地球に・・・
「お前もう、あの星から帰ってきてたの?
あーなんだっけか・・・・
地球? あ!地球だったな」
からかうようにポットが言う
『悪かったな、もう帰ってきちゃって💢
帰りたくてかえってきたわけじゃないんだ!
変な病気にかかって・・・・』
「んで、またいつ行くんだ?あんなしょうもない星に!物好きだよなお前も!地球っていえば
あの汚い生き物に汚染されてさぁ・・・あ!おい!待てよ!サイ!」
地球は確かに、綺麗とはいえ言えなかった
生き物も汚い所がたくさんあった
でも・・・なんだかひかれてしまう
だから今は
あまりあの星の悪口は
正直聞きたくなかった
>> 5
「サイ!!!!お前ラッキーだぞ!お前の地球での受容体が見つかったぞ!
十四歳
男性
日本在住だろ!」
『ホントか!』
「ああ!お前が地球についてレポート出してた時、かなり興味が沸いたんだ!
『地球の生態系の破壊と生物との相関性』
俺も不思議なんだ!
あの星の生き物は
星が壊れようってのに
何故か破壊行為しか行わない
サイ!是非とも調べてきてくれ!」
『OK👍
ご協力ありがとう
ところで その受容体は
なんで体を提供してくれたんだい?』
「あぁ!
自殺しようとしていたらしい」
『え・・・自殺?』
「地球人とは誠に奇なり
自分で命を絶つなんて
まぁラッキーだったな」
『自殺って・・・
その受容体大丈夫か?』
「検討を祈る!
では転送するぞ」
『ちょっと待て!
地球人で自殺といったら環境的に・・・・』
「行ってらっしゃい!
サイ!」
『いや!だからやばいって!あぁあぁあ・・・・』
嬉しそうな友は
俺を無理やり転送ポットに入れると
明るく手を振った
ま じ か よ!
それから
俺は
ゆっくりと
意識を失った
>> 12
きっと男は
俺に何か返答を求めている
でも、なんて答えればいいんだろう?
一分遅れてすみません
だろうか?
確かに決まった時間に遅れてきたのかもしれない
でも、もし男が父親だとしたら
まず、遅刻したことよりも
手首にまく包帯だとか
青ざめた顔色だとか
気にかけてくれるものではないのか?
しかも、この体の主は
自殺未遂をおこして・・・・・・・・
「冬樹💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢」
バシーンと俺の前にコップが飛んできて耳をかすめて壁に当たった
相当な力で投げつけられたであろうそれは
割れて粉々になり
ガラスの破片がキラキラと床に散らばる
>> 18
とにかく俺の中で整理することにした
『父さんは何を怒っているのですか?』
「・・・・・💢💢💢💢💢」
『母さんは何を怯えているのですか?』
「・・・・・・・・」
『二人とも大丈夫ですか?』
「・・・・・っ!冬樹!
危ない!」
女が叫ぶのと、頭に鈍痛が走るのと
そう時間差はなかった
ガシャン!!
「てめぇ!こんな点数とりやがって!
この一族の恥曝しめ!
弟の息子わな!学年トップだ!
なのにてめぇはなんだこりゃ!あぁ!
このままじゃ
父の病院はあいつと
あいつの息子のもんじゃねーか💢
おまえみたいな出来損ないがいるから
全部弟が持って行っちまうんだ!
てめぇなんて
死んじまえ!」
>> 24
包帯の巻かれた左手首をさすりながら
制服を着て帽子を被る
部屋は驚くほど綺麗になった
『気持ちいい~♪』
なんだかんだあって
時計の針は6時半をさしていた
眠い目をこすり、
冷たい水を飲み
大きく背伸びをした
せっかく貰った機会だ
有効に使わせてもらおう
鞄を持ち、ドアを開けると、お化けのように女が廊下で天井を見ていた
可哀想だな・・・
『母さんおいでよ』
俺はぼんやり座るその人の手を引いて
片付いたばかりの部屋の椅子に座らせた
そして先ほど洗ったカップに
温かいココアをいれてあげる
「・・・・・ありがとう?」
『どういたしまして』
「・・・こんな・・・はじめて・・・・・」
『そうだっけ?
