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キューティー・ナギー感想スレッド

レス476 HIT数 22522 あ+ あ-

なおさん( 40代 ♂ eqOJh )
17/08/19 22:59(更新日時)

  _ - '" ̄ " -、
 _/  _=ニニ=_ \
/  "´  `゙ 
| /       /∥
|/  // ノノ !ト、
||_∠∠ノ-'ー'_ -H-、
ヾ_ヘヲ rーヾ ィーヾヽー
  ハハ ヾ;リ ,ヾ;ノ ハ)
7 ノ ∧  、   /ハ
レノ ヘ  ー  / ゝ
ノ ノ ヽ、 _. ィ ノ/
ノ ノ _j二二(Y)ノ
 ,―ァ /   i!ー、
´ r/ | _ ,.| |ヘ
 //  !   / i|
.//   |  /  i|
//_.  i /  i!
  `ヽl // ̄⌒
     Y

16/12/13 21:15 追記

🎵「食人鬼グール」
始めました~。

16/12/17 22:53 追記

話のこしを折るとか、中断するとか気にしないでコメントどうぞ~🎵

No.1158428 09/03/27 16:22(スレ作成日時)

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No.351 16/12/24 12:26
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 350
「サウジアラビアは日本にとって重要な役割を担っておりエネルギー源の石油は枯渇できないのです、今動けば戦争が起きるでしょう、しかし今の日本に戦争を起こす余裕は無く近年まれにみる災害から日本を建て直さなければなりません」

「かと言って誘拐の取引に応じるにも野党の反発は免れない、会議が長引けば、総理の息子さんが殺されるのは時間の問題だ、そこでグール!一人で軍隊並みの兵力を持ち、ばれないように行動出来るお前の出番となった訳だ」

「お願いしますグールさん、息子を助けてください」
総理は目に涙を溜めていた。

「分かった!分かったよ!!行けば良いんだろ、行くよ」

「ありがとう」

「それでこそグールだ、報酬は総理のポケットマネーから1億出る、渡航手続きもすべて終わっている、このまま行ってくれ」
「ずいぶん手回しが良いな」



俺は今、サウジアラビアの空港にいる。

No.352 16/12/25 00:12
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 351
ここから車をチャーターして、やつらのアジトに向かう訳だが車がボロい。
いくら俺でも歩きで行くには遠すぎる。
市街地を少し外れただけで死の砂漠だ。

それにしても暑い。

日本の気候にすっかり身体が馴染んだようだ。

No.353 16/12/25 14:34
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 352 そこへ1台の車が来た。
「グールさん、サウジアラビア日本大使館のハロルド朝比奈です」

「おいおい、非公式じゃなかったのか」

「建前はそうですが、連絡は受けてます、詳しい話もありますのでどうぞ乗ってください」

俺はその男に従う事にした、やっぱりエアコンが付いた車は快適だ。

No.354 16/12/25 14:56
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 353
現地調査員からの報告書に目を通しながら話を聞いた。

向かうは現金じゃなく、口座に送金を要求している事。
人質は別の場所に待機させて入金が確認できしだい解放する事。
交渉役は一人で来る事。
「なるほど、俺の仕事だな」
「実は、大金を回収していただきたいのです」

「俺はハッカーじゃないぜ」

「それはこちらで用意します、人質の解放が済んだらあなたに暴れていただきたいのです」

「どさくさ紛れにハッキングして回収かい、やれやれ」

「グールさん、この国も経済格差はあります、裕福層だけじゃないんです」

俺は途中でスラム街を見た。
「何処の国でもいつの時代でも一緒だな」

「で?その金は貧困層の為に使われるのかい?」

「我々が責任を持って使います」

「まあ、良いや俺は自分の仕事をするよ」

やがて車は大使館に到着した。

No.355 16/12/28 21:18
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 354
ハロルドの上司大使館員が挨拶してきた。

