パレット

レス112 HIT数 31971 あ+ あ-


2015/05/05 01:32(更新日時)

友人に物語を書いてみたら?と勧められていたが、なかなか筆が進まない…
携帯小説で地道に書いていけたら友人にも読んでもらえるし良さそうと思った。
自分のペースでツラツラ書くフィクション。面白くなかったらごめんなさい

No.1991936 (スレ作成日時)

投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.51

オバサンは自分の事も語り出した。
何処に住んでいるかも、家族構成も、仕事も分かった。
分かったからどうという事はない。
私は、このオバサンに興味はない。
「でね、これは孫に買った物なの」
持っている紙袋の中を見せながら言う。
「はぁ…」
「あなたは何を持ってるのよ」
私は答えなかった。この人に答える必要はない。オバサンはしつこく聞いてきたが無視した。イライラする。無視しても気のない返事をしても着いてくる。
寂しいのか。
孫と会えるのだからそれでいいではないか。
「私、急ぎますので失礼します。って一緒に走らないで下さい」
「私も途中まで一緒だし、気にしないで?」
「そうじゃなくて…迷惑ですから!」

No.52

大きな荷物をガチャガチャ言わせて、オバサンは着いてくる。
この執拗さはなんなのだ。
怖い。
仕方なく私は普通に歩き出すとオバサンはご機嫌になった。
「あの、本当に急いでますので着いて来ないで下さい。荷物もあるんだし転びますよ。お孫さんの所に行って下さい。私は関係ないでしょう?」
念を押すように話すと、
「…あ…うん、でも…」
オバサンがいい終わる前に私は駆け出した。

No.53

オバサンは次の日も暗がりに立って待っていた。
私は無視して歩いた。ピッタリとくっついて歩くオバサンをずっと無視した。そうしていればいずれ諦めるだろうと思った。
だがオバサンはしつこかった。次の日も、そのまた次の日もつきまとい続けた。何がそうさせるのか分からないが、うつむいてずっと着けて来る。私はもう我慢出来なくなった。私は片付け屋に連絡をとった。
「私をずっと着けて来る女がいるんです。なんとか出来ませんか」

No.54

「いいですよ」
片付け屋は簡単に言った。
「私との接点は何もない人なんですけど…」
私は少し不安になって言った。今まで嫌な奴らを何処かにやってくれたけど、今回は難しいのではないか。
「帰り道にその方が現れなくなればいいんですよね。簡単ですよ。」
片付け屋は軽く言ってのけた。
「じゃお願いします。出来るだけ早くお願いします。しつこくてしつこくて、もう疲れてしまっているんです」
ただでさえ面倒な人間関係を抱えているのに、他人になど構っていられるか。寂しいなら、家族がいるんだから頼ればいい事だ。
それとも頼れない何かがあるのか……。
それでも、その助けを見ず知らずの他人に頼るのはむしがよすぎる。

No.55

私は明日にはいなくなっているという片付け屋の言葉に、信頼して頼む事にした。
今まで頼んだ仕事は必ずやってくれた。今度もきっとそうだ。私は明日が楽しみになった。
「ではお願いします」
私はもう一度頼むと電話を切った。
そして次の日の帰り道、私は期待と不安の入り交じった気持ちでその道に入った。
(いたらどうしよう)
あの妖怪のようなしつこさに、私は片付け屋がどう立ち向かうのか気になっていた。でも、それを知る術はない。
私が恐る恐るその道を歩いていると、後ろに誰かが来た感じがした。やっぱりあいつだろうか。
「安心して下さい。片付け屋です。振り向かなくて結構です。お姿を見かけたのでご報告しようと思っただけですから」
私は感嘆した。
あれだけしつこかったババアを片付けるとは…。
「ありがとうございました」

No.56

片付け屋は私のお礼には答えず紙キレを私に握らせた。
私はその紙を見た。いつもより高い値段が請求される事が書かれていた。
私は振り向いた。
誰もいなかった。去った気配に完全に気づかなかった。
私は、呆然とそこに立ち尽くした。
(何者なんだろう)
私は足早に家路に着いた。

No.57

私の職場には、モテないくせに自身過剰な男がいる。
自分の魅力に気づかない女がバカなのだと言っている。オバサン達が持ち上げるので、余計調子に乗っている。
「俺は仕事も出来るし金も持ってるから安い女じゃダメなんだよ。だからなかなか女が出来ないんだな」
ふんぞり返って男は言う。
「じゃどんな女性なら彼女にするの?」
話しかけられたので私は聞いてみた。男は「そうだな」と言って考えるフリをする。

