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犠牲
こんにちわ
突然のお知らせですが
あなたとあなたの大切な人が今から24時間後に死にます
死にたくなければ誰か2人殺してください
注意
1.殺した人数が1人の場合はあなたかあなたの大切な人かどちらか生き残るか選択できます
2.24時間以内に自分で殺してください 24時間以内に死亡が確認されないと無効です
3.大切な人の氏名は教えることはできません
4.あなたは自分で死を選ぶこともできます
5.この通知の内容を他人に話すと話した相手は1時間以内に死亡・あなたにペナルティーが発生致します なおペナルティーの内容はお知らせすることはできません ご了承ください
ご不明点はこちらまでご連絡下さい
○○-XXXX-△△△△
坂本 弘樹
「うー今日も暑いなあああ」
会社に行くため部屋のドアを開けた途端むっとする暑さが弘樹の体を包む
思わずクーラーのきいた部屋に逆戻りしたくなる
弘樹はそれをぐっとこらえ玄関のドアを未練を断ち切るように勢いよく閉めようとした時
玄関ドアの隙間に封筒が挟まっていることに気が付いた
「?」
封筒を引き抜きまじまじと見つめる
宛名は 坂本弘樹様となっている
差出人は・・・・・・
佐藤美由紀・・・・?!
10年前に付き合っていた元カノの名前!
「な.....」
あいつとはいい思い出がない
なんで今頃手紙・・・・?
「ねえ!会社行くならついでにゴミ捨てて行ってよ!!」
いきなり声を掛けられとっさに封筒を隠した
目の前には妻の芳江が息子の大樹を連れて立っていた
「え・・あ・・・うん」
「私も急がないといけないから!よろしくね!!行ってきます!」
大樹と芳江の後姿を見送りながらさっきの封筒を鞄にしまう
会社で読もう・・・・
やばい・・・走らないと会社に遅れる!
この暑い中走らなくてはいけない自分にうんざりしながら弘樹は駅へ向かうため走り出した
「ふい- 間に合ったあああ」
小さくつぶやきながら弘樹は自分のデスクにカバンを置き椅子に座り込んだ
「さーかーもーと」
弘樹はいきなり後ろから両肩を摑まれたが特に驚く様子も見せず
「なんだよ 金田」 と
後ろを振り向きもしないで
ウンザリしたような声を出す
「あれ?冷たくない?」
金田雅敏 俺の同僚で小学生からの付き合いの悪友だ
「なあなあ昨日どうだった?」
金田は弘樹の隣のデスクの椅子に座り込み
ニヤニヤしながら弘樹の顔を見る
「なにがだよ」
「隠すなよー」
金田はおちょくるように弘樹の肩を突く
「ユキちゃんの事だよ」
「は?なんだよそれ…」
「俺知ってるぞー」
「何をだよ」
「お前ってホント隠したがりだよな…
今の奥さんの時も美由紀の時も…」
美由紀…
「あ‼︎」
「なになに‼︎どした」
弘樹はカバンから封筒を取り出した
取り出した封筒を弘樹はマジマジと見つめる
「なんだ?その手紙」
金田は弘樹の手から封筒を取り上げた
「ちょ…」
差出人の名前を見て金田はビックリした顔をする
「美由紀ってあの美由紀かよ?お前…」
「…」
弘樹は金田から封筒を取り返す
「お前…まだ連絡とってたの?」
弘樹は封筒をもう一度見つめカバンに戻そうとした
「いや…」
「中…読んだのかよ」
「いやまだ読んでない」
「いやいやいや早く読んだほうがいいぞ?あの美由紀だろ」
「そんなにみたいなら見ろよ」
弘樹は封筒を金田に差し出した
「イヤイヤそれはダメだろ」
「正直俺一人で読みたくないってのもあるからな…」
「あー まあな あの美由紀からの手紙だもんなあ」
金田は遠くを見るような顔をする
佐藤美由紀とは10年前に付き合っていた
最初はわからなかったが思い込みが激しく
自分の思うとうりに物事が進まないとすぐ癇癪を起こし周りにわめき散らし日に日に弘樹の行動を見張るようになり弘樹に執着するようになった
そんな美由紀に嫌気がさし別れを伝えたが
納得してくれず弘樹の跡をつけまわすようになり
