三年間の片思いの末に待っていた結末

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2014/01/16 00:53(更新日時)

わたしが高校生のときの恋愛話です


「三年間の片思いの末に待っていた結末」

弓道部で一緒になったあるひとりの男の子に、片思いをする。
彼を好きで好きで仕方ないわたし。
告白なんてできない。
でも………

色々あって、男子が一時期信じられなくなりました。私も想像していなかったから。


・話の途中で、エロも含まれてきます。ご注意を

No.1957645 (スレ作成日時)

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No.101

何事もなかったかのように部屋を出て行ってしまった。私はふうーーと大きなため息をつく。

疲れた。青山くんがいきなり襲ってきた出来事にも驚いたし、お母さんが突然来て息子に怒るシーンも見た。

手にもってた教科書は青山くんので、すぐ近くにあったから咄嗟の判断で切り抜けられたもんだ。教科書を投げ捨て、机にうずくまった。

「もう…なんなん……。はああ。驚きの連続だよ」



「ごめん、いきなり母さんが来て。いつもあんな感じだから」



「いきなり息子の部屋にくるのかあのお母さん?」



「そうなんだよね。困るよ本当に。だから鍵かけてるんだけど、かけてると怒るんだ。いっつも。本当にうるさいよね。」

言葉には怒りがこめられていた。あんなお母さんだったら、誰でも一人になりたくなりますよね一人暮らししたい理由に納得。



「とりあえず、わたし疲れた。色々。青山くんがいきなり変なことしてくるから………って!うわあああ!」



彼は私の腕をひっぱり、どこかに連れて行く。私を思いっきりベッドに叩き付けた。

「な、なにすんの!わたし、恥ずかしいからって何度も言ったよ」



「さっきの続きしたい。ねえ、」



そしてわたしの耳元でこう呟く

「椎名さんもそうでしょ?」

No.102

強引にキスをされ、また力が抜けていった。だめだそれ、理性とかふっとんでしまう。

わたしの足に固いものが触れた。なんだろう、足を動かしてみるとすぐにわかった。



「んな、な、な、興奮してるの……?え、ちょ、」



「してるよそりゃ。椎名さんの反応とか見てたらな。だから、止まらないんだ。」



何度もいうが、わたしは男性経験がまっったくない。だから、高校に入ってから性的な知識をたくさん知ったし、まだ知らないこともある。

だからこそ、いま目の前で性的興奮が起きていることに口をポカンとあけて動けなくなってしまうのだ



「え、そのあの、わたし悪くないよ?!知らない知らない。だから、その許して」



何に許して欲しいのかも解らず、ただこの状況をどうにかしたいと思う。

好きな人に触られると、全部が熱くなる。くっついてるだけでも熱いのに、それ以上の興奮だ。



「触ってみたい?」



思わず吹き出してしまった。本当に理性がどっかいってしまったみたいこの人

「触れませんし、触りません!だから、さあ…」



「続きしたくないの?」



「あ……う、それは……その……。うう」



「していい?ねえ」



「あ、えっと………」



頭では駄目だってことわかっている。けど、それ以上に自分の体は彼を求めている。どうしよう。わかんない。どもっていると、青山くんはそのまま私の服をまくりあげ、色んな所を舐めていった。

くすぐったい。でもなんとなく気もちいい。再び頭が熱くなり、力がぬけて吐息がもれた。

青山くんは定期的に「どう?ねえ」「気もちいい?」とか聞いてくる。わたしには答える余裕がない。

だから顔を隠して何も見ない状態でいた。



「なんで隠すの、見せて下さい」



「い、いやです…。むり。」



彼が私の手を舐めた。びっくりして手の力が緩んだ瞬間、またキスをされた。激しい。私は圧倒されっぱなしで、本当にマグロ状態。キスをする度、青山くんが近くにいて安心してくる。

ずっと好きだった彼が、キスをしてくる。好きな気持ちがドンドン溢れてきて、私は彼の背中に手を伸ばし抱きしめた。



好きだ好きだ好きだ。



わたしもあなたのことが知りたい。少しでも、わたしを愛しいを思ってくれてるのなら私はあなたに捧げていい。

キスをしているだけで、本当の恋人のようだと思った。

恋人になれないなら、青山くんが恋愛をわかってくれるまで待つ。今の青山くんには解らないんだろう。だったら私が、解らせてやる。だから、私を頼ってほしい。求めてほしい。キスするだけでもあなたにこの気持ちがどんどん流れ込んでいきますように。そして、本当の気持ちに向き合ってくれますように。



イチャイチャしてるだけでも、時間が経つのはものすごく早かった。

No.103

再び、扉がノックされた。

<ドンドン!!>



「ちょっとあんた、こっちきて!また鍵しめてーーもお!ちょっと用があるからいらっしゃい」



私は飛び起きて再び部屋の隅に隠れた。青山くんも乱れた髪を直し、嫌々ドアを開ける。

廊下に青山くんは呼び出された。お母さんがため息まじりに

「もう、何時だと思ってるの?7時よ?暗くなっちゃったじゃない。椎名さんを引き止めておくんじゃないわよ。女の子なんだから親も心配してるだろうに…。考えてるの?この時間まで引き止めておくと夜なんだから帰り危ないじゃないの。わかってんの?」



「はいはい、わかってますよ。そんなに心配しなくても大丈夫だって」



「わかってないから言ってるんじゃないのよー。椎名さん、こんな時間だけど、お母さんとかに連絡した?」



急に振られてびっくりした。

「あ、はい!大丈夫です。連絡してます。すいません、長々とお邪魔して、もう帰るんで…」



遠回しに、もう帰れ!とでも言っているんだろうか。またこんなお母さんが来られちゃこっちも心臓が持たない。





「あら、そうなの?悪かったわね。催促してるわけじゃないの。ただ、お母様とかが心配すると、こっちも困るから。連絡してるならいいわ。ごめんなさいね。」

そう言うとお母さんは立ち去っていった。



青山くんは大きなため息をついてこっちを見た。

「また邪魔されたよ…ごめんね。」



「お母さん厳しいのねーw いいんだ、私もそろそろ帰らないといけないし。ね。

青山くんに…色んなことされたから、そろそろ心臓持たないとこだったし」



荷物をまとめ、帰る準備をした。でもなんだか寂しい。さっきまで、あんなにくっついていたのに。急にシラッとした空気になってしまって。もっとくっつきたい。私の体は完全にスイッチが入ってしまってる。

荷物もまとめ終わって、じゃあっと言って立ち去ろうとしたとき



「本当にもう帰る?」



青山くんが切なそうな声で言ってきた。心がずきずきして、痛い。

どうしてそんなこと言うの?帰りたくないよ。もっと一緒にいたいよ。でも、でも。

No.104

「イチャイチャして、わたしなんも出来なかったけど、本当は嬉しかった。でもね、いきなりだとやっぱり、全然準備できてないからさ。青山くんが求めてくれて、わたし嬉しかった。」



「そっか。うん、わかった。

あ、飴いる?よかったらどうぞ」



そういって青山くんは小鉢に入った飴を口に入れた。

わたしは、もらうよといって、手を差し伸べた。

が、



彼は口に入っていた飴を、キスをして私に渡してきたのだ。口移しというやつだ。

「うううーー!!ふうんんんーー??!!」



「…っぷは。ふふ、お土産。今日は楽しかった。ゆいさん」



初めて下の名前で呼ばれた。嬉しくて涙が出そうだ。それより、口に入った飴が甘くて甘くて溶けてしまう。

帰り道、彼が途中まで送ると言ってきたが私は断った。一人で考えたかったからだ。

お母さんにも軽く会釈して、私は夜道を自転車でかけていく。





青山くんが触れたとこが熱い。きゅんきゅんする。唇には彼の触感がまだ残っていた。

夢にまでみた好きな人とのキス。こんな形で成立するなんて思わなかった。

飴が甘い。メロン味だこれ。 



頭の中で彼の言葉が何度も再生された。低い声で囁く甘い言葉。誘惑の言葉。

どれもこれもドキドキしてしまう。どうしようもないくらい悔しい。

そして苦しい。どうして、どうして。



駄目だとわかっていても逆らえなかった。私の体はおかしくなってしまったのかも。

”ゆいさん”

反則だ。今まで椎名さんだったのに。なんで、なんでそんなに嬉しいことばかり言うの。

振り向いてよ。私にこのまま。

私を知って、このまま堕ちてしまえ。何もわからないぐらいに。



一気にイケナイ関係になってしまったと思う。それでも諦めたくなかった。青山くんが振り向いてくれるかもっていう希望を持っていたから、私は諦めなかった。ここまできたら、やれるとこまでいく。

No.105

わたしは予備校でボーッとしていた。教科書にむかって、青山くんを想像する。教科書の文字が、青山くんの言葉のように見えてきた

*ゆいさん
*安心するから…
*本当に帰っちゃうの?

色んな言葉が頭に溢れる。
あーーー集中できないよ!!これじゃやばいって。頭から全く離れない。今度あった時はどうなってしまうんだろう…と想像したらもっとドキドキしてくる。

このまえは青山くんが誘ってくれたし、今度は私が誘う番だよね…?
でも、どうやって誘えばいいのだろうか。

私は青山くんを求めてる。心も体も青山くんでいっぱいだ。でも足りない。
ノートに色々デート案を書き出してみた。

○再び公園でお話する
○カラオケいく
○映画をみる

カラオケだったら2人っきりになれるから…いいかも
って、何考えてんだろう!!!
書いたデート案を消しゴムで消す。
青山くんはどう思ってるんだろう。
また会いたいのかな?


私はあの日以来久しぶりにメールをしてみた

<<やっほー。暑いけどバテバテになってない??
息抜きにまた、遊びませんか?公園いってもいいし、手軽な感じで会えたら嬉しいな!(^_^)

送信っと。
別に私は公園でもいいんだ。ただ、彼と話しているだけでも幸せ感じるから。返信は割と早くきた

<<やっほー。おつかれ。
うん、いいですよ。空いてる日がちょうどあるし。
公園は…そろそろマンネリじゃない?

ま、マンネリ?まじか。まだ二回しかいってないのに。早いだろう。
あんまり気乗りしなかったのかな。私は少しショックをうけた。

<<そっか、じゃあーカラオケとかー。どうですかね?
【青山くん】
<<ごめん、今月あんまりお金ないんだ。○○日は予定ある?
家に誰もいないんだけどさ。家で会わない?
【わたし】
<<え、またお家にいくのはなんだか悪いよ…。それに、また変なことするんでしょ?!
【青山くん】
<<そ、そんなことはないよー(ー ー;)
新しいゲーム買ったんだよ。椎名さんも前やりたいっていってたやつ。だから、それやらない?

わたしはそのゲームがものすごくやりたかったので、テンションが一気に上がった。
青山くんにも会えて、ゲームもできる。一石二鳥だと思い、また彼の家に行くことにしたのだ。

今度はちゃんと心構えを持って、どう対処するかイメージトレーニングをしていた。
イメージトレーニングしても、結局は流されてしまう自分が見える。惚れた弱みなんだろうな…
やっぱ逆らえないんだよ。困ったな。

No.106

青山くんと再びデートする日になった。
今回はあの怖いお母さんがいないから少し安心。青山くんの道のりは覚えていたから、一人で自転車をこいでいった。

チャイムを鳴らすとすぐに青山君がでてきた

「いらっしゃい。まってたよー」

待っててくれたんだ。なんか彼氏みたいだな。なんてことをすぐに考えてしまう。
階段を上がり青山くんの部屋に行こうと思ったが、一階がどうしても気になったので、ちらっとのぞいてみた。
玄関からすぐの扉はリビングになっていて、ステンドグラスで作ったランプやら、アンティーク調の食器棚があった。カタログに載ってそうなお家だなー本当。

再び青山君の部屋に入るわけだが、緊張はあまりしなかった。
きっと何かしてかるかもしれないってことは想定内だし。とりあえず、ゲームしよ!ゲーム

「青山くん、ゲームどこ?早くやりたいよー楽しみにしてきたんだよ」

「それが、その…この前急に花崎に貸してくれって言われて、貸しちゃったんだよね…」

「は?」

花崎あいつ本当に空気よめない。益々嫌いになった。

「ごめんね。どうしても!ていうからさ…」

「あ、あははは。仕方ないねー。お友達の頼み事だしね。まぁ、違うゲームでもいいよ」

「そうだねー。じゃあ、腕相撲しよ」

「な、なんで??」

「腕相撲して勝ったほうが、やりたいこと決めるってのはどう?各々したいことあるだろうし。
あ、椎名さんは両手使ってきていいから」

「んーまぁ、いいけど。」

とりあえずやることもないから、腕相撲をやってみた。
お互いの手を見つめ会い、私の合図でゲームはスタートした。

両手を使って青山くんの腕をねじ伏せようとする。
が、強固な腕はなかなか倒れなかった。むしろ圧倒され、じりじりと迫ってくる

「んな、ばかな!!」
わたしが力いっぱい反対方向へ押し返すも、あけっけなくバタン!と私の腕は崩れ落ちた…

「そもそも、男子と女子じゃ力が違うっつーの!卑怯!」

「負け惜しみですな?いけませんよー。そんなんじゃ。じゃっ!俺の勝ちってことで。従ってもらうよ」

ニコニコとしながら何かを企んでいる。
「じゃあ、俺を襲ってください」


「え??」

「椎名さんこのまえ、散々マグロだったじゃん。俺も女の子に襲われてみたい」

「あれは、そっちが勝手にやってきたじゃん!!私は知らないし…」

「俺が勝ったんだから、言うこと聞いてよ」

「襲うってさ…ど、どうすればいいのさ。わたし、本当にわかんないんだよ??なに、首とか舐めればいいの?」

「うん、そうそう。俺、ベッドで寝てるからやってみて」


ベッドでくつろぐ青山くん。
わたしは複雑な心境。襲ってもいいけど、どうしたら…むしろ夢にまで見た瞬間。
私はふと、アンアンを読んだことを思い出した。そいえばテクニックとか書いてあったなー。
青山くんを気持ち良くさせれば、私に陶酔するかもしれない。なんてことを思いながら青山くんの上に被さった。

