butterfly’s memoir~第4章 蛹SANAGI~
晃は…相変わらず携帯にロックをかけ…電話は私の前では決して出ない…
『晃……いつも…誰と話してるの……誰からの…電話なの…』
毎日毎日涙を流し…毎日毎日苦しむ日々が続く中…
私の携帯へ…見知らぬ番号からの着信が増えた…
電話は私が出るのを待っているかのように…毎日鳴り続けた…。
晃の様子がおかしいことと…晃の様子がおかしくなってからかかってくるようになったこの電話…
『きっと…晃に関係してる…けど……出るのが…怖い………』
電話に出れば晃と私の間に何かが起こるような気がして…晃を失うような気がして…私は電話にでる決心がつかず…涙を流し画面を見つめるだけ…………
そんな私の心を見透かしているかのように…電話は毎日毎日鳴り続け……そんな苦痛な日々が続いていった…。
新しいレスの受付は終了しました
- 投稿制限
- スレ作成ユーザーのみ投稿可
晃と私の間にはいつしか大きな溝が出来…私の心も日に日に荒み落ちて行った。
次第に生活に覇気はなくなり、仕事以外は外には出ることはなく…散歩すら行かない…。
毎日毎日…朝起きてから仕事に行くまでの間、ご飯すら食べず布団の上で過ごし、動くと言えば…トイレのみ…。
ローとレーヌ、タイガもつまらなそうに毎日朝から晩までバスケットの中でうずくまり寝ているだけ…たまにご飯を食べ水をのむ…
このような生活になってから、一回一回のご飯を作ることもせず、ロー達の器にドッグフードと水を四六時中入れっぱなし…無くなったら補充するだけになっていた。
水やドッグフードが古くなっていても…交換すらせず…動かず…とにかく寝ているだけ………廃人のような生活になっていた。
勿論…テレビも付けず外が暗くなっても電気すらつけない…。
そんな生活の中でも変わらないことが1つ…
遮光カーテンで締め切られた薄暗い部屋の中…毎日毎日…チカチカと携帯画面が休みなく光続ける…………
『また……鳴ってる………』
携帯が鳴り光始めると自然と涙が溢れ出してくる………
涙を流しながらボーっと画面を見つめていると部屋のチャイムが鳴った…。
『ピンポンピンポンピンポンピンポン…』
虚ろな眼差しで携帯の画面を見て時間を確認する…
『17時…35分………』
………………
『ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン…』
時間を確認した後も、部屋のチャイムは一分一秒休まず鳴り続け…携帯も休みなく鳴り、知らない番号を表示しチカチカと光続けた……
鳴り続けるチャイム音が次第にドアを叩きつける音に変わった……。
『ドンドンドンドン…ドンドンドンドン…』
………………
私は重たい体を引きずるように起き上がり、…四つん這いになりながら移動しインターホンを手に取った…。
「……はい…」
「ランさん‼今日出勤日ですよ‼⁉もしかして‼‼また今日も寝てたんですか‼‼⁉」
マネージャーが苛々した口調で話す。
「…今…行く…。車で待ってて…。」
それだけを伝え、インターホンを切った。
そのまま私は携帯と財布のみを持ち…髪はボサボサ、ノーメイク、部屋着のスエットのまま…サンダルを履き、マネージャーの車へ乗り込んだ。
「…ハァ💨…………どうしたんですか…❓最近おかしいですよ。そんな格好で来るなんて………。サチが復帰するまではランさんがママなんですから普段から気を使ってくれないと‼何回言っても変わらないですね………ちゃんと分かってるんですか‼⁉聞いてますか‼‼⁉」
「…ごめん…。分かってる…。」
そう答える私を見てマネージャーは大きな溜め息をついた。
その後は何も言わず…無言のまま車を走らせ続けた。
美容室へ着き…いつも通りヘアメイクをしてもらい店へ行く。
私を指名するお客様はお店の御得意様・常連様ばかりだった為か、仕事をしている間は変な気は使うことはなかった。
この時、私の生活の中でも仕事をしている時間が唯一一番楽だった。