「ようこそ、グールさんあなたの噂はかねがね伺ってますよ」

「どうも、それよりもこの国の貧困層に援助なんかしたら内政干渉にならないのか」

「お金持ちは、貧乏人を助けたりしません、今はテロリストと化した者たちも最初から凶悪な犯罪者集団ではなかったのです」
「なるほど、サウジアラビアの闇と言う訳か」

No.356 16/12/29 02:38
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 355
テロリストの名は、ティアーズ・アラー(アラーの涙)彼らは自分達をTA国と名乗っている。
最初は地下組織として政府に対抗するレジスタンスだったが、ある男がリーダーになってからは、誘拐、強盗、殺人、破壊行為等を行って武器と組織を拡大していった。
元々はスラム街の若者が組織した物だったが、今は強制だったり、誘拐して洗脳したりしていった。

No.357 16/12/29 09:20
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 356
「助けたい連中が倒す相手とは皮肉な物だな」

「本当の敵はテロリストでもボスでも無く、この国のシステムその物かも知れない」

「まあ良い、同情だけで世の中が良くなる訳じゃない、それでボスの名前はなんだ?」

「カインです、カイン・グール」

「なんだと!兄貴か!」

グールは驚愕した。
グールの名前はアベル・グール同じ父親違う母親を持ち別々に暮らしていた兄弟だった。

人間の母親で名前はマリアとの間に産まれたアベルは、グールの特性が現れるまで一緒に暮らしていた。
病気で亡くなってからは父親の元で暮らしていたがある事件が原因でたもとを分かつ事になる。

No.358 16/12/29 09:38
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 357
カインはグール属の両親から産まれた純粋なエリートだった。

小さな時から小動物を感情のおもむくままに食い殺していた。

アベルと暮らすようになったある日、カインは日頃から邪魔者だと感じるアベルを食い殺して終おうとして襲った。

その時、父親が止めようとして逆に殺され能力を吸収した。
グール属の母親はすでに喰われていた。

命からがら逃げるようにアベルは人間界に身を隠すのだった。

No.359 16/12/29 10:42
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 358
普段はあまり表舞台に出てこないカインが留守の間に作戦を決行する事になった。

「グールさん、バチカンからの贈り物です」

「なんだこれ?俺は武器なんか使わないぞ」

「法王様が祈った聖水で打った短剣です」

その中には半月の形をした短剣が入っていた。

「兄貴と出くわした時にはこれで殺れと言う訳か」

「不死身のグール属を殺せるのは同じ血を持ったグールだけです、カインに対抗してください、倒せなくても生きて帰ってください」

半分人間の血を持つグールが短剣を握ると、エネルギーが身体に流れる感覚があった。

No.360 16/12/29 23:17
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 359
田辺総理の息子、誠の救出が始まった。

解放場所は市街地、本拠地は岩山の洞窟内に作られた近代的な設備が整えられたビルが入っているようだった。

グールは本拠地に出向き、送金の確認をする。

人質は、市街地の真ん中で解放されて、大使館員が向かえる手筈になった。

No.361 16/12/30 12:46
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 360
準備が着々と進められ、市街地の方は防弾仕様の車と狙撃者が各自配置され、グールは本拠地の途中まで大使館の車で行き、そこでテロリストの車に乗り換えた。

「入金が確認出来ない時は人質もお前も殺すからな」
「心配するな、入金は確実に行われる」

グールには人質の解放だけが最優先だった。
出来るだけ兄貴には会いたくなかった。
入金確認後にすぐに自分を解放するようならこのまま何もせずに帰るつもりだ。

No.362 16/12/30 19:09
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 361 テロリストの幹部らしい男と対面した。
「お前、誰かに似てるな」

「イケメンなんでね、芸能人によく間違われるよ」

幹部らしい男はそれ以上追及して来なかった。

ビルの中に、コンピュータの部屋があり、連絡を受けて金が送金された。
入金額は1億。
組織の金はこれで30億になった。

お互いに狙撃手が構える中、人質は解放された。
防弾仕様の車に乗る寸前向こう側の狙撃手が撃ってきた。
段取りを間違って俺が騒ぐ前に、組織の金をハッキングしてしまったようだ。
防弾ガラスに当たり、無事だったが双方の銃撃戦に発展してしまった。

「兄さん、約束を破ったのはそっちだ、分かっているな」

凄みを効かせた声がした。

No.363 16/12/30 19:28
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 362
「分かっている、あんた達の気持ちも分かる、そこでだ俺がすぐに死んだら面白く無いだろう、だから好きなだけ殴れ!」

