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【あの日の偶然】
初めまして。
ひとつ、オリジナル小説を載させて頂きます。
是非、よろしければご感想、評価を^^
お手柔らかにw
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「あの日の偶然」
俺の名前は「門田 無月(かどた むづき)」
そう、高校生最大のイベント
【修学旅行】
今日はその二日目
偶然にも友達の友達の繋がりで、クラスに居ながらもほとんど話したことも無かった憧れの君「日ノ本 亜美(ひのもと あみ)」と同じグループ。
グループって言っても自由行動を仲間同士で連れ合う感じだけれどね。
昨日はなかなか寝つけなくって、朝食のバイキングもパスして一人お寝坊。
「少しは喋れるかな」
「仲良くなれないかな」
なんて思いながらギリギリまで寝て、手軽にカロリーメイトで朝食を済ませ皆の元へ。
一昨日から少し風邪をひいてマスクをしていた彼女。
今日も一応マスクをしているけど、元気そうな感じで俺の不安も寝不足も、あの子の笑顔に癒された。
そんな彼女と、ふと目が合った
彼女は少し恥ずかしそうに笑って近付いてきてくれる。
「おはよ♪」
②
そしておもむろに携帯をポケットから取り出すと、俺と並んで自分撮りでパチリ☆
「ぇ…」
突然のことに戸惑っている僕に
「うまく撮れたよ?」
にっこり笑って携帯を見せる
心臓はバクバク
ぎこちなくも平静を装い、携帯の画面を覗く
って…俺の額に【肉】の字…
その瞬間、彼女は失笑
友達達は大爆笑
「ちょっ…ぉまぇらっ」
携帯をかえし、慌てて額を指で擦り文字を落とす。
まぁノリで大バカばっかりやってる俺たちは、これくらいは普通なのだが、さすがにこれは恥ずかしすぎる。
もちろん奴らは俺が日ノ本さんを好きなことなど知らない。
いつもの他愛ない冗談で一気に場を盛り上げたってくらいの感覚だ。
「門田君、全然落ちてないよぉ」
日ノ本さんが脇に抱えたバッグから手鏡を取り出して見せてくれた
「ごめぇん!無月っ!コレで書いちゃった!」
友達から投げ渡された物…
油性の王道【マッキーペン】
③
「ぉ…ぉまぇらぁっ!バカァ~コレじゃもうお嫁にいけなぃわぁ!清水の舞台から身投げしてやるぅ!」
そういって、元々一番最初に皆で行く予定だった清水寺に一人で走り出す。
しっかし、どんな恥ずかしくても習慣(?)てのかな、普通にノリで返してる自分って凄いなぁなんて思ってみたり
一人で走り始めてすぐ後ろを振り向くと日ノ本さんが一人で追いかけてくる。
当然他の奴らは見向きもせず談笑しながら歩いているが…
少しスピードを上げても日ノ本さんは頑張って着いてくる。
…って、結構走ってるよな…
もしかして、さっきのノリが理解しきれずに責任みたいなの感じちゃったのかな…
と、その時、日ノ本さんが足を止め咳き込み出す
あっそうだ
彼女は風邪をひいてたんじゃないか…
急いで彼女に駆け寄った。
「大丈夫?ごめんっ」
すると彼女も少し苦しそうな笑顔で息を整えながら
「えっ。全然!こっちこそごめんね?全然話したことも無かったのに、いきなりあんなことして…」
最後らへんは本当に申し訳なさそうなしょんぼりした顔をする。
こゆとこも好きだなぁ…と心の中でつぶやいてみたり。
④
そして彼女にあんなの茶飯事だからって全然大丈夫だよ?なんて何度も言い聞かせるように言った。
彼女の咳も止み、「んっん」とのどを確かめるように鳴らす。
そこからは、やったこと、やられたことの武勇伝(?)をいくつも並べながら二人で歩いた。
さすがに俺たちはバカなことをしまくってるので、一つ一つで日ノ本さんは本気で笑ってくれたり、痛そ~な顔をしたり。
ころころ変わる表情に見とれつつも、この話題をやめたら間が持たないだろう自分の雰囲気に、ずっと俺はしゃべり続けた。
最初は色々期待してた矢先になんてことしやがったんだ!なぁんて思ったけど、今ではあいつらに感謝だな♪
自分ひとりじゃこんな風に、日ノ本さんと会話なんて出来なかっただろうし、ましてや二人きりで…なんてね。
「あ、そうそう。さっきの保存しちゃった♪門田君も修学旅行の大ボケ記念に居る?っていうかコレは本人がもってるべきでしょ~」
そういって、楽しそうに彼女がアドレスを教えてくれた。
受信中…
……….ne.jp
日ノ本さんからの初メール♪
⑤
そして、そこには間抜けな顔して額に【肉】の俺と、可愛らしくピースして隣に写っている彼女の2ショットの写メ。
「うっわぁ~コリャひでぇ~」
なんて言いながら必死で前髪をかき下ろし、額を隠そうとする俺。
覗き込んで無邪気に笑う彼女。
コレってすっっっっっっっっごく幸せ!!
