不純愛

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2013/03/05 23:46(更新日時)

―この愛は、純愛ですか?



―それとも、不純ですか?

No.1526080 (スレ作成日時)

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No.1

外の激しい雨が、窓ガラスに無数の雫を流していく。



薄暗い部屋に散らかった衣服を、女は一枚ずつ拾い上げる。

「…帰るの?」



「主人が帰ってくるわ。」


男の問いに、女は妖艶に微笑む。


「あぁ、今日だったっけ?」


男は気だるそうにベッドから起きあがると、そのまま女に抱きついた。

No.2

「そう、今日出張から帰ってくるの。
久しぶりに腕を奮って食事を作るわ。
だから離して…シャワーを借りるわね。」


そう言って、女は男の腕からすり抜ける。


「ふぅん…家では相変わらず良い奥様なんだ。」


「そうよ?
夫に従順で淑やかな美しい妻。」


「ふっ…自分で言うか。

そんなお前の表の顔しか知らない旦那が可哀相だな…泣けてくるよ。」


「そうね、貴方だけ…昔から本当の私を知るのは貴方しかいないのよ…孝之。」



そう言って女は孝之と呼ばれた男に甘い口付けを落とした。

No.3

「ただいま、清美。」


「あなた、お帰りなさい。

ひどい雨だったでしょう?」


清美は、帰宅した夫の背広を脱がし水滴を払いながら、優しい笑みをこぼした。
「あぁ、季節外れの嵐だな。」


やれやれ…とリビングのドアを開ければ、たちまち夕食の良い匂いが立ち込める。

「うわ~スゴいな。 何かのお祝い?」


夫の問いに、清美は「ふふっ」と微笑む。

「出張で、一週間も居なかったでしょう?
そろそろ、私の手料理が恋しくなってくる頃だと思ってね。」

「ああ、ほんとだ。 外食だかりで飽き飽きしてたし、清美の手料理が恋しかった。」


「でしょー?」


端から見たら仲の良い夫婦。


いや、実際に僕はそう思っていた。

その事に、一切疑いを持った事はない。

No.4

清美とは大学の頃に知り合った。

研究生として大学院に残っていた僕。清美は同じ大学の一年生で、僕が公私ともにお世話になっていた坂田教授の一人娘だった。


まだ18歳の彼女は、少女とは言えない程の妖艶な色気を放っていた。

だからと言ってそれが厭らしく見えたとかじゃなくて、なんと言うか…胡蝶蘭の様な凛とした奥ゆかしい美しさがあったのだ。


僕も、他の研究員の連中も清美には儚い憧れを持っていたと思う。


なぜ、儚い憧れなのか…。


―僕らはメガネをかけた、もやしっこだ。

ダサい、面白みもない、そして何より女の子に全く持って免疫がないのだ。


当然、そんな僕らが高嶺の花の清美に話し掛けられるハズもない。


あ……たった、一人を除いて…だ。

No.5

孝之…本上孝之だけは、清美と直ぐに打ち解けて会話を弾ませていた。


まぁ、彼は清美だけじゃない。

多分、校内や他校でも女に人気がある。

放っておいても、女の方からやってくる様なモテ男だった。

内心、僕ら冴えない男連中は孝之に計り知れない程の劣等感を感じていた。

No.6

「どうかしたの?」

昔を思い出して、ボゥっとしている僕を怪訝そうな顔で清美が問いかけた。


「いゃ、何でもないよ。」


「そう?」

いつの間にか雨が止んで月明かりが部屋を薄く照らしている。


その淡い光りで清美の身体が輝いて見えた。


グラマラスなその身体はガウンを纏っても見事な曲線を描いている。

No.7

学生時代、清美は孝之と仲が良かったものの、2人は僕の予想に反して付き合う事は無かった。


それどころか、講義で解らなかった所などを僕に聞きに来るようになった。


教授に直接、聞きに行けば良いなどと野暮な事は言えない。


正直、彼女からの親愛の情を受けられる事が幸せだと感じていたから。


だからと言って僕らが交際へと発展して行く事も無い。



転機が訪れたのは、僕が研究室を出て就職しようとしていた時だ…。

No.8

その日、僕は坂田教授に呼び出された。

普段から教授のお宅に伺う事は多かった。


だから、その日も何気ない気持ちでお宅を訪れた。


「来年、清美が卒業したら一緒になってくれないか?」


坂田教授の、唐突に突き出されたその言葉を理解するのに、一体どの位の時間を裂いたんだろう。


「…え?」


困惑する僕に構わず、坂田教授は話を続けた。


「君がバイオ研究員ではなく、高校の教師になってくれるのなら…だがね。」

No.9

何故、僕なのだろう。

何故、高校教師なのだろうか。


清美の結婚相手になる男の条件として、選ばれた訳やその理由が全く持って理解出来ない…。



いや…そんな事はさておき、僕にとっては結婚よりも大事な将来の夢…つまり仕事が失われる事の不安が頭をよぎる。


バイオ研究所に入ってカビや、微生物の研究をしたい。


その為に大学院にも入って博士号も取得したのに…。


今更、高校教師になんかなってどうするんだ。

No.10

僕は、放心状態のまま色々な事を考えていた。


異様な空気が立ち込む教授の書斎。


先に沈黙を破ったのは教授の方だった。

「理不尽な願いだね…君の目標も、その為の努力も全て、私は側で見て来たというのに。

でもね、清美が私に言って来たんだ。」

「え?」


「結婚するなら、君みたいな相手が良いと…。」

No.11

教授の言葉に一瞬、心が弾んだ。


―あの清美が?

結婚相手に孝之みたいな男でなく僕を選んでくれた。

僕は醜くも、初めて優越感を覚えた。


それからは瞬く間に、世界がキラキラと色付いて行く様な心地になった。


将来の夢と、憧れの女性を天秤にかけた僕の浅ましさ。


なんて愚かだった事か…。

No.12

その年の10月に僕と清美は結婚した。



都内でも有名な進学校の理科教師になって半年後の事だ。


清美は大学を卒業すると就職も望まずに専業主婦になった。


せっかく大学まで行って、しかも研究室に残れば博士号だって取得出来たかも知れないほど優秀だったのにだ…。



それでも彼女は、「お嫁さんになるのが小さい頃からの夢だったから。」と微笑んでみせた。



何と言うか…清美には執着とか野心みたいな物がない…迷いのない強さがある。

劣等感の塊の様な僕には余りにも眩しい存在。

No.13

それから10年。


子共にはまだ恵まれてはいないが、僕らは何ら変わらずに上手くいっていた。




―あの日、この部屋でアイツを見るまでは…。


…いや、もしかしたらそれ以前に…。




―…君と出会わなかったらかも知れない…。

No.14


あの日…桜の雨が降ったあの日。


校舎裏で初めて君を見かけた。


衝撃的な場面―。


男子生徒と若い女性が抱きしめ合っていた。


すぐさま走った違和感。


制服姿の男子なら相手は同じく制服を着た女子ではないか…?普通。


僕は足早にその場を去る。


あぁ…嫌だ。
嫌なもの見た。
保守的な僕だ。


面倒なものに触れるのは嫌だ。


頭をボリボリと掻き毟りながら、ざわつく心に苛立った。

No.15



更に驚いた事が起きた。


新学期の全校集会であの女性が新任の挨拶をしている。


壇上に上がって堂々とした態度で―。


しかも、理科の臨時教員だ。


つまり、会社でいうところの僕の直属の部下になる。


とっさに、朝の光景が蘇った。


(この女…生徒と出来てる)


