親友
小説を読んでいると書いてみたくなる。
ふと小さなアイディアが浮かんだ
もっと構想を練ってから書くべきなのだと思う。
どうなるか想像ができない。
思いついたまま突っ走りますxF0
途中で断念する可能性大です。
辻褄あわないこと多々あるかもしれません。
初トライなので優しく見守ってください。
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「俺初恋も初キスも初Hも全部真に捧げてるよ。」
「嘘。」
「嘘じゃないよ。」
「祐介とキスした人2人知ってるもん。」
小3のとき、給食の準備をしていた里美ちゃんが、急に祐介にキスをされたと大泣きしていた。
「あれは廊下走ってたらぶつかってあいつの口が俺の頬に触れたんだよ。」
もう1人はSだ。
「なんで知ってんの?形だけ付き合っただけだよ。あまりにしつこいから。試合観に来てたけどほとんど話してない。」
美術のたび憂鬱だったのに…
ほらだったのか。
「俺はこんなに真を思ってるのにまだフラフラするの?」
「もう少し。多分もう少しで圭太吹っ切れる。」
「今日帰りたくないのも圭太絡みなの?」
「うん…。」
香恵のことを言う。大阪でのことも言った。
「もう山下といない方がいいんじゃね?真のこと考えてるとは思えないけど。」
「そうなのかな…。」
真が考えていると、祐介が覆い被さる。
「また元気になった。」
第2ラウンドが始まった。
「あと1個しかゴムないんだよね。もらえないかな。」
2回じゃ足りないのか?その前に抜いてるのに…。
「後で聞いてみたら?」
「もらえなかったらショックだから今聞いてみる。」
フロントにかける。
「ほんとはそういうサ-ビスはないけど持ってきてくれるって。来るまでお預けだ。」
ガウンを羽織る。
ソファで休憩。寄りかかってテレビを見る。
キスをして胸に手を伸ばす。
「ガウンって色っぽいね…。待てない。」
「もう来ちゃうよ…。んっ…。」
股に顔を突っ込んでいる。
クチュクチュと音を立てる。
舌が入る。
「ああっ。…ん。」
「もう入れたい。見てよこれ。」
祐介が立ち上がる。目の前に元気に立っている。
ガウンをめくり、キスをした。先っぽを舌先で刺激する。
汁が出てくる。丁寧に舐めた。
「くわえて。」
口に含む。根元を手で刺激する。
真の口が小さいのか、祐介が大きいのか、奥まで口に入らない。
何度もやってきた。
真も祐介のポイントを忘れていない。
「気持ちいい…。」
軽く真の頭を抑える。少し激しく動かした。
「あぁっ…。イイっ。もっと。」
インタ-フォンが鳴った。
「くそっ!いいとこなのに。」
ガウンを整えて玄関に向かった。
自分で頼んでおいて。
戻ってくるとソファで続きをやった。
祐介が座り真が上になる。
「真動いて。」
どうすれば気持ちいいのかわからない。
とりあえず腰を動かしてみる。
男の人はなんであんなに早く動かせるんだろ。
「気持ちいいよ…。」
祐介が胸を弄る。
クリを刺激する。
「あっ…ん。」
真は動けなくなった。祐介が下から突き上げる。
「んっ、あんっ…ん。頭おかしくなっちゃう…。」
「俺も…。」
真をソファに横にして更に激しく突いてくる。
「あっ、あんっ。祐介待って…。止まって…んっ。」
真が体を反らす。
「止められない…。もうイク…」
祐介のせめが容赦ない。
「もう…ダメ。んっ。ああん。」
涙が出た。体の感覚がおかしい。
祐介がイッた。真の足もビクビクしている。
「真もイッた?」
「わかんない…。足が震える。」
祐介が抱っこしてベットに連れて行ってくれた。
布団被って抱き合う。
「お風呂一緒に入ろうか。体あっためて寝よう。」
「恥ずかしいよ…。」
「何を今更。真の体の隅々まで知ってるよ。」
「やらしい言い方。」
「なぁ圭太と何回やった?」
「ん-1回。回数ってどう数えるのかな?男の人がイッた回数?」
「入れてイッた回数じゃん?」
「なら1回て言えないのかも…」
「いかなかったの?」
「途中で止めてもらったの。最後は口…。」
「途中でって…。ひどいことするね。」
「だってトイレに行きたくなっちゃったんだもん…。」
「なんか納得。俺が知ってる真のまんまだった。良かった。」
キスをする。
「上で激しく腰を振り始めたらどうしようかと思った。」
「そんなことできないよ。」
祐介が張ったお風呂に浸かる。
お湯の中で抱き合う。
祐介に優しく愛撫される。
「真の肌白くて輝いて見える。きれい…。」
濡れた肌は感受性が増すのか、触られるだけで力が抜ける。
「真頭痛いのは治った?」
「うん。でも喉痛い。」
「完璧に風邪だね。寝よ。」
人の温もりを感じて寝るのはなんて気持ちいいんだろう。
祐介の腕の中ですぐに眠りについた。
朝喉の痛みで目が覚めた。
うがいをする。間接も痛い。熱もありそうだ。
祐介の腕の中に戻る。
「おはよう…。」
キスをしようとするのを手で防いだ。
「なんで?」
「熱出た…。うつしちゃう。」
「うつしちゃえ。」
手を抑えてキスをする。
「ほんと熱いね。辛い?」
「ちょっとね。」
「病人に何やってんだよな。ごめん。まこと。」
「散々我慢させてきたから。」
抱き締める。息が熱い。
「家でゆっくりした方がいいね。送るよ。」
助手席でぐったりしている。
「家の近くで降ろしてくれればいいよ。」
「玄関まで送るよ。」
「誰かに会うかもよ。」
「そしたら逃げる。」
玄関の鍵が閉まるのを聞いて車に戻ろうとしたら晶が彼氏の車から降りて来た。
タイミング悪い。
逃げる訳にはいかないよな。
