彷徨う罪
一番…罪深いのは誰ですか?
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「答えろ…。
お前は、誰だ?」
拳銃を彼女の頭部に突き付けて、再度問う。
「貴方は、私を撃てないわ‥。
だって、私は零なんだもの。」
つい、先程まで潤んでいた瞳が瞬く間に冷たく乾く。
「見た目はな。
だが、お前は俺の知ってる零じゃねぇ。」
「…高瀬さんの零ってどんな子?
ウブで強がりでマヌケな卑怯者?」
「私…あの子が大っ嫌い!」
憎しみを込めた歪んだ表情で、彼女はそう続けた。
「卑怯者って…どういう事だ?」
眉間にシワを寄せて彼女に詰め寄った時だ。
銃声と共に、俺の銃が弾かれた。
手首に走る痛み。
銃声のした方を見ると、澤田が拳銃を構えて俺を睨んでいた。
「澤田…っ!」
彼女はその隙に、俺の呪縛を解いて逃げると、澤田の横に並んだ。
「お前ら…」
互いに柔らかい笑みを交わす二人が、共謀者だと言う事は分かった。
もしかしたら俺は、最初から零にしてやられていたんじゃないかと思った。
「…亮くん、僕達の計画をじゃましないでくれ。」
澤田はそう言って、黒いジャットから球状の『何か』を取り出した。
口でそのピンを外すと、此方に向けて放り投げる。
『手榴弾!?』
「伏せろーーっ!!」
宙を舞う黒い球が頭の上を掠めると、眩い光が辺りを包み込んだ。
目が眩んで痛みすら感じる程の光。
「閃光弾…っ?」
幸い、澤田に投げられた手榴弾は殺傷型の物ではなかった。
しかし、激しい音と強い光で身動きが取れない。
ダメージを受けた目を無理やりこじ開けて、二人の姿を追う。
しかし、霞む視界に二人の姿は確認出来ない。
「クソっ!」
逃げられた…!
俺は弾かれた拳銃を拾うと、腕で光を避けながらホールの出口に向かった。
徐々に、瞳の痛みが引いて視界もクリアになる。
すると、メイン扉の隙間から零の横顔が走り去るのが見えた。
「待てっ!」
直ぐにその後を追い掛けるが、六本木の街を行き交う人々に行く手を阻まれてしまった。
段々と遠ざかる二人の姿。
『あいつの手を引いて連れて行くな…。』
そんな感情が、俺の胸を締め付ける。
今にも、そう叫び出してしまいそうだ。
焦る気持ちを落ち着かせて、自分のいる周りをよく確認した。
澤田達の向かう先には地下鉄の駅がある。
電車に乗り込まれ、クモの巣の様に張り巡らされた地下鉄を乗り継がれたら…
行く先の特定は出来ない。
俺は人の群れを掻き分けて駅を目指した。
『どうか間に合って欲しい!』
ここで零を捕まえなければ、永遠にあいつには会えない…。
そんな気がしてならなかった。
同じ後悔は、二度としたくない。
例え…この命が絶たれようと、あいつは…零だけは失いたくない。
――…
アルファムには、幾つもの部屋がある。
角に差し掛かる度に、敵側の襲撃に備える。
だが、人の気配はおろか、物音一つしない。
その時だ、背中に眩い光を受けた。
思わず身を屈める。
その尋常ではない光が、閃光弾だという事は直ぐに分かった。
軍事要員でもある俺達が、訓練でしょっちゅう使用しているのと同じ。
『耳ならまだしも、目までやられたらシャレにならない。』
なるべく後ろを見ない様に、壁を伝いながら会長室を目指した。
奥の一番デカい部屋が、柳原の会長室だ。
銃を構えながら、思いっきり足でドアを蹴り上げた。
「警察だ!大人しく投降しろ!!」
その威勢とは裏腹に、室内は静まり返っている。
妙な違和感。
足元には、血痕が所々に付着していた。
元々赤いフロアーマットに、どす黒い血だまりがそれを汚す。
「何だ?これ…」
引きずった様に続く、その血痕を辿る。
そして、アンティークの机の裏で倒れている柳原を見つけ出した。
「おいっ…!