弘樹はどんどん追い詰められていった
そんな弘樹を見かねた金田が美由紀の親に連絡し美由紀は両親とともに引っ越し弘樹の恐怖も終わり
それからの10年美由紀のことを思い出すことなく過ごしてきた
そんな美由紀から今更手紙…
「まあ…あれから10年だろう?あんな時はすいませんでした的な手紙かもしれないじゃん」
「見てみないとわかんないんだから…読んでみろよ」
「…」
「あーもーんじゃあ俺が見るぞ‼︎」
金田は封筒を弘樹から取り上げ封筒の口をやぶく
中の三つ折りにされていた便せんを広げた金田の顔がみるみる赤くなっていく
「?」
その時弘樹の携帯が鳴り響いた
知らない番号だ
取引先かもしれない
「はい 坂本です」
「只今スタートです 又ペナルティが発生しました」
「え…?」
プッープッープッー…
電話が切れた
なんだったんだ?今の…
首をかしげる弘樹の目の前に金田が手紙を差し出す
「読んでみろ」
弘樹は便箋に書かれている文字を目で追う
こんにちわ
突然のお知らせですが
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○○-XXXX-△△△△
「…」
弘樹は手紙を読み終えると深いため息をついた
「金田さーん 受付にお客様でーす」
「おー今行く」
手紙を持ったまま微動だにしない弘樹の肩をたたき金田は
「昼、話そうぜ ま 嫌がらせだと思うけどな」
と告げ小走りに受付へと消えていった
そんな金田を無言のまま見つめながら弘樹はまたもう一度深いため息をついた
「坂本さん?」
声を掛けられ振り向くとそこには心配そうな顔をした鈴木有希が立っていた
有希は三か月前からいる派遣社員だ
金田はこの有希と俺の関係を疑っているが何もない
何度かプライベートな相談を持ち掛けられているがそれは相談のみで他意はない
と俺は思っている
「どうしたんですか?何かありました?」
「あー・・・・いや何でもない」
「・・・・?」
「なんもないよ 大丈夫 それより△×物産のプレゼン資料の事だけど・・・・」
「キャー!!!!!!!」
突然の悲痛な悲鳴に弘樹は体を硬直させた
「坂本さん!!」
病院のロビーで呆然と立ち尽くしていた弘樹は足早に駆け寄ってきた女に目を向けた
金田の妻だ
腕には一歳の女の子を抱きかかえている
「会社から・・・電話で・・・・雅敏が・・・・」
弘樹は重い口を開いた
「こっちです・・・・・」
歩き出した弘樹の後ろに続きながら金田の妻が声をかける
「あの・・・・」
弘樹はその問いかけを無視するように病院受付のスタッフに声をかけた
受付スタッフと言葉を交わすとスタッフは受話器を取りどこかに電話を掛けた
「少々お待ちください」
受付スタッフの言葉に弘樹は小さくうなずいた
「あの・・!雅敏は・・?」
いらだつような金田の妻の問いかけ
ただ無言なまま弘樹は下を向く
しばらくの沈黙の後看護師がゆっくりと近づき弘樹たちに声をかける
「お待たせしました こちらです」
悲痛な金田の妻の叫び声
弘樹は何も言えずその場にただ立ち尽くす
部屋の中には金田の妻の嘆き悲しむ声と
子供が無邪気に金田を呼ぶ声だけが響いていた
「あーちょっとよろしいですか?」
急に野太い男の声が聞こえ弘樹は視線をそちらに向ける
そこには小太りの少し頭の禿げた中年の男が立っていた
「坂本・・・えーと・・ひろき?さんですね」
「・・・そうですが・・・・?」
弘樹が男の問いに答えると男は弘樹に向かい手招きをした
「少しよろしいですか?話」
「・・・・・?・・・・」
弘樹が部屋を出ると男はドアを閉め胸ポケットに手を入れる
「坂本さんにお聞きしたいことが少しばかりありまして・・・・・」
そういいながら男は警察手帳を弘樹に示した
「・・・・・」
「坂本さんは・・金田さんが亡くなる直前一緒にいたというお話なんですが・・・」
「一緒にいたというか・・・・社用で出るときに偶然金田と受付ですれ違いその時に苦しみだして・・・・」
「そうですか・・・・その前後に金田さんに変わった事って何かありましたか?」
