繰り返した不倫

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2012/11/11 15:22(更新日時)

なぜあんなん人と、不倫をしたのか・・・・・・・


結婚していて、顔は悪く、背も低い、性格も悪く、嘘つき。


若い時の過ち。


今でも、胸が苦しく吐き気がする。


二人の男。


思い出しながら、ゆっくり書いて行きたいと思います。

No.1773359 (スレ作成日時)

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No.101

小久保さんは、私に気づくとすぐ火を消した。


私は、ゆっくり焼却炉へ歩いて行くと、無言ですれ違った。


苦しい。

「ねえ・・・・・・・・」


無意識に言葉が出てしまった。


「うん?」

小久保さんが、振り向いていた。


「・・・・・・・・・・・」


「何?」


何を言ったらいいんだろう?
言いたい事は、山のようにあった。

けど、言葉にならない。


「ごめん、何でもない。」

小久保さんは、そのまま工場の方へ行ってしまった。


冷たすぎる。


また、涙が出てきてしまった。
1日、何回泣くんだろう。

どうして、忘れられないの?
今まで、彼氏と別れても、振られてもこんなに辛くはなかった。
ご飯は、食べれたし仕事中に泣く事なんてなかった。

きっと、あの日、小久保さんに自分の本当の気持ちを言いたかった。
けど、会ってもらえず、終わってしまった。

あの日から、時が止まってしまっている。
今の状況が、まだ、信じられない。
夢に思える。

小久保さん、助けて。

No.102

長い1日も、やっと終わり帰りにいつも小久保さんと待ち合わせしていた、公園の駐車場へ行ってみた。


1ヶ月ぶりだ。
1人で、来るのは始めて。
暗くて、誰もいない。結構怖・・・・
小久保さんと2人だと、怖くなかったのになぁ。


また、涙が出てきた。

早く前に進みたいよ。


はっ!!!


