『私に気づいて…』

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2011/06/20 01:28(更新日時)

24歳の私が書く、初めての小説です。


完全な素人ですので表現力不足などはご了承ください。


フィクションですが、内容に不快を感じる方はスルーしてください。


多くの方々に読んでもらい、いつか読者様による感想スレ立ち上げてくれたら嬉しいな…





🍀プロローグ


2010年12月15日(水)…

午後2時…


こんな時間まで何かをすることもなく、ただ起きているだけの私…


洗濯物は3日に一度くらい。彼氏の作業着は夜中にやる。今日の朝9時くらいに干したけど、終わったらまた布団の中に潜る。


暖房使うと電気代もったいないから布団から抜け出せない。


最近は外に出ない…というより、出れない。出たくない。


いつからだろう…




誰とも会いたくないんだ…

No.1485902 (スレ作成日時)

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No.101

実は…この間の合宿先で……女の子に告白されたんだ。』



『えっ⁉合宿先って…外国人の女の子ってこと⁉💦』


『んまぁそうゆう事🌀💦隠しててゴメンね😅でもちゃんと断ったからね😋⤴』





断るって…当たり前じゃん。




ちょっと不機嫌になった私はもっと詳しく聞きたかった。


『本当にそれだけ⁉なんにもなかったの⁉⁉』


『…。断ったけど……日本に彼女がいるからって。でも、それでもいいから連絡先教えてって言われてさ💦住所だけ教えちゃった😣ゴメンね…。』



あぁ…やっぱり…。




相手は外国人で日本にいなくても、住所を教えてしまった事に苛立ちを感じた。


私はかなり嫉妬してしまった。



…合宿する前日の夜、少しの時間だったが勇太に会いに行ったのだ。

No.102

勇太の部活終わりの、ほんの数十分しか時間はなかったが私は会いに行ったのだ。


時間は8時半くらいだ。私も早く帰らないと母ちゃんに怒られる。



駅の改札口近くで2人は話をした。


『明日から日本からいなくなっちゃうし、ケータイも繋がらないけど安心してね😌✨帰ってきたらすぐに会おう❗約束だよ❤👍』



ほんの一週間の合宿だったが、毎日メールしていた私にとってケータイが繋がらないのはツラすぎる…。



私は何度も泣きそうな表情になった。




もうそろそろ帰らなきゃいけない時間になってきた。



そんなとき、勇太は2人の写メを撮ろうと言ってきた。


この頃、写メ機能が付いてるケータイが普及し始めていた。


駅の階段に2人は腰掛け、顔を寄せ合い、うまく撮れるまで何度もケータイのシャッターを切った。


お気に入りのベストショットが撮れ、お互いの待受画面にした。



『ほら💡これで毎日一緒だょ😄❤』





勇太は私を安心させ、わたしも笑顔になる。



私も笑顔で勇太を見送りたかった。



もうバイバイしなきゃ…。

No.103

この日は帰りの切符を勇太が買ってくれた。その大切な切符で改札口へ進む…。




改札口の横の、腰までの柵があるところ…

私は駅の内側から、勇太は外側から…

2人はその柵越しに手を繋いだ。



それまでこらえていた私の涙が溢れた…。



『勇太…気を付けてね…部活、がんばってね…。

早く帰ってきてね。』



涙でグチャグチャになった私を勇太は優しく抱き締めてくれた…。


柵が2人の邪魔をした。



改札を行き交う人々は、こんな初々しい高校生カップルを微笑ましい眼差しで見ていた。



『俺だって寂しいさ💦でもすぐ帰るから大丈夫だよ😄👍遅くなっちゃうから早く行きな✨電車に乗ったらすぐメールして❤』


『ぅん……勇太…大好きだよ、待ってるからね…。バイバイ…。』


『気を付けて帰れよ⤴👍俺も大好き❤』




涙で勇太の顔がにじんで見えだ。



私は涙を拭いながらホームへ行った…。



……こんなにドラマティックに見送ったのに!勇太ってヤツは❗(笑)



