月と影
「こんにちはー!スーパー死神放送局。略して、SSH 死神キャスターのゆりなでーす!!今日は、今ここ西死神坂からお送り致していまーす!大勢の死神さんで賑わってますねー!!今日は、みんな大好きなスイーツ特集ですよぉっっ!!甘いは正義!お口の中で溶けるから、カロリーゼロ!!はぁー仕事投げ捨てて、今すぐにでも生クリームをお口にご招待したい。…って…ヤバい紺野先輩から鋭い視線が…あはは…ってこれを視聴しているのは死神さんだけですよね??…もし死神ではない人がこの特番を見ていたらどうなるかわかりますよね…きゃぁぁ!!ってジョークですよ!!でも念のため、死神ではない人のために死神のことを軽く紹介していきまーす!!
まず死神を知っていますか??
殆どの人は知ってる。と答えますよね?!
けどね、殆どの人は絶対勘違いしてますよぉ!!
ねっ?1カメさん!!
なに苦笑いしているんですか!!」
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ユキは聞けたのか、満面の笑顔で戻ってきた。
「今夜デートしてくれたら色々教えてくれるって♪」
「お前一応女だろ。夜はダメだろ。知らん男に会ったら。」
「はぁ?私をみくびってる?なんかされそうになったら、普通に丸飲みするけど?
あッでもでも、黒助さんに助けて貰おうかなぁ~♡黒助さんの人の姿、ほんと可愛いんだよねぇ~♡でもなかなか、なってくれないから劇レアなんだよねぇ♡逢いたくなっちゃった♡♡
それはそうと、あいつそんな美味しそうにないわね。魂、灰色だよ。」
孝司は大きいため息をつきながら、その男をみた。
確かにユキが言ってたとおり、黒に近い灰色で、男の身体から沢山の腕がにょきにょき出ていて、その男にしがみついてる。
「あの男、女にだらしないわねぇ~。でも孝司が好きって言ってた女の子の名前だけは聞けたよ!咲那ちゃんだってさぁ~。あの子はほんと眩しいくらい眩しいわよね。今時珍しい。てかすれ違っただけで私、浄化されるかと思ったわ。」
と、笑うユキ
「お前勘違いしてるだろ。好きなんて一言も言ってないし、浄化されちまうならされてしまえ。
まぁ、確かにあいつは眩しい。」
「えっ?あの子の笑顔が??」
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次の日また孝司とユキはあのレストランでご飯を食べている。
「ねぇ、孝司?ここさぁパフェ美味しいらしいよ??」
「だからなんだよ。」
「この私があの娘のこと聞いてあげるよ?」
ユキは自慢げな顔して孝司にグーサインをしている。
「はぁ?知りたくねぇよ。」
「ふ~ん。まぁ、聞いてくるぅ~」
「おまっ…くそっあいつ無駄なことには凄い行動力あるんだよなぁ。」
ユキが女の同期の男に話しかけている。
「あぁ、あの男、人の姿になってる犬に惚れてるわ」
呆れながら見る孝司
ユキは犬の姿でも雄犬にモテまくるし、人の姿でも人間の男にモテてて、たまに仕事に支障が出るときがあるくらいだ。
「でもあいつの好きなやつは、あの黒助なんだもんなぁ…。ずっと一緒にいるけど、分からんわ」
孝司は1人呟いた。
ユキは仕事バシバシ出来るタイプで、自分にも他犬にも厳しいタイプに比べ、黒助はおっとりしていて、仕事はユキに比べ出来ないけれど、困ってる犬がいたら、自分を犠牲にしてでも助けてくれる犬だ。
だから、黒助は性別問わずみんなに好かれていて、体型もぽっちゃり。ポジティブに言えばみんなの癒し系だ。
「あっ!!あの娘!!孝司が好きな…んんっ!!」
孝司はユキの口を手で塞ぐ
「うるせぇな。黙って食えよ。置いて行くぞ?」
