エレベーター

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No.666( ♂ DdUN )
11/10/06 00:06(更新日時)

グダグダになるかもしれませんが読んでいただけたら幸いです😥

No.1426248 10/09/21 23:22(スレ作成日時)

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No.101 10/12/24 01:56
No.666 ( ♂ DdUN )

    ―4章―
  【夢現を塞ぐ者】

足を掴まれたまま闇に引きずり込まれた。
肉体では無く、精神を身体から引き剥がされた

暗黒の底無し沼に自由を奪われ、抵抗するのだが這い上がれない

周りの泥は人間の憎しみや悲しみや恐怖の感情が渦巻き、地獄で飢えとのどの渇きで苦しむ餓鬼のような声が聞こえた

そんな悲痛な叫びを繰り返す者達に足を掴まれた

(夢現にとりこまれるなんて嫌だ!こんなところで死にたくない!)

声は出せず心で叫び続けていた

エレベーターに残った肉体は魂を失い、狂女のように建物を徘徊する屍になる…そんな最悪の結末が頭をよぎった

No.102 10/12/27 22:04
No.666 ( ♂ DdUN )

「ゲホッゲホッ」

茜は激しい息苦しさで胸をグッと掴む。目を開けるとエレベーターの中にいた。

しかし…様子がおかしい
電気が通っているのかエレベーター内は明るく、血で満たされていた床はゴミひとつ落ちていない綺麗なカーペットに変わっていた。

「眩しい…」

長く暗いトンネルを抜け、一瞬にして陽の光を浴びた時のように目がくらんだ。

「管理人さんが電気をつけてくれたのかな…」

座り込んだまま動けずに混乱していると目の前のドアが滑らかに開いた。
「……開いた」

狐にでも騙されているのではないかと自分の目をこする。

No.103 10/12/29 01:10
No.666 ( ♂ DdUN )

茜は幻覚を潰そうとギュッと目をつむり首を振る
(管理人なんていない…ありえない…遺書を残し、自ら命を絶っているはずだ…)

警戒しながらエレベーターを出た。驚くことに通路には女性が1人立っているではないか…こちらに背を向けて立ち尽くしている

周囲が明るく建物内がよく見える安心感だろうか、それとも、普通の一般人に出会えたという救われた気持ちになったのだろうか、その女性に近づき声をかけた

「あ…あの…」

聞こえていないのか全く反応がない。

「あの!すみません」

手入れのされていない傷んだ黒髪、不規則に波打つような模様の黒と茶色のロングコートを着た女性は、ゆっくりとこちらを向いた

虚ろな表情で茜を見る…というよりも、その先にあるエレベーターを見つめているように思え、目の前にいる茜が見えていない…そんな感覚を抱かせる

No.104 10/12/29 01:17
No.666 ( ♂ DdUN )

よく見ると猫背で微妙に肩が上下している。ぶつぶつと聞き取れないほどの声で何かを呟く仕草から狂女だと悟った。


醜い化け物になる前の姿

茜は時間を遡ったか、はたまた建物に記憶された映像なのか、強い思念が茜に過去を見せているのか…混乱し、震えたまま後ずさる。

やがて後方でエレベーターが開き、中年の男性が姿をあらわした。

No.105 10/12/29 01:22
No.666 ( ♂ DdUN )

「あ!…」

ツカツカとこちらに歩み寄り、狂女と男性の間に挟まれる形となった

茜が存在しない、見えないような状態で2人の会話が始まった

「あんな大金…何を黙っていろっていうんだ」

「あ…孔を開けた…あいつを…」

「は?あんた…何をするつもりだ?」

困り果てたような男性の表情。大金というフレーズから【遺書を書いた管理人】だと思えた

第三者がいる、管理人がいる、茜は安堵した。2人には見えていない幽霊になった気分で不思議と恐怖感は薄れ、落ち着きを取り戻す

(もしかして大量殺戮が行われる寸前の時期…)

No.106 10/12/31 00:49
No.666 ( ♂ DdUN )

化け物か妖怪だと思っていた狂女は普通の人間だったのだ。何がきっかけで変わってしまったのか見当がつかない

茜は探るように顔を見つめていた

化粧もされておらずシミだらけの肌、鼻は大きく、睡眠不足だろうか…目は充血している

おとぎ話に出てくる悪い魔法使いの老婆、そんな印象を抱く

そして、狂女の額にある傷が妙に気になった。人工的にメスで切開したような痕が残っていたからだ

(なんだろ…あの傷)

No.107 11/01/06 00:13
No.666 ( ♂ DdUN )

