○三日月の白猫と満月の白狼○
『月夜の黒猫』でノンフィクションを書かせて貰いました
黒猫です🙇
今回は、『運命』ってものを題材に フィクションを書かせて頂きます。
気怠い少女が運命の人と出逢い、凜とした大人になっていく
そんな内容にと考えています。
誤字、脱字、解りにくい描写など、気をつけますが、あると思います💦すみません💦
お付き合い頂けると嬉しいです☺
よろしくお願いします☺✨
琉那も、旭の眼を
真っ直ぐに見つめ返していた
「うん。嬉しい」
その瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる
旭は思わず琉那を抱きしめた
「良かったぁあ~~~!断られたらどうしようかと思った!」
深夜とゆう事を忘れたように旭は大きな声を出した
琉那も、旭を抱きしめた
「そんなヮケないじゃん」
ちょっと涙声になっている
抱きしめる腕を少し緩めた旭は
琉那の顔を見つめる
琉那は照れたように目線を外す
ギリギリに溜まっている涙を親指受け止めながら
旭は問いかけた
「何で涙目になってるの?」
目線を外したまま、琉那は答えた
「嬉しいから……」
旭は優しく、ふんわりと笑って、琉那を見つめまたまま言った
「ねぇ、こっち向いて?」
琉那は旭の眼をゆっくりと見上げる
旭は、ゆっくりと
キスをした
時間は深夜12時を回っていた
なので、記念日は12月25日のクリスマス
旭と琉那は、いつ頃から好きになったのかとか話しながら
再び抱きしめ合ったりキスをしたりして
1時間程たってから、旭は帰って行った
旭が居なくなって、少し寂しさを感じていた琉那
でも、旭が仕事がある事を心配して帰って行ったので
一人で更に夜更かしする訳にはいかない
仄かに残る旭の温度や
マグカップとか、旭の居た形跡に余韻を感じながら
バスルームに向かった
今夜はシャワーだけじゃなく、バスタブにお湯を張り
ラベンダーの匂いの入浴剤を入れて
ゆったりと浸かる
温かいお湯に包まれながら
今日はまるで夢のような1日だった、と
照れたり喜んだりしながら、思い返していた
これからは彼氏として、旭が居る
今までより、メールや電話をしたり
会う事も出来る
これからの毎日を、楽しみに思えた
旭もまた、琉那と同じように
バスタブに浸かりながら
琉那の事を考え、余韻に浸っていた
それから、琉那と旭は順調に付き合っていた
勿論約束していたイルミネーションとかも見に行き
一緒にastrayにも遊びに行き
お互いのマンションとアパートを行き来して
お泊まりもして……
予想通り、2人の相性は良く、日々楽しく過ごしていた
それでも琉那は、元彼の祥平の痛手を拭い去る事も
ドラッグをやめる事も出来なかったけれど……
旭と一緒に居て
嬉しい
楽しい
だけど、それと同時に
寂しい
不安
そんな気持ちも混在していた
今まで自分自身が本当の自分自身を見せずに付き合ってきた分でもある
その根底の祥平の裏切り
複雑な親への気持ちや家庭の事情
どうしても疑いを持ったりしてしまう
旭がいくら優しくても
琉那だけを見ていても……
その想いが、まるで水の中に墨汁を流し込んだように
奥深くまで浸透し、水底に溜まり
心の底から安心する事はできなかった
それは、旭にも伝わっていた
ケンカや言い争いがある訳ではない
いや、ないからこそ、旭は疑問に思っていた
どことなく、琉那は遠慮しているような……
戸惑っているような……
それに、何か知られたくない事があるような雰囲気も
旭には伝わっていたのだ
旭の方は、元カノの浮気の事は、もう克服出来ていたし
琉那が浮気をする心配もしていなかった
旭は、琉那を信じていた
だからこそ、琉那にも自分を信じて欲しいと思っていた
4月の過ごしやすいとある日
その日は、翌日がお互いに休みで、旭のアパートにお泊まりをしていた
旭は隣で寛ぎながら雑誌を見ている琉那に切り出した
「ねぇ、琉那」
「なぁに?」
寝っ転がってる体制からちょっと起き上がり
旭の方を見た
「なんかさ、前に言ってたじゃん?元彼の事とか……」
「ぁぁ……うん……」
「まだ、忘れる事は出来ないの?」
「忘れられないとかじゃないよ。もうとっくに何の気持ちもないし……」
「うん、それは分かってるんだけどさ。
なんてゆうか、トラウマ的なさ……」
「それは……なんか、そのコトでイヤな気持ちになったり、投げやりになったりしたから……
トラウマと言われたらそうなんだろうけど……」
旭も、上手く言葉に出来ない
琉那も、そんな感じで
旭からの突然の問いかけに
少し戸惑っていた
「それは、俺に対しても、そうゆうのあるの?