仕事中は楽…ご飯も食べることが出来る…
けれど…私の心は晴れることは無かった…。
それは…私の都合に関係なく鳴り続ける携帯の存在があるからだった。
仕事中はマナーモードにしていたが、着信があるとランプが光を発する。
毎日しつこく光り続ける携帯に、お客様も気付いて心配しているくらいだった。
「ラン❓携帯…いいのか❓出ても構わないんだよ。」
「…毎日鳴ってるみたいだけど…大丈夫か❓」
「またか。随分としつこい奴だな。何かあるなら言えよ❓」
………………
様々なお客様から声をかけられるようになり…その状況に気付いたマネージャーから注意があった。
「何があったか理由は聞かない。けれど、仕事に事情があるのは確かです。プライベートの電話なら尚更邪魔です。今後、仕事中はその携帯は持ち歩かないで下さい。」
マネージャーは私に厳しい口調で話すと、新しい携帯を渡してきた。
この日を境に…
私は、プライベート用と仕事用の2台の携帯を持ち始めた。
2台の携帯を持ち帰宅した私を…晃は不安げな眼差しで見つめてきた…。
2人でいる間も何の会話もなく…晃の視線は2台ある携帯に向けられていた。
そんな晃に気を使い、私から話しかけた。
「…あのね、職場の方から、プライベートと仕事と携帯分けろって言われたの。一応私もママだから。それだけだから…。」
「…あっ……うん。大丈夫。俺は…気にしてないから。」
「…そう❓なら良かった。……あー…私、お風呂入ってくるね…」
私はそそくさと着替えを準備し、お風呂場へ向かった。
この時…仕事用の携帯はリビングに置いたままにしたが…
プライベート用の携帯は着替えと一緒に持ってリビングを出た。
毎日かかってくるあの電話の存在を晃には知られたくなかったし、これ以上…晃との関係に亀裂を深めたくなかった。
『私が電話に出なければ晃と離れなくてもいい……だから…電話には出ないし………“絶対に”隠し通す…』
晃との間に溝が出来始めた時に、そう心に決めた…。
この時の私は自分の選択に従って行動をし、
この選択が正しいのかなんて考えもせず…
ただひたすら隠し通し…
無我夢中で晃との関係を保つ為だけに必死になっていた…。
必死になる余り…
私と晃との関係が元々仮面的な物だったことにさえ気付かず………
晃に気を使い、我慢を重ねていた。
晃の前では笑顔で我慢することは出来ても…晃がいなくなると廃人化する自分…
私は、携帯と晃の電話の相手の存在を忘れるかのように仕事に没頭し、晃ともなるべく顔を合わせないようにしていった…。
『晃と顔を合わせれば、またお互い変な気を使うし、嫌な思いをする…』
こんなことばかりを考え、単純に行動していた…その反面、私の一番嫌なことにも関連していた行動だった。
この時の私の一番嫌なことは…
『電話が来ると携帯を持ち、私の側を離れ……コソコソと話す晃の姿を見ること』
だった。
この姿を見たくないが為に…私は仕事に没頭する道を選んだのもあった。
2台の携帯の使い分けにも慣れ始め、季節も5月に入り…
籍をいれる日まで1ヶ月をきった頃…
仕事に行く準備をしているといつもとは違う着信音・着信色でプライベート用携帯が鳴った。
『着信色青って誰だっけ❓』
私は携帯を手に取り画面を見た。
画面には…
『茜親友(由希)』
と出ていた…。
『…由希…❓…あっ…あいつかぁ…何の用だろう…』
由希はいつかの大晦日に晃に馴れ馴れしく話しかけてきた女で晃の元彼女“茜”の親友であり…晃とは一度だけ体の関係もある女…。
警戒しながらも通話ボタンを押した。
「……もしもし…」
「もしもしぃ。由希ですけど覚えてますぅ❓」
「はい…。何の用ですか…❓」
「あんたには用は無いんだけどぉ…。今、晃いる❓」
「…晃は仕事行ってます。…晃に…用事ですか❓」
「そぅ。杉浦さんのことで。今日も杉浦さんと会うって話してましたぁ❓」
「………杉浦さん❓…いや…私は、晃からは何も聞いてませんけど…。あの…杉浦さんって………誰ですか❓」