最悪だ。

どう接すれば良いのか。


頭の中は動揺と怒りと嫌悪感でいっぱいだった。

No.16



1限目の授業を終えて、職員室から準備室へと戻るとそこには彼女の姿があった。

「…―っ。」

息詰まる僕に、彼女は振り返って笑顔をみせる。


「資料、どれも綺麗に整頓されていますね。
うちの大学の研究室とは大違い。」


クスクスと口元を抑えて笑う姿を見て思った。なる程…異性が簡単に落ちやすいタイプの女だ。


一見、清楚な…儚気な美しさのあるお嬢さん。


しかし、新任早々生徒に手を出すアバズレだ―。


見た目とは裏腹の恐ろしい女なのだ。


そう思えば思うほどに僕は彼女を疎遠に扱い、冷たい態度で接した。

No.17



それから2ヶ月ほど経って、一つだけ分かった事がある。


生物学において、彼女はとても優秀で僕よりも幅広い知識があるという事だ。


一昨年、僕はある学会で発表された論文を夢中で読んだ。


「面白い論文を書いた学生がいる。」

そう義理父である教授に渡されて、それに目を通した。


蟷螂についての一説を説いた論文に、僕は時間を忘れて読みふけったのだ。


久しぶりに味わう興奮。


かつての研究者としての血が騒いだ。


その論文を書いたのが彼女だった。

No.18



その事実を知った時には、憧れの人に会えた様な嬉しさと同時に、夢が壊された様な落胆した様な…何とも言えない複雑な気持ちになった。

でも溢れ出る好奇心には適わず、僕は彼女に色々な質問をした。


本来なら僕が彼女に教えてやらなきゃならない立場なのに。

彼女の口から出る物語の様な研究成果を、僕はきっとバカみたいなキラキラとした目をしながら聞いていただろう。


自分のオタク気質にはほとほと呆れる。

「先生って、まるで子どもの様な笑顔。」


「…は?」


夕暮れに染まる窓辺に、彼女の顔が赤らんで見えた。


「先生の笑った顔、初めて見ました。」

夕暮れ…僕は自分の顔が熱くなるのを感じる。


だがそれは、夕陽に照らされて赤く見えるだけだと…それだけなんだと…なぜか言い訳を繰り返す。

No.19



僕と彼女は放課後、互いの時間が許す 限り研究の話をした。

彼女は、僕が学生時代に研究していたカビの話をとても熱心に聞いては深く関心を持ってくれた。


嬉しかった。


この手の内容だと、生徒達には理解不能だし…かと言って清美は結婚後、一切興味を持たなくなっていた。


教師になっても密かに地道な研究をしていた僕に、初めて理解者が出来た。


彼女に対して、確かな親近感が芽生えていた。


それだけだったハズなんだ…―。

No.20



その日、僕は彼女に渡す資料をまとめる為に早朝出勤した。

「待って!」

校舎裏の方から、けたたましい女性の声がした。


こんな時間に…?

胸騒ぎを覚えて声のする方へと向かう。

「離せよ!」


嫌な予感が過ぎる。
ここはあの日、初めて彼女を見かけた場所だった。

そして今、目に飛びこんだのはやはり…彼女と、あの男子生徒だった。


「待って…!爽(そう)、お願いだから話を聞いてっ!」


彼女はそう言いながら、必死に彼の腕を掴む。


「なんの話だよ!あんたこそ、もういい加減…。」


男子生徒がそこまで口ずさむと、僕の存在に気づいて驚きを見せた。


そして、そのまま無言で掴まれた腕を振り解いて去って行った。


すれ違い様に男子生徒は、僕を鋭い瞳で睨み付けた。


あぁ…。


彼には見覚えがあった。

入試で一番を取って総代になった秀才。

(岡田 爽太)だ。


僕は取り残された彼女を見た。


「あの…。」

マズい場面を見られたとばかりに彼女は動揺し、手元が少し震えていた。


何か言いたげだったのだろうが、僕は冷たい視線だけ送ってその場を去った。

No.21



なぜだか無性に苛ついた。


彼女に親近感を持った矢先の出来事。


遠のいていた彼女への嫌悪感を再び抱いた。


良き理解者を一瞬にして失った虚しさ。

いつも笑顔の彼女が見せた必死な顔。


僕には向けられた事の無い…必死な顔。

込み上げる怒りの中で岡田への嫉妬心があった事は否定出来なかった。

No.22



授業以外僕は、理科準備室へは行かずに1日中職員室へと籠もった。


そして、終了時間になるとそそくさと帰宅した。


途中まで仕上げてた彼女への資料は捨てた。

No.23



トボトボと自宅に着くと異変に気づいた。


「あれ…。」


呼び鈴を押しても清美は出てこない。


留守か…。


しかし、カギを開けてもドアが開かない。


チェーンが掛かってる…中に居るのか?

直ぐに庭に回り、桜の木に登る。

うちは周りの家より背が高い。

だから、いつも2階寝室の窓鍵は開いている。


木登りは幼少の頃から得意だ。


しかも、夏場は研究材料の蝉をよく捕まえる為に僕が木登りしているのは近日中が知っていて怪しまれる事はない。



「よっと…!」


一歩一歩、着々と登って二階を目指す。

「はは…まるで猿だ。」


そして、目に入る光景…―。


木漏れ日の光が目に刺さってぼやける視界…。


眩しい…痛い。


目が痛い…。


「な…んで…?」


カーテンの隙間から見える妻の身体。


妖艶に微笑みを浮かべて男の愛撫を受ける。


「…嘘だ…ろ?」


なんで…なんで…なんでだよ?


朦朧としながらさまよい歩いた。


何も覚えていない。

浮かぶのは裸の妻。
あいつの背中。


なんだよ…なんだ…なんで…。


幾つもの「何故」が頭を過ぎる。


「はは…、僕は…僕は何も知らずに…。」

自分でも不気味な笑いが湧きおきた。

No.24



「先生っ…?!」


ぼやける視界から彼女の声がした。


でも僕には彼女の顔が見えない。


「どうしたんですかっ…!」


悲鳴の様な声と共に僕の意識は飛んだ。

No.25



太陽が照りつける…暑いなぁ。


ここは…?

大学の中庭?

懐かしい顔ぶれ。

「ひゃぁ!」

首もとを襲った冷たい刺激。

驚いて振り返ると、学生の頃の清美がアイスキャンディを2つ持って悪戯な笑顔を浮かべていた。


「先輩、はい!」

僕がアイスを受け取ると満足そうに清美は笑う。


あぁ…なんだ、全部夢だ。


嫌な夢を見た。


彼女は、清美はちゃんと僕の隣にいるじゃないか。


そうだよ…はは…、僕は何て馬鹿気た夢を見たんだろう。


「…清美…。」


呟いて直ぐに暗闇に落ちた。

No.26


「ここは…?」


雨の音がする。

微かに甘い桃の香り。
なんて優しい香りがするんだろう…。


「良かった、気が付いた。」


「…誰…?」


視界は未だぼやける。
「篠崎です。 先生、メガネしてないし見えませんか…?」


メガネ……?