なんてゆうか、浮気の心配とかさ」
「旭が浮気してるとか、するかもとか、そんなコトは思ってないよ!」
琉那は起き上がり、旭と向かい合った
「どうしたの?いきなり」
ふいに自分の不安感を言い当てられた感じで
琉那の顔は不安に曇っている
旭は琉那の顔を見つめて答える
「う~~ん、なんてゆうか、琉那はどこか一歩引いてるような感じがして……
遠慮ともちょっと違う気がして、その事なんじゃないかなと思ったんだ」
「……そっか。ごめんね?」
謝る琉那に少し焦る
「いや、謝る事じゃないんだよ!なんか、心配になっただけで……」
「ん、心配させちゃってごめんね」
まただ。前も軽くこんな話しになった時も
結局琉那が謝って、その時は話しが曖昧に終わった
琉那の不安感は好きだからこその不安
旭の不安感もまた、好きだから産まれた不安や疑問だった
「旭のコト、好きだよ?疑ったりもしてないし……」
「うん、俺もだよ」
「唯、少し……不安になる」
「それは、何の不安なの?」
少し考えて、琉那は答えた
「……ワカンナイ……」
不安そうな顔をする琉那を、後ろから抱きしめて
優しく頭を撫でる
「分からないんじゃしょうがないよね、ごめんね」
「ううん、旭は悪くないよ!心配させちゃってごめんね」
その夜、2人は
抱きしめ合いながら眠った
次の日、公園を散歩したり、のんびりデートをしていた
その時、琉那は考えていた
昨日の話しを……
旭は、心配させちゃってごめんね、と笑って言う琉那を
強く抱きしめて、言った
「泣かないで」
って、そう言ったんだ……
……
もう 踏み込んで来ないでよ
ナンで 旭は 解っちゃうの?
誰も 気付かないような 小さな異変とか
ナンで そんなに 優しいの?
笑ってるアタシに
『泣かないで』
なんてさ
おかしなコトを 言うんだね
暖かい手で 優しく頭を 撫でたりしないで
アタシは 弱く ナリタクナイんだ
強がり 積み重ねれば 強さにナルんだ
旭のちょっとした言葉や行動で
アタシの存在が持ってかれる
それが 少し 怖いんだ……
優しさ
それは、大きくて
たまに、怖い事
元々、リアリティーから逃げたくて
単純に簡単に楽しくなれるドラッグに手を伸ばしてきた琉那だ
なかなかリアルに向き合えないところがある
勿論、旭を信じていない訳じゃない
多分、誰が相手でも、琉那はダメなんだ
刻み込まれた
寂しさや
冷たさや
裏切りや……
いろんなマイナスの感情の渦巻く水底の漆黒を
綺麗な透明にするには、時間も手も必要だ
視界が悪いままの水面を
琉那は泳ぎ続けている
深く潜る事すら、琉那にとっては恐怖を伴うものだった
それから逃れるように
手を染めたドラッグ……
それを断ち切る事もまた、出来ない
だけど、それを言う事は出来ない
旭に嫌われるかもしれない……
その恐怖感も強くあった
旭は、琉那が浮かない顔をしている事に気づいていた
灰皿のあるベンチで一休みしよう、と声をかけ
2人並んでベンチに座る
「体調悪いの?大丈夫?」
旭は琉那を気遣う
「ううん、大丈夫だょ」
琉那は考え込むようにしている時
いつも『大丈夫』と言うのだ
それはもう、旭も分かっていた
「昨日の話し、気にしてるんでしょ?」
僅かに、ピクリと反応する
「そんなコトないょ」
それでも琉那はやっぱり取り繕ってしまうんだ
「琉那。俺は、何でも話して欲しいと思ってるよ。
琉那のトラウマが俺より強いって事も分かってるし、
それが無くなるように出来る事は何でもしたいと思ってる」
……チガウ チガウ チガウ
そうだけど チガウの……
旭は何も悪くない
だけど、琉那は追い詰められてしまうんだ
言えない事に余計罪悪感を持ち
やる事に更に罪悪感を持ち……
最近は悪循環になってしまいつつある
……旭は追求しようとしてる
でも、言えるワケがないよ
家と元彼のコトも、これ以上どうにもなんない気がするし……
琉那の両肩に置かれた旭の温かい掌は
だんだんと重みを増していっている
「琉那。俺は、何でも話して欲しいと思ってるよ。
独りで考えないで、一緒に考えていこうよ。
琉那?」
何も答えない琉那に、旭はまた問いかけたりしている
「もぅ……やめて……お願い」
そう一言言った琉那に旭はハッとする
「ぁ……ごめん!俺は、唯……」
戸惑いとも動揺とも思える感じの旭は
上手く言葉が見つからない
「……もう、帰ろう……」
琉那は前を見て立ち上がり、歩き出した
旭は何も言わず小走りで追いかけ
それ以上はしゃべらずに
琉那の隣に並んで歩いて行った
夕暮れが近づき
グラデーションの空が
美しくそこに在って
混ざり合うブルーとオレンジとネイビーが
やけに2人の視界に入ってた……
旭のアパートに着く
旭が鍵を開け、琉那を先に入れる
琉那は入ってそのまま、自分の荷物を纏め始めた
「何してるの?」
不安そうとも怪訝そうともとれる表情で
旭は聞く