シュンくんとの約束。


時計を見ると、もう20時になっていた。

急いで電話をする。


「もしもし、ごめんね。遅くなって。」

「お疲れ~、遅くまで大変だったね。
疲れてない?会うのまたにしようか?」


優しい・・・
どうして、そんなに優しいの?
小久保さんには、人としても見てもらえないくらい、冷たくされてるのに。


涙が止まらない。

「どうした?大丈夫?」

「うん、今からでも大丈夫だよ。」

「家まで、迎えに行くよ。」

家までの道順を教えた。


独身の、人は家まで来てくれるんだぁ。

小久保さんとの事で、感覚が麻痺してる。


急いで帰り、服を着替えてシュンくんを待った。

No.103

シュンくんから、着いたと電話があった。


外へ出ると、黒い大きな車が止まっていた。
小久保さんの車に少し似てる。

また、思い出しちゃった。


助手席の、ドアを開けると、

シュンくんだ。


「乗って~。」

「おじゃまします。」

シュンくんが、車を走らせた。

「何食べたい?」


う~ん・・・・・・・・
何も食べたくない。

最近は、食欲もなく、食べ物を見ると吐き気がする時もあった。


「あまり食べれないかも。」

「じゃぁ、俺がよく行く店でいい?
つまみが多いけど、美味いんだぁ。」


20分くらい走るとお店に着いた。

不意陰気のいい、静かな感じのお店。


「シュン、いらっしゃい。」

店のオーナーは、シュンくんの友達。
ナオヤくん。
最近、彼女に振られたらしい。

「結衣ちゃん、何飲む?」

「お茶で。」

「お茶で、いいの?」

「うん。」

食べ物は、オーナーの今日のオススメにしてもらった。

料理が出てくるまで、話しをして待っていた。

すると、カップルが入って来た。

よく見ると、女の人は妊娠している。

「あっ、シュンくんだぁ。」

「お~、久しぶりだなぁ。
お腹、大きくなってきたな。」


「一緒に座ってもいい?」

えっ・・・・知らない人と話す気分じゃないのに。

「駄目だよ。デート中。」

「いいでしょ、ねっ?彼女さん?」

「うん・・・・・・」


嫌だ!なんて、言えないよ。

女の人は、かなり強引に座って来た。
男の人は、後に続く感じで座った。


シュンくんが、私を見てごめん、の合図を送った。

2人は、宝来のお客さんらしい。
だから、シュンくんあまり強く言えないんだ。

No.104

私達の料理と、2人が頼んだ料理が運ばれた。

けっこうな量が並んでいる。

料理の匂いが、プンプンした。
気持ち悪くなりそう・・・・

「彼女さん、名前聞いていい?」

「あっ、結衣です。」

「私は、陽子。旦那のヨシ。宜しくねぇ。」


「結衣ちゃんも、よく宝来行くの?」

「はい。」

「シュンくんとは、宝来で?」


「えっ・・・・・」


「質問ばっかだ。俺達付き合ってないし。」


「そうなの?」

しばらく、あれこれ質問された。


見かねたシュンくんが、2人の話しに話題をかえてくれた。


「2人、仲良くなって良かったよ。」

「そう、私達さぁ離婚するつもりだったのよねぇ。」


えっ???


この話題やだなぁ・・・・・・・

No.105

陽子さんは、話しを続けた。


「結婚してから、毎日喧嘩でさぁ。
部屋の物どれだけ壊したかぁ、ねっ?ヨシの」


「スゴかったね。」

「本当に憎たらしくて仕方なかったわ。
離婚の話しが出た時に、妊娠がわかって・・・・
私、切迫流産で入院した時に、不安で毎日泣いてる私をヨシが支えてくれて。
やっぱり、この人と一緒にいたいと、思って。」


聞きたくない。
胸が、苦しく、辛い。


陽子さんは、まだ、話しを続けた。


「やっぱり、夫婦はそう簡単には壊れないよねっ。
毎日、ご飯作って、彼のパンツまで洗って・・・・・・。」


「おい、おい、ノロケ過ぎだぞ~。」



小久保さんも同じだったの?

私の知らない世界があった。
毎日、奥さんの料理を食べて洗濯してもらって・・・・・・

私を待たせている間に、愛が復活したの?


もう、小久保さんの事で頭がいっぱいになった。
何も聞こえない。

涙が、溢れてくる。


ゆっくり立ち上がり、フラフラしながら外へ出た。


小久保さんが、欲しい。

小久保さんが、欲しい・・・・・


奥さんへの嫉妬で、おかしくなりそう。


待ってたのに。
ずっと、待ってた!!!

No.106

もう、帰りたい。

戻って夫婦のノロケ話しなんか聞きたくない。


小久保さんに会いたい。



「結衣ちゃん、どうした?」

シュンくんが、お店から出てきた。


「ごめん、調子悪くて・・・疲れたのかなぁ?」


「じゃぁ、帰ろう。車で待ってて。」


さっきの話しが、頭の中をグルグル回る。
避けてきた小久保さんの家庭の想像をしてしまう。


家も知らないのに・・・・・


「お待たせ、大丈夫?
無理させちゃって、ごめん。」

「ううん、私が悪い・・・・・」


しばらく無言のまま、家に向かった。


「・・・・何か、悩んでたら言ってな。
聞くだけしか出来ないかもしれないけど・・・」


「ありがとう。」


もの凄く、モヤモヤしたまま家に帰った。

No.107

次の日、寝不足のまま会社へ行った。

今日は、支店へ行く日。
小久保さんを見るのも辛いから、丁度いい。


相変わらず暇だ。
お客様に出すDMを作っていた。
考え事をしても、出来る簡単な仕事。

小久保さんとの半年間の生活を思い出していた。
言葉、行動、見つめる目を思い出すと、間違えなく愛されていた。

なのに、急になぜ冷たくなったの?


あ~、駄目だぁ~。
気晴らしに、体を動かそうと外の新車の洗車でもしよう。


季節は、秋。
少し水は冷たいけど、気持ちがいい。

新車は、全部で6台ある。
全部、洗えば夕方になりそう。
頑張ろっ!

