遊郭 吉原の歴史

1617年、吉原は現在の中央区人形町に誕生した。

この時代、農村地帯は非常に貧しく、不作の年には自分で作った農作物でさえ口にする事も出来ず、

豊作なら豊作で、豊作による価格の暴落を招き、

どっちに転んでも貧困から抜け出す事は出来なかったという。

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その為、娘の居る家庭では、娘が出稼ぎに出たり、

借金を重ね、その返済を迫られて遊郭にと売られていくケースも多かった。

当時の吉原は広大な敷地を塀で囲い、その周りをドブ川で囲って逃亡を防ぐ作りになっており、

出口は吉原大門の有る一カ所のみだった。

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ここを出る方法は三つ。

借金を全て返済するか、

遊女の定年である３０歳まで勤めあげるか


死んだ時以外に出る方法は無かった。

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しかし、借金を返済するとは言っても、

中で生活するにも様々な物を自分で購入しなければならず、

一向に借金は減らずに３０歳まで勤め上げる遊女が大半だったという。

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この時代では、満足な避妊用具など有るわけない。

唯一の避妊方法は洗浄する事だったわけだが、

ホースなども無かったわけだから、勢いよく洗い流す事も出来なかった。

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しかし、妊娠したら即中絶させられた。


満足な器具も、麻酔も、技術も無い時代の事だから、


失敗して遊女が死亡する事も珍しくはなかったという。


そして、梅毒も蔓延しており、これも感染すると死亡率が高かった

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そして、当初は目立たぬ場所に追いやって要人に見られぬように営業させていた吉原だが、

江戸の町は急速に発展していき、吉原が人目に付きやすいようになってしまった。

幕府としては、改めて目立たぬ場所に移転してもらわないと困る存在となっていった。

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しかし、その為の補償費用は莫大な金額となってしまい、


幕府と吉原側の交渉は難航していた。

そんな最中の1855年、江戸の町は大火災となり、吉原は全焼した。

この時、奇妙な事に火の手が何箇所からも上がり、江戸の町は焼き尽くされたという。

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この火災によって遊郭の中に居た遊女数千人が焼死したという。


そして、これを機会に吉原は台東区千束町に移転する事になった。

こうしてまた同じ歴史が繰り返されていく事となる。

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吉原で働く女の子の寿命は非常に短かったという。


死んでも引き取り手なんか居ない。


死んだ遊女はそのまま裏口からコッソリ運び出され、


吉原の近くに現存する浄閑寺(じょうかんじ)にそのまま投げ棄てられた。

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この浄閑寺は台東区の三ノ輪駅にほど近い場所に存在している。


ここに眠る遊女の数は実に20000人を超えるという。


そして、その平均年齢は２１歳…

それを聞いた俺に、なんか抑えられないような衝動が走った。

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どれだけ過酷な生活を強いられていたんだろうか…


俺はいつしか、この浄閑寺に足を運んでいた。

俺ごときには何もしてやれないが、せめて線香ぐらいあげたかったからだ。

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浄閑寺の中に入り、狭い通路と古めかしい墓の数々の横を通っていくと、


何やら異様な雰囲気の建造物が出現する。


『生きれば苦界、死ねば浄閑寺』


と書かれた石板が有り、正にここが遊女達の遺骨を納めている場所なんだと解った。

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この建造物の隙間から中を覗くと、おびたたしい数の骨壷が中に入ってるのが解る。


現代を生きていれば、いくら借金が有るとはいえ風俗で働き、


時にはホストクラブに通ったりしていたかもしれないのに


俺は心から彼女達の冥福を祈り、線香に火をつけ手を合わせた。

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「大変だったね。お疲れ様。今はね、いくら借金が有ったとしても良い時代になったよ」


俺は遊女達にそう語りかけ、様々な思いを胸にその場を去った。


不思議な事が起こるようになったのは、その夜からの事だった。


俺は何やら寝苦しいので目を覚ますと、
着物を着た綺麗な女性がそこに居て、俺の物を舐めていた。


「ハッ！き、君は誰だ？」


俺がそう尋ねても、その女性はただ微笑むだけだった。

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続けて問い詰めようとしたが、あまりに凄いテクニックなので、