「ははぁ~ん、やっぱり好きなんだぁ。」
ニヤニヤ笑うユキ
孝司は無言で食べて答えない
「ねぇねぇ?明日もここでお昼にしない?あの娘も気になるけど、今まで食べた油淋鶏でここが一番美味しいんだもん?だめぇ?」
身を乗り出して聞くユキ
「まぁ、確かに旨い。」
「ふふっ、じゃあ決まりねぇ。それに私だって黒助さんと一緒にほんとはご飯一緒に食べたいんだからね?こんな辛気臭い死神となんか食べたくなんかないんだからね?」
「はいはい、何が黒助さんだよ。あんな犬のどこが良いんだか…。」
と、大きなため息をつく孝司
孝司は人や死神を殺したとき、その者の産声をあげた瞬間から、死ぬまでの記憶が全て映画みたいに頭に流れてくる。
だから、毎日ほぼ悪夢にうなされて起きるなんてことは当たり前で、最後自分が自分に殺されるそんな終わり方だし、小さい頃はまだユキと寝ていたからユキが起こしてくれてユキをギュッと抱きしめてもう一度寝むりにつくことが多かった。
でも大きくなるとユキと一緒に寝ることもなくなり1人で耐えていたけど、あの女と会ったあと、毎日あの笑顔の女が出てくるようになる頻度が増え、うなされることも少なくなった。
それに、女を立ち上がらせてあげるときに、触れた女の手は温かく柔らかかくずっと触っていたくなるそんな気分になった。怪我した膝の怪我だって治してあげたくもなった。
ある日人間の姿になって街中を歩いてた孝司の目の前にティッシュを配っている人間がいた。
その人間は孝司を見るなりティッシュ片手に走って来たかと思うと躓きスライディングしながら孝司の足元についた。
「あっあのティッシュどうぞ?」
女の人間は、スライディングのポーズを保ったまま守りきった笑顔でティッシュを孝司に手渡してきた。
思わず受け取り孝司は声に出して一瞬だけ笑った。
「あぁ。ありがとう」
その手渡されたティッシュの広告には筋肉マッチョと、「一緒にマッチョになりマッチョ」のセリフが書かれていた。
「お兄さん筋肉マッチョすきですか?」
とか言いながらにっこり笑う女との変な出逢いから孝司の人生はガラリ変わっていった。
ピカッと眩しいくらい光った瞬間、母親の大きな声と孝司の大きな産声が響き渡った。
孝司の親は孝司を抱きしめると、すぐ目を合わせた。
こんなに小さいのに、自分達よりか遥か上の力を感じたからだ。
孝司の親はどちらも死神族では、中か中の下くらいのごく普通の力しかないハズなのにこんな小さい子から溢れだす力に母親は泣いた。
「この子はきっときっと…」
父親は妻と生まれたの孝司を抱きしめた。
「大丈夫だ。ここから逃げよう。見つかる前に。早く移動しよう。」
急いでこの場を後にしようとする両親の前に死神族のトップの補佐をしている人達「」が現れた。
「凄い力を感じました。ちょっと中見せて貰えますか?」
「いやいや、こんな庶民の家でそんなことあるハズないですよ。」
「入れ。」
孝司「帰れよ。今はお前の顔見たくない。」
「ふーん。今はね…わかったわ。またそのおチビちゃんが居ない時に来るわ♡だけど、まぁ考えててね。あの話。そろそろあの頃みたいに死神も人も誰彼構わず殺めたくなってきてる頃だろうしね。またね孝司♡」
男は孝司に手を振りながら、消えて行った。
孝司「なぁ、人ってなんであんな脆いんだろな。」
ジーク「ご主人しゃまぁ?」
孝司「なのに、あんなに必死で…」
昔の記憶が甦る。
人や死神の返り血で汚れた手を見つめる自分。
泣いて乞う奴、お金やるから見逃せという奴他人を盾にして逃げようとする奴…いろんな奴を見てきた。
だけど、罪悪感なんてこれっぽっちも沸かなかった。それは孝司が小さいときから当たり前にしてきたことだからだ。