「今日はもう、帰る」
琉那は、旭を振り返る事もなく
荷物を持って言った
「どうして?俺、そんなに悪い事言ったのかな?」
「旭は悪くないよ」
「でも……」
「今日は、もう一緒に居ない方がイイと思っただけだから」
琉那は作り笑いの顔で
旭に顔を向けた
そのまま荷物を持った身体も向ける
「それだけだから。今日はバイバイするね」
その言葉や表情に
旭はそれ以上引き止める言葉が出てこない
確かに、今、これ以上話しをしても
琉那を辛くさせちゃうだけなんじゃないかとも思った
ちょっと納得は出来ないのが
旭の正直なところ
それでも旭は
「分かった、送るよ」
と言った
「ううん、いいよ、電車で帰るから」
琉那は旭の申し出を断った
いつもならだいたい旭が送り迎えをしてくれているけれど……
旭は、もう一緒に居たくないのかな……と思うと
余計にそれ以上、何も言えなくなり
「分かった。気をつけてね」
と、ドアの外まで出ただけで、琉那の背中を寂しげに見送った……
これを『喧嘩』と言うのなら
旭と琉那にとって、初めての喧嘩になる
やり切れないような気持ちで、旭はタバコに火を点けた
聞いた事自体が間違いないだったのか……
一体どうすれば良かったのか……
引き止めたら良かったのか……
色々と考えていた
でも、もし引き止めていたとしても
あんな雰囲気になった琉那が
話してくれる気もしなかったけれど
でも、この先もこのまま
琉那の潜在意識にある、何か……
それをそのままにしている事も出来ない
旭はそうも考えていた
最近、旭が目指す所には
琉那と結婚したい
とゆう気持ちが芽生えていた
だからこそ
もっと琉那を理解したいし
不安や不満があれば自分が解消したいし
苦しいのなら、自分の手で救い出せたら……
そう思っていた
ソファーに浅く座り、煙草の煙りを吐き出すその仕草は
まるで、溜め息のようだった
一方、マンションに着いた琉那も
煙草に火をつけて、ソファーに座り込んだ
それもまた、旭と同じように
溜め息を吐き出しているように見える
今、一緒に居ずに離れるのは
いい選択だったのか……
電車に揺られながら考えもしたけど
今、一緒に居ても、お互いに楽しく過ごせるワケでもない
やっぱり、旭には知られたくない、嫌われたくない……
その気持ちの方が強かった
そして、ベッドサイのチェストの引き出しから
マリファナを出す
このモヤモヤした気持ちをなんとかしたくて
心配してくれているからと分かってはいるけど
色々聞いてくる旭から逃げ
結局、マリファナに頼るのだ……
琉那自身、そんな自分に嫌気が差していたけれど
こうなっちゃうんだなぁ~~~、と
反省をしながらも
諦めのような気持ちも持っていた
実際、精神的依存が強いから
そう簡単にはやめられないと
琉那自身、痛感している
いつものパイプで、マリファナを吸う
どんどん酩酊状態になり
心地よい恍惚感に浸る
録画していたバラエティーを見て、爆笑し
乾いた喉にお酒も流し込む
旭と楽しむ時間より
マリファナで楽しむ時間をとった気がして
罪悪感も感じるけれど
旭にいつか言うか……
秘密にし通すか……
それも迷うけど
それを考えるより
飛んでる楽しさを感じようとしていた
唯、楽しく
唯、気楽に
今までの琉那に戻りそうな感じもする今の琉那
それに気づいている自分……
次に会う日は、5日後に決まった
あれからも喧嘩が続いたとかはなく
メールや電話でやりとりをしていた
琉那の心の中には
メールや電話はやり過ごせても
いざ会うとなるとこの話しをやり過ごせなくなる
今は、あまり会いたくない
そんな気持ちをもっていた
だけど、予想とは違い、旭がその話しをしてくる事はなかった
琉那はそれに安心感を感じていた
次に聞かれたら、何て言っていいのかわからなかったから……
5月21日は、朝に金環日食が観られる
2人は一緒に観る約束をしていて
それもいよいよ明日となった
その日も旭のアパートに泊まり、早起きをして観ようと約束していた
またお泊まりとゆう同じ状況に
またあの話しになるんじゃないかと琉那は少し不安だった
でもその日も話題にも上がらず
また問い詰められるような事もなく
2人でゴロゴロとリラックスしながら他愛もない話しをして笑って過ごせていた
そのままなだらかに時は過ぎて行った
明日、早起きする為に早寝をしたから
時間もそれ程なかったからかもしれないけれど……
とりあえず、琉那にとっては
一つ障害物を避けれたような気持ちだった……
●金○環●日○食●
まるで
月が太陽に負けじと
勝つかのように
2つの丸は重なり
一つの輪を織りなす
ホラ 見て
みんな 空を 見上げてる
月を 太陽を 見上げてる
欲しい物があるのです
月の雫を 一滴と
太陽の欠片を 一つ
どうか この掌の上に
静かに落として欲しいのです
月の雫は ガラスの華に 一粒落とし
