい。


長谷川の機嫌がよくないからだ。
理由はわかってる、だからはっきり伝えないといけない。


「なあ、椎名」
長谷川から最初に口を開いた。やられた!


「あのさ、昨日青山とおまえ楽しそうに話してたよな。楽しかった?」

「それは、まあ、楽しかったよ?
 ……………長谷川、あのね、あのね!いいたいこと…」



「おまえ俺とつき合ってるんだよな?どうゆうことだよ」
今までみたことない目で睨んでくる。

「それは、友だちとして話してたわけで。漫画貸してくれるって言ってくれたから」

「貸し借り??なんであいつとすんだよ!しなくていいじゃねえかよ!」

「だからね、いいたいことがあるの!!!
わたし、長谷川とは…長谷川と、元通りになりたい。
恋人じゃなくて、今まで通りの友だちでいたい…んだよ。」

「は???」

「わたし、長谷川のこと好きだけどね、友だちとして好きだってことに気づいたから。
だから……元にもどりt」



言い終わる前に長谷川が私の体を掴んで、壁にぶん投げた
頭が壁に思いっきり当たってめちゃくちゃ痛かった。
長谷川が私に覆いかぶさる



「ゆい…」










メールではさんざん呼び捨てだったのに、このとき初めて名前で呼ばれた。

「青山なんてな、ただのオタクじゃねえかよ。お前、いつから好きなんだよ。どんだけ時間かかってんだよ。俺の方がいいじゃんか!お前のこと昔から知ってるぜ?なあ、もっと教えてくれよ。
俺は、もっと知りたいんだよ。ゆいのことがもっと知りたいんだ。」


スカートに手を入れてくるのが分かった。


「やめて!わたし、長谷川と、こゆうことしたくない。話してるだけで、楽しいから…!」
頭がくらくらして、この状況をどうにかしようと頭を動かしたが何も思いつかない


「もっと教えてくれよお?お前にまだなにもしてないじゃんか。なあ?」

No.36

それのデート以降、どことなく冷たい態度を彼にとってしまっていたかもしれない。

顔もあんまり合わせたくないし、正直もとに戻りたい。
彼氏彼女じゃなくて友だちにもどりたい。それだけだった。

でも、正直に言えなかったから今まで通りにお弁当も週1で食べたし、
部活でも普通に接した。



つきあってから、1ヶ月を過ぎるのはあっという間でした。




長谷川とつきあってることは誰にも言ってなかった。
みんなは「椎名と長谷川って小学生のときからの付き合いらしいよ。すげえよな!」て認識されてたから、いくら一緒にいようがなんとも言われなかった。


部活にいくと青山くんがいる。
今日もたくさん当ててるなあ。つよいな。綺麗だな

わたしは、青山くんに久々に話しかけた。

「あ、青山くん、このまえメールしてくれたのに返事しなくてごめんね!」

「あ、別に大丈夫っすよ。xxxていう漫画本当に面白かったよ」

「あれは名作だよ…。私、人生変わったもん」

「そんなにですかwww」

「うんw あ、わたし途中までしか持ってないからよければ貸してくれるかな?」

「いいよ!明日部活のときに持ってくるんで。覚えといてね。…しかし、この作品を一緒にわかってくれる人がいて嬉しいな」


一緒にって言葉に、どきっとした。

ああ、いかん、本当にわたしは青山くんを素直に選ぶべきだった。
長谷川とつき合うなんて思ってなかったから…勢いで返事なんてすんじゃなかった…。めちゃくちゃ後悔。


部活が終わって、部室で着替えてると、のの子(久々の登場)が話しかけてきた。

「ねえ…あんた長谷川となんかあった?」

「え!??(ギク!)なんもないんだけど。」

「そう…。なんかさ、気になることあって」

「え?なに?」



「さっき、ゆいが青山くんと話してたじゃん?あのとき私さ、長谷川と少し話してたんだよ。
そうしたら、いきなり目つき変わってね。ゆいをめっちゃ睨んでたからびっくりしちゃって。あんたら仲良しだから喧嘩でもしたのかと思ったの。なんもないなら良かったよ」






え……………………。

それが事実なら、早急にどうにかしないといけない。

長谷川は嫉妬をしたんだと思う。
でも、わたしは彼に嫉妬されても嬉しくない。
彼とは友だちでいたいから。元に戻りたい。友だちに。
恋人同士じゃなくていい、私は長谷川と高校生活頑張っていければ十分だから。


ちゃんと伝えなきゃ。

No.35

スタバを出て、私たちはショッピング街を歩いた。
なんとも言えない二人の距離を保ちながら、歩いていると長谷川が
「手繋いでいい??」
と聞いてきた。聞くのかよ!って思ったけど、わたしはうんと答えた。

手をつないで歩くのは初めてで、わたしは今、恋人っぽく周りから見られてるんでよね…て考えたら恥ずかしかった。

「手繋げてうれしいわーー」

長谷川がこっちを見てきた。

どうして私は幼なじみと手を繋いでいるんだろうと頭によぎる。
いま、こんなこと考えちゃいけないのに。恋人っぽいことをする度に、自分は引いてる。長谷川から引いてる。嫌いではないのに、なぜかすごく手を繋ぎたくない。
どうしてこいつなんだろうと、なんで手つないでるの?
わたしたち幼なじみじゃん…。
どうして青山くんじゃないのかな


「椎名、あそこの公園いこうよ。眺めがめっちゃいいんだーー」

その公園はカップルの名所っぽくなってるとこで、夜はあふれている。
暗いから、いちゃいちゃしてるカップルも多いわけだ。

「え、あそこいくの?」

「うん、なに、いやなん?」

「わたし今日早く帰らないといけないんだ。だから、遅くまでいれないんだ。ごめんね?」

「まじかー!そっか、残念。じゃあ、また今度だな。
家まで送っていくよ」




わたしは、長谷川とそこに行きたくなかった。

最低だ。と思う。

正直、その公園にいったら長谷川は何かしらくっついてくるんだろうなーと予想はつく。
抱きつかれるかもしれない…。気持ち悪い、想像できない。
こいつと抱き合いたくない!嫌いじゃないけど、違うけど、そうゆうことしたくない。