「いえ・・・・何もなかったと思います・・・」
「金田さんとは長いご友人だったそうですね」
「はい・・・小学校からの付き合いになりす」
「さぞお辛いでしょう」
「・・・・・・・・」
その時男の携帯が鳴った
小声で話す男
男は電話を終えると弘樹に自分の名刺を差し出した
「すいません 別件で呼び出されてしまいまして またあとでご連絡するかもしれません あなたの連絡先を教えていただけますか?」
差し出された名刺には 権藤剛 と書かれていた
弘樹は自分の名刺を差し出した
ありがとうございますと権藤は名刺を受けとり軽く弘樹に会釈をしその場を立ち去った
権藤が去った廊下で弘樹は一人嗚咽を漏らした・・・・・・・・・・・・・・
「大丈夫・・・ですか・・・?」
社に戻った弘樹に心配そうに声をかけたのは有希だった
「・・・・ああ」
「金田さん・・・・いい人・・・でしたよね・・・・」
「・・・・・・」
有希が弘樹の机にコーヒーを置く
「こんな時に・・・・なんですけど・・・この書類坂本さんの確認が必要で・・・・」
「ああ・・・・そこに置いといてくれ・・・後で確認する・・・・」
有希が机に書類を置こうとした時弘樹の机に乱雑に積まれていた別の書類が有希の足もとに落ちた
有希はその書類を拾い弘樹の机に戻そうとした
その時だった
弘樹の携帯が鳴る
又知らない番号だ・・・・さっきの警察か・・・・?
「はい・・・・坂本です・・・」
「ペナルティが発生しました」
「っ!」
プッープッープッー・・・・・
なんなんだ!いったい!!
「坂本さん・・・・・なんなんですか・・・これ?」
有希がこわばった表情で拾った書類を見せる
「?」
見せられた書類の一番上に美由紀からの手紙があった
「・・・・・気にしなくていい」
「気にしなくていいって・・・・」
「大丈夫だから・・・・」
「でも・・」
「ほっといてくれよ!!」
弘樹の突然の怒鳴り声に周りの社員たちが一斉に弘樹達に視線を向ける
弘樹は我に返り有希をなだめるように優しく話しかける
「いや・・・怒鳴ってごめん・・・ただの嫌がらせの手紙だよ・・・昔流行っただろ?不幸の手紙的な感じだよ・・・」
「・・そう・・・・そうですよね」
ひきつった笑顔を見せながら書類を弘樹に渡す有希
弘樹は有希から書類を受けとり美由紀の手紙だけをポケットにしまい込んだ
「・・・後でシュレッダーにかけるよ こんなの見たら誰でも気分悪くなるよな ごめんな」
心配そうに見つめる有希に無理やり作った笑顔を見せる弘樹
いえと小さくつぶやき有希は自分のデスクに戻る
「坂本さーん 待ってくださーい」
駅に向かう交差点で信号待ちをしていた弘樹が振り返ると人ごみの中から有希が息を切らして走ってきた
「これ・・・・・忘れてますよ」
有希が差し出したものは弘樹の携帯電話だった
「ああ・・・・ありがとう・・・」
携帯を受けとると弘樹は有希に頭を下げた
「さっきはほんとに・・怒鳴ってすまなかった」
「いいんですよ」
有希はにっこりとほほ笑む
「私こそ・・・ごめんなさい・・しつこかった・・ですよね」
「いや・・・・そんな事はないんだけど・・・いろいろありすぎて・・・・」
弘樹がそう言い訳しようとした時だった
突然有希が胸を押さえて苦しみだした
「ぶッ・・・ぶっ」
「え・・・・おい!」
「グェ・・・・ゴァ・・・・グ・・・」
地面にうずくまり苦しそうに胸をよじる有希
「まさかこんなに短時間であなたにまたお会いするとは思ってもいませんでしたよ」
権藤はにやりと笑う
権藤が笑顔を向けた先は弘樹だった
有希が救急車で運ばれ一緒に病院に着いた弘樹は権藤から話があると警察署に呼び出されたのだ
「・・・・・」
無言のままの弘樹
権藤は言葉を続ける
「この・・・・3時間の間に金田さん・鈴木さんのお二人が亡くなられました 坂本さん・・・何か心当たりは?」
何かを探るように権藤は弘樹を見る
「・・・いえ・・・」
小さくつぶやく弘樹から目をそらさずに権藤は言葉をつづける