「杉浦さんは晃の先輩じゃん❓何も聞いてないのぉ❓」
「はい……。」
「最近、毎日晃と杉浦さんとで飲んでるって杉浦さんから聞いたから、たまには私も参加したいって話しするのにあんたの携帯に電話したんだけどぉ。てかぁ、うち晃の携帯の番号知らないからさぁ。」
「そう…なんですね………。私から…晃には伝えておきます…。」
「あっ、そぅ❓じゃぁさぁ宜しく言っといてぇ。じゃぁねぇ。」
………杉浦…❓
………杉浦…❓❓
………杉浦…❓❓❓
『聞いたことがあるような…けど………思い出せない…』
思い出すことができない気持ちの悪い衝動に駆られて、頭を抱えた。
そんな衝動に駆られながらも由希の言葉を必死に思い出す…
『毎日飲んでいる……晃は…毎日杉浦って人物と会っている………』
『杉浦が誰か…知りたい………』
そう考え始めた時、杉浦という人物が誰なのか、どのような人物なのか確かめよう…と思い始めた。
服を着替え…
出掛ける準備をした後…
部屋中の電気を消し…
約1センチ程の隙間を開けてカーテンを閉め…
ベランダへ出て、壁にピッタリと寄り添うように身を潜めた…。
携帯の画面で時間を確認する…
『18時55分………そろそろ…晃が帰ってくる…』
私は、耳を澄まし静かに部屋の中の様子を伺い続けた。
『ガタン…』
部屋の中から物音がして、リビングの電気がついた……。
携帯の画面を見る…
『19時03分…』
ドキドキと高鳴る胸を抑えながら部屋の中を静かに覗き込んだ…。
リビングでは…
晃が誰かと電話をしながら作業服を脱ぎ捨て険しい顔をしていた…。
その後も…暫くはテレビを見ながら話しをしていたが、帰ってきてから約20分後…
…電話を切り、携帯をテーブルへ…置いた……。
晃はそのままバスタオルを持ち、リビングを出て行った…。
『多分…お風呂に入りに行ったんだろう…』
私は少しだけ窓を開けて耳を澄ました。
微かにシャワーの出る音と…ボイラーの作動する音が聞こえてきた…。
『よし………暫くは上がってこない…』
私は、静かに部屋に入り……晃の携帯を…手に取った………。
晃の携帯画面を見ると、ロックマークは消えている………
『やっぱり…。普段はロックしてないんだ。』
私が仕事から帰宅すると同時に急いで携帯を操作し始める晃をこの何ヶ月が見続けてきた…。
“晃は極度の面倒くさがり…”
晃の行動を見る度に、
『もしかしたら私がいる時だけロックをかけているのではないか………』
とずっと思っていた。
その勘は的中していた…。
『見るなら…今しかない………』
私は躊躇することなく携帯を操作し始めた。
『ピッ…ピッピッ…ピッ…ピッピッピッピッ…』
私がボタンを押す音だけが響く……。
『…何………これ…………』
私が見たもの…それは…
杉浦㊥R
杉浦㊥R
杉浦㊥R
杉浦㊥R
杉浦㊥R
…………
と延々と並べられた着信履歴と発信履歴だった………。
『…杉浦さんにしか電話してないし………杉浦さんからしか…電話は来ていない………』
ただ…不思議なことに、電話は毎日しているのにメールでのやり取りは……一切なかった…。
『……杉浦さんて…ここの会社の人…❓』
微かな疑問を持ち始めた。
晃がメールではなく、電話で済ます相手…明らかに“女”ではないような気がした…
『晃の会社に杉浦なんていたっけ…』
私は杉浦の存在を必死に思い出しながら、携帯を元の位置に戻しまたベランダへ戻った。
ベランダへ戻った私は、美沙子さんへメールを打ち始めた。
『📧いきなりごめんね。ちょっと急ぎで聞きたいことがあるんだけど…。晃の会社に杉浦さんって人いる❓もし知ってたら教えて🙏連絡待ってます。』
5分後…
美沙子さんから返事がきた…
『杉浦さんなんていないよ😃』
と………。
『仕事の関係者では…ない………。杉浦って…一体誰…❓…どんな関係なの……………』
謎は深まるばかりだった…。
杉浦のことを考え、思い出すのに夢中になっている間に、晃はお風呂から上がっていた。