通路の壁に備えてあるアンティーク調のランプがパチパチと寿命を迎えようとしていた。

電球を交換しなきゃならないという手間に嫌気がさしたのか、管理人はそれをしばらく見つめてから表情を変えずに狂女に言った。

「面倒な事はだけは起こさないでほしいんですよ…さっき帰った客からクレームがあってね…13階の廊下におばさんが立ちつくしてて気持ち悪かったってさぁ…言われましてね」

「あたしは……大金を払ってるんだ………追い出す気かい?」

管理人を見上げ、睨むように言った。

「………」

管理人は毒蛇でも見るように不快感をあらわにする。
「2日間ここで何をしてるんだ?通路で誰かを待っているのか?」

狂女は無言のまま口角を微妙に上げた。

No.108 11/01/07 20:21
No.666 ( ♂ DdUN )

狂女を見つめながら茜は自分が何をすればいいのか迷った

過去はどうあがいても変わらない、すでに過ぎ去った時間の映像を見ているだけ…

しかし、その場にいるかの様に管理人や狂女に触れる事もできそうな気がした

「私は壊されたんだよ…あの医者に!」

「何を壊されたんだ?」
「あたま!頭だよ!」

感情の高ぶりで呼吸が荒くなり、唇は震えていた。誰かに激しい怒りを抱いているのがわかる

「医者がここに来るのかい?」

「来るさ!来る!」

茜は二人の会話を聞きながら狂女を見つめていた。話し方、仕草、表情は何かに怯えているようにも見えた

No.109 11/01/10 01:13
No.666 ( ♂ DdUN )

その【医者】が何をしたのかは謎だ。殺意がわくほどの事とはいったい…
狂女から染み出る妖気のようなものを感じた。それは憎悪だろうか、側にいるだけでむせてしまいそうになる

(その医者がここに来るのを阻止したい…が…どうやって)

茜はエレベーターの前に行き、何かできないかキョロキョロと周辺を見る
消火器が通路の脇にあるだけだ。落胆し、エレベーターを再び見ると誰かがすでに上がって来ている事に気がついた。

(まさか…来てしまった…)
グングンと階数が上がり、13階で止まった

No.110 11/01/11 22:11
No.666 ( ♂ DdUN )

「ガコン……」

エレベーターの扉が開いた。乗っていたのは男女2人、共に四十代らしき小太りの男性に小太りの女性だ。

一見、普通の夫婦のようにも見えるが女性の方はやけに表情が暗い。落ち込んでいるのか分からないが視線が下を向き、一点を見つめている

視界の端で狂女が動き、殺気を感じると茜はすぐさま叫ぶ

「逃げて!!」


警告は届かず、男性はニタニタと笑みを浮かべていた。その表情は狂女が走り込んでくるのと同時に一瞬でくもった


錆びた包丁が茜の目の前を横切る。

「ぐぁ!」

女性よりも先にエレベーターから出ようとした男は狂女に突進され、押し戻された

「お前は………」

狂女を見ながら苦痛に満ちた表情で呟く

すでに首を斬られ、必死で傷口を押さえる男性の手は血に染まっていた

No.111 11/01/11 23:14
No.666 ( ♂ DdUN )

「ぐぁぁぁぁぁ!」

狂女は獣のような雄叫びをあげる

「あたしの頭に何をしたんだ!!」

青ざめていく医者と思われる男性は微笑した

「知りたきゃ教えてやる……失われた外科手術…ロボトミーを新しい方法で娼婦のお前に試したのさ…ゲホ…ゲホ」

小刻みに震える狂女は男に馬乗りのまま動かない

「前頭葉を切り取り【異界の蟲】をそこに詰め込み、寄生させた……ゲブッ……」

茜の後ろには管理人がいつの間にか立っていた。ショックを受けているのだろうか惨劇を見つめたまま微動だにしない

No.112 11/01/16 21:24
匿名です。 ( 20代 ♂ lJw9nb )

初めまして😄。読ませていただいてます。

毎回ドキドキします。 リアルな感じで。続き楽しみにしてますよ。

  • << 114 はじめまして🌟 きもち悪い小説ですが気長に読んでください🙇アリガトー🙌

No.113 11/01/17 20:59
No.666 ( ♂ DdUN )

「憎しみ……恐れ……孤独…心の歪みが蟲の糧となり宿主と周辺領域に影響を及ぼす……おまえは…異界の扉の鍵としての実験体だ…代美」

不敵な笑みを浮かべた瞬間、狂女(代美)に胸を何度もナイフで深く刺されて医者は絶命した。この復習も蟲のエネルギーとなる

医者の連れの女は座り込み涙を流していた。
「た…助けて…」

代美は躊躇せずに素早い動きで女の腹を刺す。抜かれたナイフからボタボタと血が滴り落ちていた
茜は何もできなかった。犯行を止めることも、声すら出せなかった。

やがて代美の耳や鼻の穴からウネウネと奇妙な蜘蛛に似た蟲が大量に這い出し、エレベーター内を徘徊する

No.114 11/01/17 21:05
No.666 ( ♂ DdUN )