顔に触れると確かにしてない。


それに、全身に痛みが走った。


「いっ…て…。」


「あぁ…ダメですよ、腕と足に大きな切り傷と肩は打撲してます。」


そう言いながら、彼女は再び僕を寝かせた。


「あぁ…僕はどうやら木から落ちたらしい…。」


そうか、少しずつ思い出してきた。


あの瞬間、僕は降りようと急いで足を滑らしたんだ。


おそらくメガネはその時に割れた。


「驚きました…先生、帰宅されたと思ったら遅くに傷だらけで学校に来て倒れちゃって…校内は私しか残ってなかったし、先生は酔ってたみたいで帰りたがらないしで結局タクシーに乗せて、うちまで運んだんですよ?」

「…じゃぁ、ここは君の家?」


「はい、ワンルームだし狭いでしょ?」

「いや…見えないし、暗いから正直分からない。」


「ふふっ…視力いくつですか?
メガネないと困りますよね…自宅には予備のがありますか? ご家族も心配してると思うので、お茶飲んだらタクシー呼びましょう。」


自宅…。

改めて他人から聞くと、どこか途方に暮れる…。


帰れる訳がないのだ…。

「篠崎君、悪いけど朝まで居させてくれないか…?
満喫行くにもメガネがないとダメだ。迷惑なのは―」


「構いませんよ。」

彼女のあっけらかんとした返事に面食らった。


「何があったのか分かりませんけど、言いたくない事や、知られたくない事って誰にでもありますから…。」


それは、君と岡田の事なのだろうか…―。


その時、昼間の怒りが僕の心を焦がした。


「…それにしても先生って凄くハンサムなんですね。
メガネない方が良いと思う。いっそのこと、コンタクトにしたらどうです?」

見えなくとも分かる。
彼女は今、あの屈託のない可愛らしい笑みを浮かべているんだ。


女はみんなこうなのか?

その笑みの裏で汚い欲望を抱いている。

刹那―


僕のどす黒い憎悪が渦巻いて、心が壊れた瞬間…


僕は彼女の腕掴んで無理やり押し倒した…―。

No.27



彼女は必死に抵抗した。


足をバタつかせて、「止めて」と叫ぶ。

身体中に痛みが走るのに、それすら感じさせない。


僕は、自分の身体を彼女に押し付けて口元を手で塞ぐ。


「生徒とはデキて、僕とはデキない?」

酷く冷たい口調で放った言葉。


「……………。」


みるみるうちに、彼女の身体から力が抜けた。


僕はそれを確認すると貪る様に彼女の身体を欲した…。


卑怯なやり方。
汚い。

僕はなんて汚い生き物なんだ。


そう自己嫌悪しても、直ぐに「僕だけじゃないだろ!」と肯定するのだ。


弱い人間。


時折、僕の腕や手に彼女の涙が伝った…。


そして、僕も止め処ない涙を抑えられないまま…彼女を汚していった…―。

No.28

翌朝、逃げる様に僕は彼女の部屋を出た。


メガネ屋があくと急いでコンタクトを購入して、新しいメガネを作った。


本当に、しばらくはコンタクトだな。


貯金をおろして、服や下着を買い込んでビジネスホテルに寝泊まりする。



発見した携帯はポケットの中で2つに割れていた。


でも、新しく買い換える気がしなかった。


今は誰とも繋がりを持ちたくないのだ。

彼女は体調が悪いと2日休んでいた。


そんな中、放課後の準備室に岡田が現れた。

No.29


「…ちょっといいっすか?」


彼の、中性的な美しく整った顔に僕は眉を顰めた。


「なんだ?」


疚しさがあるが、冷静を装う。


「あいつ…篠崎。なんで休んでんの?」

「体調不良。」


「あいつ、携帯にも出ねーし。
家にもいねーよ?」

こいつ、僕をナメてんのだろうか?
堂々と何言ってんだ。


「自分の彼女だから心配か?」


僕の問いに岡田は目を丸くした。
初めて見られた表情の変化だ。


「…は?何言ってんの?
あいつ、あんた…いゃ、先生に何も言ってねーんだ?」


「どういう意味だ?」


すると、岡田の口角がニヤニヤと上がって意味深な笑みを浮かべた。


「マジか…!先生さぁ、俺が篠崎と付き合ってると思ってたんだ!ハハっ、ウケる♪」


僕はその時に全身の血の気が引いて行くのを感じた。


「篠崎は俺の姉さんだよ。
先生、とっくに知ってると思ったのに。」


そうか…道理で…。
しっかりちゃんと見れば、分かったじゃないか…彼(岡田)と彼女(篠崎)はよく似ている。

No.30



ガクガクと身体が震えた。


目の前の彼の姿に彼女を重ねる。



僕は何て事をしてしまったのだろうか…!