「お二人の・・・・死因は知ってますか?」
弘樹は力なく首を横に振る
「・・何らかの毒物による中毒死です・・」
「?!」
「驚いた顔をしていますね・・・?」
「・・・毒物って・・・・・・・」
「この3時間の間に毒物による中毒死でお二人が亡くなられた・・・・お二人ともあなたの友人であり同僚だった・・・そしてあなたは二人が亡くなる直前一緒にいた・・・」
権藤の言葉に弘樹は息をのむ
「ま・・・まさか・・・・?」
権藤はずいっと自分の顔を弘樹に近づけた
「これ・・・・どういうことでしょうかね?」
「お・・・・俺が・・・・・殺した・・・・とでもいうんですか!?」
「そう考えるのが自然かなあと・・・・思うんですけどね」
権藤は立ち上がり弘樹の背後に立ち弘樹の両肩をつかんだ
「おれは・・・・俺は・・・何もしていない!!」
「でもご自分で考えてみてくださいよ あなたが私の立場なら・・・そう思いませんか?」
「・・・・・いやいやいや!俺は知らない! やってない! 第一そんなことする理由がない!」
「理由・・・・ですか? 最近は些細な事で人を殺す輩もふえていますからねえ」
「・・・違う!やってない!」
「あなた鈴木さんと仲良くしてたみたいですね?」
「?!」
「ただの同僚としてではなく・・・・男と女として・・・・」
「な・・・」
「それを金田に知られゆすられていた それで・・殺した・・・そして金田を殺したことが鈴木にばれ鈴木も殺した・・・・違いますか?」
「違う!違う!そんなわけないだろう!その考えは強引過ぎるだろ!」
「違いますか・・・・じゃあなんで殺したんです?」
「違う!殺してない!俺じゃない!鈴木さんを怒鳴ったのは・・・・」
弘樹が口をつぐむ
「怒鳴ったのは・・・?」
権藤が話を続けるように促す
「手紙を見られて・・・・・」
「手紙?」
弘樹はポケットから手紙を出す
権藤はその手紙を受け取り読み始めた
その時弘樹の携帯が鳴った
権藤は弘樹に電話に出てもいいと告げる
またさっきの番号だ・・・・・
「・・はい」
「ペナルティが発生しました」
「おい!いい加減にしてくれ!なんなんだ!ペナルティって!」
プッープッープッー
思わず怒鳴る弘樹
権藤は驚いたように弘樹を見る
「どうしたんですか?」
「いえ・・・最近いたずら電話が多くて・・・・・・・・・・!」
突然弘樹の頭に手紙の内容が浮かんだ
ペナルティ・・・・・・?
弘樹は権藤の手から手紙を奪い返す
「これだ・・・・これのせいだ!」
「?」
「金田も・・・鈴木さんも・・・・・この手紙を見てその後・・・・死んでる!」
権藤はいぶかしげな表情で弘樹を見る
「ここ!ここ見てくれ!この通知の内容を他人に話すと話した相手は1時間以内に死亡・あなたにペナルティーが発生致しますって書いてある! 」
「・・・・・・」
「ほら・・・・ここだよ!ここ!」
弘樹は手紙に書かれている文章を必死に指をさす
権藤は弘樹が指をさした文章をじっくりと見つめた後もう一度弘樹の顔を見た
「坂本さん・・・・・」
権藤が弘樹に話しかけると同時に権藤の携帯が鳴り権藤はドアの外に出ていく
一人取り残された弘樹は焦りを感じた
このままでは・・・・二人を殺した犯人にされてしまうかもしれない・・・・・
なぜ・・・・俺が犯人・・?
二人が死ぬ直前そばにいたから・・・?
確かに・・・・・怪しまれて当然だ・・・・こんな短時間に・・・二人も死んで・・・
それが毒殺で・・・・でも違う!俺じゃない!俺はやってない!
何とか・・・何とか身の潔白を証明しないと・・・・・
でも・・・どうやって?どうやって証明する・・・?
ぐるぐると頭が回る
吐き気も覚える
どうすれば・・・・どうすれば・・・・・
考えろ・・・考えろ・・・・・!
小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
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