言い終わる前に一発顔にくれた。
「痛い!何しやがるこの野郎!」
俺は切れた、だがこの時米軍が動き出した事は知るよしもなかった。

No.364 16/12/30 20:05
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 363
元々乗り気じゃなかったのと疲れていたので適当に手抜きしながら闘った。
「野郎!おちょくってんのか」

俺は時々休憩を入れながら相手にした。
その時携帯が鳴った。
「グールさん、大丈夫ですか」

「大丈夫かじゃないよ馬鹿野郎、こっちは今取り込み中だ」
我ながら器用なもんだ。
電話しながら闘っている。
「早くそこから逃げてください、米軍の戦闘機が向かってます!」

どうやら俺が砂漠に放り出された時の為に取り付けた発信器を傍受しているようだ。

靴底を強く踏むと切れたが、遅かった。

No.365 16/12/30 23:05
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 364
戦闘機スーパーホーネットのミサイルが発射された。
「おい!跳ぶぞ!」
俺はすかさずさっきまで俺を殺そうとしていた男の襟首を掴まえて窓からジャンプした。

アメリカにとって米国人と利益を得られない者以外はどうでも良いのだろう。
岩山の基地は、巨大な花火を上げて爆発した。

No.366 16/12/31 15:02
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 365
「チクショウ、中にはまだ逃げ遅れた者たちがいたのに」
グールは舌打ちした。
「ウワー!」
突然男が泣き出した。
「俺はあんたを殺そうとしていたのに、それでも俺を助けてくれた!ありがとう!ウワー!」
男は顔をくしゃくしゃにして泣いた。

No.367 16/12/31 16:10
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 366
その頃、市街地でも戦闘機は容赦なくテロリストにバルカン砲撃っていた。
一般人がいても容赦なく撃った。
大使館のメンバーは我が身と誠を守るので精一杯だった。
やがて事態が落ち着くと、そこには瓦礫と死体の山が築かれていた。

「これが、この国のやり方なのか!」

大使館員達は分かっていても、それでも政府と付き合っていかなければ成らなかった。

No.368 16/12/31 16:26
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 367 テロリストの幹部らしい男の名はアジール、元々はスラム街の出身で解放戦線の兵士だった。
一向に良くなる気配も無く、焦りを感じていた時にカインがやってきてその時のリーダーを殺害して喰った。
「あんたの名前を教えてくれないか?何も出来ないが幸せを祈っているよ」

「止めとけ!聞けば後悔するぞ」

「頼む!教えてくれ」

「仕方ないな」
グールが答えようとした時、空に異変が起きた。
いきなり空中に浮くアジール。
見るとカインがアジールの首筋を掴まえて浮かんでいた。

No.369 17/01/01 11:44
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 368
「ひい!カイン許してくれ」
アジールの懇願は届かない。

「役に立たない者は必要ない」
アジールの首に噛みつくと、引き裂いた。
「その男はお前の仲間じゃないのか!」
アベルは怒り叫んだ。

アベルの足元に落ちた生首が泣いていた。

「そんな事よりどうだアベル、我に協力しないか?お前の戦闘力は使える昔の事は忘れて兄弟で世界を支配しないか」

身体が震えるのは恐怖だけではない、怒りがアベルを支配していた。

「断る!」
様々な思いはその一言に集約された。

No.370 17/01/01 20:07
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 369
アベルが跳躍しようと踏み出した時、突然目の前にカインが現れた。
空中にいたはずの男がそこにいた。

「残念だアベル、死ね!」
身体が動かないアベルの肩を掴んだその瞬間、反射的に手を放した。
「ギャャャアァァー貴様、バチカンに守られてるのか!」
みるみる腕が腐敗していく刹那、自ら腕を振り払いちぎった。

「アベル、今度会う時は貴様を消滅させてやる!」
そう言い残してカインは空中に消えた。

全身の力が抜けてアベルはそのまま座り込んだ。

No.371 17/01/01 22:23
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 370
「やれやれ、助かった…」
短剣を握った時のエネルギー源は愛だったのかも知れない。

やがて大使館の車が迎えにきて、誠と一緒に日本へ帰った。

  • << 373 その日、外務省から飯田官房長官を通して内閣調査室より田辺総理に報告が入った。 「良かった……」 ほっと胸を撫で下ろし、グールに感謝した。 しかしこの国にも膿はある。 いつかは大きな手術をして日本の腫瘍を摘出しなければならないだろう。