身の上の不幸を彼女にあたってしまった…。


僕の怒りの矛先を清美でも無く、アイツでも無く…なんの罪もない彼女に向けて傷つけてしまったのだ…!


「先生、新学期の朝さぁ~俺達の事見てたよね?」


「…え?」


「そそくさと行っちゃったから絶対に勘違いしたな~と思ったけどさ。
姉さんが誤解といたとばかり思ってた。 あいつ、鈍臭いから言ってなかったか…。」


頭をポリポリと掻きながら岡田は言った。


「岡田…名字。」


めちゃくちゃな頭で僕はやっと一言発する。


「名字?

あぁ…違うって事? 姉さん、中学ん時に母さん側の叔母さん家に養女に入ったんだよ。」


「養女?」


「そう、俺のせいでね。
それから姉さんと会ったのは10年ぶりのあの日の朝。
そして、感動の再会を果たして今に至る。」


10年ぶりの再会…。

「…ごめん、岡田! 僕行かなきゃ!」



「え?おいっ…!」

僕は無造作にカバンを手に取ると急いで学校を後にした。

No.31



正直、この時点で僕の頭の中から清美は消えていた。


あれだけ、憎くくてそれでも尚、愛おしい彼女を切り捨てた。


そうしようと意識してしたのではなく、ただもう…僕は彼女に会いたかった。



会って謝りたい。
心から謝罪をして、そして僕を憎んで欲しい。


罵倒して、どうか警察に突き出してくれ。



僕を許さないで…。

No.32



息を切らして彼女のアパートを訪ねた。

呼び鈴を鳴らしても、ドアを何度叩いても彼女は出ない。


やはり留守のようだ。


ドアの前にしゃがみ込んで、僕は彼女に対する償いを考えた。


―ふとあの甘い香りが鼻を擽る。


「先生…?」


顔を上げると彼女がいた。


困惑した様子の彼女を僕は抱き寄せる。

強張る彼女の身体に僕がした事の罪深さを思い知る。


「ごめんっ…!」


堪らなくなって離す。

「僕は君に最低な事をしてしまった。
どれだけ君を傷つけたか…本当に申し訳ない!
どうか、僕を訴えてくれ!
どんな社会的制裁も甘んじて受ける!」

僕は深々と頭を下げた。


クスっ…と聞こえた声に僕は彼女を見た。


いつもの調子で彼女は微笑んでいた。


「篠崎君…?」


「中…入りませんか?」


そう言って彼女はバックから鍵を取り出すと慣れた手付きでドアを開けた。


僕は、そんな彼女の態度に拍子抜けしてしまった。


小さなテーブルに運ばれた紅茶を口に含む。


そしてゆっくりと話し始める。

No.33



「どうか、僕を許さないで。
一生憎んで欲しい。」


すると、彼女は首を横に振った。


「ずるいのは私です。先生の弱さに漬け込んで…ああなる事を望んだんですよ。」


「…え?」


「先生の事、ずっと好きでした。」


―僕は困惑した。


「ずっと…って?
君が赴任した時から?」


更に彼女はフルフルと首を振る。


「大学の研究室にあった先生の論文や研究記録を見ました。こんな凄い人がいるんだ…なんて憧れました。学校に入ったのは、先生の元で学べると思ったからです。会ってしまったら、好きな気持ちが膨れてしまって…でも、先生には家庭があるから諦めようとしました。
幸い、先生は私が嫌いでしたでしょ?
諦められると思ってました。」


僕は、彼女の告白に戸惑っていた。


「…それでも、僕のした事は許される事じゃない。」


「それなら、私も同罪です。」


「違う…そうじゃないんだ…あの日…本当は…っ」


僕の固く震えた拳に彼女が手を添えて言った。


「良いんです。
言わないで…、愛されていない事も分かってます。
あの日、私達の間には何も生まれていない。
だから、何もなかったのと同じです。
先生は、奥さんの所へ帰ってちゃんと幸せになる方法を二人で見つけ出して下さい。」