銀細工のスプーンでくるりと回し
瑠璃色の華畑を創って
太陽の欠片は 真っ白な華の中に 静かに燃やし
作り物の白い華を
本物の純白の華にして
それがあれば
アタシは きっと
今までよりも強く
誰よりもアナタを愛し
歩いて行ける
それで きっと
アナタもアタシを
今より深く
愛してくれると
そんな気がするから……
早朝5時起床
普段ならまだ遊びから帰ってきてこれから寝ようかって時もあるくらいの時間
着替えて、メイクして……
女はいろいろと忙しい
旭はそんなに準備する事がないから
のんびりしながらコーヒーをいれてくれた
ミルク一つとシュガーを2つ
もう慣れた感じで入れてくれた
旭は何も入れないブラック派
琉那の準備も終わり、6時前にアパートを出た
今回は、旭のアパートから自転車で行ける距離にある大きめの公園で
金環日食を観る事になっている
自転車を2人乗りして
その公園を目指す
普段は旭と自転車わ2人乗りする事もあまりないから
それもこんな朝早くから
何だか新鮮な気分になる
きる風を感じながら公園を目指していると
穏やかな気持ちになれた
今日は2人共早番で、仕事が終わったらまた会う約束もしていた
おしゃべりをして 笑って
こんな感じのまま、夜も過ごせる
こないだみたいに困らなくて済むと
琉那は思っていた
公園に着き、真ん中に円形の石作りのベンチに座る
金環日食を観ようと、もう既にたくさんの人が集まっていた
時間がたつにつれて、どんどん増える人達
もう、金環日食は始まっていた
「観て!もう太陽が欠けて来てるよ」
旭は無邪気な子供のように、日食グラスを目に当てながら言う
「ホントだぁ~~~こんな太陽と月が観れるなんて、ラッキーだょね」
琉那もワクワクしながら日食グラスごしに太陽を見上げる
「もう、3回目だね。琉那とこうやって空を見上げるの」
日食グラスをしてるのに
まるで眩しいように目を細めて旭は言った
「そうだねぇ。こんなに天体ショーがあるなんて、最近は凄いよね
しかも、たまにしか観れないのとかさ」
「また、何かあったら、一緒に観ようね!流星群とかもさ」
「うん、一緒に観よう」
「夏になれば花火もあるし、冬にはまたイルミネーションが観れるし
あの、規模大きかったイルミネーション、あれ今年もまた観たいな。行こうね」
「綺麗だったよね~~!うん、また行こうね」
「うん。今年も、来年も、再来年も……あれは毎年観たいな」
旭は、ハッキリと そう言った訳じゃないけど
今年も、来年も、再来年も……
琉那と一緒に居たいと言う気持ちが込められていた
それは、琉那に伝わっていて、照れたように満面の笑みで答えた
そうなったらいいな
そう出来るのかな?
どんどん 空が 暗くなる
いよいよ、完全金環日食になった
まわりもわいたように歓声を上げる
それはとても綺麗で
大きな金色のリングが空にぶら下がっているようで
月と太陽は、とっても仲良しのように
重なって観えた
2人も、その場に居る誰もが
その光景に見とれていた
完全金環日食の時間は、そう長くない
空は、絶えず動いて見えるものだから
「なんかさ、あれを婚約指輪に見立てて、プレゼントする、とか言う人、絶対居るよね」
小声でクスクスと笑う
「俺はそんなロマンチストじゃないからやんないよ~~。
婚約指輪あげるんなら自分で造るよ」
「アタシも恥ずかしくてイヤだよ
確かにそうかも。旭は銀細工職人さんだもんね」
旭も琉那も笑い合いながら言う
……婚約指輪……婚約かぁ~~~
もしプロポーズしてくれたら
嬉しいけど
今のアタシじゃ、全然ダメだなぁ~~~……
琉那はその言葉に、そう思っていた
……今だって、何かしながら観てたら
もっと綺麗に観えたかなとか、楽しいかなとか
思っちゃうもん……
罪悪感と戦いながらも、そう思ってしまう琉那……
手を繋いで金環日食を見上げてる2人
琉那の腕には 旭が創ってくれたブレスレットが光っていた
夜、お互いに仕事が終わってまた会い
この日は琉那のマンションで過ごした
琉那が作った夕食を食べてる
旭は琉那の料理が口に合うようで
いつも「おいしいおいしい」と褒めてくれている
洗い物は旭も手伝ってくれた
旭も自炊もしているのもあるだろうけど
何もしてくれない人も居るから、旭はやっぱり優しいと琉那は思った
旭の気遣いは、さり気なく、紳士的に感じる事もある
スマートな気遣いをしてくれる人だ
それって、結構大事な事
洗い物も終わり、2人共テレビを見ながらマッタリとしていた
膝枕をしたり、くっつき合ったり……
それは、お互いにとって安らげる
日溜まりのような暖かで幸せな時間だった
観てたテレビも終わり
そろそろお風呂に入ろうかと話す
琉那はバスタブにお湯を入れたり、お風呂の準備をした
2人はだいたい一緒にお風呂に入る
ゆったりとお湯に浸かりながら話しをするのも
身体的にも気持ち的にも、いいスキンシップになる