No.58

休憩中でもないので仕事を続けていると男がまた話し出した。
「俺に似合うのは可愛い人だよ」
間があったが、大した事言わない。
美人よりは可愛いがいいとは、最近テレビや雑誌でよく言っている。オバサン達もこいつに言っていた。受け売りだろうな。
「ふーん」
大して興味もないので、話は終わりと言う代わりに、素っ気なく返事した。
「歳は出来れば20代。30代なら若く見えなきゃダメだ。性格が優しくて料理が上手いの。顔が可愛くてね」
そんな子に彼氏がいない訳ないだろ。
いなかったとしても40過ぎたお前は相手にされないよ。私はツッコミたくなったが止めた。
「それじゃそんな子探さないとね。合コンとか行けば?」
男は鼻で笑った。
「えー…」
人の集まりに顔も出せないのか。そんなに引っ込み思案なくせに、どこで出会うつもりだ。

No.59

男は人の集まりが苦手なようで友達もいないそうだ。
趣味もなく仕事して帰るだけ。
そのせいか、あまり帰りたがらず、仕事が終わってもオバサン達と喋っている。
内容は声がデカイので丸分かりだ。
「早く女見つけなさいよー!紹介してあげようか。」
オバサン達が、男をおだてている。
余計な事を…
「アッハッハッ」
オバサン達のおだてを真に受けて、男は大喜びだ。
顔中で笑っている。
「出来ました…」
書類を上司に提出して帰る。
と、オバサン達がジッとこちらを見ている。
「あの子は?」
オバサンの一人が小声で男に言ったのが聞こえてしまった。
男はニヤニヤしながらこちらをチラ見した。
「行きなさいよ」

No.60

男は挙動不審にニヤニヤしているだけだったので、一人のオバサンが私に寄ってきて、
「アンタ彼氏いるの?いないならあの子どう?優しい子なのよ」
私はこの男が、影で女を値踏みしている事を知っている。
オバサン達の事も、ウザイけど構ってやってると言っていた。
オバサンは人を見る目がないと常々思っていたが、まさかあれを優しいと思っていたとは…
「私、彼氏いますので…」
帰ろうとすると、凄い力で腕をつかみ、男の所へ無理やり連れていかれた。
「ほら、連れて来たよ!」
オバサン達はニヤニヤしながらこちらを見ている。恋愛ドラマの見すぎだ。こんな事がきっかけになると思っている。冴えない男が、こんな事で彼女作れる訳ないだろ……

No.61

私は黙って男を睨み付けた。
私の視線を感じたのか、男がうつむいてオロオロしだした。
オバサンがそれに気付き、
「なんて目してるの!可哀想でしょ!」
と叱りつけてきた。こいつはお前の息子か。
そこからしばらく沈黙が続いた。
その沈黙に耐えられなくなったオバサンは、「じゃ今日は連絡先を交換するだけにして…」と言い出した。
なんでそうなる。
私は「はぁ?!」と怒りを込めて言ってやった。
押しきれるとでも思っているのか。強引にも程がある。

No.62

また沈黙が流れた。私は面倒になった。なんでこんな事に付き合わなきゃならない。私は帰る事にしたが、またオバサンが私の腕を掴んできた。すがるような目で見てくる。お前のせいじゃないか。自分でなんとかしろよと思い、手を振りほどいて歩き出した。全く馬鹿馬鹿しい。

No.63

次の日の帰り、私が歩いていると後ろから男に声をかけられた。
昨日の職場の男だ。
「いやぁ、昨日は参っちゃったよ。ババア達が勝手な事ばかり言いやがって。なぁ」
「アンタの為に言ってたんじゃないの」
私が言うと、男は眉を吊り上げて、
「俺の為?」
男は心外だと言わんばかりにため息を吐いた。なんでこんな男の為に、あのオバサン達は頑張っていたのか。
男は胸を張り、
「俺の彼女は俺が決めるよ。なんでババア達に決められなきゃいけねぇんだよ。余計なお世話だっての」
男は鼻で笑う。
なら、なんであの時うつむいていたのだ。

No.64

私は別に一緒に帰っている訳ではなく、男が勝手に着いてきているのだ。嫌なので逃げたいのだが、私の歩調に合わせてくるのは私に何か言いたいからか?
「じゃそう言えば?」
私が面倒臭そうに言うと、
「ええー!」
男が、バカみたいに驚いてみせた。言いたくないのか。じゃ今までの演説はなんだったんだ。ウザイ。こいつに恋人が出来ない理由の一つは、間違いなくこういうところだろう。とにかく腹が立つのだ。

No.65

私は面倒になって走り出した。
途中気になって振り返ると、男はいなかった。
ほっとした。

次の日、男がオバサン達と何やら話していた。私は見ないようにして席に着いた。もう関わりたくない。
私の願いは叶わず、オバサンが私に近づいて来る。
私は席を立ち、給湯室に避難した。
そこは女の子達の溜まり場になっている。私はそっと立っていた。
と一人が話しかけてきた。
「昨日小田さんに付きまとわれてたでしょ?大丈夫だった?」
私は嬉しくて涙が出そうになった。
見るとみんな心配そうに見つめている。私は昨日の事をぶちまけた。
オバサン達の女の子いびりは今に始まった事ではない。
被害者は続々と出ている。
中でもモテない男を押し付ける嫌がらせは多かった。
モテない男はバカが多いから、オバサンの言う事を鵜呑みにし自分はモテていると勘違いして女の子を追い回すのだ。