No.34



彼女の言葉に目が覚めた様な気がした。

彼女のアパートを出て僕はそのまま、自宅へと戻った。



僕等にとって長く険しい道が…ここから始まる。

No.35



たった数日なのに家が見えてくると、もの凄く懐かしく思えた。


高校教師が一生かけても建てられそうにないこの家を用意してくれたのも教授だ。


「僕の物なんて元々、何一つ無いじゃないか…。」


虚しさからポツリと呟く。

カギを取り出そうとポケットを探る。


すると、カチャリとドアが開いた。


しわくちゃの白いシャツを着たアイツだった…。


皮肉な笑みを浮かべる男。


「孝之……!」


「まぁ、入れよ。
自分家だろ?」


殴りつけたい衝動を抑えて僕は中へと入った。


まず、室内の荒れ果てた光景に驚愕した。


もはや絶句だ…。


リビングの床に、スリップ一枚でペタリと座り込む清美を見つける。


「お前が出て行った後、大変だったんだぜ?」


背後から孝之が言った。


「…は?」


「は?じゃねぇよ…言い訳も聞かず、泥だらけの血だらけでフラフラ出て行ったまま携帯にもでねぇ。
あいつ(清美)その後、暴れて酒浸りでさ。そんなん放って俺も帰れねーしよ。」