レーヌのクンクンと甘える声を聞いて晃の存在に気づき、一旦杉浦のことを考えるのは止め、晃の行動に集中した。
晃はパンツ一枚で髪の毛を乾かし…
その後……
出掛ける準備を…始めた………
『…やっぱりかぁ……今日も…出掛けるんだ…由希の話しは…嘘じゃなかった………』
準備が出来た晃は、ロー達にご飯、水、お菓子をあげ、部屋中の電気を消し、外へ出て行った。
私は玄関のドアが閉まった音を確認し、急いで部屋に入り勢いよく玄関まで走り、晃の後を追って外へ駆け出した。
玄関を出て、非常階段を降りている最中に聞き覚えのある音が聞こえた…
それは…
晃の単車のマフラー音だった。
私が非常階段を降りきった時には…マフラー音は遠く…微かに聞こえる程になっていた…。
『……結局…杉浦が誰だか分からず仕舞いかぁ…⤵』
私は肩を落とし…トボトボと部屋へ戻って行った。
『もう一度…晃の携帯を見てみよう………何か分かるかもしれない…』
私はもう一度晃の携帯を見る決心をして晃が帰ってくるのを待った。
23時を過ぎた頃…
晃が帰ってきた。
晃はこの時間居るはずの無い私を見てリビングへ入ってくるなり慌てて話しかけてきた。
「あれ💦❓どうしたん💦❓仕事は💦❓」
明らかに同様している晃…
私は演技をした…
「ちょっと…具合わるくて…。今日は早退したの………」
「そうなん⁉大丈夫⁉マジ気付かなくてごめんな。それに出掛けたりなんかして…。ちょっと……仕事場の先輩とご飯食べに行ってて………。…あっ💦熱は❓もう計った❓」
「…まだ………」
「そっか😃じゃあ計ってみよっか😃」
晃は体温計を持ってきて私に渡した。
生理の影響からか少しの微熱があった。
「37.3℃かぁ…ちょっとだけ熱あるね…。今日はゆっくり休みな😃今水枕持ってくるからね😃」
晃は台所へ行き、水枕を作り始めた。
晃は…携帯のことを抜かせば優しいし…私のこともロー達のことも考えてくれる…。
私は晃を見つめながら…
『晃が何に対して悩んで泣いていたのか…知りたい。絶対に電話の相手“杉浦”のことを突き止めてみせる…杉浦さえ居なくなれば幸せでいられる‼』
そう…思っていた。
晃は私を水枕の上に優しく寝かせた後、私のことをゆっくり休ませる為かテレビはつけずiPodを弄り音楽を聞き始めた。
夜中1時になる少し前…
汗を流す為、シャワーだけを浴びにお風呂場へ向かった。
お風呂場からリビングへ戻った時には晃はもう寝ていた。
晃の様子を伺いながら私の目は携帯を無意識に探す…
そんなことをしているうちにバタバタと動き回りながら探して始めていた…。
晃の仕事着やバック…リビング…今日着ていた私服…部屋中探したが携帯は見つからない…
『携帯…ない………』
部屋中を探していた私がふと目を向けた先…
それは…晃自身…
晃を起こさないように近づき、晃のスエットのポケットを軽く触る………
『……あった…』
携帯は晃のポケットの中にあった…。
寝ている時でさえ…私の前では肌身離さず持ち歩いている…
私は…ショックで晃の隣に座ったまま暫く動けなくなってしまった…
『こんなにしてまで隠したいことって何…❓寝ている時まで持ち歩くなんて……杉浦は女なの❓…浮気……してるの❓❓』
また無意識に涙が溢れ出し………ポタポタと零れ落ちる…。
私は…晃を起こさないように静かに布団へ入り…声を押し殺して朝まで泣き続けた…。
朝6時10分…
晃の携帯のアラームが鳴り響いた。
私は慌てて涙を拭き、布団を被った。
晃が起き、着替えをする音がする…
数分後…
晃は部屋を出て行った。
私は晃が鍵をしめる音を聞きながら布団の中で涙を流し続けた…。
次第に…感情を抑えきれなくなっていき大きな声をあげ泣き始めた。
そんな私を心配してかロー達が近づいてきて私の顔や涙をペロペロと舐める。
「ロー…辛いよぉ…もぉ……嫌だよぉ…」
弱々しい声で呟きながらローを抱き締めた…。
レーヌとタイガは私の隣に座り、私の顔をずっと覗き込んでクンクンと泣いていた。