まあ、のみたかったら
いつでもいれるよ』
「・・・・・っ」
女の目から涙がこぼれ落ちる
いや
女ではなく
この人はきっと
母さんだ
>> 28
朝に続き二連発・・・
この体の主は殴られやすい人物だったらしい
そいつは俺の腹をいきなり蹴り上げ
倒れた所を靴で踏みつけた
「次そんな口きいたら
コロス!」
騒ぎを聞きつけ、他にも学生が集まり始めた
ひそひそ話し声がするが誰一人俺に声をかけるものはない
ただただニヤニヤした顔でこちらを見て
平気で
胸ぐらを掴んだ男に
軽く挨拶をしたり雑談したりしている
変だな・・・・
周りを見渡しながら
ゆっくりと立ち上がり、膝の土を払うために前屈みになった
「おっと!こけちまったぁ!」
『わ!わ!わ!・・・』
ズザッ!
突然押され、またもや地面に倒れ込む
「ごめん!ごめん!
ちょっとあたっちまったぁ!」
ニヤニヤと笑いながら
先ほど胸ぐらを掴んできた男のそばで、友達らしき者が俺を指差す
転んだ俺の姿をみて
周りの者がクスクス笑う
>> 31
頬に痛みが走り
俺はまた、地面にうつ伏せた
ギャハハハハハハ!
また笑い声が聞こえる
俺は今度は勢いよく立ち上がった
ひっ!
何者かが声をあげるが
全然構わなかった
不思議だ!
面白い!
面白いっつ!
『何故笑う?
何故殴る?
何故楽しい?』
あぁ!眞樹でなくてもいいんだ!答えてほしい!
この行動はなぜ起こる?
なぜなんだ!
なぜなんだ!
「うっせー!失せろ!
行こうぜ!こんなカス相手にしてる時間がもったいねー」
『ま!まて!
眞樹!教えろ!
なぜ・・・・・・
行ってしまうんだ・・・?』
走るように去っていった奴らを呆然と眺めた
周りを見回すと
誰もが視線を避けるように去っていく
>> 33
鼻血、口切、頭瘤それに加え左手首の傷
色々傷だらけだったので
とにかく学校につき次第保健室に行くことに決めた
学校の場所は同じ制服の者について行くというアイデアの本無事遂行された・・・というほど大したことじゃないが・・
『失礼します!
怪我の手当てをおねがいします』
保健室というからには
女性がいると思っていたが
そこにはゴツい男が小さな丸い椅子に大股を広げて座っていた
「おぅ!どこ怪我した?」
『ここと、ここと、ここと・・・・・』
場所を説明していると
ムスッとした顔がさらに歪んだ
保健の先生は何も言わず治療してくれた
左手首も丁寧に薬を塗り包帯を巻く
頭に氷を入れた袋を当てると、かなり痛みがひいた
『ありがとうございました!』
部屋を去ろうと立ち上がるとでかい掌が肩にかかる
「怪我したらいつでもこい!」
『あ!はい!ありがとうございます』
怒ってるのか、困ってるのかよくわからなかったが、ぐっと力がこもった腕と言葉に押され
感謝の言葉を述べる
まぁ・・・これ以上の怪我は本当に勘弁だけど・・・・・・
>> 34
保健室を出て教室へ向かった
クラスはだいたいわかる・・・というのも
朝見た答案用紙に
3の2とかかれていたからだ
冬樹と呼ばれる人物は
中学三年生で
まさに受験を控えている
自分の目的を遂行するために
まず成績をあげなくては
朝あんな騒ぎがあったため、教室のドアを開けると、もうすでにホームルームが始まっていた
「冬樹さん遅刻よ!理由は!?」
いかにも厳しそうな年配の女性の先生が、眼鏡を軽くあげ質問する
『はい。朝起きて、自殺を図っていたらしい左手首を治療し、
朝食中に父が暴れた為頭を負傷し、
登校中に数名の生徒に殴られ・・・・』
淡々と説明する俺を見て、静かに席に座っていた生徒たちがざわざわと話し始める
その様子に慌てたように先生が席を立った
「皆さんお静かに!