No.372 17/01/01 22:32
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )


食人鬼グールの感想はこちらです。
http://mikle.jp/thread/2412013/

No.373 17/01/02 17:44
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 371 「やれやれ、助かった…」 短剣を握った時のエネルギー源は愛だったのかも知れない。 やがて大使館の車が迎えにきて、誠と一緒に日本へ…
その日、外務省から飯田官房長官を通して内閣調査室より田辺総理に報告が入った。
「良かった……」
ほっと胸を撫で下ろし、グールに感謝した。

しかしこの国にも膿はある。
いつかは大きな手術をして日本の腫瘍を摘出しなければならないだろう。

No.374 17/01/04 23:29
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 373
とある高層ビルの中ほど、この会社内の役員と思われる男が、誰かと電話で話している。
「先生、例の件何とぞよろしくお願いいたします」

高井戸建設は、一部上場の株式会社だ。
この会社の社員には元気を感じられない。
いわゆるブラックと言うやつだ。
今夜も遅くまで残業しているOLがいる。
婚約者はいたのだが、会う事もままならず最近はすれ違いばかりが続いていた。

No.375 17/01/05 00:10
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 374 「あ~やっと終わった~」
OLの名は幸子。
名前負けと言うやつで、あまり楽しかった思い出が少ない。
今日も、もくもくとパソコンを相手に企画書をまとめていた。
「さあ~帰ろう~🎵」

ドアノブに手をかけた時、話し声が聞こえてきた。
「先生は本当に欲張りだからな」
「そうですよ~部長少し色を付けて内のOLでも差し出しますか~?」
部長と係長の二人が話しているのは、いわゆる政治家との癒着、談合だ。
建設業界では、それほど珍しくない話だ。

No.376 17/01/05 13:40
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 375
二人が部屋に入ってきた時に、幸子は何かを感じていたのだろう素早く物影に身を潜めた。

「おや?このパソコンまだ温かいぞ」

「部長、確か今日は山中君が残業していたと思いますよ」

「田中!まさか我々の話を聞かれたんじゃないだろうな」

「大石部長、たぶんもう帰ったんでしょう」

「おかしいな、我々とすれ違っているはずだぞ」

幸子は怖くなって、こっそり部屋を抜け出そうとした。

ガタッ!

「誰だ!そこにいるのは!」
観念したように立ち上がる幸子。

「なんだ山中君じゃないか残業ご苦労様」

「は、はいそれじゃ失礼します」

部屋を出ようとした幸子の前に手が伸びて壁どんされた。

「あの困ります、係長は趣味じゃないので」
別に口説かれた訳じゃないが、部長が笑った。

「君、このままおとなしく帰すと思うかね」

係長の顔がイヤラシク笑う。

No.377 17/01/05 14:04
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 376
その頃グールは電車に乗っていた。
途中の駅でぞろぞろと乗客が乗りこんできた。
一番前にいた若者が席に座ろうとすると、後ろからきた年配の女性が横取りした。
「スミマセン、僕が先に」
言い終わる前に怒鳴られた。
「兄ちゃん、あんた若いんやから立っとき!」

「はい、どうぞ」
それ以上若者は言い返さなかった。
この光景を見ていたグールが切れた。
「やいこら!おばはん社会のルールぐらい守らんかい」
息巻くグールを怪訝そうにみながら隣の連れとひそひそ話はじめた。
「やだ、何これが車内暴力よ」
「あれきっとヤクザよ嫌ね~」
いたたまれなくなってグールはそこで降りた。
「兄ちゃん、替わりに座りな」
グールは目的地まで寒空の夜に歩く事にした。
「少し頭を冷やすか」

都会のビル群だが、星空は綺麗だった。

No.378 17/01/06 21:46
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 377
いきなり幸子の胸を揉んだ。
「嫌!止めてください!」
「おい!田中止めとけ」

「部長助けて」

「おいおい、勘違いするなよ死体に体液が残ると足が付いてまずいんでね」

「嫌ー!誰か助けてー!」
「うるさい!静かにしろ!」
田中が幸子のみぞおちを殴ると気を失った。
「こんな所で叫んでも仕方ないだろうに、馬鹿な女だ」
常人には聞こえない。
グールを除いて。