俺はただ、射精しないように堪えて堪えまくる事しか出来なかった。


―まぁ、こうなったら誰だっていいか。―


これが終わったら、君のやってる事は不法侵入なんだ、って事を突いて、


警察に突き出されるのが嫌なら、また舐めに来いと脅す作戦を思い付いた。

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それにしても、凄いテクニックだった。


この子は一体何者なんだと思って間もなく、アッという間に終わらされてしまった。


…あぁ…


グッタリした俺は、しばらく余韻に浸っていたが、


早く次の約束を取らなければいけないと気付いた！

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「おい、言っておくけど君のやってる事は不法侵入なん…」


そこまで言いかけた時には、既に彼女の姿は消えていた。


…ゆ、夢だったのか…


俺はあまりに現実っぽい夢に、戸惑いを隠せなかった。

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ところが、夢だけではなく、まだまだ不思議な事は続いた。


その日までは女の子と知り合い、やろうとしても、


「私はそんな軽い女じゃないから！」とか、


なんだかんだ言われてヤルのが難航していたにも関わらず、

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その日以来みんな簡単にヤラせてくれるようになったのだ。


きっとみんな、俺のイケメンさにようやく気付いたんだな、と考えていたが、


ある日、出会い系サイトで知り合った女の子が突然


『そうでありんす』


なんて妙な言葉遣いをするようになったのだ。

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…あ、ありんすって!?…


俺は驚いた。だってこの「ありんす」って、


昔の吉原で田舎なまりを隠す為に使われた独特な言葉遣いだったからだ！

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―じゃ、あれは夢なんかじゃなかったのか？―


その時俺は気付いた。


死んでも誰も気付いてくれず、思い出してもくれず、


誰にも弔いすらされなかった遊女が、その感謝を伝える為に俺の目の前に現れたんだと。

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それ以来俺の考え方も変わっていった。


今までは女の子に対し、ヤル事ばかりを考えてきたが、


一人の人間として接し、一人の女として愛してやる気持ちが大切なんだと。

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吉原が開設されてから現在で約400年…


現在の吉原として知られている場所に移ってきてからも155年。


それまで何度ともなく火災に見舞われ全焼し、大勢の遊女が犠牲になってきた。


1923年に起きた関東大震災の際には、火を逃れようとする遊女達が吉原池に殺到。

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次々に池に入り、人の上に人が乗り、その上にまた人が乗り、


800人もの遊女達が溺死、および焼死したという。


現在その池は埋めたてられ、吉原弁財天として観音様が立ち、その霊を諌めている。

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昭和33年まで遊女達はこの中に捕われ、借金返済の為に身体を売らされてきたが、


外国の圧力により売春防止法が施行され、その明かりは消えた。


ついに400年に渡る遊郭の歴史はこうして終わった。

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吉原の塀は取り壊され、遊女達はやっと解放された。


だが、今でも跡地には多数の店が営業を続けている。


遊女達が解放された日、まだ10代だった遊女達は現在60代～70代。


遊女の中でも位の高い花魁（おいらん）と呼ばれる女性は、三味線やお琴などの芸達者で、知識も非常に高かったという。


現在60～70歳代で三味線などの得意なお婆ちゃんは、ひょっとしたら…


まだ彼女達は日本のどこかに元気に暮らしている

―終―

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興味深く読ませていただきました。

落語の『野ざらし』にもちょっと似た話しかな？とも、思いましたが。

吉原の歴史等、勉強になりました。

次回作ありましたら、また、楽しみにしています。

• << 30 通行人さん、読んでくれてありがとうございます。 落語の野ざらしって何かな？ とは思ったのですが、これは以前他の携帯サイトの心霊体験というスレに投稿した物です。 好評だった為、まだ残してあったので投稿しました。 また何かありましたら投稿するんで読んで下さいね

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以前、映画で吉原炎上を観たんですが、時代的に江戸時代っぽくなかったような…。

あれは、いつぐらいの時代背景なんでしょうか？

• << 31 見てくれてありがとうございます。 吉原炎上は1855年の安政の大地震の時の物ですね。 現在の場所ではなく、最初の吉原、人形町のやつです。 昔の家屋は全部木で出来ていて、水道も無いし、消防車も居ない、一度火がついたら消すのは大変でした。 この為放火は重罪で、火あぶりの刑となりました。 また何か書いたら読んで下さいね

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>> 28 興味深く読ませていただきました。 落語の『野ざらし』にもちょっと似た話しかな？とも、思いましたが。 吉原の歴史等、勉強になりました。 … 通行人さん、読んでくれてありがとうございます。
落語の野ざらしって何かな？

とは思ったのですが、これは以前他の携帯サイトの心霊体験というスレに投稿した物です。

好評だった為、まだ残してあったので投稿しました。

また何かありましたら投稿するんで読んで下さいね

• << 32 お返事ありがとうございます。 吉原に詳しくてらっしゃるようなので、落語等にも詳しいのかも？と勝手に推測してしまいました。すみません。 落語の『野ざらし』は検索していただければ、詳しく書いてありますが。 簡単に説明しますと→ 釣りに行った男性が河原で、しゃれこうべを見つけ、丁寧に祈ってあげる。その夜、17才くらいの女性の幽霊がお礼を言いにやってくる。それを見ていた隣の男性が、真似をしたくて釣りに出かける…… という噺です。 祈ってあげると女の幽霊が、お礼にやってくる……という、部分的にですが、エピソード的に似てるかなと思いました。 吉原を舞台とした落語も、色々たくさんあります。落語も楽しいので、よろしければ、いかがでしょうか。 失礼しました。次回作楽しみにしています。