だって、ずっと、ずっーーーと友だちだったから。










自宅に着いて、自室にこもった。



ああ、わたし長谷川すきじゃないんだな。

もっと好きになろうとか努力しようとか考えたけど、出来るのかな。
恋人らしいことをすると、ものすごく拒絶反応がでる。
いずれ、セックスとかすることになるんだろうな…。絶対むりだな
長谷川と体の関係持つのは変だ。


やっとわかった。わたしにとって長谷川とはどうゆう存在だったのか。


友だち以上で恋人未満。
恋人がいると、ちょっと寂しいけど応援したいみたな…
親友に恋人できると寂しくなるのと同じやつだ。
だから、もやもやしてた。あいつに恋人できたときも、すごくもやもやした。

実際につき合って、接して…わたしは長谷川に申し訳ないことをしたと思った。
友だちは友だちなんだ…。それ以上はなかった。

どうすればいいんだろう。わたしは結局青山くんを追いかけてるんだ。
どうしたらいいんだろう。

わけもわからず、その日はたくさん泣いた

No.34


恋人同士になってから、初めてお昼を食べることになった。
いつもどうり立ち入り禁止区域で。

その日は、あらかじめチェックして例のカップルがいないことを確かめた。


お互いお弁当を開き、食べ始める。

すると、長谷川がすぐ隣にやってきた。
近い!!!
「おまえの弁当うまそうじゃん」

さりげなく手を重ねてきた。さすが、高校で彼女が何人もできたオトコはなれている。


「はやく食べちゃおう!昼休みもったいないよ」


「あーんしてよ」


「………は?い?」



「あーんだよ。ほら、やって」



「え、えええ、あの、したことないんですけど……恥ずかしい」


「ほら、椎名。俺からやるから。あーーーん」


思わず目をつぶってしまった。あーんという行為がこんなにも恥ずかしいだなんて!と1つ経験した。


それから、わたしが長谷川の口に卵焼きをいれるんですが、
入れる時にわたしはこう思ってしまった


【わたしなにやってんだろー】


長谷川は笑顔でおいしいーと言った。


このまえまで普通に友だちだったのに、なんで、なんであーんとかやってるんだ?おかしい。わかんない。こわい。



気持ちが追いつけていなかった。





恋人になってから一週間後、

長谷川とデートをした。お互い地元が近いから、そこの映画館にいくという内容だった。人生初のデート!
わたしはめちゃくちゃ緊張した。緊張するってことは、長谷川のことちゃんと好きってことだよね?


映画を見終わった後に、スタバにいって色んなことを話していた。
(映画自体はお互い真剣に見てましたので、なにもありません)

すると、いきなり長谷川がこんなこと聞いてきた





「椎名さ、青山のことどうなん??」



「え」


「今は、どうなの。あいつのこと、好きだったじゃん」


「ああ、青山くんねーー。うーーん、彼ってさ暗いじゃん?ちょっと話にくいとこあるっていうかーーねえ?だから、今は別にって思ってるかな。
長谷川と…つき合ってるわけだし。さ!」



「ふふっ。だよな!すまん、へんなこと聞いて」




罪悪感に襲われた。青山くんを忘れることなんて簡単じゃない。
長谷川も大切だから、傷つけたくない。
そうだ、長谷川をもっと好きになればいいんだ。

もっといいところ見つけて大好きんいなればいいんだ!
簡単だよ、元々好きなわけだし、大好きになることは余裕。
と思った。どうにかなるって思ってた。

No.33

その日からのメールは気持ち悪いほどに熱々だった。

『ゆいお疲れ♥これからゆいって呼ぶね!!』

『俺おまえとつき合えて幸せだわー』

『ゆいに早く会いたい』




恋人になるとここまで態度が変わるもんなのかと、経験が全くない私は戸惑った。初めての彼氏だからしかたないよね。


熱々なメールの中、

違う人からメールがきた。






ーーーーーーーー
from 青山くん
ーーーーーーーー
お疲れさまです!以前に椎名さんが好きだって言ってた漫画を買ったんだけど、貸しましょうか?
あと、今日絶好調だったね。僕も頑張らないと!^^
ーーーーーーーーーーーーー








心が痛かった。ズキっとした。なんでこのタイミングで青山くんから……
でもすごく嬉しいと思ってる自分がいる。
青山くんとメールするのも久々だし、彼が私の好きな漫画のこと覚えていてくれたことが感動した。

青山くんと、また話すネタが増える!!!嬉しいな


って思った瞬間、「あっ」てなった。



2年生になってから、自分で精一杯だったから青山くんに気が回らなくて考えていなかったんだ。今、やっと落ち着いてきたから心に余裕もできたし、なにより長谷川が悩み聞いてくれたりしたからだ!そのおかげで、心が軽い。

だから、青山くんからメールが来たときに青山くんを好きでいる自分が蘇った。


どうしてこんな、タイミング悪いの?



わたしは長谷川とつき合ってるわけで…。

長谷川の気持ちに気づいたはずなのに。
青山くんなんて忘れよう。そうだ、忘れよう。

良い恋だったてことにしよう。


なんかどうでもいいやって思えば気が楽。

そうだ、忘れよう。



そのメールに対して返事を返さなかった。

と同時に長谷川へのメールも返せなかった。



わたしは誰とどうしたいんだろう。
長谷川のこと…どうしたいんだろう。

No.32


その日の部活はとても気まずかった。


長谷川にあんなことを言われて、わたしはなんて解答したと思う??





