繰り返した不倫
なぜあんなん人と、不倫をしたのか・・・・・・・
結婚していて、顔は悪く、背も低い、性格も悪く、嘘つき。
若い時の過ち。
今でも、胸が苦しく吐き気がする。
二人の男。
思い出しながら、ゆっくり書いて行きたいと思います。
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「澤田?今日も、桑原来てたよ。
昨日より更に機嫌悪い。話しかけづらくてさぁ、昼休みに何気なく、最近澤田に連絡してる?って聞いてみたら・・・・・」
「うん・・・・・・・・・・・・」
「ああ・・・だけ言って部屋出て行っちゃって、午後からも聞ける不意陰気じゃなくてさぁ。」
「そうなんだ。ありがとう、ごめんね変な事お願いしちゃって。」
コウジ。
私の事忘れちゃったの?
ずっと片思いしてて、やっと側にきてくれたのに。
本気だよって、母に会って一緒に食事までしたのに。なのに、なぜ???急に私の前から消えてしまったの?
あんなに近くに感じたのに、今はすごく遠くて今までの一緒に居た時間は夢だったの?
怖い。
苦しい。
会いたい。
理由も分からないまま一週間が過ぎた。
明日は、本店で3月のお疲れ様会がある。仕事を18時までで終わらせ駐車場でバーベキューをする
社員以外でも、家族や彼氏彼女を呼んでみんなで楽しむ。コウジと『同じ会社だから、私達は呼ぶ必要ないねっ!』なんて、微笑み合っていた。
会いたいけど、明日会うのは怖い。
思いっきり無視されたらどうしよう。
急に別れを告げられたらどうしたらいいの?
眠れない夜を過ごし、バーベキューの日がきた。
今日は、18時に仕事を終わらせる為、お客さんの来店予定も少な目にし、営業は外回りせずに店内に居た。
予定通り18時に終わる。
いよいよだ。
1日いろいろ考えた。仮病を使ってバーベキューに行くのをやめようか・・・・・
行ったらコウジに『どうして連絡くれないの
?』と怒るか!・・・・・・・・・・・
全く無視しようか・・・・・・・・・・
結局、何も私からはアクションを起こさずコウジの様子を静かに伺う事にした。
付き合っている彼氏に会うのに、信じられないくらい緊張する。
一週間前までは、幸せでずっと側に居てくれると信じていたのに、今は、信じられない。
どうか、コウジが普通に接してくれますように。
なぁ~んだ、そうだったのか!心配して損したっ!なんて言う理由でありますように。
祈る気持ちで本店へ向かった。
到着すると、本店の人達がバーベキューの支度を始めていた。
社員の家族や彼女も来ている。
私達は・・・・・・・・
どうなっちゃうんだろう・・・・・・・・・
車から降り、トボトボ歩き出した。
歩きながらコッソリ、コウジを探す。
いた!!!
消えて居なくなったコウジがここに居た!!
一週間ぶりのコウジ。
私には、長い一週間だったけど、たった一週間。何も変わってない、私の知っているコウジが居る。
自然に涙が溢れそうになる。
目が合ってしまったら、リアクションに困るから、まずは、気付かないふりをして鈴木さんの所へ行った。
「あっ、澤田。桑原と話した?」
「ううん、怖くて近づけないよ。遠くに居て様子を伺うよ。」
「話し出来るといいね、桑原、今日も機嫌悪いよ。」
コウジを見ると、確かに笑顔がない。
入社した頃の怖いイメージに戻ってしまったみたいに。
支度も終わり、バーベキューが始まる。
焼いているコンロは、2台。
2メートルほどの間隔で置いてあり、コウジとは違う場所にした。
食欲もあまりなく、お肉を焼く係りになった
チラッとコウジを見ても、目が合わない。
全く私を気にしている様子がないように思える。
頭でも打って、記憶喪失にでもなったの?
悲しくなる・・・・・・・・・・・
すると、社長が
「お~い、澤田さん、その肉こっちも焼いてくれ~!」
マジで・・・・・・・・・・・・・
行きたくない。
下を向きながら隣のコンロへ行った。
コウジが居る。恥ずかしい・・・・・・・・
私が大嫌いになったかもしれないコウジが。
出来るだけコウジから離れた所から、お肉を焼こうとするが、手が震えて上手く掴めない
みんなにバレてしまわないように、震えをなんとか隠しながら焼く。
「大丈夫?熱いだろ?」
杉田くんだった。
この前、あんな事があって気まずいはずなのに、コウジとの気まずさに比べたら全然平気だった。
むしろ、避難場所のようだ。
「大丈夫だよ。」
「俺、代わるわ。」
ありがたかった。
私は、すぐその場所から逃げ鈴木さんの居る隣のコンロへ戻った。
まだ、一度もコウジと目も合っていない。
コウジ、私ここに居るよ。
一度も見たくないほど嫌い?
どうして?私、嫌われるような事した?
一週間、悩み考えすぎて頭がパンクしてる。
疲れちゃったよ
周りを見れば、みんな楽しそうに話しながらバーベキューしたり花火をしたりしている。
コウジに笑顔はなく、モクモクと食べている
私は、今にも泣き出しそうな顔で、ただ座っていた。
店長が隣に来た。
店長:「なぁ、桑原と何かあった?お前ら何か変じゃない?澤田は、元気ないし、桑原は機嫌悪いし・・・」
鈴木さん:「やっぱり桑原も変だよね。」
「喧嘩の方が、マシだよ。相手が何で怒っているのか分かるから。
私は、どうして桑原さんに避けられてるのか分からない。もう、嫌・・・・・・・」
店長:「桑原、何考えてるのかなぁ。あんなに澤田に優しかったヤツが。」
「あまりに変わりすぎて、訳が分からない。
自分から、理由を聞きたいけど連絡取れないし・・・今は・・・聞く勇気も元気もない」
どよ~んとした空気で3人で話していると、
一台の車が駐車場に入って来た。
私は、ボ~と見ていた。
どこかで見た車だなぁ。誰の車だっけ???
バン!!!
ドアを閉める音がして、人が降りて来た。
女の人かぁ。
うん?????????????????
あの・・・・人は・・・・・・・・・・・
おっ・・・・おっ・・・・・・奥さん???
コウジの別れた奥さんだ!!!!!!!!