「おはようございます。」
「あれ祐介くん。真と一緒だったんでしょ?」
「すみません。昨日連れ回したら風邪引かしちゃいました。」
「すぐ熱出すんだから。薬飲ませて寝かせるよ。」
晶が家に入る。
真は居間でぐったりしている。
「こんなとこで横になると悪化するでしょ。パジャマ着替えて。」
「あきちゃんだぁ。」
「お腹空いてる?食べれそう?」
「いらない。」
真が着替えているうちにお湯を沸かしス-プを作ってくれる。
「体温めて薬飲んで寝な。」
「ありがと。」
「祐介くんに会ったよ。」
「玄関まで送ってくれた。」
「付き合ってんの?」
「ううん。」
「昨日泊まったんでしょ?」
「うん。私が帰りたくないって言ったら付き合ってくれた。優しいんだ。」
「なんで付き合わないの?」
「ちゃんと祐介だけを見れるようにならないと申し訳なくて…。」
「甘えながら祐介くんだけになればいいんだよ。」
「そうなんだよね…。でもできないんだ。祐介が離れちゃうかもって怯えてるくせにね。」
真の熱は38度を超えていた。
夕方まで寝続けた。
起きるとメ-ルが届いていた。
『悪化させてごめんな。熱下がったら連絡して』
『寝たらだいぶ楽になったよ。バイトかな?昨日は付き合ってくれてありがと』
「おなか空いた…。」
母親がテレビを見ている。
「おかゆ食べれる?」
「食べる。」
晶が作っていったらしい。週末晶は彼氏の家に泊まってほとんど帰らない。
なのに会うなんて、祐介は運が悪い。
熱を計ると37度まで下がっていた。着替えて布団に入る。
着信音で目が覚めた。
『熱下がった?起きてたら電話しよ』
祐介にかける。
「もしもし。大丈夫か?」
「1日寝っぱなし。バイトお疲れさま。」
「まだ起きてる?帰り道だから家に着いたらかけなおすよ。」
「わかった。寝てたら出ない。」
「無理して起きてないでいいからな。」
15分後かかってきた。
「まだ俺のとこ来るつもりないんだろ?」
「まだ吹っ切れてないもん。」
「それでもいいんだよ。でも真はダメなんだよな?」
「うん…。」
「俺、真知っちゃったからもう我慢できないよ。2人で会ったら抱いちゃうと思う。」
「うん。」
「友達として甘えさせることできないよ。」
「うん。吹っ切れたら私から告白するよ。」
「待ってるよ。真、愛してる。おやすみ。」
「おやすみなさい。」
祐介の声が、言葉が真を優しく包み込む。
高校3年。
祐介は受験生だ。
真は進路が決まらず、進路指導に何度も呼び出された。
進学するつもりはない。やりたいことが有るわけではないから専門学校も考えていない。
立花高校は進学校だ。ほとんど就職の斡旋はしていない。
「お前は何を考えてるんだ?」
「フリ-タ-でいいです。」
「1年何もしないつもりか?」
「はい。」
「はぁっ。とりあえず公務員試験は受けてみろ。」
「公務員?」
「それがダメだったらフリ-タ-でも予備校でも考えればいい。」
試験日程の一覧を渡された。
「両親とよく相談しなさい。」
真の両親は放任だ。
フリ-タ-でも反対しない。現に楓はフリ-タ-になった。
今は結婚して2児の母だ。
公務員か…
相談しても無駄だから、公務員試験受けることにしたと報告した。
問題集を買って勉強をする。
夏休みは短期講習会に通った。
9月は毎週試験。
圭太のことは吹っ切れていた。
祐介には伝えていない。
祐介も勉強に忙しい。真は邪魔になると思った。
祐介の大学が決まるまで真は思いを隠した。
香恵は2回目の妊娠をした。
今度は絶対堕ろさないと決めていた。
考太に報告する。
「ごめんね。注意足りなかったんだな。」
「私産むからね。」
「うん。俺働くよ。」
両親にも言った。
父親は呆れていた。
母親はまた泣いた。
「今度は絶対に産むから。」
「勝手にしろ!」
父親に怒られた。母親は何も言わない。
「勝手にする。」
香恵は部屋に籠もった。
真にメ-ルする。
『妊娠しちゃった。産むつもり。誰も喜んでくれない。真は祝福してくれるよね?』
香恵からのメ-ルは衝撃が大きかった。
今は7月だ。卒業まで8ヶ月。
高校生のうちに母親になるってこと?
真にはそんな覚悟はできない。
香恵にはできるのか?
バイトで考太と会った。明らかに元気がない。
「大丈夫?元気ないね。」
「香恵から聞いてます?」
頷く。
「夜電話してもいいですか?他に相談する人いなくて。」
「うん。いいよ。」
真はバイトを終えた。考太が決心してるようには見えない。
2人はどうなるんだろ。
10時前に電話がなった。
「もしもし?」
「あっ真さん。遅くなってすみません。」
「平気だよ。どうしたの?」
「どうしても引っ掛かることがあって……。本当に俺の子なのかなって思っちゃって…。」
真は沈黙…。
「責任逃れする訳じゃないですよ?俺妊娠するようなことしてたから…。」
「ごめん。予想してない話に頭固まっちゃった。」
2人で沈黙。
「山下に怪しい行動があるの?」
ないわけがない。この間大阪に行ったばっかりだ。
「よく高校の友達の家に泊まりに行きます。決まって連絡が取れなくなる…。」
「なんで怒らないの?」
「信用してないの?て言われると何も言えなくて…。」
それは怪しいだろ。香恵はそこまで親しい女友達ができるタイプではない。
「山下の交遊関係知らないから何とも言えないけど、本人に確認しなよ。疑い残したまま結婚してもうまく行かないよ。」
「そうですよね…。聞いてよく話し合います。」
「大変だね。」
「…自業自得です。」
着信音で目が覚めた。
12時を回っている。こんな遅くに誰?