「私もあんたが好きなのかもしれない…」



そういうと、トイレの個室で強く抱きしめられた。


あんな現場を見て、お互い舞い上がってしまった。理性がなかったといえばいいのかな。
勢いで告白され、私も勢いで返事をしてしまった。

長谷川のことは好き………なのかもしれない。
いつも側にいてくれたし、一番安心できる異性だから。ずっと友だち以上の関係でいたから。それが、本当に、本当に恋人として迎えることがあるだなんて…。


わたしにとって、初めての彼氏だ。だから、尚更嬉しいような恥ずかしいような。
そんな複雑な気持ちで長谷川と部活で顔を合わせるとめちゃくちゃ気まずい。



いつもどうり、いつもどーーりにすれば大丈夫!言い聞かせて私は弓を持つ。

何故か今日の長谷川はかっこ良く見えた。
弓道している姿が、とってもかこよかった。
的に当たるスパーン!!という音がめちゃくちゃ気もちいい。

見ていたら、長谷川と目が合って笑顔を見せてくれた

ものすごくドキドキした…。彼氏になるとこんなにも見方が変わるんだなって。
急展開すぎてどうしたらいいか分からない。でも、彼氏ができたことに舞い上がってる自分もいるわけで。


その日の部活は好調で的に矢がたくさん刺さったのを覚えている。

No.31

待ってました!(^ν^)ありがとうございます♪

No.30



「長谷川、わたしが…青山くん好きなの忘れたの?」


「忘れてない。いまでもあいつのこと好きなんだろ?見ればわかるって」


「じゃあ、なんで…わたしなんだよ。あんた、高校入学してから彼女できてるじゃん。モテてるじゃん。わたしとは幼なじみとか…そうゆうのじゃないの?」


「おれがなんでこの高校入学しようと思ったのか、教えてやろうか」



長谷川は小学校も中学校も一緒。高校までもが一緒で部活も一緒だ。
本当に腐れ縁ていう奴。長谷川は高校受験のとき、もう少し上の学校を狙っていた。

しかし、落ちてしまい一般で今の高校に合格。
ちなみに私も一般。志望校が同じだったから一緒に受験しにいった。

狙ってた高校が落ちてしまった直後に話した会話を私は思い出した

『椎名はどこ受けるのさ』

『T高校だけどーー。部活多いし、雰囲気をか好きだったからね』


『そっか。俺、第一落ちたからさ………。』


『そうなの…………。』


『T高校ねぇ………考えとこ』





そんな会話をしていた。
でも高校がかぶったのはたまたまだと思っていた。

長谷川の第一志望がT高校と少し似ているから、ここにしたんだと私は思ってる。思っていた。








「おれがなんでこの高校入学しようと思ったのか、教えてやろうか。それはな、、、」




















「おまえがなんとなく気になってたから、一緒に行きたいと思ったから受けたんだよ!!」





長谷川が強く手を握る。

わたしは唖然としてしまった。

わたしが抱いていた長谷川の微妙な気持ちが、確信へと変わってしまったから。

No.29



「長谷川っ!……っ!」


わたしはうつぶせの状態だったが、彼を思いっきり押した。


この状況で彼がどうしたいの全くわからない。

セックスの現場を見て興奮したのかこいつ。




「椎名……」


といって長谷川の腕がまた伸びてくる。
なんか、やばい気がする!と思って立ち上がった。

その時に上履きが廊下を刷るキュッ!という音が出てしまって
セックスしていたカップルの動きが止まった。




『ちょ……誰か……いるのかな。やだぁ、どうしよ……』

『ちょっと服着て待ってろ。廊下見てくる。』





わたしたちは、彼らが同級生ということもあり、顔を合わせたらめんどくさいので正面にあったトイレにかけこんだ。

その後、彼氏が教室から出てくる音が聞こえ「気のせいか」
と呟くと、また教室からギシギシと激しい音が聞こえた。



私と長谷川は女子トイレに逃げ込んでいた。
とりあえず、あのカップルにバレてはいないようだ………。


安堵しようとしたとき、



長谷川は私の腕を力強く引いてきてトイレの個室へと誘導された。



「ば、ばか!なにしてんのさっきから!あんたおかしいよ!!!」

「……あぁ。おかしくていいよ。こんな状況だもんな。あんなもん見せつけられたらさ……… 余計に思ったわけだよ」


「な、なにを??」



「おれ、おまえのこと、気になってんだよ」







「…………?!」





時間が止まったと思った。
こいつが何を言っているのか理解するのに、ものすごく長い時間経ったような気分だ。わたしは今、告白されている。

No.28


制服を半分着た状態で、女性が机に乗り、男性が女性に覆いかぶさっている状態。

女性からは「あ……!!あぁああ!!ンっ……き、きもち…ぃ」
と快楽に溺れる声が溢れる。

「○○のマ●コは本当に、締め付けがやべえよ」
と腰を動かしまくる男性。



どちらも同じ学年の人だった。

長谷川が小声で
「あいつら…小川と斉藤さんだよな。つき合ってるのは知ってたけど…。まさかここで?…………」


わたしたちは動けなかった。
目の前でセックスしている同級生。

普段見ない姿で乱れているのが、すごくゾクゾクした。そのときうろ覚えな性知識しかなかったから、何をどうしているのか当時はわからなかった。


「はあはぁ……!んん!!やばい……よぉおぉ。ううう……ん。やばいいぃ。」


男性の腰に足を絡み付ける女性。
な、なんんだこれ。
正直見てるこっちは興奮と混乱で頭がパニクっている。

顔ぐらいは見たことあるあいてだったから、なおさら動揺






すると、長谷川が私を引き寄せてきた。
肩と腰が当たっている。動けない。声もだせない


「…し………………な」


「え?なに?はせがわ…」


「しい…………な。お、おれ…………おれ、」



「…………あ、う、……な、なんな……んだよ」




目が合った。


顔がうつぶせになっているから尚更ちかい。



「き、きすとか、そうゆうのは、ちょっと、やめてよね??」



「………しい…な。」



「ちょっ…!」





顔が近づいてくる

No.27

わたしはそれから、週1ぐらいで長谷川と一緒に立ち入り禁止区域で昼飯を食べるようになった。

クラスで一緒にいる友だちには適当に理由をつけて、お昼を断っていた。



順調に長谷川と友情を深めあっている。


はずだった…。









あれは一緒にご飯を食べ始めてから一ヶ月後のこと。


いつもどおり、立ち入り禁止区域に入ってご飯を食べようとしたら

「椎名!ちょっと待って」

「は??なんで…」

「しっ!!誰か………いる。」



誰かいるの??!いままでそんなことなかったから、先生だったらどうしようと焦り始めた。鼓動がやばい。


耳をすますと、確かに誰かの声が聞こえた。

もう少し遠くにいるようだ


「いってみるか…」

「え!??もし先生だったらどうすんの??!やめようよお!!」


「だって今まで気づかなかったんだぜ??俺以外にどんな奴が使ってるのか把握しとかないとね」


といって奥にすすんでいく長谷川。

私も仕方ないので長谷川の後ろについていく。



少しずつ声が聞こえる。


『…………っ……で……だから』


もっと近づく。



『…………!!!っ!!や……』



苦しんでる…??いじめ……なのか。


いつのまにか長谷川に手を引かれていた。
すごい。大きい手








使われていない教室で謎の声の主がいる。
わたしたちは教室の下にある小さなドアをそっと開いて、
うつぶせになって覗いた。





「え………!!!????」
わたしはびっくりした。










カップルがセックスしていたのだ。

No.26

長谷川に呼ばれて、空中廊下に行った。
周りの目をものすごく気にしながら長谷川を探す。

ちょっとでも一緒にいる所見られたら、すぐに勘違いされてしまう。
(高校生ってそんなもんだよね)