No.379 17/01/06 21:58
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 378 それは一種のテレパシーなのか?危機感を感じる能力なのか。

上では二人が幸子をエレベーターに乗せ屋上に連れ出した。
「連日の残業続きでノイローゼのOLが自殺で良いだろう」
「部長パソコンには私が遺書を書いておきます」
「ああ、頼んだぞ」

二人は屋上から幸子を放り投げた。

グールが上を見上げるとその状況が見えていた。
まるで重力を無視したかのように一気に壁を駆け上がった。

No.380 17/01/06 22:09
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 379
落ちてくる幸子をグールはビルの中ほどで受け止めた。
幸子を右足の太ももに乗せ右手で抱き上げ、左手と左足の爪をたて壁をかいた。
ガリガリと音をたてる。
爪が焦げる臭いがする。
「俺の爪!根性だせ!」
地面が近づく、グールの額に汗が光る。
「これまでかー!」



地面に着地していた。

No.381 17/01/06 22:23
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 380
「チクショウ、ひでえ事しやがる!」
「ううん~」
幸子が虚ろに目を開ける。
「おい!大丈夫か、怪我はないか?」

「誰?此所はどこ?私は誰?」
再び気を失った。
どうやらショックで一時的な記憶喪失になっているようだった。
「上にいるやつには後できっちりけりを着けてやる」
グールは幸子を病院に運んだ。

No.382 17/01/06 23:01
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 381
「部長!失敗ですどういう訳か女は無事です」

「なんだって!」

「今は病院にいるようです一時的な記憶喪失になっているようで」

「記憶が戻ると我々の事を話してしまう、その前に消せ!」

「良い方法があります、シャブ浸けにして代議士の先生に献上しましょう」

「なるほどな、文字通り会社に身を捧げる訳だ」
二人の笑い声が響いた。

No.383 17/01/06 23:14
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 382
山中幸子がいる病室に、ストレッチャーが入ってきた。
マスクをしていた為に顔が見えない。
男性看護師が幸子をストレッチャーに乗せ、クリーニング部屋に入った。
幸子が起きないよう点滴に睡眠薬を投与していた。
そこで幸子をクリーニング用の籠に移して、病院の裏口から車に乗せて連れ出した。

No.384 17/01/08 05:38
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 383
「よう、どうだい何か思い出したかい」

グールが見舞いにきた時病室のベッドは空だった。
「何だトイレか?」
しばらく待っても帰ってこない。
「ずいぶん長いうんこだな」
「兄ちゃん、山中さんならだいぶ前に看護師さんがどこかへ運んだよ」
その時隣の初老の女性が答えた。

「ありがとうなナースセンターに聞いてくる」
内心もっと早く教えてくれと思ったが、口にはしなかった。
そこへ女性看護師が検温にきた。
「もう、勝ってに外出しないでほしいは~付き添いの方ですか?ちゃんと連絡してくださいね」

「あっどうもすみません」
(なんで俺が怒られてるんだ?)
急に嫌な胸騒ぎがして、幸子の残り香を追った。
病院の裏口で匂いが消えている。
すぐさま、堤刑事に電話した。

No.385 17/01/08 05:58
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 384
堤が調べた所によると、幸子が勤めていた会社では以前にも、自殺があり大石と竜神会のつながりがあるようだった。

その夜、料亭では大石と国土交通省の役人が会食をしていた。
「先生まずはこれをお収めください」
風呂敷に包まれた10㎝の束。
1千万はあるようだ。
「大石君、いつもすまないね、政治家と言う仕事はとにもかくにも金がかかる商売でね」

「先生、有権者の機嫌を損ねたら政治生命は終わりですからね」

田中が入ってきた。
「部長、用意できました」
「ご苦労!先生今夜は日頃の疲れを癒すアトラクションをご用意しました」

隣の部屋の襖を開けると布団が敷いてあり幸子が横たわっていた。
起きてはいるが、目は虚ろで腕には薬物の注射後があった。
「我々は別室で待機します、ゆっくりお楽しみください」

料亭の外回りには、竜神会が警護していた。

No.386 17/01/08 06:16
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 385
「部長、この後幸子をどうするんですか?」