「今日はどうする?」
琉那が聞く
「一緒がいい」
甘えるように琉那を抱き締めながら旭が言う
旭もお風呂に入る準備をする
バスタブにお湯が溜まると、まず琉那が入る
メイクを落としたりと、琉那の方が時間がかかるから
洗顔を終えて、バスタブに浸かったた頃に旭が来る
いつもこんな感じで一緒に入っていた
2人共お風呂から出て、髪の毛を乾かしたり
琉那はスキンケアもしたり
さっきよりも本格的にゆっくりマッタリ出来る時間になった
相変わらずソファーで仲良くテレビを見たりいちゃいちゃと2人の時間を楽しんでいた
「今日は琉那も調子良さそうで良かったよ」
旭が言う言葉に、こないだの事かな、と思いながら琉那は返す
「うん、大丈夫だょ。
こないだ、調子悪いって言うか……なんか、苦手な話しだからさ」
「それは、そうなんだと思う」
旭はソファーに座り直して、琉那の手を握った
「俺は、琉那に頼られたいよ。
頼られたいし、支えになりたいし」
「十分頼ってるし、支えて貰ってるよ」
琉那も体制を変えて、ちゃんとお互いの顔が見えるようにする
「元彼の事はね、ホントにほとんど大丈夫。
そのトラウマから救ってくれたのは旭だよ」
「俺が琉那を救えたの?良かった」
旭はそっと、それから少し強く、琉那を抱きしめた
琉那も抱き締め返す
その眼には、決意と揺らぎが同時に浮かんでいた
「親や家の事は……ホントにトラウマになっちゃってるってゅぅか
もうぁぁゅう家だって諦めてるって言うか……」
旭の腕に力が入り、より深く琉那を抱きしめながら、頭を撫でる
「でもね、ぁぁゅう家で良かったなって思う事も結構あるんだよ。
このマンションに住めてるのも、親のおかげなんだしさ」
「うん、そうゆうのは、あるよね。大人になってから、分かる事や気付いた事もあると思うし」
「そうなんだよね。仕事してお金を稼ぐって事が如何に大変かも分かるしさ」
「うん。俺は普通に一人暮らしだから、そのへんは凄く思うよ」
「人を愛するって事は、旭が教えてくれたんだよ」
旭と抱き合ったまま、琉那はキスをした
お互いの隙間を埋めるように、2人は抱き合い、キスをした
琉那は再び、旭と顔を向き合わせた
そして、その顔は、覚悟を決めていた
「旭、もう一つね、言わなきゃいけない事があるの」
内心、ドキドキしながら琉那は言った
「言わなきゃいけない事?何?」
旭は、少し驚いた様子で、琉那に問い返す
「……うん……ちょっと待ってて」
そう言うと琉那は、ベッドサイドに向かい、チェストから取り出した
マリファナとパイプと巻紙を……
「これ……」
と言いながら、旭に渡す
「これって……マリファナじゃん」
旭は驚いた後、少し怪訝そうな顔をした
「これが、旭に言えなくて、悩んでた最後の一つ」
旭は少し考えてる様子で、それから聞いた
「いつも家で吸ってたの?」
「家でも……astrayでも……」
琉那は、何故マリファナを吸うようになったかとか
出所がastrayのオーナーである事も話した
旭は、言った
「それは、分かったけど、これは、しちゃいけない事だよ。
マリファナ意外のモノも勿論……
そっちの方が、ヤバいんじゃないの?
合法ドラッグだって、脱法ドラッグって、事故が起きたり、ニュースになってるじゃん」
「うん……ダメな事だって、分かってる」
それから、ドラッグがどんなに悪いかと、旭は話し続けた
「脳や身体に影響が出たりするもんなんでしょ?
琉那はどうか分からないけど
俺は琉那と結婚して、子供も欲しいと思ってる」
「ァタシもそう思ってるよ」
「でも、タバコだって良くないって言うのに、こんな事続けてたらダメだよ。
やめようよ、今すぐ」
旭は強い眼で琉那を見た
「やめようと思ったよ。旭と付き合ってから、何度も
旭にも言うか言わないかずっと思ってた
でもやっぱり、いつかはやめないとと思って話したの」
旭はさっきまでより強い口調になり、琉那に言った
「いつかはって?今までどれだけ何をしてきたのか分からないけど
いつかはなんて悠長な事言ってないで
今すぐやめようよ」
琉那は旭の反応に、困った顔をして言った
「今すぐとか、出来るんならもうやめてたよ
それが出来ないから……」
話してる琉那に被せるように言う旭
「出来ないなんて、甘えなんじゃないの?
世の中、ドラッグをやっててもやめた人なんて山程いるじゃん」
「そうなんだけど……他のケミカルとか合法がホントに身体に悪いってゆうのは分かってるけし
かなり減らしてるんだけど
マリファナだったらって気持ちでつい……」
実際、astrayのVIPで、MDMAや合法ドラッグを出されても、琉那は断ったりもしていた
みんなも、やめようとしてるんだって事は分かってるから
無理に勧めもしていなかった
「マリファナだって何だって、同じだよ。実際マリファナが最初でいろんなモンにハマってったんでしょ?