僕は、清美にそっと寄って落ちていたガウンを彼女の肩に掛けた。


酷く顔色が悪いが、怒りに満ちた彼女の顔にゾッとした。

No.36



彼女はガウンをそのまま僕へと投げつけた。


「~なんで!!
どうして何も言ってくれないのっ!!」

「…清美?」


「どうして怒ったり、罵倒したりしてくれないのっ…!!
あなたは…私を愛してないの…?」


取り乱して彼女は僕の胸元を掴みとった。


その衝撃で、Yシャツのボタンがはじけ飛んだ。


叫び泣く彼女を胸に受け止めて、僕は言う。


「…僕は、家を出るよ。
君を愛していたから…だから、君の裏切りを許せない。」


顔を上げた清美の瞳は子どもの様に澄んでいた。


ただ…僕を見つめる大きな瞳。


「別れよう。」


そのまま僕は、ゆっくりと彼女の身体を離して寝室へと向かった。

No.37



クローゼットを開けて、旅行用のボストンバックに荷物を詰める。


ふと、窓辺に目を向けた。


窓から見える桜の木。


結婚祝いにと教授がわざわざ、京都から持って来て移植してくれた立派な大木だ。

「流石にあれは持って行けないか…。」

苦笑いを浮かべる。

「吉宗、本気か?」

名前を呼ばれて我に帰る。



「離婚なんてしたら、教授が黙ってないぞ?」


腕組みをしながら孝之は壁に寄りかかった。


「…いつから?」


僕は静かに問いかけた。


孝之は質問の意味を察した様に答える。

「お前らが結婚するずーっと前から。」

本当はもう分かっていた。


清美の身体を、僕よりも慣れた手付きで抱いていたあの光景―。


あんな風に、快楽に溺れる彼女を僕は知らない。


今なら分かる。

なぜ、僕らに子どもが出来なかったのか…。


君は、最善の注意を払っていたんだ。


確かに、父親がどちらか分からない子どもは産めないよな…。


ドレッサーの引き出しを開けて化粧ポーチを探る。


予想通り…小さな処方袋と、知った名前の薬を見つける。

No.38



僕は、深い溜め息を吐いて引き出しを閉める。


孝之の前を通り過ぎ、ボストンバックを手に持つと階段を下りる。


玄関先には清美が立っていた。


僕は、息を整えて彼女に最後の質問をする。


ずっと、聞きたかった事だ。


「なぜ、僕と結婚したんだ?」


彼女は、フッと小さな笑みを浮かべる。

「だって、あなたは父のお気に入りだったから。」


僕は無言で小さく頷いた。


「そうか…。」


「何よ?」


「いゃ…、君は最初から僕を愛してなんかいなかったんだね。」


一瞬、彼女の瞼が揺れた。


「…でも、感謝はしているわ。
あなたは、父の呪縛から私を救い出してくれた。
父も研究も大嫌いよ!あなたなら…何も疑わずに私を受け入れてくれると思ってた。」


彼女が、父である教授を嫌っていたなど微塵も思っていなかった。



昔から僕はこの親子を見てきたけれど、寧ろ親子関係は良好に見えた。


だから彼女の告白は、どこか信じがたい。


でも、理由はどうであれ彼女が僕を利用したのは事実。


今更、そんな事実を突きつけられても僕は痛みを感じなかった。


正確にはもう…痛みに慣れてしまって何も感じなかったんだ。

No.39

面白く引き込まれる、とても上手な文章に更新楽しみにしております。
頑張って下さい。

No.40

>> 39 ゆめさん、ありがとうございます😊
読んで頂けて嬉しいです✨
更新がんばろう✌🎵

No.41

⚠次のページから本編になります🙇

No.42



僕は今一度、玄関先から家の中を見渡した。


10年だ…そんな長い月日を此処で清美と共に過ごしてきた。

平凡な生活だが、その日々は幸せだった。


もう二度と戻る事はない。


…急に喉や目頭が熱くなる。


いけない…早く立ち去ろう。


「離婚届は後で送る…僕の荷物は処分してくれて構わないから…。」


震えた声だったかも知れない。


「分かったわ…。」

溜め息と一緒に清美が応える。


「教授にもお詫びをしに行くよ。」


清美は首を振るった。


「父には、落ち着いたら私から言っておくわ…。」


僕は少しホッとした。