No.66

私はひとしきり話した後、みんなと一緒に席に戻った。オバサン達も一人なら来るが大勢になると来ない。
(いじめっ子かよ!)
やってる事も嫌がらせだし変わらない。
小学生か。馬鹿馬鹿しい。
男が、チラチラこちらを見ている。
見てんじゃねぇよ。
男はよそ見をして仕事に身が入っていないと上司に叱られた。
ざまあみろだ。

No.67

その日の帰り、男がオバサン達のたむろしている中に一人混ざり、真面目な顔で話し込んでいた。
「ねぇアンタ」
(私を巻き込まないでくれないかなぁ?)
オバサンが絡み付くような粘着質な声で寄って来た。
「この子慰めてあげてくれないかしら」
(…は?)
見ると、男がニヤニヤしながらうつむいている。

No.68

「可哀想でしょう」
笑っているところを見ると、全然堪えてないのだろう。
オバサンの目は節穴だらけだ。
男は濁った目でこちらをチラチラ見ている。
みるんじゃねぇよ、気色悪い。
上司の言っていた事はまともだった。こちらも、不真面目な男が「真面目だけが取り柄です」という顔をしているのがムカつく。この男には叱るだけの価値もなかったという事だ。
「アンタが悪いんでしょ」
突き放すように言うと、男はあからさまに傷つきましたという顔をしてきた。顔を作るのだけは上手だ。
どこまでも図々しい男だ。
「反省しないならまた同じ事繰り返して叱られなよ」
(どう見ても40過ぎたオッサンなのに、中身は幼児なの?)
ママの所に帰れと言いたかったがやめた。この男をいい子いい子と可愛がるババアにくっついてる限り、こいつに彼女が出来る事はないだろう。本当の母親ならまだしも、会社のババアがくっついてる男なんて、誰も欲しがらん。
こいつがどうなろうと、私には関係ない。
「ちょっと!なんでそんな事言うのよ」
「そんなにこの男が可愛いならアンタが慰めろ。それとも面倒なの?私に押し付けられても迷惑ですから」

No.69

私はハッキリ言ってやった。
(手に負えないなら関わらなければいいのに。なんで私に押し付けるの?)
私は呪ってやりたくなった。
「…じゃ二人でどこかへ遊びに行ったら?」
オバサンが下を向いてボソボソと言った。
「なんでそうなるんですか」
「…」
「断ってるのが分からないんですか?」
私は眉をひそめて言った。
オバサンはなかなか諦めない。しつこいババアだ。
「聞こえないんですか?」
「聞こえてる」
オバサンがボソボソと言う。
「もういい加減にして下さい。私、付き合っている人いますから」
「えっ」
オバサンが言葉を失った。男も困惑している。失礼な。でもまぁこれで諦めてくれるだろう。

No.70

甘かった。
そのあとも、オバサンはしつこかった。
もうオバサンが意地になってるのか、男が明らかくれないのか分からなかった。
ただ、男は黙ってオバサンに着いてきていた。
自分の意思はないのだろうか?
人形のような男に気味悪さを感じながら私は断り続けた。その状態が3カ月程続き、私はまた彼女に頼む事にした。あいつらの相手をするのが疲れたのだ。
彼女はすぐに電話に出た。また金額が上がったが、構わなかった。
私はオバサンの始末を頼んだ。
一週間後にオバサンは会社を止めた。
やった!これで終わりだ!

No.71

>> 70 「あの人、どうして辞めたんですか?」
「課長と不倫してたらしいよ。普段から旦那の話絶対しなかったし、恋がしたいって言ってたしねぇ」
オバサンの辞めた理由が気になって、仲の良い先輩に聞いた結果だった。私には〔結婚はいいわよ~〕と早く結婚しろとうるさかったのに自分は浮気かよ。
主婦には、いつまでも女でいたいとか言う奴がいる。
旦那にそう思われたいなら分かるが、旦那はもういいと言う。じゃ浮気したいって言ってるようなもんじゃないか。
「まぁ相手がいるだけ良かったのかもね~」
先輩は羨ましいと言って去って行った。
浮気相手が見つからない主婦は若い女の子に湯アカのようにへばりつき、恋愛をしろとけしかける。
あのオバサンも「どんな男が好みなの?」としつこく聞いてきた。男と付き合わせて、話を聞き出し自分が恋愛している気分にでもなりたかったのだろう。
(自分じゃもう誰からも相手にしてもらえないと思ったのか)
哀れな女だ。
結婚しなければ良かったのに。
「ねぇあの人、貴方のロッカー開けてるよ」
同僚の声に自分のロッカーに目を向けると、あの男が私のロッカーを開けている。
(何やってるの?なんで勝手に開けてるのよ?)