勇太のバカ…

No.104

季節も変わり冬が来る…。


私には悩み事がいくつかあった。





バイトはやりがいがあって楽しかったが、職場では私が一番若かったためか、場の空気に馴染めない…。





学校に行けばギャルと一緒に行動するのが苦痛に感じていた。
ハッキリと自分の主張を言えたらどんなにすっきりしたことだろう…。

もちろん、そんな事言える勇気もない私は愛想笑いしながら耐えていた。

No.105

それと…

試験が近づく頃になると、友達が私のノートを借りていった。

私は教科書や参考書の大切な内容も、自分なりに1つのノートにまとめていた。私にとってノートは財産に値するくらい大切なもの。

それがないと試験勉強できない…やる気がでなかった。


授業中にノートを録らなかった友達は寄って鷹って私のノートを借り回していた。



「イヤだ…貸したくないから無理。」


こんなこと言ったら友達いなくなっちゃうよ…



私は笑顔で自分のノートを貸していた。



ノートが試験前日まで返ってこないときもあった。



…私は勉強したいのに出来なくなっていた…

No.106

家に帰れば、お母さんが口うるさく言うんだ…


『はるかー⤴勉強してる??』


ノックもせずに、いきなりガラッと扉を開けてくる。




言われなくても毎日宿題していた。



内心、うるせぇなぁ…と感じる。



しかしそれがテスト期間になると毎日毎日言われたんだ…。



ノートが手元にない私は、ただ机に座っていた。勉強したくても、する材料がない。




やりたくてもできない【もどかしさ】…



それに母親からの「勉強してる??」の【追い討ち】…




私は…

ただ虚しくなった…。

No.107

家にいれば兄とケンカをした。


高校生にもなってケンカ??と疑問視するが、うちは激しくケンカしていた。



何が原因だったかは忘れてしまうくらい、くだらない理由だっただろう…。



そんな理由でさえも、兄は妹の私に容赦なく殴る。投げ飛ばす。



頭を思いきり壁に叩きつけられたときには、こめかみから血が垂れた…。



ガラスの扉に投げ飛ばされたときにはガラスが割れ、私の頭から全身にその破片が飛び散った。

体内に破片が埋まり、病院に行かなければわからないくらいだった。何日も気づかずに放置してたから後に手術を施したっけ…。




高校生のときはこんなものだったが、成人してからのケンカはさらに度が増した。

No.108

それに、まぁ高校生という年頃の女の子に…お父さんにはまだ小学生扱いされていた。



居間でテレビを見ていた私に、後ろからいきなりギューっと抱きつかれたり…



尻を触られたり…



風呂上がりの裸を見られたり…(故意に見に来ていたのかも)



ここまで綴ったら私のお父さんはただの変態オヤジ。

しかしまさしくその変態オヤジそのものだった。



この時期、私はお父さんに対して「クソオヤジ」と呼んでいた。


お母さんにはそれを訂正するように注意されたが、「クソオヤジ」以外に何て呼べばいいかわからなかった…。


まさにお父さんには「クソオヤジ」がピッタリだった。


※今は「お父さん」と呼んでます!(笑)

