twinklebell
やっと…
この日が来たんだね…
長い…
先生達の授業という試験に
合格して…
この日を迎える事が出来た。
私の鐘とママの命火が綺麗に鳴り響く時…
やっと出会えるんだね…
この日のために私…
本当に頑張ったんだよ…
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今日も朝から優しい音楽が鳴り響く。
「はぁ…起きなきゃ…。また急がないと怒られちゃうよね…」
私がのそのそと準備をしてるとメイちゃんが来た。
『ほら~ハナちゃん早くしないと先生に怒られちゃうよ‼』
いつものんびりというかマイペースというか…
このせいで、よく先生に怒られるんだ…
私は、これでも一生懸命してるつもりなのにな…
しょんぼりしてる私を元気づけてくれるのは、いつもメイちゃん。
『ハナちゃん、大丈夫だよ。一緒に頑張ろう😊』
私はメイちゃんに励まされ支度をした。
皆が集まってる泉の部屋に行くと先生はもう来ていた。
はぁ…また怒られる…
先生は私を見ると溜め息をついた。
『ハナちゃん…君はいつも遅刻ですね。そんな事じゃ、これからの試験が大変ですよ。』
先生は、やんわりと私を叱る。
そんな時いつも助け船を出してくれるのが月子先生だ。
『太陽先生…ハナちゃんは少しずつ来るの早くなってますよ。頑張ってるんですよ。』
月子先生は、いつも優しくて私達を見守ってくれている。
太陽先生は厳しいけれど、皆をいつも支えてくれる。
私は二人が大好きだ。
それは、皆が同じ気持ちだった。
だから離れたくなくて駄々をこねる子がいても可笑しくなかった。
けど…
私は二人が好きだけれど…
一番はママだから…
私だけのママ…
早く会いたいなぁ…
でも、そのためには神様の試験に合格しないといけないんだ。
私は、その試験が難しいって聞いているだけで
どんな試験かは知らない。
時が来れば分かるって皆言うけど誰も教えてくれない。
皆が秘密にするからこそ私は試験に合格するよう頑張らなきゃいけないんだって。
頑張れるか不安だけど…
皆と一緒なら大丈夫だよね?
ママ…待っててね。
ハナ…頑張るからね。
毎日毎日、一緒の授業をするわけじゃなく
1日1日が違った内容になる。
皆、一緒の時もあれば、
1人1人個別の時もある。
それが誰かと比べないように先生達が決めたこと。
でも私も皆も、それが良かったって思ってる。
だって自分が惨めになったりするから…
皆には出来て自分だけ出来ないなんて…
そんな悲しい思いをさせないために先生達が決めたんだって。
私達は試験に合格したら
授業よりずっと大変な旅に出ないといけない。
そのために皆、いろいろと勉強したりするんだ。
チャンスは一度しかないから
そのチャンスを実らすために私達は学んでいる。
試験に合格していった皆は神様から鐘を貰うんだ。
それは1人1人違う鐘で同じのはないんだよ。
それはママの命火のためだけに作られた鐘なんだって。
だから同じ物は存在しないって先生が教えてくれたんだ。
ママの命火はいつもあるわけじゃないんだ。
私達には見えない。
鐘を手にした時に初めて見えるんだって。
だから私にはまだどんなのか分からないんだ。
それに…
まだママも決めてない。
皆どんどん決めていくけど…
私にはまだママをどうやって選んでいいか分からないんだ…
皆、今までの経験から学んでママを選んだって教えてくれたけど…
私はよく覚えてない…
私は決めれない自分がいけないんだって思ってた。
けど…
月子先生がね
『焦らなくていいんだよ。ハナちゃんにしか分からない何かを感じる時がくるんだよ』
月子先生は優しく微笑んだ。
「何かを感じる??」
私には意味が分からなかった。
すると太陽先生が、しゃがんで私の手を握った。
『ハナちゃんだけが感じる物…それは笑顔かもしれない。もしかしたら泣き顔かもしれない。
皆が皆、簡単に見つかった訳じゃないんだよ。皆、1つの煌めきを見つけた時にママを決めていったんだよ』
優しい太陽先生…
先生達は私が駄目なんじゃないって教えてくれたんだ。
私にはまだ先生達が言っていた何かを感じたり煌めきを見つける事は出来ない。
だけど自分のペースでいいって
先生が言ってくれたから…
私…頑張るね
いつか会えるママのためにも。
先生、これからもよろしくね。
泉の部屋では皆が下界のママを見ている。
私とメイちゃんも一緒に覗きこんでみた。
メイちゃんもまだママ見つけてないから私と見る世界が一緒だ。
ママを見つけた子には、その子のママが見えるんだって。
私はいつものように寝そべって下を見ていた。
ママ…
私だけのママ…
何処にいるのかな?
