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☆ダブル不倫15☆
スカートの丈が床につきます
妻の過去について

…。

レス113 HIT数 28132 あ+ あ-

旅人( 40代 ♂ )
15/09/19 18:01(更新日時)

‐登場人物‐

♂壬生崇
(みぶたかし)
♀榊原来美
(さかきばらくるみ)
♂鬼頭新
(きとうあらた)
♀椎名恭子
(しいなきょうこ)
♂藤木仁
(ふじきじん)
♀荒川鳴海
(あらかわなるみ)
etc.

14/03/16 18:47 追記


… は

短編&中編のを好き勝手に考えたやつを載せとります

しかも作者は良く文章表現や脱字・誤字をしますが読者様の頭の中で修正してください😂💦

あと多忙な為、亀レスになりしかも…のタグで飛べません
ご了承お願いします😂💦
はじめから読んで貰えたら幸いです
では失礼おば➰👻
作者のアル🍺より

14/06/23 00:56 追記
最近、ガラからauAndroidスマホに機種変して、なかなかなれましぇん。しかもSNSだとau絵文字が使えません(>_< )
そういえばアプリでАSKノベルゲームメーカー(自分でサウンドノベルゲームが作成できる)っていうのがあって、そこのミドルサーバーでこの …。の一番目の作品を~奇怪~というタイトルにかえてupしとります。もしサウンドノベルゲームが好きな人はお試しあれ。(´▽`)ノ

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No.1976859 13/07/19 16:23(スレ作成日時)

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No.1 13/07/19 17:01
旅人0 ( 40代 ♂ )

ピリリリ
 ピリリリ

ゴソゴソ…
「ふぁい…もしもし…」

「おい!何やってんだよ崇。何回電話かけても出ねぇで夕方5時の待ち合わせの時間とっくに過ぎてんぞ。先に行ってるからな。」
ツーツー

「やべぇ。もう6時半。着信が鬼のように入ってる…」
これから高校時代の仲間と数年振りに会うんだけど昨日ちょっと彼女とトラブって寝たのが朝方。
親友の新から怒号で起こされた俺は慌てて着替えると財布と携帯電話をポケットにねじり込みアパートの鍵をかけ月額5千円のパーキングに無造作に停めてある手入れしていない軽の中古車に乗り込んだ。

「ふぅ、あっちぃなぁ。」
崇の車のエアコンはガスが抜けたままで薄暗くなっているのにここ数日の猛暑で送風機をかけても熱風しか入ってこず窓を全開にした。

「しかし、何でまたナビゲーターにも載ってないような山奥なんかでプチ同窓会するんだろ?まあ何人集まってるか楽しみだ。」
崇は地図を助手席に放り投げるとアクセルを踏み込んだ。

No.2 13/07/19 17:27
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 1 ブロロロロ
崇は目的地まで後15キロの三叉路で道に迷っていた。

バタン
「この辺に看板かなんか出てないかなぁ。」
車に積んでいる懐中電灯を取りだし辺りを見回したが何も見えてこない。
ポケットから携帯電話を取り出すと親友の新にかけてみた。

『電源が入ってないか電波の届かない…』
ピッ
「あ~もう役に立たない。山奥過ぎて電波入んないんだな。ったく…」
少し考えると指を突きだした。
「どちらにしようかな… …神様の言う通り。うしッッこの道に決めた。まぁ道が違っても片道20~30分でまた戻ればいいかな。」
左の道を行く事にした崇は車に乗り込むと進みだした。
ガタッゴゴッ
だんだんとアスファルトの道が無くなり赤土が剥き出しの小石がゴロゴロしている車が一台通れるかどうかという道へと変わっていった。
左右は走っても走っても真っ暗で高い木々に囲まれている。
「外れ道だったかなぁ…でもUターンする幅ないし…まぁどっかに着くだろ。」

ポツ
 ポツ
ついてないことに雨が降りだした。

No.3 13/07/19 17:56
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 2 ザーザー

雨粒は段々激しさを帯びて車のワイパーを全開にしてもバケツをひっくり返した様な雨には歯がたたなかった。
車内に雨が入り込む為、車の窓を閉めきると何とも言えない熱気に包まれ体中の毛穴という毛穴から汗を吹き出した。
汗で体に衣服がベタ~ッと絡みつき余計に熱苦しさを感じる。

「今度エアコン修理に出すか。」

その時だった。

ピリリリ
ピリリリ

ドキン
「!?」

携帯電話を慌てて覗くと画面は圏外のままだ。

「何か変な電波でも受けたか…」

いつの間にか雨は上がっていたがその代わり濃霧に包まれ一寸先が見えないような状態だった。

「参ったなぁ…みんな今頃飲んで楽しんでるだろうなぁ。取り敢えずUターン出来る場所探してみないとな。」

崇は恐る恐る車を進めて行くうちに霧が少しずつはれて道は見える様になった。

「んっ。」
ふっと左側の木々の闇の向こうから視線を感じる。

No.4 13/07/19 18:48
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 3 ヒューン

それは紛れもない女性の腰までありそうな長い髪が前に垂れ服装は白いキャミソールに白いハーフパンツがぐっしょり濡れた姿であった。

「うわっ!何でこんな場所に人が…」

キィーッ
サイドミラーでさっきの方を確認してみると木の枝に白いビニール袋と草の蔦が絡んでいるだけであった。

「何だ…見間違いか。」
崇はホッと胸を撫で下ろした。

前に向きなおし車を発進させるとバックミラーに何かがチラチラ見える。

「またビニールか?」

良く目を凝らしてバックミラーを見てみるとそれはさっき見間違えだと思った。長い髪に白い服装をした女性が両手を突きだして。恐ろしいスピードで迫ってくる。

「ひっ。」
崇は声にならない声を出してガタガタした険しい山道だがアクセルを踏む。

グオォォォッ
「嘘だろッッ!時速40キロだぞ。」
まだ後ろを追いかけてくる。

訳が分からず迫りくるう恐怖をぬぐうために更にアクセルを踏み込んだ。エンジンが唸りを上げる。

No.5 13/07/19 22:23
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 4 ゴガッガタガタ

上下に揺さぶられながら崇は無我夢中でハンドルを強く握りしめ猛スピードで山道を道なりに進んでいった。

「ハァハァ…振り切っか?」

後ろを振り返ってもテイルランプの乏しい光しか見えずよく分からない。背中に冷たい汗をびっしょりかいていた。

「んっ行き止まりか。」
キィーッ
車のライトがあたる先には車が充分にUターン出来る広さがあるがさっきの恐怖心で引き返しきれずにいた。

「あっあそこに階段みたいなのがある。」
雲が割れその隙間から月の淡い光りが差すと膝の高さまである草むらの先の方に土階段が見える。

「高い場所に行ったら携帯使えないかなぁ…」
バタン
崇は懐中電灯を片手に車の外に出た。
いつの間にか霧もはれ密林にいるかのような蒸し蒸したなまぬるい風が吹いて気持ち悪かったが、新と連絡がとりたい一心で丘の頂上を目指して今にも崩れそうな山階段を上がって行った。

No.6 13/07/20 00:07
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 5 チーッ チーッ

「うわっ!」
虫の鳴き声にも過敏に反応して懐中電灯の明かりをあてる。
段々と階段を2分ぐらい登り上がっただろうか車を停めた場所では分からなかったが懐中電灯の光りの奥に古びた屋根が見えた。
「もしかしたら、電話があるかも。」
期待が膨らみ崇の両足に力が戻った。