冬樹くん!理由はもういいですから、お座りなさい」
『しかしまだ続きが・・・』
「はやくっ!」
ヒステリックに叫ぶ先生に押され
俺は渋々席についた
俺の説明は
間違いなく、遅刻をしたという現象を納得させるものであるのに・・・・
どうもこの星の生き物はせっかちで困る
原因解明にあまり興味がないようだ
とにかく問題を速やかに解決・・・・ではなく
速やかに終わらせたいらしい
>> 35
机に座ると眞樹という人物がこちらを向き、中指を上にあげ
「コロス!」
と口を尖らせて象った
『・・・・?』
先生の怒り方と、眞樹のコロスというメッセージから考えると
俺の話した内容はあまり理解されずに終わったかのように思う
だから最後まではなしたかったのだが・・・
俺は両腕を組み、眞樹をじっと見つめた
『・・・・・』
「・・・・・💢💢💢」
眞樹という人物は
何か気にくわないような顔をして、またもや中指を立て、
「ぶっ殺す」
と小さな声で言った。
まぁ分かってはいたが、この星では声に出さなければ何も伝わらない
俗に言う、テレパシーなどというものは存在しないらしい
何にせよ、眞樹という人物・・・もとい以下眞樹にしよう
まどろっこしい
眞樹は同じクラスにいる
まだまたいくらでも、はなす機会はあるだろう
>> 36
「少年老いやすく學成り難し」
昔、病気の体でこの星に生存していた時、学んだ言葉だ
確かに、この星の生き物はなかなか知識を吸収できない
午前中、授業を聞きノートもとったが
知識として取り入れた部分は少ない
我が星の体であれば
この位の内容は完璧に覚え
さらにそこから推論を立て、新たなる仮定を・・・・・・
まぁいい。
やや興奮してしまったがとにかく
現時点の問題点に戻ると
まだ理解できていない事柄があるため、昼休みでも職員室にて、先生にたずねることが、一番の対策に思えた
何故か班から一人席を離され、女性から
「汚い」
と罵られた給食を終え
(勿論、何故そう思うか聞いたが、答えはなく
逆に怒りをかってしまった?何故だろう?
きっと彼女たちは、
いやもしかしたら、包帯だらけの俺に・・・あぁ
ここで推論は置いておこう、読者の方達が、大変に読みにくくなってしまうし、今読者の方は百人程度で有り難いことに毎日少しずつのびていて
しかも更新するとすぐみてくれる有り難いそこの方!
俺の考えに同調しているのですね!
あぁならば是非たずねたい!この星の生き物は・・・・・・)
ぶつぶつ言いながら、教科書やノートをまとめ、教室の後方のドアに向かうと
眞樹とその友だちらしき人物4~5名が
ドアの横に立ち
眞樹はドアの前で、まるで俳優のように片足をあげ、俗に言う、通せんぼをしている
カッコイいのだが
『・・・・・』
「・・・・・・」
邪魔だな・・・・
>> 37
この場合は・・・
午前中学んだことから実践してみる
眞樹は説明が苦手で聞く耳も持たない人物
朝少しだが交流が持てたため、理解できた
よって、伝えたい事柄はストレートに伝えよう
『オマエ、ジャマダ』
「💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢💢」
伝わったのだろうか?
眞樹は今朝の父親であろう男と同じ顔をしている
朝の二の舞であれば
殴られるだろう
申し訳ないが
またあの大きな体の保険医に世話にならなければならない
どうでるかと、眞樹を見ていると、彼は意外にもニヤリと笑い
突然肩を組んできた
「冬樹!少し話がある!
