誰よりも愛しています
優しい旦那様と、二人の子供…
「幸せですか?」と聞かれたら、「幸せです。」と、笑顔で答える。
だけど…
あんなにもひたむきに誰かを愛した事はなかった。
あの頃の私は、誰よりも、強く、激しくあなたを愛していました。
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「かわいいなぁ。」と彼が言う。
その言葉で私の身体は溶けてしまいそうになる。
この日初めて二人は結ばれた。
とても幸せな時間だった。
……でもこの日を境に、彼は少し変わった。
優しさは変わらなかったが、会う度に身体を求めてきた。私たちのデートは決まっていた。ご飯→カラオケ→ホテル…と。
それでも彼を信じていた。
忙しいから、仕方ないんだと。
「会う時間が少ないから、会ってる時は二人きりになりたいんだよ。」そんな彼の言葉を信じた。
会うのは平日の夜が多かった。
夜中の2時、3時に「会いたい」と電話がかかってくる事もあった。
で、会うとすぐにホテルへ直行。
朝までホテルで過ごす事もあった。
週末に会う事もあった。
何故か遠くへドライブ…後は、お決まりのコース。
幼かった私はそれでも幸せだった。
彼を疑う事さえ、考えられなかった。
大人になった今の私なら、冷静な判断が出来て、彼の嘘など簡単に見抜いただろう。
恋を知らなかった私が初めて恋におちた…
あの頃の私は彼しか見えてなかった。
彼はエッチの時コンドームをつけなかった。いつも私のお腹の上に射精していた。
「大丈夫?」と、聞くと、「絶対大丈夫だよ。」と彼…
何の確証もないのに信じた。
かりにも看護師の卵が…
恋は盲目だ………
彼は私にプレゼントをしようとしてくれた。
誕生日でもない日でも…
私はそういうのが嫌いだった。必要以外のプレゼントはけして受け取らなかった。
デート代やホテル代は全部彼が出してくれた。
それもいつも申し訳なく思っていた。
彼は「学生なんだから、俺に甘えろ!お前はなにも買わせてくれないから…」と。
当時の私はこの言葉が嬉しかった。
…でも、今思えば、お金や物であたしをつなぎとめたかっただけ…
相変わらずのデートを繰り返していた。
彼が「会いたい!」と言えば、何時でも私は出て行った。
寮に住み込みだった私は、待機の日があり、寮から出られなかった。
そんな日は彼が寮に泊まった。
今思えば…本当に都合のいい女だった。
その日は職場の飲み会で、会えないと彼には伝えてあった。
学校のテストが続き、寝不足だったせいか、慣れないお酒でかなり酔ってしまった。
帰っても、いつものように彼に電話する事が出来なかった。
さすがに心配した彼は、寮に電話してきた。
部屋で寝ていた私は何とか電話に出た。
…ここからは、後で彼から聞かされて知った事です。酔ってた私は全く記憶がありません…
彼「帰ってたなら電話せんと心配するやろ」
私「酔っとうけん、電話できんやった。」
彼「そげん飲んだと?」
私「もういいやん。帰って来たけん、もう寝るけん。」
彼「今から会える?」
私「無理無理!動けんし…」
彼「タクシーでくれば?」
私「動けんて!! じゃあ、タクシーで迎えに来てよ。」
彼「わかった。着いたら電話する。」
私は部屋に戻り…深い眠りに落ちた。
目が覚めたのは、翌朝6時だった。
…後で彼が話してくれた。
いつもと様子が違うのが、すごく気になり本当にタクシーで 迎えに来た。
で、寮に電話をしたが、私の部屋をノックしても返事がないと言われた。と…
しばらく待っても私もこないし、何度も電話すると迷惑だからと帰った。と…
人生初めてお酒で記憶をなくした日。
しばらく彼に頭があがらなかった。
彼と付き合い始めて1年が過ぎた。
「結婚」を意識しないわけではなかった…
私は学生だったし、さらに正看の学校に行くつもりだったので、「結婚」に現実味がなかった。
この事も、彼との関係を長引かせた原因だった。
それなりに幸せだった私は、気づいていなかった。
抜け出せない彼との泥沼な関係に、沈んでいってる事に…
時は流れ…
今日は准看護士の学校の卒業式…
(この時、正看護師の学校への入学も決まっていた)
そうこの日は、私にとって忘れられない日となった。
長くつらい一日が始まった。
卒業式でも、通常通り午前中は病院で勤務だった。
いつものように出勤した。
病棟は交通事故の患者が緊急入院して、バタバタしていた。
急いで勤務についた。
その患者は容態が悪く、設備の整った病院へ移動するかを医師が考慮していた。
そんな緊迫した雰囲気の中、電話が鳴った。
「山田さん!外線で電話よ。何か急用だって。手短に!」
先輩から受話器を受け取った。
誰だろう…こんな時に急用って…
言いようのない不安が押し寄せていた。
直感的にあまり良い電話ではないと感じた。
「もしもし、お電話変わりました。山田ですが…」
『あなたが…山田さん?』
受話器の向こうからは、冷たい女性の声がした。聞き覚えのない声。
「はい。そうですが…どちら様ですか?」
『井川の妻です。』
そう答えた彼女は一気に話し始めた。
『あなたたち付き合ってるんでしょ? あなたのせいでうちの家庭はめちゃくちゃです。子供も泣いてます。パパが帰って来ないから… どうするつもりなんですか? 結婚でもするつもりなんですか? あなた学生なんでしょ? 学費も出してもらうつもりなんですか?』
わけがわからなかった。私が答える間もないほど一気に…
私は何も言えなかった。頭の中は真っ白だった。
でも今は職場…現場はかなり緊迫していた。
受話器を持ったままの私に、先輩看護師からアイコンタクト!