階段を登りきると1LDKぐらいのこじんまりした一軒家があり昭和初期に建てられたような面影がある。
正面は横にスライドさせる玄関扉で表札やポストは無かった。右手に回ってみると昔ながらの木の雨戸二枚で閉めきって中の様子はうかがえない。更に裏に回ると切り立った崖で懐中電灯で下を照らしても高い木々の天辺しか見えない。ただ奇妙なのは2メートル程の高さがある二本の丸太が地面に打ち込んでありその真ん中にはワイヤーと滑車が備え付けてあった。ピンと張ってあるワイヤーの先は森の何処まで続いているのか懐中電灯の明かりでは届かず見えなかった。

No.7 13/07/20 00:27
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 6 「こんだけ高台ならもしかしたら携帯つかえるかも。」
ズボンの後ろポケットから取り出すと崖ギリギリの場所でアンテナが1つ点いていた。
「ラッキーアンテナ1になってる。」
ピッピッピッ
携帯電話を試しにかけようとするがアンテナが1になったり圏外になったりと安定しなくて何度試しても繋がらなかった。
「糞ッッ!」
ヒューッ
崖下に吸い込まれそうな感覚にとらわれ崇は慌てて後ろに後退りした。
気を取り直し家を一周まわるように歩き正面の玄関左手は風呂の煙突が出ている。小窓から懐中電灯をあてて背伸びして覗いてみると五衛門風呂が見えた。

「誰か居ないかなぁ。」
その時ゴトンと家の中から聞こえた。
慌てて玄関前に走ると硝子戸を叩いた。
バンバンバン
 バンバンバン
「夜分遅くすいません道に迷ってしまいました。誰か居られますか。」
しかし静寂に辺りは包まれ耳をすましても何も聞こえてこない。

No.8 13/07/20 01:08
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 7 シーン
「何だったんだ今の音は。」
ふと玄関の扉を横にスーッと動かすとガラガラガラと小さな音を立ててスライドしていく。
崇は悪いことだと分かっていながらも懐中電灯を下に向けながら玄関の中に「お邪魔します。」と聞こえるか聞こえないぐらいの声で入っていった。

スニーカーを脱ぎ靴下になって上がると細い廊下があり右手は襖があり左手は障子。まずは直ぐ左手の障子をスーッと開けるとせまい薄汚れた台所がありその奥にはすり硝子戸越しに風呂場みたいなのが見える。電話を探すが見当たらない。誰か居ないか確認をすると廊下に戻り、今度は襖がある方を慎重に開けた。そこはカビ臭い匂いが立ち込め万年布団が引いてあり角には小さな机が置いてある。
「これじゃ空き巣だよな。」と呟きながら押し入れを開け覗こうとした瞬間…

バ ン

中から何か蠢くものが飛び出した。

「!?」

崇は畳の上に落とした懐中電灯を慌てて広い上げる。

No.9 13/07/20 01:51
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 8 チカッ

拾い上げた懐中電灯で蠢くものを照らして見ると手で顔を隠している焦げ茶色のショートボブで赤と白のチェックの半袖シャツに股ギリギリまでのショートジーンズをはいた女性だった。

『すいません勝手に忍び混んでッッ!』と二人同時に声を発した。
「えっ!?」
こっちも驚いたが相手の女性も意表をつかれたのか指の隙間から俺を覗いている。
女性はほっと安堵したのか腰が抜けたのかその場にへたりこんでしまった。

数分後気を取り直したのか「私、荒川鳴海って言います。隣の県からこの地に初めてハイキング来てたんですけど三叉路あたりから道に迷っちゃって、そしたら段々薄暗くなって下の広場みたいな場所まで来たらどしゃ降りにあって階段を登ったら家があるんで玄関叩いても誰も居ないし玄関鍵かかってなくて雨宿りのつもりで勝手に家に上がってたら物音がするから怖くなってつい押し入れに隠れちゃったんです。」と一気にまくし立てた。
「なるほどね。俺はちょっと違うけど勝手に人んちに上がってるから似たようなもんだな。」ハハッっと苦笑いをした。

No.10 13/07/20 02:20
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 9 部屋の灯りをつけようと裸電球のスイッチを引いたが電気が通ってないのか、つかないので崇の懐中電灯を天井にぶら下げた。
二人は談話をしていると崇は神妙な面持ちで話を切り出した。
「そう言えば荒川さんここに着く途中で変な人と会わなかった。」
「いや別に誰とも会いませんでしたよ。あっそれから同い年みたいだし鳴海って呼び捨てしてください。」
「じゃあ俺のことは崇って呼んで。」
あまり女の子を怖がらせる事を話さない方が良いかな。と思っていると
グウゥ~ッ
崇のお腹が鳴った。
「そういや朝から何も食べてなかったな…」
鳴海は後ろに置いているリュックサックの中をゴソゴソ探るとカロリーメイトの箱を取り出した。
「ごめんなさい。おにぎりとかお昼に食べちゃったから良かったらどうぞ。」
可愛い顔で微笑んだ。
「あっありがとう。」
天然パーマの頭をかきながら箱を受けとるとカロリーメイトを開け口にほうばり貰った水筒のお茶で一気に流し込んだ。

しかしあの長い髪の女は一体…
思い出しただけで身震いした。

No.11 13/07/20 03:10
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 10 ザー‐ッ

夏祭りの露店で買った安い腕時計の針がチッチッチッと9時を回っている。

「また雨が降りだしたみたいだね。」
「本当にやになっちゃうわ。」

ビュオォォッ
激しい雨に加え風も出ている。
家の屋根や側壁に当たる激しい雨音が部屋の中に鳴り響く。

「鳴海ちゃん山階段下った広場に俺のおんぼろ車が停めてあるんだけど良かったら乗っていかない。」
「ほんとですか助かります。」
鳴海はカッパを取り出すと羽織りリュックに防水専用ビニールを被せ準備を整えた。
崇は裏の勝手口付近の納屋にあるカッパをみつけ土埃を払うと無いよりましと白い半袖シャツの上に羽織った。

二人は小降りになったのを狙って一斉に家の外へ飛び出した。

ビュオォォッ
「まだ結構風が強いね。それから山階段は泥で滑りやすいから気をつけて。」
崇は鳴海に聞こえるように叫んだ。それに答えるように頷く。
グシャミチャ
懐中電灯の明かりを頼りに何とか広場にたどり着くと車を見て崇は愕然とした。

No.12 13/07/20 03:45
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 11 ビュオォォッ

「なっ何で…」
後ろからついてきた鳴海も自分の懐中電灯で車を照らすとタイヤが四本ともズタズタに切り裂かれているのに気付いた。

崇は懐中電灯で素早く辺りを見回したが、ただ木々が激しく擦りあってるだけであった。
何かを思い出しトランクを開けるとほっとした表情で銀色をした災害非常用の小型リュックを取り出し車の助手席の下から発煙筒を抜きリュックに入れた。
「何かの役には立つだろう。」
そう言うと非常用リュックを背負った。
「鳴海ちゃん一旦さっきの家に戻ろう。」
「えぇ…」
鳴海は何が何だか分からず崇の後を追った。
今度は崇は家の周囲を確かめると土足のまま家にズガズガ上がりこんだ。
「良いんですか?人んちに土足で上がって。」
「鳴海ちゃん話を聞いてくれ…」
さっきまでいた部屋に座り込むと鳴海に今までの経緯を話した。
「それって…」
それから先の言葉を閉ざし鳴海は青ざめこの地にハイキングに来たこと死ぬほど後悔した。

No.13 13/07/20 11:50
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 12 「トイレ…」
鳴海は急に尿意を感じトイレが何処にあるか崇に聞いた。