>> 112 初めまして😄。読ませていただいてます。 毎回ドキドキします。 リアルな感じで。続き楽しみにしてますよ。 はじめまして🌟
きもち悪い小説ですが気長に読んでください🙇アリガトー🙌

No.115 11/01/17 22:30
No.666 ( ♂ DdUN )

「まずい…警察が来たらまずい…なんてことを」
管理人は殺人が行われたという事実よりも、警察に知られる事を恐れている。そんな口調で呟いた
「死体を隠さないと…」
ギラリと獣のような鈍い眼光を放ち、代美は管理人を睨んだ

もはや人間らしさを失っていた。飢えた狼が喉を鳴らすように低い声で言った「おまえは…私の元に客をよこせ…」

No.116 11/01/21 00:32
No.666 ( ♂ DdUN )

「ギリ…ギギ…」

奇妙な音が耳元で鳴り、茜は目を覚ました。

「痛………」

足の痛みで自分の身体が透明ではなく、しっかりと存在している事に気がつく


(夢?…エレベーターの床から手が伸びてきて…)

暗闇でほとんど見えない状態のまま身体を起こす

(全ての事が夢であってほしかった…)


肌寒い空気と冷たく硬い床、うっすらと見えるエレベーターの壁を見て落胆する

手で床を探った。

音が気になったのもあるが、床から手が伸びているのではないか?足場はあるのか?穴が空いていて移動したら落ちたりするのではないか?と不安になって床を探った

「ギリ…ギリ…」

(なんなの…この音…)

No.117 11/01/24 22:31
No.666 ( ♂ DdUN )

暗闇で探る床にあったものはジッポライターだった。誰かが落とした物だろうか、指先に当たり即座に拾った

煙草は吸わないが火の点け方は知っている

「シュポ…」

ユラユラと赤みを帯びた光が自分の周りを照らす
エレベーター内には見たこともない生物が蠢いていた。触手が何本も伸びた手の平サイズのカメムシ、6本の鋏を脚代わりに歩くザリガニ、人間の頭蓋骨を殻にしたヤドカリ等々…

失神しそうな精神を必死にこらえる。

「ギギ…ギリ…」

奇妙な音は蟲の鳴き声だったようだ

No.118 11/01/24 23:41
No.666 ( ♂ DdUN )

エレベーターの壁自体が奇妙に動き、まるで生きているかのようだった。
波が起こり凹凸が変形し、人の顔のようになってゆく。
壁一面に大きな顔がはっきりと形作られると目玉がギョロギョロと動き、茜を見つめる

どこか代美の顔に似ていた。悲しみと苦痛に満ちた表情で大口を開けると暗黒の喉がトンネルのように続いていた。

「異界の扉…」

やがて喉から蟲が這い出てきた。黄色い粉末をまぶしたようなウニだ。いかにも毒針を持っていそうな雰囲気である

「嫌だ…」

(どうしろっていうの?おばぁちゃん助けて!)

異界封じの達人である祖母の助言がほしかった。
心臓は張り裂けんばかりにドクドクと胸を打ち、動揺するなと自分に命令し続けた。

No.119 11/01/25 21:18
No.666 ( ♂ DdUN )

「はぁ…はぁ…はぁ」

走ってもいないのに荒い呼吸になる。

祖母の形見の髪留めがバチバチと電気を帯びたように光りだしていた。祈るようにその髪留めをぐっと握りしめる

「うぅ…」
なぜか涙が溢れた。

その途端、拳は放電するかの如く光輝き、強いエネルギーを感じとる

「ひ…光ってる」

その時、背後に気配を感じた。殺気に満ちた危険な気配だった。

振り向こうとした瞬間、首を鷲掴みにされて後方に投げら出された。通路の壁に背中が激突する

「く……ぅ」
髪留めを落とすまいと拳にだけ力を込めて痛みに耐える。

自分の目の前に立っていたのは狂女…代美だった

No.120 11/01/25 21:49
No.666 ( ♂ DdUN )

投げ飛ばされた時に落としたジッポライターは火が消えることなく通路の床を転がった

血塗られたカーペットに燃え移り、代美を朧気に照らす。
気味の悪い笑みを浮かべながらゆっくりと茜に近づく

「おまえが憎い…おまえが憎い……」

もはや代美にとって全ての人間が憎しみの対象となっていた。

「憎しみの果てには破滅しかないのよ…」

戦う覚悟を決めて茜は立ち上がる

No.121 11/01/25 22:33
No.666 ( ♂ DdUN )

格闘などしたことがない茜はブルブルと足が震えた。


(恐怖にのまれたら殺される…)


茜の弱々しい蹴りがヒットするより早く、代美に首根っこを掴まれてしまった。再び壁に叩きつけられ、身動きができなくなる

「くぁ!」

息ができず苦しみながら持ち上げられた。自分の足が宙に浮き、徐々に意識が朦朧としてゆく

(やっぱり駄目だったか…)
自分の無力さを実感し、諦めかけた…



その時!