空中廊下の端に長谷川が居て、私を手招きした。


「よっ!」


「よっ!ってさ…。で、どうすんの」


「まあ、あっちいこうか」



と言って、長谷川がおすすめの場所に案内してくれた。
空中廊下を渡った隣の棟の4階は立ち入り禁止だったが、長谷川はそこに入ってしまう

「ちょ!そこはだめっしょ!!」


「うっせーーな。はやくしろっつーの!細かいこと気にすんな」


なんだこれ少女漫画かよって思いながら、立ち入り禁止区域に足を踏み込んだ。

ほこりっぽかったけれど、誰もいなかったからなんとなく落ち着いた。

「ここ、ベストプレイス」

と長谷川が言う。

「俺もクラスにまだ馴染めなくてなあーー。相性が合わない奴がリーダー気取りしてるから、今のクラスで飯食うの嫌なんだよね。だからココに来てたまに飯くってんのよ」


確かに、ここはいい場所だ。
汚いけど、学校という空間から離れた存在って感じで、クラスの重圧から少し解放された気分だった。


「教えてくれてありがとうね、長谷川」


「べつにーー。なんもしてねえよ。」


と照れくさそうにパンをほうばる。

学校のストレスから解放されたひとときを、長谷川とこの日から何度か一緒に過ごした。


私の気持ちは”めっちゃいい友だち”だったけど、なんとなく心がむずむずする。



わたしは青山くんが…すきなのにな。

No.25

クラスが憂鬱な中、隣のクラスには幼なじみの長谷川がいた。

クラスが近いからたまに廊下で会うと「よっ!」て感じで挨拶はしてくれた。


長谷川「椎名、クラスはどーよ」

私「…ええ?まあ。うん…。そこそこかなあ」

「は?おまえ暗いんだけどww」

「ふふっ…。そうだろうね。楽しくないもん。もうグループできてるし、女子のグループって入りにくいんだ。だから、最初から固まってると本当に取り残されんのよ。わかる??」

「はあ。女子って固まってんもんなあー」

「だから、全然相性合わない人と一緒に居るのも仕方ないんだよね。
今年修学旅行あるじゃん?だから、誰かいないと…いないと…」

わたしは言葉に詰まった。
泣きそうな気持ちをこらえて下を向く。
余裕がない自分を長谷川に伝えても仕方ないのに…。


「椎名、昼いっしょに食うか?」

「え???」

「とりあえず、昼休みになったら空中廊下な!じゃあ」


と言ってクラスに入ってしまった。



そのときの長谷川がかっこよく見えたのは自分でも不思議だった

No.24

主です。間がだいぶ空いてしまいました!
とても忙しくて、ゆっくり小説を描く余裕がありませんでした…。

楽しみにしてますというコメントくれた方、ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!

近々またアップしていくので、少々おまちください……



主より。

No.23

全部読みました(^ν^)
主さんの話もっとききたいです!

No.22

楽しみにしています!是非書いてください!

No.21

………高校二年生編
長くなりました。はっきりいって、高校二年生は一番楽しくなかったから、あんまり覚えてないんです。だから、手短にすませます。

なんで楽しくなかったかというと、すべてはクラス替えが悪かった。
私のクラスは吹奏楽部で固まっていて、女子のほとんどがそこでグループを作ってしまっていた。
当然、知り合いが誰1人居なかったから最初はぼっちでした。地獄だった。
吹奏楽には、性格悪い人が居てわたしは大嫌いでした。

すごく性格悪い野郎だったから関わりたくなかったんですよ。
だから、他にぼっちの人いないかなーて探してたら、天使みたいな笑顔で微笑んだ人がいて、

その子と行動するようになった。
でもその子も、他のクラスに友達たくさんいて顔が広い人だったんだ。


だから、部活内でチヤホヤしてる私とは全く違うタイプだったからいずらかった。

もう一人仲良くなった人がいた。
ギャルぽい感じの人だった。
恋愛経験が豊富で、当時は結構男で遊んでいた。だから、これまた違うタイプの人でいずらかった。


私の居場所がなかった。
一緒に行動するひとはいても、仮面を被った状態だったからすごく辛い。
とにかく独りでいることが辛かった。過剰に反応してしまう。

吹奏楽の嫌いな奴に陰口たたかれたらイヤだなーとか、体育のとき、また1人かなーとか。
毎日つまらない。


だから、わたしの帰る場所は弓道部しかなかったのだ。
学校も弓道部のために来てたから不登校にはならなかったけど、5ヵ月ぐらいはずっーーーと緊張状態だったな。


そんな環境だから、当然、恋をする余裕もなくて

青山くんに対する気持ちという物が自然に消えたんですよ。それどころじゃないから




でも、まぁ、そのうちギャルぽい子と顔が広子とはなんとか!打ち解けたんですよ。
その頃からは、また青山くんの気持ちが戻ってきたかな。

だから、あんまり2年のときは思い出がないのです。

No.20

二年生の話しに入る前に

人物のスペック話してなかったから、簡単に。

☆主=椎名ゆい
髪型はボブヘアー。あっちゃんの短めぐらいだったかな。高校は、ずっとそんな髪型。
童顔で、幼いとよくいわれる。

弓道部は精神的支えだったぐらい、大切だった。
アニメとか漫画に興味持ち始め、当時はニコニコがはやり始めたから、ニコニコ見まくってた。オタク予備軍


☆青山くん
好きな男性。一匹狼。髪型はえりあし長め。
毛が細かった。 ワックスでたまにツンツンしてるときもある(男子特有のあれ)
メガネを掛けてるときがおおいが、たまに裸眼。
目が狐目ぽくて、キリッ!としてる