っと、そうこうしているうちに、後ろからゾロゾロと皆が追いついてきた。
ま、彼女にあわせてゆ~~っくり歩いてたし、こんなもんかな?
そして皆に合流して、適当に軽いとび蹴りを一発見舞って
「こんにゃろう!コレ今日とか消えねぇじゃん!お前ら、【俺の日】が来たら怖いよ?」
と脅しっぽく言い放つ。
「ぇ、うぁ!確かそろそろじゃん!無月デー!」
「やっべぇえええ!お願いお願い?哀れな僕ちゃんを許ちて?」
次々に仲間達が許しを請う。
そこに…
「無月デーって?」
不思議そうに日ノ本さんが聞いてくる。
そこに俺の友達と、その友達さん。(てか、彼女?)
いわゆる今回、俺と彼女を同じグループにしてくれた恩人様の二人が答える。
⑥
「ん?ぁぁ。亜美、月の満ち欠けって知ってる?」
突然の小学生理科程度の質問に学年トップクラスの成績の日ノ本さんが返す。
「やえちゃぁん。それっくらいは知ってるよぉ~」
「あはは。それでね新月ってあるじゃん?月が見えないの。アレでね小学校のころ授業でやったときに無月がコレって月が無いの俺の日じゃん!とか大声でさ~クラス大爆笑!ありゃ伝説だよ伝説!ちなみにちなみに!月食んときはコイツ大魔王なみだから!」
と、思いっきり笑いながら説明する。
なんだかんだで小中高って学校とか友達とか段々変わってきたけど、コイツだけはあの時からずっと一緒の親友なんだよなぁ。
ま、腐れ縁とも言うけどね。
って、普段から俺の過去のこと持ちネタにしすぎだしな…
そんな感じでくだらない笑い話とともに時間は過ぎた。
やはり比較的?最初に一緒に居たこともあって、今日は彼女の隣を歩くことが多かった。
そして、自由行動も後半にさしかかったとき、団体からちょっと遅れた場所で日ノ本さんがポツリ
「あ、無月くん歩くスピード抑えてるでしょ?ごめんね?私、歩くのトロいからねぇ~」
と、苦笑い
⑦
「いやいや、のんびりもたまにはいいんじゃない?…っていつの間にか名前…?」
と間髪居れずに慌てて日ノ本さんが言う
「あ、ごめん!やぱ馴れ馴れしかった?門田君すっごい楽しいし、ついつい仲間になった気分で…」
と、ソレを遮るように
「ぜ、ぜんぜん!もう、亜美ちゃんも仲間でしょ!コッチこそよっろすぃっくぅ!」
ちょっと焦った感じもあったけど、恥ずかしさをノリ半分でごまかすように言った。
すると、一気に明るい笑顔で
「そーだよねーそーだよね♪もう、二人は2ショ写メをお互い持ってる仲だもんね~♪」
そして甘えたような小さい声で「私、男の人と二人で写メって…初めてだったんだよ?」
その刹那【ズキン…】
胸が痛いくらい高鳴った。
「なんちゃってね~♪」
日ノ本さんがそう言ってやたら高いテンションでフラフラっと歩く。
「あ、別にさっきのは嘘じゃないけどね♪」
さっきのは冗談半分でいったにせよ、事実は事実!
ソレだけで、俺は幸せの絶頂の気分だった。
もちろん、日ノ本さんは誰にでも優しいし、明るく楽しい性格の良い人だ。
⑧
まぁ、俺以外でも憧れてる男子は少なくないんじゃないかな
それでも…この嬉しさは超ド級!