No.107

「いざ、参る!」

私の手は震えた。緊張している。無防備に寝っ転がりやがってる彼を、この前散々いじってきたから、仕返しをしてやろうと思った。

とりあえず、頬にキスをしてみた。
ふにっと柔らかい。青山くんに頬にキスをしてしまった…もう、これだけで幸せ。
そのあとはどうしよう。頭を撫でてみた。
毛が柔らかいので、とても触り心地がよい。「よしよし」と言いながら頭を撫でると、恥ずかしそうにしてる青山くんがいて萌えた。

「次は?」

「ま、待ってよ!わたしパニクってるの!ばか!」

「耳舐めてみて?」

そういって、耳をこちらに向けた。
人の耳を舐めるのも初めてだから、なんか抵抗感あったけど、まずは手でなぞってみる。
すると、もじもじと彼は動いた。
これでも気持ちいいのか。
恐る恐る、耳たぶに口を近づけて加えてみる。プニプニにして気持ちい。

「そこじゃなくて、もうちょっと上とか…」

耳たぶはなんともないようだ。
耳の淵をなぞって舐めてみた。すると、効果抜群だったのだ。
反応が面白い。なんだか興奮してきた。
異性を襲うっていうのは、興奮してくるものなんだと理解。

私はスイッチが入ったように、次は首筋を舐め、肩を舐めてみたりと愛撫をしてみた。
声を殺しているのが、なんとも言えない。我慢してるのがかわいい。

好きな人の体舐められるなんて最高だ。私は幸せすぎる。
鎖骨やお腹、胸まで愛撫した。
わたしは舌がもともと長いので、舌先を使って何かをするのが得意だった。
スパゲティをくるくるしたり、ブドウの皮を剥いたりと色々器用な事は昔からできる。

巧みにうごく舌先に青山くんも堕ちていき、声にならぬ声を出している。
もし、お互いの性別が違っていたら、わたしは青山くんを襲っていたわ。男性側に立つってこんなに相手がかわいいって思えるんだなぁ。

No.108

私はスイッチが入ったように、次は首筋を舐め、肩を舐めてみたりと愛撫をしてみた。
声を殺しているのが、なんとも言えない。我慢してるのがかわいい。

好きな人の体舐められるなんて最高だ。私は幸せすぎる。
鎖骨やお腹、胸まで愛撫した。
わたしは舌がもともと長いので、舌先を使って何かをするのが得意だった。
スパゲティをくるくるしたり、ブドウの皮を剥いたりと色々器用な事は昔からできる。

巧みにうごく舌先に青山くんも堕ちていき、声にならぬ声を出している。
もし、お互いの性別が違っていたら、わたしは青山くんを襲っていたわ。男性側に立つってこんなに相手がかわいいって思えるんだなぁ。

「椎名さん…」

「どしたん?」

「下も…」

といって、私の手を引っ張り、股間に手を当ててきた。
わたしはとんでもなくビックリして

「ひえええええぇ!!
無理無理!!そこまで出来ない!無理無理!!」

「ここまできてそれ?ねぇ、少しでいいからさ。ズボンすっごいきつい」

「し、知らないし…」

「ズボンの上からでいいから、触って欲しいなー」

「で、でも、わたし、したことないし、なんか、やばい」

わたしが躊躇っていると、青山くんが勝手に私の手を掴み、ズボンの上に被せた。
膨れ上がっている。これは、漫画や動画と同んなじだ。
そして、熱い。ホッカイロのように、触ってると熱くなってくる。

試しに握ってみると、それは硬かった。膨張してる上に硬いので本当に気持ちよかったんだなと確認。
嬉しい。慣れない愛撫でも気持ちよかったって思ってくれたみたいで。

「はいはい、おしまーーい!
これ以上触ってても、また更なる要求がくるからおしまいです」

「ええーーー。俺ムラムラするよ…」

「私が帰った後にでも抜いてください」

「椎名さんもしてるでしょ?」

「何が?」

「ムラムラしてるでしょ?俺を襲って興奮したよね?途中からすごい気持ち良くなったもん」

二人の位置が変わる。今度は私が下だ。
「今日は楽しい一日になりそうだ」

No.109

前回と同じように私は彼に体を預けてしまった。
キスをすると頭がふわふわとする。
私の気持ちも一緒に流れ込んでほしい。私は精一杯キスをした。
青山が絡みつく。もっと欲しいな。もっと触れたいな。
欲求だらけの私に彼の優しい愛撫が私の胸を締め付ける。

ねぇ、どう思ってるの?
私は幸せだよ。好きな人とイチャイチャできて幸せ。すごく幸せ。
あなたはどうなの?
こんなことするのは、私だからなのかな。期待してもいいのかな。

もっと欲しい。体がどんどん火照ってきた。
「ねえ、触っても…いい?」

そういって私の下半身を撫でる。
正直抵抗はあった。けど、彼が欲しい。もっとしたいという欲求のほうが強くて、私は頷いてしまった。

スカートの中に手をいれ、下着の上から触られる。くすぐったくて、触られるところが熱い。
なんだなモゾモゾする。

「直接触ってもいい??」

「ん、ううーーん…でも、汚いし…こ、怖いよ」

「大丈夫。汚くないよ」

そういって、私の頬にキスをした。
断れないじゃない。そんなことされたら。私は再び頷いた。
青山くんの手が伸びる。初めて男の人に触られる…緊張する。

そして、敏感なところを触れる。
私は変な声がでた。
思わずびっくりして、顔を隠す。
そのまま彼の手は動く。なんだか、気持ちいいかもしれない…?
恥ずかしさと気持ちよさで、心はぐちゃぐちゃだ。
時折、彼はどうかな?って尋ねるけど返答する余裕がなかった。




チクッ!!



「い、痛い!!な、なに??」

「ある程度湿ってるから、指入れられそうだなって。ね」

「え!痛いよ。やだよ。それは嫌だ!」

No.110

「でもいつかは、誰かに貫通させられちゃうんだよ?今のうちに慣れといても、大丈夫じゃない?」

「それは将来的な話であって、今は無理だよ!さっきだって痛かったもん。」

「じゃあゆっくりしてみるね」

そういってまた指を入れてきた。
本当に痛かった。何も知らない体にはきつい。処女にはきつい!
処女卒業したひとは、これ以上のものを入れているのかと思うと尊敬するわ、
本当に痛いから、「痛いからやめて!お願いだから。」

と伝えても、大丈夫だよ。最初だけだといって、そのまま行為を続ける。
「痛い痛い!指いたい!入んない!きっつい!むりむり!!!!」

必死に伝えても、彼は性欲で理性がぶっ飛んでるらしい。私の言葉をむなしく、無理矢理指を入れてきた


「いっ………っつぁ…。い、いだい」

「そんなに?そこまで?」

「…うん、痛いよ。やめて、マジで。」

青山くんは残念そうにすると指を抜いた。その時も再び激痛が走る。
呻いている私に「締まりよさそうで、綺麗だったよ」
といってきたが、正直どーでもいい。痛い痛い。
少し涙が出た。痛いといってるのに、やめてくれない彼への怒りと普通に痛かったていうことに涙がでる。

「ごめん、椎名さん…周りが見えてなかった」

そういって、私を抱きしめる。
落ち着く。好きな人の胸の中は落ち着く。
痛みはあるが、少し和らいだ。ぎゅーっと抱きしめてくれることが、なによりも幸せだから。どうして、こんなことで許してしまうんだろう。
彼だから?彼が特別だからなのかな?

No.111

しばらく抱きしめていてくれた。
幸せだ。飛んでいける。
彼がこっちを見て
「俺、椎名さんともっと一緒にいたいなー」
私は心臓が飛びてるかとおもった。
なんて嬉しい言葉。

「わたしも、わたしも一緒いたい。もっと、たくさん。青山くんと一緒にいたいよ」

「でも、もうすぐ帰るんだよね?」

「う、うん。親が…うるさいから。本当は帰りたくはない…」

「ねぇ、8月の○○日空いてる?」

「え?あーその日は、特になかったけど」

「泊まりこない?」




え?泊り?

「泊まれたら、椎名さんともっと一緒にいれる。それに、もっとイチャイチャできる。親たちは、旅行行っちゃってるから、いないんだ。だから、2人っきりだよ」

「まじて?と、泊まっていいなら泊まりたい。けど…泊まるってこと…は、その…それ以上しちゃうの??」

恥ずかしがりながら、聞いてみる

「我慢できなくて、そうなっちゃうかも……しれないね?否定は出来ないな」

私を見つめる。
好きな人とお泊り。これ以上ない幸せ。至福の時間。彼をもっーーーと独占できる。もっと彼といれる。

私は青山くんに襲われてから、心の底ではこう思っていた
「青山くんに初めてあげてもいい。」と。

大好きな人に初めてをあげたい。彼は当てはまっていた。ただ、恋人の関係ではないだけで。
でも、彼は私を求めてる。だから応えたい

「わたし、青山くんが…あなたが、初めてなら嫌じゃ…ない」

「え??!」

「あなたが初めての相手なら嬉しい。青山くんもしたことないんでしょ?私が初めての人になるんだよね?」

「そうなったら、椎名さんが初めての相手だよ。」

「わたし、SEXしてもいいよ。青山くんなら。青山くんにとっての初めてにもなれるなら」

「嬉しい…。俺なんかでいいの?」

「うん。青山くんだから…」

「止まらないよ?止めても止まらないからな」

「わかってる。だから、お泊りしてもっと近づきたい」

何を言ってるんだろ。と思いつつも、これが私の本心。
彼の初めてももらえる。プレミアムだ。嬉しい嬉しい。

「人を泊まらせるのも久々だなぁ。しかも女の子泊めたことないから緊張するかも」

「わたしも男子の家に泊まったことないから、そのー緊張しちゃうかも」

お互い顔を見合わせてへへっと笑う。これが恋人だったら。
私たちはなんて言うんだろう。友達以上恋人未満ってやつか!?
それでも楽しかった。幸せだった。

No.112

私はのの子に久々に会った。二人で買い物することになったからだ。
特に買いたい物はなかったが、とりあえず私の話がメインということで、ファーストフード店に入り、端っこの席でガールズトークを始めた。

「で、夏休みに入って青山くんとなんだか色々あるようだけど、どーしたのぉー?」

私は公園のことから家に遊びに行ったことまで簡単に説明した。
体に触れられたことものの子には伝えた。
彼女は終始ビックリしていて
「あの青山くんが?!そんな野獣だったけ?!え?!!!」
とすごく驚いていた。

「で、あんたらはイチャイチャするまでな関係になったってわけか…。なんだか凄いことになっちゃったわねぇ」

「うん、私も…予想出来なかった」

「まぁ、ずっーーと好きな相手だった上に、あの一匹狼でなに考えてんだか分からないアイツにねー。襲われるなんてあんま考えたくないわ」

「でさ、こっからが相談なんだけど…あ、青山くんって結局わたしのことどうなんだと思う?わたし分からないの。
もっと一緒にいたいとか、帰り際に寂しそうに帰るの?って言われたこととか、初めてなのに私に沢山迫ってきたこととか…。」

「男性は、女性よりもあんま初めてとかそうゆうの気にしない人は多いみたいだよ。行為が目的っていうか。それをすることによって、欲求解消!みたいな。
だから、初だとかそういうことは、考えないほうがいいよ」

ポテトで私を指しながら語った。

「そうなんだろうか…私は初めてな相手だって聞いた時は飛ぶほど嬉しかった」

「わかるよ。好きな人の初めてだもんね。私がこれから愛してあげるんだっ♥︎って思うとテンション上がるもん。
まぁー今のあんたらはイチャイチャする友達って感じだよね。
お互いのこと信用してるけど、関係の名称が定まってないでフワフワっーてしてる」

「的確すぎてなんも言えないわ
…」

「わたしは昔遊んでたからね結構笑 弓道部に入って半年したら改心したよ。マジで不思議すぎるー」

「え?遊び人だったの?!!」

No.113

「うん。マジ。初体験は中2だからねー。今思うとなんでかなーって感じするけど。
相手は社会人だったから、なんでも買ってくれたんだよね」

そんな過去があったとは知らなかったのでビックリした。中2の時とかわわたしは家でゲームしてたかも…

「でも、わたしは本気じゃなかった。相手もきっと中学生だからってのもあったとおもうなぁ。とりあえず色んな物買ってもらって、それからお家いってエッチするみたいな。

こともあれば、他校のヤンキーのやつと付き合ってみたりー少し気になってた相手と寸前までいったとか。まぁー色々やったよ」

「の、のの子すげえ…。そんな歳からそんなことを」

「今思うと信じらんないんだよ。
青山くんは、少なからずゆいのこと気になってはいるはず。
でも彼には性的欲求と関心が高すぎると思う。
ゆいが好きだってこと知ってるから、その気持ちを逆手にとってる可能性もあるし…」

「そ、そんなことないよ!だって、彼は…彼は…」

「認めないのもわかるよ。けど、男の性的欲求は大きいんだよ?
こっちが疲れてても、もう一回挿れてもいいとかしょっちゅう!
ダメって言うと、本当はしてほしいんだろって勘違いするんだよねバカは。」

のの子は大きなため息をついた。
わたしを見てこう言う

「ゆい、辛くないの?」

心に突き刺さる。
図星だったからだ。彼とイチャイチャしてるときは楽しい。けど関係性のこと考えると、辛くなる。

「辛いけど。辛いけど、ここまできたら引き下がれない。今更戻れない。わたし、それでも青山くんが振り向いてくれるかもっていう期待に信じてんの。
可能性があるなら、それにかけたいの。」