来てくれないか?」
- << 40 眞樹はそういうと 数名の友だちとまるで隠すように俺を囲い込んで、トイレに連れ込んだ トイレとは用を足すところ 『・・・?俺は先ほど済ませた。 ここに用はないが』 ヒハハハハ 眞樹の連れのものたちが(面倒なので以下こう呼ぼう、名乗り出たらそれぞれ紹介する) 変につくったような笑い声をあげる 先にそこにいたものたちは、彼らを避けるようにそそくさと出て行った 眞樹は俺をその一室に入れると また、俳優立ちで 片足をあげ、ニヤリと笑った 「オマエ、ジャマダ!」 先ほど俺が言ったセリフだ 繰り返し使うのには 何か意味があるのだろうか? しかし、邪魔なのは俺ではなく、トイレになど入りたくないのに一室に閉じ込め・・・・・ あぁ!わかった! 俺はここに閉じ込められたのか これはあまりよい状況ではないかもしれないな・・・・
>> 38
~読者様へ~
どうしても、サイがさっきの話を続けたいみたいなので、(どちらかと言うと勝手に話を切って先に進めた私に理由を聞きまくるので
迷惑かもしれませんが
このページを使わせてください
『読者の皆様に聞きたいことがある
先ほども述べたし、いま実際起こっていることで疑問点が多いのだが
まず
1つめ!
なぜこの星の人物は話をきかないのだ?
行動には理由がある!
だからこそ話をしたいし話を聞きたいのに
なぜ話さない?
すぐに暴力にでたり
暴動を起こしたり
戦争に発展したり
一部のメディアが流した垂れ流しの言葉の原因を突き止めずに
ただ怒り、責めたて、敵にするのはなぜだ?
まあ話しは飛躍しすぎたが・・・
よかったら答えてほしい
・・・・・・
やはり答えるのはこの星の美学に反するのか?』
・・・・自由投稿にしてあります💧よかったらご意見ください💧なんかすみません。(作者)
このページ載せたくないなぁ・・・・
>> 38
この場合は・・・
午前中学んだことから実践してみる
眞樹は説明が苦手で聞く耳も持たない人物
朝少しだが交流が持てたため、理解で…
眞樹はそういうと
数名の友だちとまるで隠すように俺を囲い込んで、トイレに連れ込んだ
トイレとは用を足すところ
『・・・?俺は先ほど済ませた。
ここに用はないが』
ヒハハハハ
眞樹の連れのものたちが(面倒なので以下こう呼ぼう、名乗り出たらそれぞれ紹介する)
変につくったような笑い声をあげる
先にそこにいたものたちは、彼らを避けるようにそそくさと出て行った
眞樹は俺をその一室に入れると
また、俳優立ちで
片足をあげ、ニヤリと笑った
「オマエ、ジャマダ!」
先ほど俺が言ったセリフだ
繰り返し使うのには
何か意味があるのだろうか?
しかし、邪魔なのは俺ではなく、トイレになど入りたくないのに一室に閉じ込め・・・・・
あぁ!わかった!
俺はここに閉じ込められたのか
これはあまりよい状況ではないかもしれないな・・・・
- << 43 伝えたい事柄をストレートに伝えるというのは あまりうまくいかなかったようだ 「ぎゃははは! きったねーな! オマエ、ジャマダ! ぎゃははは!」 そのままトイレに閉じ込められた俺の頭上から、異臭のする液体が、息ができぬほどジャバジャバと降りかかり 逃げようと無理やりドアをこじ開けた所 箒やバケツで散々殴られた 俺の頭を踏みつけながら眞樹がいう 「オマエ、ジャマダ、 死ねよ! 生きてる意味ねーし!」 『生きている意味・・・・?』 不思議な響きに体中の痛みが吹き飛んだ 生きている意味!!!????
>> 40
眞樹はそういうと
数名の友だちとまるで隠すように俺を囲い込んで、トイレに連れ込んだ
トイレとは用を足すところ
『・・・…
伝えたい事柄をストレートに伝えるというのは
あまりうまくいかなかったようだ
「ぎゃははは!
きったねーな!
オマエ、ジャマダ!
ぎゃははは!」
そのままトイレに閉じ込められた俺の頭上から、異臭のする液体が、息ができぬほどジャバジャバと降りかかり
逃げようと無理やりドアをこじ開けた所
箒やバケツで散々殴られた
俺の頭を踏みつけながら眞樹がいう
「オマエ、ジャマダ、
死ねよ!