「…もしもし。」
「聞いてよ!考太ひどいの!」
香恵か…。
「何時だと思ってるの?」
「今考太と電話切ってイライラして寝れそうになくて…。」
巻き込むなよぉ…。真がイライラした。
「何がひどいの?」
「ほんとに俺の子か?って言うんだよ。」
「私が本人に聞くように言ったんだ。」
「真に相談したの?なんで当り前って言ってくれないの?真も疑うの?」
「考太くんにそう考えさせるような行動をしてたんでしょ?泊まりに行って連絡とれないって聞いたよ。」
香恵は黙っている。
「俺の子じゃないかもって疑って産んでうまくいく訳がない。だから本人に聞きなって言ったよ。」
「なんか男らしくない。責任とるしかないじゃん。考太は。」
「男の所為だけじゃないでしょ。女にも責任があるよ。お互い様じゃん。間違いなく考太くんの子どもなんだよね?」
「当り前じゃん。」
「山下にも考太くんの人生の責任をとる覚悟が必要だよ。」
「なんで私が責任をとるの?」
「高校辞めて働くんでしょ?中卒になるんだよ。就職だって苦労するよ。」
「堕ろせって言うの?」
「そんなこと言える立場じゃないよ。これからのことよく考えて話し合いなって言ってるの。話し合って2人で納得して決めないとダメだよ。感情的に決めちゃ駄目。親にも相談して。私たちはまだ子どもなんだから。」
「わかった。よく考える。」
電話が切れた。
感情的にならないわけないよね。私だって祐介の子できたら産むって言うと思うし。
グチを聞いてもらうつもりが説教された。
健一郎にメ-ル。
『妊娠した。健一郎の子どもの可能性はないよね?』
『100%ないとは言えないね。産むの?』
『産みたい。』
『誰の子として?』
『考太』
『ならいいけど。もし俺の子だったとしても、責任とれないよ。』
『わかってる』
100%言いきれないか。
急に不安になった。健一郎は中だしはしない。でも生では入れる。
産んで明らかに健一郎の子だったらどうしよう。
次の日、両親と話した。
「香恵が産む気になってるのを堕ろせとは言えないよ。2回目は体にも負担だろうし。」
「生活できないかな。」
「ここか、相手の家に同居するしかないだろう。」
どちらも2世帯が住むには狭い。お互いにストレスだろう。
考太が1日働いても、バイトじゃ15万位か。
どんどん厳しい状況が思い浮かんでくる。
考太を一生好きでいられるか?
妊娠して高校に通えるのか?
私も中卒になるかも知れない。
香恵に産む覚悟は出来ていなかった。
「まだ私に母親は無理かな…。」
考太に会った。
顔がすっきりしている。
優しくお腹をさする。
「俺の赤ちゃんいるんだよね。」
考太は覚悟を決めたのか?
「高校辞めることになるよ?」
「しょうがないよ。頑張って働くよ。」
「おばさんに話した?」
「まだ…。」
考太は母子家庭だ。
「一緒に話しに行こうか。」
香恵はおばさんと仲がいい。メ-ルもやる。
考太の部屋でおばさんが帰るのを待った。
「お母さん話があるんだ。」
居間に2人並んで座る。
「子どもができた。」
おばさんの表情が固まる。
考太の頬をひっぱたく。
「どういうことか解ってんの?」
「解ってるよ。高校辞める覚悟もある。」
「産む気なの?」
「当り前。殺せないよ。」
「香恵も?」
「産みたい気持ちはあります。」
産むと言いきれなかった…。
決心が鈍っている。
おばさんが泣いている。
女手1つで育てた息子が高校を辞めると言っている。
「おばさん。もう少し考太と話し合ってみます。」
香恵は考太の腕を掴んで部屋に入った。
「何を話すの?親説得するだけじゃん。」
「私たち、子ども産むことを簡単に考えすぎなのかもね…。」
「なんでそんなこと言うの?」
「私の両親も泣いてた。子どもはもっと祝福されて産まれてくるべきなんだよ。」
「堕ろすの…?」
「もっとよく親と相談する。考太もおばさんと2人で話した方がいいよ。」
「俺の気持ちは変わらないよ。」
「ありがと。すごく心強いよ。」
香恵は帰った。
夜香恵は考太に電話した。
「おばさんと話した?」
「あのあとも泣きっぱなし。さすがに申し訳なく思った。」
「私、堕ろすよ。」
「なんで?」
「やっぱ高校くらい出なきゃ。」
「どうしても産んでくれない?」
「まだ厳しいよ。私たちには…」
「わかった…。香恵ごめんね。」
考太が泣いてる。
両親に伝えた。
「もっと体を大事にしなさい。」
母親が叱った。
「ごめんなさい。」
泣く香恵を母親が抱き締める。
お母さんに抱き締められるなんて何年ぶりだろ。
大人になったつもりだった。
香恵は土日とバイトを休んだ。
堕胎手術を受ける。
考太は手術費用を自分で出した。
ずっと付き添ってくれた。
泣きそうな悲しい顔をしている。
「傷つけてごめん。」
手を握り繰り返す。
考太の心にも一生残る傷となったんだろう。
毎月、月命日に考太はお墓参りをした。
前よりも更に香恵を大事にした。
高校3年はあっという間だった。
祐介の大学受験が落ち着いてから2人は付き合った。
祐介は4月から家を出る。
遠距離は不安だった。
真は市役所に受かっていた。
卒業してから毎日会った。
毎日4月からのことを話した。
毎日真は泣いていた。
祐介の前では強がれない。
祐介は決めた。
「真には遠距離無理だよ。別れよう。」
「やだ。」
「就職先で出会いがあるよ。俺も大学であるかも知れない。」
「なんでそんなこと言うの?」
「真俺んちに来ちゃうだろ。」
「…。」
「仕事も続かなくなるよ。お互いにプラスにならない。」
祐介の声は優しい。
これって別れ話なんだよね?