生きてるか?」
頸動脈に触れると、まだ微かだが脈打つのが確認できた。
ホッと胸をなで下ろして、出血部位を探す。
柳原は、腎臓の辺りに銃撃を受けていた。
弾は貫通していない。
部屋に入ろうとした所で、不意打ちにあったか…。
そして、この場まで這いずって力尽きたと考える。
このアンティークの机は、柳原の厳格を象徴している。
死ぬならば、この椅子に座って葉巻を吸いながら逝きたかったのだろう。
この血の道は、柳原のプライドを示していた。
「い…わや…」
柳原の血走った鋭い視線に刺さる。
「誰にやられた?
あんなにいたアンタの取り巻き達はどうした?」
傷口の止血をしながら、柳原に訊ねた。
「この‥裏切り者め…!」
虫の息で喋る口の動きは、皮肉な事に読み易い。
「俺は、ボスには忠実なんだ。
ただ、奇しくも俺のボスがあんたじゃなかっただけの事だよ。」
「…国家‥権力の犬め…」
「あぁ…そうだよ。 だから何だ?
訓練を受けた犬の志しの高さを知ってるか?
犬を舐めんな。」
そのプライドは、人間よりも高いんだぜ?
「犬ってのはな、元は狼なんだ。
狼は孤高の象徴だろ?
俺にとったら、他にない誉め言葉だよ。」
国家権力の犬…上等。
こうしている間にも、柳原の状態は悪化して行った。
チアノーゼが出て、いつ息を引き取るか分からない。
「クソっ…、血がとまらねぇ!」
「主任っ!?」
人の気配を感じて視線を上げると、驚いた顔の前田がいた。
「ちょうど良かった、早く救急車を呼べ!」
前田は慌てて返事を返すと、携帯を取り出して耳に当てた。
そして、携帯をスーツの内ポケットにしまうのを確認すると、柳原の止血を代わるように指示を出した。
「主任はどちらに?!」
「修也を追う!」
微かだが、辛うじて聞こえる右耳に前田の声を聞き取って返す。
「主任…耳が聞こえないんですか?
まさか、さっきの銃声で?」
「あ?何?」
ぼそりと言う声は拾えない。
右耳を近づけると、前田は物悲しそうな表情で声を張った。
「澤田と、彼女は逃走しました!
今、高瀬警部が二人を追ってます!」
逃げた…?
「分かった。
前田、ありがとうな。」
俺は立ち上がって踵を返すと出口へと走り出した。
ふと、ドアの前でもう一度振り返る。
「前田。
そいつ(柳原)を死なせるなよ。」
そいつには、生きてもらわないと困る。
散々はたらいた悪事を、洗いざらい吐いてもらわないとならいからだ。
「分かってますよ!」
前田の頼もしい眼差しと、少しだけ見せた白い歯に俺も微笑みを浮かべて部屋を出て行った。
――…
六本木を直結している地下鉄は主に、大江戸線と日比谷線それから南北線だ。
「どっちに行けば…」
人混みの中で途方に暮れていると、あの忌々しい着信音が響いた。
『岩屋様から電話だよ‥。』
「岩屋、何だよ!!」
焦りが、イラつきとなって押し寄せる。
「修也達の行き先は『多摩川』だ。」
岩屋は何時もの如く、一言だけ言うと電話を切った。
まったく…何なんだよ、あいつは!
