👻GHOST EFFECT👻

👻1👻
　俺の家族が普通やないて初めて気付いたんは、まだ幼稚園の時…。その日は夕方になるまで誰も迎えに来ぇへんで…やっと遅ればせながら、迎えに来たんは1番若いオトン4号。
「来たぁo(^-^)o」待ちくたびれていた俺は、もちろん喜んでオトン4号に駆け寄る。それやのに…
「幸人くん！ママ来るまで、お外はダメよ。」思きし先生に止められた。もう帰る言うてんのに…誰もおらへんからて先生が帰してくれへん。迎えに来とる言うとんのに見えへん言う。不思議に思った5歳の俺は、オトン4号に訊く。
「なぁ4号…何で先生見えへん言うん（゜゜?）」オトン4号は笑顔で応える。
「4号は幽霊やからな♪先生には見えへんよ。」5歳の俺には聞き慣れへん言葉…“ゆうれい”が4文字やったから“ともだち”と同じやと理解。
「先生～(^O^)オトン幽霊やって！」俺の言葉に、先生は気絶しよった。ちなみにその日、迎えに来るハズの本物のオカン（1号）は家でのんびり寝よったらしい…先生ごめんな。

　家には常にオトンとオカンと兄弟が絶対におる。でも絶対誰にも見えへん事に気付いたんは、小学校に入学する頃…。幽霊の意味と、先生が気絶した訳を理解した。

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👻2👻
　入学式にはオカン1、3、6号とオトン1、4号、それに兄弟十数名が来よった。でも何やおかしい。オカン1号とオトン1号以外は誰にも見えてへん。あぁ、これが幽霊なんや…オトン4号言うてたもんな…ホンマに普通の人には見えへんのや。俺すごいんちゃう？そう思うて何気に1人得意気やった。時期にやって来る“オバケブーム”よりも先に“リアル幽霊”の存在を堪能しよったんやな。怖い小学生や。

　時を同じくしてオカン2、4、5号とオトン2、3号がおらんなった。最初は、てっきり出掛けとるだけや思うてたのに…パッタリ姿が見えんよなった。ずっと一緒やったんで俺は、悲しなって大泣き。そん時、
「幸人が小学生なった言うて安心して選択したんや♪また、違う人になっとうやろが会えるで。メソメソすな！」言うて俺を励ましてくれたんは、ホンマの両親オカン1号でもオトン1号でもなく…幽霊のオトン4号。言うてる意味はよぅ解らんでも嬉しかった。いずれ俺が理解できる年齢になるに連れ4号は幽霊のイロハを教えてくれる様になる。
「4号ありがとな！」
「4号ちゃうわ！そろそろ名前覚え(笑)」この頃から4号を“エイタ”言う名前で呼ぶようになった。

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👻3👻
　成長していく内に、幽霊にも種類がある事がよう解った。大きくは2種類…生まれた時から決められた寿命で死ぬんが“宿命死”。寿命の途中で選択間違うて死ぬんが“運命死”や。これは死んでからの対応が違うて、“宿命死”なら成仏期限が49日間…しかも行動制限されとって、大阪から出られへん。その点、間違うて死んでまった“運命死”の方はその運のなさ故にか、かなり自由や。行動制限ないわ、成仏以外にもずっと幽霊でおれる選択もあるわ…まぁ途中で死んでもぅた分のオマケやな。選択の期限も人によるやろが、大体は“宿命死”より長う設けてある。やから宮沢ファミリーの幽霊は、ほとんどが“運命死”やて知った。そりゃ家族の人数が日々違うてくる訳や。

　俺、2年生…相変わらず宮沢ファミリーは増えたり減ったりしよった。そこで疑問が浮かぶ。どぅも幼稚園の頃から減ってない幽霊がおる…何でや？選択期限がめっちゃ長いんか？ちゃう…減らん幽霊に特徴がある事に、賢い俺は気付いとった。服装が全然ちゃう…ものっすご黒い。子どもでも解る不気味さ…だってソレ…死神やんか。そん中の1人が俺に幽霊知識を教えてくれる元オトン4号…死神姿のエイタや。

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👻4👻
　学校の帰り道、友達と別れてからキョロキョロ。誰もおらん事確認せな。
「なぁ…」それでも小声で話しかける。家ん中以外では、極力話しかけんように気をつけてんねや。
「何やぁ？誰もおらんから普通に話しぃ(笑)」エイタは軽く言うてるが、そうもいかへん。いつ誰が見とるか解らんからな。普通の小学生でおらんと…俺にしか見えんエイタと喋っとる所なんか見られたら、独り言ぶつぶつの危ない小学生や。そんなんアカン！どうにもかなわん。
「エイタにな…訊きたい事あんねん。」ものっすご小声…言うたらテレビの音量1くらいや。
「何やねん？早う帰らな4時から“怪獣戦隊バケモンジャー”始まるで。」それは見るけどな…今はアニメより気になるで。
「エイタは“宿命死”“運命死”どっちや？…どっちもちゃうんか？」俺の問いにエイタはニカッと笑うた。
「えらい冴えとるがな♪」当たり前や。毎日あんだけ幽霊から無駄な情報入ってきとんのやから…そこらの小学生より冴えとるわ！
「ま、帰らな説明しにくいけどな…ちーと特別やねん。」特別なんかぁ…カッコえぇ！ゆーてワクワクしながら帰った俺は、この後シビアな幽霊制度に驚愕する事になるんやが…。

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👻5👻
　宮沢ファミリーを改めて確認した俺は、
「Σ(゜Д゜)！？」ゆー顔になった。
「固まりよった～(笑)な？摩訶不思議、宮沢家やろが！？」エイタは俺の反応が予想通りやったんか、1人ものっすご笑い出す。
「やめたりエイタちゃん。笑いすぎやわ(笑)」そう言いながら笑うのはオカン6号の明美さん。普通の大阪のオバちゃんで選択済み“運命死”幽霊や。戦後からずっとおるらしい。
「サヤも最初知った時、ビックリしたわ～。」言うて固まる俺の頭を撫でてるんは、べっぴん中学生のサヤ姉…選択期間中の“運命死”幽霊や。
「ビックリしただろう…だが、くじけてはいけない。それもまた人生だ…」何やマジメな顔して人生論語ってくれるんは、最近現れたオトン2号。単身赴任のおっちゃん新米幽霊…健太郎さん。オトンより歳いっとう“宿命死”幽霊で、まだ49日経ってへん。
「ふふ…だってありえへんからなぁ？特に私なんかはそうやろぅ？ふふ…」笑い方がセクシーでモロ水商売風な、加奈子姉ちゃんは49日間で選択せんかった“宿命死”幽霊…。“宿命死”と“運命死”両方の、選択期間を終えた幽霊と選択期間中の幽霊が揃っとった訳や。プラス…それだけやない。

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👻6👻
　幽霊にはまだ…特別なんがおる。他の私服幽霊と違うてもうコスプレ。黒いマントみとぅなんバッサ羽織った死神…そう、エイタがまさにそれや。特別な幽霊…“狩る者”言うらしい。その名の通り…もちろん狩るんが仕事の、言うたら職有り幽霊やな。しかもこれまた怖いんはその対象。何を狩るんか言うたら…同じ幽霊…狩るんて。49日間の選択期限が切れた“宿命死”幽霊は“漂う者”言うて“者シリーズ”の名称付き幽霊に変わる。当然、成仏嫌や言うて逃げ回る訳やから追う者がおらんと成り立たへんねや。いや正直ちょっとズルいけど、えぇんちゃうの？思うたが…“漂う者”は進化するらしい…いや、悪ぅなるから退化なんやがな。放っといたら記憶も姿も無うなって“無の者”言う化物になってまうんと。そらアカン言うて事前に“漂う者”を説得したり、こらアカン思うたら狩ったりするんが“狩る者”。やからこそ…
「Σ(゜Д゜)」ゆー顔になるっちゅ訳や。選択期限過ぎとる“宿命死”幽霊の加奈子姉ちゃんと、“狩る者”であるエイタが一緒におるんは本来ありえへんからな。この時点でかなり宮沢ファミリーは種類豊富かつ不思議ファミリーなんやが…さらにまだ…ある。