真は祐介の腕の中にいる。泣き疲れた。
子守り唄のように心地よく祐介の声が入ってくる。
「4年あっても結ばれる運命ならまた惹き付けあうと思わない?」
高校での再会のようにさ。
祐介が笑う。
「うん…。」
真はそのまま寝てしまった。
次の日からは泣いていない。笑って楽しい思い出を残したい。
- << 279 真の配属先は小学校だった。 学校事務職員だ。 市職員の給料や市会計や徴収金をやる。 もう1人県採用の事務職員がいるが、全く仕事は別。 真には合っていた。 役所には定期的に行くが、同じ制服を着て机が並んでいるところで仕事をする自分が想像できない。 仕事に慣れるまでは、祐介と別れた実感はなかった。 考える余裕がない。
香恵は2回目の妊娠をした。
今度は絶対堕ろさないと決めていた。
考太に報告する。
「ごめんね。注意足りなかったんだな。」
何度か中出ししていた。
「私産むからね。」
「うん。俺働くよ。」
両親にも言った。
父親は呆れていた。
母親はまた泣いた。
「今度は絶対に産むから。」
「勝手にしろ!」
父親に怒られた。母親は何も言わない。
「勝手にする。」
香恵は部屋に籠もった。
真にメ-ルする。
『妊娠しちゃった。産むつもり。誰も喜んでくれない。真は祝福してくれるよね?』
香恵からのメ-ルは衝撃が大きかった。
今は7月だ。卒業まで8ヶ月。
高校生のうちに母親になるってこと?
真にはそんな覚悟はできない。
香恵にはできるのか?
バイトで考太と会った。明らかに元気がない。
「大丈夫?元気ないね。」
「香恵から聞いてます?」
頷く。
「夜電話してもいいですか?他に相談する人いなくて。」
「うん。いいよ。」
真はバイトを終えた。考太が決心してるようには見えない。
2人はどうなるんだろ。
10時前に電話がなった。
「もしもし?」
「あっ真さん。遅くなってすみません。」
「平気だよ。どうしたの?」
「どうしても引っ掛かることがあって……。本当に俺の子なのかなって思っちゃって…。」
真は沈黙…。
「責任逃れする訳じゃないですよ?俺妊娠するようなことしてたから…。」
「ごめん。予想してない話に頭固まっちゃった。」
2人で沈黙。
「山下に怪しい行動があるの?」
ないわけがない。この間大阪に行ったばっかりだ。
「よく高校の友達の家に泊まりに行きます。決まって連絡が取れなくなる…。」
「なんで怒らないの?」
「信用してないの?て言われると何も言えなくて…。」
それは怪しいだろ。香恵はそこまで親しい女友達ができるタイプではない。
「山下の交遊関係知らないから何とも言えないけど、本人に確認しなよ。疑い残したまま結婚してもうまく行かないよ。」
「そうですよね…。聞いてよく話し合います。」
「大変だね。」
「…自業自得です。」
着信音で目が覚めた。
12時を回っている。こんな遅くに誰?
「…もしもし。」
「聞いてよ!考太ひどいの!」
香恵か…。
「何時だと思ってるの?」
「今考太と電話切ってイライラして寝れそうになくて…。」
巻き込むなよぉ…。真がイライラした。
「何がひどいの?」
「ほんとに俺の子か?って言うんだよ。」
「私が本人に聞くように言ったんだ。」
「真に相談したの?なんで当り前って言ってくれないの?真も疑うの?」
「考太くんにそう考えさせるような行動をしてたんでしょ?泊まりに行って連絡とれないって聞いたよ。」
香恵は黙っている。
「俺の子じゃないかもって疑って産んでうまくいく訳がない。だから本人に聞きなって言ったよ。」
「なんか男らしくない。責任とるしかないじゃん。考太は。」
「男の所為だけじゃないでしょ。女にも責任があるよ。お互い様じゃん。間違いなく考太くんの子どもなんだよね?」
「当り前じゃん。」
「山下にも考太くんの人生の責任をとる覚悟が必要だよ。」
「なんで私が責任をとるの?」
「高校辞めて働くんでしょ?中卒になるんだよ。就職だって苦労するよ。」
「堕ろせって言うの?」
「そんなこと言える立場じゃないよ。これからのことよく考えて話し合いなって言ってるの。話し合って2人で納得して決めないとダメだよ。感情的に決めちゃ駄目。親にも相談して。私たちはまだ子どもなんだから。」
「わかった。よく考える。」
電話が切れた。
感情的にならないわけないよね。私だって祐介の子できたら産むって言うと思うし。
グチを聞いてもらうつもりが説教された。
健一郎にメ-ル。
『妊娠した。健一郎の子どもの可能性はないよね?』
『100%ないとは言えないね。産むの?』
『産みたい。』
『誰の子として?』
『考太』
『ならいいけど。もし俺の子だったとしても、責任とれないよ。』
『わかってる』
100%言いきれないか。
急に不安になった。健一郎は中だしはしない。でも生では入れる。
産んで明らかに健一郎の子だったらどうしよう。
次の日、両親と話した。
「香恵が産む気になってるのを堕ろせとは言えないよ。2回目は体にも負担だろうし。」
「生活できないかな。」
「ここか、相手の家に同居するしかないだろう。」
どちらも2世帯が住むには狭い。お互いにストレスだろう。
考太が1日働いても、バイトじゃ15万位か。
どんどん厳しい状況が思い浮かんでくる。
考太を一生好きでいられるか?
