冥途の土産にやり直すべき日を聞いて逝きます~さようなら~

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2023/05/23 15:04(更新日時)

桜の花が咲き誇る頃、妻が家を出て行った。

No.1695914 (スレ作成日時)

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No.251

調べれば他にいろいろやり方あるんじゃないの?


昔で言ったら馬にひかれて死にましょうっていうことでしょう?


馬が電車になっただけで、自殺の仕方ってホントに進歩しないんだから参っちゃうよねぇ。


死のうって自分で決めといて、その方法が「電車」て…


物凄い受け身ちゃいまっか?って話やん。


自殺って決めたんならねぇ、そこは筋を通して自分で切腹でもして下さいっちゅう話なんよ。


ホントにまったく...』

No.252

私に飲ませる茶を入れる間中、その男性は飛び込み自殺について、滝の如くぼやいていた。


ごもっともだと思いながらも、私が同調したり口を挟んだりすると、益々男性の怒りの火に油を注ぐことになってしまうと思ったので、ただ黙って聞いていた。


運転手が湯呑みを持って私の方へ近づいてきた。


『ほら、茶できたで』

No.253

温かいお茶だった。


運転手はハァと溜め息をついて、またガチャガチャと音を立てて椅子に座った。


『怖かったなぁ』


『…』


『怖かったと思うわ』


『…』


『いきなりあんたが現れて、ワシめっちゃ怖かったで。あんたはあんたで気絶して線路の上にぶっ倒れてしもたんやけどな』


そうだったの…?

No.254

『ワシがな、まだ遠くに見えるあんたの妙な行動に早く気づいて急ブレーキせえへんかったら、あんたは今頃バランバランや』


余計なことはせずにそのまま死なせてくれたらよかったのに…


『まあ、あんたはそれを狙っとったんやろ?』


『…』


『ほんまに怖いことするなぁ、自分…』


『…』

No.255

『もしあの時、ワシがあんたをひいて死なせてしもて、そのワシは、明日からいつもと変わらず笑って暮らしていけると思た?』


『ワシの人生どないなってたか想像してみてくれる?』


『あんたを死なせてしもたって、ずっと暗く生きていくことになってたんやで』
 

『…いや…変わらず笑って暮らしていただければよかったんです』

No.256

『無理やん。そんなもん。だってあんた絶対夢に出てくるやん。線路に立ったあんたが絶対夢に出てくるやん。夢だけやない。運転しとる時、踏切に人が立ってたらってどないしようって不安になって運転なんかできんようになるで。仕事辞めなあかんことになるで』


『……』


『あんたは分からんかも知れんけど、線路に立ったあんた、めっちゃ怖かったで。幽霊みたいやったで』


『あーあかんわ。今日夢見そうや。えらいことしてくれたでー。ワシめっちゃ怖がりやのに…』


『…』

No.257

『生きとる人間がな、皆強い人間やなんて思うとるかも知らんけど、それは100%間違いやで。皆あんたと同じ弱い人間なんやで』


『それが全然分かっとらんから平気でそんなこと言えるんやろ?』


運転手は湯飲みの茶を飲み干した。


『ワシ、あんたの自殺を止めたんちゃうで。勘違いせんといてな。自分とうちの電車を利用してくれてるお客さんのためにブレーキ踏んだんや』


『だから絶対恨まんとってな。頼むで。逆恨みっちゅうやつやからな、それ』


『…』

No.258

『だってな、もしあそこでブレーキ踏まへんかったらワシの人生だけやのうて、この会社使うてくれてる何万のお客さんの足に影響出たんやで。


みんなイライラして、どっかで喧嘩が起きたかも知らんし、乱れたダイヤをどうにか元に戻そうと運転手が気張ってしもて、重大な事故に繋がってたかも知らんで。


待ち合わせに遅れてしまう人が急いで走って、転んで怪我したかも知らんで。


考えてみたら、ワシめっちゃ凄いことしたんやな。


あんた一人を死なせずに済んだことで、他のたくさんの人間も助けたことになったやん。勲章もんやで。ワシしかでけへんで。ワシやからできたんやで。ワシやったからあんたは今そこにおられるねんで。だってワシは…』