No.109

バイト先でも、

学校でも、

家でも…



私は自分の居場所を見失っていた…。


そんな、どこか寂しげな女子高生が当時16歳のわたし…。



すでに大きくなっていた心の穴を埋めに行くかのように、わたしは勇太に会いに行っていた。


勇太にすがっていた。



勇太に会えば寂しさが紛れた。



勇太は私に笑顔や優しさをくれる。



私を癒してくれるのは勇太だけ…。



ただ会うだけで私の心は癒えた。





私のことを理解してくれるのは勇太だけ…


そう信じて疑わなかったんだ。

No.110

しかし、そんな小さな幸せさえも無くなってしまう日が来る…。




私が…

自分から捨ててしまった…。



いま考えたら…

私がワガママなだけだった。
まだまだ子供だった。




ゴメンね…



勇太…。

No.111

今の居心地の悪い状況を勇太に相談したい…


勇太なら私のことわかってくれるはず…


勇太なら解決法を見いだしてくれるかも…



そんな気持ちで私は勇太に打ち明けた…。




『あのね勇太…。

なんか最近バイト先でも学校でも家でも自分の居場所がない気がするんだ…。


学校だと例のあのギャルといるのが嫌になってきてさぁ。

バイト先だと休憩中とか話し相手いないし…。

家に帰ればお母さんには「勉強してる?」って勝手に部屋に入ってくるし。お兄ちゃんとはケンカばっかり…。





『あのさぁ…せっかく2人で会ってるんだからそんな話じゃなくて、もっと楽しいこと話そうよ😞💧』




『………。💦💦そうだよね😅。2人で一緒にいるときくらい楽しみたいもんね💦ゴメンね…。』




(……。勇太…冷たい…。)

No.112

…勇太の口から予想に反する言葉が出てきたんだ…。



勇太ならわかってくれると思っていた…。


そう勘違いしていた私がバカだったね。


貴重な2人の時間にくだらない話しちゃってゴメンね…。



勇太にも相手にされなくなっちゃった…。




私って一体……




どこに居場所があるの…?




勇太と笑顔でバイバイしたものの、私の心にはさらに大きな傷が出来ていた…。




そんな真冬の12月の夜のことだった…。


もうそろそろ期末テストがやってくる。

No.113

いつものように朝は学校へ行き、そのまま帰りはバイトへ向かう…。



未成年の私は夜の10時以降は仕事ができないので、だいたいこの時間に帰る。



この日は自転車乗ってこなかったから徒歩で帰っていた…。



時計を見るとpm10:15。

吐く息が白い。

急いで帰ろう…。



私の足でどんなに急いでも35分はかかる道のりは、駅から離れるにつれて街灯もなくなり人気もなくなっていく…。



暗くて怖い道を下を向いて無心に歩いていた…。

No.114

何個目かの交差点に差し掛かると、右側から一台の白いハイエースが走ってきた。



その運転席側の窓が開き

『ねえねぇ✋いま帰り??寒いでしょ?😄家まで乗せてってくよ💡』


30歳くらいのオッサンだった。



私はそれを無視し、振り切るように小走りになった。


でも…


ハイエースは私にスピードを合わせ低速でついてくる…。

No.115

『よおっ☀寒いだろ??乗せてくよ🌀なんにもしないから大丈夫だって😄✨』




なんにもされないわけないだろ…

と思いながらそのオッサンと目が合ってしまった。



なんでだろう…


見た目は少しイカつい系で全くタイプではなかったが、私はその作業着のオッサンに妙に安心感を覚えた。


私のお父さんも作業着の仕事だったからかな…。


スーツ姿より作業着の方が親近感をもてた。

No.116

『ほら〰寒いだろ??隣乗んな💡』



『すいません…。ありがとうございます。』



ちょっとためらいながらも助手席へ乗らせてもらった。



『家、どっち方面??』


『この道を真っ直ぐです…。』



『…。俺さぁ❗女子高生ナンパしたの初めてだよ❗😁でもこんな遅い時間まで何してたの?』


『駅近くのファミレスでバイトを…。』



『あそこのファミレスか💡そこならよく行くよ😄なんか君の顔、見たことあるかもしんないし(笑)。』



そんな事を言ってると私の家まで近づいてきた。



『あっ…もうここら辺で大丈夫です。ありがとうございます。』



『早かったな🐱まぁ、とりあえずケータイの番号でも交換しない?⤴オレも連絡するかわかんないけど(笑)。』


乗せてもらったお礼とでも。私は番号を交換した。


ただ発信履歴に名前も付けないで残ってるだけ、それがオッサンの番号。



どうせ私からも連絡することはないんだし。

No.117

『そんじゃ、じゃあな❗😄』


『ありがとうございました。』



本当にオッサンはただ私を送ってくれた…


何もせずに…。




優しいオッサンもいるもんだなぁ…。

No.118

期末テストが近づいてくる…。



決まってお母さんが口うるさく言う…

「勉強してる?」

…と。



手元にノートがない私は…


やるせなくなった。




虚しさと悲しさと孤独感が私を襲う…。



それと同時に何かがふっ切れた。



私はコートを羽織り、ブーツを履いて家を飛び出した。

No.119

もう学校もバイトも家族も…

どうでもいい。


ただ逃げ出したかっただけなのかも…。




私はケータイを取り出し、発信履歴にある未登録の番号に電話した。



プルルルー… プルルルー…


(お願い…出て!!)