気づいた時と同時に、コウジが奥さんの所へすごい血相で走っていった。
私は、呆然とその様子を見ている。
まるで、映画のワンシーンを観ているかのように。
「お前!!!!何しに来た!!!!!」
コウジ、すごい怒ってる。
「別にいいでしょ。」
奥さん、余裕の笑顔で答えてる。
「帰れって!!!!!!!!!」
コウジ、怒鳴ってる。
「え~、せっかく来たのにぃ。嫌よっ。」
奥さん、怒られてるのに気にせずこっちに歩いて来ている。
「おい!!!!!帰れって!!!!!!!」
益々、怒ってる。
「桑原、いいじゃないか。さぁ、こっちへ」
社長、奥さん、呼んでる。
「すみません。ちょっと、こっち来い!」
コウジ、奥さんの手を引っ張って車まで連れて行った。
あれ?????????????????
何だこれ???????????????
鈴木さん:「ねぇ、何でミヨちゃんがいるの
?」
店長:「何でだ?どうゆう事?」
しばらくコウジは、奥さんと言い合っていた
コウジ、奥さんと喧嘩したのかぁ。
えっ?
全身が痺れてきた
どうして私の彼氏の元奥さんが、あそこに居るんだ?
2人から目が離せない。
見たくないのに見てしまう。
コウジは、ずっと奥さんに怒っている感じだった。
奥さんは、そのまま車に乗り帰った。
一気に形の力が抜け、我慢していた涙が溢れてくる。
鈴木さんと店長は、みんなに見えないように体で隠してくれていた。
奥さんが、ここに来た理由なんて知らないし知りたくもない。
けど、コウジが私の前から消えても一応まだ付き合っている。今は、私が彼女なのに、どうしてコウジと奥さんが、2人で居る所を見せるの???
絶対に見たくないのに。
離婚したって、子供が居るんだから奥さんと会う事もあるとは覚悟してたけど、ここには絶対来てほしくなかった。
だって、今日の行事は、社員にとって大切な人を連れて来る場所だから。
ショックで頭が痛い。
私が、消えてしまいたい
コウジから、私の方が消えたい。
そうすれば、私を見なくてすむでしょ?
ねっ、コウジ・・・・・・・・・・・・
涙が止まらない。
こんな所で、泣きたくないのに。
お願い、止まってよ。
鈴木さんと店長が、何を言う訳でもなく肩をさすってくれている。
店長「おい!どうゆう事だよ!」
鈴木さん:「何で、あの子が来るの!?」
コウジだ。
そこにコウジが居る。
私から姿を消したコウジが・・・・・
久しぶりに、近くに居る。
ゆっくり顔を上げた。
ずっと下を向いて泣いていたから、目がほやけてよく見えない。
だんだん、ハッキリ見えて来た。
目の前にコウジが居た。
今までに見たこともないような悲しい顔をして私を見ている。
一週間ぶりに、コウジと見つめ合った。
「結衣・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「話しがしたい。」
「・・・・・・・・・・・」
「結衣・・・・・・・・・」
「私は・・・話したく・・・ない。」
「結衣、聞いてほしい。」
「聞きたくない。」
「頼む!聞いてほしい。」
「何を?一週間、消えた理由?あの人が来た理由?そんなの知らない。」
「結衣・・・・・・・・・」
「どうして、どうして傷つけるの?私がどんな気持ちで・・・・・・・・」
「話しを聞いてほしい。」
「今日は、無理・・・・これ以上、悲しい話しだったら耐えられない。」
「ごめん・・・・でも、どうしても話したくて・・・・・」
鈴木さん:「今日は、そっとして置いてあげなよ。澤田、まいってるからさぁ。」
「結衣。」
「ごめんね、今は、かなり混乱してる。明日にして。」
「わかった・・・・・」
コウジは、ずっと側に居た。
多分、周りの人にも聞かれてしまっていたと思うが、知らない振りをしてくれた。
バーベキューも終わり、みんな帰り始めた。
車に乗ろうとすると、コウジが来た。
「明日、電話するから。」
複雑。
さっきまで、コウジの連絡を待っていたのに
今は、怖い。
明日、どんな話しがあるのか不安
一週間、全く電話ももらえなかった私には、
いろんな想像が出来てしまう。
しばらく車の中にいた。コウジと元奥さんが一緒に居る姿が、頭から離れない。
泣いても、泣いても、涙がどんどん流れてきてしまう。
見たくなかった。
気が付いたら車を宝来の方へ走らせていた。
宝来へ一人で行くのは始めてだった。
家で一人でいるのは耐えられない、人がいるお店なら、気が紛れるかも?と思った。
泣き顔がバレないように、化粧をしお店に入る。
「いらっしゃい。」
真っ先にシュンくんが見えた。
「あれっ?結衣ちゃん一人?」
「うん、たまにはいいでしょ?」
笑顔で答えた。
カウンターの一番隅に座る。
「何にする?」
「あっ・・・・・・・・・・」
そうだ!宝来へ営業時間に来たんだから、もちろん何か食べないと変だよね。
お腹も空いてないし、食欲なんて全くないよ
どうしよう・・・・・・・・・・・
「餃子で!」
「餃子?珍しいねぇ・・・・・」
ヤバい・・不思議そうな顔で見られている。
「今日は、どうしても餃子が食べたくて我慢出来なかったの。」
「へぇ・・・・・ちょっと、待ってて。」
怪しまれてるかなぁ。
何で宝来に来てしまったんだろう・・・・
誰も知っている人が居ないお店に行けばよかった。
「お待たせ~!」
「ありがとう、頂きます!」
食欲はないけど、一口食べてみた。
美味しい。
アツアツで、肉汁がジュワッと出てきて、たまらない。
一つ一つゆっくり食べながら、シュンくんの事を見ていた。
よく働くなぁ。
自分のお店で、責任とかプレッシャーとか大変だろうに、仕事の愚痴を聞いた事ない。
いつも、相談したり愚痴ったり甘えちゃうのは私。
いつも近くに居て、助けてくれて大切な人なんだよなぁ。
なのに、コウジは・・・・・・
一体、何を考えているんだろう?
明日、何を話すんだろう?
別れよう?
元奥さんが、やっぱり好き?
子供が可愛いから、彼女はまだいらない?
沢山考えている内に、止まったはずの涙が出そうになってきた。
帰らなきゃ!