夢中で、洗っていると新車を載せた積載車が入って来た。

展示用の車だ。
また、1台洗車する車が増えてしまった。

No.108

「展示用の車、持って来たよ。」



えっ?・・・・・・・・・・・


小久保さんの声。


後ろを振り返ると、小久保さんが立っていた。


「はい。」


私は、返事だけして洗車を続けた。


すると、積載車で持ってきた新車を小久保さんが洗い始めた。


「あの・・・・いいよ。私洗うから。
本店忙しくないの?戻って。」


「いい。暇だから。」


そう言うと、目も合わせず洗車を始めた。


全く会話はないけど、同じ場所に2人で居られる事が、嬉しかった。


小久保さんは、洗車も早い。
早いのに、とても上手で車はピカピカになる。


あっという間に、1台洗った。


もっと、一緒に居たいのに。もう、帰ってしまう。


「他のも、洗ってくわぁ。」


「いいよ。私、洗うから。早く本店帰って。」


「手伝うわぁ。」


そう言うと、次の車を洗い始めた。
目も見てくれないけど、嫌われてないような気がして、嬉しかった。


なにも話さず、黙々と2人で洗車をした。


展開してある車がピカピカになった。


「ありがとう。本店の仕事大丈夫?」


「あ~、大丈夫。帰るわぁ。」


待って。待ってよ~。


「どうして?手伝ってくれたの?
私の事嫌いでしょ?」


思わず聞いてしまった。
また、冷たくされる・・・・・・
怖い。


「太陽の日差し、苦手だろ?」


積載車に乗り込みながら、言った。
そのまま、店を出て行ってしまった。

私が、日差しが苦手って覚えていたんだ。
日差しを長時間浴びていると、体が痒くなってブツブツが出来る。
夏でも、長袖を着たりカーディガンを羽織っていた。


だから・・・・・・・・・・・


ありがとう。


ドキドキが、止まらない。

久しぶりの優しい言葉。嬉しい。


夢のような1日だった。

ぼゃ~としていると、営業さんが外周りから、帰って来た。

No.109

「澤田さん、ごめん。今からお客さんの所に納車があって。
迎えに来てくれないかな?」


今からかぁ・・・・・
本店戻れるの、20時過ぎる。
小久保さんに、今日のお礼言いたかったのに。帰っちゃうなぁ・・・・・・


しぶしぶ、迎えに行った。

やはり、帰って来たのは20時前。

ゆっくり、本店へ帰った。
時間を見ると、もうすぐ20時30分になる所。


駐車場に車を置き、お店に歩いて行くと工場にまだ灯りがついていた。


あれ?まだ、誰か仕事してるんだ。


工場の前を歩いていると、工場長とすれ違った。

「結衣ちゃん、今日は、遅かったね。」


「サービスの人も、残業ですか?」


「小久保の担当の車がなぁ。
原因不明の異音で、調べてて。まだ、原因がなぁ。」


「そうなんですか?」


「昨日から、小久保、頭悩ませてる。
神経質なお客さんで、ちょっとの音でもクレームが来るんだ。
小久保も、ピリピリしてるわぁ・・・」


そんな時に、私の洗車を手伝ってくれたの?


