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闇の中の天使

No.68 13/02/19 20:41
中谷月子 ( ♀ ezeSnb )
あ+あ-

≫67


「ゆかりちゃん、佐伯さんの過去の話は聞きましたか?」
「はい」
「佐伯さんは、あの事件のことで今でも苦しんでいます。あなたのこれからやろうとしていることは、彼女を救うことに繋がるかもしれませんね」と言った。
私が…佐伯さんを救う?


翌日の朝、六時にいつものようにジョギングに出た。
もちろん佐伯さんも一緒だ。
一定のリズムを保って走っていると、隣に見知らぬ黒い上下のトレーニングウェアを着てフードで顔を覆った男が走っていた。
同じような格好をした男達は次々と増え、あっと言う間に五人の男に囲まれた。
佐伯さんは、私を庇うように前に立った。「あなた達、何ですか!」無言の男は、佐伯さんの襟元を片手で掴むと後ろに引き倒した。
「由香里さん、逃げてください!」佐伯さんが叫ぶように言ったが、私はすでに五人の男に囲まれていて、身動き一つできなかった。
男の手が私に伸びてきた時、その男が「ぐっ!」と声を上げた。
見ると、いつの間にか現れた矢島さんが、その男の手首を掴んでいた。
男達の標的は、矢島さんに向いた。
私は佐伯さんに駆け寄ると「大丈夫ですか!」と肩を抱いた。
矢島さんは、合気道の技を次々に繰り出すと、いとも簡単に男達を伏した。
逃げる男達。だが、矢島さんはその中の一人の男の腕を掴むと後ろ手に捻り上げている。
「誰の差しがねだ!」呼吸一つ乱れていない矢島さんは男に聞いた。
捕らえられた男は、痛みを堪える表情だけを見せて何も言わない。
「そうか、黙秘か…。あまり物騒なことは好んではいないが、仕方ない」そう言って、スマホを取り出し「ウェイウェイ、スーウォ―。ファンミングァン?ニーハオ…」と、言った瞬間、男は「ま…待ってくれ!」と叫んだ。「シェイシェイ、ツァイツェン」と言い、矢島さんは電話を切った。
「さあ、何を話してくれるんだい?」矢島は男の顔を覗き込み、フードを剝ぎとった。
男は、怯えた表情で「お嬢様の…ご命令で。ちょっと、その女を脅して来いって…」
「お嬢様?こちらにもお嬢様はおいででね。どのお嬢様のことだ?」「そ…それは…」男はまた黙った。
矢島さんはまたスマホを取り出して「残念だな。やはりファンミングァンに依頼するしかないようだな」と、冷たく言った。
「待ってくれ!ま…真由加さまのご命令で…」

‘真由加さま’


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