急いでレジまで行った。
よかった!バイトの子だ。
「帰るの?」
振り向くとシュンくんがいた。
「うん、ごちそうさまっ!」
「結衣ちゃん、何かあった?」
「えっ?何で?何にもないけど!」
「泣いたんじゃない?」
「ううん!」
「そうか?何か変だよ?」
「大丈夫!大丈夫!じゃぁね、バイバイ!」
急いでお店を出た。
シュンくん、ごめん。
また、彼氏の事で泣いているなんて知られたくない。
元奥さんの事で泣いているなんて恥ずかしい
車に乗り、家に帰った。
その日の夜。
シュンくんから、電話があった。
隠していたつもりなのに、何かあったと気付かれていた。
「結衣ちゃん、どうした?彼氏と何かあった
?」
「何にもないよ。」
「何もないのにあんな顔して一人で店に来ないだろう?」
「どんな顔してた?」
「今にも泣き出しそうな悲しい顔。前にも見たことある顔。」
「そっかぁ・・・そんな顔していたんだ。
ちょっと、彼とあってね。」
「やっぱり・・・好きな人と付き合えたんだから、結衣ちゃんは笑ってないと駄目だよ。
あんな悲しい顔・・・俺まで辛くなる。」
「ごめん・・・・・・・」
「あっ、でも辛い事あったらいつでもおいでな。慰めてやる!!!」
「ありがとう。」
詳しい事情は、言えなかった。
シュンくんは、いつも優しい。
コウジは・・・・・良い時と悪い時の差が激しい。頼りになるし、安心出来るけど、一度歯車が合わないと一気に崩れてしまいそうな不安はある。
明日が怖い。
連絡が取れなくなった理由、元奥さんが、店に来た理由をハッキリさせないと。
不安な夜を過ごし朝が来た。
朝から緊張しながら、コウジからの連絡を待った。
お昼過ぎ、コウジからの電話が鳴る。
久しぶりに見る《桑原さん》の表示。
どれだけ、これが見たかったか・・・・・
今から家に来ると言われたが、コウジの気持ちがハッキリ分かるまで、家には入れたくなかった。
家とコウジの家のちょうど中間地点にある大きなパチンコ屋の駐車場で会う事にした。
久しぶりに会うのに、いつものデートとは違う。まだ、何も聞いていないのに、憂鬱な気持ちで支度をする。
信じたいのに、今はマイナスな事ばかり頭に浮かんでしまう。
だって、元奥さんを見てしまったんだから、
連絡がなくなった理由は、元奥さんが関わっているのでは?と考えてしまう。
適当に、化粧をしてラフな格好で出掛けた。
駐車場は、車で10分ほどで到着した。
まだ、コウジは来ていない。
深呼吸をして、覚悟を決めた。
ブォ~ン、ブォ~ン
コウジの車のマフラーの音が遠くから聞こえて来た。
あっという間に隣に止まった。
私、頑張る!
コウジは、車を降りて私の車の助手席に乗った。
「久しぶりだね・・・・」
「ごめん・・・・」
コウジは、下を向いて私の顔を見ようとしない。
全く笑顔はなく、元気もない。
あんなに強そうなイメージのコウジが、とても小さく見える。
そんなに深刻そうな顔されたら、益々、不安になってしまう。
コウジが、話し始めるまで無言で待っていた
「連絡出来なくてごめん。」
「どうしたの?私を嫌いになった?」
「違う!大好きだよ。」
「じゃぁ、どうしたの?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ひとまず、嫌われてなかった事にホッとした
少し気持ちが楽になつたので、早く理由が知りたくなったが、コウジは黙ったまま。
「ねぇ・・・どうしたの?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
長い沈黙
今思えば、何も言わずに、嫌いになった!と言われた方が、楽だった。
長い沈黙の後、予想もしなかった理由を聞いてしまう。
コウジは、やっと顔を上げ私を見た。
とても辛そうな顔。
何?
どうしたんだろう?怖いよ。
「あのなっ・・・・・・・・・・・」
「ちょっ、ちょっと待って・・・何か聞くのが怖いよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コウジは、また、下を向いた。
どうしよう。
コウジの話しを聞きたいけど、このドヨンとした空気は、何?
私の事は好きって言ってくれた。なのに、他にコウジが辛そうにする理由は、何?
やっぱりハッキリ聞こう!
「コウジ・・・・話して・・・・・・・」
「わかった・・・・・・ハァ・・・・・・」
コウジは、深いため息をついた後、話し始めた。
「俺達、付き合い始めて2カ月くらいだよな。
付き合う前から・・・ずっと・・・好きで・
・・・やっと付き合えたのに・・・・」
「何?」
コウジが泣きそうだ。
私も怖くて泣いてしまいそう。
コウジは、再び顔を上げ悲しそうな顔で、話して始めた。
「結衣・・・俺・・・・」
「うん。」
「離婚・・・・・・・・してなかった。」
「えっ?何?」
「離婚してない。」
離婚してない?って言った?
そんなハズない!
聞き間違え?
「離婚してないって言った?」
「うん・・・・・ごめん。」
嘘だ!
「何でそんな事言うの?嘘でしょ?」
「ごめん、嘘じゃない。」
「絶対、嘘!私の事嫌いになったなら、別れようって正直に言ってよ!」
「嫌いじゃない!好きだよ!
俺だって、まさか離婚してないなんて思ってもなかったよ!!!」
「嘘よ!!!!!!」
訳が分からず、パニックになった。
離婚してない。
その言葉だけが、頭の中をグルグルまわる。
続きを聞く余裕などなく、ワンワンと泣きまくった。
「結衣、聞いてくれ!!!」
「嫌!何も聞きたくない!!!ヒドい!ヒドい!ヒドい!」
「俺だって!どうしたらいいのか!!!」
「何行ってんの!?嘘つき!!!!」
私は、怒鳴っていた。
我を見失い泣きまくった。
コウジが、離婚してない。
全く訳が分からずに、どのくらい泣いただろうか?
気が付けば辺りは薄暗くなり益々気分は落ちていく・・・・・・
ヒクヒクなりながらも、涙は止まらず目はパンパンに腫れ痛くなった。
泣きながらも少し頭が働くようになった。
「どうゆう事?」
「アイツ、離婚届け出してなかった。」
「どうして?出してないなら、出せば?」
「そうしたいんだけど・・・・・・・・」
「何?隠さず話して!」
長い時間話していたが、泣きながらで半分以上覚えていない。
コウジの話しによると
奥さんが、離婚届けを渡たして実家に帰った。
コウジがサインして、奥さんに渡し出しに行ったハズが・・・・・
一週間ほど前、急に連絡があり『なんで、連絡して来ないのよ!」と怒りの電話。
コウジは、『知るか!離婚したのになんだよ!!』と言うと、離婚してないと。
奥さんは、コウジがまだ好きで離婚届けを渡してコウジの気持ちを試したかった。
しかし、サインして渡され何の連絡もないから、焦って連絡して来た。
コウジが、離婚したくない。と実家まで迎えに来るのを待っていたらしい。
そして、先日奥さんが帰ってきた。
私には、耳をふさぎたくなるような話しだった。
まさか、奥さんがコウジを試してたなんて。
そして、今、コウジは奥さんと同じ家で暮らして居るなんて・・・冷静なんかで、居られる訳がなかった。
だって、私が彼女だよ!!!