「ゆいがこの先彼と付き合っていくならだけど、気持ちとかはハッキリしとかないとね。
彼がゆいのこと、いいお友達って思ってるみたいだけど、今は違うよ。一人の女として見てる。じゃなきゃ、こんなことにならないはずだよ?この関係性のままでもいいよって言うなら、わたしは止めないし。」

「のの子…」

「でもね、1番辛いのはあんたなんだから。振り回されてるようなもんだよ?話聞いてると、彼のことイライラする。
ハッキリ本心言わないとことか、本当に前からなんだよね!あー!」

彼はなに考えてるの分からない。それに気分屋だ。わたしを襲いたくなったのも気分なのかもと思うと辛い。わたしの気持ちだけ一方通行って切ない。
でも諦めたくなかった。ここまで接近できたのは初めてだから。

「のの子ありがとう。なんだか楽になった!」

「それなら良かったー。もう、それか違う恋に走ってもいいんだよ?
もっともっーーーと遊びなさい椎名さん笑」

「のの子に椎名さんって呼ばれると、キモい」

「はぁ?なにそれー!ひどいなー!!」

たまには友達とこうやって話すのもすごく楽しい。予備校では友達作るつもりないから、一人でいる。ほぼ毎日会話をしない夏休み。青山くんとは話すけど…
のの子に感謝したい気持ちでいっぱいになった。

No.114

でも、のの子に泊まりのことは伝えられなかった。
何故だろう。どこかで罪悪感があったからだと思う。楽しみでいる自分で圧倒されてるけど、私の今までの理性が、「ダメだよ。」って言ってる。

別の日に花代と会うことになった。
だから、花代にも今までのことと、のの子言えなかったお泊りのことを話した。

「えー!まじで??そんなとこまでいっちゃったのぉー?きゃー!」
なんだか嬉しそうな反応をした。

「どうだと思う?わたしたち。」

「話だけ聞いてると、初々しいカップルって感じだよねぇ。
でも、青山くん、ゆいに気があるんでしょ?!シャイだから、言えないのかもしれないし。気づいてないだけじゃないかなー」

「気づいてないかー。自分に対して不器用っぽいからなぁ」

「その不器用なとこを、ゆいがカバーするんだよ。お泊まりで2人の気持ちがもっと近づくといいね。」

「だよね!気持ち近づけるために、お泊まりするんだもん。」

「あとちょっとかもしんないし!まだわかんないよー!」

花代に励まされなんだか照れ臭くなった。でも心の中で引っかかってた糸がほどけたような。
あと少しの気持ちを近づけるためにお泊まりする。そのために必要なお泊まりだから。
と自分に言い聞かせていた。


切なくて、少し苦しいけど…
あと少しかもって思えば大丈夫な気がするの。体がくっつけば、きっと何かが変わる。
私は確信していた。


お泊りの日までに私は、下着を新調し、洋服も新しく購入したり譲ってもらったりと準備をしていた。
初めてのお泊りどうなるのか、すごく楽しみでずっーとワクワクしていた。
青山くんと一日一緒にいられるだけでも嬉しいのに!だから幸せな日にするって期待してる。

No.115

<お泊りの日>

いつもなら自転車で行くのだが、この日は雨だった為、バスで行くことにした。
最寄り駅から出ているバス停で待ち合わせていて、青山くんが来るのを待っていた。

予備校帰りの彼がこっちに向かって小走りでやってきた

「ついにこの日だね笑 やっほー椎名さん。」

いつもより機嫌がいい青山くん。こっちまで嬉しくなる。
「今日はよろしくね。なにもってきていいかわからなくなっちゃったわ」

私の荷物はリュックでパンパンだった。とにかくお泊りをあまりしたことないから焦っていたのだ

「着替えとかあれば後は大丈夫ですよ。じゃ、バス乗ろうか」

彼とバス乗るのもいつぶりだろうか?
高1のときはよく一緒にバス乗ってたけど…久々ですごく新鮮だった。

到着し、コンビニで夜食を買ってから彼の家にいった。
今日は誰もいない。私と彼で二人きり。こんなドキドキするようなことはもう一生ないかもしれない!貴重な体験だ。
私は前日の夜、興奮しすぎて全然寝れていなかったのだ。
だから、一緒に部屋で夕飯食べていたけど、正直眠くて食欲がなかった。

「青山くん…ごめん、食欲あんまなくて、眠いんだ…」

「そうなの?俺まだ時間かかりそうだけど…ベットに横になってていいよ。食べ終わったら声かけるからさ」

「わかったー。ごめんよー。」

そういって、青山くんのベットに入る。彼の匂いがたくさんした。
タオルケットにうずくまると、彼が隣で寝てるみたいでドキドキする。すごく安心するよ…このまま寝れそう。青山くんに包まれながら、私はうとうとと、睡魔に襲われていた

No.116

ドサ!!



私がうとうとしていると、何かが体の上に乗っかってきた

「食べ終わりましたよー椎名さーん」

そういって、上から押さえつける。
突然の出来事にびっくりし、「え!?お、おもい!それに少し寝てたからびっくりしたよ!おもいーーー!どけぇーー」

「いやです」

「重いよー!本当にー!どいてどいて!!」

「逃がしませんよ」

そういって、私がくるまってたタオルケットを剥がしてしまう。
代わりに、彼が私を包む。

「あーーやっと、やっとくっつけたー」

その言葉が頭の上から聞こえて、涙が出そうになった。
私も会えて嬉しい。くっつけて嬉しいよ。嬉しい嬉しい嬉しい。

そのまま目が合い、唇を交わした。
強引な口づけ。淫らに絡まる手と手。
二人の世界とはこういうことなのかな。周りが見えない。青山くんしか見えてない。他のことはどうでもいい。

体をお互い触り、青山くんがリードし始める。
前回緊張していた私は、今回あんまり緊張していないせいか、気持ち良く感じた。色んなところを触られても心地よいと思った。
胸を触られても心地よいと思ったし、嫌な感触はなかった。青山くんに体が慣れてきている。

「青山…くん……」

名前を呼んでみる。
けど、彼は目の前の出来事に夢中で気づいてくれなかった。
少しショックだ。
とてつもなくムラムラしてきて、どうにかなってしまいそうになる。このまま一緒になりたい。私をどこかに連れて行ってほしい。

青山くんはこっちを見て
「椎名さん、お風呂はいる?」

「あ、うん。入る入る、どっちが先に入ろうか?」

「そうじゃなくて、一緒に入るって意味だよ」

「え?」

「一緒に入ろうか」

「ちょ、ちょっとまって!は、裸になるんだよ!?!」

「どうせ、裸見せ合うわけじゃん。恥ずかしいのは最初だけだよ」

「そ、それはそうだけど…」

「じゃ、いこ。」

そういうと、強引に手を引っ張っていった。
私は少し彼を静止させ、着替えを持って彼の後をついて行った。

No.117

お風呂は一階にある。玄関の脇にあって、脱衣場もとても広い。それぐらい広い脱衣場だった。
洗面所の鏡は横に大きくて、自分の姿がまるまると写ってびっくりした。

「ほ、ほんとに、一緒に入るの??」

「俺、一緒に入りたいなー。入ってみたいなーー」

男の子とお風呂なんて、小さい頃以来だよ。彼はさっさと服を脱いでしまう。

「わああああ!!!!ちょ、わたし後ろ向いてるから、先に!先に入って!!」

「わ、わかった。そんな恥ずかしがられると、こっちも動揺するよ」

「普通はするから!ばか!」

先にお風呂場に入って行った青山くん。私は脱衣場に一人残され、とりあえず深呼吸した。
どうせ裸の付き合いになるんだ。今更遅いよね。うん。
相当恥ずかしかったけど、逃れられないと思って、私は服を脱いだ。
手で体を隠しながら、恐る恐るお風呂場にはいる。

彼は既に湯船につかっていた。

「は、はいりまーす…」

適当に体にお湯をかけて、端っこのほうに身を寄せて湯船につかった。
一緒に入るだけでも恥ずかしいのに、密着するとか、ありえない。

「なんで、そんなに離れるの?」

「は?それは、恥ずかしいに決まってるじゃん!!すごい恥ずかしいんだよ?いきなり裸になって!もう、恥ずかしすぎて死にそうだよ…」

彼の顔を見れないでいると、後ろから抱きしめられた。

裸同士で抱き合うと、肌の密着度が更に増して、鼓動が速くなる。
腕の筋肉とか、足のふとももの筋肉とかよく見えて、なんだか高まってくる。

「柔らかいし、すごい白いねー」

後ろから触ってくる手がもどかしい。私も触れたい。触れて見たい。

私は向きを変えて、青山くんと見合う形になった。
下半身は見ないようにした。見れないでいた。

お湯と汗で濡れる姿がとても艶やかで、胸がまた締め付けられる。
その汗も全て舐めてあげたい。何も言わずにお互い、キスをした。優しいフレンチキスから、絡み合うキス。
裸だから、なんか、感覚が直に伝わってくる。そしてくすぐったい。

お湯で気分が更に高まる。頭も熱てってきて、このまま襲われてしまいたい。食べてほしい。性欲がどんどん溢れてきた。

青山くんも同じみたいで、体を触ってくる。そして、下半身からも硬いものが当たってきた。

「こ、興奮…してるの?」

「そりゃあーね…。ねえ、椎名さん、触ってくれないかな」

「え、で、でも…」

「もう、ここまできて恥ずかしすぎてとか言わせないよ?お願い。」

だよね。今更すぎるよね。
頭ではわかってる。でも、どこかでダメだとも思ってる。けど止まらない。

下半身に触れてみた。
なんだか、この前よりもとっても硬いような。裸だから?
目をそらしている。


「一回外でよ?」

そういって、湯船から上がった。
「舐めてくれますか?」

「えええええ?!!??!わ、わたし、したことないよおぉ?!!?!」

知識はあっても、経験がないから不安だった。
「お願い。もう、我慢できない。椎名さん…」

そんな、声で迫られるとドキドキしてしまう。私は高揚した、気分と共に、彼のモノを手にとった。

No.118

初めて間近でみる。男のモノを。
なんというか、不思議な形で、どうしてこんなに大きくなるんだろう。

これは大きいという部類に入るのだろうか?わからない。でも、標準的な大きさなんじゃないかと思う。きっと。

動かし方も分からなくて、適当に上下に動かして見た。
強かったらしく、痛いといわれ、彼からレクチャーを受けながらやってみた。

優しく撫でるように触り、裏の方を指先でツーーーっとなぞる。
先のほうも指でいじってみると、おもしろい反応を見せた。

次は口にいれる作業。
口に入るのも抵抗があった。目を閉じながら入れようとするが、直前で止まってしまう。
なんだか、どうしたらいいかわからない。

とりあえず口にいれてみた。
はむっと。
動かしてもみた。ぎこちない。
なかなか難しい。舌を動かしてと言われて、舌を動かしてみる。
すると、反応がかえってきた。

手探りしながらも、初めてのご奉仕は興味津々。こんな風になってるんだ、こんなに硬いんだとか、ちょっと塩味なんだとか。
漫画だけでの知識も間違っていなかった。
だんだん疲れてくる。普段口なんて動かさないもんだから、すぐに離して深呼吸して、の繰り返し。だんだん辛くなってきた

「椎名さん、がんばって。」

「そう言われても、すごく…疲れるんよ」

私が疲れてくると、彼からの反応もなくなってくる。そうすると、だんだん不安になってきた。
私は必死で口を動かし、彼に気持ち良くなってもらおうとがんばった。

No.119

だんだん、息が荒くなってくる。
そうそう、そんなかんじ。うまいよ椎名さん。といって、頭を撫でてくれる。
それがとても心地よくて…

そして口にあるものもギチギチと更に大きくなってきた。
こんなものをいつまで咥えていなきゃいけないんだ。そろそろ顎が限界。
少し休もうとしたとき、顔を掴まれて「や、やめないで。もう少し…だから」

どうやら、終わりが近づいてるようだった。
なら最後だから、力を出し切ってしまおう。わたしは更に激しく動かしてみる。
彼の息が荒くなる。

「や、やばい、本当…う、離して!」
そういって、私の口からモノを取り出すと同時に胸の辺りにも何かがかかった。

熱い。なんだこれは。どろっとした液体。見たことないもの。粘りけがある謎の液体。
私は理解するまでに時間がかかった。
わかったときは、すごい驚いて叫んでしまった。

「え、え、え?!!!い、いっちゃったの!?!!?!」

「う、うん。すごい気持ちよかった」

私のご奉仕で気持ち良くなってくれたなんて、すごく嬉しい。初めてだったから、自信なかったけど私でも出来るんだとおもった。

このあとは、遂に繋がるのか…私はドキドキした。
もうあとは、彼にリードしてもらい、私はそれに答えよう。ドキドキワクワクし、お互いの体を綺麗にした。

風呂から上がると、青山くんは疲労感がでていて
「あーー。すごい疲れた。さっきのすごい気持ちよかったから、なんか、性欲がなくなっちゃった…」

「え?!な、ま、まじて?!」

「すごい、さっきまであんなに興奮してたのに、今はなんともないや…うぅーなんか安心したら眠くなってきたわ。ねよー?」

「ま、まってよ。え、じゃあ、今日は…そのぉ…」

「明日もあるから。ね?楽しみはとっておこう」

そ、そんなぁ…内心すっごく残念だった。何故なら、私はムラムラしてるからだ。これからだというのに、あっちが満足して終わってしまった。一日目がもったいない。
私は体を触られたが、もっと触ってほしかった。けど、あっちはその気じゃない。

そんな…勝手すぎるよ。
落胆してる様子にも気づかず、ベッドに入る青山くん。
「椎名さん、おいで」

そういって、ベッドに呼んだ。
ベッドから、またイチャイチャが始まるのかな?
私は飛び込んだ。

彼は腕枕をしてくれて、額にキスをした。

「じゃあ、おやすみ椎名さん」

そういって電気を消す。
え、これで終わり??