孝司が誕生した日に遡る。
あれは雷鳴が轟く夜だった。
「あぁ~ん。拒否られるとなんだか胸がドキドキ高鳴っちゃうわぁ~。それにそれに、その低い声がまた♡いゃぁぁんんん~ご褒美よっ!ご褒美っ!!どうやって私お料理されちゃうのかしらぁ~?」
男は自分の頬に両手を当ててクネクネしている。
孝司「はぁ…。ユキ来い。」
孝司が大きなため息をつきパチンっと指を鳴らした。
ボァンと白い煙りとともにライオンより大きな白い犬が現れ遠吠えをすると、大きな尻尾で孝司首もとをさすさすと、撫で始めた。
ユキ「ねぇ?孝司?あのさ、私言ったわよね?明日から旦那と旅行行くって?!」
孝司「はぁ?言ってたか?」
ユキ「言ってたわよ?それに大丈夫よっ!私居なくてもこの子がいるしねっ、ほら今日から1ヶ月ちゃんと孝司のサポートするのよ?」
と、ユキがいうと後ろからまだユキの半分の大きの黒光りした綺麗な犬が尻尾を千切れるじゃないかくらい振りながら現れた。
「ご主人しゃまぁ~!!お久しぶりですぅ~」
孝司「はっ?おいっユキ?!1ヶ月??聞いてねぇーぞ?ちょっそれもコイツ…」
ユキ「ねっ!!可愛いでしょ♡この子旦那にそっくりで!でも目の色は私と一緒で赤よ♡それにこのモチモチ頬っぺなんてね♡ほらぁやわやわよぉ?孝司をサポート出来るかって言われたら…でもほらっ愛嬌はあるし大丈夫よね?!癒しパワーあるしねっ!それに後からルナとナルが来るからねっ!あの娘達は、私の性格に似てしっかりしてるから大丈夫よ?あっ時間だわ行かなきゃ!!じゃねっっ!!」
孝司は煙草を出し吸おうとすると空の箱が出てきた。孝司は何処にも当てられない怒りを箱にぶつけにぎり潰し投げ捨てた。
孝司「あぁ。マジ今日ついてねぇ。どいつもこいつも聞いてねぇことばっかべらべら話しやがって…」
大きなため息をついた孝司に子犬は口を大きく開いて孝司に見せた。
「帰りたいなんてそんな寂しいこと言わないで下さいよ?私がわざわざ孝司さんに会いに来たんですよ?なかなか会う許可とるの大変なんですよ?この1ヶ月まだ4回しか会えてないのに…あの上司グチグチ五月蝿いから。てか、嬉しいですよね?ねっ?嬉しいですよね??大変な思いして会いに来てくれるなんて!!あれれ?でもそんなにスマホの画面ガン見しちゃってどうしたの?えっあれ?もしかして??もしかしてだけど、連絡先交換したくなっちゃったんですか?私は全然しますよ?はいっ!これ!ラムラムのQRコード!もぅぅ~孝司さんの照れ屋さん~」
と、急に孝司の背後に現れた男がずっと一方的に話している。
「マジうぜぇな。早くお前を片付けて次やんなきゃいけねぇんだよ。」
と孝司は、まだスマホの画面をみて振り向こうともしない。
煙草を灰皿に押し付けた手を止め、画面向こうで楽しそうにしている死神達を少しの間眺めると男の死に神は、持っていたリモコンで消した。
テレビの灯りが無くなった部屋は、まだ真っ昼間だというのに、カーテンを締め切っているので、真っ暗になった。冷蔵庫が稼働している音だけが微かに聞こえる。
男はベットに横になり深い眠りについた。
この男の死神の行動は当たり前ではない。
死神だからって夜が活動時間ではない。
生活リズムは殆ど人間と大差ない。
職業だってそうだ。
なのに、人間は死神を怖がる。
まだ寿命があるのに死神が持っている大きな鎌で切りつけその人間を殺してしまう。
そんなイメージを持たれやすい。
だけど、そんなことをする死神はごく一部だ。
人間でも人間を殺す奴もいる。そう思うとあまり変わらない。
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