『???』

No.259

さっきから疑問に思っていた。


私は線路に入る前、確かに電車が向かってくるのを見た。


あれは貨物列車ではなかった。


線路に入って、電車が物凄いスピードで近づいてきた。


眩し過ぎて目を瞑ってしまったが、あの距離の近さで絶対に止められるはずがない。


もし止められたのだとしたら、それはもう神業としか思えない。


この人はいったい…

No.260

『いやいや、思わず口滑りそうになってもうた…。そないなことしても誰も誉めてくれへんって話なんよ。そうそう…』


『は、はあ…』


運転手は「それは言ったらあかん、あかんで」と自分に言い聞かせるようにブツブツと独り言を言いながら話すことを整理しているようだった。


『それとな、あんな怖い思いさせられて、ワシこのまま帰られへんのよ。怖すぎて。だからあんたにしてもらわないといけないことがあんねん』


『それをしてくれるまで絶対帰さへんで』


とてつもなく真面目な顔をして男性はその黒い目で私を威圧した。


謝罪とか賠償とか…?


生き残ってしまった最悪のシナリオがこれから始まるのか…。

No.261

再び自殺することを決意した。


どうせ賠償なんか無理だし…


聞くだけ聞いてさっさと死のう…


『あの…私はどうすれば…』


『せやな。笑ってくれる?』


『は?』


『嘘でもええから笑ってくれる?』


『わ、笑う…?』


何を言ってるんだ…この人…


『あんたの幽霊みたいな怖い姿が夢に出てきたり、今後も思い出したりせえへんように、ワシが覚えてるあんたの印象を笑顔に塗り替えておきたいんよ』

No.262

『あの…』


『なに?』


『無理です』


『え?なんで?』


『なんでって、私死のうとしてたんですよ!死にたいと思ってるんですよ!それほど苦しんで追いつめられてきたんです!もう人生やめたいんですよ!そんな笑う元気なんかありませんよっ!』


運転手に突っかかった。

No.263

覚悟して電車に飛び込んだ私の気持ちを軽く見られた気がした。


『そんなに簡単なことではないんです!』


ついでにもう一言突っかかった。


少しスッキリした。


運転手は目を丸くして私の顔を見ている。


しばらく経って運転手が口を開いた。


『なんかめちゃくちゃ元気に見えるのはワシだけ?』


『……』

No.264

『ええやん。あんたあれだけのことしたんやで。ワシのことめちゃくちゃ怖がらせといて…それだけやあらへんで。あんたワシにめちゃくちゃ迷惑かけたんやで。線路で気絶しとってダラーンとしとったあんたを、めっちゃ腰痛いのにわざわざ抱き抱えて貨物列車に放り込んで、この駅長室まで運んでやったんやで。そんでソファに寝かせてやなぁ、毛布も掛けたって茶も入れてやってやなぁ……笑ってくれるくらいええやんかぁ!』


『………』


運転手の大声が駅長室、いやきっとホームにまで響いた。


渡された湯飲みの茶に口をつけてしまったことを後悔した。


あれもこれも頼んだことではないし、望んだことでもない。


あなたが勝手にやったんでしょう……?

No.265

黙って下を向いていると、運転手は『しゃーないな』と言って机の上にある電話の受話器を取った。


『今から警察に電話するで』


『え!?』


『あんたが今日やったことを全部話して事情聴取してもらわんとな』


運転手は1・1とプッシュした。


『あ、あの…』


運転手が0を押そうとした瞬間、私はソファから立ち上がって叫んでいた。


『やめてください!なんでもしますから!』


警察に連れて行かれたら幸子や和典に連絡がいってしまうのでないかと焦った。


それだけはマズい。


気がついたら駅長室の床に頭をつけて土下座をしていた。

No.266

『お願いします!お願いします!』


何度も大きな声で叫んだ。


『ほんまになんでもするんやな?』


悪魔みたいな声と受話器を置く音が聞こえた。


恐る恐る顔を上げると、運転手が直ぐ目の前で仁王立ちしている。


『ほな喋ってもらうで』


『な、何を……』


『なんで自殺しようとしたんか、聞かせてもらおうか』

No.267

自殺の理由...