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>> 29 以前、映画で吉原炎上を観たんですが、時代的に江戸時代っぽくなかったような…。 あれは、いつぐらいの時代背景なんでしょうか？ 見てくれてありがとうございます。


吉原炎上は1855年の安政の大地震の時の物ですね。


現在の場所ではなく、最初の吉原、人形町のやつです。

昔の家屋は全部木で出来ていて、水道も無いし、消防車も居ない、一度火がついたら消すのは大変でした。

この為放火は重罪で、火あぶりの刑となりました。

また何か書いたら読んで下さいね

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>> 30 通行人さん、読んでくれてありがとうございます。 落語の野ざらしって何かな？ とは思ったのですが、これは以前他の携帯サイトの心霊体験というス… お返事ありがとうございます。

吉原に詳しくてらっしゃるようなので、落語等にも詳しいのかも？と勝手に推測してしまいました。すみません。

落語の『野ざらし』は検索していただければ、詳しく書いてありますが。
簡単に説明しますと→
釣りに行った男性が河原で、しゃれこうべを見つけ、丁寧に祈ってあげる。その夜、17才くらいの女性の幽霊がお礼を言いにやってくる。それを見ていた隣の男性が、真似をしたくて釣りに出かける……
という噺です。

祈ってあげると女の幽霊が、お礼にやってくる……という、部分的にですが、エピソード的に似てるかなと思いました。


吉原を舞台とした落語も、色々たくさんあります。落語も楽しいので、よろしければ、いかがでしょうか。


失礼しました。次回作楽しみにしています。

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久しぶりに吉原炎上が見たくなってしまいました。

• << 37 読んでくれてありがとうございます。 吉原炎上は火災になって吉原が終わっちゃったようになってますが、本当はまだまだ昭和33年まで続くんですね

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おもしろかったです！
もっと書いて欲しい！
たとえば、お礼に来た遊女の幽霊さんのそれぞれのエピソードとか...
もし、発想が膨らんで、その気になれば是非また書いてください！
お気に入りに入れて待ってまーす♪

• << 38 読んでくれてありがとうございます。 自分は歴史というか、自分の住んでる東京で過去に何が起こっていたのか調べるのが好きだったもので、 また何か有ったら書きますので読んで下さいね

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楽しく読ませて頂きました。

短編で時代物で分かりやすく良かったですね✨次回を期待してます

• << 39 はい。ありがとうございます。 なんかこういう小説ってみんな恋愛について書いてあり、 日記みたいになってるのを見て自分も投稿しようと思いました。 短時間で書き上げた為に乱雑だったらすみませんでした

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吉原の遊廓って、映画の｢さくらん｣みたいな華やかなイメージだったのですが、悲しい歴史を辿ってきた場所なんですね。

同じ女性として、切なくなってしまいました(Тωヽ)

• << 40 そうですね。あの吉原っていうのは、いわば借金返済の為に囚われた女の刑務所みたいな所でした。 借金を作らせて、身体を売らせて、いつまでも返済が終わらないように仕組まれた場所だったんです。 だから、それを知ってもらいたくて今回のテーマとさせていただきました。

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>> 33 久しぶりに吉原炎上が見たくなってしまいました。 読んでくれてありがとうございます。
吉原炎上は火災になって吉原が終わっちゃったようになってますが、本当はまだまだ昭和33年まで続くんですね

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>> 34 おもしろかったです！ もっと書いて欲しい！ たとえば、お礼に来た遊女の幽霊さんのそれぞれのエピソードとか... もし、発想が膨らんで、その気… 読んでくれてありがとうございます。
自分は歴史というか、自分の住んでる東京で過去に何が起こっていたのか調べるのが好きだったもので、
また何か有ったら書きますので読んで下さいね

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>> 35 楽しく読ませて頂きました。 短編で時代物で分かりやすく良かったですね✨次回を期待してます はい。ありがとうございます。
なんかこういう小説ってみんな恋愛について書いてあり、
日記みたいになってるのを見て自分も投稿しようと思いました。
短時間で書き上げた為に乱雑だったらすみませんでした

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>> 36 吉原の遊廓って、映画の｢さくらん｣みたいな華やかなイメージだったのですが、悲しい歴史を辿ってきた場所なんですね。 同じ女性として、切なくな… そうですね。あの吉原っていうのは、いわば借金返済の為に囚われた女の刑務所みたいな所でした。
借金を作らせて、身体を売らせて、いつまでも返済が終わらないように仕組まれた場所だったんです。
だから、それを知ってもらいたくて今回のテーマとさせていただきました。

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対局するように隣の山谷ホームレス街もおつ。物価安いし。
刑刑場跡とかもあるよね。

主さん素敵！

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