何者かが代美に体当たりし、茜の拘束が解かれた。一気に床に落ちたが意識が戻る

「茜!!大丈夫か!!」

助けに来てくれたのは結衣だった。涙でその姿はかすれていたが声ですぐに分かったのだった

No.122 11/02/01 22:50
No.666 ( ♂ DdUN )

代美は結衣の体当たりを受けたが倒れることなく、体勢を戻すと猛獣のように息を吐き、無数の皺をよせてニタニタと不気味に笑った

「なんなのよ…こいつ」
格闘家のように半身にかまえて結衣は呟いた

代美や異界について細かく説明している時間はない。代美に狙われ、蟲にも囲まれているのだ

「結衣さん…逃げて」
さっきまで首を絞められていたので声が出難い

「茜!先に逃げなさいよ!!非常階段の扉は開けたから!!」
代美を睨みつけたまま結衣は叫ぶ

多数の人間の血を吸い続けた茶褐色のナイフを手に持ち、代美は結衣に襲いかかった

No.123 11/02/04 21:27
No.666 ( ♂ DdUN )

「ぎぃぃぃぁぁ!!」
代美の奇声が通路に響きわたる

突進してきた代美は結衣の心臓をめがけてナイフを振り下ろした

結衣は攻撃を左の前腕で受け流すが心臓への軌道をずらすだけで精一杯だった。鈍い音と共にナイフが肩に食い込む

「くそ!」

右フックで代美の顔面を殴り反撃する

「グシャ」

頬の皮が一部剥がれ落ち、腐敗したかのような緑色の肉が見えた

肩は真っ赤に染まり、ジンジンと痺れて左腕が動かない

茜は結衣を助けようと凶器を持つ代美の腕を掴もうとした。両手を使用したことで握っていた髪留めを落としてしまったが、なんとか結衣の命を護りたかったのだ

No.124 11/02/06 06:23
No.666 ( ♂ DdUN )

代美の腕を掴むが男のような力で突き飛ばされた

「ククク…」

ナイフから垂れる血を見つめて代美は不気味に笑う

茜と結衣の背後、非常階段への通路は火が勢いを増していた。無造作に棄てられたシーツやゴミにいつの間にか引火していたのだ

尋常ではない痛みに耐え、肩を押さえながら結衣は茜を見つめる

「早くしないと逃げられなくなる…ゲホ…茜…早く!」

煙を吸って言葉がむせる
「逃げたくない!」

茜は目に涙を浮かべて叫んだ。結衣が死ぬのなら自分も死ぬ…心のどこかでそう決めていた

No.125 11/02/06 19:04
No.666 ( ♂ DdUN )

結衣と茜は後退し、エレベーターに乗った。動かないとは分かっていたが逃げ道が火に包まれ、煙で呼吸も苦しい

すがる思いで階下へのボタンを押す

「動いてよ!」
結衣は叫ぶ

背後で異界の口が開いた。巨大な顔に気がついた結衣は驚く

「!」

「異界の扉なの…もう駄目…結衣さんごめんなさい」
ここで二人とも殺される…結衣を巻き込んでしまったことに後悔した

追ってきた代美は容赦なく襲いかかる。

もみ合いになりながら茜は代美を両手でしっかり抱くと暗黒の喉に向かって全力を振り絞った

茜は代美を道ずれに死を覚悟したのだった

No.126 11/02/07 23:21
No.666 ( ♂ DdUN )

二度と戻れないであろう地獄の入り口に代美と共に飛び込むつもりだった…

しかし一瞬、恐怖に怯えた。躊躇したのだ…自分の残りの人生を捨てたくないと。まだ生きたいと願った

代美はその隙を見逃さなかった。茜の両腕をふりほどくと突き飛ばした

完全に茜の体勢は崩れ、異界の口へと倒れかける
「きゃぁぁぁぁぁ!」

絶望を痛感した時、結衣の右手が茜の上着を掴み、紙一重のところで救われた。岩をも持ち上げる結衣の力で茜は強く引き戻されたのだ。通路に放り出されてしまうほどの勢いだった


そして茜が転がるように通路に倒れた時、嫌な音を聞いた



「ザクッ…」



よく見ると結衣の腹部に深々とナイフが刺さっていたのだ。そのナイフを持つ代美は無表情のまま立ち尽くしていた

No.127 11/02/18 00:36
No.666 ( ♂ DdUN )