煌めきを見逃さないようにジーって見ていると誰かが叫んだ。
『あっ‼見つけた‼』
皆が叫んだその子の方を見た。
まだママを見つけてない私達は、一斉に駆け寄った。
「何が見えたの⁉」
メイちゃんが聞くと
『ママの煌めき…僕のママ』
男の子は嬉しそうに顔を赤らめてる。
私達がもっと聞こうとすると太陽先生が来た。
「太郎くん。ママを見つけたんだね。おめでとう。」
先生に連れられて太郎くんは行ってしまった。
先生が太郎くんを連れて行っちゃうから皆、ふてくされてた。
私もその1人
「あ~あ。もっと聞きたかったな…」
私が言うと皆、頷いてた。
皆が皆、一緒に頷くから可笑しくて皆、笑ってた。
私達は、また泉を見ていた。
下界には子供を欲しがっている人が沢山いた。
そしてその逆も…
ママのお腹にいる事が出来なくて私達の元に帰ってきた子は沢山いた。
私もそうだった…
私は確かにママに会いに行ったんだ…
だけど…
ママと会う事が出来なかった。
ママは私を産んでくれなかったよね…
ママが私に気付いた時、すっごく驚いてた。
でも…
喜んでくれてたのに…
ママの愛した人が許してくれなくて…
ママは私を必死に守ってくれてたよね…
私…覚えてるよ…
ママの声…
いつも優しくて心地好かった。
ママはあの人にいつも泣かされてたよね…
私、ママが泣いてるの聞くと悲しかったよ。
私が傍にいたら守ってあげれたのにね。
私はいつも聞いているだけだったから何も出来なくて…
だから私も悲しかったよ…
私…ママを苦しめたかった訳じゃないのにね…
ただ…抱き締めて欲しかったんだよ…
ママ…悲しい思いをさせてごめんね…
ママ…もう泣かないでね…
ハナは元気だから
ハナは少しの間だけどママと一緒にいて幸せだったんだよ…
ママありがとう…
私に愛を沢山くれて…
私は前のママを思い出していた。
涙目になってる私に気付いたメイちゃんが心配そうに見ていた。
私は涙を拭くとニッコリ笑った。
メイちゃんは何も聞かなかった。
私の手を握ってくれている。
その手から大丈夫だよって気持ちが伝わってきた。
メイちゃんありがとう。
私はメイちゃんの手を握り返して下界を見ていた。
下の世界で前のママを見つけた。
ママは前より痩せて寂しそうな顔をしている。
何でだろう…?
ママ…まだ泣いてるのかな?
私は、ずっと前のママばかり見ていた。
一生懸命、仕事している。
ママお酒飲むと甘えん坊になるんだ。
毎日、お酒飲んでるけど大丈夫かな?