自然と顔がほころんでしまう。
でも、それを悟られないようにまたくだらない冗談とかを言いながら二人でチョコっと走ってまた皆の輪の中へ。
ソレからは修学旅行中も終わってからもポツポツとメールをした。
修学旅行の想い出。
お互いのこと。
同じクラスに居ながら、同じはずなのに全然違う授業とかの感じ方とか。
色々話題は尽きなかった。
〓〓〓〓〓〓〓〓
と、ここで前半終了です♪
後半はまた夜か夕方UPしますね~
⑨
そりゃやっぱりあのときほど二人でワイワイは出来ないけど
目が合えば挨拶くらいはするし、たまに仲間が集まれば色々話したりと仲良い感じで会話は盛り上がった。
そして今日もいつものようにメールを送る。
▼~~…って、そうだったんだぁ。 あーそうそう、俺今日バイトの給料日~♪パンパカパーン☆▲
▽ん、そうそう♪私もビックリって~いーけないんだぁいけないんだ!せーんせーにチクっちゃお!△
ま、だいたいどこでもバイトは禁止だけど、ウチの学校も当然てなくらいバイトは禁止
っても、これも当然ってなくらいに、皆コソコソとバイトはしている。
▼ひぇ~!それだけはご勘弁を~~!!!亜美姫様ぁ~(号泣)▲
そして、少~しだけ時間があいてから
▽じゃぁ、○○駅前の喫茶レムルのチョコパフェおごってくれたら黙っててあ・げ・る♪△
!!
…これって
当然俺としては断る理由も無く
▼ぐはぁ!さすが甘いもの大好き亜美姫様…。明日…ガッコ帰りで宜しいでしょうか?ぁぅぁぅ▲
▽くるしゅ~ない♪ってラッキー♪あそこのパフェ美味しいんだよね♪私、バイトとかしてないからあんまり食べれなくって~△
⑩
素直に喜んでくれてる日ノ本さんに、俺の胸が今日も高鳴った。
そして…翌日、異様なほど長く感じた授業も終わり…
ワイワイといつものように帰宅仲間が各所で群れ始める。
「おーっい無月っちゅわぁん♪昨日給料日だべ?当然、給料翌日は休みだべ?ってことで遊びいっこうぜぇん♪」
肩を組みながらいつものようにゲーセンあたりにでもってな感じで誘ってくる。
「あーわりぃわりぃ!昨日、給料もらった帰りに、人足りないって急に頼まれちゃってさ~」
がばぁっと飛び退きショックを受けた雰囲気もろだしで
「ばっきゃろぉ!男と男の約束を忘れちまったのかよぉ!!って、なぁんもしてないけどな~あっはっは」
相変わらずのテキトー系のノリで「またな」ってな具合に場を離れる。
それを見ていた日ノ本さん。
切ない顔をして
「あ、そうなんだぁ…じゃ、頑張ってね~」
と、ボソっと言ってそそくさと教室を出て行く。
「ぇ、、ぁ、ちょっと」
もちろん誤解だ
違う
そんな訳無い
彼女との約束を優先するための嘘なんだよ!
⑪
しかし、この場で言えるわけも無く、携帯を取り出してメールを打ちながら教室を出る。
あたふたと書いては誤字を直しを繰り返しながら、彼女の後を追ったがすでに帰ってしまったのかみつからず。
校門を出たあたりでメールを送信!
っと同時に背中にドン!
背後からの突然の襲撃。
よろめきながら、なんとか足を踏ん張り「なんだ!?」って感じで後ろを振り向く。
そこには受信音の鳴り響く携帯をチラつかせながら、笑っている日ノ本さんが居た。
ポカーンとした俺ににっこり微笑み
「どう?さっきの名演技でしょ?って、無月くん足速いから~教室出てすぐ隠れててさ、追いつくの大変だったよぉ~」
ちょっと悪戯っ子っぽい表情をして
「びっくりした?」
俺は呆気にとられながらもいつものノリと安堵感で一気にテンションを戻して
「まーじ焦ったからぁ~ほら、泣きそうだったよ?見てみ?」
な~んて目をまじまじっと見せる
「ぁ、、あ~ごめん?大丈夫?」
冗談で言ったつもりが、本当に俺の目は潤んでいたっぽい。
「あはは。大丈夫大丈夫♪さっきアクビしただけだからぁん♪じゃ、行こうか♪」
って、フォローなんかしちゃったりして~
「ん♪」
⑫
…カララーン
喫茶店といえばって感じのドアについている鈍いベルの音が鳴る。
「あー俺ココ入るの初めてだな~。隣の服屋はたまにくるんだけどね」
って言うより女の子とこんな喫茶店とかって体験自体が初めてだったし、何か珍しいところでも来た様に、せまい店内をきょろきょろと見渡す。
そして窓際の向かい合わせの席に座り、俺がトーストサンド、そして彼女お目当てのチョコパフェを注文する。
こうしてると誰か見たらデートだって思うんだろうなぁ
デートか…
日ノ本さんはどう思ってるんだろ?