「竜神会に売り渡せば良い前のようにな」

以前、自殺したOLはシャブ浸けにされソープで働かされていた。
やがてノイローゼになりビルから飛び降りたのだった。


料亭には似合わない風貌の客がやってきた。
竜神会の男が客を止める。
「悪いな、今夜は貸し切りだ」
男はその顔見て恐怖に震えた。
「奴だー!奴が来たぞー!」
こんな時のグールは少し嬉しそうだった。
「イッツ、ショータイム」

No.387 17/01/08 06:41
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 386 「えへへ、子猫ちゃん、オジサンが可愛がってあげるからね」
ヨダレをたらし嬉しそうに笑う顔は、とても国民の為に働く政治家には見えない。
今から幸子を抱こうとした矢先、大石が外側から声をかけた。
「先生、賊が侵入しました、逃げてください」
「今から抱こうと思ったのに」
情けない顔で部屋を出てきた。
「大石部長、女はどうします?」
「放って置け!どうせシャブを打たれた女の言う事など誰も信用しない」

「我々も早く退散しましょう」

外ではグールと竜神会のダンスさながらの格闘中だった。

料亭の裏口からベンツが出ようとした所を堤が停めた。
「何た゛公務員の分際で私に楯突くのか!」

「やれやれ、代議士もヤクザと付き合うとこうも変わるのか」

権力を傘に着る、典型的な小さい男だ。

「君は、私にも権力をかざすのかね」
堤刑事の後から降りた男に、代議士は崩れた。
「田辺総理、何故にこんな所へ~」
最後は言葉にもならなかった。

No.388 17/01/08 11:21
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 387 大石と田中も後から出ようとして止めた。
「裏口はまずい!戻るぞ」
二人が引き返した先にグールがいた。
「初めまして、とか言うかよ!」
グールの拳が田中をとらえる。
「よせ!いったい幾ら欲しいんだ横流しで幾らでも欲しいままだぞ」

「てめえの罪を思い出せ!」
大石の額にグールの爪が食い込む。
崩れるように倒れた。
「堤、こいつらは任せた」
グールは布団で寝ている幸子を見つけた。
「大丈夫か!しっかりしろ」
腕の注射後を見つけ、吸出しにかかった。
グールの唾液が細胞の免疫を活性化した。
徐々に意識がはっきりしていく幸子。
グールの顔を見て安心感から涙した。
「もう良い、良いんだ」
グールは幸子を抱き締め頭を撫でた。

No.389 17/01/08 11:51
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 388
帰りの電車でグールはまた席を横取りされそうな若者に遭遇した。
前と同じメンバーだ。

グールが立ち上がろうとした時に、若者が制した。
「そこの席は譲れません、貴女たちも人生の先輩なら後輩に見本を示しなさい」
「何よ!偉そうに」
すごすごと隣の車両に移った。
その時回りから拍手が起きた。
グールはその光景に泣いた。

程なくして幸子に彼氏を紹介された。
グールは若者の顔を見て安心した。
あの時の若者だった。

No.390 17/01/18 22:27
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 389
久しぶりに堤と飲んでいる時に、少年法の話題になった。
「なあ、堤なんかおかしくねえか」

「おや、お前から絡んでくるとは珍しいな」

「何で未成年者と言うだけで名前隠して報道するんだ、日本はそこがおかしい!

おまけに被害者は顔を出されて、親兄弟挙げ句は親戚まで報道陣が押し掛ける始末だ、被害者の人権なんか無いに等しい!」
「そうだな、それが日本と言う国だ」

堤は落ち着いて答えた。

No.391 17/01/21 12:51
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 390
堤は続けて話した。
「実はな、お前が日本に居ない間に殺人事件があってな」

「何だ、もう解決したのか?」

「犯人は自首しているが、どうにも腑に落ちないんだ」

「犯人が自首したんなら良いじゃないか」

「それが未成年者だったらどうだ」

「被害者は怨恨の線か?」
「被害者は河川敷を不法に住んでいた年金生活のホームレスで犬を飼っていたじいさんだ」

役所からの立ち退きを無視して不法占拠していた。
「住民からは犬が五月蝿いと苦情が出ていた、何しろ10匹だ番犬用だったらしいが殺処分されそうな犬や老犬、足も一本足りない犬を保護していたんだ」