妊娠して高校に通えるのか?
私も中卒になるかも知れない。
香恵に産む覚悟は出来ていなかった。
「まだ私に母親は無理かな…。」
考太に会った。
顔がすっきりしている。
優しくお腹をさする。
「俺の赤ちゃんいるんだよね。」
考太は覚悟を決めたのか?
「高校辞めることになるよ?」
「しょうがないよ。頑張って働くよ。」
「おばさんに話した?」
「まだ…。」
考太は母子家庭だ。
「一緒に話しに行こうか。」
香恵はおばさんと仲がいい。メ-ルもやる。
考太の部屋でおばさんが帰るのを待った。
「お母さん話があるんだ。」
居間に2人並んで座る。
「子どもができた。」
おばさんの表情が固まる。
考太の頬をひっぱたく。
「どういうことか解ってんの?」
「解ってるよ。高校辞める覚悟もある。」
「産む気なの?」
「当り前。殺せないよ。」
「香恵も?」
「産みたい気持ちはあります。」
産むと言いきれなかった…。
決心が鈍っている。
おばさんが泣いている。
女手1つで育てた息子が高校を辞めると言っている。
「おばさん。もう少し考太と話し合ってみます。」
香恵は考太の腕を掴んで部屋に入った。
「何を話すの?親説得するだけじゃん。」
「私たち、子ども産むことを簡単に考えすぎなのかもね…。」
「なんでそんなこと言うの?」
「私の両親も泣いてた。子どもはもっと祝福されて産まれてくるべきなんだよ。」
「堕ろすの…?」
「もっとよく親と相談する。考太もおばさんと2人で話した方がいいよ。」
「俺の気持ちは変わらないよ。」
「ありがと。すごく心強いよ。」
香恵は帰った。
香恵はバイトの会社に就職した。ウエイトレスは向いていた。
自宅から電車で20分程の支店に配属になった。
月に数回夜勤がある。
休みも不定期だ。
店の近くにアパ-トを借りた。
考太と会う時間は減った。
香恵は自由な時間を得た。
香恵は勤務先の先輩に惹かれていた。
5個上はとても大人に感じた。
彼女もいて相手にされないと思っていたら向こうから誘ってきた。
「お洒落な店知ってるんだ。お酒飲める?」
「少しなら…。まだ未成年ですけど。」
「山下さん大人っぽいから平気だよ。2人で歓迎会やろう。」
香恵が早番で先輩が休みの日に行くことに決まった。
駅の改札で待ち合わせ。
少し遅れている。慌てて走った。
「走ることないのに。お疲れ。」
「私服お洒落ですね。」
「良かった。頭悩ませたんだ。」
電車で2駅行ったところに店はあった。
間接照明で暗めの店内。
見たことないお酒の名前が並ぶ。
「わからないので余り強くないの頼んで下さい。」
「わかった。」
つまみもお任せ。ちゃんと香恵の好みも聞いてくれる。
こういうのも楽だ。
大人の付き合いに浮かれていた。
「おいしい。」
小さなグラスに色鮮やかなカクテル。
クイクイ飲める。
「ペ-ス早いと効いちゃうよ。」
「そうですよね。おいしくて。気を付けます。」
心配してるように見えて、これもおいしいよとどんどん頼む。
やばいかも。
思ったときにはもう酔いが回っている。
「大丈夫?少し休もうか。」
水を飲んで落ち着かせる。
終電はもうない。お店も閉店時間でだった。
ふらつく足取りで店を出る。
先輩に支えられている。
「泊まるしかないか。」
1本通りを変えるとホテル街だった。
ベットに横になる。
口移しで水を飲まされた。
「んっ…。」
そのまま抱かれた。と思う。
記憶がない。
朝早くホテルを出て家に帰る。
店では指導し、たまに香恵の家に泊まるようになった。
「彼女いるくせに。」
「おまえが誘ったんだよ。色目使ってた。」
そんなつもりはなかったが、そう見えたのか…。
考太はここまで通ってくれた。
泊まって始発で帰ることもある。
先輩のタバコが落ちていた。香恵も吸うが銘柄が違う。
考太に見つかる。
「お店近いから、若い子の溜り場になってるんだ。私たちもそうだったでしょ?」
「ふぅん。」
気を付けないと。
今、香恵は3人と関係を持っていた。
健一郎とも続いている。もうじき終わりそうだが、体の相性が良すぎる。
きっぱり切ることができないでいた。
6月になると、仕事に余裕ができた。運動会が終わり、行事も仕事もない時期だった。
定時に上がり、祐介を思う。
連絡をしてしまう。祐介の情報を消した。
メ-ルは消せない…。自然と消える頃には考えなくなるかな?