『それは……』


話したくない気持ちと話したところでどうにもならない投げやりな思いが、動かさないとならない口を重くした。


私の中では死ぬ決断をした時に、もう全て解決したことだから。


今さら誰かに話したところで、そのことについてとやかく言われるのも嫌だった。

No.268

だけど話さなければ警察を呼ばれてしまう。


適当に言って早くこの場を去ろう。


パチンコと競馬に明け暮れて金を使い果たして、にっちもさっちもいかなくなったので死のうと思いました。もう二度と自殺なんてしません…とか言っておけばいいだろう…


『実は私は…』

No.269

『言わんでええ』


『え?』


『まぁ大体、聞かなくても薄々分かるっちゅうねん』


『聞いたところで何もでけへんしな。重たい話されても…って感じやしな』


『だから言わんでもええよ』


『だってあなたが喋れって言ったから私は…』

No.270

『だって笑えへん言うから』


『じゃあ笑えば帰らせて頂けるんですね?』


『ええよ。笑ってくれたら帰ってええよ。だから最初からそう言うてるやんか』


さっさと笑って帰ろう…


そして今度は違う場所で確実に死のう。


無理矢理口角を上げて笑おうとした。

No.271

ひきつった。


できない…


ただ笑うだけの簡単なことができない。


笑おうとすると何故か先のいろんな不安が頭をよぎってきて、笑顔になんかどうしてもなれない。


『おじさん、早う頼んますわ』

No.272

ただ笑うだけだ…
やらなきゃ帰れないんだから…


懸命に笑おうとした。


やればやるほど頬の筋肉が硬直して震えた。


情けなさが込み上げてきた。


家で鏡を見ながら微笑むことができたのは、その後死のうとしていたから。


だからできた。


笑おうとすると、どうしても悲しいことが頭をよぎる。


笑おうとすると、どうしても情けない自分の人生が頭をよぎる。


笑おうとすると、どうしても明日も明後日も生きていかなきゃならない気がする。


それでもこの場だけ笑えばいいんだ…


それで事は済むんだ…


簡単なことなのに…。

No.273

生きる気力が無ければ笑えないのか?


生きようとしなければ笑えないのか?