「多摩川…」
切れた携帯を握り締めて、俺はある方角を向いた。
多摩川なら日比谷線で先ずは目黒を目指すはずだ。
急いで日比谷線乗り場に向かって走った。
週末の街同様に、駅も人でごった返している。
正直、並んで切符を買っている余裕は無かった。
その時だ。
「高瀬さんっ!」
岩屋が華麗に人を避けて走り寄って来たのは。
「早く、二人を追いますよ!」
岩屋はそのまま俺を追い越して、ポケットからSuicaを改札機に当てた。
因みに、俺は車通勤だから定期的な物は持っていない。
「仕方ねぇな。」
こんな時こそ、国家権力の力を使わない手はない。
「ちょっ…、お客さん困りますよ!」
無理やり改札機を抜けると、慌てて駅員が止めに入った。
「警察だ。
協力してくれ。」
警察手帳を翳して、駅員を振り切り岩屋の後を追った。
閉まる電車のドアをギリギリすり抜けるようにして二人で駆け込んだ。
「高瀬さん、涼やかですね。」
「そう言うお前も、汗一つかいてねぇな。」
汗どころか、俺に追いついた割には息も上がっていない。
「高瀬さんよりも若いっすからね。」
「二学年下なだけだろ。
目くそ鼻くそだ。」
そんな事より…
「お前、耳聞こえんの?」
「辛うじて、右耳の聴力は戻って来ました。
ただ、多分あの衝撃で左耳の鼓膜は破けましたね。」
だろうな。
それでも、「聖二、困っちゃう」とおちゃらける岩屋だ。
まったくもって呆れる。
岩屋は、掴み所の解らない男だ。
自分の本質を上手く隠す。
人に好かれてはいるが、他人に心を開いてさらけ出す様な事はない。
どこか淋しい男なのだ。
そのミステリアスな部分が、余計に人を惹きつけるんだろう。
「高瀬さんって、『淋しい男』ですよね?」
ドアガラスに反射する俺を見ながら、岩屋が言った。
「は?」
まさか、心の中で思っていた事を逆に返されて面を食らった。
お陰で、自分でもビックリする位の間抜けな声が出た。
「高瀬さんって、人を惹きつける魅力があるけど、決して自分を出さない。
内に秘める孤独が、そうさせてるのでしょう。
人を信用するのが怖いですか?」
怖いだと?
そのフレーズにカチンとした。
「お前の方こそ、そうだろ?」
地下の暗闇に映る岩屋が、苦笑いを浮かべる。
「ほんと、俺達は目くそ鼻くそですね。」
確かに、俺と岩屋はよく似ていた。
掛け替えのない大切な命を奪われた同士、同じ傷を共有する者。
立場は違えど、零も同じだと思った。
どこかに心を置いて来てしまって、その場所を思い出せずに空虚感が漂う…そんな感じだろうか。
だから、俺達3人は互いに惹かれ合ったのかも知れない。
失った物を埋め合うように…。
「岩屋、零に何があった?
あれは…本当に、あいつか?」
俺の質問に、岩屋は直接俺の目を見て口を開いた。
「あれは、かつて修也が植え付けた零のもう一つの人格です。」
「多重人格?!
澤田がどうやって…」
『あまり修也の目を見て話すと、軽く洗脳されますよ。』
そうだ!
澤田と会った時にも、岩屋はそう忠告して来た。
「7才の子供を、マインドコントロールしたって言うのか?」
「えぇ…、幼い子供は素直ですからね。 ショック状態にあれば尚更…その洗脳に掛かりやすくなるでしょう。」
「澤田はどうやって、その知識を手に入れた?」
その問いに、岩屋はキッパリ『愚問』と返した。
「修也はモンスターです。
奴は、生まれながらの天才でほんの僅かな知識から、膨大な知識を習得します。
何かで読んだ小説からヒントを得て、実用化するくらいお手の物ですよ。」
「まさか…」
冗談だろ?
だが、岩屋の瞳は真剣そのものだ。
「…マジかよ。」
面倒な相手だとは思っていたが、ここまで来ると流石に身震いがおきる。
「それじゃ、さっきの零は澤田が作り上げた人格だって言うのか?」
恐ろしくも冷徹で美しい女。
そんな印象だ。
「いゃ…俺達がよく知る零が主人格か、あの女が主人格かは俺にも解らない。」
「はぁ?!
お前、『あれ』が本来の零だって言うのか?」
「だから、解らねぇって言ってんだよ!
ただ、あいつは俺に言ったんだ‥『この手でたくさんの人を殺したって。』
それが本当なら、その事実を消そうと修也が別の人格を作り上げて、記憶を抹消した可能性が高い!」
零が人を殺しただと…?