崩れるように倒れた結衣は動かなくなり、言葉にならない呻き声を発していた。

「うあああああ!!」

茜は自分の鼓膜が裂けんばかりに叫んだ。


結衣は一瞬、茜を見た。その瞳は優しく何かを告げようとしているようにも見えた。

「茜…ごめん…」
そう言われた気がした

最後に大きく息を吐き、そこで結衣は動かなくなってしまった

茜の心は絶望と悲しみで満ち、目の前の光景を現実のものとして受け止めることができない

「全部嘘だ…嘘だ」

ジワジワと茜の精神は憎しみに占領されていった

No.128 11/02/19 23:28
No.666 ( ♂ DdUN )

大切な人を奪われた…。激しい動揺は怒りを誘い、茜の心は闇に染まる

蟲はその感情に反応しているかのように茜の周囲に集まりだした

「ギギ…キチキチ」

代美は襲ってこない
「おまえも……同じ…」そう呟くと寒気がするほど冷淡な笑みを浮かべ、茜を見つめた

カマキリの様な前足を持ったゴキブリが脚にまとわりつく

「うぅ…うぁ!」
懸命に両手で蟲を払い落とす。結衣を助けることもできず、蟲と代美にも弱々しい抵抗しかできない自分を呪った

No.129 11/02/21 21:40
No.666 ( ♂ DdUN )

非常階段へと続く通路は炎に包まれていた。煙を吸い込み、咳が出て呼吸も苦しい。

「ゲホッ…」
(結衣は生きているだろうか…生きていたとしてもこの建物から脱出することもできない)

茜立ち上がり、ゆっくりと代美に歩み寄った

(代美を憎んだとしても状況は変わらない…彼女も被害者なのだ…自分だけ生き残ったとしても意味がない…ここでいい)

茜は自分の命がまもなく尽きると悟った。
憎しみの感情は消え失せ、別の感情が生まれる

暗雲の隙間から綺麗な空が見えたような感覚に近い。それはなんという感情だっただろうか…

「殺されても恨んだりしないよ…あたしを殺していいよ…何度刺したっていい。もう終わりにしましょう…代美さん」

まるで自分自身に語りかけるように言った

No.130 11/02/25 17:49
No.666 ( ♂ DdUN )

無防備のまま立ち尽くす茜の前で代美に変化があった

強烈な苦しみを受けているかのような表情をみせたのだ。顔全体が歪み、泣いているようにも見える。

「ガチャン!」

力を抜いたのか、手からナイフが落ちる

茜は静かに言った
「あなたは…自分を呪い、自分を憎んだ…人を殺める事で自分を罰したんだ…蟲にも抵抗できず寄生されたまま異界の住人になってしまった」

【憎しみ】は蟲の力となる事を茜は無意識に感じとっていた

【憎しみ】から解き放たれる唯一の方法は…
【許し】しかない。蟲に寄生、攻撃されずに異界に対抗できる精神なのだ

「キ-ン……」

通路で金属同士がぶつかるような音がした。横目で確認すると、落とした髪留めが青い光を発し、ゆっくりと宙に浮く。

光の尾を残しながら滑らかに飛び、茜の身体を護るように螺旋状に旋回する。まるで光の鳥のようだった

No.131 11/02/26 22:59
No.666 ( ♂ DdUN )

茜の潤む瞳にキラキラと光の鳥が映る。

「……これは……」

懐かしい暖かさを感じた。羽ばたくと風が巻き起こり茜と結衣を包む

代美の寄生した蟲にとってその光の鳥は脅威であり邪魔な存在。即刻破壊しろと代美に指令を下す

「がぁぁぁ!!」

狂う代美は頭を抱えていた。落としたナイフを手にすると自分の額に思いきり突き刺す

代美にとって最後の憎しみの対象は蟲と自分自身だった

悲しみの表情のまま、ヨロヨロと後ずさり、聞いた事のないほど苦痛に満ちた断末魔を残しながら異界の扉に身を投げた

No.132 11/03/06 23:47
No.666 ( ♂ DdUN )

光の鳥はまばゆい閃光を放ち周囲の空気や蟲を吸い込み始めた。

茜は横たわる結衣を両手で抱きしめ、その強風に必死に耐える

光の鳥を中心にして銀河のように渦を巻きながら強風は勢いを増していった

代美を飲み込んだエレベーターの顔はひび割れ、風化した岩のようにボロボロと崩れながら光の鳥に吸い込まれてゆく

No.133 11/03/07 22:12
No.666 ( ♂ DdUN )

     ―終章―
     【夢現】

No.134 11/03/07 23:02
No.666 ( ♂ DdUN )