生きてる意味ねーし!」
『生きている意味・・・・?』
不思議な響きに体中の痛みが吹き飛んだ
生きている意味!!!????
>> 43
『おまえ等は、いや!
眞樹!おまえは
生きているのに何か意味があるのか?』
頭を押さえている足を振りほどいて彼の腕を掴んだ!
『生きている意味とはなんだ?
おまえ等は生かされているのではなく
生きているのだな
何か意味をもって
生きているのだな!』
あぁ!すごい!
この星の生き物ときたら自分で生きているのだ
俺たちのように
研究するために
生かされているのではない!
そして彼は
どんな意味をもって
生きているのだっ?
「さわるんじゃねぇ!
きたねー!くせー!
このゴミ男!」
『この際、ゴミ男でもなんでも構わない!
お前が生きている意味を教えろ!
俺はそれが知りたい!』
どんなにふりほどこうとしても食いついてくる俺から、顔をしかめて逃げる彼を何度も何度も掴んだ
おつきのもの達も
俺の異臭を嫌ってか
このもみ合いに参加せず鼻を摘んでアタフタしながら傍観している
>> 44
もみ合っているうちに、いつの間にか、トイレの外に出ていた
眞樹の腹につかみかかり、顔を近づけて何度もたずねる俺の姿を見た
一般生徒たちが
ざわざわと集まり始める
「ヤメロ!このクソゴミ野郎!はなせっ!」
『いや!はなすまい!
こんな興味深いことはない!
答えを!答えをくれ!
お前はなぜいきる!
何故なんだ!』
渡り廊下で、もみ合って大声を出していれば
人が集まるわけで・・・・
残念ながらそのせいで俺の疑問は解決に至らず・・・
『我を忘れたことは反省している・・・』
時間がたち少し冷静になった為
考えを正した
俺たちは程なく、先生方にとらわれ、職員室に連れ込まれた
先ほど物事を迅速に終わらせたがっていた女先生は、俺たちを職員室の床に座らせ睨みつけている
>> 46
職員室にはほかにもたくさんの先生がいた
しかし
俺たちをちらちらとのぞくばかりで誰一人興味を持つ様子はない
それどころか、一人・・・また一人と部屋から去っていく
「冬樹さん!どこをみているのです!」
女先生はヒステリックに叫ぶ
「あなたは不真面目すぎますっ!」
『しかし先生・・・・』
「毎回!毎回!毎回!
問題を起こすのはアナタ!
先日も騒ぎを起こしたばかりじゃないですか!
いい・・・かげんに・・・
してちょうだい💢💢」
バアンと怒りにまかせて机を叩く女先生を
呆然と眺めていた
先日の事はしらないが
今回は、間違いなく眞樹が悪いだろう
しかしこの女先生は勘違いし
理由も聞かずに怒り狂っている
その様子は
なんだか滑稽にすら思えた。
>> 47
ホームルームの時間も遅刻の理由など、興味のない様子だった
多分、現時点で弁解したとしても
耳を傾けては貰えまい
そうは思ったが一応
ことの次第を伝えることにした
『先ほど俺たちが渡り廊下でもみ合っていた理由は・・・
「あなたが眞樹くんに絡んで喧嘩をしかけたのでしょう。
先ほど眞樹くんから聞きました」
『そうではなく、眞樹たちが無理やり俺をトイレに連れ込み・・・・』
「先生!
俺はそんなことしません!先生なら分かって頂けるかと思いますが。」
「そうね。
優秀なあなたがそんなことする訳ないわね。
分かります」
『いや、間違いなく、
眞樹がトイレの一室に俺を閉じ込め
頭から汚い水をかけ・・・』
「冬樹くん!いい加減にしてくれ!
僕は断じてそんなことはしていません!
信じてください!
先生!」
『俺は先生に真実をつたえたい
眞樹はすこし黙っていて・・・
「黙るのは
あなたです!
冬樹さんっ!
いい加減になさい!