どうしても笑顔になれなかった。


ただ笑うだけの簡単なことが、私にはできなくなっていた。


私は…私は…


『嘘でもええねん。作り笑いでもええねん』


嘘でも作り笑いでもいいから笑顔になりたい。


一度でいいから笑顔を作りたい。


一生懸命笑おうとした。


それでも…

No.274

できなかった。


笑おうとすると、いろんな不安が頭をよぎってきて、どうしても笑えなくなる。


どうして…


情けない…


これくらいのことがどうしてできないんだ……


私は…


『できません…笑顔を作りたいのに、どうしてもできません。一度でいいから笑顔になりたいのに、それくらいのことなのに…できません…。どうしてもできないんです…』


大声を上げて泣いた。

No.275

生きていくことが難しい…


もう笑うことすらできない…


悔しかった。


こんなふうに自分が壊れたまま死んでいきたくなかった。


だけど…


『ええんやで。それで』


床に伏して泣く私を見下ろしながら運転手は言った。

No.276

『笑顔やないけど、ワシの中ではもう塗り替えられたからええで。あんたが悔しがる顔にな。幽霊みたいやった顔から、ちゃんと塗り替えることできたで』


『いつか笑える日がくる。すぐやで。気休めとちゃう。ワシには分かっとる』


『何が…何が分かるっていうんですか…』


『あんたはもう大丈夫や』


『何が…?』


泣きながら運転手を見上げた。

No.277

『あんたはもう、生きる道を探し始めとる』


『そんなことはないです…もう無理なんです…』


『いいや。無理やない。あんたがそれを望んどる。今、悔しいって思たやろ?そう嘆くあんたの姿。それはもう大丈夫ってことやねん』


『何も大丈夫なことなんて無いんです…』


『あんたには、これからやらなならんことがたくさんあんねんで。今はそれが何なのか分からんかも知れへんけどな、ちゃんと残っとるんやで』


『あなたに何が分かるんですか…』


『心配せんでも後で分かる時がくる。それまで笑顔はお預けやな』

No.278

運転手のギョロっとした真っ黒な黒目が、私に一切反論をさせなかった。


言おうとしても、何故か口が全く動かなかった。


『ほなな』


運転手はニッコリと笑って、駅長室のドアをカチャっと開けた。


冷たい空気が室内に入ってきた。

No.279

心の中にいろんな疑問を残したまま、私は促されるように駅長室を出た。


ホームを少し歩いて振り返ると運転手がこちらを見て手を振っていた。


世界はまるで止まっているかのようにシーンと静まり返っている。


「なんだろう」と不思議に思いながら駅の改札を出た。

No.280

その瞬間、前からモワッと生温い風を感じて、人の足音、車の音、電車の音、どこかの店から流れてくる音楽、日常の雑音が一気に耳に入ってきた。


今までどこにいたの?どこから来たの?と戸惑うほどの人の流れが四方から私に向かってきて通り過ぎて行った。


静まり返っていた世界が慌ただしく動き出した。


まるで私が駅を出たのを合図に、機械仕掛けのおもちゃが一斉に動き出したようだった。

No.281

どうなっているんだ…


そんな疑問は二歩三歩と前へ進むにつれて次第に薄れていき、私もまた、人ごみの中へと溶け込んでいった。


家へと続く暗い道を、何も考えることなく歩いた。


いつ家に着いたのか、いつ寝たのか全く記憶にない。


酒を飲んだ形跡も無い。


気がつくと朝になっていた。

No.282

半日ほど、不思議な夢でも見ていたのか…


私は何故か生きている。


死ぬと決めてから八日目の朝だった。


いないはずの私がまだここにいて、迎えるはずのない朝を迎えている。


けれど、今胸の中に充満している気持ちは、死ねなかった後悔ではなかった。

No.283

私の心の中にさっきからずっとこだましている運転手の声。


『あんたには、これからやらなならんことがたくさんあんねんで。今はそれが何なのか分からんかも知れへんけどな。ちゃんと残っとるんやで…』


ずっとこだましていた。


私が目覚める前から、寝ている間もずっと、子守唄のように心地よく、私はその声を聞いていた。


そしてその声に守られるように目覚めた。

No.284

心の重しになっていたものが無くなったわけでも、私が置かれている状況が変わったわけでもないのだが、目覚めた私の心は何故か非常に軽かった。


気持ちが不思議なほど楽になっていた。


鏡台の鏡に、あっけらかんとした私の顔が映っている。


昨日までの私はどこへ行ったのでしょうね…。

No.285

死ぬとか死のうとか、死ななきゃとか死ぬしかないとか、そんなことばかり考えていた自分が嘘のように楽天的になっている。


そんな自分の変化に戸惑った。


考えても、その変化の理由が分からなかった。


まぁ、いいじゃないか…。

No.286

金も無い。
仕事も無い。
家族もいない。


大丈夫な状況ではないのかも知れんが。


まぁいいじゃないか。


なんとかなるさ…。


あれもこれも大したことじゃない。


だが…。

No.287

パチンコと競馬に金を使った。


取り返しのつかないことをやってしまったわけだが、それはそれで楽しかった。


だからいいんじゃないか?


悲嘆にくれることは何一つ無いと思った。


手元にある小銭と、死んだ後で引き落としされるようにと銀行に入れておいた、手をつけてはいけない金。


だから今は、ほぼ一文無しなんですけどね…


なんとかなるんじゃないですか?


きっと…。

No.288

部屋の宙に浮いている首吊りヒモ。


私に向かって「どうするんですか?」と聞いてくる。


とりあえず目覚めの茶を飲もうとお湯を沸かした。


茶を飲んでる間も、絶えずヒモは私の視界に入ってきて「どうするんですか?どうするんですか?」としつこく聞いてきた。


『どうしましょうかね』

No.289

シーンと静まり返った部屋の中で、首吊りヒモが寂しそうに浮いている。


とりあえず…
そのままにしておくのもなんだから…


椅子に上ってヒモを外した。


丁寧に丸く束ねて、元あった棚にしまった。


首吊りヒモはただの洗濯ヒモに戻った。

No.290

落ち着いていろいろ考えたら、また死の方向へと私の意識は向かってしまうかも知れない。


せっかく楽になれた気持ちを、できる限り持続させようと思った。


金が無いとか、仕事が無いとか、妻が出て行ってしまったこととか、昨日、和典を追い返してしまったこととか、先のこととか、考えると暗くなるだけ。


だから今私がやりたいことを、まずやろう。

No.291

やることは決まっていた。


起きた時からずっとやりたくてウズウズしていた。


2年半以上もの間、ずっと放置していた家の掃除だ。


隅から隅までキレイにしたくなった。


いろいろ難しいことを考えるのは、それが終わってからでもいいんじゃないか?