…早く切り上げなさい…と。
必死に平静を装って「付き合っています。ただ別居中だと聞いてます。学校の学費は自分で出しています。彼には1円も出してもらってません。」
そう答えるのがやっとだった。
『別居なんてしてないですよ。あなたと付き合い始めてから、彼はおかしくなったんです。家にも帰らないし、生活費も入れてくれないんですよ。』
彼女の勢いは止まらない…
詰め所では、状態の悪い患者の事で慌ただしかった。
とにかく、私は電話を切りたかった。
「とにかく、心の支えにはなってもらってますが、金銭的な援助は受けてません。すみませんが、今具合の悪い患者さんがいるので、あまり長く話せないので、後は彼と話して下さい。」
『看護師がそんなにえらいの? とにかく井川とは別れるつもりはありませんから!』
けたたましく電話は切られた。受話器を持ったまま、しばらく動けなかった。
「大丈夫?」
肩を叩かれ我にかえった。
私の話してるのを聞いて、大体の察しはついたのだろう…
先輩看護師が心配してくれた。
正直泣きそうだった。今にも涙があふれだしそうだった。
「大変だろうけど、今は仕事中だから、ふんばって!」
先輩の言葉で、必死に耐えた。
そして、何かを忘れようと仕事に集中した。
今日は看護学校の卒業式で、いつもより早めに仕事をあがれた。
寮に戻り、学校の卒業式に行く準備をした。
あまり時間がなく、友達と一緒に行く約束をしていたので、いろいろ考える余裕がなかった。
…卒業式の内容など全く覚えていない。
普段は学校が終わると、病院に戻らなくてはいけない。でも、卒業式の日だけは免除されていて、もちろん待機の当番もない。
みんな友達同士で、パーティーをする。
私はそんな気分になれず…こんな沈んだ気分では、友達に悪いと思い、体調が悪いと誘いを断った。
式場から、寮までどうやって帰ったのか覚えていなかった。
寮に戻ったのは、9時を過ぎていた。
式が終わったのは、3時すぎ、普通に帰れば1時間もかからない…
今でも、どこを通って帰ったか、思い出せない。
寮の部屋でひとりでいるのは、たえられなかった。
卒業式という晴れやかな日に、一人でいる淋しさ…
井川さんの奥さんの話…
今日の夜勤は…仲が良い先輩二人。
私は、軽い差し入れを持って、病院の詰め所へ向かった。
寮の部屋のドアにメモを残した。
…電話があったら、出掛けてると伝えて下さい…
「お疲れさまでーす。」
明るく詰め所へ入っていった。
『どうした? 今日卒業式やろ? おめでとう。どっか行かんかったと?』
「もう、みんな明日仕事だから早めに解散したんです。」
嘘をついた。
幸いに、その日はそんなに忙しくなくて、先輩たちと12時近くまで話していた。
「じゃあ、お邪魔しました。」
と、寮へ戻った。
部屋の前で、立ち止まった。
ドアにはたくさんのメモが貼られていた。
メモには…○時○分、井川さんより電話ありました。
1時間毎に電話が入っていた。
最後は、11時30分でメモには「何時でもいいので、帰ったら連絡下さい」とあった。
部屋に戻り、私は何も考えないように必死で眠りについた。
長い1日がやっと終わった。
それから、数日間は彼からの電話には出なかった。
学校は卒業したので夕方には仕事が終わる。
仕事が終わって、出掛けようと、駅に向かって歩いていた。
不意に肩をつかまれた。
驚いて振り向くと、井川さんだった。
振り払おうとしたが、出来ず、無理矢理車に乗せられた。
何故か彼はものすごく怒っていた。
近くの公園の駐車場へ車は入った。
電話に出ない私を捕まえるために、彼は毎日夕方から、翌日の朝まで、病院の近くに車を止めて、じっと待ってたんだと聞かされた。
いつ出てくるかもわからない私を待ち続けた。
異常とも思える彼の行動…
当時は携帯電話も今ほど普及していなかった。私が電話に出なければ、連絡は取れない。
あの頃の私は、何にも見えていなかった。
ある意味ストーカーじみた行動さえも゛愛゛だと勘違いした。
駐車場に車を止めた彼は、ゆっくりと話し始めた。
「何で電話に出ない。話も出来ないだろ? 俺が信じられないのか!」