「どうして・・・こんな事に・・・・」
「ごめん・・・結衣を巻き込んでしまった」
「何とかしてよ!私の中でコウジは、彼氏。
奥さんは、元奥さんだよ!
同じ屋根の下に住んでるなんて有り得ない。
胸が張り裂けそうなくらい、苦しいよ。」
「わかってる。何とかするから・・・・」
「コウジも騙されていたんだよね?弁護士とかに相談してよ。」
「うん・・・・・とにかく、少しだけ時間が欲しい。」
「待てって事?嫌だよ!今すぐ離婚してよ」
「アイツが家から出て行かないんだよ。
あんなに、仲悪かったのに。俺も意味が分からないんだよ?」
「意味なんて分からなくていいから、早く離婚してよ。じゃないと、不倫してる事になるのよ!冗談じゃない!私は、コウジの彼女でしょ?」
「そうだよ。結衣が大好きだよ。
何とかするから!ただ、結衣と付き合ってる事をアイツに知られたらマズい。結衣を巻き込んじゃうから・・・・・・」
「コソコソするって事?嫌よ!」
小久保さんの時の事が、頭をよぎる。
また?不倫なの?どうして?
二度とあんな辛い恋愛したくなかった。
コウジは、私の事を本気だと言って実家にまで行ってくれた。
小久保さんとは違うよね?
信じてもいいよね?
離婚していなかったと聞かされ『はい、わかりました。別れます』なんて言える訳がない
いくら話しても答えなんて出ない。
その日は、帰る事にした。
私との事を奥さんに、バレてはいけないと、
必要最小限の連絡にすると言われた。
自分に何が起きているのか、分からない。と言うより、受け入れなれない。
泣きすぎとショックで、フラフラしながら、
やっと家に到着した。
しばらくは、ぼんやりとしていたが、冷静になればなるほど辛く気持ちのやり場がない。
お風呂に入れば、コウジとの思い出が浮かび
涙が止まらない。
ベッドに横になれば胸が苦しくて横になっていられない。
ソファーに座れば、胸が張り裂けそうになり泣き崩れてしまう。
一体、どうしたらいいの・・・・・・・・
眠れない夜が何日も続き、ご飯もろくに食べれない。体は、どんどんボロボロになるのにコウジからの連絡はない。
朝の日差しは、眩しすぎて早く夜になってと思うのに、夜になれば眠れず静かすぎて壊れてしまいそう。
コウジ。
あなたは、私の救世主だよね?
いつも助けてくれたよね?
なのに今は・・・あなたによって傷ついてボロボロになってるよ。
消えてしまいたい。
心からそう思った。
あの日から、二週間ほど過ぎた頃、
シュンくんが、前に会った時に様子がおかしかったのに全く電話に出ないと心配して、綾さんと突然家に来た。
二人の顔を見た瞬間、ようやく我に帰った気がした。
二週間、家と職場をただただ往復し、感情も麻痺しておかしくなり、生きているという実感もなかった。
まず、二人は私が痩せた事にビックリしていた。そして、怒られた・・・・・・
もう、一人では抱えきれないと思いコウジから突然、連絡がなくなり、バーベキューで奥さんが現れた事、そして、離婚していなかった事を話した。
綾さん:「なんで!こんな事に?その奥さん
、どうゆうつもり?」
シュンくん:「いや、男が悪いだろぅ!!!
奥さんにそこまでさせる程、追い詰めたんだろ?」
「違うよ!相性が悪かったの!離婚届けまで出して試すなんて、最低だよ!」
シュンくん:「そうか???だって、結衣ちゃんの事が好きなら一番傷つけない方法を考えるだろぅ?そんな話ししておいて、連絡ないんだろ?俺なら、心配で無視なんて出来ないよ」
「奥さんに、バレたらマズいからだよ・・・
離婚するのに、不利になるから・・・・」
綾さん:「同じ会社だよね。バレないように連絡する方法なんて、いくらでもあるよ。
二週間も放置なんて・・・結衣の気持ち考えたら出来ないよ。」
「別れて、私の所へ来てくれるなら、連絡なくても待てれるよ!」
シュンくん:「好きな人を待つって・・・痩せてボロボロになっちゃ意味ないだろう?
ソイツの事考えて幸せな気持ちになるか?癒されるか?」
「今は・・・・違うよ。けど!!!今までは癒されたよ。奥さんが戻って来るまでは。」
綾さん:「結衣。今は、まだ受け入れられないから、好きにしたらいい。
けど、ご飯は食べな。体の調子が又悪くなったらどうする?』
「うん・・・・・・・・・・・・・・』
シュンくん:「あと、連絡は取れるようにしときな。倒れても分からないだろ?」
「うん・・・二人共ありがとう・・・私、また、同じ事くり返してバカだよね。
まだ、自分がどうしたいのか分からない。」
シュンくん:「落ち着いたら、また、話そ」
綾さん:「結衣、明日は、宝来に行って食べよ!お腹いっぱい食べれば元気になるよ」
「うん・・・・・・・・・・・・」
二人は、夜中に帰って行った。
こんなに大切な友達がいるから、寂しくなんかないのに・・・どうして、コウジにこだわってしまうの?
次の日
宝来へ閉店間際に綾さんと行った。
久しぶりにマトモな食事なのに、なかなか喉を通らない。
一生懸命、半分くらい食べた。
他のお客さんは、楽しそうに話し、美味しそうにラーメンを食べている。
私は、ドヨ~ンとし景色がすべて真っ黒に見える。嫌な夢をずっと見続けているみたい。
早く目覚めたい。
綾さんとシュンくんと特に何を話す訳でもなく、ただ側に居てくれた。
きっと、一人だと更に辛くなると思って側に居てくれたんだと思う。
有り難い。
帰り際シュンくんから
「辛かったら、いつでも連絡しておいで。店に来てもいいし。とにかく結衣ちゃん・・・
何が結衣ちゃんにとって幸せかよく考えないと・・・・・・」
私が、どんな決断をしてしまうのか二人には分かっていたようだった。
私自身、この時には、分からなかったのに。
暗闇から抜ける事が出来ずに1ヶ月ほど過ぎた。
コウジから急に会いたいと連絡があった。あの日以来、一度連絡がなかったのに。
仕事帰りに、パチンコ屋の駐車場で待ち合わせをした。
久しぶりにコウジに会う。
この1ヶ月、私は地獄だった。世界がまるで変わってしまい、辛い毎日だった。
コウジは、どうだったの?
