瑠璃色の猫

レス2 HIT数 2700 あ+ あ-


2012/10/20 23:21(更新日時)

皐月はないた
まだ部屋には衣類や学校の教材、レポート、そして医者から処方された安定剤や涙でぐちゃぐちゃになったタオルや枕が散らばっていた
皐月は裸で薄くてたよりないブランケットで体を包み、髪も濡れたままうずくまって声を殺してないた。

蛍光灯が無機質に光るアパートの部屋のなか、外にいつものように広がるネオンは明らかに皐月が昨日まで住んでいた部屋に現在存在していることを証明しているのに
皐月は昨日とは別のまったく知らない世界に言葉も文化も違う何も通じない世界に一人で捨てられたと感じた。

ハヤト…

皐月は怯えて思わずつぶやき、のろのろと携帯をひろいあげ
ハヤトのアドレスを開いたところで指をとめた。

皐月の切れ長の長い睫毛に覆われた瞳から大粒の涙が溢れた。
ハヤトのアドレスをしばらく眺めてひとしきり泣いたあと、
何かをむりやり振り切るように麻衣のアドレスを開いた。
番号を押し、数回コールのあと、麻衣がいつもの落ち着いた低い声で

もしもし?どうした?
と聞いた。

皐月は胸に感情が登って来ないよう込み上がった感情に触れないよう必死で耐えながら

今起きたことを話した。

数十分後麻衣が聡と皐月の部屋に来た。
二人は皐月の部屋や皐月の状態をみて
言葉を失っていたが
麻衣は皐月を無理矢理抱き寄せ、卑怯やね、卑怯やねと色白で大きな目したお人形さんのような顔を真っ赤にしさくらんぼのようなくちびるを歪めてないた。

麻衣の体温によって皐月の凍えきったこころと体が溶けていく。
溶けたものは涙にかわって木目の床にいくつもいくつも落ちた


No.1865488 (スレ作成日時)

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No.1

警察へ届けよう
皐月、きっと聞かれたくないこともいっぱい聞かれて嫌やろうけど、頑張れるか。
とにかくこのままにしとくのはアカン。
ええか、電話するで、しっかりするんやで皐月。俺らがおったるから。
聡がいつもの穏やかなしっかりもののお兄ちゃん口調で言った。

警察と聞いて皐月は怯えたが、聡の提案に意見する気力もなく、というより自分の意思すら消えかけているのを感じ、黙って目をそらしながらうなずいた。

警察に言ったのばれたら殺されるかなと頭の片隅に浮かんだが、いまだって自分がはっきり生きているかもわからへんなぁ…
そんなことをぼうっと思いながら聡と麻衣の提案に従ってじっと警察の到着をまった。
間もなく皐月の部屋には六人の男の警官が騒々しいパトカー二台に乗ってやって来た。

皐月は怯えてまた自分のなかのどんな感情にも触れないよう、慎重に話した。

すぐに病院に連れていかれ、聡と麻衣も帰らされた。

皐月の不安は大きくなったが、目をふせ、薄い体をさらにまるめて何も触れないよう、見えないよう、聞こえないよううつむいたまま淡々と警察に従っていた。
皐月の手足は氷のように冷たくなっていて、何も感じず、何も感じないでいられることだけが皐月を安心させていた。

No.2

>> 1 取り調べ室の黄みがかかった古い机上の蛍光灯ばかり見つめながら
皐月は淡々と
若い男性警官の質問に答えていた。

若い男性警官は、事務的に質問を続けるが、内容は耳を塞ぎたくなるような、恥ずかしさで胸の内が焦げ付きそうなものばかりだった。

深夜2時か3時だったか。そのころまで取り調べは続き、さつきは

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