胸が、キュンとした。


急いで、1日の報告書を書き仕事を終わらせた。

No.110

ドキドキしながら、ソッと工場の中を覗いた。


小久保さんだ。


真剣な表情で、車を整備していた。


こんな時に、声を掛けたら絶対無視だろうなぁ。
けど、さっきの小久保さん。
いつもと違ってた。冷たかったけど、優しかった。


今日のお礼を言う口実もある。

周りに誰もいない。

今しかない。


ゆっくり、工場の中へ入って行った。


集中している小久保さんは、まだ私に気がついていない。


小声で、声を掛けた。

No.111

「お疲れ様。」


あっ、気がつかない・・・・・・


しばらく、小久保さんを見つめていた。


気配を感じたのか、私に気がついた。



「あっ、ビックリした~。」


「ごめん。お疲れ様。」


「・・・・遅いねぇ・・・残業してた?」


「うん・・・小久保さんこそ、洗車なんてしてる場合じゃなかったんじゃない?」


「別に・・・・気晴らしだよ。」


「ありがとう。忙しかったのにごめんね。」





イソイソと立ち去ろうとすると、


「結衣!!!」


振り向くと、小久保さんが私を見つめていた。
久しぶりに、小久保さんが私を見てる。



ドキドキ・・・・・・・・・・・


「遅いから、気をつけて。」


「うん。小久保さんも無理しないでね。」


「うん。」



工場を出て、駐車場へ歩く。


涙が、溢れてきた。


大好き・・・・・・・・・・・




今日の小久保さん、いつもと違う。


少し、人として見てくれた気がする。

No.112

次の日も、ドキドキしていた。


支店の仕事を終え、本店に戻ると、
サービスの事務所で、小久保さんと次長が話していた。
まだ、異音の原因が解らないらしい。

お客さんが、車に乗っている時に後ろからギシギシ音が聞こえくるらしいが、整備士の誰が乗っても確認出来ないらしい。


小久保さんは、疲れきった顔をしている。



心配・・・・・



でも、私には何も出来ない。


癒やしてあげられるのは、奥さんしかいない。



給湯室で、コーヒーカップを洗っていると、小久保さんが入って来た。



「コーヒー飲ませて~。」


アツアツのコーヒーを入れてあげた。


「仕事、大丈夫?」


「あ~、困ってる。お客さんの言ってる音が解らなくてさぁ。」


「小久保さんでも、解らない事あるんだぁ。」


「いっぱいあるよ!」

「そうかぁ、大変だね・・・・」


「コーヒー飲んだら、元気出た。戻るわ。」


「・・・無理しないでね。」

「おぅ。」



そう言うと、部屋から出て行った。



大好き・・・・・・・



奥さんと別れるのを待っていた頃より好き。



小久保さんしか見えない。

No.113

また、全く話さない日々は続いた。


小久保さんは、1週間ほど異音の車の整備に追われて、毎日夜遅くまで残業だったらしい。

そして、無事に解決し車はお客さんの元へ返された。


小久保さんへの大好きな気持ちは、止められない。
だからと言って、何をする訳でもなく、好きな気持ちに素直でいたいだけ。

遠くから、そっと思いを寄せていたい。

叶わなくてもいい。

他に好きな人が出来るまで、また、片思いしていたい。



もうすぐで、季節は冬。

何となく人恋しくなる季節。


小久保さんとよく待ち合わせをして会っていた公園の駐車場へ行き、思い出を振り返ったりしていた。


今日も会社帰りに公園へ行った。

No.114

いつものように、車を止め思い出を振り返る。


周りには、大きな木が沢山ある。

誰も居なくて暗い。

ポツリとある少ない電灯。

何回も来ていると、怖くなくなりこの暗さと静けさが、妙に落ち着く。


こんな気持ちでなければ、長くは居られない場所だろうな。



しばらく、景色を眺めていると



一台の車が入って来た。


めったに車は来ないのに、珍しい。



少し怖くなり車のエンジンをかけた。



見ると入ってきた車が、こっちへ近づいてきた。


早く行こ。
と思いバックミラーを見ると




あれっ??????



暗くて良く見えないけど、ヘッドライトが外車っぽい。



うん?????????



どんどん近づいて来て、隣に止まった。



あれ?????????



黒色?大きな車???????



あっ・・・・・・・・・・・



小久保さんの車???


まさか、こんな所に来る訳ないよね。
よぉ~く、運転席を見てみると、小久保さんさしき人が・・・・・・・・・



ヤバい!!!!
なぜか、すごく見られてはいけない物を見られてしまった気分。

どうしよう。

頭が、パニックだった。

このまま帰ろうか?
降りて確認しようか?
電話してみようか?


どうしよう・・・・・


考えている内に



ドン!!!