ローを抱き締め、レーヌとタイガを撫でた。
その後…
ロー達の温もりに包まれながら…いつの間にか眠ってしまった。
起きた時にはもう夕方18時を過ぎていた…。
『店…遅刻だ⤵…ヤバい⤵』
慌てて仕事用の携帯を手に取った。
携帯画面を見ると
『メール1通』
と表示があった。
メールを開けてみると…マネージャーからだった。
『具合大丈夫ですか❓体調が回復したら連絡をくれればいいですからゆっくり休んで下さい。玄関前にフルーツ置いておきましたので具合が良ければ食べて下さいね。』
メールを見終わった私はゆっくり玄関へ向かい、ドアの外を確認した。
大きな紙袋が1つ置いてあった。
紙袋の中にはイチゴや葡萄、メロン等…沢山のフルーツが入ったバスケットとミネラルウォーターやゼリー、プリン等が沢山入っていた。
私はフルーツ等を冷蔵庫へしまい、マネージャーにお礼のメールを打った。
その後、ミネラルウォーターを飲みながらプライベート用の携帯をチェックした。
いつもの知らない番号の中に…由希の番号があった…。
私は…由希に電話をかけた。
由希は1コールで出た。
「もしもしぃ~」
「あっ…カズハです…。あの…まだ晃に伝えてなくて……。すみません。」
「そうなんだ💨やっぱりね。けど別にもういいやぁ。さっき杉浦さんに直電して晃に連絡くれるようにって頼んだから。」
「すみません………。」
私は謝りながらも…由希なら知っていることなら何でも話しそうだ…と思い、杉浦のことを聞いてみることにした。
「…すみません。…あの、ちょっと聞いてもいいですか❓」
「💨…何❓」
「あの…杉浦さんって人は晃と仲いいんですか❓」
「さぁ💨私はよく分からない。あんたの方が詳しいんじゃないの❓」
「…いや…私は全然何も聞いてないんで分からないし…杉浦さんにも…会ったことないんです…。」
「は⁉(笑)嘘だよそんなの(笑)」
「…嘘じゃないんですけど……」
「は⁉(笑)だからそういう意味じゃなくて(笑)杉浦さんはあんたのことよく知ってたし、あんたも知ってるでしょ(笑)❓」
「えっ……あの…私、本当に杉浦さんて人知らないんです…」
「(笑)忘れてるだけじゃないの❓てかさー私に聞かれても詳しいことは分からないからさぁ、直接杉浦さんと話してみたら❓」
由希はそう話すと、杉浦の番号を私に教えてきた。
「ありがとうございます。連絡してみます。」
由希にお礼を言い、電話を切った。
『0×0ー××××ー××05………どこかで見たこと…ある…』
そう思いながらも携帯を弄り始めた…
その時…
やっと気がついた…
『この番号………いつも私の携帯に電話してくる知らない番号だ……………』
私は携帯の画面と杉浦の番号が書かれたメモ帳を持ち見つめたまま呆然とした。
電話をしようか迷っていると…
玄関の鍵が開く音がした…。
『…晃だ………』
私は慌てて携帯とメモ帳をスエットのポケットへ突っ込んだ…。
「ただいま😃」
「あっ…おかえり………」
「今日仕事休み❓まだ具合悪いの❓」
「あっ…うん……。マネージャーが…今日は仕事休んでもいいってメールくれたの。だから甘えちゃった。」
「そっか😃じゃぁゆっくり休みな😃ご飯は俺が作るから😊」
そう言うと晃はお粥や自分のご飯を作り初めた。
布団に横になりテレビを見つめる…
ただ…見つめているだけで番組内容は全然頭には入っていかない…
頭の中は『杉浦』のことで一杯になっていた。
『杉浦のことが気になって気になって仕方ない…』
晃の様子を伺いながらも手はポケットの中の携帯とメモ帳を力一杯握り締めていた。
この日…
晃は寝つきが悪くなかなか眠らず…杉浦に電話をすることは出来なかった。
次の日…
杉浦に電話しようと番号を画面に表示したまま通話ボタンを押せない自分がいた。
何時間も画面を見つめたまま…勇気がなくてなかなか電話が出来ない…。
結局………
電話出来ず…携帯の電源を切ってしまった…。
暫くの間は、電源を入れず必要な時以外は切ったままにすることにした…。
