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No.64 18/11/28 22:17
名無し3
あ+あ-

≫63

「ようこそ阿藤君。いやお帰りと言った方がいいのかな?」

何事が起こったのか把握しきれていない僕の目に耳に高橋君の姿や声が流れ込んでくる。

「お帰り?どういうことだ?」

「覚えてないか。当たり前だな。
君はここで生まれてすぐに阿藤先生の元に引き取られたんだから。」

なに言ってるんだ?

高橋君の言葉がまるで理解出来ない。

「僕の父さんがここと関わったのは僕が中学に入る頃だ。
君の言っている事はまるで意味がわからない。」

「だよね。」

僕の言葉に高橋君はふっと鼻で笑った。

「君は大変な思い違いをしているようだね。
君のお父さん、阿藤先生は君が生まれる前からここの関係者だったんだよ。」

はっ?
何のことだ?
そんな話は聞いた事がない。

「君ね、失敗作だったんだよ。
どうせ育たないだろうと言われていたのに、阿藤先生が我が子として育てるからと半ば強引に君を連れ出した。」

全身から力が抜けていく。

「研究所としても最初はもちろん反対していたが、研究所に関わりの深い大学で阿藤先生の研究を更に深め生かすこと、君の生育に関する研究データを定期的に提出する事で、12年の猶予を与えて阿藤先生と君を研究所の外に出した。」

「それってまるで…」

息が詰まりそうな僕の言葉に、

「そう。阿藤先生は失敗作の君を守るために一生自分の身を研究所に捧げる、言わば研究所の飼い犬になったのさ。」

「まさか…まさか…僕は…」

頭の中で過去の思い出が蘇る。

父さんの遺品の研究ノート。

「この子だけは、この子だけは人として静かに幸せに…」

震える字で繰り返し書かれた父さんの言葉。

足人。

「僕も…足原と同じ…クローン…なのか?」

やっとの事で声を絞り出した僕に、

「君はなかなか察しが良いね、でも1つ間違っている。
クローンの研究はなかなか上手く進まなくてね、やっと誕生させても育たないんだ。
みんな15歳の誕生日を待たずに亡くなってしまう。
そんな中、奇跡的に育って最後に残ったクローンは1人。
これ、どういう事かわかるよね?
足人君。」

高橋君が僕の目を真っ直ぐに見てそう言った。

僕が…本物の…足人?…
父さんが亡くなる間際までずっとずっと気にかけていた…足…人…

「やめろ~~!!!」

足原が叫んだのと、僕がその場に崩れ落ちたのがほぼ同時だった。

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