その後も何もしてこないで、彼の寝息が聞こえてきた。
私はモヤモヤしたまま隣にいる。どうして、どうして触れてくれないの。
隣に寝てるのに。どうして。

お風呂でイチャイチャしなきゃよかったかな。モヤモヤとムラムラが混じり合って、気持ち悪くなってくる。いくらなんでも、勝手すぎるよ青山くん。
気分屋なのは知ってるけど、あんまりだよぉ
でも、明日もあるわけだし…
明日にかけよう。まだ終わったわけじゃない。
私は寝ている彼の胸にうずくまり小さく呟いた

「大好き、青山くん」

No.120


朝になった。私はどのくらい寝れたんだろう。しばらく寝れないでずっと起きていた。隣に好きな人がいるから、安心して寝る事ができない。寝れても二時間程度だろう。そのあとずっっと起きていた。
朝6時。彼は爆睡している。自分の家だからこんなに安心してねてるのかな。私だけ寝れてないとか馬鹿みたい。

彼が起きるまで、わたしは漫画を読んでまっていた。
ときどき彼を見る。ぐっすり寝ている姿を独り占めしている自分に優越感。
独占している。この瞬間がたまらない。そっと頬にキスをした。
彼は起きない。彼は知らない。私がどんだけ、あなたのことが好きか。
もう一度キスをしようとしたとき、彼は目覚めた

「………ううん。しいな……さん?」

「青山くん、お、おはよ!すごい寝てたね」

「うう……うん。寝てた……」

私の腕を引っ張り、布団に連れ込む
「ううん………もう少し寝たい……いい抱き枕」

私を抱き枕にし、体を密着してくる。鼓動が早くなる。
このまま、わたしを食べてしまって。
昨日は私が満足しないまま終わってしまったから、欲求が今日は強いのだ。
寝ている彼に、首筋を舐める。
寝ぼけてなにをいってるかわからない。そこがまた愛おしい。

彼に抱かれ、私も再び睡魔が襲ってきた。二人で一緒にもう一度寝た。




気づくと、9時だった。青山くんが先に起きていて、コンビニのパンを机に出してくれた。

「ごめん、寝ちゃった」

「おはよう。いい抱き枕だったよ」
まだシャキッとしない顔で微笑む。その姿が新鮮で、ドキッとした。
軽い朝ご飯を食べて、着替え、のんびりとしていた。

青山くんに迫ってみたり、くっついてみたり。恋人のように寄り添う。
青山くんも私に触れて、キスをしてくれる。
ベッドにいくと私を押し倒し、覆い被さってきた。

「ああーーこの体勢で入れたらどうなるんだろう。気ちいいかな?」

「わ、わかんない。やってみないと」

「繋がろう、椎名さん。ね」

甘い言葉で囁いてきた。彼の腰がモゾモゾと動いていて、すごくもどかしい。
わたしはうなずくと、彼が襲ってきた。

やっとだ。このまま私に溺れてしまえ。私の快感を刻み付けたい、彼と繋がりたい。
このまま愛しあって幸せになりたい。
触れるところが熱くなる。高揚する。いつもより強引で激しいキスに興奮する。
もっと、もっと。足りない。

あなたが足りない。














<トルルルルルルルル トルルルルルルルル>


携帯が鳴る。彼の携帯だった。

No.121

青山くんはその音を聞くと、急に青ざめて急いで電話に出た。

「…っもしもし。……うん、ん。え??な、なんで?」

彼の声が困惑に変わる。嫌な予感がした

「急だよ……。っ、わかってるって。家のことやってあるから。わかりましたから。はいはい、はーーい。」

顔が暗くなった。どうしたんだろう。急に冷たい雰囲気になって、なんと声をかけていいかわかんない
「椎名さん、」

「あ、どうしたの?電話……」

「親が、帰ってくる」

「え?」

「親たちが予定よりも早く帰宅してくるそうだ。今、最寄り駅の手前で買い物してるんだって。あと少ししたら、ここに帰ってくる」



頭が動かない。なんで、あと少しだったのに、どうして。なんで、ひどいよ。
青山くんと近づけるチャンスだったのに

「じゃあ、帰らないといけない…のか」

「ん、ごめん、とりあえず準備して家から出ましょう」

急によそよそしい態度をとった。まだ一緒にいたいのに。まだやりたいことたくさんあるのに。どうして
渋々帰る準備をし、外に出た。
彼は何故か自転車に乗っている。

「これから、どうしようか…。まだお昼前だしさ、ご飯とかいく??」

「急にあんなこと言われてお互い興が冷めたと思うんだ。今日は帰ったほうがいいよ…」
下を見て話す。さっきまで目があっていたのに、なんで?

「で、でも。まだ早いし。ご飯ぐらいなら一緒に食べてもいいんじゃないかなって…」

彼は深いため息をつく。明らかに機嫌が悪い。そして、こう言い放つ





「椎名さんの貞操は守られた。それでよかったんじゃないの?大事にしないとね…。
この現場を親に見られてもまずいから、俺は予備校いってくるわ」






私は固まった。いきなりの予備校発言に戸惑う。
どうして、どうして切り替えられるの。さっきまで甘えていたじゃない。自分の都合がわるくなったから機嫌をそこねたの?そんな、悲しいよ。まだ一緒にいたいのに。どうしようもない感情に体が溢れていく。
「わ、わたし、青山くんと……もうすこし…一緒にいたかったよ」
私は彼の胸によりかかろうとした。
すると、彼は避けたのだ。後ろに身を引いて自転車を構える

「いきなりで予定変わってごめん。椎名さんの体は傷つかないで終わったんだ。
じゃあ、またね…」



遠くなる。青山くんが、遠くなる。もう、こんなチャンスないのに。なんで、どうして
貞操がなによ、わたしはあなたにあげるって、決めていたのに。どうして。
なんで急に冷たくなるの?傷つかないですんだ?もう私は何度も傷ついてる。遅いよ

一番傷つくのはあなたのその態度だよ。
遠くなる自転車を見つめることしかできない。イタイ。ちくちくする。
胸の奥がどうしようもなくイタイ。


「ねえ、どうして離れるの?」

No.122

冷たい背中は私を予想以上のダメージを与えた。
やっとここまできたのに。突然人が変わったように冷たくなった。気分屋もいいとこだ。

きっと、彼に会わない方がいいのかもしれない。可能性なんて小さいもだった。保証もないわけだし。
それでも諦めたくない感情が勝っていたから。わたしは特別の存在になりたいだけなのに。
私を求めるならあげるのに。けど、再び遠のいてしまった。すぐそこにあったのに、彼はいとも簡単に突き放す。

前からそうだ。部活の男子とすごく仲良しかと思えば急に冷たくなって。喧嘩したのかと相手に聞くと、「いや、全然わかんない。こっちが知りたいんだけどw」と困惑していた。
自分の気分次第で、態度が変わってしまう。それは残酷で、時に都合が良いから嬉しくて。
夏休みも終わりに近づいた。

青山くんとはあんなことがあったけど、もう一度会えないかと思っている。でも、最後に言われた言葉がグサリときた

「貞操は守られた。それでいいんじゃない?」


他人事のような言い方。自分は関わりたくないかのような言い方。
私の身体は守られたから、それでよかった?わからない。
身体を求めたかと思えば、他人のように振る舞う。もっと一緒にいたいと思って近づいたら、離れられる。
ここまで好きな人に接近できたことなんて今までなかったから、私はどうしても頑張りたかった。
もう一度彼に会いたい。夏休みの最後ぐらい、もう一度。


そんなことを考えてたら彼からメールがきた

【今日ひま?】

びっくりした。予備校も休みだったから、私は暇だよと返した

【これからよかったら遊ばない?】

思いもよらないことだった。彼から誘われるなんて、こんな嬉しいことはない。

No.123


【いいよ!どうする?】
何して遊ぼうか。私は最後ぐらい、普通に遊びたかった。
カラオケとかどうかなー?とおもい、彼に聴いてみる
<<私
【カラオケどうかな?まだいってないし!】
<<青山くん
【いいけどー。とりあえず、うちに来れる?】
<<私
【え、なんで??】
<<青山くん
【少しだけなら、家にいれるから、少しこない?それからカラオケ行こうよ】

また家…嫌ではなかったけど。なんというか。抵抗があった。
<<私
【少しだけって、よくわかんない。一時間ぐらいってことかな?そのあと、ちゃんとカラオケいってよね】

そのメールを返したあと、私は汗だくだったからシャワーを浴びることにした。
シャワーを浴びていたら、私の携帯が何度もなり始める。
母が風呂場まで携帯を持ってきてくれた。
画面を開くと、青山くからの着信。
一度風呂から出て通話に応じる

「もしもし、どーしたの?」

「椎名さん、早くきて~」

「え?なんで。ちょっと待ってよ。わたし、いまシャワー浴びていて…」

「親が買い物出ていていつ帰宅するかわかんないんだよ。だから、早くきて?シャワーなんて、うちでも浴びられるよ」

「いや、本当に汗だくだったから。わざわざ借りるの嫌だし。もう少しまってて!」

「はやくねー」

電話の彼は少し声が荒かった。息が荒かった。
発情?してるのか、それとも運動してるのか。そんな息切れだった。とりあえずさっさと着替えて支度している最中も電話がなる

「なに?もう少しまっててよ」

「はやく、はやく会いたいよゆいさん」

下の名前で呼ぶとか反則…思わずドキッとしてしまう。
そこまで早く会いたいの?急すぎてよくわからない。でも会いたいことに変わりない。
私は急いで自転車に乗り、彼の家まで走り出した。

No.124

家の前に着く。携帯を見ると着信がまた入っていた。
とりあえず、電話してみる

「もしもし。青山くん?着いたんだけど」

目の前の扉が開き、タンクトップ姿の彼が出てきた。
玄関に上がり、靴を揃えてると腕をつかまれた

「ねえ、ここまで来るのに汗だくになったでしょ?風呂はいらない?」

「いや、二回も入りたくないし。大丈夫だよ。とりあえず、部屋で休もう?」

といって、上に上がろうとした私を思いっきり引っ張った。そしてそのまま脱衣所に入る。
頭が混乱した。

「な、なにすんの?わたしお風呂は入らないよ?入るならここで待ってるから独りではいってよ」

「一緒がいい。一緒じゃなきゃ嫌だ」

そういって私の服を脱がし始めた。え、ちょっと待って、わたしお風呂に入るとか準備できてない
「青山くん、やめてよ。ねえ、わたし入りたくない!家で入ってきたから十分なの」

ふと鏡をみると、自分が写った。背後から青山くんに襲われてる自分の姿。
鏡で見て、とても恥ずかしくなる。余計に嫌になってきた

「やめてよ、イチャイチャしたいなら、青山くんの部屋でもいいじゃん。ねえ、」

「いますぐがいい。椎名さんと一緒に入りたい」

脱がされていく。抵抗してるけど、敵わない。そのまま風呂場に連れていかれた。
さっさと上がろうと思いドアの前にいくが、彼が塞いでいる

「なんでこんなことするの?」
わたしは彼を睨みつけた。さすがにイライラした。

「椎名さんに舐めてほしい。お願い」

「いやだよ、そんな…」

目の前に差し出される。なんでこんなこと一方的にされなきゃならないの。

「いやだ…いや……こんなの……青山くんじゃないよお。やだ……」

頬から涙が流れる。彼はそれに気づいたのか、静止した
「ねえ、青山くんにとっての私って何?どうゆう存在なの?私はあんたのこと好きだけど、わかんないよ。望まれたり、られなかったり。好きなのに、好きなのに辛い……」

涙が止まらない。今までの気持ちがあふれてくる。
「ねえ、わたしはなんなの?あなたにとっての私って…。わかんないよ。言葉にしなきゃわかんないよ」

彼は静かに抱きしめた。いつもより10倍ぐらい優しく

「俺にとって椎名さんは、大事で大切な人だ。大切だから…求める」


そっと抱きしめられる。ぬくもりが愛おしい。
彼が愛おしい。初めて大切だって言われた。それが嬉しかった。

No.125

大切だと言われる事がどんなに嬉しいか。私は彼のことを昔から一方的に大切だと思ってきた。本当に好きだから。けど、彼はそんなこと言ってくれない、恋人じゃないから。わかってる
でも、確かな証拠が欲しくて頑張っているんだ。そしてさっき、大切だと言われた。

好きと捉えていいのかな?勘違いじゃないよね?
彼に抱きしめられ、私も抱きしめ返す。思いっきり。
目と目が合う。彼が耳元で囁いた
「触ってください」

なんのためらいもなく、私はそれに触れる。大切な、大好きな青山くん。
気持ちよくなってほしい。ただそれだけの気持ちで奉仕した。




カラオケに着く。彼とは初めてのカラオケ。
お風呂で彼を奉仕してから、私は少し体を揉まれたぐらいで終わった。また自分だけムラムラした気持ちだけが残る。カラオケに着いて、彼は機嫌良さそうに笑顔で曲を選んでいた。
「ねえ、、、」