強風はやがて弱まり、異界を吸収して力を失ったのだろうか、不思議な鳥は光を失っていた。

「結衣さん…結衣さん」
静寂と暗闇に包まれる中、死の淵にいる親友の名を呼んだ

(危険はなくなった…代美もいない、蟲もいない、通路の炎は強風でほとんど消えた。早く誰かに結衣さんの救助を頼まないと…)

そう考えた時、エレベーターの上部から奇妙な音がした

「グ…グ…」

音に合わせるようにエレべーターが微妙に揺れていた

茜は不安げに天井を見つめ、すぐに通路に飛び出すべきか迷ったが結衣を抱いているので素早く動けそうもない

(まさか…)

エレベーターが13階から落下すれば絶対に助からないことは明らかだ

No.135 11/03/08 21:38
No.666 ( ♂ DdUN )

鈍くきしむ金属音がエレベーターの上からはっきりと聞こえる

「お…落ちる…」

何をしたらいいのか分からず、ほんの少しでも動けば一気に落ちてしまう…そんな気がして身体は硬直していた

よく見ると誰かが通路に立っている。結衣が呼んだ警察だろうか…救急隊だろうか…
すがる思いで叫んだ

「ここです!!助けてください!」

「ここ…です…たすけ」


ピッピッピッピ

突然一定のリズムで鳴る電子音が聞こえた

「先生。心拍数、脈拍…共に正常に戻りました」
冷たく淡々と喋る女性の声が聞こえる

続いて男性の声

「被害者の脳の一部を移植してあるんだ…死んでもおかしくないはずだが…猟奇殺人を犯した人間はしぶとい」

自分が複数の人間に囲まれている…それは間違いない。身体は全身が麻痺したかのように動かせない。瞼すら動かないのだ

「死刑執行されずに回ってきた実験体なんだ…死なれちゃ困る」

ぼんやりと会話が耳に届くが、数秒後には記憶からなくなってしまう



意識は遠くなってゆく


(わたしは誰…?)

No.136 11/03/09 00:20
No.666 ( ♂ DdUN )

「ぎゃぁぁぁぁ!!」

全身の骨が砕け、肉が引き裂かれるような痛みを感じて飛び起きた

薄い布の着衣は汗で濡れ、バサバサに傷んだ髪の毛は湿気を帯びていた

「はぁ…はぁ…」
酷い形相で呼吸しているのが自分でも分かる

どうやら自分を囲んでいた人間はいなくなり、麻酔か何かで眠らされている間に他の場所へ移動させられたのだろう…狭い部屋で独りきりだった。


エレベーターの入り口に人影が見え「助けてください」と告げた後に必ず数秒間落下し、着地の衝撃で全身が潰される。そんな悪夢を寝る度に繰り返し味わうのだ

飛び起きた後は吐き気と激しい頭痛に襲われる

ザーザーとノイズのような音を発し続けている小さなテレビが部屋の角に置かれ、机と椅子、便器、鉄格子付きの窓、厳重そうな扉…まるで独房のような場所に自分は閉じこめられていた

No.137 11/03/29 03:00
No.666 ( ♂ DdUN )

窓から差し込む真っ白な光で目の奥が刺激され、女性は鬱陶しそうな顔をした
激しい頭痛を和らげようと額を掌で掴む。固まった血と縫われた傷痕が触ると分かる

ベッドの端に座り込み、魂を抜かれた人形のように壁を見つめ続けた

室内の静寂を破ったのは、食事が運ばれてきた時だった。ドアの横にある小窓が開き、パンと牛乳を乗せたトレーが配送されてきたのだ。誰が運んできたのかも分からない、手と胴しか見えなかったからだ

「……カチャ…カチャ」

小窓は数秒で閉じてしまった。鍵を掛ける音がした後で、再び静寂が室内を包みこむ

「あぅ…くぁ…」

言葉を発しようとしたがうまく喋れない。言語を忘れてしまったのか意志を伝える方法が分からなくなっていた

心を失った肉の塊

自分の事は何も思い出せなかった。夢の中で誰かを抱きながら泣いていた…その直後に落下する。その記憶は残っていたが、今にも忘れてしまいそうになる

「ゆ………い……」

無意識に発した言葉が何を意味しているのか理解できずにいた

No.138 11/04/04 17:25
No.666 ( ♂ DdUN )

部屋の隅には木製の机があり、その上には髪留めが置かれていた。翼を広げた鳥の形をしている。窓から差し込む光を受けてキラキラと輝いていた
髪留めの他にも、宝石が付いたネックレスや時計、ピアス、数人の少女が楽器を持ちながら笑っている写真等が置かれていた。