焦って滅茶苦茶になるよりも、冷静に考える時間を作ろうと思った。
仕事も復帰し、また晃とは顔を合わさない日々が続いた。
相変わらず…私の前では携帯はロックしたまま…
携帯を見ることも出来ず、晃との会話も減り…無情にも貴重な時間はなんの変化もないまま過ぎていった…。
5月中旬に差し掛かった時、祐子から久しぶりに電話がかかってきた。
『6月は籍のみ、結婚式自体はいつになるのか❓』
の連絡だった。
私は祐子に正直な気持ちと今の状態を伝えた…。
「…祐子…。あのね…実は今…色々あって…。…晃とどうするか悩んでる…」
「え❓どうしたの💦❓あんなに仲良かったのに💦なんとかブルーってやつ😂💦❓」
「そうじゃないんだけど…。実はね…晃ね…最近、私に隠れて誰かと会ってるみたいで…。しかも携帯までロックしてるんだ…。…なんか…結婚とかしても大丈夫なのか…って不安で…心配で………」
私の声は段々と涙混じりになる…。
「…マジ…。…浮気してるってこと❓…なら、ちゃんと話ししないとダメだよ‼…もし…浮気なら許せないね😣‼」
「…うん…。だけど…晃には聞けない…。どうしよう⤵」
私の言葉を聞いた祐子が頼もしくしっかりとした口調で話してきた。
「分かった‼じゃぁ私が聞く‼晃さんが休みの時に、私の家に連れてきて😃ご飯に誘われた😃とか言ってうまく連れてきなよ😃私、晃さんにまだ会ったことないし、紹介もしてほしいし☺」
「うん…。分かった😢祐子…ごめん😢」
「何言ってんの😃大丈夫😃気にしないで😃そんなことより‼…幸せにならなきゃダメだよ😃私、カズハには絶対に幸せになってほしいし‼頑張らなきゃね😃うちにくる日にちはカズハ達に合わせるから😉じゃ💡連絡待ってるね😃」
「うん😢ありがとう😢じゃぁ、また連絡するね😢」
祐子との電話を切った後…少しだけ元気が出て、それと同時にホッとしている自分がいた。
『祐子が聞いてくれる………やっと…この苦しみが終わる…』
私はその後すぐ仕事へ行き、接客の合間に晃にメールを打った。
『今日、ちょっと話があるから起きてて😃』
『了解😃待ってる😃』
かなり短いやり取りをし、仕事が終わった後急いで寮に帰った。
「ごめん💦ちょっと遅くなっちゃった💦」
「おかえり😃全然大丈夫だよ😃ちょっと寝たから😃で❓話って何❓」
「あぁ😃あのね、友達が晃と一緒にご飯食べに来ない❓って😃紹介もしたいし😃いい❓」
「そうなんだ😃いいよ😃日曜日あたりでいい😃❓」
「うん😃じゃぁ友達に言っとく😃」
「分かった😃予定入れないようにするね😃で、友達って誰❓」
「あっ😃祐子💡ほら😃中学時代の親友😃」
私がそう答えた途端…晃はよそよそしくなり、携帯を弄り初めた。
そして、気まずそうに話初めた。
「……あっあぁ…。ん~………あっ💦…あのさ…そう言えば今月さぁ…もう仕事休みないんだった…ごめん💦休日出勤なの忘れてた💦…祐子ちゃんに謝っておいて。本当に…ごめん💦」
「…えっ……⤵そうなの⤵…そっか。仕事じゃ…仕方ないよね…。分かった。じゃぁ…私1人で近々祐子の家に行ってくる。多分…祐子の家に泊まると思うけど…いい❓」
「うん😃いいよ😃ゆっくりしてきな😃…マジでごめんな。」
私の期待は呆気なく打ち砕かれた。
けれど……
打ち砕かれたことの代償として…もっと大きなこと…
今まで知りたかった『真実』を知ることになる…。
5月も後半に入り、6月まで残り一週間になった頃…
私は祐子の家に1人で向かった。
運が悪く、祐子の子供が風邪を引き熱を出してしまった為、ご飯だけをご馳走になり、泊まりは急遽キャンセルになり早めに帰宅した。
寮に帰ると…
仕事から帰っているはずの晃がいない…
しかも…テーブルには…
見慣れないタバコの吸い殻と飲みかけのお酒が注がれたコップが………2つ……。
『…誰か…来てる…』
その時…微かに晃の声と足音が聞こえてきた…
私は、慌てて自分の履いていたパンプスを持ち、そのままベランダへ出た。
ベランダへ出てすぐ…私と入れ替わるように晃と誰かが部屋に入ってきた…。