「それなら廊下突き当たり裏の勝手口から外に出て直ぐ左手にあるよ。ぼっとん便所だけどね。崖が近いから気を付けて。」
鳴海は少しモジモジすると「怖いから一緒に着いてきてもらえます。」
もし万が一襲われた時のために、崇は外に出ると風呂場の薪焚きする横に置いてある長さ1メートル太さ1センチほどある先が尖って少し曲がった鉄製の火掻き棒を武器代わりに持って電話ボックスみたいな小屋の便所の前で辺りに気を配った。

「ありがとうございます。」
恥ずかしいのか可愛い顔ではにかんだ。
「ちょっと俺も…」
そう言うと火掻き棒を鳴海に渡し便所小屋で汚い便器には蛆がうようよしているが我慢してブルージーンズを下ろすと用を足した。

「キャーーーッッ!!」
ちょうどその時空気を切り裂く様なかな切り声が表から聞こえた。
「まさか…」
ドグン ドグン
崇は慌ててジーンズを履くと表に飛び出した。

No.14 13/07/20 12:27
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 13 ガゴッ
「大丈夫か?」
懐中電灯片手に外に転がり出た崇は鳴海が無事か確認した。



が…
鳴海は頸動脈からピューと噴水のように血を吹き出し口から吐血している。
台所にあった出刃包丁で首を切られ背中から心臓をひと突きにされ目を見開き絶命していた。

「そんな…鳴海ちゃん…うわあぁあぁっ!」
崇は雄叫びをあげた。
鳴海の手から火掻き棒を取り手に持つと「何が目的だ出てこい!」と叫んだ。





だが雨も風も虫の鳴き声さえも止み静寂だけが漂う…

布団まで運んで出刃包丁を抜き仰向きに寝かせるとカッと見開いた目を閉じさせ手を組ませ顔に白い布を被せた。
ほんの数分前まで鳴海と喋っていたのが嘘のようだった。
崇は鳴海に手を合わせ黙祷を捧げた。

それから崇は玄関と勝手口の鍵をかけ部屋に戻ると鳴海のリュックサックに自分の非常用リュックの中身を入れた。
「朝になったらここを出よう。今出歩くのは危険だ。」
懐中電灯を消し体力回復の為に仮眠をとった。
スーッと意識が吸い込まれていく。

No.15 13/07/20 14:55
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 14 漆黒の闇の中スーッと崇が寝ている部屋の襖が音も無く動いていく。
生暖かい空気が崇の頬を撫でる。

 わたしは…
   あなたを
    ゆるさない…

「ハッ!」
耳元で背筋が凍りそうな声を感じ目を覚まし見回しすが暗闇で何も見えない。懐中電灯をつけ部屋を四方八方見るがやはり何もいない…
あるのは布団に寝かせてある鳴海の遺体と血生臭さだけであった。

チッチッチッ

時計は10時になる少し前。

「まだこんな時間か。」
崇はふぅっと溜め息をついた。
そしていつしか最初の腰まである長い髪の女の事を考えるようになっていた。

(んっ…待てよ。あの白い服装どっかで見たような…あいつなのか…いやそれはありえない…)

いつの間にか眠りに落ちていた。

ガタガタ
雨戸の音で目が覚め部屋から出るともう朝になっていた。
腕時計を見てみると5時20分を過ぎたぐらいだ。
崇はここを出る準備をした。

No.16 13/07/20 15:22
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 15 鳴海の血で汚れたシャツを脱ぎ捨て顔や腹筋が割れあちこち筋肉隆々の体を雨水で湿らせたタオルで拭きあげるとリュックの中から鳴海のシャツを出して着てみようとしたがサイズが合わず断念した。

「やっぱ無理か…俺は176センチ鳴海ちゃんは鼻ぐらいだったから160センチぐらいだろうからな…」

シューッ
押し入れの中に何かないか探してみると一枚だけ桐の箱に入ったワイシャツがあった。風呂敷には黄ばんだランニングシャツがあり他にもあったがボロボロで着れそうになかった。

「お借りします。」
サイズはちょうど良い感じだが筋肉で首が太いため胸元から上のボタンは外した。昔からネクタイするのが嫌いで夏場クールビズになって助かっていた。

鳴海が使っていた青いリュックに懐中電灯をしまいこむと背に背負い「鳴海ちゃん置いていくけど、すまない。」鳴海に手を合わせ一礼した。

左手に火掻き棒を持ち玄関を開け外に出たとたん地面が左右に激しく揺れだした。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

No.17 13/07/20 16:27
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 16 ゴオォォォッ

「うっ…」
玄関にしがみついたが古い一軒家は激しい揺れでギシギシと軋み玄関の硝子戸は外れ割れた。
家の中からも激しい落下物の音がする。
ガシャンバリン
徐々に揺れがおさまり崇はしがみついた手を放した。
「!?」
家の周りを見るとあることに気が付いた。
山階段が崩れしかも家周辺ぐるっと垂直に切り立った崖になっている。
車を停めていた広場からビル三階の屋上ぐらいの高さがあり無理に降りる事が出来ない状態になっていた。

「どうしたら…これじゃ降りれない。」
崖を覗くが今にも崩れそうだ。
「…。」
「……そうだ。」
家裏の納屋に行くと大きなハンマーを取り出し鉄製の火掻き棒を固い場所に持っていき叩いて形を変形させていった。
「一か八か…もう、これしかない。」
腹を決めた崇はリュックから軍手と太いロープを出した。
裏の丸太二本立ってる真ん中の滑車から伸びているワイヤーに曲げて細工した鉄製の火掻き棒で挟みそれにロープをかけ結び更に体が落ちないように固定した。

No.18 13/07/20 18:16
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 17 ヒョーッ

「下を見ないようにして。南無三…」
ロープをしっかり捕まり裏の崖のギリギリの場所から前に跳んだ。

ザシュ
ギャリギャリギャリ

ワイヤーと火掻き棒の摩擦で火花が飛び散る。

ビュオォッ

「風圧が凄すぎて息がしずらい。でも空を飛んでるみたいだ。」
崇はロケットのように滑降していった。

ギャリギャリギャリ

段々高度が低くなりワイヤーの高さが木の天辺に近付いてきた。

「ヤバい。」

バサバサバサッ

崇は腕をクロスさせガードするが次から次へと体に木の枝がぶつかってくる。

その時だった。
バキンッ
ワイヤーにかかっている火掻き棒が摩擦熱で折れ森の中に突っ込んだ。
「うわぁぁっ!」

バキバキバキッ

木の枝を降りながら下に落ちていった。

ドスン

「ふう~ッ。俺生きてる。」
幸い木の枝が落下スピードを殺しリュックサックがクッション代わりとなり腕や顔が擦り傷だけだったのは不幸中の幸いであった。

No.19 13/07/20 23:46
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 18 「お~イチチチッッ!」
崇は腰を擦りながら木の天辺を見上げると上空にワイヤーが見える。
「しかし良くあの高さから落ちて助かったな。」
自分自信に感心した。
「さてと…ワイヤーが何処まで続いてるか見届けてやるか。」
朝6時を過ぎ木々の間から曇ってはいるものの明るい空が見えるが崇が落下した森の中は余り光が届かず薄暗い。地面には木の枝や落ち葉が沢山積もっている。しかも、でこぼこしていて歩きにくい。
ザッザッザッ
手頃な太い枝を杖がわりにして木々の隙間から見えるワイヤーを頼りに歩を進めた。
小一時間歩くと何と泥と砂利が混じった道路に出た。
「よっしゃっ!」と崇は小さくガッツポーズをとった。
地理的にいったら右手が家に帰れる筈の三叉路へ続く道。左手は目的地のプチ同窓会があってた場所に着くのか、はたまた違う場所に着くのか。それとも真っ直ぐワイヤーが続くのを辿って何があるのか。崇は自分はどれにも行きたくて、またもや三択に迫られた。
「この三方行に杖だのみにしてみるか。」
いつの間にか鳴海が死んださっきまでの恐怖心を忘れ杖に運命を委ねた。