これからは誰が来てもいいように、いつも家の中をキレイにしておこう。


その日だけでは到底終わらず、翌日も朝から掃除を続けた。

No.292

昼下がり、一日半かかった家中の掃除がようやく終わった。


窓を全て開放した。


今まで世話になった埃が舞う重い空気と、すがすがしいひんやりとした新しい空気を入れ替えた。


外は晴天。


家の中にいるのは勿体無い。


自然と足は外に向かった。

No.293

何も用は無いが、晴れた空の下にいたかった。


一昨日、電車に飛び込む前にフラッと入った公園。


そこにあるベンチに、また座った。


背もたれにもたれながら、顔を空に向けて太陽の光を浴びるように目を瞑った。


気持ちがいい。

No.294

地面に生える雑草、靴の周りをはい回る蟻たち。


2、3日前に地上に芽を出したと思われる二葉。


少しひんやりとした空気、そよ風、鳥のさえずり、草木の匂い、太陽のあたたかさ…


命が溢れかえっている。

No.295

私の目に映るものすべて、私と共に生きている。


まだ生きていていいんだよと、当然のように受け入れてくれる。


そして太陽もまた、惜しみなく光を注いでくれた。


私がここにいることを「ちゃんと分かっているよ」と言わんばかりに。


ありがてぇなぁ…。


ただそれだけのことでも、生きる価値は十分にあると思った。


ただ…


これからどうやって生きていったらいいものか…

No.296

『フフーン♪フフフーン~♪』


どこからか鼻歌が聞こえてくる。


誰かが公園の中に入ってきた。


初老のちょっと小太りな男性だった。


私の方をチラッと見て、その男性は鼻歌を歌いながら公衆トイレに入って行った。

No.297

男性の鼻歌はトイレの中で反響してエコーが加わった。


そんなトイレ空間に気を良くしたのか、男性の鼻歌は益々リズムにのって辺りに響き渡った。


『フンフフーン♪フンフンフフーン♪~なのね~フンフンだから~♪』


何の歌なのかさっぱりわからない…。

No.298

鼻歌が大きくて、外の通りを歩く人が公園の中を覗いてくる。


そして必ず私を見た。


確かに公園には私しかいないように見えますが、歌っているのは私ではありません……。


終いには近所の犬が、「オゥーー」と鼻歌に合わせて遠吠えまで始めた。


遠吠えは瞬く間に広がって、あちらこちらから「オゥーーー」と聴こえてくるようなった。


相変わらず道行く人がこちらを見る。


私ではありません…。


そんな事情も知らず、男性の鼻歌は続いた。

No.299

トイレで用を足しているのかと思いきや、ザバーッ、ザバーッと水を流す音が聞こえてきた。


そして次に鼻歌と共に聞こえてきたのは…


シャッ、シャッっと聞いてるだけで心地が良い、デッキブラシで床を磨く音だった。


男性は公衆トイレを掃除し始めた。


どうやらこの街のトイレ清掃員のようだ。

No.300

皆様へ🍵余談🍵

突然ですが、お元気ですか?

書き始めてから3ヵ月半が経ちまして、流石に「この話、長っ…」と思い始めたところでございます。

ここに遊びに来てくれる人はいるのかな~と時々不安が過ぎったりしながら、一人淡々と投稿しております。

いつまで続くん?とご心配になる頃かと思いましたので、お便り差し上げました。

只今、下巻の中盤の下といったところです。

「どこやねん!」

2月中には完結を迎える予定でいます。

この頃、益々まとまりがなくなってきているのは重々承知でおります。

ちゃんと分かってますよ…。

もう少しの我慢です😸

最後まで読んでくださっても、決してパチンコで大儲けしたり大穴馬券が当たったりしませんが、皆様の忍耐力は一級品になると思います😸

読んでくださっている皆様。

本当に感謝感謝です。

あとちょっとですからね…🌱🍊

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