「ん?どうしたの」

私は彼の胸に飛び込む。頭をこすりつける。
「あ、甘えてみたかっただけ」
そう言って抱きしめた。このまま襲ってほしい。私をめちゃくちゃに襲ってほしい。

「はいはい、俺先に歌うね」

マイクを取って、歌い始める。私の本当の気持ちは伝わらない。それでも甘え続ける。
けれど、頭をぽんぽんされるだけで終わった。



夏休み最後に青山くんに会ったのはこの日で最後だった。
青山くんにしてほしかったこと、なりたかった形は不透明になってしまったけど新学期始まったら、授業で会えるかもしれない。それに、文化祭もあるんだ。文化祭で一緒に回れたらいいな…なんて妄想もしてみた。
夏の間で私たちは特別な関係になったわけだから、学校でも何かしらアクションがあってもいいよね?
新学期に何かしらの期待を胸に、私は残りの夏休みを予備校で過ごした。

No.126

新学期。文化祭の出し物の調整が始まる。
私のクラスは今年お化け屋敷だった。青山くんは演劇。
なんと、青山くんは準主役だそうだ。これは見に行かなきゃと思った。

学校で青山くんとすれ違う。彼の隣に花崎がいた。何か声をかけられるかなって期待したけど、
そのまま横を通り過ぎる。会釈もなし。言葉もなし。
普通の青山くんだ。夏であんなに変なことになったのに、かれは涼しい顔をしてる。それが悔しかった。
私だけ、なんだか期待してて悔しかった。



学校全体が文化祭準備モードになってきた時、私もクラスの装飾や役柄を確認していた。私は死んだ女子高生役をいう、驚かす側だ。他の驚かし役の人とも打ち合わせをして、それなりに楽しく準備が出来たことを覚えている。
そんな中、花代からこんな話を聞いた

「ねえ、青山くんさ、すごいチャラくなったよね」

「え??」

「あんまり見ない?なんか夏休み開けて、文化祭準備になったらさ、髪の毛とか前より盛ってるし服装も乱れ始めてる感じでさ。しかも準主役なわけじゃん?それでクラスの人からも今ちやほやされてるっぽい」

嫉妬した。どうしてクラスで楽しそうにしてるの。私といる時も楽しそうにしてたのに…。それが悔しい。悔しいよ。青山くんの話題は3年弓道部メンバーでも話題になっており、他の女子も「どーしたのあいつ?」「なんか、恐いよね」と評判が下がっていた。
「わたし、この前彼におはよーって声かけたら無視されたの!無視!元部活メンバーなのに。なにあれ!」と激怒してる女子もいる。

そして男子からもだ。私がたまたま違うクラスを独りで視察していた時に、サトウに声をかけられた
「よ!椎名ちゃん!久しぶりだね」

「あ、サトウじゃん。おひさだねー。どうよクラス?」

「まあまあかなー。俺らも演劇だからさ。役とかひどいひどい!
あ、そうそう‥青山くんのとこも演劇だよな」

「そうだね。彼は準主役みたいだよね」

「どんな役か知ってるか?チンピラのリーダーだってさw」

「え!?!そんな役なの??」

「あいつのクラスの話がヤンキーvsヤンキーで、その抗争止めるって話らしい。んで、そのヤンキーのリーダーの一人が青山くん。もうひとりが花崎なんだよ。だから花崎vs青山ってかんじになるね」

花崎…またあいつは余計なことをしたんだろう。きっと役がいないから俺たちが一緒にやろうぜ!とか強引に誘ったとしか思えない。

「その役作りだかなんだかしらんけど、最近チャラいって部活仲間で話題になってるわけだ…」

そこにスマブラが上手いA君も割り込んできた
「そうそう!あいつどうしたの?!夏休みでなんかあった!?てぐらいさ、チャラいよなーー。やっぱ嫌いだよあいつ」

「ちょ、A!!大きい声で言うなってーの!」

「わ、わりい;椎名さん、青山と仲良かったけ?気悪くしたらごめんな」

「あ、いやあ、事実だしね。私も今の青山くんはなんだか‥嫌だなって思うよ」
男子からも女子からも悪い意見しか聞かない。昔から少し変わってはいたけど、あんなにチャラい感じになるとは思わなかった。

No.127

具体的に彼は、髪を逆立てている・ワイシャツはみでてる・シルバーチェーンがじゃらんじゃらん・眉毛を整えて恐い印象という感じだ。
青山くんのクラスの近くにいく。演劇のメンバーで盛り上がってるようだ。
見ると、彼は花崎のメンバーと舞台装飾の女子と談話をしてる。楽しそうに。

きどった笑いに怒りを覚える。どうして他の人にも笑うの?
自分が一番でありたい、それだけなの。だから、だから体も許したのに。
学校が始まって、まるで今までの事なかったかのように音沙汰ない。あまりにも悲しかった。そして苦しかった。憎しみさえもわいてきた。

文化祭準備も大詰め。わたしのクラスもかなり良い雰囲気で仕上がってきた。
衣装合わせもして、わたしはセーラーを着て髪の毛はワックスでぼさぼさ。伊達めがねをして真面目なJKに見える。
しかし、顔はファンデで白くなって唇からは血が出ている。顔にも血しぶきが飛んでいるから、かなり上手くできたと思った。ニコっと笑うと仲間からは「椎名さん、不気味だからやめてwww」
と言われた。ちょっと嬉しかった。

高校で最後の文化祭なわけだし、楽しく過ごしたい。だから、今年はいつもより頑張っていた。
視察をしにくる他のクラスも、わたしのクラスを見て「うええ!こわ!」とか良い反応をくれた。
その中に、花崎と青山くんメンバーが向こうから歩いてきた。

花崎が「うおおお!お化け屋敷じゃん。楽しみだなあ。おい、委員長すげえな!」
といってわたしのクラス委員長に絡みに行く。他のメンバーも知り合いに話しかけてる中、青山くんは独りになった。私のお化け姿を見て、一瞬目を見開いたが、「もしかして、椎名さん」

「うん!そうだよ、よくわかったね!わたし死んだ女子高生役なのー。青山くんも、それは衣装?」

「そうそう。不良だから、ごくせんみたいな格好してるけど笑」

髪の毛も編み込んでいて、お洒落だったし新鮮だったからかっこ良かった。
「髪の毛いいね。自分でやったの?」

「いや、クラスの化粧とかうまい人がやってくれて…。新鮮だよね」

「ふーーん。」

他の女が触ったんだ。心が痛い。嫉妬が渦巻く。いますぐ、その髪をほどきたい。
なんで平気な顔して歩いてくるんだ。理不尽な感情ばかりこみ上げてきた。

「劇みにいくね」
にこっと笑って青山くんに言った。

「う、うん。ありがとう。頑張るよ。すごい気合いいれてるから」

一瞬引きつった。笑顔が恐かったんだろうな。そして花崎が戻ってくると、「じゃ」といって行ってしまった。
私は、何を思ったのか彼の袖を引っ張る。

「っ!な、なに?」

「あのさ……。なんというか…。いや、もどかしいわ。ごめん」
袖を離す。彼はなんともいえない困った顔をして、何も言わず花崎と行ってしまった。


本当は、一緒に回りたいとか遊びたいとかそうゆう話したかった。でも、いつだって貴方は冷たい。時々優しい姿をみせると思えば、そうでなかったり。なんでかな。一緒に文化祭回りたいっていうのは本心なのに。言えないな。体を見せあってしまったから、なんか別の壁が出来てしまってね。恋人になりたいのに、なれない距離が言葉を煮積ませる。

No.128

<文化祭当日>

わたしのクラスのおばけ屋敷は大盛況だった。脅かすのもはじめてだから、ワクワクしたしどうやって脅かそうか考えた。

私は曲がり角で立っている。
そこにお客さんがきて、大体の人はヒィ!という悲鳴をあげ、恐る恐る通ろうとする。通り過ぎたあとに、後ろから
「私の大事なもの返してええァ!」と叫んで走ってくる。
という感じの脅し方。

叫ぶセリフは気分によっても変えてる。だから楽しい。
友達も来てくれて、脅かしてやったら、泣いてしまった。
「ごめんごめん、私だよ。椎名だよ!」というと
「もー!ばかぁ!!うぅ」と言って、叩かれまくった。
そんなこともあり、なかなか楽しい文化祭になるんだろうなと思った。



廊下で人の塊が一斉にあるクラスに入っていった。
青山くんのクラスだ。どうやら、彼の演劇はすごい人気で、話も演劇部の人が脚本書いたから本格派らしい。面白かったという声を沢山聞いた。

私も休憩時間に、友達と青山くんのクラスに入って見に行った。
不良姿の青山くんが登場する。セリフ、動きもしっかりしていて、棒読みじゃなくて感情がこもった言い方だ。
花崎と二人での戦闘シーンはあつかった。それに、かっこよかった。
観客からは、歓声もあがったし、中にはかっこいー!と話してる女子もいた。部活の後輩も見に来ていて、きゃー!とヒソヒソ話している。

劇が終わり、たくさんの拍手が起きた。終了後、青山くんに声をかけようと彼に近づこうとする。
すると、後輩たちが群がっていた。

先輩すごかったです!楽しかったです。演技うまいですね!!かっこよかったです!!先輩!

そんなことを言われて、まんざらでもない反応。準主人公…というかほぼ主人公だった。花崎と青山くんの二代主人公。だから、彼はかなり目立った。目立って欲しくなかった。

一年生の先輩好きでちーちゃんという子がいるんだが、(前にもチラッと出てきた)
その子が、キラキラした目で彼を見て恥ずかしがりながら、すごかったですと伝えていた。
なんか、嫌な気分だった。自分が目立っているから、嬉しいんだね。後輩からもかっこいーて言われて。

No.129

少し落ち着いてから、私は彼に声をかけた

「お、おつかれさま」

「あ、見に来てくれたの?!ありがとう。」

「すごい良かったよ!演技すごいうまかったし!このーー!」

「照れるな。結構練習したからね。わざわざ見てくれてありがとう」

「ねね、記念に写真一緒に撮っていい?」

「え?俺と?恥ずかしいな…」

「衣装同士で撮るのなんて滅多にないから。ね?」

そういって、友人に携帯を渡す。

「じゃーいくよーゆい!はーいもう少し近づいて?はいーチーズ!!」



写真を取れただけでも嬉しかった。幸せだった。
「あ、ごめん、次の公演始まる前に急いでご飯食べないといけないんだ。ありがとう」

「忙しいんだね」

「うん、ゆっくり見てる時間もないよ。じゃあ、また。おーーいまてよ花崎!!」

いつもより上機嫌だったな。
あんなにみんなに見られて。目立って。黄色い歓声うけて。
どうしてかな。こっちだけ見てて欲しい。私にだけ見せた特別な笑顔を振りまかないでよ。
苦しい。苦しいよ。

二回目の休憩のとき、私は渡り廊下で後輩のちーちゃんと青山くんが楽しそうに会話しているところを見た。

笑っている。



なんで、私じゃないんだ?
そのビッチから離れて。先輩好きのぶりっ子なんだよ?
袖に手を入れて萌え袖ぶってるちーちゃんが、クソムカついた。
青山くんもなんで、なんでそうやって楽しそうにしてるの?
なんだか、避けられてるみたいで。悲しい。
私を見ても、目を逸らす。挨拶もない。夏休みはなんだったのかな?


文化祭二日目は人で賑わった。
クラスにもたくさんの人が溢れる。私のクラスも並んで待っててくれる人がたくさんいて、嬉しかった。

けど、悔しかったのが青山くんのクラスの演劇がすごい人気だったんだよ。口コミで生徒の間で広がってて。1日目見なかった人たちがたくさん見に来ていた。
だから、たくさんの人に青山くんが見られる。触れてしまう。

なんだか、イライラした。どうしようもなく。ちやほやされて生きてる彼を目の前で見たくない。ただそれだけ。
彼のクラスの周りには昨日来た後輩たちが、また見に来ていた。
もう、最悪だった。好きな人が、こんなに目立ってしまうなんて。なにもアクションがないなんて。恋愛一つで、文化祭なんてつまらなくなる。

自分に課された業務はきちっとこなしたが、心はモヤモヤ。
そんなモヤモヤが、私のおばけ役にも反映されて、昨日よりも怖くなったそうだ。

「椎名さん、今日めっちゃお化けっぽくない?いいね!」

とクラスメイトから褒められる。
嬉しかったけど、全部青山くんが原因なんだ。たまたまお化け屋敷だったから、良かったけど。接客だったら最悪だよね。

No.130

自分はこんなに独占欲強かったけ?なんだか怖くなってきた。


そして文化祭も閉会式。
優秀賞が毎年選ばれるのだが、今年は青山くんのクラスが選ばれた。
クラスで盛り上がる青山くん。
いつもみない彼。


優秀賞か。


私はトイレにこもって、頭を抱えた。どうしようもない感情が溢れて、涙が出てくる。止まらない。
私は、彼が目立って欲しくなかった。誰かが青山くんカッコいいって思われるのが嫌だった。
自分が知ってることを、他の人も知ってしまう…そんな現実が嫌だった。
主役で大活躍し、クラスからもちやほやされてる。人が変わったかのように、気さくにクラスメイトに話しかける。ドンドン変わっていく。昔の彼は消えてしまう。

目立ってほしくない。そのままでいてほしい。それから、私のこともっと見て欲しい。ただ、それだけの感情が溢れてくる。どうにもならないってことも、分かっているのに。

「上手くいかないな…」

文化祭は楽しかった。けど、彼がいることで私は苦しめられた。
近くにいるから苦しい。いっそ嫌いになりたいのに。
それでも好きな私がいる。



文化祭終わってからも、学年全体の興奮は冷めなかった。文化祭で一体感となったクラスは頭がお花畑状態で、一時的な仲間意識でテンション上がってるような感じだ。

青山くんも、文化祭から服装が乱れている。劇の延長戦なのか?もう、そんなだらしない格好しなくていいんじゃないか。
頭もワックスでツンツンだし、それも過去最高にツンツン。
私はあなたのさらっとした髪の毛が好きなんだよ。

このままだと、何もないんじゃないか?私は諦めきれない。
せめて、彼と、彼と繋がりたい。
ここまできたら、彼と一緒になりたい。
体だけでもいい。繋がっていたい。私のこと大切だって言ってくれたの嬉しかった。
けど、あなただけ満足して、私は全然足りてない。

No.131

文化祭終わってから、私の思考は青山くんと繋がりたい…エッチすれば何か変わるかもしれない。って発想になった。
私自身、青山くんがクラスでもいい感じに目立ち始め、人気もでてきた状況に苛立った。嫉妬ばかりして疲れた。それに、彼が本当はどうしたいのか分からない。
私は青山くんのこと好きだけど、もうこれ以上好きでいると、辛すぎる。

だから、体を一度でもいいから繋がって、思い出にしたかった。
初めてこんなに好きになったから。だから、初めてを彼にあげたいと思ったし、エッチしたいって思った。
それで、忘れよう。もう、こんな関係辛いから。忘れた方がいい。

せめてもの思い出だけ、私は欲しい。色んなことがあってから、やっと出た結論だ。
きっと、友人にいったら反対されるだろう。オカシイとも思うよ。
けどね、それでも欲には勝てない。ただ、彼が欲しい。


私は久々に、彼に連絡をした。

『久しぶり!文化祭お疲れ様。
また、青山くんと遊べるかな?』

<<青山くん
『久しぶり。お疲れ様椎名さん。
別にいいけどー。どこで遊ぶの?』

『2人でゆっくりできる所で遊びたいな』

<<青山くん
『家ってこと?』

『家とかね。空いてたりする?』

<<青山くん
『空いてる日はあるけど、時間少ししかいれないよ?それでもいいならおいでよ』

『うん、少しでもいいよ。嬉しい!じゃあ青山くん家にいくね』


こうして、私は青山くんの家に行くことになった。
土曜の午前中。家族はいない。買い物にいってるらしい。爺さん婆さんは、介護施設?だそうだ。お爺さんが少し具合悪いみたい
皆午後2時ごろには帰宅してくるから、それまでは一緒にいれる。

それで十分だった。
これで、やっとまた遊べる。
一つになれば、何か変わるかも。変わったらいいな。
これで、諦められるよね?