バイトしてた店に顔を出した。
チ-フに夜と休日手伝って欲しいと言われた。
兼業禁止だ。
「クビになっちゃいますよ。」
「申告うまくやるから。頼むよ。一気に辞めて人が足りないんだ。夏休みまででいいから。」
断り切れなかった。
平日夜6時から10時まで
休日朝6時から3時まで
高校生のときと変わらないペ-スで働いた。
考太と話す機会が増えた。
「なんか元気ないね。会えなくて寂しいの?」
「思ったより会えてますよ。色々あって…。」
今度話聞いて下さい。と言う。
バイトがない日、駅で待ち合わせした。
自転車で迎えに来る。
ママチャリに変わっていた。後ろに座る。
「俺泣いちゃうかも知れないから家でもいいですか?」
「いいよ。」
泣く程のことがあったのか…。
考太の家は誰もいなかった。ソファーに並んで座る。
向かい合うスペ-スはない。
何か落ち着かず、近くにあったクッションを抱き締めていた。
考太の話は香恵が浮気しているということだった。
泊まりに行くといつも何かしら違和感がある。
この間我慢できなくて、寝ている間に携帯を見てしまった。
2人の男と関係を持っていた。
1人は店の人。
もう1人は知らない名前だが、長く続いてるみたいだった。
もう信じることができない。
考太は泣きはしなかった。散々泣いてきたんだろう。
真は嫌な予感がした。
「知らない名前って?」
「健一郎」
やっぱり…。
「ごめん…。私のせいだ。」
涙が出る。どういうこと?大阪と遠距離してたのか?
目眩がする。
「健一郎って圭太の友達なんだ。高1の冬から続いてるのかも…」
「それでも真さんのせいではないでしょ。」
考太が真を抱き締める。
「俺が慰めてもらうつもりだったのに、真さんが泣いてたら駄目ですよ。」
真は考太に体を預けていた。放心状態だった。
キスをされて、ようやく今の状況に気付く。
「俺、最近真さん気になっちゃって…。」
「んっ…。」
キスが続く。柔らかい唇が吸い付く。
考太のキスは気持ち良かった。
「駄目だよ…。山下が…。」
途中キスで遮る。
「香恵のことは言わないで。俺のこと嫌いですか?」
「嫌いではないけど…。」
「俺真さん好きです。」
祐介の隙間を考太が埋めてくれるの?考太にはドキドキする…。考太しかいないかも…
真は考えるのを止めて考太を受け入れた。
抵抗を止めると早かった。
手際よく脱がす。
手慣れてるんだから。
「真さんに触れてるなんて夢見たいだ。」
考太の携帯が鳴った。電源を切ってソファ-に投げる。
「いいの?」
「もうどうでもいい。」
一線を越えた…。
服着て帰る準備していると、メ-ルが来た。香恵からだ。
『今日考太が連絡つかない。嫌なことばっか考えて不安になる。私いつもこんな思いさせてたんだね。』
こんなメ-ルしてこないのに…
涙が出た。
「真さん?」
そのまま携帯を渡した。
「なかったことにしよ…。山下にこんなこと言えないよ。」
『山下の浮気相手、健一郎さんだって知ってた?』
『ごめん…。止めれなかった。』
『今電話できる?』
『番号消してわからん』
真からかける。
「久しぶり。」
「そうだな。健一郎のこと香恵から聞いたん?」
「香恵の彼氏が気付いた。ショックだった。」
「ごめん。」
「圭太の隠してることわかった。遊びだったんでしょ?2人で悪さしてたんだね。」
圭太は黙っている。
「そんなこと問題なかったのに。圭太バカだよ。」
「ごめん…。」
「圭太って☆☆大学行ってる?」
「…うん。」
「山下がね、受けたらいいって勧める時期があったの。納得。大学の後輩として出会い直ししたかったな。」
「香恵そんなこと言ってたんだ。名案だったな。」
「山下考えてくれてたのに私ね、山下の彼氏と浮気したの…。今揉めてる。」
「なんでそんなこと?」
「寂しさ埋めてくれると思った。健一郎さんの名前が出て冷静じゃなかったし。抵抗する気力がなかった…。言い訳だね…。」
「真はそいつ好きなの?」
「圭太好きになる前に気になってた人だよ。」
「香恵から奪うほど?」
「今ね、香恵と考太くん話し合ってんの。より戻して欲しいと思ってる。ひどいよね。奪う気ないのに引っ掻回してる。」
圭太は何も言わない。
「きっと香恵は許さないよ。考太くんフラフラし過ぎた。」
「香恵が駄目だったら真に戻るのか?」
「そうだろね。」
「そんなんでいいのか?」
「2人壊したの私だもん。」
「違うだろ。」
「違わないよ。最後の一押しは間違いなく私。責任とらなきゃ。」
「真、好きでもないやつと付き合うなよ。」
「……好きだよ。これからもっと好きになれる。元気でね。」
電話を切った。
車で香恵の家まできている。
部屋で香恵と考太が話している。
黙ってれば良かったのに…
ここ数日で考太の気持ちは真と香恵を行き来している。
3人でも話した。
奪った相手はいつか奪われるから
何も言い返せない。
早くこの問題から逃げ出したかった。
もう香恵に落ち着いて!