今すぐやめようよ。それも、捨てようよ」
すぐにスッパリとやめられないから困ってるのに、と琉那は少し落ち込んで、再び悩む
つい、口をついて言葉が出た
「そんなに今すぐって言われても……難しいんだよ
そんな風に言われるんなら、隠したままにしておけばよかったょ」
その言葉に、旭も感情的になる
「正直な事がバカな事になるなら
俺はバカでいいよ
騙すより、騙される方がマシだよ
そうゆうのは無い方がいいに決まってるし
琉那の心境を含めてさ
疑うのも信じる事が怖いのも解る
でも、信じ合える相手を探して
付き合ったりとかするんじゃないの?」
琉那から離れて、足元を見ながら眼を伏せて言った
「隠されてたのだって、俺はショックだよ……」
「ごめん……ごめんね」
旭の言葉と様子を見て、謝った
「いいよ。謝って欲しい訳じゃない」
眼を合わせないままで旭は言った
お互いに、どうしたらいいか分からない……
そんな様子で、少し、静寂の時間が流れた……
琉那は、考えていた
……やってない人がやめろって言うのは当たり前なんだ
覚悟はしてたつもりだけど……
かと言って、減らしたり、他のをやめたりはしてたけど
今すぐマリファナを0には出来る自信がない……
旭は結婚したいとまで言ってくれた
本当に嬉しかった
自分の望みでもある 旭との結婚
旭が運命の人だと思うからこそ……
今の自分じゃ旭に無駄に傷を作ってしまうし
きっと旭自身にも作らせてしまうから
ちゃんとマリファナもやめて
強くしなやかな自分になれるまで もう会わないほうがいいんじゃないかな……
予想も覚悟もしていたけど
正直ここまで今すぐと言われるとは思っていなかった
でも、ここまで言われるなら、早く0にしないと、と思った
運命だと思うからこそ
琉那は 決断をした
混沌の静寂を破ったのは
琉那の声だった
「旭」
旭も顔を上げる
ちょっと気まずいような感じで、戸惑いながら琉那を見る
その姿を見て、琉那は本当に申し訳ないと思った
「旭、ホントにごめんなさい……
自分でも全部やめたいと思ってる。ホントに、思ってる
でも、、もう中毒なんだろうね……
今すぐ全部って自信がナイんだよ……」
「それは……中毒になっちゃったら、そうなっちゃうのかもしれないけど……」
ウン、と琉那は小さく頷く
「でも、なるべく早く、マリファナもやめるようにするから。するから……」
次の言葉を琉那は覚悟して言った
「別れよう。
今のままじゃ、旭に心配させたり、迷惑かけちゃうと思うから……
アタシに旭と付き合ってる資格はないよ」
「琉那……!何も俺は別れようなんて言ってるんじゃないんだよ?」
「分かってる。
そうかもしんないけど、今のままじゃ、アタシも苦しくなるし
ちゃんとやめられて
その時まだ旭がアタシを好きだと思ってくれてたら、やり直して欲しい」
強い言い方ではなくても、強い意志が伝わってくる、琉那の言葉
「付き合ってるまやめる事は出来ないの?」
別れるつもりはなかった旭は、琉那に問う
「出来るかもしれないけど……旭と話して、それじゃぁ自分自信も納得出来ないと思って……」
再び、少しの静寂が訪れる
「分かった。信じて待ってるよ」
琉那は声なき声で頷き
眼から溜まっていた涙が溢れ出した
旭は、優しく琉那を抱きしめて、背中を撫でてくれた
そして、言ってくれた
「話してくれてぁりがとう
待ってるから、無理しないでね」
優しく 優しく 抱きしめて
背中を 頭を撫でながら
優しい声で旭は言った
琉那は暫く 旭の胸の中で泣いた……
包み込むような旭の温もりと優しさに
余計に涙が流れた……
「アタシも……旭とずっと一緒に……居たいから……」
泣きながらも琉那は自分の気持ちを伝えた
旭が大切だから
あえて離れようと思った事を
伝えたくて……
旭は相づちをうちながら 聞いてくれた
この日は 一時的だけど、最後の夜となった
2人は 強く抱きしめ合いながら、眠った
朝……
琉那の顔は泣きはらしたものになっていた
今の自分じゃ無駄に傷を作ってしまうし
作らせてしまうから
強くしなやかな自分になれるまで もう会わないほうがいいんじゃないかって
そう思ったのは自分だけど
大好きな旭と離れるのは
勿論、辛い
旭は
「やっぱり、今すぐとは俺ももう言わないからさ
別れないで一緒に居よう?」
と言ってくれた
それでも琉那は
イエスとは言わなかった
自分は、ずっと嘘をついてきたし
その上すぐにやめられないなんて……
苦しむべきなんだと思っていたから
……優しい長い指
フンワリ柔らかな髪
少し高めの声
くったくのない笑顔……
その総てを見つめながら
本当に愛しいと思った
でも バイバイ
今は バイバイ
今のままじゃ ダメだから……
だから バイバイ
また 手を繋いで
仲良く笑って歩ける日が来るのを
信じて バイバイ……
帰り支度をする旭を眺めながら
また涙が溢れる
それを気づかれないように
コッソリと涙を拭いた
「じゃぁ、帰るね。またね」
旭の言葉に
「気をつけてね。またね」
と答える
旭はそのまま琉那の頬に手を触れて
また、優しく抱きしめる
「待ってるからね」
囁くような優しい声で旭は言った
涙をこらえながら、琉那は頷いた