そんな淡い期待を胸に抱いて。


私はバカだと思う。

No.132

久々に彼の家。
いつもより、少しおしゃれをして、下着も新調して、気合十分だった。

呼び鈴を押すと、ドアが開いて彼が待っていた。
今日はワイシャツにジーパン。シンプルだけど、かっこいい。

彼の部屋に着くと、お茶を出してくれた。一息着いてから話を始める

「青山くん、最近変わったよね」

「ん、なにが?」

「んーー。雰囲気?格好とか。髪型とか。前より、オシャレになったよね」
本質に触れないで、聞いてみた

「あー。なんか、気に入ったというか。文化祭の劇の影響大きかったのかな。そんな大きい変化でもないよ」

「そうかなー。髪の毛とか、前より派手じゃない?」

「ワックス使うと結構、髪の毛たちやすいんだよね。花崎たちに勧められて使ってから、結構アドバイスとかもうけたんだわ」

「ふーん。花崎くんと仲良しだね」

花崎がいなければ、青山くんは今まで通りだったのかもしれない。整った制服着た青山くんだったのかもしれない。そんな嫉妬が私を襲う。

「そーいえば、なんで急に遊ぼうなんて言ったの?」

そういって、彼は私の隣に来る。
「いやー夏休み開けてから、全然連絡しなくなったし、交流なくなったからー。たまには、どうかなって」

「なんで、2人でゆっくりできる所がよかったの?」

「え?えっと、それは…あ、青山くんとゆっくりお話したかったんだよ」
と笑顔を交えて誤魔化した。

「ふーん。まぁ、いいや」

そういって、私の膝に寝転ぶ。
久々の彼の体温。ちかい距離にいる。
今だけ独占しているんだ。それが嬉しい。たまらなく嬉しい。文化祭の時、色んな人に見られて、遠くにいってしまったように感じたから。だからこうしてることが嬉しいのだ。

頭を撫でる。髪の毛がワックスで硬い。それが切ない

「青山くんは、甘えるの好きだねー」
そういって、撫でる。


むくっと、彼が起き上がると
「それだけ?」

「え?なにが?」

「今日遊びに来たのって、俺とイチャイチャしたかったんじゃないんですか?」

「あ、えっと。う…まぁ、それも否定はできないけど」

「ふふ。やっぱそうなんじゃん。
俺も椎名さんにくっつきたかったよ」

そういって、私を抱きしめた。
ああ、この温もりが欲しかったんだよ。彼の匂いが広がる。
寂しかった気持ちが埋まって行く。嫉妬も消えていく。
青山くんも同じ気持ちだったんだ。すごい嬉しい。

No.133

キスを交わす。濃厚なキスが口一杯に広がった。必死に絡みにいく。欲しかった。あなたとくっつきたかった。

あなたと繋がりたかった。
ただそれだけ。もう、好きになるのは疲れたから。せめて、あなたと繋がっていた思い出を下さい。
そんなこと言えないけど、私はそう思いながらキスをした。

服を脱がされ、ベッドに押し倒される。
彼は余裕がないのか、吐息が荒い。愛撫も短い。

「椎名さん、いいの?いれていいの?」

余裕のない表情で見つめる。わたしは黙って頷いた

「入れてください。」
そう言うと、彼はズボンを脱ぎ、ブツを出し、ゴムをつける。

「うーん、どうなってんだこれ」

初めてつけるのか、焦って上手くつかない。私も付け方をあまり知らないから、どうすればいいかわからなかった。
やっと付いたとき、すぐ様私の中に入れようとした。

「ま、まってよ。初めてだから、ゆっくり入れて欲しい」

「ゆっくりで言われても、わかんないよ。俺だって初めてなんだから。」

彼なりにゆっくりと入れてきた。
なにかが、入り口を広げる。それはわかった。
その入り口を開く感じが、とても痛くて思わず涙がでる。
「い、いたい…い、いた」

痛すぎる。なんだこれは。気持ちいいとか嘘じゃないのか?
腹の中に何か突っ込まれるような、その感覚

No.134

太い棒を無理やり広げてつっこまれようとしてる。その棒が入りきらなくてぎちぎちと、無理矢理広がっているのだ。
わたしは痛いとしか言えなかった。彼も困った表情をして、

「痛いといわれても、どうしようもできないよ。」

止まらない彼。私は、痛くてその時のことはあまり思い出せない。とりあえず痛かった。
全部入れるのにどのくらい時間がたったんだろう。動かされても痛いし、喘ぎ声というのも、上手く出せない。痛い!痛い!と叫ぶしかなかった。
それでも、彼は欲に頭が支配され、気持ちいいと嘆いている

「椎名さんの中気持ちいい。すごいわ」

耳元で囁かれると、少し安心した。
好きな人の言葉だけで、安心感が感じられる。
私は彼にしがみつく。彼の匂い、体温、呼吸がすべて伝わってきて…痛いけど幸せで。私は彼の名前を呼ぶ。何度も何度も。もう二度とこんなことないだろうから。
青山くんは「気もちいい」としか言ってくれない。
エッチして何か変わればいいのに。私から抜け出せなくなってしまえばいい。
彼の動きは激しくなった。いつのまにか、痛みも麻痺してきて少し慣れてきた所だ。

「……っく!!でる!!!」


そういって、私の体にしがみついた。体がはねる。彼を見るとどうやら逝ってしまったみたい。
わたしはアソコがとても痛かった。じんじんと脈打っている。けど、嬉しかった。
「椎名さん、どうだった?」

「うう、痛かったけど、嬉しかった」

「はあ、はあ。疲れたね。シャワー浴びよっか。気持ちよかったよ」

中には出ていないけど、お互い初めてなこともあり、心配だったからアソコは念入りに洗った。水がアソコに染みる。私の処女はあっけなく奪われた。でも後悔しなかった。
大好きな人と繋がれて嬉しかったし、エッチを体験できたことも嬉しい。これで、諦められる。
今まで、繋がりたかったんだ。やっと繋がれた。もう、恐くない。

No.135

エッチが終わってから、彼の部屋で雑談していた。
久しぶりに彼とたくさん会話したこともあり、すごく盛り上がった。そうそう、こうやって一緒に話しているとすごく幸せなんだよ。それに楽しい。だから好きになった。部活がなくなってから、そうゆう機会もなくなってだんだん離れていくのが恐かった。

だから、友だちで仲良くしたいって夏休みに会ったんだ。全てはそこだった。
きっと親が知ったら悲しむだろうな。つきあってない人とエッチしたよって知ったら,倒れるんじゃないかな。だから、少し後ろめたい気持ち。
けど、これでよかったんだ。望んでいたことだから。彼がこうして私と話してくれる。それが幸せ。
今まで好きだった。だから、もうこの恋は今日で終わりにしたい。

ぎりぎりの時間まで、私は彼と会話していた。
昔のように。帰り道によく話していたような世間話を。
これが、いつまでも続けばよかったんだ。心の奥がぎゅっとした。


家に帰るといつもどおりに、母が迎えてくれる。父もいる。
心には罪悪感が溢れた。こんなこと望んでなかったよね。私、悪い子だよ。でも勝てなかった。欲に。
心のなかで私は何回も謝罪した。ごめんね




彼とエッチをしてからしばらくは、満足感で満たされていたのと、アソコがすごく痛くておさまらなかった。
3日ぐらいは、少し血がでるからナプキンでおさえていたけど、こんなになるんて知らなかった。
どこから血が出ているのかわからなかったので、恥ずかしかったけど、アソコを鏡で見る。すると、膣の入り口の端が筋のような切り傷ができて赤くなっていた。
触ってみると、うっすら赤い液体がつく。分泌液と血が混じっているのだ。エッチで身を削るもんだな…。

気持ちは自然と明るい。一週間、二週間経っても青山くんへの嫉妬心のような気持ちはわかなかった。
だから、私にとってはエッチできて正解だったんだ。





あれから約一ヶ月のことだ。わたしは衝撃の事実を知る事になる

No.136

【お知らせ】

いつも読んで下さり、ありがとございます。主です。
年末年始が迫ってまいりました。お正月はどんなことをしますか?主はまだ未定です。多分羽を伸ばしてます。

気が早いですが、年明けに「外伝」を更新します。
年明けぐらいは、明るい話題を書きたいと思いまして、考えました。
内容は青山くんとの正月の思い出話です。時期的には、高校1年と2年のときになりますね。明るくて純粋な話になると思うので、帰省先やこたつの中で読んで頂ければ嬉しいです。

〜あらすじ〜
彼に年賀状を出そうか出さないか迷う主人公ゆい。そんなん出しちゃえよ!という友人の応援で年賀状を描こうとするが、何を書いていいのかわからない!
それにあけおめメールも送らないといけない!両方送るのってうざい?迷惑?
悶々と考えたゆいは、出そうと色々工夫する。すると…………!?




面白いか解りませんが、正月には最適な内容にはなりますので。
これからもよろしくお願いします。では!

No.137

文化祭が終わってから約一ヶ月ちょっとをすぎようとしてた時、選択の授業が自習になった。
私は、部活で一緒だったサトミという子と談笑していた。

「サトミは最近どー?」

「文化祭がほら、劇だったじゃん?大盛況で嬉しかったのと、あれからクラスの人と仲良くなれたんだー。気になる人もできたし!」

サトミはそーいえば青山くんと一緒のクラスだったけ。彼女は装飾を担当していた。
サトミは私が彼を好きなことは知らない。サトミはむしろ、彼のことを昔から嫌いと言っていた。

「青山くんがさ、主役だったじゃん?あれから、彼はクラスでも結構目立つような存在になってて。本当うざい。やだ。」

「そこまで人気者なの?」

「なんか、一部の男好きの女子が騒いでるだけ。ほら、花崎の周りってコミュ力高い男多いじゃん?だから女子とも仲いいの。でも青山くんは人見知りだから、あんま女子と話してなかったけど、今絶好調だから調子のってる。うざーー」

胸の奥にしまっていた恋愛感情が蘇る。ちくちくと指す嫉妬の痛み。もう、好きになりたくないのに。やっぱり好きなんじゃん私。

サトミは急に目を丸くして、何かを思い出したように私に顔を近づける。
「そうだ、ゆい!そうそう!思いだしたわ。すごい話きいたんだよ。マジ話なんだけどね」

内緒話だったから、二人で机にうつぶせになり顔を近づける
「なになに?!どーーしたの?」

「ふふ、びっくりしちゃったわ。青山のやつ、ありえねーー。」

ドキッと心臓がびっくりする

「…………え?彼が?どうしたの・・」

「あいつさ、彼女いるの知ってた?」

「え、え???何それ、いつの話よw」

「一ヶ月前かなー。そうそうちょうど一ヶ月前かも。聞いたマジ話。青山の奴に彼女できたって」



それって…………もしかして………わたしのこと……???どうゆうことなんだ




「相手がさ、一年のちーちゃん!あの、小さくて先輩好きの子だよーー。ありえないわ」













え?ちーちゃん???