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👻7👻
　もう1人重要な幽霊がここにおる…。俺がチラッとそいつを見ると、両手を合わせてニッコニコ笑うとった。
「や～🌟えかったなぁ🎵幸人また賢なったから、今夜はご馳走にしてもらおな💕ん～と、ハンバーグがえぇかなぁ❓」訳解らんすっとぼけた事抜かして笑いよるそいつの恰好は、私服言うんには古風で…明らかに時代を間違うとる。いや～でも昨日までたくさんおる姉ちゃんの中の1人やったんが、まさか1番の重要ポストやとは思わへんかったわ。この袴姿の大正ロマンス少女…名前は縫（ヌイ）。この平成の大正幽霊、縫も職有りの特別幽霊…しかも大阪にたった1人しかおらんらしい。全ての幽霊の成仏に関わる…あの世への案内人…それが“導く者”…縫。ちなみにエイタみとうな“狩る者”は大阪中に何人もおるらしく…実際、宮沢ファミリーにはエイタと同じ恰好の姉ちゃんがもう1人おる。丁度そん時おらへんかったが…俺がそんなん考えよったからかな…後ろで“ｽﾊﾟｧﾝｯ”と勢い良う襖が開いてそいつが現れよった。おかげで俺1人のハズの6畳の狭い部屋は、幽霊7人と俺ゆー普通ならあり得へん状況を作り上げる。もう狭さ倍増や…定員オーバーもえぇ所やでホンマに…。

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👻8👻
　開けた襖は絶対閉めへん大雑把さは男の様で…
「エ～イタァッ！こんボケ…あんた幸人と一緒に学校行くのやめや！誰が代わりに仕事しよる思うてんねん！？こんドアホがッ！！」口が悪く、威勢がやたら良い姉ちゃん…アカネ。エイタと同じ死神ルック…宮沢家のもう1人の“狩る者”。
「おかえりぃ…言うて失礼するけどなぁ。」アカネの姿を確認し、加奈子姉ちゃんが突然消えた。
「あ…待ちぃや“佐伯加奈子”！」アカネは加奈子姉ちゃんをフルネームで呼ぶ。これは“狩る者”が仕事で対象者を間違わへんよーにする為やてアカネに聞いたんは…もう少し後になってから。とにかくエイタから聞いとった俺がそん時解ったんは、加奈子姉ちゃんが決してアカネと一緒におらん理由。アカネが“狩る者”で加奈子姉ちゃんは狩られる者…“漂う者”やからゆー事。同じ幽霊でも“運命死”と“宿命死”で期限が違うて、さらに期限が切れたら狩る狩られる。“導く者”の縫…“狩る者”のエイタやアカネ…普通の幽霊達…出会った事のない化物“無の者”…複雑で単純でシビアな幽霊事情。でもそんなんより…縫、エイタ、アカネは少なくともずっとおるゆー事が…小僧の俺には嬉しかった。

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👻9👻
　晩飯時になっても、エイタとアカネは白熱のバトルを展開しよった。2階の俺の部屋から、エイタとアカネの声が聞こえる。まぁ、宮沢ファミリーにしか聞こえんからな…近所迷惑にならん事が救いやわ。
「エイタァッ！仕事せんと1日ずっと幸人とおってからにぃ！」“狩る者”の仕事やな。
「俺様は幸人と遊ぶのが仕事や！」ハンバーグ食べながら納得…エイタはずっと俺とおるから仕事なんかしとらへん。
「おいしい❓」縫が嬉しそうに訊いてくる。
「縫ナ～イス(^-^)b」縫がオカン1号に言うて今夜のメニューが決まった。おいしく頂きながら、上のバトルを楽しむ俺。
「何やねん…うるさいな(-_-)」横で不機嫌そうに弟の善太が呟いた。1コ下の善太には、縫がいつも一緒におる。対人対物防犯バッチリな宮沢ファミリーや。幽霊の仕組みなんか知らん弟より、先に1つ賢こなった俺はものっすご得意気。
「善も大きなったら解るで(^O^)幽霊の仕組み(..)」
「ん？エイタが“狩る者”の仕事せぇへんからアカネ怒ってんちゃうの(?_?)」
「(@д@)!」固まった…善太は縫に教えてもろて、とっくに知ってたんやな…兄貴の威厳が初めて崩れた時やった。

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👻10👻
　そらもちろん…大笑いされたわ。
「幸、知らんかったんかぁ(>ε<)俺なんか入学してすぐに縫に教えてもろたで(^.^)」く…悔しい。1年生の弟に思きしバカにされて、もうハートべっこりや。俺も縫がえかった！心底そう思うた2年生…。それでも連れに変化なく、アカネになる事もなく…羨ましいかな善太に縫、俺にはエイタが常に一緒におる生活が長い事続く。

　幽霊の種類が解ってからは、善太に負けとぅなくて…俺はエイタに、
「知っとる事全部教えぇ！」言うて勉強よりマジメに覚えた。アカンやんな…言うても、テストで困った事はない。俺の周りには常に幽霊おったから、訊かんでも答えが飛んできよった。で、低学年にして幽霊マスターになった俺やったが…幽霊の仕組みが解ってもうて悲しい事も…ある。普通の幽霊と一緒におれる期間がいつまでなんか解ってまうからな。あれからすぐ、オトン2号健太郎さんとサヤ姉は、縫に導かれて逝ってもうたし…3年生になる頃には新しい幽霊メンバーに入れ替わっとった。慣れん内は泣きよったが、あれから2年…そんなんにも慣れた5年生。

　別れるハズのない幽霊との別れと…一生忘れへん奴との出会いが待っとる。

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👻11👻
　青い空…白くてデッカイ雲…ミャンミャンうるさい蝉っコロ！そりゃもう夏真っ盛りの7月…夏休みを前に俺は釣りにハマっとった。
「晴れてえかったなぁ。」チャリ漕ぐ俺にエイタが話しかける。釣竿を背に、今日はちょっと遠出や！角を2つ曲がり、エイタに応える。
「縫とアカネが50個もテルテル坊主造りよったからな(^^;)」人が周りにおらんよなったら、エイタと話す。まだ携帯普及前やからな…そらタイムラグはしゃーないわ。
「エイタ、何時か見てきて(^O^)」
「幸人、時計買うてもらえや。俺様は時計やないぞ？」エイタは何やら文句言うて消える。で…
「10時になってたで。」すぐに現れて応えてくれた。
「センキュ～(^_^)」幽霊てホンマ便利…エイタみとうな“狩る者”も普通の幽霊も、慣れたら瞬間移動できるらしい。飛べるわ、壁抜けれるわ、瞬間移動できるわ…幽霊えぇなぁ。言うて幽霊見えとる俺も、かなりえぇけどな！テストとか後…
「って10時(?д?)」
「10時3分な♪」約束の時間過ぎとるやないか！
「ちょー、エイターボして～や(>人<)」そう…これがかなりえぇ！エイタに自転車押してもらう裏技…“エイターボ”や！

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👻12👻
　動力は幽霊！エイターボを前に電動自転車なんか目やないで～！？坂道をあり得んくらい早う進んで、目的地である3つ先の駅に到着。
「宮沢遅い！10分も遅刻やで。」A型几帳面メガネの委員長、西川のお言葉や。
「てか何チャリで来てんねん！」クラスのツッコミ担当、坊主北野にはバッチリ突っ込まれた。
「えぇやんか～(>д<)チャリで風を感じたかったんやて(^O^)早ぅ行こヾ(^^;)」ホンマは電車代を着服したかっただけやがな。俺、西川、北野はヴィジュアルも成績も身長もバラバラやが、3人ごっつ仲良え。今日は3つ先の隣町にある川で釣りの約束や！天気予報では曇りやったが、大嘘なえぇ天気。こら魚も釣れそうな予感やわ！！ルンルンしながら川へ行く俺等やったが…
「幸人…この辺り、気をつけぇよ。」エイタがチャリの荷台に後ろ向きに座って何や言うてる。西川と北野おって話せへんから、視線だけ向けて応えたった。
「最近“無の者”の目撃情報があんねや。」珍しくマジ顔やから、ちょっとビビったわ。
「ま、俺様おるから大丈夫やがな♪」マジ顔は一瞬、すぐに普段通りの調子えぇエイタに戻る。せやから…俺は“無の者”をなめてたんや…。