No.20 13/07/22 10:52
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 19 カランカランカラン
杖が倒れたその時だった。左手の方からブロロロロッと音が近付いて来る。

「!?」
それは崇の見なれたアイボリー色の普通車だった。何だか猛スピードで走って来る。

キィーッ
けたたましい音と共にいきなり崇の目の前で急ブレーキがかかり車が止まった。。
良く見ると車をあちこち擦った痕がある。

ウィーン
運転席の窓が下がる。
「た、崇助けてくれ。」
それは悲鳴にも近い声だった。
「新どうしたんだ?プチ同窓会で集まって泊まったみんなは?」
「……。」
新の顔は青ざめて何かに怯えひきつっていた。

まさか…昨日の恐怖の出来事が崇の脳裏をよぎる。

バタム
助手席に乗り込み新が落ち着くのを待っていると、にべ色の空が色濃くなっていく。

「昨日崇に電話してから恭子の叔父さんが所有している二階建ての大きなログハウス風の別荘に行ったんだ。それから…」
新は重い口調で話し始めた。

……

No.21 13/07/22 11:01
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 20 ガチャ
「こんちは。お邪魔します。」
別荘のドアを開けると「あっいらっしゃい新。遅かったわね。」と彼女の恭子が薄水色のシャツに膝上の白いスカートにエプロンといった姿で微笑んで出迎えてくれた。

「ったく崇の奴、寝坊しやがって待ち合わせ場所でずっと待ちぼうけくらっちまった。」
新は息を荒げた。
「まあ崇らしいわね。」
恭子はクスッと笑った。
「新、おっ久~ッッ!高校以来じゃない。」
だだっ広い玄関入って目の前に木の手作りかんある大きなテーブルの椅子に腰掛けていた来美が立ち上がり声をかけてくる。
「恭子から新とのラブラブな話し耳にタコができるくらい聞いてるわよ。」
おしとやかな黒髪の恭子とは正反対でまっキンキンの金髪にパーマがかかっていて、バブル期を彷彿させるようなド派手な股ギリギリの赤いボディコン姿、耳には五百円玉より大きい金のピアスがついている。

恭子の話しに来美が出てくるが、どうしてこの対照的な二人が仲良いのか不思議だ。まあお互い二人の無いものを補っているからなのか。

No.22 13/07/22 13:54
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 21 ギシギシギシッ

机の左から二階に上がる手すりがある階段があり上の方から誰か下りてきた。

「おっ誰かと思ったら仁じゃん久し振り!」
新は下りてきた今時の二枚目ジャニーズ系の顔をしており流行りのネックレスに黒シャツそれに似合うブラックジーンズを履いた仁に軽くパンチを見舞う。
が…軽く左手であしらわれた。
「全くいきなりの挨拶だな。」
「お前こそまだ武術やっているみたいだな。」
二人は笑いながら拳を合わせた。
「あれっ崇は来てないのか?」
「あんにゃろ時間にルーズだから置いてきちまった。」
崇、新、仁の三人は武術を部活で習っていた仲間であった。

恭子から別荘の構造を聞くと一階は玄関から正面が大きな木のテーブル 左手に階段 右手にキッチン テーブル奥の広い廊下左手に二部屋右手に二部屋
その更に奥は左手トイレ右手がシャワールーム
二階には階段を上がると一階と同じように廊下を挟んで左右二部屋ずつ奥はテラスになっているとのことだった。

No.23 13/07/22 14:32
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 22 「それから最近ここ買って叔父さんが別荘だったのをペンションにしたから今叔父さんと叔母さんは新も途中通ってきたと思うけど吊り橋のロープの補強しに行ってるの。新、二人に会わなかった。」
「いいや全然見なかったなぁ。」
「あっもしかしたら三叉路と吊り橋の間の抜け道から行けるワイヤーが伸びてる山小屋の方かな…」
キッチンで料理の下拵えをしながら新と話している間に「へ~ねぇねぇ何で山小屋あるの?ワイヤーも?」と来美が割って入ってくる。
「聞いた話しによると昔ワイヤーを使ってワイヤーの先にある一軒家に薪を送ってたみたいよ。後はよく分からないわ。」
「ふ~ん。つまんないの。」
来美はそのまま小説を読みながら自分でドリップしたコーヒーを啜っている仁の横に行った。

「恭子も友達選べよ。」
「あれが良いのよ私に無いものを沢山持ってるから。」
来美の方を見ながら恭子は微笑んだ。
「そんなもんかね。女は良く分からん。」
新は冗談混じりに恭子に言った。

No.24 13/07/22 15:21
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 23 しばらくすると外から車のエンジン音が聞こえやがて止まった。
ガチャ
「おっいらっしゃい。」
「はっ初めまして鬼頭新と言います。今日はお世話になります。」新は入って来た恭子の叔父さんと叔母さんを見ると慌てて恭子から離れ深々と頭を下げ挨拶をした。実は恭子の両親は交通事故で亡くなっており中学からは親父さんの弟夫婦が育ての親になっているのを聞いて知っていた。
「まあ緊張せずに気楽にね。」叔母さんは微笑み恭子がいるキッチンに行くと手を洗ってエプロンをかけ料理を作り始めた。
叔父さんも叔母さんも五十代前半で白地に赤と緑のチェック模様にジーンズと二人ペアルックになっていた。

将来は恭子と俺も…と新は頭を妄想で駆り立てていた。
数十分後、沢山のおいしそうな料理がテーブルに並べられ、そこに叔父さんが人数分のワイングラスをテーブルに持ってくるとワインクーラーから高そうなワインを持って来て注いだ。
「崇来てないけど始めていいよな。」
「そのうち来るでしょ。」
「では皆さんプチ同窓会ですが我々ペンションの二人も混ざります。」
みんな頷くと企画者の新が立ち上がり乾杯の音頭をとった。
『乾杯!!』
皆のグラスが鳴り響く。

No.25 13/07/22 15:57
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 24 カッチャカチャ
「へぇ卒業後は仁君だけ水泳のインストラクターの仕事をしながら実戦的武術を習っていたんだ。」
「えぇ。」
叔父さんは柔らかそうな分厚いステーキ肉をほうばるとグラスのワインを飲み干した。
「仁君格好良い。」
仁の横に座っている来美はワイングラス片手にうっとりしていた。
「新君は今何やってるんだい。」
叔父さんの質問が飛んでくる。
「えっ俺ですか。俺は某有名会社のゲームプログラマーをやってます。結構寝不足との戦いで大変ですが。」
「新ってオタク!?」
また来美がちゃちゃを横から入れてくる。
「オタクって良くテレビとかで言う。」
叔母さんも会話に混じってきた。
「いや、そんな怪しい仕事では…来美お前こそ何の仕事やってんだよ。」
「私…私は雑誌のモデルやってんの。」
「風俗の間違いじゃないのか。」
「何ですって!」
「まぁまぁ。」
叔父さんは来美のグラスにワインを注ぎながら慌ててその場を取り繕った。
何だかんだかんだ言いつつも昔話で賑わいながら夕食を皆が終えた。