頭を鈍器で殴られた様な衝撃を受けた。
「つまり…」
言葉が詰まる。
その先を予測して、口にするのが恐しい。
「つまり、事件の首謀者を殺したのはレイで、修也は彼女を守る為に自ら罪を被った。
そして、その事を彼女が口外しない様にとそういった対処した…こう考えれば、全ての辻褄が合うんです。」
「ですよね?」と、岩屋が俺に振り掛ける。
「なんて事だよ…。」
頭がクラクラして、視界がぼやける。
「ショックですか?」
「当たり前だ。」
淡々と喋る岩屋が妬ましい。
何故、そんなに冷静でいられるのか…。
俺は、動揺を隠せない。
零が…殺人犯。
そんな事があるのか?
考えれば考えるほど、岩屋の推測が自然だと思えてくる。
しかし、それを認めたくない。
そうではないと否定する自分もいる。
「何故…多摩川なんだ?」
多摩川河川敷…それは、芽依の遺体が見つかった場所だ。
「二人の原点が多摩川だからですよ。」
「育った場所か?」
零と澤田が預けられた教会は多摩川にある。
だが…
「そんな分かりやすい所に、わざわざ行くか?」
「そこにしか行けないんですよ…あの二人は。」
「何故だ?」
「“彷徨う罪”を完成させる為…とでも言いましょうか。」
彷徨う罪…
あの監獄に残されたメッセージ。
あれは、零の罪を表したものか?
なら、目的は…
「おいっ!
まさか…っ、修也の目的って…」
背中をなぞる冷たい汗。
震える指先。
岩屋の…潜む眉。
まさか…っ
「零を殺すのが、アイツの最終目的か?」
「…はい。」
沈黙の後で、岩屋は重たく返事を返した。
あぁ…何てこった。
浮かんでは消える芽依の残像。
芽依と同じ様に、零も澤田に殺される。
河川敷の白いワンピースを着た芽依の遺体が、俺の頭の中で零に変わる。
『さようなら…』
そう、囁く唇が…ゆっくりと小さく閉じていく。
「間に合うか?」
先行の列車に乗った、澤田との時間差は10分程度だ。
乗り継ぎを考えると、多摩川には凡そ15分遅れの到着となる。
そこから河川敷まで…
兎に角、すぐに手を掛けられたら零を救う手段は無い。
「何が何でも間に合わせるんですよ!
どんな手を使っても、修也を止めるんです!」
どんな手を使ってでも…?
『目黒に到着致しました。
お降りの際は…』
ドアが開くのと同時に、急いで降りる。
乗り換えのホームに向かう途中で、俺は走りながら電話を掛けた。
「多摩川河川敷の周辺を閉鎖しろ!」
『は?!
何を無茶な事を言ってるんですか!
多摩川がどんだけ広いかご存知でしょう?!』
「全体的にとは言ってない!
いいか?
東急東横線目黒線の『新丸子』から『多摩川』間の河川敷周辺だ!
今すぐ、神奈川県警にも協力の要請をしろ!
それから、野球場から1キロ離れた場所にある『ルーセント教会跡地』と、その周辺にある廃棄施設や建物を調べて、それぞれに私服警官を配置しろ!」
俺は、それだけ早口で伝えると電話を切った。
「高瀬さん、さすがですね。
ですが、芽依さんと同じ現場だとは限りませんよ?」
「いや…奴が零を殺すなら、場所は同じはずだ。」
根拠なき確信だった。
それでも、自信はあった。
零‥どうか、生きて待っていてくれ…。
――…
ここはどこ…?
暗くて寒い。
何も聞こえない。
何も見えない。
感じるものと言えば、膝を丸めた自分の肌の感覚だけ。
私…どうして、こんな所にいるの?
「レイ。」
あれは…修也?
それと……子どもの頃の私?
「レイ、僕の目を見てよく聞くんだ!」
「修ちゃん…どうしよう…どうしよう…!」
何…?
何で私、あんなに返り血を浴びているの?