見ると小久保さんが降りてきた。


やっぱり小久保さんだ。


下を向いていると


コンコン。


小久保さんが、助手席のドア側に立っていた。



窓を開けると


「何してるの?女の子が危ないぞ。」



「ちょっと・・・・休憩。」



「休憩???家近くなのに?
危ない!!!駄目だよ!!!」


「そう?そんな危なくないよ。」


・・・・・・・・・・・・・



「小久保さんこそ、どうしたの?」



「・・・・・・・散歩しようかと」



「散歩???????」



「参ったなぁ・・・・ここで会うなんて・・・・」



どうしよう・・・・
このまま帰ったら一生後悔しそう。
もう、こんな偶然ない。

今なら、小久保さん普通に話してくれてる。



「ちょっと、乗って・・・・」


勇気を出して言った。

小久保さんが、助手席に乗ってくれた。



・・・・・・・・・・・・



しばらく、沈黙が続いた。



「・・・散歩・・・・するの?」


「あっ・・・・しない・・・」


じゃぁ、なぜ・・・・・

No.115

はぁ・・・・・・・・・




小久保さんが、ため息をついた。



「本当、凄い偶然だよな。こんな所で
・・・」



「私・・・小久保さんが、忘れられなくて辛くて。
ここに来ると、少し落ち着くから・・・」



「俺も・・・・・・・」



「えっ?私の事嫌いでしょ?」


「嫌いじゃないよ。」


「じゃぁ、どうしてあんなに冷たくするの?どれだけ、辛かったかわかる?」


「ごめん・・・・・」


・・・・・・・・・・・・


「ねぇ、どうしてあの日会ってくれなかったの?
あの日から、時間が止まってるの。
すごく・・・辛かった・・・・・・」



泣いて上手く話せなくなった。


「どうしても言わなきゃ駄目か?」


「気になる。
急に冷たくなって・・・会わないって言われて・・・・・話してもくれなくて・・・・・」



「ごめん・・・・・・・」



「どう・・・・して?」




「結衣と喧嘩した少し前に、アイツから電話あった。」




「アイツ???
・・・・・・奥さん????」




はぁ・・・・・・・・

No.116

「離婚話しが進んでて、アイツが実家に居る間に、別れるつもりだった。
けど・・・急にもうすぐ帰るって連絡あって・・・・」


「それで?」


「帰ってくるなって言ったけど・・・・
結衣と会う約束してた日。
歓迎会の時、帰って来たってアイツから電話あった。」



涙が、止まらない。
あれだけ、気になっていた理由を聞いているのに、耳を塞ぎたくなる。


でも、聞かなきゃ・・・・・・

No.117

「話しがあるから、歓迎会終わったらすぐ帰って来いって。
・・・・どんな話しか予想がついた・・・・
結衣を巻き込めない・・・・・」



「奥さん、どんな・・・話しだったの?」




「別れない・・・って・・・」



体が震えた。
泣き崩れ、息が出来ない。



諦めなくてはいけないと、分かってた。

言葉にされてない分、どこかで期待してた。


もう、待っても意味がない。

小久保さんとは、一生、結ばれない。


こんなに、好きなのに。

現実が、一気にのしかかって来た。



苦しい・・・・・・・・


「別れないから・・・・私に・・・冷たくしたの?」




「・・・・別れる・・・・けど、時間がかかる。
結衣を待たせられない。」


「そんな・・・・・・・・・」



「冷たくしたのは・・・
結衣に嫌われたかった。ハッキリ出来ないのに、会ったり出来ないし、俺も結衣を忘れないと会いたくてたまらなくなる。」



・・・・・・・・・・・・・



「でも・・・どんなに努力しても、忘れられない。
結衣が、心配だし気になって気になって仕方ない。」



涙が、止まらない・・・・・・

No.118

「支店に来てくれた時・・・・・」


「あの時は、仕事で行き詰まってて・・・結衣に会いたくて、自分で支店に新車運ぶって名乗り出た。
・・・・すげぇ・・・癒された・・・
洗車する時は、帽子かぶれよ。」



「心配して・・・手伝って・・・」



「忘れないといけねぇのに、全然ダメで。
会いたくて、会いたくて・・・・気づいたらここに、来てた。」



「・・・・もう・・・・・忘れないといけない・・・・・よね?」



「もっと、早く出会いたかった。」




「そんな・・・・・・事言わないでよ!」



悲しい・・・・・・・・・・



「もう、待っててもらう事出来ないから・・・・いつ別れられるか・・・」



「だったら・・・始めから好きなんて言わないでよ!
こんな、思い出の場所に来ないで!!
どんな気持ちで待ってたと思う?
電話も出来ないし、会いたいとも言えない!いつ、別れるかも、聞けない!
辛かった。本当に辛かった。
わかる???
小久保さんにわかる???」