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👻13👻
　もちろんエイタの忠告なんか5秒で忘れてもぅた俺は、釣りに夢中！何でか言うたら…
「何やここッ(@_@)めっちゃ大漁や～んヾ(^O^)ﾉ」目的地の林道奥の河原は、信じられへんくらいホイホイ魚が釣れてん。投げて巻けば釣れるて…釣り堀かここはッ！笑いが止まらへんわ！
「すごいやろ！？俺が見つけてんで！」釣りポイントを発見した北野が得意気に言いよった。
「正確には北野の兄ちゃんが見つけてんや。」西川が糸を巻きながら突っ込みよる。案の定、水面から飛び出した糸の先にはバッチリ食いついとる魚の姿…また釣れよった！
「余計な事言うなや～この、メガネ！」
「ほんで～宮沢どないする？この魚…。まだ昼過ぎやのにもう池ん中いっぱいやで。」アッサリ北野の言葉を流し、西川が釣った魚を放り込む。持って来なんだバケツの代わりに、川の端に積んで造った石の池には魚が溢れんばかりや。次々と調子良う釣れよるから、めっちゃ放り込みよったが…こんないっぱいやと気味悪いな。
「何や…ちょっと釣れすぎちゃうか(-_-)」幾ら何でもこらおかしいやろ。だって…
「そら人がおらへんからな…釣れるやろ。」エイタが俺の横でボソッと言いよった。

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👻14👻
　そうなんや…エイタの言うとる通り。ちょっと見回してんけど、俺等3人以外に人がおれへん。こない釣れる場所やったら誰か他におってもえぇのに…。不思議や…何でなん？エイタに視線で訊く。
「まっ、近づきたないとか…そうなる噂がある場所なんやろな。」つまり…ここは…
「デル言う事か(@д@)！」口パクのつもりやったが、思きし声が出てもうた。
「な…何やねんいきなりッ！ででで…デルって、出るって何やねん宮沢！？」隣で北野が突っ込み入れつつビビっとる。ちなみに学校では今オバケブーム真っ只中…“出る”言うたらオバケ以外あらへん。
「怖い話か？科学的やないな。」メガネについた水滴を拭きながら言う西川は、北野と違うてオバケなんて信じてへんらしい。言うても全部見える俺からしたら、信じられへん方が信じられへんが…。
「“無の者”の目撃情報もあるし…周り見て来たるから、とりあえず坊主とメガネ連れて離れや。何かあったら呼びよ？」俺にしか見えんで俺にしか聞こえへんエイタの言葉に、小さ頷いて応える。エイタはニッと笑い消えた。
「なぁ、もう釣りえぇわ…あっち行ってみよ(^O^)」上流には吊り橋、冒険ごっこにえぇ感じや！

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👻15👻
　さすが10歳やな…冒険ごっこには目があらへん。釣り道具なんか放り投げてからに、コロッと切り替わりよった。
「ほな、誰が1番早う渡れるか勝負やo(^-^)o」俺が言うたら、北野が満面の笑みを浮かべよる。
「そんなん足速いんやから俺が1番に決まっとう！」ちなみに坊主北野は野球部盗塁王や。足だけはめちゃ速い。
「北野はバカやなぁ。よう見てみ！橋、揺れよるんやから普通に走ってもムリやで。」クラスの突っ込み役、坊主北野もメガネ西川がおったら突っ込まれまくりやな。
「残念やったな！フライングで俺が1番やぁ(｀▽´)」言うて俺は最初に吊り橋を走り出す。
「って負けへんぞ宮沢ー！」
「は…反則負けやで！」俺、北野、西川の順でそのまま橋の中腹まで勢い良う走っとったが…俺、突然急ブレーキ。
「何やねん！」背中に突っ込んだ北野がさらに突っ込みよった。
「いや…人来とるから寄りや。」向こう側からばあちゃんが歩いて来る。通行人と鉢合わせてもうたら…そらさすがに避けんと迷惑や。まぁ、吊り橋走っとる時点で迷惑なんやがな。
「なななな何言うてんねん！」ん？何て…
「宮沢…誰もおれへんよ？」西川の言葉でハッとしたわ。

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👻16👻
　こらアカン…またやってしもた。あのばあちゃん…幽霊なんや。も～浮いとれば良いのに、歩いて橋なんか渡りよってからに！すっかり騙されたわ。言うんは、幽霊て足がない訳でも透明な訳でも血ぃダラダラな訳でものうて…ほんまに普通。人間と違うんは影がない事と鏡に映らへん事くらい…。やから普通に歩いて来たら避けてまうし、話しかけられたらつい応えてまう事もある。そうなったらもう…
「な…な～んちゃってぇ（´ω｀）」って言うしかあらへんやろ。
「アホ！そんなん…ビックリせんかったからな！」
「作戦負けや宮沢。」端に寄った俺を北野と西川が走り抜きよった。もちろん歩いて来た幽霊ばあちゃんの身体の、ど真ん中をすり抜けて…。霊感なかったら俺もあんなやったんかな。幽霊の真ん中通るんは失礼やから、絶対やんなてエイタに言われとる俺は、もちろん端に寄ったまま歩いて渡る。すれ違う幽霊のばあちゃんに小声で
「ごめんな。」言うて謝っといた。したら、背後からばあちゃんのガラガラ声が耳に届く。
「坊や…この辺りは“無の者”が棲んどるさかい…怖い思いする前に早ぅ帰り…早ぅな…。」振り返ると…幽霊のばあちゃんはもういてへんかった。

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ひょ～😱やっぱりこっちも面白いねぇ～😁✨待ってるよ～ん🙆

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>> 17 ✨御感想ありがとうございます💕実は感想をワクワクで待っていたキラなのです🎵わぁい💓ハナさんが1番乗りでしたぁ😺🌟本編を読んでない方も解る様に幽霊の設定から説明してみましたが…果たして解っていただけているのか…💧でも、ほとんど本編を読んでる方なのかなぁ❓みんな見てくれてるのかドキドキなのです😽
さぁ、気になるこの先…注目の展開が待ってます💡本編とは別の子どもな幸人視点や関西弁の語り、弟・善太くんや大阪の幽霊達が幸人に与えたEFFECTを是非見守ってあげてくださいね🙇✨

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👻17👻
　何や…嫌な感じやな。幽霊ばあちゃんが…やのうて、やっぱりこの場所全体がアカンねや。
「宮沢、早よう来んと置いてくで？」西川、お前のメガネじゃ見えんかったやろうけど…ここ“無の者”いう化物居てるらしいで！…ってか？んな事言えへんわ。幽霊なんか見えんいうんが普通やもんな。言うても西川は信じひんやろが…北野は絶対に腰抜かすで！ここは北野をビビらして帰るコースでいこう…って、あれ？
「西川…北野は？」ちょっと目ぇ離しとったら、こざっぱりした坊主頭が見えんよなった。
「先行く言うてたよ。」西川が吊り橋の奥…俺等が釣りしてた対岸の林道を指差す。
「あんのボウズ頭…。」橋渡るの1番やったからその勢いで走ってったんやな。しっかし…まだ夕方なってないのに、えらい暗うて気味悪いわ。あいつビビリやのに…勢いてすごいな。だってこれ普通に出るやろ？“無の者”も…おるんかな。どんな化物なんか見てみたいんはあるけど…いっぱいいてたら嫌やし無駄に怖い思いするんやったら見たない。縫やアカネはもちろん、あの仕事サボって10年のエイタまでが気いつけ言うくらいやからな…きっとデカくて強いんや！うわ～見たいけど会いたないな。