私はママから目が離せないでいた。
ママの傍には優しそうな人がいる。
その人といるとママ幸せそうな顔してる。
良かった。
ママ今は幸せなんだね。
私はママを見ているとホンワカ温かい気持ちになった。
その時、隣の男の子が呟いた。
私が男の子の方を見ると男の子は泣いていた。
ママって言ったから、この子もママに出会えなかったんだろうな…
私は、メイちゃんがしてくれたように男の子の手を、そっと握った。
男の子はビックリして私を見た。
私はニッコリ笑って
「大丈夫だよ。」
って言ったんだ。
男の子は涙を拭いて私の手を握り返してきた。
そして…少しずつ話してくれた。
『僕…ママに会えなかったんだ。ママ…僕の事…』
泣きそうな顔になっている。
「嫌いなんかじゃないよ。大丈夫だよ。私もママに会えなかったけど…
嫌いになんてならないよ。だって私、ママが好きだから。」
「少しの間でもママの子供でいられて幸せだったよ。
君は違ったの?」
男の子は私の言葉に首を横に振った。
『僕もそうだったよ。幸せだった。』
私は男の子がそう言うと嬉しくなった。
「私ね、ハナって言うの。宜しくね。」
『僕はルカ。仲良くしてね』
私とルカは話してるうちに、すっごく仲良くなった。
ルカは、涙もろいけど優しい男の子だった。
ルカもまだママを見つけてないんだって。
ある日、いつものようにメイちゃんと授業を受けていた。
今日は体力作りの授業。
私達はママに会いに行くときに、いっぱい泳がないといけないんだ。
途中で疲れないように体を馴らすんだ。
でも皆、泳ぐの上手いから体力作りより遊んでる感じかな?
追いかけっこしたり光の種を拾ったりして楽しいんだよ。
太陽先生も笑って皆と遊んでくれるしね。
月子先生は明るい時間帯にはいないんだ。
月子先生は、暗くなったら授業をしてくれる。
でも毎日じゃなくて、たまになんだよ。
星の煌めきの授業…
すっごく綺麗で吸い込まれそうになるの。
皆、たいてい途中で寝ちゃうから子守唄みたいな感じかな?
私は月子先生の授業、大好きなんだ。
だって…ママの命火に似てるんだもん。
だから私は、いっつも星を眺めてるんだ。
今日は命火の授業。
命火って言うのはママのお腹に行ける時に灯って私達を導いてくれるの。
でもね、いつでも行ける訳じゃないんだよ。
神様が与えてくれなきゃ命火が煌めく事はないんだ。
誰にでもはあげれないんだって。
どんなに私達を待ってる人がいても命火は適応しない場合があるんだ。
ちゃんと時期が来ないと駄目なんだって先生が言ってた。
簡単にいかないから神秘なんだよ。
そして、私達が神様から貰う鐘
私は一度貰ったのに忘れちゃった。
綺麗ってだけしか覚えてないんだ。
あの時はママに会える喜びで、それしか考えてなかったんだよね…
もっとちゃんと見ておけば良かったな…
あっ
太郎ちゃんに見せてもらおうかな?
私は思い付くとメイちゃんを誘って太郎ちゃんに会いに行った。
太郎ちゃんは泉の部屋で先生と話をしている。
私達は太郎ちゃんに近づくと先生が私達に気付いた。
『ハナちゃんにメイちゃんどうしたのかな❓』
私は、先生に先に話しかけられて、ちょっと動揺しちゃった。
「あの…あのね…太郎ちゃんに鐘を見せて貰いたくて…」
私は、モジモジしながら言ってみた。
すると先生が
『見たいの❓う~ん…本当は見せちゃいけないんだけど…内緒だよ』
って口に指を当てて言った。
月子先生は周りを見て皆にみつからないように私達を手招きした。
太郎ちゃんはニッコリ笑いながら首にかけてある鐘を見せてくれた。
私達はキラキラ輝いている鐘を見つめていた。
余りにも綺麗すぎて言葉を忘れてしまったぐらい
太郎ちゃんの鐘はネックレスとして太郎ちゃんから離れないようになっていた。
私が小さいなぁって見てると先生が説明してくれた。
『神様から貰った時は、今よりもう少し大きいんだよ。
皆がママに会いに行くときに手に持ってると落としちゃいけないって
気がそれちゃうでしょう❓
だから…神様から貰った後に私達がネックレスにして
皆から鐘が離れないようにしてあげてるの。
だって、ママに会える大切な鐘だからね。
皆が大好きなママに会えないと困っちゃうもんね』
私とメイちゃんは顔を見合わせた。
先生の言う事は最もだ。
大好きなママに会えなくなるなんて絶対に嫌だもん。
私達は太郎ちゃんにお礼を言って泉を見に行った。
私はまた前のママを見ていた。
今日もお仕事頑張ってる。
ママが笑ってると私まで嬉しくなる。
ママが寂しそうな顔をすると私まで悲しくなっちゃう。
ねぇ…ママ…
私またママの元に行きたいなぁ…
なんて…無理だよね…
その時…
キラッ✨
「あっ!!」
私の声にメイちゃんはビックリしている。
光った…
ママの中で確かに光が見えた。
何で…?