オタク。色んなことに詳しかった。
話題が合うと結構盛り上がるタイプ
ただ、気分屋なので日によってテンションの差が激しい。
黒い物がすきで、みのまわりは黒色グッズが多かった&狼デザインがおおかった。
学ランなのに、黒いショートブーツを履いていて、珍しいタイプの不思議な人だ。

※今思うと、中二病こじらせてたんじゃないかとおもいます。


☆のの子
ロングストレートヘアーの元気な女子。
かわいい。男子や女子誰とでも話せる。コミュニケーション能力高め。
頼りになる存在。

☆サトウ
のの子が気になってる人。
背がでかい。ムードメーカー。話がうまいので、男子からは人気があったし頼られてた。友達多いタイプ

☆長谷川
わたしの腐れ縁で幼なじみの男子。
女好き。高校入ってから、女好きが爆発したっぽい。男子からは当然嫌われる。
女子の友達がおおい。

背が180もあるから、でかい!ほそい!
なんだかんだいって、頼りになる存在。
恋心はないが、なんだかんだ気になる。
でも恋とかそうゆうのじゃない。


まとめてみました。それぞれ想像してもらえると、楽しいかも。


@名前は仮名です

No.19

その後、ファストパスで先に待っていたのの子達と合流します。

わたしはのの子を引っ張って連れて行き、
「青山くんにね……手握られたの!」
「………ええぇ!!まじでえぇ?!きゃーーー!」

青山くんにバレないようにと隠れて喜びました(笑)

「え、じゃあゆいさ、今日告白しちゃいなよ」
「え?!そ、そんな、心の準備ってやつが」
「なんでー?いい雰囲気じゃんよーー。もったいないぞー♡」

のの子は告白を推奨してきますが、私はどうしてもしたくなかった。なぜなら、手を握られただけでも精一杯だったし、もっとこのなんともいえない余韻に浸っていたかったんです

それに、いま告白して振られたらとても立ち直れない……。
私はこの頃、恋愛に臆病で積極的じゃありませんでした。

だから、今思えば…あの時告白してたらなーと思っちゃいます。チャンスなんて沢山あったのに。告白のタイミングがあっても、自分の言葉がでない。
相手に断られるぐらいなら、友達のままのほうが何倍も幸せ!!!!そう思ってたから、告白てことが出来なかった。


タワテラ乗ってから、時間もちょうど良いので解散になりました。
帰る電車は皆一緒だったけど、私は終始青山くんとずっとお喋りしてたりして、とても幸せだった。


一年生のころの思い出はこれぐらい。


ディズニーは今でも行ってよかったなーて思う。
クリスマスディズニーの装飾を一緒に見れたのも嬉しかったし、手握られたのも人生で初めて?だったから……。

No.18

私たちはタワテラの席でいうと、真ん中の左端でした(行ったことある人はわかるとおもう!)

んで、わたしが一番奥で隣青山くん。


もう、距離がめちゃくちゃちかいんだよ。

主「ふ、ふたりになってしまいましたね(なぜ敬語」

「そうだね(笑)てか、俺さ、タワテラ初めてなんだけど…」

「え?まじで!??!」

「うん、どうなのこれ?なんか………怖そうなんだけど………」

「ディズニーの中でも結構怖いとおもう。バウンドするから、その衝撃がすごいの(笑)でもおもしろいよ」

青山くんは初めてだったので若干顔が強ばっていました。


それよりも、席が近くて私は死にそうです!

タワテラは捕まるところが椅子よ横にある小さい手すりしかないんですよ。
で、わたし一番奥だから、てすりが青山くん側にしかなくて、それを掴む意外に手段がなかったんです。
だからその手すりを掴んでタワテラにあ挑みました。

実際わたしも何年ぶりだったので、タワテラに恐怖をかんじてた。
「ちょ……こわいかも。こわいかも。やばあ、こわい…」とボソボソ呟いてたら
「俺も緊張してるよ」
と耳元で囁いてきました。

もうどうにでもなれ!と思ってたら、いきなり急上昇して、動機が一気に激しくなります

やっぱり、久々だからこわいわ。やばい、こわい!
心の叫びが口に出てしまい、最初は強気だった私も「うぅーーー…やばいぃ」もなよなよの声しか出ません。

そして、ドアが開き目の前にディズニーの景色が見えました!

あぁ、おちる!!おわりだ


とおもったとき、







手をガシッと掴んできました


上から覆い被さる手は青山くんの手だったのです。



「…へ?」


といってる間に急降下。

叫びと絶叫がタワテラ内に響きました。
青山くんも普段大声を出さないんですが、絶叫していました(笑)



手の圧は強くて温かくて、もう、幸せでした


タワテラが終わり、室内に明かりがともり始めます。

その時にはソッと手を話していましたが、
その後も優しくエスコートしてくれた青山くんが今でも忘れられません。



好きな人にディズニーで、しかも絶叫系で急接近とかもう、夢のようでした。

No.17

ランチの後に絶叫マシンに行きました。
そこでの青山くんはさっきより、生き生きとしていて時々笑顔を見せました。
とりあえず3人とも一安心……です。

いつの間にか夕方になり、ディズニーでも大人気のタワテラで並んでました。
2時間ぐらいまってたかなー。すごく寒かったのでガタガタしながら待ってました。

するとのの子が「あ!いまのうちに○○のあれ買っとかないとなくなっちゃう!!わたし抜けるから並んどいて!」
と言って列から離れましたがサトウも「独りじゃあれだし、俺もついてくよ。青山くんと椎名よろしくな!」

二人して言ってしまったから、ふたりきりで並んでました。
正直ドキドキしたし、周りからは恋人のように見えてるんだろうと思ったらニヤニヤしちゃいます


私がさむがっていたら、青山くんが手袋を貸してくれました。
何も言わずに手袋をさしだしてきて正直びっくり!!でも嬉しかった!!!

待っている間ずーーーと喋っていてすごく幸せな時間だった。




うちらはいつの間にかだいぶ先に進んでしまい、上の方まであがってしまった。
するとのの子から電話があり、
「ごめんねーゆい!!!電話遅れちゃった!なんかさっきね、タワテラのファストパス譲ってもらったから、うちらそれで行くわ!二人で乗ってねーーじゃあ」

ブチ……ツーツーツー


え?二人でタワテラ?????!