間一髪だった…
もう少し帰宅するのと隠れるのが遅ければ…鉢合わせしていた所だった…。
緊張と動揺で胸が異常な程高鳴っていて苦しい…。
私は必死に自分を宥め落ち着かせながらゆっくりと耳を澄ます…
晃と……男の人の声がする…
『女じゃない…男だ……会社の人❓それとも…』
色々なことを考えながら…
暫くは微動だにせず中の様子を伺っていたが、呼吸も鼓動も落ち着いてきた。
落ち着いてきたのをきっかけに…思いきって部屋の中を覗き込んでみることにした。
気付かれないように…
僅かにあるカーテンの隙間から中を覗き込んだ…。
私から向かって正面には晃、窓側にその男…晃の顔は見えるが男は窓側に背を向けて座っている為、顔は見えず頭しか確認出来ない…。
のみながら話ている晃の様子はあまり楽しそうではない。
晃の様子を伺いながらその男の後頭部をずっと見つめ続けた。
晃達がのみ始めて約1時間が過ぎた時…
その男が立ち上がり廊下の方へ消えて行った……
『…トイレかな…なら……チャンスだ…』
私はその男が帰ってきた時が顔を確認出来るチャンスだと思い…
ドアの方から視線を離すことなく黙視し続けた。
数分後……
ドアが……開いた…
『…来る……』
私は…ゴクリと息をのみじっと見つめた。
男は手を小刻みに動かし髪の毛を整えながら俯いて入ってきた。
その時…
晃の膝にいたタイガが吠えて…男が顔を上げた……
その瞬間…
男の顔が…私の目に入ってきた…
『う……そ…………』
私は大きく目を見開いたまま…一瞬息が止まった…。。。
そのまま…ゆっくりと上体を戻し、力なく俯いた…
『…なんで…気づかなかったんだろう………杉浦って………杉浦㊥Rって………』
私の目からは大粒の涙が零れ落ち…心の中は怒りが渦巻き…
体は小刻みに震えていた。
ベランダで過ごすこと…
約3時間後……
杉浦は帰り支度を始め…晃と共に部屋を出て行った…。
2人が出て行った後…ショックや驚きが強かった為か…暫くは動くことが出来なかった。
けれど…
杉浦の存在がハッキリしたことで前よりも考え易くなり、行動し易くなったのは確かだった。
私は…
杉浦と話をすることに…決めた………。
決心を固めた私は動かない体を無理やり起こし、晃が帰宅する前に部屋を出て、一階上の非常階段から外の様子を伺った。
それから約15分後…
晃が帰宅。
晃が帰宅してから約1時間後…
何も知らない不利をして私も部屋へ戻った。
リビングに入ると…
部屋は綺麗に片付けられ換気もされていて誰も来ていないかのような雰囲気になっていた…。
晃も…
ずっと1人でしたって顔をして、何もなかったし誰も来ていなかったかのように装い…私に話しかけてきた。
「あれ❓どうしたの❓今日は裕子ちゃんの家に泊まるんじゃなかったの❓」
「…裕子の子供が体調悪くて……泊まりは急遽キャンセルになったの…。」
「そうなの❓大丈夫なの❓てか、帰るなら連絡一本くらいくれたら良かったのに。」
晃の言葉を聞いて、一瞬…感情のコントロールが出来なくなってしまった私は晃に向かって怒鳴りつけてしまっていた…
「連絡なしで帰っちゃ駄目なの‼⁉何か困ることでもある訳‼‼⁉」
私に怒鳴られ、驚いた晃は慌てるように私の顔色を伺いながら言った。
「…カズハ💦❓違うよ💦そういう意味じゃなくて、夜も遅いし迎えに行ったのにって意味だよ💦…どうした❓何かあった❓」
『…何かあった❓じゃないよ…』
私は心の中でそう呟きながらも必死に平常心を保ち、
「どうもしない。ちょっと疲れただけ。ごめんね。」
と謝った。
その後、調子が悪いと晃に伝え…先に布団に入り無理矢理眠りについた…。
次の日…
晃が仕事に行った後…
私は杉浦に電話をかけた………。
新しいレスの受付は終了しました
お知らせ
小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
- レス新
- 人気
- スレ新
- レス少
- 閲覧専用のスレを見る
-