No.26 13/07/22 23:05
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 25 「とうとう崇来なかったな。」
昔話に花を咲かせ新は酔いがまわり頬を赤らめテーブルに伏した。
「新、大丈夫…」
テーブルを片付けながら恭子はそっと自分の薄手の上着をかけた。
叔父さんと叔母さんは仲良くキッチンで洗い物をしている。
来美は浴室で体をスポンジで洗いながら唄を口ずさんでいる。
仁は階段を上がり二階の右手奥の部屋に戻りベッドに腰掛け枕元の灯りで小説を読んでいる。
恭子が壁掛けの時計をふと見ると夜11時を回っていた。

キィ~ッ
一階奥のトイレ横の勝手口がいつの間にか開いているのに誰も気付いていなかった。スーッとすぐ近くのシャワールームに影が忍び寄る。

「これからイケメン仁君をこのボディで誘惑しちゃおう。」
来美は豊満な身体をくねらせる。
泡だらけの髪をぬるま湯のシャワーで流していると背後に何かしら気配を感じる。
「誰…!?」
後ろを振り向いても誰も居ない。

「気のせいかしッグゥッ」
ギリギリッ
シャワーのホースが来美の首を蛇の様に絡み付き締め上げる。

No.27 13/07/23 11:33
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 26 「誰か…」
来美は首から力一杯外そうとするが更に食い込む。徐々に力が入らなくなりプラーンと両腕が垂れ下がるとそのまま微動だにしなくなった。

ズリュリュ ズリュリュ
勝手口の方に音が消えていく。

「よし全部終わったな恭子ちゃんは先に汗でも流したら。私達は明日の朝食の仕込みが終わってからシャワー浴びるから。ねっあなた。」
叔母さんはそう言うと「うんお疲れさま」と叔父さんも頷いた。

うーんと背伸びをすると恭子はキッチン横の部屋に入ると着替えをとりシャワールームに向かった。
叔父さん等の部屋を通りシャワールームのドアを開け中に入ると脱衣場の蛍光灯のスイッチが入れっぱなしになっている。
「あれ誰か入ってるの?」
ピチョーン
ピチョーン
耳を澄ましても水滴の音しか聞こえない。
横の棚を見ると竹で編んだ籠には来美の衣服が無造作に脱いで押し込んである。
「ねぇ来美いるの?具合いでも悪いの?入るわよ。」
恭子は防水カーテンをシャーッと開けた。

No.28 13/07/23 12:01
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 27 「えっ…」
恭子は驚いた。そこには誰の姿も無かったからだ。
下に赤い付け爪が赤い花びらの様に一枚落ちているだけ。

「どうしたのかな来美…結構飲んでたからまさか酔っ払って全裸で部屋で寝てるとか。昔、何度かそういう事あったし…シャワー浴びたら来美の部屋に衣服持って行ってあげよう。」
恭子はスルスルと衣服を脱衣場で脱ぐと折り畳んで置きシャワーを浴びた。

「新君こんなところで寝てたら風邪ひくよ。」
叔父さんはテーブルで寝ている新の背中をトントンと叩いた。
「う~ん。分かりました。」
椅子から立ち上がり叔父さんに敬礼すると。おぼつかない足取りで二階の階段を上がると直ぐ右手の部屋のベッドに寝転んだ。

ガチャ
その隣の部屋の仁は読んでた本をたたむと横のテラスに出た。テラスは白くて丸い鉄製のテーブルに左右白い鉄製のアンティーク的な椅子があり右の椅子に座り外を眺めた森に囲まれ近くには滝の音が聞こえる。

No.29 13/07/23 12:24
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 28 マイナスイオンを体いっぱいに感じる。
「これで晴れてたら満天の星空が見えて良かったのにな。」
立ち上がりテラスの手すりに両手をやると下の方を覗いた。
勝手口出て直ぐ右手の方に八畳ぐらいの物置小屋があり叔父さんからここの電気は小屋の中の発電機で補っているとの事だった。
「んっ…物置小屋に灯りが点いている。」
高級な腕時計を見ると深夜12時を回っている。不審に思い一階に下りテーブルを過ぎ薄い広い廊下を通りかかるとと恭子が直ぐ左手来美の部屋から出てきた。
「あっ仁。ねぇ来美知らない?シャワールームに衣服と部屋の鍵置いたまま部屋にも居ないの。」
「今、二階のテラスから物置小屋の灯りが漏れてるの見えたからそこに向かってたんだけど…もしかしたら来美かも。」
恭子は一人心細かったが180センチの仁がいるだけで心強かった。因みに恭子は156センチで二人並ぶと大人と子供みたいな身長差である。
「ちょっと待ってて。」
来美の部屋の真向かいの部屋に恭子は入ると懐中電灯を持って出てきた。

No.30 13/07/23 13:00
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 29 薄暗い廊下の奥の勝手口のドアノブを仁は触ると濡れている事に気が付いた。
廊下もシャワールームから勝手口まで濡れた痕が続いている。
「この濡れているのが証拠だ。来美で決まりだな。」
そう言うと仁はノブを回した。
ザッザッザッ
真っ暗闇の中幽かな滝の音と足音だけが聞こえる。仁の後ろから着いていく恭子は懐中電灯を点けて仁に渡した。
物置小屋の扉をギィ~ッと開けると裸電球がぶら下がり点いているが薄暗く気味が悪い。湿気と鼻をつくようなカビの匂いが立ち込めている。奥の方はシートやら色々な機材やら見える。「来美いるの?」と恭子が声をかけるが発電機の音だけが鳴り響くだけであった。
発電機の横壁には配電盤が設置してあり配線が沢山伸びている。
恭子が奥に行くと何かに躓いた。その拍子に恭子は転びブルーシートがめくれる。
バサッ
そこには充血し真っ赤な目を見開き首を爪で掻き毟った来美の体がゴロッと横たわっていた。

No.31 13/07/23 13:34
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 30 「ひッッ!」
恭子は声にならない悲鳴を上げた。
「うっ…」
恭子の異変に気付いた仁もその光景を見て言葉を発する事が出来なかった。
気が動転している恭子を後ろにさげると仁は近より懐中電灯で全身を見ると何か紐みたいな物で絞め殺されているのが分かった。
「一体誰がこんな事を…」
仁はそのままブルーシートを被せた。
「ハッ警察に電話しなきゃ…」
少し落ち着きを取り戻した恭子は仁と母屋に急いだ。
ガチャ ギィ~ッ
「携帯電話やスマホは圏外なら固定電話があるはず。叔父さんと叔母さんに事情はなして警察に連絡しなきゃ。」
コンコンコン
「叔父さん!叔母さん!起きて!!」シャワールーム隣の叔父さん等の部屋をノックした。
しかし二人とも熟睡しているのか返事がない。
後ろに立っている仁が「開けてみたら。」と恭子を促した。
「入るわよ。」
鍵は掛かっておらずノブを回した。真っ暗なので入って直ぐ右壁の部屋のスイッチを押すと丸い蛍光灯がチカチカッと点きベッドの一つだけが布団が盛り上がっている。

No.32 13/07/23 13:58
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 31 「ねぇ起きてッッ!」
布団を捲るとそこには恐ろしい形相で頭を斧で割られ絶命して横たわっている叔父さんの無惨な姿があった。