心から祈った。香恵とも考太とも切れてもいいと思っていた。
それなのに、考太は真を選んだ。
ショック受けた香恵の顔が忘れられない。
考太とうまくいかなかったら申し訳ないと思った。
簡単に別れられない。
1週間、考太は落ち込んだ。
子どもが夢に出てくる。
香恵をまた傷つけた。
何を今更。
キレた真は考太を連れて香恵の家まできた。
待っている間、久しぶりに圭太に連絡した。
香恵経由で伝わるのが嫌だった。
1年振りか…。
吹っ切れていた。
圭太に話したら自分の気持ちがはっきりした。
考太が連絡つかなかった日、夜遅くに電話がきた。
「ごめん。電池切れで寝てた。心配させちゃったね。」
いつも通りの考太に安心した。
うちで会った考太はぎこちなかった。携帯を気にしてる。
トイレに行った隙にメ-ルをチェックした。
『やっぱ駄目だ。前の気持ちには戻れない。』
『そんなこと言わないで…。』
真とのやりとり。意味がわからない。戻った考太に直接聞いた。
一瞬止まったが覚悟を決めたのか開きなおった。
「俺、真さんが好きみたい。」
「何言ってんの?真が相手するわけないじゃん。」
「そんなことないよ。相手してくれた。」
「なに…?」
「真さん抱いた。」
「…電源を切ってた日…?」
「香恵に浮気された話したら泣いてくれた。抱き締めたら止まらなくて…。」
「帰って…。もう帰ってよ。」
考太を部屋から追い出す。
まさか真がそんなことするなんて
真に男盗られるなんて…
許せなかった。
絶対に取り戻してみせる。
考太が朝からバイトの日、バイト先に会いに行った。
駐車場から中を覗くと真がいた。
考太が先に出てくる。
香恵の元にきた。
「真さんに車の鍵借りたから中で話そう。」
真は家の車を使っていた。
「外でいいよ。」
「バイトのやつに見られる。」
運転席に座ろうとする。
「後ろがいい。」
香恵は後ろに座った。ココナッツの匂いがする。
考太も後ろに来た。
「話って何?」
「ちゃんと話せなかったから。なんで浮気したの?」
「香恵もしてるから。」
「当て付けだ。真が好きではないんだ。」
「好きだよ。」
「私よりも?」
「香恵は裏切るから。」
「もう裏切らないよ。考太と離れて寂しくて…。ごめんね。優しくしてくれる人に甘えちゃった。」
「もう信じられないよ…。」
「そっか…。そうだよね。」
香恵は泣いた。
「仕事あるから帰るね…。」
「休みじゃないの?」
「今日は遅番にしてもらった。早く会わないと手遅れになると思ってきちゃった。もう手遅れだったね…。」
「信じていいの?もう俺だけになる?」
「うん。考太と別れるなんて嫌だよ…。」
「わかった。ごめん…。俺も香恵だけになる。」
抱き締めてキスをしてくれた。
気付けば1時間が経っていた。
「真は?同じ時間に上がったんでしょ?」
「コンビニで時間潰してるはず。連絡してみる。」
真は、店の社員の家にいた。2個上の女性で姉みたいな存在だ。
「姉さんちだって。鍵返しに行ってくるよ。」
「一緒に行く。」
「仕事間に合わなくなるよ。駅まで送る。」
「でも…。」
「大丈夫だって。」
もう1度キスをしてから降りた。
電車の中で顔が弛む。
真みたいに地味で不器用な子に取られるわけがない。
意地悪くメ-ルを入れた。
『人の彼氏と仲良くしないで。』
真が離れるまではおとなしくしていようと思った。
真はコンビニの前に座り込んでいたら、姉さんに声をかけられた。
「帰らないの?」
「今車貸してるの。山下たちが話してる。」
「うちおいでよ。」
姉さんちは歩いて15分。着いて行く。
「あんたらどうなってんの?」
「考太くんとやっちゃった。」
「どうりで。浅香が男の子と話してると考太機嫌悪いと思った。」
「あまり話さないのにね。」
「山下とは別れてないの?」
「別れたって言ってたけど…。より戻すんじゃない?」
「何それ?いいの?」
「急な展開で自分の気持ちがわからない。」
「まっ、若いから色んな経験したほうがいいよ。」
「姉さんとたいして変わらないけど。」
姉さんはさばさばしている。晶と同じ年だがタイプが違う。
「山下より私を取るとは思えないんだよね。」
「そおかな。私は浅香の方がタイプだよ。」
姉さんは真を気に入ってくれている。香恵がコンビニにいても家に連れてかないだろう。
姉さんの家は、1DKなのに、Wベッドが置いてある。
しかもピンクのカ-テン。
「ラブホ?」
「彼氏の好みなんだよ。」
姉さんは良くキスマ-クを付けてくる。見えないとこだが。
そのキスマ-クが半端ない。
きっと激しい人なんだろう。
考太からメ-ルが来た。場所を知らせる。
10分位してピンポンが鳴る。
「何ですか?この部屋。」
「人様の部屋に文句つける気?」
「いや、素敵です…。」
「嫌味だよ。それは。」
姉さんは考太を苛めて楽しむ。
笑える。
香恵からメ-ル。
考太に見せた。
「これが答えでしょ?」
香恵にしてみれば一緒に笑ってるのも嫌だろう。
「姉さん帰るね。今度ゆっくり話そう。」
姉さんには何がなんだかわからないだろう。でも聞いたりしない。
「道わかる?気を付けてね。」
玄関まで送ってくれる。
振り返るとまだ見送っていた。心配してくれてる。
真はまっすぐ店に向かって歩く。考太は逆方向のところに自転車を置いていた。
慌てて追いついた。
「送ってくれなくていいよ。」
自転車を押して横を歩いている。
「ちゃんと話さなきゃ。」
「何を?寂しさ紛らすために手出しちゃいましたでいいよ。」
「そんなんじゃないよ…。」
「山下のとこに戻るんでしょ?本気で好きでしたって言われた方がつらいよ。」
考太は黙って横を歩く。
「中途半端な優しさはいらない。お願いだから自転車に乗って帰って。」
しばらく真も黙った。それでも帰る気配がない。
止まって考太の方を向く。
「帰るまで動かない。山下の気持ち考えなよ。彼氏が浮気相手送ったって聞いたらどう思う?」
考太を睨む。
考太は目を反らして下を向いた。
もう早く帰って山下に報告すればいいのに…。
これで終わると思った。
社員に早めに辞めさせてもらおうと考えていた。
考太が自転車から手を離し、抱きついてきた。
えっ?