プルルっ ガチャッ!



『もしもーし?』



『あっもしもし?この間、夜に送ってもらった…』


『あぁ❗君か😄どうした?』


『いまどこにいます?』


『今仕事帰り🌀また送りか?(笑)』


『いえ…ちょっと会いたいなって…。』



『😓💦💦どうしたー?話なら聞くからちょっと待ってろ、すぐ帰る👍』




そろそろ私がいなくなった事に気付いた親から電話がかかってくるだろう…

私はケータイをマナーモードに設定した。

No.120

オッサンは間もなく迎えに来てくれた。



この間と同じ、白いハイエースだった。



『ボロい車でごめんな😄💧』


オッサンは笑いながら謝る。


聞くところによれば会社の車だと言う…。



私はお父さんの仕事車に乗り慣れていたから特にイヤな気にはならなかった。



『まさか君から電話かけてくるなんてさぁ💡夢にも思わなかったよ❗😅ぜったいかかってくるわけないって思ってたし💡』




私はオッサンを呼んだ理由を簡単に話した。




『そっか…。でも明日も学校でしょ⁉大丈夫なの⁉💧ってか俺でいいの?😅』



(俺でいいってゆうか…オッサンしか私を連れ出してくれる人いなかったし。)

No.121

『まっ💡オレも今カミさんと上手くいってないし…』


オッサンの左の薬指に指輪が光っていた。



(既婚者だったんだ…わたし悪いことしちゃったかな…。)




曇る私の表情に気付いたオッサンは

『これからどうする?とりあえず何か食べよっか😄』


『はい。
…なるべく家から遠くに行きたいな…。』



ハイエースは走り出す…




こうして2人の【家出】が始まった。

No.122

適当にご飯を食べたら、けっこう遅い時間だった。



『どっか寝る場所見つけなきゃな…💦

…ラブホでいいかな?😅』



『どこでもいいです…。』



ハイエースが通りかかりのラブホの駐車場へと入る。



部屋に入り、しばらくオッサンと話をした。


カミさんと上手くいってない事や、子供の話を聞かされた。興味のない私は聞き流していた。



途中途中、オッサンのケータイが鳴っていた。


きっと奥さんからなんだろうな…。

No.123

私も自分のケータイに目をやると、数十件もの着歴があった。


(うわ💦……)



これ以上ケータイを見るのが怖くなってバッグにしまった。



かなり夜も更け、丑の時刻になっていた。



アクビが止まらない私に布団へ入りなとオッサンは言う。


オッサンも一緒に布団へ入る…。



オッサンは優しく私の体を触ってきた。



この夜、私とオッサンはカラダの関係を持ってしまった。

No.124

いつの間にか私とオッサンは寝ていた。



気がつくと朝の10:30…

チェックアウトの時間は過ぎていた。



(初めて学校、無断欠席しちゃった…。)


わたしは少し罪悪感を感じていた。



オッサンも起きて、延滞金も払ってホテルを出た。




天気は冬晴れ。



どっかの国道沿いのファミレスでご飯を食べ、あてもなく車を走らせた。



オッサンも仕事を無断欠勤してる身…。



しかも2人が乗ってるこの車は社有車。



『この車…もし警察とかにバレたら捕まるな…。』


オッサンは前を見ながら言った。


仕事をバックれ、会社の車を乗り回しているのだから盗難車になるようなことを言っていた。



ガソリンもなくなりそうだった…。



あいにくオッサンは手持ちの金もなければカードも持ってないらしく、2人の【家出ごっこ】は長くて今日の夜までだった…。

No.125

時間とともに、私もオッサンも次第に無言になっていった。


『なんかゴメンな…連れ回しちゃってさ😞⤵』


オッサンが申し訳なさそうに私に言った。



『学校も休んじゃったし…。なんかオレ人生狂わせちゃったな😅💦ほんとゴメンな…。』



(私がオッサンを誘ったのに…謝るのは私の方だよ…。)