ドサッ
恭子はフッと気を失いその場に倒れ込んだ。
「恭子!おい恭子!」
武術で鍛練している仁は軽く恭子を担ぐと新の事が心配になり二階の階段をかけ上がった。
ゴンゴンゴンゴン
「新、無事か!開けるぞ!」
ガチャ
灯りを点けると布団が被さりさっきの異様な光景が脳裏に浮かぶ。
恭子を床にそっと寝かせるとゴクッと唾をのみ布団を捲った。
「う~ん…もう飲めないよ…」
股下をポリポリ掻きながら寝言を言っている新を見て仁はホッと溜め息をついた。
「まったくコイツは…おい新起きろ大変だ。」
頭を揺さぶり起こした。
「何だ…もう朝飯か…。」
新はふあぁっと目を擦りながら起き上がる。
「新、大変何だ!来美と叔父さんが殺されてる。」
「仁、朝から何冗談言ってるんだ。」
「良く聞け今は深夜12時半で本当に二人とも死んでるんだ。」
新は仁の真剣な表情を見てやっと本当の事を言っているんだと理解できた。

No.33 13/07/23 14:23
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 32 仁は新たに事の経緯を話した。

「このペンションの何処かに殺人鬼がいるのか…」
新は気を失ってる恭子をベッドに寝かせると各部屋に常備されている懐中電灯を取った。
「殺人鬼の目的が何か分からないが各々武器になるものを探した方がいいな。」

その時だった。
ヒぃーーッッ!!と一階から悲鳴が聞こえる。
「!?」
「叔母さん!叔母さんがまだ一階にいるんだった。」
二人顔を見合わせた。恭子がベッドに横になってる為に新の部屋の鍵をかけ一目散に階段をかけおりるとキッチンから一本ずつ長い包丁を取り出した。
「どうする?」
新は仁に尋ねる。
「ひと部屋ずつ確認するしかないな。」
仁は答えると、まずはキッチン横の恭子の部屋をガチャっと開けると二人は構えた。
ドグン ドグン ドグン
「叔母さん。」
誰も居ない。
部屋を出ると次は叔父さんが死んでる部屋を開けた。
「うっ…」
初めて血生臭い匂いと叔父さんの頭の斧を見て新は吐きそうになった。

No.34 13/07/23 14:51
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 33 「叔父さん…」
仁からさっき話しは聞いたが実際見てたまらない新は布団を被せる。部屋を見渡しても叔母さんの姿は無かった。
「んっ…」
仁が気になったのは壁掛に掛かってる筈のマスターキーが全て無くなっている。
「もしかしたら、叔父さんの殺されてる姿見て鍵持ってどっかに隠れたのかな。」
仁が言うと新は青ざめた。
「もし、もし殺人鬼が全部のマスターキーを持ってるとしたら…恭子!仁、悪い叔母さんは任せた。」
「おいっ!」
ガチャン
新は部屋を勢い良く飛び出すと自分の部屋で寝ている恭子が心配で急いで向かった。
「やれやれ…」
仁は部屋を出るとシャワールームに足を向けた。

新は自分の部屋のドアが開いて細く灯りが漏れてるのに恐怖した。
「恭子!」包丁を構え中に飛び込んだその時…
ゴガッ
「うっ…」
新は後頭部に強烈な痛みが走り意識を失いその場に前のめりに倒れた。

その頃、仁はシャワールームに叔母さんが居ないのを確認して出ると勝手口を通り過ぎシャワールームから廊下挟んだ向かいのトイレに行った。

No.35 13/07/23 18:30
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 34 トイレは右が女左が男と別れている。
電気を点けると、まず仁は男性用を覗いてみた。洗面台に鏡があり横に小用と更にその横に大用がある。大用の扉はすんなり開くと誰も居なかった。
「もう1時か…」
チラッと腕時計を見ると女性用のトイレに入った。男子と作りは対称で違うのは小用が無く大用が2つある。
「叔母さん。仁です。居ますか?戸を開けますよ。」
ガチャ
出前を開けたが誰も居ない。
奥の戸を開けようとした瞬間後ろに気配を感じる。
ビュオッ
仁は頭を下げると髪すれすれを何かが横切る。
振り返り半身の構えをとったが誰も居なかった。
「ふぅ。」
気を改めて奥の戸を開けると叔母さんが座る便器の中に顔を突っ込んだままの体勢でいた。
顔を引き上げたが既に死んでいた。
新と恭子は大丈夫か心配になった仁は急いでトイレを出ると広い廊下を走った。

フッ
ペンションの灯りが一斉に消える。
「くっ物置小屋の発電機を止めたのか。」
懐中電灯を点け左手に持ち長い包丁はベルトの腰にさした。

No.36 13/07/23 18:55
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 35 「あら…」
「あらた…目をあ…」
遠くから何かが聞こえる。
「新、目を開けて。」
ズキンッ
「ううっ…」
新の後頭部に激痛が走る。うっすら目を開けると「良かった。」涙いっぱいにした目で恭子が抱きついてきた。
「恭子…」
「新ごめんなさい。私、目を開けたらベッドに寝ていて来美や叔父さんの死んだ事を思い出して。そしたら部屋の鍵を開ける音が聞こえたから、扉の死角に立って大きな花瓶で入ってきた瞬間に思いっきり殴り付けたの。そしたら新が倒れていて…うっうっごめんなさい。死んだかと思っちゃった…生きてて良かった。」
恭子は綺麗な顔をくしゃくしゃにして大粒の涙を流した。
「もう気にするな。」
ギュッと新は恭子を抱き締めた。

その時フッとペンションの灯りが一斉に消えた。
「ひッッ!!」
ミシミシッ
 ミシミシッ
誰が階段を上がって来る音が聞こえる。
新は恭子にシーッと指を唇にあてると懐中電灯を探し床に落ちている長い包丁を拾い扉の死角に二人は息を殺して潜んだ。

No.37 13/07/25 08:31
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 36 スタスタスタスタ

ピタリ
漆黒の闇の中足音が新等の居る部屋の前で止まった。
新と恭子は息を呑んだ。

ガチャ

ギッギィ~ッ

ゆっくりと扉が開く。

新は気配を頼りに攻撃を仕掛けようと包丁を低く構える。

「うわあぁぁぁ!」

新は雄叫びを上げ気配の方に向かって包丁を突きだした瞬間…懐中電灯の灯りが見え「おい!新、大丈夫か?」と聞き覚えのある声がする。
「!?」
だが体は急に止まれない。
グサッ
「うぐっ!?」
肉を抉る感触が新の手に伝わる。
扉の死角に隠れている恭子が懐中電灯を点けその場を照らす。
「…うっ…」
そこには脇腹に包丁で刺され血をたらし床に倒れている仁の姿があった。
カラン
「仁…俺、俺何て事を…」
新は震えながら涙を流す。
恭子も涙を流していた。
長身の仁を二人は抱き抱えベッドに寝かせるとシーツを破り包帯の代わりに血が流れている場所をサラシの様にグルグル巻きにした。

No.38 13/07/26 18:48
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 37 「うっ…」
脇腹のサラシから血が滲む。
「仁…大丈夫か?すまない。」
新は深々と頭を下げる。
「あぁ何とか大丈夫だ。」
青ざめた顔で仁は二人に心配かけまいと微笑んだ。
そして仁は一階の出来事を重い口調で語った。
「そんな…叔母さんまで…」
恭子の涙が溢れ出す。両親もいなく親同然の叔父さん叔母さんもいなくなり天涯孤独の身になり心が折れそうになっていた。
「俺が絶対にお前を守ってみせる。」
新は真剣な眼差しで恭子を見た。
「…うん」
恭子は小さく頷いた。
「じゃあ俺はサポート役だな。」
三人は手のひらを重ね合わせた。
チッチッチッ
仁は懐中電灯越しに腕時計を覗くと3時を回っている。
「もう夜明けまで後少しだ。このまま三人でこの部屋にいよう。」
「そうだな。襲われても三人居れば違うからな。」
「私もそれが良い。もうたくさん。」