予期しない行動に真は無防備だった。両手は抑え込まれている。
そのまま強引にキスをされた。
「何してんの…?」
「香恵と2人でいるときは、やり直せると本気で思った。でも真さんにあったら、真さんの方が好きだ。」
優しくキスをする。
「これが本心だよ…。」
「何言ってんの…。」
頭がおかしくなりそう。
「香恵とはやり直せない。」
「さっきまで、山下のこと抱き締めてたんでしょ?」
「そうだけど…。」
「また山下と2人になったら揺れるんでしょ?」
「それはないよ。」
「3人で話そう。同じこと繰り返すよ。」
仕事に向かう直前考太からメ-ルがきた。
見て意味がわからなかった。
『明日休みでしょ?バイト終わったら会いに行くよ。話しがある。真さんも一緒に行く』
『私また振られるの?』
返事がない。
仕事中も上の空。先輩に何度も注意されるが集中できない。
なんで?
泣き落とし…?
夜のピ-クを越えると社員は香恵1人だ。
フロントをバイトに任せてレジを閉める。
何度やっても合わない。
なんとか朝を迎え、社員に引き継ぐ。
家に帰ってベッドに入るが眠りが浅い。
健一郎に電話した。
「…なに?」
「寝起き?機嫌悪いね。」
「いきなり電話なしって言わなかったけ?」
「言われてた。」
「もう香恵とは会わないよ。」
「何急に…。」
「彼氏にばれたんだろ?」
「ばれた…。」
「揉めるの面倒だもん。」
「ひどいね。」
「今ごろ知ったの?男見る目ないね。もう連絡してこないでね。」
切れた。
頭に血がのぼり、余計眠れない。
考太の母親にメ-ルしてご飯を食べることにした。
バイト先に行く。
何度か2人や考太と3人で来ている。
真は気付いたみたいだ。
喫煙席に座り考太に浮気されたことを話した。
「どの女?」
「あそこで注文聞いてる子。」
考太の母親は目で追っている。
今はピ-クで忙しそうだ。注文取った後に空いた席を片付ける。すぐに客が案内され、水とおしぼりを出す。
真は行動は遅いが他のバイトとの連携はうまい。
社員の目でみるとおもしろい。
「細い子ねぇ。考太の好みなのかしら。」
「私とは正反対の子だよ。」
「ふぅん。」
考太の母親は真を呼んだ。
この席を避けていた真は周りを見るが自分しかいない。渋々注文を聞きにきた。
「お待たせしました…。」
声が震えている。香恵は楽しくなった。自分が頼まれたら面倒に思う注文をした。
「暗い子だね。」
こんな状況で明るくなんてならないだろう。
考太の母親は人の好き嫌いがはっきりしている。嫌われて苦しめばいい。
飲み物をセットしたら真は来なくなった。姉さんに替わった。
真は氷の補充をしている。上がり作業には少し早い気がするが…。
食器を補充している考太と何か話している。私たちのことだろう。
考太がこっちを見た。おばさんが手を振る。
無視をして裏に戻った。
「かわいくない息子だ。」
ご飯を食べて少しゆっくりすると2人が上がる時間を過ぎた。
レジを済まし、これから3人で話すからとおばさんと別れた。
「私は香恵の味方だよ。」
おばさんの言葉は嬉しかった。
考太が先に出てくる。
「なんで来たの?しかもお母さん連れて。」
「眠れなくて時間があっておばさんも暇してたから。」
「店に来る必要ないじゃん。」
「真は?まだ上がらないの?」
「姉さんもうすぐ休憩だから謝ってからくるって。」
「なんかやらかしたの?」
考太が冷たく睨む。
「泣いてフロントに出れなくなったから。」
だから姉さんに替わったのか。
「やることが卑怯だ。」
「おばさんと友達だもん。どこで会ったって自由でしょ。」
考太はまた車の鍵を持っていた。後ろに座るように言われた。考太は助手席に座る。
「ねえ、真を選ぶの?」
「来たら話すよ。」
「2年も一緒にいるのに離れられるんだ…。冷たいね。」
考太は黙る。
「はなに報告しなきゃね。」
堕ろした子をはなと呼んでいた。
「俺は毎月行ってるよ。香恵はいつ行った?」
香恵は1回も行っていない。
真が出て来た。レジで姉さんが手を振って見送っている。
「なんで真は可愛がられるんだろう…。」
思わず声に出していた。
「香恵の方が友達多いよ。」
香恵は浅く広い付き合いだ。
真は深く狭い。
いざというときに支えてくれる人は真の方が多いと思う。
「ごめん。遅くなっちゃった。話し済んだ?」
言われてみたら目が赤い。
「待ってたからまだ。」
「そっか…。」
運転席に座る。
「山下ごめんね…。」
香恵は答えない。
「どうするか決まった?」
真が考太に聞く。
「揺れてるの?」
「2人になると好きって思うみたいよ。だから3人で会おうって言った。会いたくないよね…。ごめんね。」
真に決めたんだと思っていた。だから嫌がらせしたのに。
「考太降りててよ。真と2人で話したい。」
真を見てから車から降りた。近くのコンビニに入る。
「なんでこんなひどいことができるの?」
「ほんとだよね…。」
「圭太忘れるため?」
「圭太は吹っ切れてるよ。」
「じゃあなんで?」
「考太くんが私を必要としてくれたから…。流されちゃった。」
「好きでもないのにやったの?」
「好きだよ。」
「私から奪うほど?」
「…。正直ね、香恵のメ-ル見て2人から離れたくなった。奪う気はないの…。」
沈黙。
「バイト辞めて連絡も取らないからより戻してあげて。」
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