No.72

>> 71 男はじっと私のロッカーの中を見ている。
私は嫌な予感がして近寄った。
見ると男は自分の股をまさぐっている。
「何をやってるの?」
震える声で質問すると、男は私の方に振り向いた。
「何もしてない。すみません」
彼はぽつりと言い、またロッカーに向き直った。
(まだ続けるつもりなの!?)
私は腹を立て、男を突き飛ばした。
男は股の物を出したままひっくり返った。周りの人達も驚いたようだ。男は、そのまま動かない。私はロッカーの中を確認して、異常がないと分かると閉めた。
「早く立ったら?」
彼は立ち上がった。
「なんでこんな事したの?もう二度としないで。いいわね」
私がその場を離れようとすると男は「失礼します」と言ってまたロッカーを開けた。
「なんで開けるの?」

No.73

>> 72 男はうつむいて黙っている。
私は男をもう一度突き飛ばすとロッカーの前に立ち睨み付けた。
男は私の目を見ようとしない。
しばらくの沈黙の後男は一回顔を上げた。私の睨み付けた顔を見ると、またうつむいた。
どういうつもりで顔を上げたのだ。
許してもらえるとでも思っているのか。
この男はしっかり怒らないとダメな奴だ。
私はじっと睨み付けていた。
すると一人のおばさんが近寄って来た。
「もういいじゃない」
私は空いた口がふさがらなかった。
こんな変態を許せと言うのか。私はおばさんを見て怒りが更に沸き上がった。おばさんもうつむいていた。
私も一向に動こうとしない男に苛立っていたので、とりあえず席に戻ろうとその場を離れた。
すると、男がまたロッカーを開けた。
私の怒りは頂点に達した。

No.74

「まだやる気かよ?!」
私はキレると男言葉になる。
「いい加減にしろよ。警察呼んだっていいんだぞ。大体そんな貧相な物見せてんじゃねぇよ。気持ち悪いだれうが。さっさと閉まって消えろ」
静かに言った。
「…」
男は口をバカみたいに開けて見上げている。
「なんだその顔は?」
「…」
男は黙って立ち上がった。
「消えろ」
私がもう一度言うと、男は去っていった。
私はホッとした。
そして、何事もなかった顔で仕事に戻った。
(ああいう男は女が欲しいくせに、女をバカにしてんだろうなぁ)

No.75

>> 74 しばらく職場は静かになっていたが、すぐにいつもの騒々しさが戻ってきた。
中にはまだ騒いでる連中もいたが無視した。私には急ぎの仕事があった。
男は帰って来なかった。
自殺でもしようとしているのかもしれない。
でも大丈夫だ。
情けない奴程生きたいものだから。
死んでくれても良かった。とにかく嫌いだったから。
「これをコピーしてくれるかな」
上司に頼まれコピー機に向かう途中で、廊下にあの男が立ってるのが見えた。
「あの人何やってるんだろ」
「誰か呼びに来てくれるの待ってるんじゃねぇか?情けねぇ…」
「うざ」
みんなさすがに文句を言い出した。
それはそうだ。子供のように迎えを待つ男の姿は、笑いさえ込み上げてくる。
私は「出来ました」と上司に渡し、そのまま定時まで仕事をして帰った。

No.76

「帰えんのかよ」
あの男の側を通る時に、男がボソッと言ったので「悪いかよ」と言ってやった。
まだ懲りてないらしい。
まだ私に関わるつもりか。今度はケンカ相手にでもなりたいのか。
「仕事しないならアンタも帰れば?」
軽蔑の眼差しと共に言ってやったが、下を向いている男には見えなかったらしい。
「えっ…」
嬉しそうに顔を上げた男は、私の表情を見てまたうつむいた。
(一緒に帰るつもりだったのか?)
声には出さなかったものの、私は驚いた。
ここまでの流れからして、私がこいつを受け入れるという考えがどこから出てくるのだ。
女をなめているのか。
「アンタ…今まで甘やかされて育ったんだねぇ」
ババア達が甘やかしているのは知っていたが、女に守られて生きてないとここまで情けなくならないだろう。
男をダメにするバカな女としか関わって来なかったのが分かる。
「アンタ、それじゃ一生彼女出来ないね」

No.77

>> 76 私は腹の中に溜まっていく嫌悪感を吐き捨てるように言った。
(この男は全く反省していない)
そう感じたからだ。
この男からは、ただ助けを待つ情けなさだけが流れていて、一言「ごめん」という言葉が聞きたいのに、一向に言う気配すらなかった。
そればかりか、おばさん達が何か庇うように言った言葉に気持ち悪い唇を緩めて笑っていた。