『ハナちゃんどうしたの❓』
メイちゃんは心配そうに私の顔を覗きこむ。
私はメイちゃんを見ると涙が溢れた。
どうしよう…どうしたらいいの?
ママの元にまた行ってもいいの?
私は動揺していた。
だって…
ママに会えるかもしれない…
その嬉しさと不安で涙は止まらなかった。
泣いている私をメイちゃんは抱き締めていてくれた。
私達のただならぬ様子を感じて月子先生が傍にきた。
私達は月子先生に連れられて部屋の外に出た。
私が泣き止むのを待って先生は尋ねた。
『ハナちゃん❓何があったの❓』
私は、ゆっくりと事の成りを説明した。
そして今の気持ちも…
先生は話を聞くと太陽先生の部屋に連れて行った。
月子先生は太陽先生に事情を話している。
太陽先生は話を聞き終わると私の傍に座った。
私の手を握り話し出した。
『ハナちゃん…前のママにもう一度行ける子は中々いないんだよ。
前の時は…残念だったよね。
今回もママに会えるかどうか分からない。
皆、ママに会えなかった子達は辛いから違うママを探すんだよ。
ママを憎んでる子は誰もいない。
皆、ママが好きだからこそママの幸せを祈ってる。
先生達はハナちゃんに…
辛い旅をさせたくないんだよ。』
私は先生の目を見て
「でも、ママに会いたい。」
『今度は産んでくれるかもしれない。
でも…ママの命火とハナちゃんの鐘が会えなかったらどうするんだい❓
また辛い思いをするかもしれないよ❓』
先生は私を本当に心配してる。
でもね…もう私、決めたよ。
「それでもいい。ママに会いたい。ママじゃなきゃ駄目なの!」
先生は私の意志が変わらない事を感じていた。
『ハナちゃんが決めたなら先生もう何も言わないよ。
でもね…決心したなら何が何でもママに会えるように頑張るんだよ。
明日、神様の試験を受けなさい。
でも…もし考えが変わったら…
いや…
ハナちゃんなら頑張れるよ。
先生達はハナちゃんの味方だからね。
今日は、ゆっくり休みなさい。
明日から大変だぞ‼』
先生は私の気持ちを分かってくれた。
先生ありがとう。ハナ頑張るよ。
先生の部屋から出るとメイちゃんが待っていてくれた。
私はメイちゃんに全てを話した。
メイちゃんは何も言わず、ただ抱き締めてくれた。
メイちゃんなりの励ましだった。
メイちゃんありがとう。
いつも私を支えて励ましてくれて…
メイちゃんと友達になれて本当に嬉しいよ。
メイちゃんは私の手を握り私達の部屋に帰ろうと歩きだした。
帰り道、メイちゃんは何も話さない。
メイちゃん…何を考えてるのかな?