「そうか、すまない。でも…助かるよ。」


心なしか、重たいドアを開く。


すると、夏の生暖かい風がまとわりつく。


僕は、振り返らずにそのまま歩いた。


汗ばむ身体と頬を伝う涙が気持ち悪い。


誰にも会うまいと、足早にホテルへと向かう。


明日からは忙しい。

やる事は、山積みの筈だ…。

No.43


―パタリ…と静かに閉ざされたドアの向こう側で、清美は静かに涙を流した。


「これで良かったのか?」


彼女に歩み寄りながら、孝之は言う。


「…あの人は戻って来るわ。」


キリリと強い眼差しで、清美は孝之を見る。


「お前も不器用だな…素直にさ、吉宗に縋れば良かったじゃん。」


「嫌よ。」


流れる涙を拭いながら、清美は強い口調で言った。


「私が縋らなくても、吉宗は自分から戻って来るもの。
必ず…だから…っ。」


清美は孝之を見上げ、そっと指先で彼の唇をなぞる…。


「―だから?」


孝之もまた、彼女の腰に大きな腕を回した。



「絶対に離婚なんてしないわ。」


そう言葉を放った二人は、激しく互いの唇を合わせた。

No.44


家を出てからの僕は、予想通りの忙しさを味わっていた。


学校が終わると、直ぐに不動産屋巡りをする。


3件目の不動産屋で、小世帯向きのマンションを借りた。


久々の一人暮らしはそこそこ快適だったが、毎晩夜遅くまで学校に残っている為、洗濯物が間に合い事も多々あった。



食事もインスタントや、コンビニ弁当ばかりになった。


いつも清美が僕の身の回り事をしてくれた事に、今更ながら 頭の下がる思いがした。


「…自炊くらいしないとな。」



誰も居ない部屋にポツリと呟く。


カップラーメンに湯を注いで3分待つ間に、(金魚でも飼おうか…)などと思うのだ。



部屋の時計は午前1時を指している。


僕は、役所から受け取って書いた離婚届に捺印を押す。


すっかりキツくなった指輪を無理やり外すと、それと一緒に封筒に入れた。


そして、何事も無かったかの様に麺を啜るのだ。


「…旨い。」


田舎の両親には、また明日にでも連絡しよう。


きっと、落胆させてしまうのだろうな…。


年老いた二人の事を想うと心がチクリと痛む。



「もう、37だぞ?」

40手前の息子を未だに、心配しなくてはならないなんて気の毒過ぎる。



情けなくて、我ながら嫌になった。

No.45


翌朝、学校へ向かう途中のポストに例の封筒を投函した。


カタンと軽い音をたてて落ちていく。


「呆気ないもんだな。」


僕は、肩の力を落として先の道を急いだ。



サンサンと照りつける太陽が憎らしい。


元気な蝉の声に、入道雲。


もうすぐやってくる夏休みに浮き足立つ、若い生徒達。



何もかもが眩しくて 妬ましい。


「夏期講習のスケジュールびっしり立てて、遊ぶ時間もなくしてやる。」



笑顔溢れる若者に対して、こんな意地の悪い考えを思い立つ。



「今に見てろ!」


大人気ないが、仕方ない。


これは、生徒の為だ。

No.46



「こんなにタイトなスケジュール組んで大丈夫なんですか? 化学式と、実験教室…。準備だけでも相当、大変ですよ?」


早速、僕の地獄プランを篠崎君に見せた。


彼女とは、あの一件が嘘だったかの様に以前の僕らに戻っていた。


「夏休み返上作戦!(笑)」



こんな冗談も言って、笑える様にもなった。


ガラにもなく、おちゃらける僕を見て彼女も笑う。



―変化は確実にあった。


僕は、彼女のそんな顔を見つめる。


そして思う…。


愛おしいと…。



ずっと、そう微笑んでいて欲しい。


彼女の柔らかく、そして優しい笑顔に僕は満たされていた。


君の、その細く美しい髪に触れたい。



華奢な腕を引っ張って抱き寄せたい。


こんな事を思うのだ。


しかし、僕にそんな資格などない。


だから、ずっと心にカギを掛けて閉まっておこう。


初めて抱いた、淡い恋心だ…―。

No.47


ふと彼女と目が合った。


僕は慌てて、視線を逸らす。



「先生?

やっぱり、一人じゃこれの準備大変ですよ。」


「え?」


一人… ?