無言のままそれらを眺め、女性は髪留めを手に取ろうとした



「なにか思い出せたかしら?代美さん…」


突然、後ろから声がして振り向いた。
音もなく部屋に入ってきたのか、自分が気がつかなかったのか、白衣を着た女性がいつのまにか立っていた。


自分の名を呼んだ女性の声は澄んでいて、表情は氷の女王のように寂しげで美しかった。

No.139 11/05/09 02:26
No.666 ( ♂ DdUN )

「15年前のあの日…エレベーターが落下する寸前に警察官に運良く私だけ助け出された…」
暗く沈む表情でうつむきながら白衣の女性は言った
「あなたに刺され、重傷を負っていた私は2週間、生死をさまよい奇跡的に助かった」
「精神鑑定で殺人の罪を逃れ、あなたがこの病院に居ると知った時に脳外科医になっていた私はある事を思いついたのよ」
「茜の脳をあなたに移植するって…」

代美は立ち尽くしていた。何の感情も無く、ただ聞いていた

「何年も脳死状態だった茜を助けようと医学の道に進んだけど、助けられなかったわ」

「あなたに茜の一部を移植することで憎しみの対象ではなく、茜の脳の保管者になってもらったの」
「茜はあなたと共にまだ生きている…歪んだ感情かもしれないけど、私は嬉しいのよ」

そう言って結衣は静かに微笑んだ

No.140 11/06/08 20:29
No.666 ( ♂ DdUN )

結衣が去ってから数時間が経ち、いつのまにか夜になっていた

無表情でじっと座り続ける代美はブツブツと独り言を呟いていた

立ち上がり、ひたひたと裸足のまま歩き、窓から見えるものを視界に入れた

ボロボロに崩れた巨大なコンクリートの塊。鉄筋がむき出しになった建物。光は無く、月明かりがうっすらと外の世界を照らしていた

鉄格子に額をつけて眺める代美は、過去も未来も想像すること、思い出すことができない

無機質で荒れた外の景色を呆然と眺めていた

No.141 11/08/07 07:30
No.666 ( ♂ DdUN )

邪な業は消えることなく影のように付きまとう。たとえ生まれ変わったとしても

代美は怒りに染まり、人を殺め、自らの精神を破壊した。
もはや生きたいという生存本能もなくなり、感情を無くした人形だった。
唯一、人間らしい感情が戻るのは…夢だった。
眠りに入ると別の自分として行動するのだ。

結衣が代美の頭に茜の脳の一部を移植した事によって、過去の記憶を夢として見るようになっていた。眠る度に茜の視野と思考に占領され、ホテルでの出来事が繰り返される。
自分自身に狙われる夢だった。

No.142 11/08/10 00:27
No.666 ( ♂ DdUN )


「…ガチャン…」

突然、入り口のロックが外れる音が室内に響いた

遠隔操作
誤作動

理由は分からないが部屋の外には出られる

代美はゆっくりとドアを開けた

静かな廊下はひんやりとした空気に包まれ薄暗い。複数の扉が整然と並んでいるが、自分の部屋だけが解放されたようだった

脱出したいと願ったわけでもなく、無意識に部屋を出て、歩き始める

時折、通り過ぎる他の部屋から、うめき声や啜り泣く声が聞こえる

冷たく硬い廊下をしばらく進むとエレベーターが見えた

No.143 11/09/07 17:56
No.666 ( ♂ DdUN )

エレベーターの前で立ち尽くした。茶色の錆がところどころに付着したドアは硬く閉ざされている
記憶とか感情を呼び覚まそうとするとドクドクと鼓動が早まる

震える自分の両手を見ると血に染まっていた。

「ひっ!」

目を丸くして上着で拭う。。もう一度、目を凝らして見ると一滴の水分すらない乾いた元の掌に戻っていた

涙が溢れて目の前がぼんやりと歪む。

ガリガリとわずかに金属の擦れる音と共にエレベーターのドアが開いた

エレベーターが意志をもっているかのように

No.144 11/09/09 02:21
No.666 ( ♂ DdUN )

分厚い白紙の本に、人生で起きたことや、考えたこと、行動したことが書かれていて、びっしりと文字で埋め尽くされているとすれば

代美の本は黒い墨で満たされた瓶の中にボトンと落とされ、真っ黒になってしまった状態だった

しかし、何かのきっかけで墨が少しずつ消えてゆく感覚があった

文字がうっすらと浮かび上がると微弱な電気信号が代美の脳を機能させようと刺激する。
人形から人間へと変えようとするのだ

その作業は自分自身なのか、茜と呼ばれる人物の脳の仕業なのかは分からないが、止める術はなくその現象をただ傍観するしかなかった

代美がエレベーターに乗り込んだ瞬間、一気に数百ページの墨が消え去り、大量の文字が浮かび上がった…

No.145 11/09/11 00:04
No.666 ( ♂ DdUN )