私の事をスッキリ忘れて、元の家族と上手くやってた?
少しは、私と会えなくて寂しいと思ってくれた?
会えるのは嬉しい!けど、怖い気もする。
仕事も終わり、パチンコ屋に行った。既にコウジは、着いていた。
車を降りて、コウジの車に乗った。
コウジだ!
見た目は、前と変わっていないように思えた
「結衣、久しぶり・・・元気だった?」
「元気な訳ないよ・・・どうして連絡なかったのに、今頃連絡を?」
「ごめん・・・結衣に会いたくて。」
コウジの顔は、疲れていた。
言いたい事、沢山あったのに言葉にならない
沈黙の後、コウジから話し始めた。
「まだ、離婚出来そうにない。けど、結衣は好きなんだ。・・・・・待っててくれる?」
「えっ‥‥?離婚できるの?」
「するよ。今の生活は、耐えられないからな
。」
私もコウジが好き。
けど・・・又、待つの?
二度と同じ事は、繰り返したくない。
「待てない・・・・・・・」
「どうしても駄目か?このまま、結衣と終わらせたくない。付き合っていたいよ。」
「待てない!」
あんなに、一カ月辛くてコウジに会いたかったのに、待たないとその場で決めた自分に驚いた。
気が変わらない内に、コウジと離れないと。
「今まで、いっぱい助けてくれてありがとう。奥さんと仲良くね。」
「そんな事、言うなよ!別れたくない!」
「無理だから・・・・・・」
「絶対、別れる!辛い思いはさせない!幸せにするから!」
「無理だよ。じゃぁね!」
車から降りようと、ドアを開けた。
会社で待ち合わせ、空港へ行った。
コウジがいる。
お互い声を掛ける事なく、目も合わさない。
微妙な距離を保ちながら、出発時間を待つ。
まだ、時間があるので、それぞれ自由に待つ事になった。
鈴木さんに誘われ、コーヒーを飲みながら待つ事にした。
「澤田、聞いたよ。桑原、離婚してなかったんだって?大丈夫?」
鈴木さんと店長は、最近、コウジから聞いたらしい。
二人以外の社員は、離婚騒動の事すら知らない。当たり前のように結婚しているものだと思っている。
なのに私は・・・・まだ、忘れられず引きずっていた。小久保さんの時のように、惨めになりたくないために、必死だった。
「ショックだったよ。桑原さんとは、別れたけど・・・なかなかねぇ。」
私達の状況を知っていてくれる人が居るだけで、心強かった。
今までコウジと仲がよかったが為に、避け合っている私達は、違和感があったと思う。
出国し、飛行機はグアムへと到着した。
コウジと付き合っていたら、どれだけ楽しかったか・・・・・・・・・・・・
ホテルに到着。
高級感があるステキなホテルで、目の前には海。ホテルの一階は、ブランドのお店がズラリと並んでいて、ホテルに居るだけで十分楽しめそうだった。
オシャレなソファーに座り、チェックインの手続きを待っていた。
あれ?なんか、急にクラクラするぞ・・・・
体が、身震いして寒い。
おかしい・・・・・熱が出たかな?
どんどん熱が上がっていくのが、自分で分かった。
店長が手続きを終え部屋を発表した。
社長の奥さんが、勝手に部屋割りをしていた
私は、神田さんと同じ部屋だった。
神田さんは、可愛い子で甘えん坊。ほって置けないタイプ。
海外旅行は、初めてで、グアムには全く適していない服装で来ていた。
胸が見えそうなキャミに、ミニスカート、高いヒールのサンダル。
このサンダルがキッカケで、、コウジと大喧嘩する事になるなんて・・・・・・・・・
部屋に入るなり、神田さんは大きな手鏡を出した。
彼女は、ジッと鏡を見ていた。
そう言えば、いつも鏡を見ている。
仕事中も、机に鏡を置き1分間隔で見る。食事中も鏡を目の前に置き、見ながら食べる。
どこで、何をしていても鏡を見ていた。
可愛いから、そんなに見なくても大丈夫なのに・・・逆に、可愛いから自分にうっとりしているようにも見えた。
神田さんが、トイレに入った。すると
「澤田さ~んっ、ちょっとぉ!!!」
どうした???
「流し方がぁ、わかんない~。」
そっかぁ、海外旅行は初めてだからなっ。
枕高すぎぃ~
コンセントが合わない~
靴のままイヤ~ン
お肌のお手入れの何番目かに塗る美容液の量が少ない~、どうしよう~
次々とビックリ発言が続いた。
海外旅行初めてだからなっ。仕方ないねっ。
体がどんどん辛くなってきらから、適当に返事をした。
内線で、ホテル周辺を散策しよう!ロビーに集合との電話。
自分で触っても熱いと分かるくらい、熱が上がっている事がわかった。
このままでは、3泊4日の旅が台無しだ。
散策には行かず、夕方まで寝る事にした。
神田さんは、一人ロビーへ向かった。
ベッドに横になると
ピンポ~ン
誰だろう。
ドアを開けると杉田くんだった。
「今から皆で出掛けるんだけど、連絡あった
?」
「うん、神田さんは、もう行ったよ。私は、
ちょっと休憩してるよ。」
「どうしたの?大丈夫?」
「うん、ちょっと熱っぽいだけ。」
「風邪かなぁ・・・薬持ってくるから待ってて?」
杉田くんは、すぐ薬を持ってきてくれた。
本当に助かった。
荷造りの時に、風邪薬までは思いつかなかった事に後悔していたから。
「一人で大丈夫?」
「うん、寝てるだけだから大丈夫だよ。」
杉田くんは、皆の所へ行った。
薬を飲み、すぐにグッスリ寝てしまった。
目が覚め起き上がると、体が随分楽になっていた。
杉田くんの薬、凄い!
時計を見ると17時になっていた。
皆は、どうしたんだろう?