その瞬間、僕は大切な事を思い出した。


「あっ!そうだ…篠崎君、夏休みは大学に戻るのか!」


「忘れてました…?」


あぁ…そうか、そうだ、しまった。


しかしもう、校長にはプランを通してしまったし…。


しかも、やる気を見せて喜ばせてしまった。そんな今更、断れないよな…。


「参った~…。」


頭を抱えて、うなだれる。
そんな僕を見かねた彼女が、思い立つ様に言った。

「よし!じゃあプリントは全部、私が大学で作って来ます!」


「いや、それはダメだよ!
君だってやらなきゃいけない課題があるんだろ?
僕のミスなんだし、自分で何とかするよ。」


すると、彼女は拳を胸にポンと当てて言う。


「大丈夫!

私、優秀ですから(笑)その代わり、夜遅くまで研究室に缶詰め状態だから先生が大学まで取りに来て下さい。」



彼女が天使に見えた。


「勿論、僕が取りに行くよ!…ありがとう!」


一命を取り留めた気分だ。

No.48



それでも、なるべく彼女に負担をかけない様にと、着々と準備を進めていった。

終業式の夕方、職員の打ち上げの飲み会に参加する為、僕らは急いで資料を片付けていた。



間もなく、いつも陽気な体育教師が僕達を迎えに来た。


一班と二班組に別れて、駅の反対側にある少し離れた繁華街へと向かう。


その間中にも体育教師が、彼女に対して「彼氏はいるの?」だとか
「初めて異性と付き合ったのは幾つの時?」
などと下らない質問を繰り返していた。

挙げ句、「俺なんかどうかな?」なんて言い寄る。


彼女はそんな体育教師に、茶を濁す様な受け答えばかりで正直、腹が立った。


(ハッキリ「困る」と言って断れば良いじゃないか。)


僕が焼く資格もないのだが、堪らなく嫌だった。


プンスカとふてくされていると、僕の周りが急にザワついた。


立ち止まって周りの様子に目を配ると、

「あれって…西島先生の奥様ですよね…?」


反対車線の通りで、清美が男と腕を組んで歩いているのが見えた。


サングラスを掛けているが、背丈からして相手の男は孝之だと分かった。


「え?なに?なに? うそ、西島先生の奥さん?」


周りがヒソヒソとざわついて、僕は気まずさから身体が動かなくなっていた。



「…っ!

痛い…痛たた!」


重たい空気を打ち破ったのは、腹を抱えてしゃがみ込んだ彼女だった。



驚いて皆が彼女を囲んだ。


僕だけ取り残された。


「西島先生!

すまないが篠崎先生をタクシーで送ってやってくれないか!」


教頭に言われて僕も急いで彼女の元へ走り寄った。


「どうした!?」


顔を歪ませて、腹痛を討ったえる彼女を支えて僕は大通りに出た。


タクシーを捕まえ彼女を先に座らせ、心配そうな表情の皆に挨拶を済ませると急いで一緒に乗り込んだ。

No.49



「運転手さん、近くの病院行ってくれ!」


そう言うと、彼女は僕の腕を取ってペロリと舌を出した。


呆気に取られた僕をよそに、運転手に向かって飄々と

「葛西に向かって下さい。」


そう言った。


「お腹痛いんじゃないの…?」


驚く僕に、彼女は気まずそうな顔をした。


そして僕は、彼女が芝居を打った理由に気がついた。


「皆の注意を僕から自分の方に引いたんだな。」


僕のムスっとした態度に、彼女はしょんぼりと肩を落とした。


「ごめんなさい…。」



ああ…神様、このまま彼女を連れ去りたい。


こんな仕打ち、あまりに残酷じゃないか。




無言の僕達を乗せてタクシーは走る。



夕暮れの薄暗い道をひたすら…―。

No.50

ただ広い場所に、巨大な観覧車が立ち尽くす。


まるで、そこに取り残されたみたいに。


その姿を圧巻だと感じるのか、寂し気だと感じるのか…。



僕らは乗客の少ない観覧車に乗って空中散歩をしていた。


観覧車なんて小学生以来だ。


「凄い!街が米粒みたいに見えますよ!」


彼女はハシャいで、ドア付近にへばり付きながら外を眺める。


「まるで、子どもだな。」


思えば、彼女とは一回り近く歳が離れているのだ。



僕がそう思うのは当然だった。


「だって私、観覧車とか初めてだし…。」


「ええ~?!マジ?」


僕が驚くと彼女は笑って答えた。


「マジ♪」


そのイタズラっぽい笑顔が岡田と重なる。


やっぱり…姉弟だな。


「遊園地とかってさ、初デートとか、グループデートみたいなので行かなかった?」


言った後で後悔した。


(グループデートって古いか…。)


世代の違いが…。


「ないですよ。

そもそも、デートってした事ないです。」


「えぇーーっ?!」

更に、驚愕な答えが返ってきた。


そして、僕の中である疑惑が湧いた。


指先が冷たくなっていく。


確信に振れたくないのに、僕はそれを確認しなければならない。


知らなくてはいけない事実だとしたら…余計だ。

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