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👻18👻
　俺は抜群の想像で、すんごい化物を考えよった。ミサイルとか持ってたらどないしよ…いやいや、そない科学的な物持ってないか。せめて包丁？…これもない。確かに幽霊は物を持てたり、触れたりできるけども、それは霊感がある奴の前でだけや。霊感ない奴が見た瞬間スットーンて手からすり抜ける。まぁ宮沢家では物がワッサ飛び交うてるから、見たら絶対幽霊信じるやろが…って、霊感ない奴が見たら一気にガシャーンやけどな。言うたかて、どんな化物でも相手は結局幽霊な訳やし…生きて自由な俺等に、それ程の危険は…
「ぅうわぁあぁ――ッ！」え！？な…な…
「何や今の…。」西川の言葉が耳を流れていく。
「北野の声…だよな？」せや…北野の叫び声やった。何かにビビっとる叫び声！続いて聞こえてくる。
「嫌や…嫌や来んなぁ―――！！」ちょ…っと待てって！何盛大に叫んでくれてんの！？来んなって何やねん！
「西川、俺見て来るから…ここおれ！」言うた俺はもう、暗い林道に駆け込んどった。北野どうしたんや？霊感ないから何ともないはずやろが！何やねん…いったい何があってん！？
「エイタおる？エイタぁ！？」返事がない。この肝心な時に…ボケェ！

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👻19👻
　木々の間を走り抜ける。小ちゃい枝が、足に擦り傷つけよって地味に痛い。痛いんやけど足は止まらへん。だって…北野が心配やん！
「北野ぉ！どこおんねや！？」声がしたんは、この辺りや思うたけど…てか何でエイタおらへんねん！呼べ言うたやないか。こんな時までサボりか？ほんまに…アホとちゃう！？こん時ばかりは、いっつも世話になっとるけどもエイタに腹が立った。
「オイ、北野ぉ！？」キョロキョロしとるが怖がりの坊主は見当たらん。川からだいぶ離れたやろか…？高い木々に見下ろされて、何や薄暗い…正直、考えなしに走ったった俺もドコにおるんかサッパリや。
「北…」呼びかけた時やった。“ｻﾞｻﾞｯ”言うて側の草ボーボーん所から、突然何か飛び出して来よった！
「な…」
「ぃいぅえみぁ宮沢ぁ！？」そいつは、イノシシでも野犬でものうて…
「き…北野！お前どないしてん？」涙と鼻水で、そらもー汚ない顔した俺の友達…。ちーとばかし背の低い坊主頭が、思きし腰にまとわり付いて離れんよなった。
「ちょー、俺の足踏んどうぞ！痛いて。離れぇ！」俺が文句言うても北野は離れへん。
「いいい…何かい…い…何か…」意味解らんて。落ち着け坊主！

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👻20👻
　何かよう解らんけども、ものっすご怖がっとるんは確かや。
「何やねん？落ち着いて言いや。とりあえず足退けッ！痛いんやて(*_*)」ここにおってもしゃーない。西川ん所連れてかなな…言うて場所どこやったかいのう。ま、適当歩いとったら着くやろ！思きしパニクっとるまんまの北野を引き連れ、たぶん元来た方へ戻る。
「こっちやったかな…」俺が手を引っ張ったら、北野は急に変な声上げて動かんなった。
「ひぃ！み…宮沢…そっちちゃちゃちゃちゃうぅ！そっち…なな、何やいててん！嫌や…早う戻ろ…もう帰ろ…うぅ…。」何やいたやと？
「どゆ事や(?_?)」俺が言うた所で…“ｻﾞｧｱｧｯ”いうて、ごっつ風吹きよった。続いて“ﾊﾟｷｯ”いう木の枝が折れるみたいな音…“ｶﾞｻｯ”いう思きし何かの気配…途端に、
「い、嫌やぁあー！来た…来んなぁあぁー！！」北野がまた盛大に叫びよった。俺の手を振りほどいた思うたら、走って逃げる北野…さすが盗塁王！めっちゃ素早いわ！…てか、置いて行きおってからに…。
「あんボケ…助けに来たったのに(-_-)」“ﾊﾟｷﾊﾟｷﾊﾟｷｯ”“ｶﾞｻｶﾞｻｯ”音がいっぱい鳴って風も強うなった。何や…？

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👻21👻
　音と風が一緒んなって俺に近づいてきよる。何やねんコレ…この嫌な気配…直感が逃げ言うてるで！
「アカン…(-_-)」ポツっと呟いてから、反対方向に走る。
「ちょ…何やねんコレ…エイタァ！？」やっぱり返事がない。もー、ドコ行きよったんやエイタ！助け来いて！後ろから音と風と…何かが近づいとんが解る。背中で感じる気配は、冷とうて感じた事ない…夏やのに暑ない。こら思きし悪意の塊言うてえぇ。しかも…狙われとんのか知らへんけど、何や追いかけられてんで俺！
「ッは…何…やねん！」走っても走っても後ろの何かは離れる気配がのうて…ドコ走ってんのか自分でもよぅ解らんけど、とりあえずこの木ぃだらけの場所から抜けれる気はせえへん。もう…追いつかれてまう…“ｸﾞｲｯ”
「ぬぁッヽ(@д@)ﾉ」急に後ろやのうて、横から引っ張られた。何や解らん内に次の瞬間、俺の身体はガッサ葉っぱん中…おかげでまた傷が増えたわ！そんな可哀想な俺の目に映ったんは、俺の後ろにおった気配の正体。
「！」思わず声が出そうになる口を慌てて手で抑えた。黒い…液体みたいなドロドロした人間…いや、人間とちゃう！グワ～て通り過ぎてく。何やアレ…化物！？

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👻22👻
　ソレが通り過ぎてくんを、息を殺して見よった。化物や…普通の幽霊やない！化物…もしかして今のがエイタの言うてた“無の者”なんやろか。思ってたんと違うて…人間や普通の幽霊に近いのに全然違うて…気持ち悪うて見なえかったて後悔した。もし追いかけられたままやったら、どないなってたんやろ。いやぁ…引っ張ってもろてホンマに助かったわ。
「エイタありがとな(^.^;)」言うて振り返った俺の時間が止まる。
「(!д?)」そこにおったんは…エイタやなかった。

　こない薄暗い中でも明るい太陽みとうな色の髪に、白いワンピースがよう似合う…とびきりカワイイ…女の子。
「大丈夫？」透き通るキレイな声と、その大きい瞳に吸い込まれそうんなる。
「だ…」大丈夫て言おう思ったんか、誰や言おう思ったんか…俺はそのまま口開けて、そん子を見つめよった。
「ん？」てか…大丈夫て、この子…俺が追いかけられてたん助けたって事は…
「お前…今の見えてたんか(?_?)」俺の言葉に女の子は何も言わんと微笑んどる。幽霊が…今の人間とちゃう黒い化物が見えてたから、助けてくれたはず。見えてへんかったら、俺はただめっちゃ走っとる変な奴やからな。

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👻23👻
　初めてや…こんなん。家族以外にも、おるて知ってたけど…会うたんは初めてやった。自分もそうやけど、女の子やったらエライ違うもんやな。そら霊感少年より霊感少女のがええわ！俺みとうに見えて聞こえて喋れるんかは解らんけど、確実に見えてはおるはずや！
「見えとるん…よな(?_?)」もっ回訊いてみた。
「そう。同じだね！」笑顔が、めっちゃカワイイ。さっきの出来事もパッパ忘れて、ほわ～て和んでた俺やったが…急に別の声が聞こえてビックリする。
「やから言うたでな…坊や。」何か聞いた事あんで…このガラガラ声！
「あぁ！さっきのばあちゃんやんけΣ(゜д゜)」カワイイ霊感少女の後ろから、ヒョッコリ顔出したんは…吊り橋ですれ違うた幽霊ばあちゃんやった。
「早う帰らんから、“無の者”に見つかったんやで。もう帰りぃ…。」言うたかて…俺やのうて北野がアカンねやで。いや…それ言うたら普段無駄におるはずのエイタがおらんのが1番アカン！“無の者”狩るんがあいつの本業や。ホンマに…ドコおんねん！？
「ばあちゃんもそう言ってるし、今の内に帰りなよ？」霊感少女が幽霊ばあちゃんと目を合わせて言うた。俺とエイタみとうな感じやろか？