-
わたしはあなたたちがきらい5レス 111HIT 瑠璃姫 (10代 ♀)
-
勉強する皆、すとぷり、アイドリッシュセブン、嵐0レス 39HIT 小説好きさん
-
満員電車とアタシとイケメン痴漢42レス 1431HIT 修行中さん
-
君は私のマイキー、君は俺のアイドル9レス 197HIT ライターさん
-
タイムマシン鏡の世界9レス 230HIT なかお (60代 ♂)
-
私の煌めきに魅せられて
「はい、あげる。じゃ、私いくから」 私はオフィスを出た。だが 「鈍…(瑠璃姫)
84レス 1064HIT 瑠璃姫 -
満員電車とアタシとイケメン痴漢
月給40万+歩合給…くらいなら自分的には全然OK これくらいの条…(修行中さん0)
42レス 1431HIT 修行中さん -
わたしはあなたたちがきらい
こっそり充電するために電気を使わせてもらっていた。 いやでもほんと、…(瑠璃姫)
5レス 111HIT 瑠璃姫 (10代 ♀) -
北進
酉肉威張ってセクハラ(作家志望さん0)
26レス 559HIT 作家志望さん -
神社仏閣珍道中・改
(続き・錫杖経現代語訳・第八条より) 衆生とともに願う。 …(旅人さん0)
356レス 12199HIT 旅人さん
-
-
-
閲覧専用
🌊鯨の唄🌊②4レス 150HIT 小説好きさん
-
閲覧専用
人間合格👤🙆,,,?11レス 167HIT 永遠の3歳
-
閲覧専用
酉肉威張ってマスク禁止令1レス 204HIT 小説家さん
-
閲覧専用
また貴方と逢えるのなら16レス 482HIT 読者さん
-
閲覧専用
今を生きる意味78レス 539HIT 旅人さん
-
閲覧専用
また貴方と逢えるのなら
『貴方はなぜ私の中に入ったの?』 『君が寂しそうだったから。』 『…(読者さん0)
16レス 482HIT 読者さん -
閲覧専用
🌊鯨の唄🌊②
母鯨とともに… 北から南に旅をつづけながら… …(小説好きさん0)
4レス 150HIT 小説好きさん -
閲覧専用
人間合格👤🙆,,,?
皆キョトンとしていたが、自我を取り戻すと、わあっと歓声が上がった。 …(永遠の3歳)
11レス 167HIT 永遠の3歳 -
閲覧専用
酉肉威張ってマスク禁止令
了解致しました!(小説好きさん1)
1レス 204HIT 小説家さん -
閲覧専用
おっさんエッセイ劇場です✨🙋🎶❤。
ロシア敗戦濃厚劇場です✨🙋。 ロシアは軍服、防弾チョッキは支給す…(檄❗王道劇場です)
57レス 1430HIT 檄❗王道劇場です
-
閲覧専用
サブ掲示板
注目の話題
-
不倫相手を忘れらず、家庭に向き合えません
昨年から今年の1月まで社内不倫をしていました。妻にバレてから会社を辞めましたが、彼女のことが忘れられ…
14レス 665HIT しゅん (30代 男性 ) -
慰謝料請求の取り下げ、励ましください( ; ; )
20代結婚2年目です。 1年目のとき夫に不倫されていました。 相手女性と一悶着あり、今後一切…
15レス 468HIT 通りすがり (20代 女性 ) -
ディズニーランドは何歳から一人だけで行ったの?
みんな、何歳から一人だけでディズニーランドに行ったの? うちの6歳はまだ1人だけでディズニーランド…
9レス 298HIT 教えたがりさん -
法的規制厳しくなってきた
最近ふと思う。昔というか、あの昭和のころよりいろいろ規制、法的規制厳しくなってきた気がする。道徳的好…
12レス 316HIT なかお (60代 男性 ) -
娘と親どちらが悪い?
不登校の娘と親、どちらが悪いですか? 中学に行きたがらない娘。 担任まできてイジメがある。上履き…
8レス 243HIT 通りすがりさん -
旦那の取扱いが分からない
結婚して6年目で、結婚前は感謝を伝えても「いいよー、困ったことがあったら言って」みたいな感じでした。…
8レス 209HIT 結婚の話題好きさん (30代 女性 ) - もっと見る