No.78

>> 77 私はもう諦めて帰る事にした。
「じゃおばさん達に可愛がってもらうなね」
私は哀れみを込めて言った。男は下を向いて固まっていた。
帰りにおばさんが話しかけてきた。
「どんな人が好みなの」
「いきなりなんですか。少なくとも、おばさんの後ろに隠れない男ですよ」
「そんな…」
「大人の男性なら、女性に自分で声くらいかけられるはずです」
何も、いきなり口説く必要はない。
同僚なのだから、普通に話しかければいいのだ。
おばさん達と会話は出来るのに他がダメなんて理解出来ない。
つまりはおばさん達みたいにおだてて、持ち上げてもらわないとダメだという事だろう。惚れた女に最初から「自分を持ち上げてくれ」と願うなんて勝手過ぎる。
「まともに会話出来ない男と付き合うなんて無理ですね」
おばさんはこちらが気を使えばいいとぬかすので無視してやった。
そりゃ誰にも相手にされないおばさんなら、おだてないと会話してくれる男もいないんだろうけど、こちらは男には困ってないのだ。
まともに話す事も出来ない程手のかかる40過ぎた坊やに、なんで気まで使ってやらなけりゃならんのだ。

No.79

結構キツめに言ったのだが、おばさんはまだ着いてきた。
「彼氏いるの?」
「いますけど?」
「上手くいってるの?」
しつこい。
私がおばさんをくっつけてくる男を嫌うのは、おばさんが嫌いだからだ。おばさんなら誰でもという訳ではない。男をやたら構いたがるおばさんは、必ず面倒な女だからだ。
「関係ないでしょ」
「上手くいってるの?」
「上手くいってますよ」
いつまで着いてくる気だ。
「結婚すればいいのに。したくないのかな」
やかましい。
お前に関係ない。
(恋したいと叫んでいる割には恋する暇を与えたくないんだ?)
恋がしたいおばさんは、恋する暇なく結婚したのだろう。
働きたくないとか、周りがうるさいとかの理由で結婚したから旦那にすぐに飽きて恋がしたくなるのだ。
「あなたはなんなんですか?」
頼んでもいないアドバイスを、つけ回しながら言うババアに、呆れながら口にした。

No.80

このおばさん、おばさん達からもはぶられていた。
女の輪に入れないから男にしがみついているのだろうか。
(やっぱり面倒な人だから?)
理由は後で誰かに聞こう。
私は何やらわめいているおばさんをまく事にした。
おばさんは「私、嫌いな人いるの。あなたもあいつ嫌でしょう」と笑いかけてきた。誰かを悪者にしないと友達作れない人なんだな。
(哀れだなぁ。なんで職場にいるんだろ。結婚してるなら、友達と遊んでりゃいいのに。)
ああそうだ。
この人友達いないんだ。
友達いない奴は駄目だ。男も女も駄目だ。
異性なら許してしまう事も同性ならちゃんと叱ってくれる。
いけない所を教えてくれる。
異性に依存している奴はダメ人間だ。
同性でも仲良くないと教えてくれないから、ちゃんと友達いる人は人間としてちゃんとしている。
こんな面倒な女、旦那にも飽きられ友達と出来ない、職場の人に面倒ばかりかける女なんて、いなくなっても悲しむ人もいないだろうし、消してしまおう。
私は、またあそこに頼む事にした。

No.81

>> 80 もう何度もかけていたので、番号を覚えていた。
仕事の帰り道に私はさっさと電話した。
「じゃ宜しくお願いします」
私は面倒だったので、おばさんと男の両者を消してもらうようお願いした。

さすがに貯金がヤバくなってきた。
私はかなり片付け屋に頼っていた。
私は人の本性を暴くのが得意だ。
面倒な人の面倒な部分、情けない奴はより情けなくなる。
(そして付きまとわれるんだよなぁ)
私は人に頼られるのが苦手なのだが、すぐに頼られたり期待される。
いや、使われる場合もある。
まぁどちらにせよ、私の周りをワンワンとハエが飛ぶように面倒な女が寄って来ていた。
時に情けない男まで連れてくるおばさん達と、どう関わればいいのか分からない。

No.82

>> 81 次の日には二人はいなくなっていた。
おばさんは退職し、男は移動していた。
一体どんな方法を使っているんだろう。
知りたかったが知ってはいけない気がした。危ない匂いがする。
「最近、人の出入りが多いよね。この職場」

No.83

>> 82 同僚に何気なく言われ、そういえば連続で消してもらっていたなぁと思う。
それでも事件にならないのは、自然といなくなっているから。有難い。あの面倒なだけの奴らがいなくなってせいせいしている。あれらに名前をつけるとしたら、ストーカーババアかな。
しかし高い。つり上がる値段にそろそろまずい感じだ。どうにかしてお金を工面せねば。
うちの職場は副業が許されている。
簡単なバイトでもするか。また面倒なババアが現れたらだけど。
そしてウザイ男共。なんでババアの力借りないと女に声掛けられないヘタレにばかり惚れられるのか。人の世話なんか焼いた事ないくせに、男に気に入られたいだけで口出してくるババアなんか間に入れやがるから、もめるしうるさいしたまらねぇんだよ、アホ野郎共。