『私が電話で呼んじゃったから、悪いのは私です。奥さんにも子供さんにも、申し訳ないです…。』



『謝るなって😄でもオレ、楽しかったよ✨結婚して初めて浮気したわぁ👍…初めてカミさん以外の女に惚れたよ😌』



『えっ💦』



私は言葉に詰まってしまった。



『もう家に帰りな🌀駅まで送るから💡オレも家帰って〰新しい仕事見つけなきゃ😅』



走っていた一番近くの駅で私は降りた。



『んじゃあ元気でな✨楽しかったよ❗😄』



オッサンの運転するハイエースが去っていった…。



とりあえず、放置していたケータイを取り出し母親に電話した。

No.126

(連絡しなかったからお母さん怒ってるだろうなぁ…。)


しかし電話に出た母親は心配する声色で、優しく「今どこ?」と聞いてきた。



降ろされた駅は家から遠く、いちばん近くに住んでいた親戚が私を迎えに来てくれるように母は連絡網を回してくれた。




迎えに来てくれた親戚の車に乗り、そのまま親戚の家に着いた。



私は何も話さず、親戚の人にも何も聞かれもしなかった。



ただ、なんか疲れていたからすぐにベットで寝てしまった。

No.127

親戚の家で一夜を明かし、翌日母親が迎えに来てくれた。


母親に家出をした理由を聞かれるのは言うまでもないが、わたしは黙りこくったまま視線を下げ表情を曇らせるばかり。これが私にできる精一杯の抵抗…



どうせ理由なんか言ったって伝わりっこない、理解してくれない…毎日一緒に住んでる家族が私の微細な変化に気づいてくれなかった。それがイヤでイヤでたまらなかった。



でも、聞かれても答えない私もバカだよね…


答えないってゆうか、言えない…



言葉が上手く口から出てこないんだよね。


今でも変わらずそうなんだけどさ💧

No.128

母親にはサラッと家出の理由を伝え、しばらく学校には行きたくない意思を伝えた。


学校でのギャルとの一件は母親も理解してくれた。


試験間際に私のノートを借りに来る友達がいることも母親に伝えた。母親は意外にもそれを自分のことのように受け止め、遺憾の意を示していた。




これで私は第2学期末テストを受けなかった。



きっと留年だ。


ギャルみたいに…。

No.129

勇太…


わたしの相談に乗ってくれなかった勇太。


それでも勇太への好きな気持ちは変わらないままだった。



しかし家出を境に、会いに行くことはなくなった。



メールはしていたが漠然に少なくなった。



私が家出したとき、母親が勇太に連絡を入れたみたいで勇太もかなり心配したらしい…。



私はどこまで人騒がせなんだろう…



勇太からはたくさんメールが来るのだが、それに返信していく気持ちの余裕がなくなってしまった。



わたしからメールをしなくなっていった…




このとき、どれだけ勇太は心配しただろう…



勇太からの会いたいって言葉にも拒絶してしまった私って…

No.130

学校にも行かず、勇太とも疎遠になり、年暮れになる。


あっけなく新年になり、正月モードも消えつつあった1月6日のこと…



今でもこの日のことはよく覚えている。



1月6日の朝…

まだ布団の中にいた私はふとケータイに手をのばす。


なんか暇だしつまんなかったから、当時流行りの出会い系サイトを興味本意で初めて覗いてみた。



私は何を考えていたのだろうか…



〔16歳・女。車持ちの男性いませんか?〕


こんな内容を掲示板に載せた。

No.131

その掲示板には自分の写メなど載せるシステムがなかったが、すぐに何通も返信が来た。



その中で一番近くに住んでいた男性にメールを返した。

〔165/60、21歳、○○市住みで車あるよ〕



なんのためらいも無く、私はすぐにこの人と会う約束をした。



メイクや着替えを済まし、バックには化粧ポーチ、ミラー、鍵、財布だけを詰めam11:00には家を飛び出した。




ちょっと遊んだら帰るつもりだ。


財布には350円程度しか入ってないし…。


前回の家出を期にバイトも辞めちゃったしね。

No.132