どこまで
あなたは
どこまで
嘘つきなの!!!!!!!!!」
>> 48
案の定、理解してはもらえなかったようだ
「先生 僕生徒会の仕事があるので、行ってもいいですか?」
眞樹は先生の答えを待たずに、平然とした顔でいや、明らかに女性先生を見下したような顔で
席を立った
「えぇ、えぇ、いいのよ
時間をとらせちゃってごめんなさいね
生徒会の仕事、お願いね」
女先生も、明らかに機嫌をとるような声(俗に言う猫なで声)で眞樹に微笑みかける
ピシャリ・・・・
いかにも自分が正しかったように堂々と出て行く彼と
無実の罪で未だ職員室で尋問されるであろう俺・・・・・
なんかおかしい
見上げると、女先生の勝ち誇ったような顔が映った
「さて・・・・冬樹さん
あなたにはそれ相応の罰を受けてもらわなければ・・・さて・・・どうしようかしら・・・・」
なんだか嬉しそうに見える女先生に疑問を持ちながら眺めていると
後ろに白い影がちらつくことに気づく
職員室は誰もいなかったはずだが
幽霊か?
白い影は、ゆっくりと俺たちに近づき、小さな声で呟いた
「あのぅ・・・伊丹先生・・・
鼻息を荒くして、これから行う楽しいことを想像しているかのように、高揚していた女先生(イタミ先生と言うのか・・)の後ろから、背中を丸めた大きな白衣の男が姿を現す
「ぼくぅ、今日午後からいないんですよねぇ・・・
だから・・・その・・・
冬樹クン、結局そんなずぶ濡れで怪我してたら、保健室くるんでしょう?
早く治療済ませて
帰りたいんですが・・・
その・・・・」
>> 49
「はぁ💨💨💨💨💨」
イヤミ先生は(読者が覚えやすいようにイタミ先生からイヤミ先生に変えてみた
以後この名前でよぶことにしよう)
わざとらしく深いため息をつくと、白衣の男を
睨むように横目でチラッと見た
「あのぅ・・・
えっと・・・・・・・・
・・・・・・
僕が帰った後、伊丹先生が治療してくださるならそれでも・・・」
「・・・・・」
確認するように俺の姿をまるで景色でもみるように眺めた、イヤミ先生は
まるで汚いものでも扱うように、シッシッと手を振り、白衣の男に目配せをした後、立ち上がった
「冬樹さん
罰は放課後の教室掃除です。必ず独りでやりなさい。忘れることがないように。」
「なぜ?」
「私が言いたいことは以上です💢
二度と騒ぎを起こさないように💢!」
イタミ先生はそれだけいうと、怒りをぶつけるように大きく扉を閉め職員室を後にした
・・・・・・
なぜだ?
・・・・
「冬樹くん・・・・・
行こうか・・・・」
イヤミ先生が去っていった扉をボンヤリと眺めていると
白衣の男は俺の肩に
躊躇する様子も見せず
ふわりと自分の白衣を着せてくれた
暖かい・・・・
そういえば、体中びしょ濡れな上に
あちこち痛いな・・・
- << 51 怪我したらいつでも来いと言われたが まさか今日中にまたくることになるとは・・・ 保健室の薬品の匂いをかぎながら ずぶ濡れの服から体操服に着替える 眞樹たちに蹴られた所は痣になっていたため 湿布を貼ってもらった よく見ると、先ほど蹴られた所以外にも 点々と痣が残る 日常的に、こんな仕打ちをうけていたのか? 「・・・・独り言だけど・・・ 白衣の男が傷を手当しながら、ボソッと呟く 「眞樹君たちには 関わらない方がいい・・・」 ゆっくりと包帯をまいてくれる大きな手を見ながら、不思議に思う 窓の外からは、鳥たちの楽しげな鳴き声が聞こえる 空は朝からずっと絵の具で同じ色を塗り続けているのではないかと思われるほど、蒼く蒼く澄んでいる 光はいつまでも暖かく俺たちを照らす なのに 「・・・こんなに満ち足りているのに なぜ、人は こんなにも怒りにみちているんだ?」
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