No.84

>> 83 隣の部署とうちは部屋が隣同士だが、普段交流はない。
しかし、ある日突然呼び止められた。
さすがに私も少し戸惑ったが、話を聞くと何て事はない、いつもの男性の紹介オバサンだった。
世話好きオバサンが減っているとテレビで言っていたが、私の周りにはわんさかいる。
「彼氏いるの?」
余計なお世話ないつものオバサンの確認。
「いますけど?なんですか、突然」
私は毎度の事に飽きてしまい、あくびが出てしまう。
「…あの、結婚はしないの?」
「そのうちしますけど?」
「…」
男をチラチラ見ながら、ニヤついているオバサン。
(なんか言えよ。)
男はまたうつむいてニヤついている。
私はそのまま「では」と言って帰る。
と、手を捕まれた。
「なんですか」
「あの…」

No.85

>> 84 「…」
オバサンは悲しそうな目をしてただ見つめている。
「そんな目をしてもダメです」
情に訴えようとしたのだろう。
そんな事で付き合ってたら、男が何人出来るか分かったもんじゃない。
それに人の優しさにつけこもうとする奴は大嫌いだ。
私は手をブンブン振った。
「離して!」
私が叫んだところで「早く。ほら」とオバサンが男に言う。
「何する気!?」
すると、男が私の手を握ってきた。
オバサンは満足そうに頷いている。
私は「気がすんだ?」と男に言ってやった。
男はどうしていいか分からないといった顔をしている。
「離して!」
私は声をあげたが離してくれないので、思いっきり引っ掻いてやった。

No.86

>> 85 男は、「痛いです」と淡々と言う。
私は「離して」と言いつつ引っ掻く。男の「痛い」と私の「離して」を3回程繰り返し、男はようやく手を離した。
なんで引っ掛かれた時点で離さないのか。嫌がられてる事が分からないのか。それとも、痛いと言えば離してもらえると思ったのか。こっちはお前のように指示されなきゃ何も出来ないバカじゃないんだ。自分の意思で動いているんだ。ババアの人形には分からないだろうけど。
さて、引っ掛かれた後どうするか見ていると、二人とも固まっている。ババアは、思い通りにならない事が信じられないようだ。どんだけ楽な人生送ってきたんだよ。

No.87

「何が嫌なのよ!」
ババアがいきなりキレた。
「あなたがくっついてる事が嫌なんです!どっか行って下さい」
何故に側で監視するように見ているのだ!お見合いだって二人の時間作るだろ!なんだ、ババアとも付き合えってか!
「この方(男性)と二人で話したいんです!席を外して下さい!」
男だけならなんとかなる!つーかババア抜きで話が出来なきゃ付き合うなんて無理だろ!ババアは「え~?」って顔してる。そんなにお気に入りなのか!じゃお前が付き合えよ!
ここまでのやり取りになるまでなんと6時間半も経っていた。どんだけ暇な奴らなんだ。そりゃ女作る為なら男は必死だわな!でもこのババアはなんだ。男好きなババアは、大体旦那はほっぽり離しなんだよな。
結局、ババアが離れようとしたら男がキレて、ババアは逃げて行った。

No.88

>> 87 「私、酷い目に合わされたの。あの子酷いのよ」
次の日職場では、ババアが必死になって噂を広めていた。
あっちこっち渡り歩き、仕事なんてしやしない。ババアにとっては悪口が何よりも優先されるのだ。
「あの子そんなに悪い子じゃないですよ」
庇ってくれる優しい先輩からはプイッと逃げていく。
私の仲間の所にも行っていたが目で合図した。
(相手にしなくていいよ)
仲間は(分かった)と頷いてくれて、話を流してくれた。
「あいつに酷い事をされたのよ~。あいつは酷い奴なのよ…」
「何されたの?」
付きまとわれてる人が、不機嫌そうに聞いている。
「せっかく萬田君を紹介してあげたのに付き合おうとしないの」
男を顔で選んでるだの、お金持ってないからだの、勝手な事を言ってる。
まぁそれも基準ではあるけど。
「付き合うかどうかは本人次第でしょ。なんであなたがそんなに必死になってるの…」
当たり前の事を言われただけだが、ババアは憤慨して何やら叫んでいる。

No.89

>> 88 「面倒臭いなぁ」
その声が後ろから聞こえたと思い振り向くと、仲間の一人が立っていた。
手をパタパタさせて不機嫌な顔をしている。
オバサンは私を仲間外れにしようと、あっちこっちで「あいつがあいつが」と大暴れ。
私は思わず吹き出してしまった。
正直、ここまでバカとは思ってなかった。私より先にいるくせに、若い子いびる以外何もしてこなかったのがよく分かる。
オバサンは若い子みんなが気に入らないのか、とにかく悪口ばかりあっちこっちで言っている。若い子達にバカにされて相手にされないのにつきまとったあげく嫌われて、今度は悪口言って更に嫌われる。
「私がこんなに言ってるのに!彼だって可哀想でしょ!」
「フラれる事も経験よ」
今度はあの男を挟んで騒いでいる。
「ダメよ!私が気に入っているのに、彼女が出来ないなんておかしいわ!」
そう言って、また私の所に来た。
「どこが気に入らないのよ。付き合ってる人いないならいいじゃない」
「いや、いますから。騒がないで下さい」