「だからといって殺すなんて可哀想にその未成年者はじいさんを憎んでたのか?」

「いや、逆になついていた犬の散歩に付き合ったり仲が良かったよ」

「お前の見解はどうなんだ」

「何か事情がありそうだ、誰かを庇って身代りになった可能性がある」

No.392 17/01/22 19:59
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 391
被害者の名は高野省三、深夜大人一人中学生二人の三人により襲撃された。
大人は竜神会のチンピラで中学生は市長の息子と同級生の田中幸雄、事件を起こすような子供ではなくいじめられっ子と言う感じだ。

No.393 17/01/23 23:55
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 392
「その少年に会わせてくれないか」

「お前弁護士じゃないだろう」

「俺なら真実を知る事ができるぞ」

「そりゃそうだが……」
しばらく堤は考えていた。
「何を今さら考える必要があるんだ、法に触れる事ならヤクザの金を一般人に渡した事も横領だぞ」

「そうだよ!お前と付き合うと俺のキャリアがメチャクチャだよ」
ちょっと憤慨したような堤にグールが答えた。
「おい!堤…お前刑事としては最低だが人間としては最高に良いやつだ、それがお前のキャリアだよ」
上手くのせられた感じで堤はグールを少年に会わせた。

No.394 17/01/25 00:24
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 393
グールはまず竜神会のチンピラに会いに行った。
「なんだお前?俺に何の用だ?」
チンピラは面会所のガラス越しから睨み付けた。
「グール、やれるか?」
堤が聞く。

「あぁ、問題無い」

「君、ちょっと席を外してくれないか?私が居るから心配ない」
堤が面接官に退席を促すとそれに従って部屋を出た。
「何かありましたら声を掛けてください!」
面接官は扉の外側で待機した。

「何だよ!俺は何も喋らないぜ」

「良いよ、楽しませて貰うから」
グールはガラス越しにチンピラの頭に手をかざした。
「お前の罪を思い出せ!」
「痛い痛い痛い!」

もちろん扉の外側には聞こえている。
「おい!面接官部屋の外に出してくれ」
グールの爪が食い込みチンピラが頭を抱えてもがいている。
「グール!もうそのへんにしとけ!」

「わかったよ」

グールがアイアンクローを解除するとチンピラは気絶した。
「もう良いぞ引き取ってくれ」
終わると面接官が二人係りでチンピラを連れ戻した。
「ご苦労様です!」
一人が敬礼して行った。

No.395 17/01/29 00:51
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 394
「じいさんや犬たちの苦しみが見えたよ」
グールが見た光景は酷い物だった。
就寝中にいきなり襲われ殴る蹴るを繰り返し最期は生きたまま小屋に閉じ込めガソリンを掛けて燃やされた。

じいさんの目に残った少年の顔は、写真とは別の金髪少年だった。
市長の息子は、そのままだった。
「次の少年に会わせてくれ、市長の息子だ」

少年たちが起こした残酷な光景に、少し疲れた様子を見せた。

No.396 17/01/29 20:33
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 395
市長の名前は、黒岩重(しげる)、息子の名前は忠(ただし)
日頃から税金の無駄遣いを嫌い、福祉関係者にはとくに厳しくしていた。
息子から見れば、河川敷を不法占拠使用しているホームレスは排除して当然の対象者でしかなく、協力者がいればいつでも実行するつもりでいた。

No.397 17/01/29 21:43
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 396
市長の息子と言うだけで暖房の入った個室にいた。
「お前が市長の息子か、なんだこの部屋はホテルかよ」

格子は無く、部屋の扉があるだけだった。
証言によると実行犯はチンピラともう一人の中学生で自分は付き合わされただけらしい。
情状酌量と保釈金により
近いうちに釈放される予定だ。
「なんだ、おじさん俺に用かい」

「ああ、そうだ本当の話が聞きたくてな」

「それなら調書に書いている通りだよ、公務員さん」
若者の態度にグールはイラついた。
「堤、こいつやって良いか?」

「止めとけ!相手は未成年者だ」

「お前に金髪の友達はいるか?」

「さあな?俺に友達なんか居ない、利用できるかどうかだけだ」

「お前の口から直接聞きたかったが止めだ、もう良い」

グールにはチンピラの頭から取り出した情報ですでにわかっていた。
少年法に守られていつも通りに社会復帰するだろう。
危険な思想を膨らませながら。
「堤、どうすればこの少年の心を救えるんだ?」