私はメイちゃんの様子がいつもと違う事に気付いていた。
しばらく歩くとメイちゃんは立ち止まった。
私はメイちゃんの顔を見た。
メイちゃんは私をみつめ話始めた。
『ハナちゃん…私…私ね…ハナちゃんが羨ましい…
だって…私は前のママに会いたくても会えない…
どんなに願っても叶わないんだよ…』
メイちゃんは泣いていた。
私は理由を聞いていいのか分からなかった。
だって、いつも明るくて優しいメイちゃんが泣いているんだもん…
だから…何も言えずにただ話を聞いていた。
『私のママはね…体が弱かったの…
メイを産む時も危なかったんだって…
私がママと一緒にいれたのは3ヶ月だけ…
ママは私をすっごく大事にしてくれて…
ママから、いっぱい 愛をもらった。
でもね…
ママは死んじゃった…
ママは私を産んだから…
だから…
私…ママが大好きだった…
泣いたらいつも優しく抱っこしてくれて…
どんな時でも温かくてメイを包み込んでくれてた。
でもね…ある日
どんなにママを呼んでもママが来てくれなくて…
ママ…ママ…って泣いてもママを感じる事が出来なかった。
ママはもうその時…息をしてなかったんだって…
生まれつきの病気で…
メイ…ママに会いたかっただけなのに…
ママを苦しめちゃった…
メイがママに会いに行かなきゃ…』
「違うよ!メイちゃんのママはメイちゃんに会えて幸せだったはずだよ。
メイちゃんにいっぱい愛をくれたのは、メイちゃんがいて嬉しかったからだよ。
だから…自分を責めないで…
メイちゃんが、そんな事言ったら…
メイちゃんのママ悲しむよ…」
私は精一杯の言葉をメイちゃんに伝えた。
神様…メイちゃんを助けて…
違う…
誰かに頼っちゃ駄目だ…
私がメイちゃんを守らなきゃ!
そう心に決めた時、星だけの空がキラキラ輝いた。
ひとしきり大きな光が目の前にくる。
私は眩しくて瞼を細めた。
『合格です。よく頑張りましたね。さぁ、手を…』
私は訳が分からなかったが言われるまま手を差し出した。
『ハナちゃん貴女だけの鐘をあげましょう』
私の手には七色に輝く鐘があった。
鐘…?
合格って…もしかして神様の試験?
『そうです。ハナちゃんは自分の力だけで大切な友達のメイちゃんを助けようとしました。
誰かに頼る訳でなく自分なりの方法で大切な人を守る
それが出来るかどうかが貴女への試験だったのです。』
神様…?月子先生?
『ふふ。そうです。私と太陽先生は二人で1人。
皆を見守るために先生として傍にいたんですよ。』
私はビックリしたが、そうなんだ…っと納得していた。
私は、はっと気付き、メイちゃんを見た。
メイちゃんは神様の腕の中で眠っていた。
「先……神様。メイちゃんは?」
『大丈夫です。メイちゃんは今の事を忘れています。
彼女の心は悲しみだけしかありません。
でも、悲しみだけじゃなかったという記憶を思い出させました。
メイちゃんが忘れてしまっている大切な記憶を…
さぁ、今日は帰りなさい。
二人を部屋まで送りましょう』
神様は、そう言うと手を振りかざした。
私達は、眩い光に包まれた。
私が気付いた時は、もう日が上っており辺りは明るくなっていた。
隣を見るとメイちゃんは眠っている。
私は昨夜の出来事が夢だったのかと思った。
でも…私の首には鐘がネックレスになってキラキラ輝いている。
夢…じゃなかったんだ…
私、神様の試験に合格したんだ。
もうすぐ…ママに会えるんだ…
私が鐘にみとれていると、メイちゃんが目を覚ました。
『綺麗…』
メイちゃんの目は私の襟元に注がれている。
『ハナちゃん良かったね。もうすぐママに会えるんだね』
メイちゃんは笑っている。
私は昨夜の事を聞こうと思ったが、メイちゃんが笑っていたから聞くのを止めた。
いつかまた話してくれるよね…
メイちゃんの話したい時に、ちゃんと聞いてあげよう…
メイちゃん…無理しないでね
私達は泉の部屋に行ってみた。
何だか賑やかで皆がざわついている。
何?