No.90

>> 89 私は呆れながら言った。
オバサンは騒ぐのを止めない。
鬱陶しくなって「とにかく嫌ですから」と言って、側にいた仲間と仕事に戻る。
よくよく考えてみればおかしな話だ。
私が誰と付き合うかなんて、職場のババアに何か言われる筋合いはない。
まぁ若い人にとにかく絡みたがるババアは、ここには多いから特に意味はないのかもしれないけど。
あの男に彼女が出来ないのは、面倒なオバサンのペットをやってるからじゃないのか。

No.91

オバサンは、しばらくしておとなしくなると、今度はオバサン達の集団の後ろを着いて歩くようになった。
(友達になった?)
いや、誰とも会話していないし、理解出来なくて首を傾げてしまう。
あのオバサンと気が合う人がいるとは思えない。
「ねぇあの男、アンタに食らいついてた男じゃない?」
同僚に言われて見てみると、あの男がオバサンの後ろを着いて歩いている。
40過ぎて、体もデカイのに、なんて情けない男だろう。

No.92

オバサンの一文字に閉じられた口から、歯ぎしりしている音が聞こえてきそうだ。
子供の頃から、いじめや人をからかう事だけが楽しみだったんだろうな。
(残念。もう少しやかましくしてれば、消してやったのに。お金貯めてたのにな)
バカがバカをみるのを見た面白さと、仕返し出来なかった悔しさとか混ざる。
ヘタレ男はどうするだろう。
「あいつ、こっち見てるよ」
同僚の声に男を見てみると、目が合った。
ニヤリと笑ってうつむいた。ババアに隠れる奴は、決まってうつむくな。
鬱陶しい。
男はうつむいたまま立ち止まった。
「話しかけて欲しいみたいね」
「手間のかかる男って嫌い」
人の優しさに甘える奴が、私は大嫌いなので、男に聞こえるように言ってみた。
「俺、可哀想でしょって感じが腹立つ。オバサンの同情誘って生きてきたのが分かるよね。女に守ってもらわないと生きられない僕ちゃんに彼女は早いんじゃないの?だって男性として見れないじゃん」

No.93

言った後、清々しい気分になった。
普段我慢している反動だろうか。
男は固まってしまった。
(でも、すぐ忘れるんだろうな)
男というものは、いとも簡単に立ち直る。その単純さを賞賛してやりたいくらいだ。
あのしつこさも、オバサンを頼るプライドのなさも、これくらいバカじゃないと出来ないだろう。
「行こう。仕事しないと、上司に叱られるよ」
同僚に声をかけられ、私は仕事に戻る。
「そうだね。あーあどっか行ってくんないかなぁ?鬱陶しいあいつ」
いつもは庇ってくれるオバサンに守られているが、オバサンは今は自分で手一杯なので、言いたい事を言っておいた。

No.94

>> 93 それからしばらくはおとなしいものだった。
(でも油断出来ない。)
男という者は、おとなしい奴ほどしつこい。
オバサンに甘えている男は、十中八九しつこい。
「あんたの後ろ。あの男が立ってるよ…」
同僚に言われて振り返ると、うつむいた男がボーッと立っている。
「何なの…言いたい事があるなら言えば?ないなら、どっか行ってくれない?」
男は黙って立っている。
私はわざとぶつかって、別の場所に行った。男はじっとしている。死んでるみたいで気持ち悪い。
それから、気づくと男が背後に立つようになった。
声かけられるのを、ただひたすら待つつもりらしい。
「鬱陶しいなぁ。付いて来ないで」

No.95

>> 94 私はだんだん耐えられなくなってきた。
これが目的だろうか。
男は俯いたまま固まっている。
ぞくっとした。
どうしていいか分からないでいると、またあのオバサンがご機嫌な顔して寄ってきた。
オバサンは私と男を準に見て、丁度真ん中に立った。
そのままニヤけた顔で俯いた。
「やっぱりあなたと付き合いたいのよ。付き合ってあげれば?」
俯いたままオバサンが言ってきた。
なんでこの状況でそのセリフが出るんだ。
男はニヤニヤしている。
「何言ってんの。バカじゃないの。いい加減にしてよ」
「エヘヘヘ。そんな事言って、本当は嬉しいんでしょ。あまり焦らさないであげればいいのに」
「あんたの頭はどうなっているの?」
「え~…」
ババアが人をバカにしたような顔をした。
もう消そう。