幼い私の顔やぺらぺらのワンピースには、跳ね返った大量の血痕が付いている。
ペタリと座り込んだ目の前には、小型のピストル。
“あぁ…私、人を殺したんだ。”
その光景から、私は瞬時にそう思った。
「レイ、いいか?
この事は誰にも言っちゃダメだ!
分かったかい?
君は、何も知らないし何も見ていない。 全部忘れて、違う人生を生きろ!
そして、何もかもが終わったその時に…僕が君を迎えにいく。
誰にも何も知られない様に、この罪を消し去るんだ。」
「修ちゃ…っ」
シャクり泣く私を、修也が宥める様に…でも、必死で言い聞かせる様に言った。
『この罪を消す』
それは、その罪を犯した私自身の抹消なのだろうか…?
「レイ、君に投与する薬は未完成で完全に記憶を消す事は出来ない。
何時かは思い出す時が来る。だから、その時は僕と一緒に約束を果たして欲しい。」
「…約束?」
「そう、これから言う約束を…」
…約束?
それを聞く前に、過去のビジョンが消えた。
修也と交わした約束って何だっけ…?
もぅ…体がだるくて思い出せない。
ここは寂しい場所だけど、何も考えなくて良いから楽だ。
ずーっと、独りでこの場所に居るのも悪くはない。
ここには、私を傷つける者はいない。
恐怖や悲しみの無い世界。
ここに居れば安全だ。
あの娘が私を守ってくれる。
身代わりになってくれる。
私はこうして、ただうずくまって眠っていれば良いのだから…。
『大丈夫だよ‥レイ、君が辛い目にあってるんじゃない。
君じゃない。
もう一人のレイが、全部の苦しみを背負ってくれる。』
あれ?
また違うビジョンに移り変わった。
さっきの続き?
『さぁ‥祈る様に願うんだ。
こんな苦しめを受けているのは私じゃない。
私じゃないって…繰り返し思ってごらん。』
修也の透き通った澄んだ瞳に私が写る。
『…じゃない。
私じゃない…こんな目にあってるのは、私じゃない…!
私じゃない…』
『そう、上手だ。
続けて?
レイの中にもう一人のレイがいる。
その子に代わってもらうんだよ。
君の苦しみを引き受けてくれる、強い女の子なんだ。』
私じゃない…
私じゃない…
お願い‥助けて…
まるで、呪われた呪文を唱えるみたいに繰り返した。
いつからか、私の心は二つに分かれた気がした。
記憶を無くしていた時にも、無性に腹が立って誰かを憎ましいと思う衝動に駆られた。
“誰か”なんて、具体的に誰とは言えなかったけど、そんな時は自分でも手に負えなくて悪事を働くのだ。
感情がコントロール出来ない。
万引きや、店の窓ガラスを割ったり、殴り合いのケンカをして相手に怪我を負わせたりもした。
何故、あんな事をしたのかと後悔は必ずやってくる。
そんな時に、心の奥で満足感を得ていた。
後悔と、罪悪感で苦しめば苦しむ程…
喜んでいる、もう一人の自分がいた。
鏡に写る自分の姿が怖くなったりもした。
今にしてみれば、芽依と似ていたからなのかも…と思う。
そうだ…芽依。
私は、彼女の事をあまり思い出せない。
優しくしてくれた事や、彼女の甘い香りは覚えている。
修也と仲良が良かったのも…。
だけど、肝心な事を忘れている。
何だっけ…?
彼女に、大切な事を頼まれていたはずなのに…。
ちゃんと、約束したのに。
それだけは、絶対に忘れてはいけない約束だったの…
思い出したい。
『お願い‥零、どうか“亮”に伝えて…!
私は…』
りょう…?
亮って、高瀬?
『私は…』の後に、何を言ったんだっけ?
芽依は…
お姉ちゃんは、最後に何て言ってたっけ?
消える前に、それを思い出してお姉ちゃんとの約束を果たさなきゃ…
早く、思い出さないと…!
だけど…待って?
ここから、
どうやって出れば良いの…?
どうしよう
今頃になって、深い穴に落ちた事を知る。
愚かな私は、この孤独の闇から抜け出せない。
小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
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