携帯は使えないし、とりあえずホテルのロビーまで行って見る事にした。
ロビーへ行くと、皆がソファーに座っていた
杉田くん:「あっ、結衣ちゃん。大丈夫?今から呼びに行こうと思ってたんだぁ。」
鈴木さん:「今から、ちょっと遠くまで夜ご飯食べに行こうと思って。澤田も行くよね」
熱は、下がったけど、まだ少しだるかったがせっかく来たんだし、頑張って行く事にした
皆は、立ち上がり歩き始めると
「澤田ちゃん、神田さんちゃんと面倒見てやれよ!」
コウジだ。
「えっ?」
「さっき、一人で来させて寝てたんだろ!ロビー分からなくて迷ってたんだぞ!」
ロビーを迷った?
たしかに、一階は、ブランドのお店やレストラン、二階がロビーになっているけど・・・
迷うか?迷っても私の責任か?
杉田くん:「桑原さん、結衣ちゃん、熱あって寝てたんだから仕方ないよ。」
「ちゃんと面倒見てやれ!」
何て態度!
昔の頭ごなしに怒るキャラが戻ってる。
呆気に取られ、何も言えなかった。
雑誌に載っているお薦めのレストランを目指してバスに乗り、降りてからはひたすら歩いた。
私が寝ている間に、コウジと神田さんは妙に仲良くなっていた。
バスに乗る席も、歩く時も、隣で神田さんはコウジにベッタリ甘えている。
しばらく歩いていると
神田さん:「イヤ~ン、足が痛くなってきちゃったぁ。」
コウジ:「大丈夫?少し休憩しよ。お~い!
皆、止まって!」
歩道で、皆で神田さん休憩に付き合った。
《そんなサンダル履いてるからだよ!》
再び歩き始めても、二人はノタノタ歩き私達と500メートル以上離れてしまった。
コウジ:「お~い!澤田ちゃん!少しは、神田さんにペース合わせてやれよ!」
私?????????
「神田さん、足痛いなら、楽な靴買ったら!
」
杉田くん:「そうだよ。あの辺に靴屋あるよ
。行こっか?」
神田さん:「え~!でも、この靴、気に入ってるからぁ・・・変な靴ヤダしぃ・・・・」
「なら、この辺りのお店に変えてもらおっか?」
杉田くん:「そうだよ。まだ、距離あるから無理でしょ?」
「え~、でも、あのレストラン行ってみたいしぃ・・・ゆっくり行けば大丈夫!」
《おい、おい、ゆっくり過ぎるでしょ?》
コウジ:『ゆっくり行こっかっ?」
何故?あからさまに神田さんに優しくするの?
ムカついた!
鈴木さん:「どうしたの?」
コウジ:「神田さん、足痛いから俺達ゆっくり行くわ。先、行ってて。」
鈴木さん:「ってか、神田、サンダル変えたら。それじゃ、痛くなるよ!」
さすが、鈴木さん!スカッとした。
鈴木さんは、呆れながら先に行く事になった
私と杉田くんも、歩き始めると
「澤田ちゃんも、付き合ってやれよ!先輩だろぅ!」
また?
いい加減、我慢出来ない!
「何で私が?それに、何でそんな言い方されないといけないの?」
「はっ?そんな言い方って、お前が優しくしてやらないからだろ!」
「だから、足痛いなら靴買えばいいでしょ!
子供じゃあるまいし!」
「おい!気に入らないなら帰れよ!」
「どっちが、気に入らないよ!アンタが私の事、気に入らないんでしょ!帰る!」
バス停の方へ、歩き始めた。
杉田くん:「結衣ちゃん、待って!俺も行くわ!」
コウジ:「杉田、神田さんと行ってくれ!」
杉田くん:「えっ・・・・でも・・・・」
コウジ:「いいからっ!」
コウジは、私の腕を掴んだ。
「待てって!」
「帰る!」
「一人なんて、危ないだろ!」
「ヒドい人!神田さんに優しくして!何なの
!」
「仕方ないだろ・・・結衣だって、優しくしてやれよ。嫉妬してるのか?」
「はっ?何で私が?神田さんに嫉妬しないといけないの?部屋も一緒だし、私だって我慢してるのに!どこに嫉妬するって言うの?」
「どこって・・・若さ・・・・」
「最低!」
若さ?何て無神経な失礼な発言なんだろう。
有り得ない!
無我夢中で歩いた。
振り向く事もなく、バス停へ着いた。
すぐ、ホテルまでのバスが来た。
乗ろうとすると
コウジも後から、来ていて同じバスに乗った
離れた席に座る。
横になりながら考えた。
嫉妬。
私は、コウジと神田さんが仲良くしていた事に、ヤキモチを?
まだ、そんなに好きなの?
諦めの悪さに、自分が嫌になった。
数時間して、神田さんと杉田くんが一緒に部屋へ帰って来た。
神田さん:「ただいま~、結局、足痛くてサンダル買っちゃったぁ。ほら、ペッタンコ!
ダサいでしょぉ?」
「ううん、可愛いよっ!」
無邪気に笑う神田さんに妙に癒された。
私、どうかしてた。
あんなに、コウジに怒って。数ヶ月間のコウジへの感情を今回の事でぶつけてしまった。
そう、コウジに呼ばれ駐車場へ行った日。
離婚したとの報告かも?と心のどこかで、期待していた。
しかし、コウジから出た言葉は、待ってて
だった。
あの時、怒りにまかせて怒鳴って、自分をさらけ出していたら・・・・・・・・
惨めになりたくなくて、悔しくて、強がっていた。
ごめん・・・言い過ぎたね。
杉田くんは、皆に私が調子悪いから先にホテルに帰ったと伝えてくれていた。
夜になり、ホテルのレストランでディナーを楽しんだ。
コウジの事を、諦めて前に進もうと決めたら
久しぶりに、心から楽しい事を、楽しいと思えるし、美味しい物は、すごく美味しいと感じる事が出来た。
ディナーを終え部屋に戻ろうとした時
「結衣、ちょっといいかな?」
コウジだ。
「うん。」
「話したいんだ・・・浜辺でも散歩しよう」
二人で、夜の浜辺を歩く。
夜の海は、昼とは違いとても静かで、ほとんど人もいなかった。
「昨日は、ごめん。」
「私こそ、言い過ぎちゃった。」
「悪いのは、俺だから・・・杉田に嫉妬して大人気ない態度をとった・・・情けねぇよ」
「杉田くん?・・・・・・・」
「杉田、結衣の事、前から好きだろ?最近、妙に結衣と一緒にいるし・・・ここ来てからも、いつも側で結衣を助けてるだろ?