『奥さんから電話あったよ。別居してないし、離婚する気もないって。』
「ふぅ~」
彼は大きくため息をついた。
「あいつの話と俺と、どっちを信じるんだ?」
と、頭をぽんと軽くたたかれた。
- << 76 「…」 いつまでも黙ったままの彼。 『家にお金入れてないの?』 『何も言ってくれないと、わからないから…』 それでも何も言わない彼に少しイライラし始めた。 『こんなんじゃ、無理だね。もう別れよう…』 そう言って、車のドアに手をかけた。
「俺は、お前との事真剣に考えて、あいつに正式に離婚してほしいと言った。養育費はきちんと約束通り支払うからと。なかなか、離婚に応じてくれず、お前の事をきちんと説明しろと言われて、話してしまった。」
『奥さんそれで私に電話を…』
「ごめん。」
『で、学費を出してもらってるでしょ!とか言われたけど…』
「…」
『私は、あなたにお金の援助は受けてないよね!』
彼は何も答えてくれない…
どういう事?
「ちゃんと話すから待て!」
車から降りようとした私の肩をつかんで、彼が言った。
『私にわかるように説明して。』
そう言って、私は座り直した。
「実は、お前の寮の近くにアパートを借りようと思ってる。
それでお金がいるから…」
『で、養育費を払ってない?』
彼の話をさえぎるように私は言った。
「違うって!ちゃんと話聞けよ。約束の期日に間に合わなかったけど、ちゃんとお金は払ってるから。ただ、夜バイトを入れたから、なかなか連絡がとれずに、あいつが焦ったみたい。」
彼は説明してくれた。
私に電話をした後、養育費の振り込みを確認した奥さんが、彼に連絡してきたと。
一時の感情で私に電話をしてしまった。と。
で、もう一度話し合いをして、離婚は子供が高校卒業するまではしない。
私には二度と連絡を取らない。
そう決まった。
という事だった。
そう…今なら、今の私なら…
こんな嘘は、簡単に見抜く事が出来るのに…
あの時の私にはそれが出来なかった。
「お前との結婚」そんな甘い言葉が、私の判断を鈍らせた。
実際…あれからは奥さんからは何も連絡はなかった。
…少なくとも私が、彼を信じてる間は…
私はプレゼントとかは、必要以外は受け取らないようにしていた。
そんな私に彼がある日…
「車の免許は持ってて邪魔にはならないから、若い時に取ってた方がいいから」
と、自動車学校の申し込みをしてきた。
と報告された。
びっくりしすぎて声が出なかった。
彼がしてくれた事に戸惑いながらも 私は自動車学校へ通い始めた。
春だった。
看護学校の入学式ももうすぐだった。
私はまだ気付いてなかった。
神様が私に試練を与えようとしていることに…
とてもつらい試練を…
私は休みを利用して、自動車学校へ通った。
井川さんとの付き合いも順調で、寮の近くに借りてくれたアパートへ時々泊まった。
穏やかな時間が流れていた。
私は何も知らずにいた。
すぐそこまで嵐がきている事に…
来週はいよいよ入学式。
この頃から少しずつ何かが動き始めていた。
井川さんは夜の仕事を始めたとかで、アパートで待っていても朝まで帰らない事が多くなった。
昼間は私も仕事で連絡が全くとれない日が何日も続いていた。
この時の私は…
自分の事で頭が一杯で、彼の事を疑う余裕などなかった。
「彼を信じている」
…何て都合のいい言葉だろう。
いや…あの時の私は本当に信じていた。
スケジュール帳を見ながら、もうすぐ生理予定日…入学式に重なると嫌だなぁ。
そんな事を考えていた。
連絡がとれた時の彼は優しかった。
自動車学校の事や仕事の事…変わりはないかといつも気にしてくれた。
あっ! 良かった。生理始まった。
と思い何度もトイレへ行く…まだだった。
あぁ…入学式に重なるね。スーツなのに最悪。
新しい学校に対する不安と、休みに自動車学校に行ってるので、疲れのせいか体調が少し悪かった。
時々吐き気もあった。
…結局入学式の日にも生理は始まらず、1週間以上遅れていた。
遅れる事はめずらしくなかったから、環境の変化のせいだと思った。
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