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👻24👻
　何や嬉しいな…俺だけやないんや。同じ…そう思うたら、もっと霊感少女と仲良うなりたなる。でも今は…そんなんより早うこの場所から、離れんと。俺だけやのうて北野と西川もおるんやから！ついでに言うたらエイタも何でかおらんのやから。霊感少女とばあちゃんを見て、もっ回しっかりと頭下げたった。
「ホンマにありがとうな_(..)_」言うてチラッと視線だけは、しっかり霊感少女をロック。正直…名残惜しいねや…ばあちゃんは置いといて、この子…
「いいよ！気をつけないとね。」めっちゃ…カワイイ。しかも喋り方が関西っぽうない所が、ものっすごえぇ！うわぁ…離れなアカンのに離れたないやんか。顔上げて、
「お、おぅ。気ぃつけるわぁ(^^)ゞ」言うてる俺の顔は…赤なっとったかもしれん。めっちゃときめいてる俺やったが…
「ミサキー！ミサキどこやぁー？」って声に邪魔されたわ。
「あ…呼ばれてるみたい！もぅ行くね。気をつけて帰って？」声に反応した霊感少女は、天使みとうな笑顔で手ぇ振って…アッサリ俺から離れてった。ドキドキ終了や。俺と同じ子どもやろうが…男の声やったからな。
「…帰ろ(T^T)」めっちゃテンション下がるわぁ…。

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👻25👻
　ついでに言うたら、帰るつもりでおるけど…まったく道が解らへん。そらもぅあの化物に会わんよーに、さっきと種類の違うドキドキを味わいながら歩いたで。めちゃくちゃ歩いとったら…
「宮沢～？」俺を呼ぶ西川の声が耳に届いた。
「西川ぁ、ここやでぇヽ(>д<)ﾉ」西川の声に応えて、声の方に走る。
「やっとおった！捜したで宮沢。」西川の姿が見えてホッとした。その後ろには、手ぇ合わせてゴメンのポーズの北野もおる。もちろんその坊主頭をペシッと叩いたったわ！助けに行った俺置いて行きよってからに…でも、そんなんもぅええ。
「もう帰るで！誰が何と言おうと帰るからな(-_-)」とにかくドコでもえぇから、化物がおるこんな場所から離れたかった。俺の言葉に2人も頷く。
「ほな、帰ってゲームしよや！」と坊主。
「アホやなぁ…帰った頃には夕方やで？」とメガネ。ほんま…この2人普通にコントやな。
「とにかく帰…」言葉が詰まる。風が吹いて…ソレを見た瞬間に鳥肌が足元から這い上がってきた。
「北野…う…うし…」…北野の後ろ…
「牛ぃ？何言うてんねん。牛ちゃうわ人間や！」黒い…ドロドロの…さっきの化物…“無の者”の姿があった。

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👻26👻
　こんなん…まるきりホラー映画の展開やんか！何で？もう帰る言うてんねやから、いいやんか！見逃してや…許してや…もう、来んから！！
「…宮沢？」俺が青い顔して固まっとるから、西川が心配して声かけてきた。その声に反応する様に“無の者”がフラフラとユラユラと今度は西川の方へ動き出す。や…ヤバい！
「西川ッ！」身体が勝手に動いた。西川庇うて突き飛ばす。
「痛…何やねん？」転げた西川から文句が飛んでくる。でもその声は耳を流れてった。
「…ッ！」目の前で見たらホンマに気持ち悪い。目とか口とかの窪み…歪んだその面…黒うて…グニャってドロってしとる。人型なのに、人間とは大きく違う…見ただけで解るわ…心も意思もあらへん。あぁ…何もないから“無の者”なんや？そう思うた俺も何でか頭がカラッポで…ただ、それだけがリアルに感じ取れた。
「宮沢どうしてん？オイ！」北野の声がどっかでする。
「何や？」西川の声もする。すぐ傍にいてるはずなのに…近いはずやのにエライ遠くにおるみたいや。身体が動けへん…目も離せへん…ゆっくりと目の前の“無の者”がドロドロした両手を近づける。“ｶﾞｼｯ”
「！」声も出えへん…どうにもならん。

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👻27👻
　その両手に俺の顔はスッポリ包まれてしもた。ど…どないしたらえぇねん！どないもないけど…どないやねん！？俺の頭ん中、大混乱。“無の者”の手ぇにグッと力が入ってく…ヤバいんちゃう？ヤバいんちゃうか！？
「離…せぇや…」やっと声だけ出た。ピタッて化物の動きが止まって…真正面20cmくらいで、その口だった所の窪みが広がって穴が開く。何や？喰う気やろか…やめやボケ！言うてやりたいのに、声が続かへん。
「ゆ…」え？…その穴から声が出てきたんにビビった。
「ゆぅ…きぃ…と…」続いて出てきたんは…俺の名前。何で俺の名前…てか何で俺…この声知ってんねん？
「見…つけ…た…」黒いジェル状の面がドロドロ変化していく。
「…あ…ぁあ…」俺…もう言葉にならんかった。化物…何も持ってへんカラッポの“無の者”が…知ってる顔に変わってん。
「ゆ…き…」目も鼻も口もないから、知ってたんとは全然違うてるけど…その顔よう知ってる。
「どないしてん！？」西川…こんな時、頭のえぇお前やったらどない言うたらえぇか解るかな？
「みみみ、宮沢！？」北野…突っ込んだらえぇんやろか？…何も言葉が出えへんまま、涙だけがポロポロ出てきた。

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🎅{ﾌｵｯﾌｵｯ🎵✨ｷﾗ😺さん
お利口に寝てるかの…

どれどれｱﾙ🎅が👢に🎁を入れていくかの😉

ｺﾞｿｺﾞｿ

🍸✨🍖🎂🍖✨🍸
Merry Christmas!
✨🎉✨🎉✨🎄✨

さて行くかの…

ﾑﾊｯ😲まだ🌅じゃ💦 🌠来るつもりが…💦来るのが早過ぎたわい😱

サラバじゃ

🎅💦💨{良いXmasｲﾌﾞを…


アル🍺

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>> 30 ✨いつもありがとうございます💕アル様～😽💕
😺🌟「慌てんぼうの～サンタクロース🎵クリスマス前～に…ハッ💡にゃんだこれは❗」“ｶﾞｻｶﾞｻ”開封。
😻🌟「サンタさを来たぁ💓久しぶりに来たぁ✨」クルクル100回転🌀来年も来てもらえる様によい子で…いや、よい大人な猫でいようと誓うキラなのでした🙆💕アル様、こっちも読んでくれてるんですね🎵嬉しいです😹🌟じゃあ張り切って更新しなきゃ❗アル様のおかげで、つい子どもの頃思い出してホワ～てしました😺🌟アルサンタさん💕ありがとう😸✨