俺の役目なのに・・・結衣が、他の男となんて嫌だよ!」
「コウジ・・・・・・」
「頼むから、側に居てほしい。」
「コウジは、結婚してるんだよ。私だって、
受け入れられないくらい辛かった。でもね、
離婚出来ないでしょ?」
「離婚するよ!」
「いつ?」
「頑張るから!1日も早く別れてくるから」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「私は、コウジの事、諦めるよ。待たない」
「結衣・・・・・・・・」
昨日は、あんなに冷たく怖い顔していたのに
今は、優しくて、とても悲しそうな顔。
この先も、冷たくなったり優しくなったりするんだろうな。
コウジ・・・・・・・・・
自然に涙が出る。
「そんなに、辛いか?」
コウジの抱き締める腕が、強くなる。
「結衣、離したくないよ!」
「コウジ、辛い。」
コウジの腕は、緩み優しくキスをした。
涙が溢れ出てくる。
少し唇を離し
「辛いんだな…もう・・・俺も諦めないと駄目だな…」
コウジも泣いてる・・・・・・・・・・
私は、再びコウジに抱き付いた。
「コウジも辛かったんだね。私だけが苦しんでいるとばかり思ってた。ごめん。」
しばらく抱き合っていた。
「結衣、俺達、友達になれるかな?」
「どうかな?まだ、わからない。」
「友達なら、いいか?」
「うん。頑張ってみる。」
抱き合いながら、友達になった。
「そろそろ、戻ろう。」
「そうだな。」
浜辺を歩き始めると、手を繋いできた。
「ちょっと、友達は手は繋がないでしょ?」
「そっかぁ、ごめん。ごめん。」
私達は、部屋へ戻った。
1月1日
年賀状が届いた。
一枚、一枚、丁寧に見ていく。
すると、桑原と言うハガキが出てきた。
あれっ?
なんと、家族写真の年賀状。
コウジと友達になってからは、皆で遊んだりたまに、電話があったりしていた。
違和感のある、ぎこちない友達関係だった。
年賀状を見た瞬間、本当にコウジは友達だと思えた。
未練は、なくなり私の中でコウジは消えた。
家族写真、ありがとう。
心から感謝した。
1月2日
コウジから、電話があった。
「もしもし、あのさぁ・・・変な年賀状、ごめんな。アイツが勝手に出したんだ。」
「いいよ。幸せそうな写真だったね。」
「幸せじゃないよ。俺は、今でも結衣を思ってる。」
「もう、友達だよ。」
「なら、一番の友達になる!」
「どうかなぁ・・・・・・・」
今までとは違い、ドキドキしない。
何ともない!
少し話して、電話を切った。
年賀状以来、コウジとは顔を合わせば挨拶をするが、電話をしたりする事もなくなり、友達と言うよりは、会社の人って感じになった
私は、仕事と音楽活動に夢中で、恋愛からは
、しばらく遠のいた。
そして、春。
復帰以来、初めてのライブの日が来た。
ライブハウスを貸し切り、単独ライブ。
友達、昔からのファンで席は埋まり、知らないお客さんはいない状態で、アットホームな不意陰気だった。
暖かみがあって、観に来てくれる人達に感謝しながらも、いつかライブハウスを新しいお客さんでいっぱいにするぞ!と夢を描いた。
「こんばんは~、お久しぶりです。」
ステージから、皆の顔がよく見える。
入り口から、綾さんとシュンくんが入ってきた。
さり気なく、目で合図を送った。
3曲名も終わり頃、再び入り口のドアが開いた
コウジだ。
観に来てくれたんだね。
特に問題もなく、ライブは終わった。
メンバー達と楽屋で余韻に浸った後、お客さんの所へ顔を出した。
それぞれ、自分のお客さんの所へあいさつに回る。
すると、コウジに呼び止められた。
「ちょっと、いいか?」
なんだか機嫌が悪そうな感じだった。
外へ出て話をした。
「結衣、お前なんでバンド組んだ事、俺に言わないよ!今日のライブだって杉田から聞いたんだぞ!」
正直、なんで言わないといけないのか?と思ったが、
「ごめん。連絡とってなかったし、最近会わないから・・・・・・・・・・」
「はっ?普通連絡してくるだろ?」
なぜ?
「そんなに怒らないで。今日は、ありがとうね。」
「俺は、賛成してないから。変な男寄って来そうだし、ファンだって増えるだろ?」
「ファンが増えるなんて嬉しい事だよ。」
「バカか!俺は、嫌だ!」
だから、なぜ?
「とにかく、反対だから!」
そう言い放って帰って行った。
ポカ~ンとしたまま、しばらく立っていたが
気を取り直して、ライブハウスへ戻った。
綾さんとシュンくんをメンバーに紹介し、メンバーを二人に紹介した。
「ギダーのナオヤ。ベースのトモ。ドラムのヒデ。マネージャーのハナ。」
綾さん:「結衣をよろしくお願いします。」
ナオヤ:「はい!」
メンバーと二人とは、すぐに仲良くなり私の昔のドジ話しを綾さんに暴露されたり、盛り上がった。
綾さんは、19歳のライブ初心者の頃から応援してくれていて、来られるライブはすべて来てくれていた。
メンバーより、私の調子を知り尽くしていて、今日は良かった、今日は手抜きしたでしょ?など、バレバレだった。
一番のファンで、一番の先生。
シュンくんも、活動休止前の数回観に来てくれた事はあった。
今回のバンドには、熱烈ファンだぁ!って応援してくれた。
ライブ当日。
車で2時間ほどかけて、ライブ会場へ到着。
早く着いたのに、入り口にはファンの人達でいっぱいになっている。
半分以上が、女の子でバンド名の入ったタオルを首に巻いていた。
ライブハウスの中は、満員で立ち見でギュウギュウだった。
ファンの人達の熱気に圧倒され、ライブが始まる前から、テンションが上がる。
いよいよ始まる。
周りのテンションが更に上がり、キャーキャ
ーと女の子達の歓声。
パッとステージが明るくなり、
『ソル・ライ』
と、ギターボーカルが叫んだ。
その瞬間、時が止まった。
カッ、カッ、カッコいい!