琉那は旭が去って閉まったドアを眺めて
独り 泣き崩れた
それでも、早くやめなきゃとその決意も固く強く持っていた
幸せとは そう簡単に手に入らない
もし容易く手にした幸せなら ありがたみも少ないだろう
それからの琉那は、大変だった
続けていたのはマリファナだけとは言え
他のドラッグも抜ききれていた訳じゃない
その中毒の依存症状も出ていた
それもずっと 旭にバレないように隠していた
astrayで勧められた時も
どれ程手を延ばしたかったか……
でも、それに打ち勝ち、クスリ断ちをしてきた
それは、マリファナの力を借りてあったモノだけど……
そのマリファナも無くす
琉那にとってそれは
自分との戦いだった
ちょうど、次のシフト希望を出す時だったので
5連休の希望を出した
仕事をしていれば気が紛れるし
少なくとも勤務中は吸う訳にはいかないけど
マリファナも断つ事により
他のケミカルの禁断症状が酷くなり出ても困るし
閉じこもるのが一番だと考えたからだ
麻美や莉央から連絡が来ても
全部やめたいからと
誘いも断っていた
麻美も莉央も、理解をしてくれて
クスリ断ちを応援してくれた
そこで、2人も、自分達も減らしてっていつかは……と
琉那の事で考えて、自分達もやめる事を考えていた
特に莉央はその必要性を感じていた
莉央や琉那よりも多くやっている麻美は
最近特に具合が悪そうに見える事が多かったし
取り返しのつかないトコロまでは行きたくなかったから
5連休が近づいていた
接客業で5連休もとれるのは稀な事で
他のスタッフに負担もかけてしまう
貴重な連休だ
勿論理由は、本当の事は言わず
ちょっとゆっくり実家に帰る、としていた
それまでは
他のモノをしたくなってキツい時や、落ち着かない時は
軽くマリファナを吸う
マリファナの量も完全に、今までのように楽しむ為ではなく
クスリ全般をやめる為にと
最低限で済むようにとしていた
不調を職場でバレないようにしていたけど
店長や他のスタッフから、体調悪いの?と聞かれた時もあった
琉那は、大丈夫です、と笑顔で答えていたが
離脱の疲労もプレッシャーも睡眠不足も
表立って見え隠れしていた
時々震えてしまう手で、ネイルをするのが大変な時もあった
ネイルは繊細な仕事だ
仕事に影響してしまう事を恐れて、困惑した
震えが長引きそうな時は
麻美から貰った医者で処方される安定剤を飲んだりして
なんとか震えと不安を鎮めた
……あと少し、あと少しで連休だから
それまでを乗り切れば
その間になんとか……
既に疲れてしまっている琉那だけど
その5連休に賭けていた
そして、いよいよ明日から連休、という夜を迎えた
その夜は、岩盤浴にデトックスをしに行った
クスリは汗からも出て行くので、とにかく汗で排出して
早く身体から抜こうと思った
薄暗い室内
一人分づつ仕切られているスペースにバスタオルを敷いて寝転がる
琉那は元々岩盤浴が好きで
度々訪れていたが
この日はいつもの倍近く
水分補給をしながら
出たり入ったりを繰り返して、なるべく長く汗をかき続けた
岩盤浴をしながら目を閉じていると
旭の顔や言葉が浮かんでくる
それは、楽しい思い出だったり
最近の哀しい感情だったり……
笑顔だったり
涙だったり……
それがどんなモノでも
思い浮かぶのは、旭だった
あの日、別れ際に
抱きしめながら
「俺と琉那は運命だから。大丈夫だよ。」
と言ってくれた
……運命……運命の人……
それなのにアタシは……
琉那は、周りにバレないように
静かに涙を流した
汗と涙を流してスッキリした琉那は
少しだけ、元気を取り戻した
……禁断症状に負けてられない!岩盤浴も休み中にまた来よう!……
改めて、明日からの5日間を貴重に感じ
マリファナも断ち切ろうと
心新たに思っていた
けれども……
3日目の日……
ケミカルのクスリの離脱症状と思われる状態に耐えきれず
とうとうまたマリファナを吸ってしまった……!
気持ちでは、もう吸いたくないと思ってるのに
身体と脳は吸いたくない気持ちに追いつけないでいる
やはり、クスリをやめるとゆう事は
簡単な事ではないと
思い知らされた……
琉那は、また吸ってしまった事を後悔し
更に自分を責めた
旭の事を思い浮かべては
自分を責めて泣いた
時がたち 古ぼけた空に浮かぶ青い小鳥は 溶け堕ちてしまう
地上に着く頃には 青い砂となる
……この両手で受けとめようとしても
サラサラと滑り落ちて
このちっぽけで 黒く焦げた両の手では
綺麗なモノは受けとめられないんだ
アタシは 汚れているから……
毎日のように 唯 ひたすらに
幾つもの時間が流れ落ちて逝く
考える事すらままならなくて
今日もまた 何も出来ずに空は曇り果て
光が足りないんだって 静かにランプを灯す
闇の中は落ち着くけど
真っ暗闇は イヤ
一体 何をど うすれば いい?
いや そんなコト 分かり切ってる
正しい答えなんて 何処にもなくて
選ぶのは アタシ自身
それでもまた コレに火を点けるの?
アタシの答えは コレ?
イヤ 違う…違うんだ……!
焼き付いて 離れない
キミは誰?
なんて 解りきってる
これを 焼き切ってしまえば
キミは消える?
消えるの?