私の心臓が止まりそうな勢いで脈をうった





「文化祭終わってから、速効つきあったんだって!ほら、ちーちゃんてさ、うちの学年のカワシマの兄弟じゃん?カワシマの妹彼女にするとか、頭大丈夫かよってねww」


「………どうして?う、うそ」

「嘘だと思うじゃん?でも私、後輩から聞いたからマジ情報なんだわ。びっくりしたよ。ちーちゃんから告白したみたいだけど、なんか青山は周りにばればいように誰にも言うなっていったんだってさ。でね……」


サトミの言う事をまとめるとこうだ

No.138

ちーちゃんは、同じ学年のカワシマくんの妹で、兄弟で同じ部活に所属していた。ちーちゃんは入学して間もない時から、先輩を狙って速効つきあっていた。一部でも話題になってたほどだ。
劇を見て、ちーちゃんは昔から気になってた青山くんに完全に惚れる。そこで、兄からメアドを聞き、その日に連絡。そして彼女告白。告白手段は不明。ちーちゃんは彼からこう言われたそうだ。

「この件は、3年生に絶対ばらすな。兄にもだ。それが条件だ」

といったそうだ。
でも、おしゃべりな彼女は仲間に結果報告を言いまくる。その中のひとりが、サトミと仲がいい後輩で、そこから漏れたそうだ。
この件については、彼女の友人とサトミ、私ぐらいしかしらないらしい。サトミは他の3年女子にまだ伝えてないそうだ。

サトミはちーちゃんと青山くんが会ってるのを見ていた。
ちーちゃんが、調理実習で作ったお菓しを彼に渡している所。密会しているとこ。
何度か目撃していたから、その情報はデマではないとわかる。
「ちーちゃんも、あいつのどこがいいんだろうね?わかんないなー。青山の奴も兄にばれたくなからって、そんなこと言うなんてねww 文化祭終わってから調子のりすぎ。」

そして、ちーちゃんは彼とつきあってもうすぐ一ヶ月になるということ。




私が彼とエッチしたのは文化祭が終わって二週間後のことだ。


つまり、そのとき既に彼は、浮気をしたことになる。
そして私も巻き込まれた。そう、”浮気相手”とされた。

No.139



「ちょっと、ねーーゆい??聞いてる?大丈夫?驚きすぎた?大丈夫、皆驚いてるから!」

「いや、そうじゃなくて」

「え、なに?」

「あの、いや、わたし、その」

「え………………。ゆい、もしかして、青山くんのこと……すき……だった?」


「ちがうよ!そんな、そんなことないから。ちがうから」

そうは言ってるが、涙があふれてきた。サトミは察して、慌てて私をなだめようとする。
「ゆい!ごめん、わたし、余計なこと……」

「いや、むしろ、真実が知れて嬉しかったから、いいの。きにしないで」

「そんなこと言われても!ゆい、本当にごめん!どうしよ,,」

「サトミが落ち込む必要ないから」

「でも……ゆいのこと……」

「傷つけたのは青山だから」



チャイムが鳴った。授業が終わり、教室から人が出て行く。
「ごめん、サトミ。本当にありがとう。ごめんね、こんな姿みせて。じゃあね。あとで連絡するから」

「ゆい!あ、ごめん………」

サトミの罪悪感溢れる顔が辛かったが、私は走り出した。廊下を駆け抜ける。
廊下にのの子の姿を見た。


「ん、あーーゆいじゃん。おっはよ……ってうわ!!」

胸に飛び込んだ。私はのの子の胸に顔をうずめ、大泣きしながら声を出す


「あ、あ、、、あのね、、」

「どうしたのゆい!ちょっと待って。」

彼女は私の腕を引っぱり、人気のいないとこに連れていってくれた

「ゆい、ゆっくり話して。どうしたの?」

「う、裏切られてしまったよ………彼に………。彼に………。彼がね…………ヒック、あ、、」

「え、ちょっと、まって、え?どうしたの?!」

涙が止まらない。心が痛い、頭も痛い。苦しい、言葉にするのが辛い。

「青山くんが……取られちゃったよ……う、ああああああああああ!!!!!!!!!
ひどい、ひどいよこんなの。ひどい……あああ………わたし、浮気相手なんて……なりたくなかったのに」



のの子は絶句している。なにも言葉が出ない。ただ、私を強く抱きしめてくれた。

No.140

のの子にすべてを話した。夏休みのこと、文化祭後のこと。そして、彼のこと。
のの子は怒りで表情が崩れている。

「ちょっと、それはないよ。調子のりすぎだろあの根暗。ふざけんなよ。サトウに頼んで、悪い目に……」

「それは……やめて。私が関係もったことを、部活に知られるのは避けたいから」

「あ、だよね。あんまよろしくない話題だもんね。もう、あいつは腐った」

「わたし…………死ぬのかな」

「はあ?なにいってんの!?あんなやつの為に死ぬなんていうな!あんなの人としておかしいから。そんなこと思わないの」

「わたしね、わかってたよ。叶わないかもって。頑張っても無理だろうって。このまま変な関係続いてもいけんって。でも、微かな望みにかけたら、これだよ。
もう………やだなあ。恋したくない」


涙が止まらない。のの子は私の体を撫でてくれた。次の授業は出られそうにないから、保健室で休むことにした。メールで、花代に伝える。

【青山くんが取られちゃった。わたし、なんだったんだろうな】

すると、すぐ返信が帰ってきて【いまどこにいんの?!!】

保健室というと、すぐに駆けつけた。幸い、保健室の先生は生徒の事情には首をつっこまないで見守ってくれる人だったので、面会が許可された。
花代にも全てを話す。話してる間も涙が止まらなくて、何度も中断した。花代もいつの間にか泣いていた。

「な、なんであんたが泣くの?」

「……だって、あんまりじゃん。ゆいは頑張ってたのに、知ってたから。彼の行動は許せないし、悔しい」

「ばか、泣かないでよ‥‥あんたには、ちゃんと彼氏いんだから。」

「でも‥‥‥ひどいよ」

一生分泣いた気がする。泣いた後の空はぼやけて、よく見えなかった。
視界もぼやぼや。このまま信号渡ったら死ぬのかなって。そんなことも考えたり。私は抜け殻になった。
私が死んだら、彼は悲しんでくれるのかな?その原因が私だったら、どんな風に落ち込んでくれるのかな。
このまま死んでしまったら、あなたはこの先どう生きてくんでしょうか。





「どうして、こんなことしたの?青山くん」

No.141

青山くんが触れなければ、私はこんなに苦しまなくて済んだんだ。告白して、あのとき借りたワイシャツさえなければ、こんなことなかったかもしれない。帰り際に抱きしめることなんてしなければ、あなたを忘れられたかも知れない。

そもそも、私が「もっとお話ししたい」て言わなければよかったんだ。



初めて公園で二人になった帰り際、抱きしめられて期待した。そしてそんなことが二度も。きっと私のこと好きなんだと。思った。家に行った時も、もっと仲良くなれればいいと思った。
まさか襲われるなんて考えなかった。そんな曖昧な関係が続き、私の欲求も高まっていくなか、彼は自分だけ満足できれば私のことなんて考えてくれないような行動をとった。


文化祭という舞台でヒーローのように騒がれる彼を見て辛かった。自分だけの彼にしておきたい、魅力を知ってほしくない。辛いという気持ちが、私を痛めつける。せめて、繋がりたい。そう思った。夏休みにエッチをしようとしたが、失敗に終わり、その日からいつになったらしてくれるのか期待してた。でも彼はアクションを起こさない。

寂しかった。襲われると期待してたら、そんな展開なかったから寂しかった。体はうずいていたのに。
生殺しになれた体を埋めて欲しい。埋めてくれたら、君を忘れよう。もう、ここまできたらどうにもならないよね。なんの手段もない。だったら抱いてほしい。それで終わればいいや。



そして悲劇はおこった。




彼は受験を理由にして告白を断ったのに、どうしてちーちゃんは良かったの?
文化祭で頭がお花畑になってたのかな?なんで、浮気相手にされたのかな。
私ね、浮気したくないし、浮気相手にもされたくないって昔から考えていたんだ。それが、破られたよ。

正直ちーちゃんはどうでもいいんだ。むしろ憎いぐらいで。でもね、だからって浮気相手になりたくなかったよ。
結局なんだったんだろうか。私は性欲処理の人形だってこと?笑わせないで。
じゃあなんで「大切だから」っていったんだ?貴重な性欲処理だったから?もう嫌だ。
好きな人からそんな風に思われるのは屈辱。もう、さんざんだよ


私も悪かった。あきらめが悪かった。途中で、気づいて理性を取り戻せばよかっただけの話。
できなかったのは、彼が近づいてくるから。大好きな彼が、甘い誘惑をくれるから。断れないし、誘われてしまうでいいように流された。子供だよ本当に。積極的になりすぎたと思う。
自分の悪い所もわかってる。


けど、あいつはどうなんだ?何も知らないで笑って過ごすのかな。そのままちーちゃんと付き合い続けるの?冗談じゃない。私がいままでどんな気持ちで、貴方に接してきたのか知らないよね。
事実を知らないまま、終わらせたくない。
どうしてこんなことしなのって。好きな気持ちを利用してたんでしょ?
わかりたくないし、認めたくない。

No.142

ここまでくると、そうだとしか言えないじゃん。涙と言葉が次々に漏れる。

好きの感情が怒りに変わり、私の中で爆発した。
部屋にあった赤いボールペンでコピー用紙一枚分びっしりと彼の名前を書いた。





<青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山青山>







その紙をカッターで切り刻む。文字は砕かれ、彼の思いも引き裂かれ、青山という存在を消し去りたいという願望がわいてきた。ひたすら切り刻む。細かくなった破片は私の涙でふやけていった。
馬鹿げている。こんなことしても戻らないのに。目の前で切り刻まれる文字が、快感すら覚えた。


「青山く…ん、なんでなんで。なんでどうして。私はなんだったのよ!なんでよ!わかんない。わかんないよ!!!!」




こんなことになりたくなかった。なんでどうして?青山くんと2ショットで写った写真を引き出しから取り出し、手で引き裂いた。彼の顔は一瞬で崩れる。私の笑顔も一緒に。


私はこのままにしておくつもりはなかった。彼に伝えないと気が済まない、むしろ言わないといけない使命感が私を襲っていた。嫌われてもいい。もう、好きにならなくてい。ただ、私の屈辱と憎しみを彼に伝えたい。

このまま何も知らずにわらって過ごしてるなんて絶対に許さない。

No.143

私は彼にメールをした。

『いきなりでごめん、土曜日の夕方空いてる?ちょっと直接会いたい用事があって』

<<青山くん
『その日予備校だけど、夕方だったら終わってるからおK。話したいことってなに?』

<<わたし
『メールで話すと長いし、お互いめんどくさいと思うから会って話したいんだ。だから今は言えない。』

<<青山くん
『‥‥わかった。そうゆう内容なら別にいいけど。そんなに時間掛からない感じ?』

<<わたし
『多分ね。そこまでかからないよ。忙しいと思うけど、お願いします。』

<<青山くん
『了解~。当日また連絡しますね』


これでいいんだ。全て、全て伝えよう今までの気持ち。もう疲れたから。
さようなら、わたしの青春。もう、かえってこない青春。

No.144

土曜日の夕方5時頃。とある公園で待ち合わせをしていた。私は先に自転車で着いていて、ベンチに腰掛けて待っている。寒い。今日は天気も悪いから、秋なのにすごく肌寒い。

見慣れた自転車が向こうから来た。青山くんだ。ベンチの近くに自転車を止めると、私のほうに近づいてきた。「おまたせ。」彼は不機嫌だ。なんでわざわざ、こんなことしなきゃならないんだというような顔をしている。嫌々わたしに話しかけてるのがすぐわかった。

わたしはベンチから立ち上がり、彼の正面に立つ。
「ごめんね今日は。急に呼び出して。ありがとう。今日はね、聞きたい事があって呼んだの」

「うん、なに??用件は」

「青山くんさ、ちーちゃんとつき合ってるんだね」










その言葉を聞いた彼は顔が引きつった。10秒ぐらい間が空いてから、うんと返事をした。
「‥‥それ‥‥誰から聞いた?」
彼はよほど知られたくなかったらしい。凄い目つきで睨んできた

「後輩と仲がいい友だちだよ。だってちーちゃん、色んな人に言ってるみたいだよ?隠したかったみたいだけど、残念だね。彼女はおしゃべりみたいだから。」

「‥‥‥‥あいつ」
チッと舌うちをした。


「そのことに関して聞きたいのと、夏休みのことで聞きたいから呼んだの。
わけわかんないかもしんないけど、もうはっきりさせたいから。ちーちゃんとつき合ってもう一ヶ月経つみたいだけど、その間になんで私と会ったの?」

「それはー誘ってくれたからさ」

「そうだね、私が誘った。けど、なんでセックスまでしてくれたの?彼女がいるのになんで?私はいつ、ダッチワイフになったの?」

「ワイフだなんて、そんなこと思ってない!」

「でもそうなるじゃん。今までのこと考えると。体を求めてきたよね?嬉しかったよ。青山くんが少しでもすきになってくれたんじゃないかなって。けど、あなたはいつも自分だけ満足してて、わたしの気持ちを知りながら利用してたとしか思えない」

「気持ちを利用したつもりはない‥」

「じゃあ、なんでちーちゃんとつきあったの?好きだったの?」
私は彼に歩み寄る。近づいて顔をみようとするが、彼は後ずさる。


「あれは、文化祭終わってから、あの子にすごいメールされて。告白が何度もあったというか。それに、カワシマの妹もあったし、断るとカワシマにも迷惑かかるっつーか。断れなくて。
でも、どうせもうすぐ卒業するし、ちーちゃんとつきあってるという状況でもいづれは終わるわけだ。だから、告白してつき合ってはいるけど、俺はそこまで本気になってない。
なに、椎名さんは俺とちーちゃんがつき合ったことに怒ってんの?」

「まあ、否定はできないよ。悔しいのは確かだもん。でもね、それ以上に浮気相手のように扱われたのが、私はショックなわけ。わたし、浮気相手なんてなりたくなかったんだよ?」

「浮気って……俺は、押されまくって断れない状況で恋人という形になってしまった。
ちーちゃんとは、デートに一度行っただけで、椎名さんとしたようなことはしてないから」

「でもわたし、恋人じゃなかったよ?彼女でもなかったんだよ?そんな相手に、どうしてそんなこと言えるの?あんたおかしいんじゃないの?」

No.145


「俺も…椎名さんとこうなると思わなかったよ。一緒にいて楽しい人だったから。俺もわかんない。けど、ちーちゃんとはつき合っていることになってるけど、椎名さんの方が、大事だと……思ってる」