背は高く、筋肉質な体に整った顔。そして、
オーラがすごかった。
歌い始めから、すぐに引き込まれ歌い方、ギターの弾き方、動き、すべてがカッコいい。
一曲目は、ボーカルをひたすら見ていた。
MCも面白いし、いきよいがあった。
途中から、少し余裕が出来て、ギター、ベース、ドラムをみると、全員カッコいいじゃん
最後には、大ファンになっていた。
ライブも終わり、しばらく放心状態だった。
「どうだった?よかったでしょ?」
ヒデに声をかけられ、ハッと現実に戻った。
「すごい。こんな凄いバンドがいるなんて・・・・・オーラもすごかった。さすが、
デビューしているだけある!」
「そうだろっ!」
私は、ソル・ライのタオルとCDを買った。
ファンの人達は、ソル・ライに一目会いたいと出口で待っていた。
するとヒデが
「楽屋行く?」
「えっ?えっ?楽屋?入れるの?」
「大丈夫、俺、ここのライブハウスのオーナーと知り合いで、ソル・ライに紹介してもらったんだ。そしたら、メンバーと意気投合しちゃって、そのまま打ち上げ参加させてたもらってさぁ。今日のライブ行く事も言ってある。」
ヒデ!凄い!
たしかに、ヒデは私より音楽歴も長くて顔も広い。
有名人と知り合いだったり、ビックリする友達もいた。
「行きたい・・・けど、緊張しちゃうよ。」
「大丈夫、いい人達だからさっ!うちのメンバー紹介したいし、行こ!」
オドオドしながら、楽屋へと足を運んだ。
コン コン
「はぁ~い」
中にソル・ライのメンバーが居る。
ドキドキして、心臓が爆発しそう。
ヒデがドアを開けると
「やぁ!ヒデ!」
「おはようっス!」
ヒデは、気軽に挨拶している。
私達は、恐る恐るヒデの後に続いた。勇気を出して中を見渡すと
眩しい!
メンバー達が、キラキラ輝いて見える。
「おつ、ヒデの知り合い?」
「バンドのメンバーだよ。紹介するよ。この子がボーカルで結衣、・・・・・・・
この前、デモ渡したメンバーだよ。」
《え~!!!ヒデ、私達のデモ渡したの?恥ずかしい・・・・・・・・・・・・・・》
「よろしく!」
ソル・ライのボーカルと目が合った。キャッ
!恥ずかしい。顔がカンカンに熱くなる。
「そう言えば、結衣達、ソル・ライのメンバー知らないよね。紹介するよ。
ボーカルの渉、ギターの真、ベースの和、
ドラムの海だよ。忘れてた、マネージャーのユッチィ。」
「どうも~!」
マネージャーのユッチィは、見ただけで吹き出してしまいそうな面白キャラ。
アフロヘアーで、カッコいいソル・ライの中に居ると癒される感じだった。
頭が、ポア~ンとしていて何を話したのか覚えていないが、ソル・ライは、この後、次のツアー場所に移動するから忙しいと言う事で
短時間で引き上げて来た。
ちゃっかり、買ったCDにサインを貰って。
帰り道、ソル・ライのメンバーの顔ばかりが頭に浮かぶ。
特にボーカルの渉の大ファンになった。
ライブ以来、車の中ではソル・ライのCDばかり聞いていた。
バンド練習の日も、時間があればソル・ライの話しで盛り上がる。
毎日、頭の中は、ソル・ライ一色で楽しくて仕方なかった。
毎週、土曜日の自分達のライブにも力が入る
より一層、メンバーとの結束が強まり、より良い演奏が出来るようになった。
ライブハウスも、新しいお客さんが入るまでに上達した。
今日も、チケットはなんとか完売し、満席の中、気持ちの良いライブが出来た。
ライブも終わり、お客さんと話していると
コウジが中へ入って来た。
「もう、ライブ終わっちゃったよ。」
「結衣、まだ、ライブしてたのか?」
「もちろん!何で?」
「俺は、反対してるだろ?」
すると、ヒデが耳元で
「彼氏?」
「違うよ。コウジ、外に出よう。」
2人で外へ出て、話しを続けた。
「ライブなんて、チャラチャラして男目当てだろ?」
「はっ?違うよ。」
「メンバー皆男だし、客も男が多いだろ?」
「私は、音楽がやりたいだけだよ。」
「メンバーの中に、結衣が好きなヤツとか居るだろ?」
「いません!皆、真剣にやってるのにバカにするような事、言わないでよ!」
「結衣が、鈍感なんだよ!」
「そんな話しする為に来たの?なら、帰って
!」
私は、走ってライブハウスの中へ戻った。
綾さんは、ギターの真がカッコいいと、すぐにソル・ライのファンになった。
マネージャーのハナは、面白いバンドだねって少し冷静な感じ。
シュンくんもは、ちゃっかりCDを買って、サイン貰うって張り切っていた。
コンコン
「はい~!」
今日も、ドキドキしてる。
心臓が爆発しそう。
ドアを開けるとソル・ライのメンバーがいた
やっぱり眩しい。
キラキラ輝いている。
ヒデとメンバー達が、楽しそうに話している
私達は、ただ突っ立って何も話せない。
綾さんは、真がいるぅって興奮して可笑しなテンションだし、シュンくんも、固まってサイン貰うどころじゃない。
すると、ドラムの海が、
「今から打ち上げ行くから、皆もおいでよ」
えっ?私達も?
やった~!!!
お店と集合時間を聴いて、楽屋を出た。
綾さんと抱き合って喜んだ。
そして、いよいよ打ち上げ会場へ行った。
お店の中に入ると、すでに人が集まっている
ソル・ライの関係者や、友達で30人ほど集まっていて、個性的な人達ばかり。
女の子達は、モデルのようにスタイルがよく可愛い人達ばかり。
場違いだ・・・・・・・・・・・・・・・
ソル・ライとは、随分離れた場所に座り、世界の違う人達なんだと、思い知らされた。
すると、ドラムの海が私達の席へ来た。
海:「楽しんでる~?」
ヒデ:「なんか、凄いっすね!!」
海:「何が?」
ヒデ:「皆、芸能人みたいだよ。オーラがすげぇ~し!」
海:「そんな事ないよ。ヒデ達だって、音楽やってるだろ?仲間だよ。」
海さん、何ていい人だろう。
ライブ中は、カッコ良くて、手の届かない人って感じなのに、話すと優しくて素朴な感じがする。
しばらく、海は、私達の席で話していた。
すると
「俺も入れて~!」
渉さんが来た。
ドキドキドキドキ・・・・・・・
緊張して、渉さんを見る事が出来ない。
ヒデと、何かを話していた。
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ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
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