その男性はわたしの家の本当にすぐ近所まで迎えに来てくれた。


道に詳しい人やわね-って感じた。


お互い顔は分からなかったが、こんな正月すぎの昼前で人通りの少ない道を若い女の子が一人…男性が運転する車はそんな私に気付いて停まってくれた。



白いセダンの車…その助手席のドアを開け、


『あっどうも-はじめまして。迎えに来てくれてありがとうございます。』


と挨拶しながら運転席の男性に目をやった。



肌が白く、キリッとした二重だが優しい顔…しかしどこか寂しげな表情をしていた。


あっ…足、短っ!💦


第一印象は正直こんなもんだった。



私も低身長で足は短いが、勇太に比べたらその長さの違いは一目瞭然だった。

No.133

運転席に座る、その男性の足の付け根から膝までの長さの短かさもスゲ-と感じたが、それよりファッションセンスの無さも強烈だった。



白いアルファベットのロゴ入りの青いトレーナー?的な上着に、白っぽいキャップ、UNI●LOに売ってそうなジーパン…


白っぽいキャップの下から覗かせるのは短髪の金髪…(笑)



突っ込みどころ満載っww


でも初対面だし、そこにはまだ触れないでおこう…。

No.134

『どこ行こっか⤴なんか行きたい場所とかある?』



『うーん………』



『んじゃぁゲーセンでもいい?』



『はい。。。』




ゲーセンまでの道中は40分くらいかかったが、男性は物静かで口数の少ない人だった。


マルメンライトのロングを吸っていた。



お互いの名前は教え合ったが、特に深入りする話しはなく私はウィンドウからの流れる景色を見ていた。



着いた先は【大●園】。

千葉の○川市ではそこそこ有名だと思う。



しかし初めて行った私にとっては印象的なゲーセンだった。



なにより広い。



こんなゲーセン、来たことなかった。

No.135

ただのアミューズメントパークなのだが、気分は高潮した。



山盛りになってるUFOキャッチャー。アームが触れただけで落ちてしまいそうな景品の山…。


UFOキャッチャーの設置台数の多いこと…見渡す限りUFOキャッチャー。店内にも店外にも。景品の品揃えも豊富だ。


屋外にはバッティングやカラオケ、ビリヤードもあり、ヘリや数台のスーパーカーも展示されていた。



別館?にはゴーカートが鳴り響く音とガソリンが燃焼する匂いがあふれていた。


そしてバラエティーに富んだパチンコ、スロット台も数多く並んでいた。



見ているだけで私の心は踊った。

No.136

男性が教えてくれた名は【真治】。



しかし名前で呼ぶのはまだ気恥ずかしい…。



「あの…」

と、彼の袖を引っ張り、気になるUFOキャッチャーを指差して夢中になって遊んだ。


真治はゲーセンが好きなように感じた。


私が指差すUFOキャッチャーの景品を楽しそうにかつ真剣に取ってくれた。

景品が下の取り出し口に見事に落下すると、満面の笑みを浮かべていた。



口数の少ない真治であったが、一緒にいてとても気が楽だった。

No.137

あっと言う間に時間は流れ、夕御飯もファミレスでご馳走してもらった。



『このあとどうする?家へ帰る?』


真治に聞かれるが、私は家に帰りたくなかった。まだまだ遊びたかった。


『まだ帰りたくない…。』


そう伝え、車はまた走り出す。


『今日どうするの?俺んちで寝る?』



『っ⁉💦……迷惑…ですよね?😅』


『オレは大丈夫だけど、君は大丈夫なの?学校とかあるんじゃない?』



『んまぁ…あるけど…帰りたくないってゆうか…。』


私は家に帰りたくなかった。また家出したい気持ちが込み上げてきた。



家にいても、どうせ自分の居場所なんてない…そう思い込んでしまっていた。



私は真治に家に帰りたくない理由を少し話した。


学校での話や、彼氏の勇太のことも話した。



そんな私に真治は

『そっか…。でも君の好きにしたらいいと思うよ。学校に行きたくないンなら行かなくていいと思う。家に帰りたくないんなら帰んなくてもいいと思う。でも親御さんが心配するだろうから連絡くらいは入れた方がいいよ。』