そのことを青山くんに伝えると、

「え!?まじですか………あはぁ……。なんなんだあいつら。イチャイチャしてんのかな(笑)」

少し照れくさそうな反応をした。


とんでもない展開になった。
これは普通に恋人同士じゃないか!!!
どうしよう。青山くんとふたり?でタワテラとか。
暗闇だし、どうしよう!!!



とおもっていたら順番がまわってきてしまった………

No.16



ディズニーデート当日…………



現地につくと青山くんが機嫌わるそーな顔をしていた。朝早かったせいもあるだろう。
彼は寝起き最悪な人なのだ。

あと、気分屋要素が入っている。


だからものすごく不機嫌な顔していて悲しくなった。
とりあえずチケット買って中にはいったけど、会話の輪に入ろうとせず、一匹狼でスタスタと先にいってしまう。

正直わたしたちは気まずくて死にそうだった。
サトウも対応の仕方わからぬ!状態だったし、のの子も反ギレ状態
「ちょっと青山くん…ないでしょ。一緒にディズニーきてるのに、どうして離れて行動するの?しかも声かけても反応ないとかさ………ちょっとないわ!」

わたしは青山くんが、どうしてここまで不機嫌なのか解らなかった。
確かに大勢が良いとはおもうけど、でもそこまで不機嫌にならなくても………。
青山くんの気分屋要素は厄介だと思った。



不機嫌はお昼まで続く。
ご飯の時も無言。3人で話してる状態。
声かけても話がすぐ終わる。どうしてー?!



お昼を食べ終わると、青山くんが
「じゃ、次どこいこうか??」

とアトラクション乗るき満々で話してきた。


さっきまで怒っていたのに!!
これも気分屋要素が絡んでいる。
正直めんどくさいなーて思った。でも好きだからかっこいいなー。とかバカなこと思ってました。


ランチアパワー?でご機嫌な彼に戻り、
絶叫マシンに行くことになった。

No.15

それから季節は冬に変わります。
(いきなりてすが)


のの子が
「今度ディズニーいくよ!いい?いまだとクリスマスディズニーだから、めっーーちゃロマンチックだよ!!○○日にいくから、あけとけよー♡」

と部活始まる前に言われてめちゃくちゃテンションあがりましたww

やっぱり、本当にいくんだ……青山くんとディズニー……どうしよう。と妄想を膨らませてしまいます。



ですが、ここで問題が。
青山くんがノリキじゃないらしいのです。

青山くん「え?どうして4人なの?どうせなら弓道部でいったほうが……いいじゃん?なんで?」

どうしてこのメンバーなのか意味が解らないというわけです。
でも真意を伝えることもできず、のの子の好きな人(仮に名前をサトウとします。)

サトウが青山くんにメールで何度も説得(内容はしりません)
結局、青山くんは折れて行くことになりましが……
青山くんがノリキじゃないのはすごくショックです。みんなと行けばいいのに!てか気持ちも解るけど…。


その後青山くんと話す機会がありました。

「青山くん、今度ディズニー行くけど…楽しみだなー。 あ、あのさ、実は嫌だったのかな?」

青山「いや、イヤではなかったよ。でも、どうしてこの4人なのか俺わかんなくてさ。他にも誘えば良かったのになー。嫌いとかじゃないんですよ?でも、行くなら人数いたほうがさー楽しいっておもったんだよね。」

これになんと返事すればわからなかった。
青山くんが好きだから。なんだよ
のの子はサトウが好きだから。なんだよ
だから、だから組み合わせてこの4人なんだよ


青山くんにしてみれば、有り難迷惑だったと思います。半ば強引だったと今は思う。
でも、ディズニー当日になれば彼もテンション上がるだろうと信じていた!!


ディズニーの日のためにわたしは洋服など新しいやつを買って、おしゃれしていこうとウキウキしてた。



そしてついにディズニーデートのときがきた……

No.14

のの子「ねぇーゆい。いつ告白すんのよ?」

主「え?!告白?!ムリムリ!断られたらきついしきまずいってーの!」

のの子「はぁ……そんなんだから進めないじゃんー。もう夏だよ?だいぶ時間たってるー。
そろそろいかなきゃー。ねぇ?」

主「わたし告白したことあるの中学のときだけだから……」

のの子「でも告白しないともったいないよ!!
じゃあさ、今度わたしとゆいと青山くんとわたしの好きな人でディズニーいこうよ!」

主「え?!まじで!!!あ、ありがと………」

のの子は積極的で活発な女の子。だから、わたしの様子を見かねて後押ししてくれたのだ。



ちなみにのの子の好きな人も弓道部だった。だから都合がよいのだ。

4人でディズニーかー……いいねー。私服……みれるなー

なんて、うかれてました。




そんな話が出てから、あっという間に夏休み終了。


え?のの子口だけだったの?えーーー……
と内心めちゃくちゃショックでした。

No.13

遅くなりました。また続き書いていきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



わたしは青山くんとメールすることにハマっていた。
でも、今思えば一方的だったとおもう。

何も用がないのにメールしたり、学校終わってからメールしてみたり……
一週間に一回や2回はつながっていたい!!
青山くんが何してるのか知りたい。

ただそれだけの気持ちでしたね。
しかし、わたしばかり求めるので当然彼は無視したり、途中で切ったりしました。
友達としか見てないんだ…だから、メール切ったりするんだ。と
当時メールすることが、青山くんと繋がってると感じてました。
当然、会話したほうが身近に感じますが、なかなかあちらも寡黙な人なので心開くのに時間かかりました。

季節は夏になり、合宿と夏休みの季節になりました。

毎日部活があったから、青山くんに会えました。それが唯一の楽しみでした。
夏休みだから、午前中に部活終わって帰るタイミングとかも同じの時が多かったです。

だから、夏休みは一番彼に近づけた気がします。
帰り道一緒に帰れる時は、もう嬉しくて嬉しくてニヤニヤしてました。

ただ、一緒に帰ろ!て言ってたわけでなく、流れで帰ってました。一緒の方向だから必然的にそうなってしまう。
一緒に帰ろうと言えたら、どんなに心強かっただろうか。
うじうじと近づいていく自分にイライラもしたし、勇気がでないことでも情けないなて……。


そんな私の様子を見かねた部活で仲良かった友人「のの子」が声をかけてきました

No.12

>> 11 レスありがとうございます!嬉しいです(^^*)

理想と現実は違いますよね…それは承知してます。
もう、気持ちの面では立ち直っている?ので大丈夫です!もう数年前の話ですからね……。
続きも書いていくので、よかったらみてください。

No.11

割り込み済みません

それが、現実なんですよね

やっぱり、俺もそうだったんだ

理想で美化をされた現実ってないんです

それは、漫画の世界です・・・

だけども、君の気持ちは、もっと経過をしたら、
絶対に伝わると思うんだ!