極彩色の熱帯魚の海が見たい
なぁ~~んにも考えずに海の中に留まって
熱帯魚と一緒に 浮かんでたいから
10分くらいもつ肺が欲しいな
グニャグニャの海月になりたい
何も考えずに 海に漂ってたい
ユラユラ フワフワ
海月は死んだら 水に溶けるって聞いた事がある
いいな 海月って
アタシも溶けちゃえばいいのに……
翌日が仕事とゆうその夜
琉那は麻美に電話をした
「ごめん、ケミカルはもうやんないけど、実はマリファナが終わっちゃって……」
この数日間の葛藤と苦しみを麻美に伝えた
「そろそろかもなって、思ってたよ。
琉那の分ちゃんとあるから、届けに行くよ」
こうして、麻美がマリファナを届けてくれる事になった
琉那は悩みに悩み抜いた結果、麻美に電話をした
このままないからヤラないとゆう選択肢も
勿論考えたけど
仕事にならないと困るし……とゆう考えの末だった
麻美が琉那のマンションに着いた
琉那は麻美から見ても、葛藤して頑張ったんだと分かるくらい
衰弱してる様子だった
「ごめんね、頼んじゃって……」
申し訳なさそうにする琉那に麻美は言った
「全部やめるなんて、キツいに決まってるって分かってたよ。
だからマリファナだけは、いつ言われてもいいように
とっといたんだから」
世間から見たら
それは悪友なのだろう……
でも、琉那にとっては、救世主だった
ジョイントを巻き、交合に吸う
勿論明日には響かないように
夜中までには寝るつもりだったし
麻美もタクシーだから帰りの心配はない
「なんかさ、久しぶりだね。琉那んちで吸うの」
「そうだよね~だいたいastrayだからね」
「琉那がastrayにあんま来なくなって寂しいよ
今はまた誘惑が困ると思うからイイけど
そのうちまたみんなで踊ろうね!
莉央もオーナーも心配してるよ。
お酒だってあるんだし!」
無理に誘ったりはせず、薬抜きを応援してくれる麻美と話しながら
琉那は嬉しくて涙目になっていた
けれども、旭に連絡出来るのが遅くってしまうのが現実だ
本当はこの5日間で……と思っていたのに
この5日間でおかわりをしてしまった事は
罪悪感が突き刺さった思いだった……
麻美は、琉那の話しをいろいろ聞いてくれた
どんなに旭を好きか、必要な存在か
改めて噛み締める思いで麻美も聞いた
「こないだも話したけど、ウチらも減らしてこってなってるし
その考えになれたのは琉那のお陰だよ
オーナーも、前よりホント量減ったし
琉那は今、いい事をしてるんだよ」
いっぱいいっぱいで、ここ数日間連絡もしなかったのに
そう言ってくれた麻美の言葉は
乾いてひび割れた琉那の心に
新鮮な水が注がれたように
染み渡った
夜中、麻美は笑顔で帰って行った
それから、ひと月の月日がながれた
一方旭は
ひと月たっても琉那からの連絡はなく
旭は考え込んでいた
……まだ、無理なのかなぁ……
ここで連絡したら、琉那は頑張ってくれてる筈なのに
中途半端に邪魔しちゃうのかな……
クスリとはほぼ無縁旭にとって、それは難しい問題だった
どうするのがいいのか分からない
琉那が自分に対しての気持ちが変わってしまってないかも
不安に思っていた
……例えば もしも
琉那が出血多量で死んでしまいそうになってしまうとする
そしたら オレは
自分の血を ギリギリまで抜いて琉那に流し込んでくれと言う
いや 多分
オレはどうなってもいいから
琉那が助かるのに必要な分だけ
流し込んでくれと頼むだろう
オレが そうしたいから
そうしたら 琉那の中には
オレの血が流れて
ある意味 一つになれて
共に生きていれてると
思える
オレが死のうと 生きていようと
琉那も きっと
オレの血が流れる自分自身を
大切にしようと思ってくれるだろう
でも そうゆう事じゃない
解ってる
そうゆう事じゃないんだ……
実際医者がそこまで血を抜いたりしてくれないのも解ってる
でも そうゆう気持ちなんだ
琉那を失いたくない……
一方、琉那も勿論旭の事を考えていた
心配させたくない
声が聞きたい
会いたい
旭のが気持ちが変わってないか……
同じような事を考えながら
あともう少しで2ヶ月が過ぎようとしていた
マリファナは
まだ、やめられない……
それでも一度近況報告のような感じででも
連絡をしようかどうか……
イヤ、やっぱりダメだ!
ぬか喜びもさせたくはないし
自分の中の『やめるまでは』のルールは、守りたかった
仕事を辞めてクスリを抜く事に専念しようかとも考えたけど
お店のみんなに迷惑はかけたくないし
お金がないと生活も出来ない
実家にも頼りたくもない
家事とかをしなくて済むから楽だし
抜けの苦しさは辛いけど
集中して抜く事が出来る
家族にバレる心配がある程会う時間も少ない
それでも実家には帰りたくはない
トラウマの実家だから……
実家 元彼 クスリ……
様々な苦悩を抱えたまま
後遺症や依存症に苛まされ続けていた
マリファナだって、育てる過程で効きを良くする為に
ケミカルが使われている物も多いと聞く
麻美は、なるべくナチュラルなマリファナを選んでくれている
それでもマリファナも、解禁国があると言っても
日本ではご立派に違法薬物だ
だからこそ、旭に寄りかかる事が出来ない薬物の恐ろしさを身に染みて、身を持って、体験した事で、改めて
『もっと早くやめようとすれば良かった』
とゆう後悔
『今気づいてやめようとして良かった』
とゆう安堵
……もし、あのままみんなで続けていたら
本当にやめられなくなるところまでいってしまったんじゃないかと思う
鶏ガラのように痩せ細ったり、注射の痕だらけで皮膚が堅くなったり
鼻が溶けたりするなんて
ごめんだ!
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