真治…


好きになってしまいそう…

No.138

今まで私は人の言われるがままに従ってきた。


親にレールのひかれた道をひたすら進み、学校ではギャルに気を遣い、勇太にも少しだけ気を遣うようになっていた…。



しかし、目の前にいる真治は私に【自由】を与えてくれた…。


〔自分の好きなようにすればいい…〕


この言葉がどれだけ私を救ってくれたろう…。



とても気分が楽になれた。


そんな新鮮な言葉をかけてくれて、自分に新しい道ができたように思えた。



勇太に相談したときは解決できなかったことが、真治は一瞬で私を悩みから解放してくれた…そんな錯覚に陥ってしまったのだろうか…。


真治についていきたい、そう思った。

No.139

しばらく家には帰らない…そう決めた。



しかし親に連絡はしたほうがいいって真治にアドバイスされたが、わたしは連絡しなかった。


完全に親とシャットアウトしたかった…。




ほどなくして車はアパートの駐車場に着いた。



(ここが真治の家かぁ…)



2階までで、4世帯しか入居できない小規模なアパートだ。


外階段を上がり、2階の部屋に向かう。



「お邪魔します…」


他所様の家にあがるときは靴を揃えて…っと♪



中に入ると比較的新しい雰囲気だった。



3DKくらいかな?

No.140

テレビとコタツと布団がある部屋に入ると、そこは男の一人暮らしらしい生活観溢れる部屋だった。



でも壁には画ビョウでぶら下げたぬいぐるみがたくさん飾ってあった。きっとゲーセンで捕ったやつだろう。


少しゴチャっとした部屋だったが、あまり汚くなかった。



「座りな。」


と言われたが、座る場所がわからなくてしばらく挙動不審になっていた。(笑)



真治は無心にテレビをつけ、2人で深夜番組を見入っていた。



「本当に家に帰らなくて大丈夫なの?」



「帰るのイヤだし…。」



「まぁ自分の好きなようにしな。でも後悔はしないように。」



こんなことを言ってくれる真治にますます心を許してしまった。

No.141

2人とも無言のままテレビに目をやっていた。


いい加減、眠たくなってくる…。



真治は一人、布団に潜った。




『……おいで。』



そう言われて私も布団に入る。



シングルサイズの狭い敷き布団は2人を自然と密着させた…。

No.142

『すきだよ…』



真治が小声で囁き、かるくキスされた…。



わたしの服に真治の手がかかり、するすると脱がされた。



…わたしは拒まなかった。



そのあとは真治に身を委ねた…。




寒い冬の夜だった…。





(勇太には別れを告げよう…)