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👻28👻
　涙が出たんは…怖かったんやない。俺の知ってる人が…何で化物になってんねんって、めっちゃショックやってん。
「ゆ…き…と…遊ぼぅなぁ…」声だけは変わってへんねやな。懐かしい…けど、何でこない所で化物やってんや！なぁ…何でや。
「…加奈子姉ちゃん？」俺が泣きながら小さ呟いたら、加奈子姉ちゃんが笑うた。俺がまだ低学年やった頃にいてた“宿命死”の幽霊。宮沢ファミリーん中で、1番セクシーやった加奈子姉ちゃんが…今は黒うてドロドロの化物…。何でなん？何で…こんな化物に…
「幸人ッ！」上から声が降ってきた。
「“エイタ…”」泣きながら見上げて、口パクで呟く。加奈子姉ちゃんも同時に見上げて、エイタの姿確認しよった。間ぁ置かずに、瞬間…俺を掴んでた手ぇが消える。
「大丈夫やったか？」大丈夫ちゃうわアホ！何でもっと早ぅ来んかってん？おかげで…泣いてもうたやんけ！バリバリに文句言いたいんを堪えて、キッて睨んだった。
「そない怒るなて。」困った顔したエイタが俺の頭を撫でる。
「ごめんやったな…早ぅ坊主とメガネ連れて帰り。」俺は泣いたまま小さ頷く。そんまま振り返って2人に、
「…帰るでぇ(/_;)」言うたった。

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👻29👻
　帰り道…訳の解らへん西川と北野は、ずっと不思議そうに首傾けてる。俺は適当に、
「何や怖い虫がおってびびってん。しかも目ぇに入って来て、痛ぁて涙が出たわ！」言うて誤魔化した。何や怖い虫て…自分で言うてても意味解らん。そら納得できひんわ。
「宮沢、何か…いてたん？」駅が見えてきた頃、北野がボソッと呟いた。何かて…このオバケブームに何かは1つしかあらへんがな。
「やから…虫やて。ゴキブリと毛虫とカマキリ足して割ったみたいな(-_-)」
「はぁ？そんなん…」言いかけた北野の言葉を西川が遮った。
「虫いてたよ。北野見ぃひんかった？宮沢、俺の事助けてくれてんな？」
「…うん(._.)」西川…気付いたんかな。
「え～、俺だけ見てへんかったん？何や仲間ハズレやぁ！」口を尖らせた坊主も、西川が虫見た言うたから納得。
「西川…虫て…」前行く北野に聞こえん様に小声で、西川に向けて呟いた。
「信じへんよ？だから虫やったって事にしとく。」西川のメガネがキラリて光ってたわ。ホンマに…粋な事言うてくれよる。ってか、まったく信じたないからやろけど…それでも嬉しい。こいつ等やったら、全部話したってもえぇかもて…思った。

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👻30👻
　チャリ乗って来た俺は、2人と駅でお別れや。
「夏休みんなったら、今度は海行って釣りしよや！」言うて懲りずに釣りの約束して、俺だけチャリに乗った。
「気ぃつけてなぁ。」坊主が手ぇ振る。
「虫にも気ぃつけよ～。」坊主の横のメガネが、何や笑うてた。

　エイタと加奈子姉ちゃんが気になる。どないするんやろかって考える…けど実は気付いてんねん。いっつも仕事してへん言うても“狩る者”のエイタと…加奈子姉ちゃんは1番狩らなアカン“無の者”や。知り合いやっても狩るんやろか？…狩るんやろな。だって同じ“狩る者”でも働き者のアカネは、加奈子姉ちゃん見る度バッチリ追いかけてたし。…気になる。戻ろう…思うてチャリの向き変えかけた時、
「おかえりぃ🎵」言うてチャリん前に急に人が現れた。
「ぅわ！」思きし急ブレーキ！やけど…必要なかったわ。スゥ～てチャリのタイヤが、その袴姿をすり抜ける。人やのうて…幽霊やった。
「…おかえりちゃうやろ。まだ帰ってへんで？縫。何しに来てん(?_?)」大阪で唯一の“導く者”の縫や。
「ん～❓迎えに行けて、エイタに頼まれたぁ☺」さすがに毎日一緒におるだけある…エイタに先読みされてたわ。

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👻31👻
　仕方のう縫と2ケツして帰る。素直でえぇ子な俺や。
「善とおらんでえぇん？」縫はいつも弟の善太と一緒におる…俺で言うエイタやな。まぁ仕事サボりのエイタと違うて、縫はちゃんとしとる。サボれへん…縫は、“導く者”は1人しかいてへん。
「善太、家でアカネとゲームしてたでぇ☺幸人のデータ消してもぅたて～🎵」
サラっと言いよった。普段なら突っ込むが…そんなんよりエイタと加奈子姉ちゃんのが気になる。
「…せっかく晴れたのに、怖い目合ぅたなぁ❓」後ろの縫がポツって呟いた。エイタに聞いたんか…。信号が赤んなってチャリ止める。
「なぁ…エイタさ、加奈子姉ちゃん狩るんやろか？」
「狩らなアカンのよ…“無の者”になったら、関係ない人や物に迷惑かかってしまぅんよ😥」でも…加奈子姉ちゃん俺の事覚えててん。また宮沢ファミリーになったらえぇ！姿は違うても…加奈子姉ちゃんやった。
「許したってや。加奈子姉ちゃんやで？ほら、前に…加奈子姉ちゃん選択期間過ぎてた“漂う者”やった頃、エイタ狩らんかったやん。」
「アカネは追ってたやろ❓普通は“漂う者”ん時に、説得して導いたらなアカンのよ。」信号が青になっても…俺は止まってた。

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👻32👻
　解ってるよ…そんなん解ってる。エイタだけ特別やってんな…？仕事サボってたから…やから加奈子姉ちゃんも、“狩る者”でもエイタだけは…一緒におっても平気やったんや。アカネは、めっちゃ追いかけてたけど…。
「青やでぇ❓」縫がわざわざ信号まで教えてくれる。
「どうしても…アカンの？俺の事覚えてても？」
「…加奈子姉ちゃん、覚えてたん❓」縫の言葉に頷く。アカン…また泣いてしまいそうや。
「遊ぼう…言うてた。」
「そうなんや…」今頃、加奈子姉ちゃん…エイタに見つかってしもたやろか？信号がまた赤んなる。
「なぁ…幸人は、何で“漂う者”やった加奈子姉ちゃんが…宮沢家出てった思う❓」何で？…何でやろ。ある日、突然おらんなった。
「もぅ…他の所に行ったんやて…」思うてたよ。後ろ向いたら、縫がうつ向きながら言うた。
「思い出せんくなったんよ…帰る道を😔」
「！」“漂う者”は少しずつ…いろんな事忘れてもぅて自分が解らんなった時、“無の者”になる。知ってたのに…解ってたのに…だって俺、そんなん信じたなかってん。
「ほら青やで🚥進まんと帰れんよ☺」ペダルが…重い。帰れんなった加奈子姉ちゃんも…ここを通ったんかな？

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👻33👻
　どうしようもない事ってあるわな。まさに今がそれや…俺が何言うたかて、幽霊には幽霊のルールがあって…それは俺や善太みたいな人間に危害が加わらん様になっとる。そん為に“狩る者”がおんねや。
「幸、どうしてん(?_?)お腹空いたんやろ(^0^)」家帰ってボーってしてる俺に、弟の善太が訊いてきた。
「ちゃうわボケ(-_-)それよか、ゲーム！ちゃんと俺が進めてた所まで行けよ？」
「えぇヽ(@д@)ﾉだってアカネが消してんで？…何や、トンズラしよったけど(-_-#)」ちゃう…役職幽霊だけおらん。きっと加奈子姉ちゃんの事で話し合ってんねや。もう狩られてもぅたんかな…逃げれとるとえぇな。でも、逃げてもぅたら誰かに悪さしてまうかもしれへん…結局、俺には何もできへんのや。
「もぅ…幽霊になりたい(>_<)」俺が“狩る者”や“導く者”やったら何とかしてあげれるかもしれへんのに！
「Σ(゜д゜)頭、大丈夫か…幸。」
「ほっといてぇ(T_T)」言うて俺は自分の部屋で転がった。もぅフテ寝や。
「何でやねん…(/_;)」何で加奈子姉ちゃん“宿命死”やったん？“運命死”やったら…もっと、一緒におれたかもしれへんのに。