「つき合ってることって何?あなたは、好きでもない人と恋人ごっこしてるの?なんでそんなことするの?彼女はあなたのことが好きで告白したんでしょ?それをつき合ってるつもりないとか、本当に気持ち利用してるよね?違うの?」

私は睨みつけた。強い口調で言葉を放つ。彼は下を向いて、めんどくさそうに頭をかいている

「はは…めんどくさいよねこの状況。でもはっきりさせたいから呼んだの。嫌いになってもいいよ私のこと。人の気持ち利用して‥‥あんたは楽しかった?」

「おれは、利用してない。椎名さんのこと、そんな風に思ったこと‥‥」

「じゃあ、どうして体に触れたりしたの?好きだってこと知ってて、近づいたんでしょ?いい餌だったんじゃないの?私はいままで何回も好きだって伝えてきた。けど、あなたは、曖昧に濁した言葉で返す!辛いよ。好きになってる自分が。利用されてるんだとわかった辛さが」

「ちーちゃんのことは、そのうち自然になくなるか‥‥どうせ卒業するんだし。椎名さんは本当に……なんというか……俺、恋愛わかんないから。好きとか愛とか。けど、椎名さんは特別な存在だったてのは嘘じゃないんだよ。」







<ガッシャーーーーーン!!!!!!!!!!!>






からからと、自転車の車輪がむなしく回る。彼の自転車が蹴り飛ばされ横になった。
曖昧な表現に怒りが爆発して、今まで人に対して怒ったり怒鳴ったりしなかった私が、喉の奥から声をだした










「おまえ、調子のってんのもいいかげんいしろよ!!!わけわかんねえんだよ!!!!!!」

No.146

私は今まで人に対してぶちぎれたことは何回あるだろう。あっても、友だちに文句をきいてもらうか、小学生のときは本人に対してぶつかったけど。
でも、こんなに憎いほどの怒りを相手にぶつけたのは初めてだった。

唖然とする青山くん。それを睨む私。
「なにかと言えば、違うとかそんなこと思ってないとか……言い訳ばっかでなんなんだよ!反省しろよ!わたしは、わたしはあんたのおもちゃとして生まれたんじゃないの!!!」

「……おもちゃって、思ってないから」

「おもちゃじゃない……?都合のいいように体を触ってきて、快楽を求めて…あなたが好きだから抵抗しなかったんだよ。それなのに、悪い事だってことも解っていたけど、あなたは!何もわかってくれない。いつも苦しんで悩むのは私だけ。好きな気持ちわかるわけないよね。人の気持ち踏みにじるのは、楽しかったかい?」

「だから、そんなこと……」

「ちゃんと一人の人間として、青山くんが大好きだったのに!性的なことだけ求めていつも終了してたじゃない!利用しないでよ!私の恋心を勝手に利用すんな馬鹿!!!あんたにこんな事されるために、生まれてきたんじゃない。私にはちゃんと家族がいて、支えてくれて…人形じゃないんだよ……。屈辱だよ…。」

「じゃあ、椎名さんは!どうしてほしいんだよ?」

「謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ!」

「謝ってるじゃないか!他に何を求めるんだ。こんな言い争いしても決着がつかない。俺が全部悪かったんだ。俺が、なんもしないでいれば良かった。それだけだ」

「自分が全部悪かった、はいそうですねって終わらせねえよ!逃げんな!話を聞け!!!」

彼は顔を下に向ける。深いため息をついて、明らかに動揺しまくっている。
「聞いてるよ‥‥いつまでこんな話するんだ」

「………もう……いやだよ。あんたなんて好きにならなきゃ良かったんだよ。」
我慢していた涙があふれる。今まで、彼の前で全然見せなかった涙が一気にあふれてきた。

No.147

「………もう……いやだよ。あんたなんて好きにならなきゃ良かったんだよ。」
我慢していた涙があふれる。今まで、彼の前で全然見せなかった涙が一気にあふれてきた。

「好きにならなきゃ‥よかったのに。好きだから、止められなかった。求めてくれることが嬉しくて。一緒にいることが幸せで。けれど、あなたは遠いところを見ていて。
きっと好きじゃないんだろうなってことも、わかって‥‥いたのに。あなたが、誰かと交際してる話を聞いたら許せなくて。誰かを裏切るような関係だったてことも…嫌で…。………っ。うう‥‥。
あなたはいつも曖昧で辛かったよ。片思いは辛いよ‥。あなたは、少なくとも2人の人を裏切った。
ちーちゃん、いつか別れるだろうから適当に恋人関係になって、その間私とセックスをした。
そして椎名ゆい。あなたは気持ちを知っていたのに、体を触る、求めることをしてきた。勘違いさせた。そして、めんどくさい関係に巻き込まれた」

彼はずっと下を向いたまま、なにも言わなかった。

「私もね、悪かったんだ。駄目だったんだよ。つき合ってもいないのに、勝手に舞い上がって勘違いしてさ。
そして勝手に恨む。ちょっと理性があれば、こんなことならなかったのに。ガキだよ本当に」

「椎名さんは悪くない‥‥全て、俺がしたことだ。ちーちゃんにも、申し訳ないことをした。
本当に、俺が全部いけないんだ」

「私にも非はあるんだ。告白したら潔く身を引けばよかったんだ。
でもね、もう部活もなくなって青山くんに会えないかもって思ったら寂しくて。せめてすごく仲のいい友だちでいたかった。だから、遊びに誘ったの。
でも一線超えてしまったから、友だちには戻れない。それに、あなたのこと、もう好きになれない。すごく憎いから。本当は友だちでいたかった。仲良くまた一緒に‥‥‥一緒に‥‥‥」




走馬灯のように、今までの事が流れ込んでくる。一緒に電車に乗って帰ったこと、バスに乗って雑談してたこと、ディズニー行ったこと、ゲームしたこと、部活のこと。あなたの背中をいつも必死でおいかけたあの時代が巡る。




「………仲良くまた一緒に帰りたかったよ…。」


ただそれだけだ。それだけあれば、私は幸せだった。楽しみが帰り道だったから。部活だったから。
友だちでいて、いつの日か私のこと本当に好きになってくれたらそれで良かったんだ。
もう、一緒に帰れない。あの日には戻れない。

No.148

青山くんは倒れた自転車を直した。ハンドルを強く握りながら、私にこう言う
「悪かった。本当に、本当に申し訳ないことをした。謝罪しても、許してくれないことは解ってる。
俺は、自分の気持ちがわからない。ちーちゃんより、椎名さんのほうが大切だってことは嘘じゃないんだ。
好きとか、そういう感情がよくわからない。俺にはわかんないんだ。」

そのまま顔を下にむけて、深いため息をつく。
「青山くんは、どうするの。ちーちゃんのこと」

「………」

「流れでつき合った、浮気をした、別に好きでもない相手に対して、いつまでごっこ遊びしてるの?
ごっこ遊びも、私だけにして。今のあなたには、何もわからないだろし、傷が浅ければ人はまた立ち直れる。」

「………うん。」

「もう、わたしのような人を作らないで。せめてもの…願いだから。片思いして裏切られることは、ご飯が喉に通らないぐらい辛いんだよ。
あと、自分では自覚してないようだから関係ないけどこれも伝えておく」

一呼吸置いてから、私は彼にこう言った。


「自分が気分屋で、その性格でどれだけの人が嫌な思いしたのか知らないでしょ?」

「…え?なにそれ」

「青山くん、日によってさ、態度違いすぎるんだよ。部活の男子が距離を置いてたの何故か知ってる?それが原因だからだよ?なんで、自分の気分で態度が毎回違うの?みんな怖がってたし、それで嫌いになった人もいた。青山くんさ…わたし、本当に変わっちゃったて思うの。
花崎くんと一緒に行動してから、影響受けたのか知らんけどチャラい格好して…部活の仲間にも挨拶しないで…。色々後ろめたい言葉が、青山くんに集まってる。気分屋なのはよくない。それから、あなたの今の学校のスタイルは…似合わない。青山くんらしくない。」

「部活メンバーって、皆そうゆう風に思ってるの?」

「皆には聞いてない。けど、男子からも女子からも聞いた。何回も何回も。どうせ誰も言わないだろうから、この際伝えておいた方がいいと思って。もっと周りを見た方がいいよ…。それだけ。
チャラく生きたいなら止めはしない。でもね、昔のほうが青山くん楽しそうだった。その時に戻ったらいいなって。勝手に思ってます。」

本当に勝手な思いだ。おせっかいだ。どうせ嫌われるなら、今まで思ったこと言っても恐くない。
彼には花崎の影響を受ける前に戻って欲しかった。
その言葉がを聞いてから、彼は自転車によりかかるように、顔を伏せた。ショックだったのか、それとも思い返しているのか。

「こんなにも憎いのに、わたしは青山くんが好きだった。きっとしばらくは好きな気持ちは消えない。
けど、もう辛いから話す事はこれからないでしょう。一緒の授業になっても話さないし関わらない。」

「うん、いいよ……俺は。なにも言う権利はない」

「だからこれが最後に話す事になるかも。わたしね、夢があったんだ」

「‥‥ゆめ?」

これは今まで作中でも書かなかったことだ。密かに思ってきた夢だったから隠していた。
もう関わる事が今後なくなるなら、これを伝えて終わりにしたかった。この夢は高校1年の時からの夢だったから。

No.149

「私ね、一年生の時から思ってたんだけどさ。青山くんの第二ボタンが欲しい。」


「え?おれの?怒ってるのに?」

「そりゃ、許さないし嫌いだし。でも、第二ボタンをもらうのが密かな夢だった。好きな人ができたら、卒業式にもらいに行くってね。こんなに怒鳴りつけたあげくに、お願いするのも馬鹿げてるよね。わかってる。
でも、後悔したくないから。だから、あなたの第二ボタンを卒業式に下さい。」

「……………」

青山くんは困ったように首をかしげた。
「椎名さんは……優しいんだな。俺のなんかでよければ、あげるよ。」

「約束だよ。忘れたら絶対に許さないから!絶対に」

「忘れないよ。卒業したら、椎名さんに渡す。約束はちゃんと守るから。」

「……うん。ありがとう。嬉しい。じゃあ、もう卒業式までさよならだね。」


もう伝えることはない。これから卒業式まで一切関わらない。わたしの好きな人。大切におもってきた人。
さようなら。もう二度と戻ってこない青春。


「じゃあ。来てくれて、ありがとう。もう、言いたい事はないから。青山くんは何かある?」

「俺は‥‥ちゃんとはっきりさせる。約束は破らないから。
だから……ごめんなさい。ごめんなさい。」

「うん。また卒業式で。さようなら」

私は自転車にまたがり、その場を離れた。少し距離が遠くなってから後ろを振り返ると、自転車にまたがったまま、俯せになり頭をかかえた青山くんが見えた。
罪悪感と達成感で複雑な気持ちだ。少しは、反省して悩むといい。


気分は軽かった。嘘のように心はすっきりした。

No.150

後日…………


サトミから何故かすごく謝られた。彼女は事実を知らなかったわけだし悪いことなんてないのに、責任をかんじているようだ。何度も大丈夫と伝えたが、サトミはすごく反省している。少しめんどくさいことに巻き込んでしまったのかも…。

ちーちゃんのネット上のリアル(今で言うツイッター)をサトミから教えてもらって見たら、
どうやら別れたようだ。ちーちゃんには申し訳ないけど、彼には反省してもらわないと困る。それにしても、私が怒ってからすごいスピードで別れたな。彼にとってちーちゃんは、気まぐれだったんだと思った。


私は彼に本音をぶつけてから、いつもより明るくなって、受験勉強も集中できるようになった。
だから11月の推薦入試に合格することができたのだ。モヤモヤが消えると、こんなに頑張れるんだと実感した。


青山くんはというと、廊下ですれ違う限り、前のような落ち着いた格好と髪型に戻っていった。
昔の青山くんを思い出す。でも、もう彼はいない。私の中では死んだようなもの。以前のように関わる事もなくなったし、帰り道自転車で同じになっても無言で通り過ぎていく。
むしろ、彼を見るだけで心臓が痛かった。恐い感情が溢れてくる。関わったらまた嫌な思いをする…そんな重いがよぎって気分が悪くなる。前よりも道を変えたりして、なるべく彼を避けて帰ったりした。





いつのまにか季節も2月。あと一ヶ月で卒業だ。
友人を連れて、久しぶりに弓道場を訪れた。懐かしいかけ声が聞こえる。
的に矢が突き刺さる音、風が吹き抜ける音、弓がしなる音。
ここで全てが始まった。青山くんを追いかけたあの日々が頭をよぎる。彼が弓を持つ姿をいつも見ていた。
袴姿で弓道している姿はとてもかっこよくて、すごくドキドキしたな。

いつも座っていた所で座ってみる。右を向くと男子の連中がいて、その中に彼が佇んでいた。
一人で遠くのほうを見つめる彼。時には的ばかり見ていて、こっち向かないかなーと期待したこともある。
今では、後輩達がその場所を占領している。もう、わたしたちはいない。
彼もいない。でもここに来ると、みんな居るような気がして、声が聞こえてくる。
男子の声、女子の声、笑い声、怒る声。その中に青山くんの声もあった。
もっと、ああすればよかったとか後悔しても戻ってこない。彼のことは恨んでる。嫌いだ。

でも、なんでかわかんないけど、
たまに彼の声が聞こえるんだ。もちろん、私の近くにいるわけでもない。学校にいるとき、お弁当食べてるとき。どうでもいい時間に彼の声がよぎる




『椎名さん』


馬鹿みたい。未練がまだ残ってる自分がすごく悔しい。

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