そう決断した夜でもあった…。

No.143

翌朝ケータイを見ると、ものすごい着信件数があった。



すべて母親や親戚の類いの履歴だ。



わたしはそれを無視し、勇太にメールを作成した。


ただ〔別れたい…〕という一方的な文章を作った。



途中途中で何回か母親から着信があったから、それに出ないように気を付けながらメールを作った。



勇太にメールを送り終え、少し後ろめたさはあったがその反面スッキリした気持ちにもなれた。




…いつまで真治との生活が続けられるのだろう…



そんな不安が生まれつつあった…。

No.144

勇太にメールを送った、家出2日目…


わたしと真治はまた遊びに出掛けた。



一緒にいるだけで楽しかった。



常に誰かがとなりにいてくれるだけで嬉しかった。



わたし…寂しかっただけなのかな…。




真治は私をいろんな場所へ連れてってくれた。



時間が経つのが惜しいくらいだった。

No.145

家出3日目…



相変わらず私たちは遊びまくっていた。



まだ私が行ったことのない場所へ真治は連れてってくれる。



車持ちの人っていいなぁって感じた。




この日、わたしと真治は恋人同士になった。

1月8日のことだった。





夜アパートへ帰り、眠りに就こうとするとパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。



私はその音に怯えていた。


きっと捜索願が出され、警察が私を探しているんだろう…



もし見つかったら私は保護され自宅へ帰される、真治は未成年をかくまったとして連行されてしまうのではないか…そんな不安ばかり募った。




真治の【親には連絡したほうがいい】という意見を聞き流してしまったせいだ。


きっとこうなることは解ってはいたが親に連絡するなんてゼッタイにイヤだった。


ケータイには着信履歴が増えるばかりだった…。

No.146

家出4日目…



『そろそろ自炊しなきゃヤバいかも。』



そう真治がつぶやく。



そりゃそうだ。

何日も遊び三昧、ご飯もすべて外で食べていれば金なんてすぐなくなる。



『そろそろ仕事しなきゃな…。』




そういえば今まで不思議に思わなかったが、真治は常に私と遊んでいて仕事なんてしてるようには思わなかった。


でも…仕事してないなんてあり得ない。



『明日は仕事行ってくる。』



…いったい真治は何の仕事をしてるのか全くわからなかった。



しかし私はそんなことどうでもよかった。興味ないし。



この日の夕飯は2人でキッチンに立ち、スパゲッティを作った。



一緒に食べ終わったら、後片付けも2人でやった。



なんでも2人でやるのが楽しくて嬉しかった。


いつでもどんなときでも、真治と一緒にやった。



すでに風呂も一緒に入っていた。



家出だったから着替えも用意してなかったが、パンツは真治のトランクスを借りていた(笑)



寝るときは真治のスウェットを着ていた。


身長の大きくない真治だったから、借りたものはちょうどよく着れた。

No.147

家出5日目…



『仕事行ってくるね。』



真治を玄関のドアで見送りバイバイした。


今日は真治に渡されたお金で近所のスーパーへ行き、食材を買ってきてと頼まれた。



真治のボロいチャリンコをこいでスーパーに行き、渡された2000円で何を買うか試行錯誤していた。




(苺ってこんなに高いんだぁ。)


なんて思いながら青果コーナーや精肉コーナーをうろうろしていたのだが、他の買い物客のおばさんの視線が冷たく私に向けられていた。




まぁね…高校生っぽい子が一人で昼からスーパーで買い物してたらおかしいもんね…。

No.148

自分なりに飯の材料をチョイスし、レジで会計を済ましたときにびっくりした。



自分の中では計1500円のハズだったが、なぜか1900円も請求されてしまった。



レシートをよく見たら、ウィンナーのシャウ●ッセンが600円くらいしていた。



(あれ…シャウ●ッセンなんてカゴに入れた記憶ないけど…💧)



その代わり、入れたと思っていた激安のウィンナーがなかったのだ。



(うわー💦間違って隣に並んでたシャウ●ッセン入れちゃってたんだ😱)



バカなわたしだ…。



まだまだ小心者の私は、いま買ったばかりのものを返品する度胸もなくそのまま帰ったのだ。

No.149

真治は夕方には帰ってきてくれた。



今まで常に真治と一緒にいたから仕事から帰ってくるのが待ち遠しかった。





『寂しかった?』



『メッチャ寂しかった。仕事行かないでほしい。』



…そんな私の一言で真治が仕事を怠ってしまうなんて……このときは思うはずなかった。



夕飯はもちろん、2人で協力して作った。




冷蔵庫にシャウ●ッセンがあることに真治が気づいた。


『シャウ●ッセン、高かったんじゃないの?💧』


『ごめんなさい…隣の安いウィンナーと間違って買っちゃった😅』


『バカじゃん⤴😄』



こんな他愛のない会話が弾んだ。



ただただ、楽しかった。

No.150

家出6日目…



真治は仕事に行かなかった。


私が寂しいと言ったせいだろうか…。



でもこのときは仕事も行かずに私のそばにいてくれる事の方が嬉しく思えた。



だから仕事に行かなくても心配などしなかった。



この日は真治はバイクに乗せてくれた。


アパートの駐車場にシートの被ったバイクが放置されていたが、真治のバイクだったようだ。

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