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👻34👻
　そのままショボーンてなってる内に、完全に寝てもうたみたいやな…気付いたらえらい時間経っとったわ。
「幸人！朝やで。学校行くんやったら起きぃ！」嘘ぉん…もう朝？寝すぎやん俺…って、ん？妙な違和感にパチッて目が開いた。
「ア…カネ？」俺の目の前にいたんは、いつも起こしに来るエイタやない。…何でかアカネが起こしに来よった。
「何ボッとしてんの！早ぅしいや？」何で…アカネがおんのや。いっつも仕事ばっかでいてへんのに…休みやろか？不思議に思いながら、下に降りて朝飯食べる。いつも通り善太が俺の向かいにいてて…その後ろのキッチンで縫が皿洗うてて…でも、あれ？誰か足りんやろ。
「…エイタは？」エイタがおらん。朝から晩まで、いっつも俺といてるエイタの姿が…どこにもあれへん。
「幸といてんちゃうの？ずっと見てへんよ(?_?)」善太が、食べ終わった皿を縫に渡しながらそう言うた。ずっと…見てへん？
「あ…幸人、実はな…💦」
「(゜゜?)」縫が何か話しかけたんやけど…
「ハイッ！朝飯終了ーッ！行くで幸人！！」言うて、ランドセル持ったアカネに強制連行されてもうた。エイタはおらんし…何でアカネと学校？もう訳解らん。

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👻35👻
　いつも通りの月曜日、いつもの道、でも俺の隣にいてるんは…ふざけたエイタやのうて、えらい機嫌の悪いアカネ。
「なぁ…仕事えぇの(?_?)」誰も見てへん隙を狙って小声で訊く。なんかエイタやないと落ち着かへんな…。
「えぇの！ウチが一緒で嬉しいやろ？」言うて顔が機嫌悪いままやから怖い。
「…エイタは？」恐る恐る訊いてみると、眉間の皺が1コ増えた。アカン…さてはエイタと派手にバトったな？
「エイタの事は忘れぇ！」えぇえ！？怖ッ！アカネその顔怖いわ！てか、何で忘れぇまでいくねん。
「そない悪い事してん？」
「忘れぇ！早ぅ学校！！」だから…理由は何や。エイタがおらん理由が解らん。…縫は何や言いかけてたな…知ってたんやろか？
「ッハヨ～！」
「ぬあッヾ(@д@)ﾉｼ」“ﾍﾞｼｯ”っと軽く背中に先制攻撃をくろぅた。
「宮沢選手ダウ～ン！北野選手の黄金の右腕が…」“ﾊﾞｼｯ”
「おーっとぉ！宮沢選手復活～ぅo(^.^)O゛」すかさずカウンター。北野との朝のお決まり挨拶や！…が、
「何この坊主…アホと違う？」アカネの冷たい視線に撃沈。
「北野…今日は普通に行こ(--;)」
「はぁ？」はぁ？やわ…ホンマに。

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👻36👻
　学校もいつもと変わらん。違う言うたら…もーすぐ夏休みやて、ちょっとテンション上ごてるクラスメートくらい。後は…エイタがおらんだけや。

　「違う！…それも違ぅてる…全部やん！？っも～！！毎日、何を勉強してたん？」テストやのに俺の背後からは大きい声がしよる。
「“わからんわ(*_*)アカネ教えてぇ。”」ホンマにギブや。用紙の端に降伏宣言書いて伝えたった。エイタやったら軽～く教えてくれんのになぁ…アカネは指摘するけど教えてくれへん。
「ッはぁ！？何言うてんの！テストっちゅーたら自分で考えるから、身につくし頭も良ぅなるんよ！？人に頼ったらテストやない！将来どーしようもないアホになるで？反省しぃボケッ！！」答えどころか…怒られてもぅた。まぁ、アカネの言うとる事は正しいんやが…それでも普段から当たり前の様にエイタが教えてくれてたからな。頼っとるつもりは、なかったんやけど…随分エイタに助けられてたんやなぁ。
「“アカネのケチ！エイタやったら教えてくれたで(>ε<)”」この俺のカワイイ文句に…
「何やて！？幸人のどアホッ！もぅええ！！」ぶちキレて消えよった。やっと静かになったけど…テスト0点やろな。

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👻37👻
　外は、ボーって空見上げてまう快晴や。大好きな体育の時間…やけど何かノリ悪い俺がいてる。めっちゃ静かや…後ろの上の方から、いつもの声がせぇへん…言うてこれが当たり前なんやろけど。俺…今、初めて幽霊なしに1人で学校生活してんのやなぁ。
「って宮沢、前ぇ！」
「え？」北野の声にパッと前見た俺は…“ﾊﾞｼｯ”
「ぃいってーッ(;□;)」サッカーボールを見事に顔面キャッチしてもうた。
「ナ～イスアシスト！」こぼれ玉を、敵チームの西川が蹴り去っていく。
「宮沢、大丈夫か！てか何してんねん。いつもやったら西川にボール取られる事ないやん…ボケたか宮沢！？嫌や～しっかりしてんか～！！」味方チームの北野が抱きついてくる。
「ちょ…やめや(-_-)いやーん！って変態かッ！？いつもやったらなぁ―」エイタが…
「…いつもやったら？」エイタが上におって…右や左や言うて教えてくれるから…。俺は…得意な体育でもエイタに助けられてたんやな。
「…何言お思うてたんか忘れたわぁ(..)ゞ」
「はぁ？」
「何でもないてヾ(-o-)」アホやなぁ…おらんようなって初めて解る。10歳の俺は、エイタの存在を…その影響力を思い知った。

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👻38👻
　誰も幽霊おらんまま授業は全部終わってもーた。さ、帰るで～！って、幽霊護衛なしにか？帰り道でカワイイ俺が誘拐されたり、事故ったりしたらどうすんねん！戻ってこいアカネ！…できればエイタ。言うて西川と北野も一緒やし、そんな危ない目に合うた事ないけどさ。いっつもいてる奴がおらんのは…やっぱり寂しい。
「宮沢、帰ろ～。西川も早う！」チャイムと同時に、早くも荷物をまとめた坊主が誘いに来た。
「幸～人🎵一緒に帰ろッ💕」ふいに後ろからの声。いっつも家で聞いてる声…
「縫か(@_@)」ふり向いたと同時に思わず名前呼んでもうた。
「ぬいか？」
「何やそれ？」西川と北野にそれぞれ突っ込まれる。そらそうや…縫の姿が見えてへん2人には、俺が縫の後ろにいてる奴に言うた様に見えてるからな。
「縫は、ばあちゃん家の猫や(^.^)」縫と…弟の善太。
「アカネ絶対おらんよなっとる思うてな～☺迎えに来たんよ💕」さすが縫！よう解ってるな。
「そう！今日ばあちゃん家に帰るんやった(^^)/ほな…西川、北野、また明日！」言うて無理に2人と別れた。

　いつもと違う…縫と善太との帰り道。エイタがおらんようになった訳を…縫から聞く。

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👻39👻
　普段エイタと帰っとう時は…西川＆北野と別れるまで、勝手に喋るエイタに目で合図したり相槌だけ打っとる。エイタと2人になってからも、周りめっちゃ気にして小声で喋っとるが…俺と同じ霊感少年の善太とおったら自然に幽霊と会話できるもんやな。周りから見ても縫と喋る俺と善太は、2人で仲良う喋ってる兄弟にしか見えへん。どうせやったら昨日のカワイイ霊感少女と帰りたいな…チラッとそう思うた。
「で…縫、ただ迎えに来ただけやないやろ(?_?)」エイタが…俺に何も言わんとおらんよなるなんて絶対何かある！何か言うより…たぶん加奈子姉ちゃんの事が関係してんねや。
「うん。幸人、知りたいやろ思うて…エイタがおらんよなった理由😥」縫の表情は明るくない。いい理由でおらんよなった訳じゃあ…ないんやな？
「朝、アカネに邪魔されてたもんな(^^;)」善太は縫と一緒におる…既に縫から聞いてたみたいやった。
「アカネも悪気はないんよ❓許したってな💦」縫の言葉に深く頷いてから、核心に触れる。
「エイタ…どうしてん(?_?)」縫は少し間を置き、真相を話し始めた。それは意外言うより…当然の理由。
「エイタなぁ…別の仕事になったんよ😔」

