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2011/01/07 10:02(更新日時)

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No.1500325 (スレ作成日時)

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No.1

お話(’_’)?

No.2

どうしました?

No.3

ついに可決された

まちにまった法案が可決された

No.4

(これで僕は救われるんだ)

No.5

(いや 僕だけじゃない 何万人もの人が救われるんだ )

No.6

いつもうつむいて家路を急ぐ大嫌いなこの街を今夜ばかりは堂々と歩く自分がいる

遠回りして賑やかな繁華街を通り普段の倍の時間をかけ帰宅した

No.7

その日の夜はなかなか寝付けなかった
それもそのはず
可決されたあの法案は来月にも施行されるといいうのだ 異例の早さだ

テレビも急遽特別番組を組み
このことを伝えている

No.8

電話が鳴る
いつもなら出ない電話に出る

「 どうしたの ?」
「 なにを?」
「 電話に出るからびっくりした…」

 明日会う約束をして電話を切る

No.9

明け方になっても特別番組は続いている
僕も一睡もしなかったがそのまま約束の喫茶店へ向かった


朝6時からオープンしているこの喫茶店はこの街で僕がなんの気兼ねもなく入ることのできる唯一の店

ふたり分の厚切りトーストとコーヒーが運ばれてきたのと同時に彼女が到着

「グッドタイミングね」

2年ぶりの再会だった

No.10

カウンターの常連客達は新聞をひろげ新法案可決の話題でもちきりだ
「マスターどうよ この新法」 客のひとりがたずねた
マスターは少し悲しそうな顔をして口は開かなかった

No.11

「カウンターのお客さん 盛り上がってるね なにがあったんだろう」

僕は関心がないふりをして話題を変える

「日本にはいつまでいるの?」
「来月にはもどらなくてはいけないんだ」

彼女は東アフリカ各地の僻地で医者として働いている

「いろいろ大変でしょ アフリカって」
抽象的な表現でしか質問できない自分が恥ずかしい

「アフリカで暮らすとね もう日本で暮らせなくなる」
最上級の笑顔で彼女は言った

No.12

「まさか可決されるとはね」

「自分の人生は自分で選べるんだよ 人から指図されるものじゃない そんなこと基本中の基本じゃないか だからこの新法には賛成だよ 」

カウンターの常連客同士の会話だ


一段落したマスターが僕らのテーブルにやってきた
「ハバリ?」マスターが言う

瞬びっくりした顔をして彼女が
「ンズリ サーナ えーマスタースワヒリ語できるんですか」

「あいさつ程度ね」

マスターの笑顔もすてきだった

No.13

彼女のアフリカの話題で話はつきなかった
時々 僕の事も聞かれたが話をアフリカに戻すことに努めた

事実として僕には話せるような話はまったくなかった

空虚な2年を過ごしたこと…
新法成立に誰よりも喜んでいること…

とても彼女にいえる話ではない

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