三人は部屋で役にたつものが無いか箪笥や棚など部屋の隅から隅と探した。

No.39 13/07/26 19:47
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 38 ガサガサ
集まったのは木のハンガーが3つ、タオルが5枚、バラの香りがする赤いキャンドルが3つ、マッチの箱が1つ

「集まったのはこれで全部だな。」

ビュオォッ
ガタッ ガタッ
「!?」
外は激しい豪雨と強風で強く窓にぶち当たる。
「何だ…風か。」
恭子は新の後ろに隠れるとビクビクして窓の方を見つめた。

大きな窓の遮光カーテンと白のレースのカーテンを新は閉めるとマッチをすりキャンドルを灯した。
懐中電灯を三人は消すと暖かい光りとバラのアロマキャンドルで少しリラックスする事が出来た。
三人はどっと疲れが出ると激しい睡魔に襲われた。



チッチッチッ

恭子はふと目を覚ました。
新と仁はベッド横のソファーに座りながら寝ている。
時計は5時少し手前…


扉の方から何か音がする。

ガリガリ

 ガリガリ

「開けて…私よ…」

ドキンッッ!!

一瞬心臓が止まりそうになる。

「!?」

恭子は驚愕した。その声は聞き覚えのある声だった。

No.40 13/07/27 01:01
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 39 ガリガリ
 ガリガリ

「開けてくれない…」

ドアノブが必要以上にガチャガチャガチャとなる。

「……。」
恭子は部屋の扉から後退りした。

扉の外の音がいきなり止み部屋はシーンと静寂に包まれた。ただ窓がガタガタと鳴り響くだけだった。






ガゴッ ガゴッ

「おいテェメぇここを開けろって言ってんだろッッ!!」
何かで叩いているのか激しく扉が揺れる。

その音で新が目を覚ました。

「どうした恭子?」
新は尋ねると恭子は扉を指差した。

ゴガッ ゴガッ

「開けろっ!」

その声を聞いて新は青ざめた。

「そんな馬鹿なあり得ない。おい!仁、起きろ!」
ソファーで寝ている仁を揺り動かした。

ドサッ

仁は前のめりに床に倒れ込むと微動だにしない。ソファーから下に大量の血が滴っていた。
新は仁を抱えたが体は冷たく顔も全く血の気がなく脈を触ったが全然感じることが出来なかった。

その時だった。

ガシャン

部屋に音が鳴り響く。

No.41 13/07/27 02:21
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 40 「!?」
二人は音がした方を振り返ると
扉の少し割れた板の向こうからギョロっと片目が覗く。

「見ぃつけた~ッ」

唇が半分見え口角がニィ~ッとつり上がった。

キャーッと恭子は悲鳴を上げる。

「この声はやっぱり

…来美。」

「だって恭子言ったろ来美は首を絞められて死んでたって。」

「物置小屋のブルーシートで死んでるの仁と見たもん。」

「じゃあ何で…」

ガゴッガゴッ
バキッ

さっきより割れた穴が大きくなり来美の手がズズズッと入って来るとドアノブの鍵を開けようとする。

「糞ッッ!!」
新は走ってドアノブの鍵が開けられないように死守する。

「新、どいて!」
後ろから来た恭子が長い包丁を思いっきりふり降ろした。
ザクッ
ボタッ
右手が部屋の中に落ちると同時に
「ぎぃゃーーっ!」
来美の叫び声が聞こえる。


「…何てね。痛くも痒くもないわ。しかも私、囮だし。」
来美はケタケタ笑い出す。

するとソファー後ろの窓ガラスがバリンと割れビュオォッオォッと風が入ってカーテンが舞い上がる。

No.42 13/07/27 02:53
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 41 その風でキャンドルに灯っていた火がフッと消える。
ただ救いだったのはもう朝の6時で外がうっすら明るい事だった。

だが二人がホッとした束の間、二階なのに窓の方に人影が見える。

それを見た恭子は気絶はしなかったものの悲鳴を上げた。
窓から覗いていたのは逆光だが頭を斧で割られたままの叔父さんの姿だった。

「うわあぁぁぁぁ!」
これには堪らず新も絶叫した。

ガチャ
ギィ~ッ
最悪な事に来美がいる扉も開き部屋の中に入って来た。

「くっ!!」
気が動転している恭子の手を握ると来美の方に全力で突っ込んでタックルを食らわせた。

先程恭子からやられ右肘から無くなっている来美はバランスを崩し倒れた。
その隙を新は逃さず恭子と飛び越え階段を下り玄関を開ける。
ガチャ
バンッ
そこには首が変な方向に曲がっている叔母さんが待ち構えていた。

「恭子ちゃんどこ行くの…」
手に持っている出刃包丁を振りかざす。
ガバッ
「駐車場に行け。」
叔母さんの腹に新は回し蹴りを食らわせ包丁は空を切った。

No.43 13/07/27 03:18
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 42 新は転びながらも物置小屋手前の駐車場を一目散に目指し走った。

恭子にやっと追い付いたと近寄ると胸に斧が刺さっておりその場に崩れ落ちた。
ガバッ
「嘘だろ!恭子、恭子!!」
抱き抱えると、か細い声で「私はもう駄目…貴方だけでも…逃げてお願い。」
口から吐血する。
「馬鹿言ってんじゃねぇよ。」
「早く…」
その言葉を最後に恭子の手がダラリと下がった。
「恭子ぉぉーーッッ!!」
その背後に叔父さんの姿があり鉄の棒で殴りかかってくる。
「うおぉぉぉっ」と雄叫び数十発殴りつけた。
ドサッと叔父さんがその場に倒れるを見ると自分の愛車の鍵をポケットから取りだし開ける。
バタン
ドアを急いで閉め
ギュルルル
 ギュルルル
なかなかエンジンが掛からない。

ドサッ

車の上に落ちたかとフロントガラスに逆さまの状態でさっき死んでいた筈の仁が新を血走った目で覗き込んでいた。

「仁、お前まで。」
ヴオン
エンジンが掛かるとアクセルを踏み込んだ。

No.44 13/07/27 04:01
旅人0 ( 40代 ♂ )

>> 43 「くっ!」
ギャリギャリ
仁を振り落とそうと車を左右に振るがなかなか落ちてくれない。

だんだんと吊り橋が見えてきた。
「あのワイヤーを使って…」
新は車のサイドブレーキを思いっきり引くと180度ターンさせワイヤーに引っ掛け仁を天井から転がり落とした。
「すまない仁。」
そう言うと再びアクセルを全開にした。
……

「吊り橋を渡り暫くするとアスファルトの上を生気のない顔で立っている崇に会えた。ビックリしたけど普通の崇で良かった。」
新の目から涙が滴った。
「そうか…そんな事が…今すぐこの場を早く離れよう。」

いつの間にか空は晴天になっていた。

三叉路を普通に通り抜け今までの事は何だったのか夢だったのか二人はそう思った。
自分等の住む街に戻ってき見慣れた街並みを見てやっと安堵した。

帰ってからネットで調べてみると昔あの付近で戦争の兵隊を不老不死などの実験していた研究所がありその家族も犠牲になったという噂話しが載っていた。


だが二人は知らない



恭子の死体が新と叔父さんが格闘中にトランクに入れらてる事を…




この街が死者の街になる事を…


No.45 13/07/27 04:18
アル『日 ( 40代 ♂ ycvN )