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👻40👻
　つまり…飛ばされよった訳や。ずっと俺と一緒におったエイタは、仕事なんかしてへんかった。それが今回の加奈子姉ちゃんの事で、“狩る者”の偉い奴等にバレてもうたらしい。何でバレたか言うたら…
「エイタな、“無の者”になった加奈子姉ちゃんにマジメに逃げられよったんと(-.-)」そんな事あるはずもなく…あったらアカンねんな。“狩る者”としての仕事ができへんかったエイタは、報告後…当然問い詰められる。それで…ずっとサボってたんがバレて、そんならええわ言うて違う仕事に飛ばされたっちゅ訳や。
「じゃあ！加奈子姉ちゃん捕まってへんのか(^^)」素直にそれが嬉しかった。
「まだ見つかってへんらしいなぁ😥それより幸人、エイタの事はええのん❓」縫が困った顔で俺の袖を引っ張る。
「…何が？別な仕事んなっただけやろ(゜゜?)」俺は…解ってへんかった。
「幸…エイタ“狩る者”の中でも狩らんでえぇ仕事になってんよ(+_+)」狩らんでえぇ“狩る者”…それは新人の“狩る者”が担当する仕事。伝令やリストの更新、巡回や補助…思きし雑用や。言うても、それは仕事に慣れる為の“狩る者”の基礎、自由はない。エイタ…帰るに帰れんのか！

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👻41👻
　帰らへんのやなくて、雑用と他の“狩る者”の補助で付きっきりやから…帰れへんのや。
「でも、それ終わったら帰って来るんやろ(?д?)だってエイタ…“狩る者”んなったのアカネより早いし、偉い奴等ともタメ口やったし(>_<)」元々は“狩る者”として上位におったエイタ…新人の研修期間でもある雑用が全部終わったら、また戻って“狩る者”として自由に行動できるはず。そう…思うてた。
「…エイタが戻るには、見つかり次第…加奈子姉ちゃんをエイタが狩る事なんよ😔」
「！」じゃあ…エイタが帰って来るんは、加奈子姉ちゃんをエイタが狩った時って事やんか！逆に加奈子姉ちゃんが逃げ続けたら…そら俺は嬉しいけど…エイタは俺ん所に帰って来ん。何やこれ！
「何やねん！…2択って事やんか。エイタか加奈子姉ちゃんか…」2人共…帰って来てほしいのに！帰って来るんは1人だけか？そんなん…
「そんなん嫌や！言うた奴…縫の命令で逆に飛ばしたったらええ！！」“導く者”の縫なら、トップである大阪府総指揮の“狩る者”にやって発言できるはず！やけど…
「エイタだけ特別には…してあげれへんのよ💔」縫のその言葉が…俺の頭ん中で、重く響いとった。

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👻42👻
　ワガママな事言うてるて…自分でもよう解る。
「幸人、とにかく帰ろや💦な❓」黙ったままの俺を、縫が頭ヨシヨシしてくれる。普段なら“子ども扱いせんといて(｀＾´)”てプンスカする所やが…黙って考えよった。だってちゃんと解っててん。加奈子姉ちゃんが前みたいに…普通に帰って来る事なんてありえへんし、帰って来るんは…加奈子姉ちゃんを狩った後のエイタやって事。でも…何回考えても、そんなん嫌やってん。
「幸、これって…どうにもならんよ。あんま縫を困らさんといて(>_<)」どうにもならん…そんなん解っとるよ。でもこのまま何もせんやったら、エイタ帰って来るんをただ待ってるだけやったら…絶対後悔するわ。考え巡らしながら…こん時、もう何するかて決まってた。善太の声に続いて縫の声も、ただ耳を流れてく。
「善太ええんよ💦ホンマはウチかて何とかしてあげたいもん…ごめんな幸人💔」縫…困らしてゴメンな。それでも俺は…ワガママさしてもらうで。
「俺が…俺が2人とも連れて帰ったるわ！」何やそれ…善太のがよっぽど兄貴らしいわ。かっこ悪い？でも気にせんよ。俺はランドセル放り投げて走ってた。向かう先は…もちろん家なんかやない。

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👻43👻
　こん時程走ったんは…後にも先にもないな。俺ん中では、どっちかなんてなかってん。…エイタも加奈子姉ちゃんも、俺にとって大事な家族やから。一緒におりたい…それしか考えてへんかった。

　必死に走ってたどり着いたんは昨日の場所…正直もう近づかんとこ思うてたけど…他に加奈子姉ちゃんおる場所なんて思いつかへん。でもやっぱり…不気味やな。こんなに釣れる川やのに、また誰もおらん…ほんまに誰も近づかんのや。林道を揺らす風の音と、川を流れる水の音しかせん…静かな場所。みんなから忘れられてもうた場所みたいや…。
「加奈子姉ちゃん…いてるやろか…いてるよな？」加奈子姉ちゃんの事は…俺が忘れさせへんよ。向かう先、僅かに風で揺れる橋が呼んでるみたいやった。石を踏みしめて走る。昨日、俺等が釣りしてた場所を通り越して…迷わず吊り橋を目指す。加奈子姉ちゃん見つけな。俺の事覚えてた…やから話せるはずや！絶対…
「絶対見つけたる！」揺れる吊り橋も関係あらへん。早く…早…
「！」丁度…渡ろうとした時やった。橋の向こうに…誰かいてんのに気付いた。黒い人型…“無の者”。
「加奈子姉ちゃんッ！？」良かった…ちゃんといてた！！

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こんばんは、初めまして。
読ませてもらったんですけど、凄く上手いですね。
全編関西弁の口語体で書かれているのに、全然違和感無く……むしろテンポ良く話が進行しているし、殆んど描写も入れず人物の主観視点だけで読者に状況を理解させている所もかなりのセンスだと思いました。
それに物語の世界設定も緻密過ぎず粗過ぎず、読者の理解しやすい内容ですんなり入ってくる。
多少ありがちな設定でも、キャラが生き生きしているから凄く個性的な作品になっていると思います。

実は私もここで小説を書いているんですが、自分もこれくらい書けたらなぁ……と思って読んでいました。

これからも頑張って下さい。
楽しみにしています。

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>> 48 ✨御感想ありがとうございます💕はじめまして高校生様🎵作者のキラ猫と申します😺🌟何か…どうしよ💦めっちゃ誉めてもらって…本当に光栄です❗関西弁とか使えないのでホントは怪しげなんですが(笑)楽しんでもらえているようで、すごく嬉しいです😹高校生様は、このGHOST EFFECTから読んでくださったんですかね❓主人公の幸人は、実は兄弟作品のGHOST LIFEにも出ているんですよ🙆しかもかなり重要な存在で✨もしお時間あったら是非読んでほしいです🙇💕それに、高校生様の作品も読みたいです😼🌟もしもしもし良かったら…是非是非教えてください💓張り切って読みに行きます🙆✨

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>> 49 返事まで頂いてありがとうございます。
一応言っておきますと、私が書いているのは『百丁のコルト』ってやつです。（下手なもので……恥ずかしいからあんまり言いたくないんですが……）
受験戦争も佳境を迎えまして、あまり更新できていないんですが、良かったら読んでやって下さい。（けっこう長いので、本当にヒマな時でいいです）
キラ猫さんみたいに上手な方に感想頂けると、私も励みになります。

• << 51 ✨こちらこそ😺🌟お返事ありがとうございます💕高校生様、キラよりも先輩じゃないですかッ💡了解致しました🎵めっちゃ読んじゃいます💓あ…もし良かったら、キラの他作品も是非是非どうぞ😽💕👻GHOST LIFE👻と🌠ZERO UNIVERSE🌠なんですが…ドキドキ😻どっちも長々してますので受験ガッツリ終わってから、暇ゴロ～ンな時にでも読んでもらえたら光栄です😼🌟てへ🙆💕これからもよろしくお願い致しますね🙇✨

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