なんとなく、ソコら辺を聞いちゃおうかなんて思って声を掛ける
「あ、亜美ちゃんは…」
「ん?」
でも、いざっとなるとそれ以上が出てこない。
っと、そこにパフェが運び込まれる。
「にゃはぁ♪まってましたぁ♪」
自分から言い出したとはいえめっちゃ困ったその瞬間に
ナイスタイミング店員!
「じゃーいっただっきます♪無月くん、ホントありがとね♪」
そう言って幸せそうに一口、二口と美味しそうに頬張る。
そして、思い出したように彼女が言った
「あーそうそう、結構前だけど、修学旅行の写メ覚えてる?」
⑬
当然覚えている。っていうより、コレは俺の宝物だ!
「あれね~。どしてきなり写メったか分かる?」
「ぇ…?な、何?」
俺は何かの期待に胸を膨らませる
彼女は顔を近づけて小さな声で囁いた
「実はね…あのマスクの下…鼻の下のところね…私、鼻毛の落書きされてたのぉ~」
俺はトーストのセットでついてるコーヒーを噴出しそうになった。
「あ、コレ、寝るときの班が別れてたから、やえちゃんとかでさえ知らないんだから、絶対絶対二人の秘密ね!!?」
なるほど
落書きされちゃった仲間だったってことか。
俺は大笑いした。
「あー笑いすぎぃ!だってだってあの時、大きいマスクで隠してたけど、一人ですっごい恥ずかしくて~そこに無月くんあんな書かれてて、超堂々と現れてさ~」
ビルの隙間から夕焼けが差し込む…喫茶店レムルの窓側
茜色に染まる二人の、楽しそうなアホアホな会話はずっと続く。
…喫茶店を出た二人の影は、触れるかどうかぐらい手が重なっていた。
そして…俺たちの長い長い時間がこうやって始まっていったんだ。。
そう、あの日…
【肉】と【鼻毛】から始まったんだ。。。
【~FIN~】
⑭【おまけ】
※後日談編
彼女と付き合い始めてから1ヶ月。
楽しい時間もありつつも、毎日の大学受験の勉強に追われていた。
お互い進学希望だし、俺もちょっと背伸びして1ランク上の彼女と同じ大学を狙うことにした。
ま、落ちたら彼女可哀想だし、秘密にしてあるんだけどね。
お互い、大体同じ学力だし…いや正直言うと彼女のが多少~は頭いいかな?
結構一緒に勉強している。
そんなとある受験勉強中、彼女が言う。
「勉強大変だけどさ、2学期終わったらさ、お正月は1日息抜きして遊ぼ?」
俺も賛成だった。
「そだな、根詰めすぎてもな。一緒に初詣でも行く?」
「ん♪あ~それとね?こないだ家の掃除してたお母さんが羽子板見つけたみたいなの♪」
そう言ってなにか企んでる様なちょっと子悪魔な笑顔で覗き込む。
「一緒にやろぉ?」
⑮
「あぁ、別にいいけど?望むところだ♪あーでも亜美ってそゆの好きだったっけ?」
と、いつも運動ごとにはあまり手を出さないイメージがあったので聞いてみた。
「ん~。普段はやらないかな?でもぉ私と無月くんよ?コレはやらなきゃ~でしょ?」
とても楽しそうに聞いてくる
…あ、、
そういうことか♪
「よっし!手加減しないぞ~?マスクで隠すのは禁止だからな?」
そして二人で大笑いをしながら、またシャーペンを手に取った。
〓〓〓〓〓〓〓〓
どうでしたでしょう?
普段はファンタジーや歴史ちっくなものを中心に書いているのですが、ふと書きたくなった青春ものです。
少しでも、読んだ貴方がフンワカ気分になってくれたら幸いです^^
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