>> 44 ‐あとがき‐

作者のアル🍺ばい

いや~ッ夏に向けてホラーものをとその場で思いついた通りに行き当たりばったりレスしてたらお化けものから殺人鬼とみせかけゾンビものに…😂
お粗末な展開で拙い小説読んでくれた読者の皆さん最後まで読んでくれて有り難う🙋⤴
あっ因みに自負自身はテレビとかのホラーものは苦手で目を両手で塞ぎ指の隙間からソッと見るか見ないかの肝っ玉小さな男なんで👻🔥😨ヒィ~ッ💦
あと別にレスしてるSFアクションファンタジー
🚀parallelworld🌏
も宜しく亀レスやけど😂
んじゃば失礼おば➰👻

No.46 13/07/29 20:17
アル『日 ( 40代 ♂ ycvN )

タッタッタ
「ハァハァハァ…」
うねるような暑さの中大吾は息を切らしながら走っていた。住宅街のアスファルトの表面はユラユラと陽炎が立ち上る。
今年は異常気象で正午前にも関わらず気温は40℃を軽く越えていた。
公園を大吾は見つけると木陰のあるベンチに腰掛けた。
「ふう~ッッ!もう追って来ないだろ。夕方5時までまだ大分時間あるから体力温存しとかないとな。」
明るいグレーのサマースーツをベンチに掛けワイシャツのボタンを胸まで外す。
ミィーンミィーンミィーン
ジィジィジィ
木にとまっている蝉の鳴き声だけが耳に入ってくる。

ピピピッ
腕時計型のレーダーからシグナル音が鳴る。
「チッ!半径100メートル以内に三人か。」
腕時計型レーダーの立体映像で地図をある程度把握すると左腕にスーツを持ち、赤い3つの三角マークが動いているのとは別の方向に大吾は走り出した。
「糞ったれ2分も休んでねぇよ。」

少し走ると片道三車線の大きな道路に出た。

No.47 13/07/29 21:45
アル『日 ( 40代 ♂ ycvN )

>> 46 ピピピッ
今通って来た道から赤い反応が近づいて来る。
「目の前は道路、左はオフィス街、右はジャンク街か…」
大吾は体を隠しやすいジャンク街に向かい走った。

バルバルバル
上空に何か近づいて来る。

「ヘリコプター!?」
大吾は空を見上げ一瞬唖然としたが気をとりなおして走り出す。

ジャンク街に入ると色々な何かの部品を売る店がところせましと並んでいる。
まぁ強いて言うなら朝8時から逃げ回っているが街の人達とは誰とも会っていない。車も乗り捨ててある。
因みに他人の車で逃げようとしたが俺との認証識別番号が一致しないため動かなかった。

ジャンク屋には旧式の鉛鉄砲や60年前出始めたばかりのスタンガン何かも売ってある。だが薄い財布の中身はカードも無く千円とちょっとの小銭しか入ってない。ケースを割って持って行きたいところだが…
ただし高圧ガラスの中に陳列してあるので無理。
喉がからっからに渇いているので自販機を探すとコーラを買った。

No.48 13/07/29 22:14
アル『日 ( 40代 ♂ ycvN )

>> 47 カシュ
ゴキュゴキュゴキュ
旧式のタブを開けると喉を鳴らして一気に飲み干した。
「ぷへ~ッッ!!生き返る。この炭酸たまんねぇ。」
タブ式何か今じゃ見ることもなく20年振りに復刻版として限定発売してあるのであった。

「しかし、ひと缶5百円ってぼったくりじゃん。まぁ旨かったけど。」
手で口を拭うとレーダーの反応が無いのでゆっくり歩き出した。

「そういや朝8時に俺と同じ部屋にいた連中はどうしてるかな。」
大吾は呟くと辺りを警戒しながら歩く。

ピピピッ
バルバルバル
また上空をヘリコプターが通り過ぎていく。さっきより飛んでる高度が低くなっているような。

その時だった…

ガタン

「!?」

あるジャンク屋の片隅から物音がすると目の前に人影が現れた。
大吾はサッと身構える。

「何あんちゃん身構えてんだ。俺だよ俺。」
ランニングシャツに白いももひき煮しめ色した腹巻きに額には白いハチマキに左耳上部には鉛筆と何とも風変わりな六十代半ばの白髪の角刈りをしたおっちゃんが立っていた。

No.49 13/07/29 22:38
アル『日 ( 40代 ♂ ycvN )

>> 48 「いや~100年ぐらい前に家庭で流行ったっていうスタイルに感銘を受けてな骨董品屋で調べてもらって全国から取り寄せてもらって全部で金額1千万だったぜあんちゃん。」

「こっこのスタイルが1千万!」
追われているのに思わず声を上げてしまった。

「シィーッ!あんちゃんでけえ声だすなよ。あぁ何でもこれは木綿糸って超レアな素材で出来ているらしい。」
大吾は慌てて自分の口を塞いだ。

「それなら俺も歴史博物館で見たことあります。」
自分が着ているスーツやシャツは現代でもっともポピュラーな素材で仕立ててある。
本当は体温自動調節装置がついているのが当たり前何だが俺の一張羅は壊れていて修理する金も無くそのままほったらかしにしている。

「ここで会ったのも何かの縁だ一緒に行動しねぇか?」

「まぁ…良いですよ。」
少し大吾は考えたが了解した。

「あんちゃん有り難うよ。俺の事は元って読んでくれ。」
元は鼻を指で擦りながら言った。

No.50 13/07/29 23:10
アル『日 ( 40代 ♂ ycvN )

>> 49 「あっ、げっ元さん俺は霧島大吾って言います。」
と頭を下げた時に大吾はあることに気づいた。

「元さん何で裸足何ですか。」

「あっこりゃあな下駄ってやつをやっぱり骨董品屋で3百万で買って気に入って履いてたんだけどよ逃げる時にカラッコロうるせぇからその辺の公園に捨てちまった。」

「ええッ!!」
大吾はまた大声を発した。

「ばか野郎大声出すなって。」
辺りをキョロキョロ元は見回した。

「すいません。ジャンク街は結構広いんで夕方5時の時間経つまで紛れていましょうか。」

ピピピッ
シグナル音が鳴り出す。
「!?」
立体映像を見ると四方八方に6つもの赤い反応がある。
「ヤバいいつの間にか囲まれてる。」
陳列ケースの高さまで二人はしゃがむと息を殺しながら立体映像の赤い反応の動きを見つめた。

だんだんと1つの反応が二人の方へと近づいて来る。

ゴクリ

二人は息を飲んだ。

  • << 51 ガシュン ガシュン ガシュン ガシュン 2メートル程背丈がある曲線で人型をしたメタリックシルバーのロボットが真横まで来るといきなり止まった。 ウィーッ 頭が割れ無数の触手なものが出てペチョペチョと物に触れていく。二人は地面を這うようにして徐々に後退して裏口の扉を音が鳴らないように慎重に開けると一目散に逃げ出した。 「ハァハァ…ふう生きた心地しなかった。」 大吾は額の汗を拭った。 「ゼェゼェ…あんちゃん、あれに捕まると最後だからな。他の連中が何人か捕まるの見たんだがよ…」 元は汗をタラーッと掻いた。 「どうなるんですか?」 「雑巾のように捻られ血を搾られたり袋に詰められサンドバッグのようにされたり…そりゃもう拷問だ。」 「絶対に捕まったら地獄ですね。」 「あぁそうだな。」 炎天下と今の元さんの話しで大吾は何ともいえない汗を掻いた。 立体映像を見ながらいりくんだ細い通路を進んで行った。
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