No.96

「もう死ねば?」
「なんでそんな事言うの~?」
相変わらず人をバカにした言い方をして喜んでいるので、私はキレた。
(消えてしまえ)
私はまたあそこに電話する事に決め、二人を置いて帰ろうとしたら、ババァが立ちふさがって来た。
「どいてよ!」
「え~?」
「小学生かよ」
私は呆れてボソッと言った。
ババァが俯いたので、その間に振り切った。
二人が見えなくなると
「あの片付け屋さんですか。お願いしたいんですが」
「何人ですか?いつまでに?」
今回は細かい事まで聞かれた。
「面倒だな!」
怒りが爆発していたので、電話を切った後、少し大声をあげてしまっていた。
しつこい奴は腹が立つ。
(でも、これで消える!)
ふと気づくと、知らない女の子がこちらを見ていた。

No.97

>> 96 「あのオバサンが嫌なんですか」
「え?」
「なら連れて行きますね」
「え、あの…」
女の子は、私のいた方へ走って行く。
電話口でも、出るのはいつも女性だったが、あんな幼くはないはずだ。
「なんだろ、あの子」
気味が悪いが気になる。
私は女の子の後を着けて、元いた場所に戻ると、まだ男とオバサンが立っていて思わず「ゲッ」と言ってしまった。
二人は向かい合わせに立っている。二人とも足元に視線を落とし固まっていた。ああいう人に迷惑を平気でかける人って受け入れてもらえないと、すぐどうしていいか分からなくなるんだよね。
余計な事して人に絡んで自爆するバカ。
「オバサン、そこいると邪魔だよ。何やってんの?」
オジサンに怒られて更に固まっている。
「あの、大丈夫ですか?」
「え、はい。あら女の子」
「こっち…」
女の子に手を引かれオバサンが歩いて行く。困惑している。

No.98

>> 97 だが、女の子はお構い無しにドンドン歩いていく。
「ちょっと!離してよ!」
オバサンが叫びながらもがいているが振りほどけないらしい。
あんな幼い女の子にオバサンが力で敵わないなんて事あるとは思えないのだが。
男は身動ぎ一つせず固まっている。
「ちょっと、どこ連れて行く気よ。私帰る。離しなさい!」
鋭いオバサンの声が小さくなる。
(じゃ連れて行きますねって、あの子どこに?)
あの子が今まで、私の依頼した人を消してくれていたのだろうか。
女の子がオバサンを連れて歩き去ると、今度はものすごい勢いで別のオバサンが走って来た。
(今度は何?)
「あんたね?」
オバサンが男の前で立ち止まると、突然男に話しかけた。
男が困惑しているとオバサンは男の周りを回り出した。
その異様な光景に、彼が固唾を飲んでいるのが分かる。
「あんたオバサンが好きなんでしょ。オバサンいないと不安なのよね」

No.99

>> 98 オバサンがニヤリと笑うと、男は一目散に駆け出した。
「あらどうしたの。一緒にいてあげるわよ?待ちなさい」
オバサンが追いかけて行く。
「何あれ…」
「もうすぐ消えますよ」
私の後ろから、女の人の声がした。
(この声は聞いた事がある。)
振り向くと、ロングヘアーの美人が立っている。
いつも電話で聞いていた声。
この人が、片付け屋だと確信した。
その人は、ゆっくりと男達が走って行った方へ歩き出した。
その表情は、まるで人形のように無機質だった。
「見に行きませんか」
彼女は振り返り、無表情のまま私に語りかける。
「あなたが片付け屋さんですよね?これから消えるってどういう事ですか?」
私は酷く戸惑っていた。
どこからか大きな音がした。

No.100

>> 99 見に行くと、事故だった。
「誰か轢かれたぞ!」
人だかりに行くと、あの男が倒れているのが見えた。
オバサンはいない。
(消えるってこういう事!でもこれは偶然だよね?)
私は内心ほっとした。しつこい男が、確実に私の前から消えてくれたのだから。

  • << 101 あのオバサンはどうなっただろうか。 今までの人はどうだったのだろう。色々考えていたら、先ほどまで気になっていた片付け屋の存在を忘れていた。 彼女はスッカリ姿をくらましていた。 私は気がついたら家に着いていた。色々な事に頭が軽く混乱していた。 「良かったけど…。死んだよねあの男。…殺された訳じゃないよね?」 片付けるという事はそういう事だったのか。 でも、あくまであれは事故だった。 いなくなったのは嬉しい。しかし、なんともスッキリしない感じがした。怖くもあった。 それでも次の日からなんら変わらず、私は仕事をしていた。 どんな事が起こったのか分からないけど、考えてても仕方ないからだ。 「あれやってありますか」 「あれやっといて」 「あれどこやった?あれ、そういえばあいつは?」 みんな自分の事でいっぱいだから、オバサンみたいに、他人の事ばかり気にしている人はいない。
投稿順
新着順
主のみ
付箋
このスレに返信する

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