私達が疑問に思っていると皆の中心に太郎ちゃんがいた。
太郎ちゃんは、これからママの所に旅立つみたいであった。
皆、太郎ちゃんが無事ママと会えるように励ましている。
私達も太郎ちゃんに一言話そうと皆をかき分けて行く。
太郎ちゃんは私達に気付くとニッコリ微笑んだ。
『ハナちゃん良かったね。
神様の試験に合格したんだね。
次はハナちゃんの番だよ。』
太郎ちゃんは私に祝いの言葉をくれた。
「太郎ちゃん頑張ってね。太郎ちゃんなら絶対ママに会えるよ。」
私は太郎ちゃんにそう言うと太郎ちゃんは笑っていた。
『ありがとう。ママに会えるように僕、頑張るよ』
皆、太郎ちゃんがママに会えるのを本当に祈っていた。
『さぁ、太郎ちゃん神様がお待ちですよ。行きましょう。』
そう言って現れたのは月子先生だった。
太郎ちゃんは皆に手を振ると月子先生と行ってしまった。
私達はドキドキしていた。
今、まさに太郎ちゃんが旅立つのを緊張しながら待っていた。
その時…
虹の丘から、眩い光が見えた。
太郎ちゃんが飛び立つ時が迫っているんだろう。
皆の視線は太郎ちゃんに釘付けだ。
そして…
今までより一際、眩い光が1つの命を送りだそうとしている。
『さぁ、行きなさい。ママの命火を目指して心を一つにするんです。
太郎ちゃんの幸せを皆が祈っていますよ』
太郎ちゃんは神様にお礼を言うと鐘を鳴らしママの元へ旅立った。
光の粒は、凄い勢いで下降していく。
太郎ちゃんはママの命火を目指して一直線に進んでいる。
「ママ…今から行くよ。ママ…僕を導いてね。」
太郎ちゃんにはママの命火しか見えない。
太郎ちゃんの思いが届いたのかママの命火は煌めいていた。
後少し…
ママ…もうすぐだよ…
太郎ちゃんは最後の力を振り絞って速度をあげた。
ママの命火は太郎ちゃんを受け入れるかのように柔らかい光に包まれている。
カラーン
太郎ちゃんの鐘がママの命火に重なると綺麗な音を出した。
太郎ちゃんはママに包まれた。
鐘の音は私達にまで届いた。
鐘を聞いて皆が喜んでいる。
神様の元には太郎ちゃんの鐘が返ってきていた。
『ご苦労様。無事辿り着けたみたいだね。』
鐘は小さく音を鳴らすと羽根を羽ばたかせ飛んでいった。
『相変わらず忙しいなぁ。さて…次はハナちゃんですね』
神様は嬉しそうに微笑んでいた。
泉の部屋では皆がママをみている。
私は、もうすぐ自分も旅立つ事を感じていた。
でも…メイちゃんの事が心残りだ。
メイちゃん何も言わないけど大丈夫なのかな…
メイちゃん…
私の気持ちが通じたのかメイちゃんは私を見た。
皆の歓声の中で小さく呟いた。
『ありがとう。』
私は微かに聞こえた声で、メイちゃんが大丈夫何だって伝わってきた。
「私こそありがとう。」
メイちゃんは私の言葉を聞くとニッコリ笑ってくれた。
もう大丈夫なんだね!
神様がメイちゃんの悲しい記憶を閉じてくれたのかな?
メイちゃんが元気になって良かった。
ありがとう…神様
私達を見ていた月子先生は近くまで来ると私達を抱き締めた。
『貴方達は本当に友達思いね』
先生は私達を抱き締めたまま嬉しそうにしている。
「先生…苦しい」
メイちゃんの声で先生は抱き締めていた手を離した。
私達はフゥーって息をすると皆で顔を見合わせた。
何だか心の中がポカポカして暖かい気持ちで満たされた。
私の気持ちと繋がっているのか鐘もキラキラ輝いている。
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