代美はエレベーター内の隅に膝を抱えて座り込む。道端に捨てられた小犬のように身を縮ませた

腫らしたまぶたを閉じると自分が魔物と化した過去の映像が蘇る

狂気の業火に身を委ねた者は自らの心をも焼き尽くし、解けることのない呪いをその身に刻む

身体が浮く感覚があった。エレベーターが動いていた。犠牲者が代美に復讐するために今か今かと待つ地獄へと降りていっているように思え、恐怖に震えた

「う゛あ゛ぁぁぁ」

絶望に満ちたうめき声がエレベーター内に響いた
それは魔物ではなく人の心を取り戻した代美の産声でもあった

No.146 11/09/13 01:03
No.666 ( ♂ DdUN )

「私は…」

そう小さく呟いた。何を言いたかったのか自分でもはっきりしないが、「私は狂っている」または「私は狂っていない」両方のフレーズが交錯し、断定したくない気持ちを抱いた

大量殺戮犯

そう自覚すると、今乗っているエレベーターが犯行時のラブホテルのエレベーターに思えてくるほどだった

下降していたエレべーターが不快な音をたてて雑に止まると代美の身体を揺らす。その衝撃が回想を中断させる要因になった

数秒の間の後にゆっくりとドアが開く。「この施設の一階にたどり着きました」エレベーターの表示ランプはそう告げていた

No.147 11/09/19 00:18
No.666 ( ♂ DdUN )

エレベーターのドアが開くと背の低い老婆が突如現れた。左手の杖で身体を支えるように弱々しく立っている。盲目なのか細く開かれたまぶたから乳白色の瞳がチラリと覗いていた

エレベーターのドアは閉じる事なく開かれたままだ
老婆の背後は広々とした病院の待合い、受付のホールといったフロアだった。ただその老婆以外、人の気配はなく看護婦も医者も居ない。患者も見あたらなかった

老婆はゆっくりとした口調で代美に語りかけた

「…おぬしの周りに多くの魂がまとわり付いておるな…いったいどれだけ殺めたのか」

全てを知っているかのような、不思議な声だった

No.148 11/09/20 00:11
No.666 ( ♂ DdUN )

代美がエレベーターを出るとドアがゆっくりと閉まった。老婆は近くの長椅子に腰を降ろすと石像のように動かなくなった
しばらくすると頭の中に直接響いてくる老婆の声がした


「待ち続けていた…立っているのも辛くてなぁ」

空気の振動で耳から伝わる声ではなかった


「最後の役目は純粋な能力者の遺伝子を運ぶ者の道標となることなのでな…」

代美は老婆が語る言葉の意味を理解できなかった
「数時間後にこの施設にいる受刑者、実験体は軍によって処分される…」
「おぬしの脳に能力者の一部を隠し、逃がすために部屋のロックを開けたのは結衣じゃな…」

老婆は立ち上がり、施設の外へと続く出口を指さす
「この施設を出て北へ北へと向かえ…その昔、北海道と呼ばれた土地に新しい国がある。そこを目指せ…おぬしの悪しき業が消えることはないが決まっていること…宿命じゃよ…」

そう思念の言葉を伝えた後、小さな巾着を代美に手渡した

No.149 11/09/28 00:51
No.666 ( ♂ DdUN )

巾着を受け取ると見た目よりも重い

「中身は砂粒ほどの大きさの金だよ…食べ物に困ったらそれと交換しなさい。今やこの国の紙幣は紙屑じゃからの…」

中身は何かと疑問を持った瞬間にその答えが返ってきた

他にも疑問はあった。なぜ自分を支援するのか、この地を離れて北へ旅立てと促すのか、この老婆はいったい何者なのか…
広々としたロビーを老婆と代美は歩いた。床は薄く砂が積もり、歩く度に足の裏にへばり付く

老婆にいくつか質問しようと口を開けたが言葉が数言しか出ない。会話の方法すらも今の自分には難しい気がして、そのまま断念した

整列していない長椅子を避けながら出口にたどり着くと、眩しい光で目の奥が痛みだした。常に暗闇に居続けたものだから光に眼球が過度に反応していたのだ

「さぁ…行きなさい…」
少し哀しげな表情をしながら老婆は言った。怒りや憎しみとは対極となる、慈悲や許しに満ちた言葉と表情だった


No.150 11/10/03 01:27
No.666 ( ♂ DdUN )

遙か遠くの空は黒い雲に覆われ、静かに放電していた

徒歩で北へ向かう途中で野垂れ死ぬ可能性もある。目的地にたどり着いたとしても何をすればよいのか見当もつかない

進む方角を見ると、傾いたビルや潰れた車、灯りそうもない街灯が並んでいた

何度か振り返りながら歩き、老婆から離れてゆく


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