元気出してね。

No.10


部活中に弓道着と矢など道具が届いた。


これからずっと向き合っていく弓道の道具たち……。わたしたち一年生は心を踊らせた



早速、弓道着を試着することに。

先輩がマンツーマンでおしえてくれて、ものすごく難しかったけど、着れたときは感動した!!

みんなで写真取り合ったりしてはしゃいだなー(しみじみ


男子の弓道着も気になって、見に行った。



そこには、青山くんがいて弓道着姿で立っていた。



わたしは見とれた。

ずっと見とれいた。好きな人が着るとこんなにもカッコ良くなっちゃうなんて………犯罪だな………

他の誰よりも輝いて見えた。


長谷川もそれなりに似合っていたが、青山くんには劣った。

スラッとした体系の青山くんに弓道着が少し大きめで、肌色がちらっとみえる。


とてつもなくエロチックだった。



肌色がみえるたびにドキドキして、青山くんに近付くことがなかなかできない。



結局その日は少し着てすぐに着替えてしまった。



わたしは、長谷川よりも青山くんがちゃんと好きだなってわかった。


長谷川にはドキドキしなかった。

青山くんにその日MAILを送った


【部活おつかれ!弓道着やっと届いたね(^^*)青山くんの弓道着すごく似合っていたよ!!びっくり!】


こんな文章でさえも15分ぐらい?いやもっと考えて打っていた。どうしてこんなにも慎重なんだろうー。



返事がきた

【お疲れ様です。椎名さんの弓道着姿見れなかったなー。残念です。次の機会に見ますね<(_ _)>】



見れなかった、残念


という単語がめちゃくちゃ嬉しくて、その日のテンションはやばかった!!
そんなこと言って、わたしのこと気になるのかな?え?どうなの?!

MAILがくるだけで嬉しいし、返事を考えるのも楽しかった。


MAILがこないと、問い合わせを何度もしたり、青山くんのメールが来たときだけに鳴る個別の着信音鳴らしてみたりといろんなことして気を紛らわした気がする。


青山くんとのメールは頻繁ではないが、気になるとメール送ってしまっていた。

でも、返事来ないときはこないし、来るときは来る。

その、差が激しくてだんだんメールする事が怖くなってきた。


それでも、青山くんから来たメールはうれしいし、メールしたいしで自分からちょっとずつ歩み寄っていったのです。






ーーーーーーーーーーーーー

こんな話をしてたら、昔のことが鮮明によみがえってきました。少し気分下がりますね………。

話長くなりそうですがなるべく、まとめているつもりです!

今は純粋な青山くんに対する思いとか、思い出を語っています。ここは、のちのちに青山くんと色々あるんですが、その時に片思いで抱いた感情を覚えていて欲しい!から書いてます。

まだ、内容は綺麗ですが後に酷くなっていくので……


見てる人いるのか?な?

わからないけど、自己完結でもいいんで進めていきます。


※作品は実話を元に構成してます。人物は仮名です。※

No.9

長谷川が青山くんに、恋愛話をもちかけるそうだ。
青山くんは恋愛の話とかする人…タイプではないから、大丈夫かなー?とおもったけど、長谷川はよ渡り上手なやつなので、任せてみることにした。


一週間後…………


MAILがきた。長谷川からだ!

【青山くんにきいたよー。意外だったわー(´▽`)】

え?なんか進展あったのかな?とワクワクして返事をかえした

【早く教えテー!!おねがいーー!!】


【青山くんには誰にも言うなって言われたけど…おまえ、誰にもいうなよ?】


【うん(・∀・)絶対言わないし、むしろそんな情報ながしたくないっ!】



【わかったー。じゃあ、つたえるぞ。


青山くんは彼女をほしがってる。そんで、出来れば部活内とかいいなー☆だとさ!】




ええええ?!部活内……。

これまた意外。


女性に興味ないとおもっていたから驚いた。
青山くんも彼女ほしいんだ。じゃあ、もっとアタックしよ!!

長谷川の報告でわたしは、もっと頑張ろう!!ておもえるよになった。



その後も長谷川は、ちょくちょく情報をおしえてくれて(誕生日とか、血液型とか)すごく力になってくれた。










季節も6月になり、じめじめした季節になった。






そんなとき、長谷川に彼女ができたのだ。


お相手は、弓道部のNちゃん。
同じ学年のぽっちゃり系な女子。男子に対して話すのが上手で、女子からは嫌われるようなタイプのおんなだった。


長谷川から直接「おれ、Nに告白したんだ。そんでな、付き合うことになったの!!!」


と嬉しそうに告白してきた。




そのとき、なぜか動揺していた。

なんでN??あのこのどこがええの……?



祝福はしておいたが、心から喜べない。


長谷川はさ小学生のころからの付き合い。
だから彼女が目の前で出来たことにもびっくりしたし、一番近い存在だったから寂しくなった。


友達としてなのか。幼なじみ故なのか。

それとも……………。

No.8

長谷川は小中高ともに一緒だった腐れ縁の男子です。
小学生の時、長谷川を好きになったこともありますww

高校では唯一の地元友だちで、部活も一緒だったからなんか安心感がありました。


「椎名さーー青山くんのこと好きっしょ」

「は?へ???な、なんでよ。ちがうし」

「わかるってーーの。どんだけ一緒だったんだよwww で、青山くんのどこがいいのさ」


もう、こいつには隠しても無駄だなーーと思って、全部話しました。

「なるほどねー。じゃあさ、聞いてやろうか??」


「なにが????」







「青山くんに好きな女性のタイプと好きな人がいるかどうか」

No.7

一年生同士で打ち解けあえてきた頃に、仲が少しよくなった男子に言われました。



「椎名ってさーー、青山のこと気になってる系??ワラ」



え!!!????てなった。隠してるつもりで、実はばれていたんですね…。


というのも、その男子がたまたま私と青山くんが帰宅してる所を目撃したそうで。
だからそんなこと言ってきたんです。一応否定しときました。ただのお友達だよーー馬鹿じゃん??わらーー 的な。

でもその子は信じてくれずに「ふーーん」とだけ言って去っていきました。



あんまバレてほしくないなって思いました。でも、青山くんともしゃべりたいし…。

でも、一方的に話しかけすぎても青山くんに感づかれるかもしれない!!いやああ!!!!!!