「俺にも分からんよ」

二人は残念な気持ちのまま後にした。

No.398 17/01/29 22:27
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 397
次の少年、田中幸雄の部屋に着いた。
「寒いな、なんだこの部屋」
監視下に置く為らしいがむき出しの格子の部屋に毛布一枚と固いベッドとトイレがあるだけだった。
グール達が行くと少年は起きて正座した。
「いや、良いんだ普通なら寝ている時間だ悪かったな」

部屋の隅には差し入れであろうお菓子の箱があった。
「それはお母ちゃんが持って来てくれたのか?」

「はい、ひとつ食べました、とても美味しかったです」

グールにはこの少年の顔が記憶になかった。
「あの、良かったら食べませんか?」
少年は自分に差し入れされたお菓子を勧めてきた。
「いや、良いんだそれよりお前、誰か庇っているのか?」

グールの問いかけにたちまち少年の顔が曇った。
「本当に僕が殺したんですごめんなさい!」
唇を噛みしめて悔しげに答えた。

グールはふと少年の腕に痣を見つけた。
「堤、鍵開けてくれないか?」

「馬鹿!そんな事できるかよ!」

「心配するな、逃がす訳じゃない!」

堤は渋々鍵を開けた。

「心配ない、ちょっと身体を見るだけだ」

少年の身体を見てグールは驚愕した。
全身痣だらけで痩せた身体をしていた。
「お前の身体痣だらけだぞ、誰にやられたんだ?」
グールのやさしい問いかけに少年ただ黙って首を降るだけだった。
何か話だしたら全てを泣きながら喋りそうで我慢していた。
「お前、漢だな」
それだけ言うと追求を止めた。
「グール、あれで良かったのか?」

「もう何も聞かなくても分かったよ」

泣きそうな自分をこらえて部屋を後にした。

No.399 17/02/04 00:28
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 398
田中幸雄の父親は小さな町工場を経営していた。
仕事が少なくなりいつしか酒やギャンブルにのめり込んでいた。
母親が注意すると暴力を奮うようになり幸雄にも及んだ。
下の弟や妹にはまだ手を出してないが、暴れると自分が庇い、下の子を逃がしていた。
高利貸しからの借金が膨らみ、母親はパートを掛け持ちし無理をしていた。

No.400 17/02/04 00:43
エロ神なおさん ( 50代 ♂ eqOJh )

>> 399
幸雄は大人しく目立たない性格で、学校では一人の子を中心によくいじめられていた。
中谷巧…竜神会グループの金融屋でその息子孝治とチンピラを使い市長の息子が計画を立てて殺人が実行された。
幸雄は借金を肩代わりする代わりに罪を被る事になった。
幸雄は悲しかった。
辛い時に河川敷に行けば犬と触れ合えたからだ。
友達のように慕っていた老人はもういない。
犬たちのぬくもりも無い。
恐怖よりも悲しみだけが強かった。

  • << 401 部屋を後にしたグールは妙な胸騒ぎを感じた。 建物を出る寸前だった。 「おい!堤、幸雄の所に戻るぞ!」 「おい、今出てきた所だろう」 「嫌な予感がするんだ!」 グールが部屋の前に来るとその光景に驚愕した。 差し入れされた包み紙に遺書を書いて、紐を使い首を吊っていた。 グールはすかさず短剣を投げて紐を切り、幸雄の蘇生を試みた。 「幸雄!しっかりしろ!まだ死ぬな!還って来い!」 心臓マッサージと人工呼吸を繰り返した。 グールの思いが掌から光りを送っていた……。 「ゲホ、ゲホ、ゲホ」 幸雄が息を吹き返した。 「偉いぞ幸雄よく還って来た、おじさんが追い込んだせいだ、ごめんな」 「ウゥ、ウワーン嫌だ!本当は死にたく無いよう!」 「お前は何も心配するなおじさんに任せておけ!」 15歳の少年が、誰にも何も相談出来ないまま自分が全てを被る事で母親や弟妹達を守ろうとしたのだ。 グールは怒りに震えた。 「堤、暖かい部屋を用意して今夜はこの子の側にいてやれ!」 グールは何か計画を立てているようだった。
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