とも思いました。いまでは、なんで嫌だったのかわかりません。学生特有の感情なのかな。



そんな渦中な中、小学生の頃から幼なじみの”長谷川”が話かけてきました

No.6

時間が空いてしまいました;すいません。
また再会します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー



青山くんが部室に入るタイミングをうかがう。
部室に入ってから、男子はゲームやら談笑やらしているのでなかなか出てこない。
でも青山くんは一匹狼だから割と、早く部室からでてしまうのだ。

だから聞き耳を立てて、青山くんの音をさぐる。

彼の足音は、かかとを引きずるようにして歩く音『ザッ!」という感じで歩くので、すぐにわかる。その音が聞こえたら私も更衣室から出る。


部室から出た青山くんの後を追うようにして、こっそり近づいていく。

信号まちになったら、後ろから「おつかれ!!!」と声かけて、そのまま青山くんと一緒に帰る方法をとっていた。

今思うと、なんだかストーカーっぽいなあワラ
でも必死だったんだよね。部活中は静かにしないといけないし、先輩も厳しい人多かった&恋愛に敏感な女子が多かったから、アタックしすぎると先輩にからかわれる。

恋愛において避けたいのはからかわれること。ひゅーひゅーとか言ってる男子中学生とか一番最悪ですね。
こっちは慎重なんだから、ほっとけ!!!て思います。

だから青山くんに接する時も慎重にしていました。





していたつもりでした…。

No.5

青山くんはアニメや漫画が好きだった。
私も中学のときからだいすきで、そうゆう話でも盛り上がったりした。


時間がたつと、みんな打ち解けていて、男子はオタク系ばかりだったことがわかった(笑)

変な奴らだったけど、それはそれでおもしろいからいいやーとおもってました。


女子はにわかにオタク?てかんじ。
ジャンプがすきでーとか、あのアニメもおもしろいけど、あのドラマもいいよねー!みたいな。


けど、のちのち私たちの学年は、オタクだらけになっていくのです(余談ですが。影響された人が多かった)


青山くんと帰宅するタイミングが一緒だったこともあり、駅から一緒に帰宅することもあった。

もちろん、たまたま。

でも、だんだん青山くんについて知ってくると、もっと知りたいわ!!!て思うようになってね。


いつの間にか青山くんの帰るタイミングを気にしながら、帰る準備をしてる私がいた。


タイミングを合わせて一緒に帰宅できたときは、ものすごーーーく嬉しかったし、一日中幸せだった。



いつの間にか、青山くんに会いたいから部活にいく自分になってとおもう。

もちろん、弓道部はだいすきだけど、もっと別の理由が追加されてしまった。


好きな人が部活にいるから、がんばれる!
だからもっと見て欲しい。がんばりたい。あなたと一緒にうまくなりたい!てね。

No.4

「…そうだけど。同じ部活のひと?なのかな?」



やっぱり青山くんだった!


「いま一番進みが早いから、顔おぼえちゃったんだよー。わたしの名前は椎名ゆい。今後ともよろしくね」

照れくさそうに、よろしくーと青山くんが言った。

彼は私と帰る方向が全く一緒だったのだ。


しかも、地元が割と近い。
降りる駅も一緒だし、地元トークで盛り上がった。


わたしはその日のうちメアドを交換し、「今日はありがとうねー!これから部活がんばろっ!(・∀・)」

とおくったら、「こちらこそよろしく!人見知りしやすいから、慣れるまで時間かかるけど(^-^;」


彼はシャイな感じだった。
でも、話してみるとすごい話しやすくて、しかも楽しかった。


わたしはこの日を境に、青山くんが少しずつ気になっていきます

No.3

青山くんは一年生全員から嫉妬の目をむけられた。同じ初心者として悔しいからだ。
彼は弓道に対して真剣だった。鋭い眼差しでひたすら練習をしている。
そんな彼に周りは変わったやつだなーという反応をしていた。



わたしの学校は自転車通学が多い。
だから、電車とバスを使ってる人がとても少なかった。
帰り道一緒になる人なんて全くいなかったし、途中でバイバーイなんてしょっちゅう。

だから一緒に帰ってる人がとてもうらやましいとおもった。


わたしはいつもどおりにバスに乗り、それから電車に乗ろうと駅で待っていた。


駅には同じ学校の制服の人が立っていた。すごい珍しい。

横顔を見てはっ!としたわたしは声をかけた

「ねぇねえ、君って、もしかして弓道部の青山くんだよね??!」

No.2

男子のほうが筋肉があるので、早い段階から弓で練習する人がいた。


その中でも飛び抜けて早かったのは、青山くん。
青山くんは、色白でひょろっとしていた。
メガネをかけていて、一匹狼のような存在。人となれ合うのが嫌いな感じだった。

No.1

T高校の部活案内のときに、一目惚れしたのが弓道部だった。
わたし→ゆいは迷わず弓道部に入部

桜の木下で弓を構える先輩はとってもかっこよかった。ここで、わたしも素晴らしい高校生になろうとワクワクしていた


弓道は最初、基礎作りをしなくてはならない。
学校によって様々だが、入部するのが4月中旬だったら、本格的に的を射れるようになるのは6月ぐらいだ。

胸や腕や肺などの筋肉をつけなくてはいけないし、作法もあるから丁寧そして確実に弓道を覚えていった。



わたしの学校の弓道部は人数が多い。
3年生もいれると当時は40人ぐらい。
最高で60人ぐらいのときもあった。それぐらい男女に人気の部活だった。


弓道について語っても話が進まないので端折りながら進めます

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