怒鳴っていた。

小久保さんが私を抱き寄せる。



「ごめん。
大好きなんだ。結衣。
これからも、ずっと思ってる。」



「もう、冷たくしないで。普通でいてよ。」



「結衣・・・・・・わかった。」




しばらく、抱き合っていた。

離れなくない。
けど、今離れないと帰りたくないとワガママを言ってしまいそう。


「そろそろ帰らないと・・・」


「そうだな。結衣・・・いろいろごめん。辛い思いさせて・・・」


「辛いのは、これからだよ。
だから、気が変わらない内に早く降りて。
別れて私と付き合ってって、愚図る前に。」



小久保さんは、車を降りようとドアを開けたが・・・・・・・



もう一度、私を抱き寄せキスをした。


小久保さんとの初めてのキス。


こんな最後に・・・・・・


「結衣・・・・ずっと好きだから。」



そう言うと、車を降りて行った。

No.119

ぼゃ~としながら、なんとか家に帰ってきた。


現実。


もう、小久保さんとは付き合えない。


一晩中泣いた。

泣いたのに、泣き足りない。


しばらくは、かなり涙もろくなり少しの事ですぐ泣いてしまう。


明日の仕事どうしよう?
普通に、していればいいの?

No.120

次の日。

なんとか、仕事に行く。

今日も、支店の仕事だった。会いたいような会いたくないような微妙な気分。
会ったら、どうしたらいいんだろう?
今までみたいに、冷たくされたら怖いし。

もう、完全に終わった私の恋なのに小久保さんの事ばかり考えちゃう。
小久保さんが、奥さんと別れない限りどうにもならない。



支店の仕事を終え、本店に帰った。

駐車場から工場を通りショールームまで行く。
一通り探したけど、小久保さんの姿は見当たらない。
ホッとしたような、ガッカリしたような、よくわからない・・・・・・


急に小久保さんが、洗車場から出てきた。


えっ、ここにいたんだ。


すれ違う時、恐る恐る顔を上げた。


「結衣、お疲れ~。」

「お疲れ様~。」


無視されなかった。
嬉しい。

No.121

それかは、小久保さんは普通に接してくれた。

電話もないし、個人的に会う事もないけど、会社で会った時は、無視もされない。

気持ちは、随分楽になった。

ハッキリしない状態は、本当にキツい。

私が、ただ小久保さんを諦めればいい。
それが、出来るなら初めからこんなに苦しむ事はなかった。


土日休みを使って少しずつ忘れよう。
会わなければ、頭の中から消えるはず。


しかし・・・・そんなに甘くはなかった。



土曜日。

綾さんから、電話があった。
誕生日会をしてくれるとの事。
いろいろあって、すっかり忘れていた。


おしゃれなお店を予約してくれて、2人で静かな誕生日会。
ステーキがメンイのコース料理。

彼氏が居なくても、寂しさはなかったけど小久保さんと過ごせない寂しさはあった。

おめでとう、の電話が掛かって来ないかと、ほんの少し期待したけど・・・来るはずもない。

コース料理に満足して、2人でカラオケにいく事にした。

綾さんとは、カラオケによく行く。
2人でノンストップ12時間でも歌えるほどのカラオケ好き。


この日も、すでに12時を過ぎていた。


「ねぇ、結衣、お腹すかない?」


「そうだねぇ」


コース料理は、上品な感じだったのでお腹いっぱいにはならなかった。


「宝来、行こうよ」

「宝来、1時まででしょ。間に合うかな?」

「今からすぐ行けば大丈夫だよ」


私達は、急いで店を出て宝来へ急いだ。

No.122

宝来へ無事到着。

「いらっしゃい」


シュンくん・・・・・・


「何にする?」

「いつもので」


「はいよ~」


閉店間際に行ったから、いつもよりお客さんは少ない。

私達のラーメンが来る前に、他のお客さんは帰って行った。


貸し切り状態。


「ごめんね。もう閉店時間じゃない?」

「いいよ、貸し切って!」


シュンくんは、他の従業員も先に上がってと帰らせていた。

申し訳ない。


ちょうど、シュンくんが店の片付けが終わった頃、私達も食べ終えた。



「じゃぁ、私、先帰るわ」

「ちょっと、綾さん・・・」

「シュンくんに送ってもらってよ」


「えっ?どうゆう事?」


「結衣ちゃん、ごめん。綾さんにお願いした」



そうゆう事かぁ。
気がつかなかった・・・・・


綾さんは、私を置いて先に帰った。

No.123

シュンくんは、カウンター席の私の隣に座った。


「この前は、ごめんね。急に帰る事になっちゃって。」

「俺こそ、無理させてごめん・・・ちょっと待ってて。」


そう言うと、席を立った。


少し気まずいけど、このドキドキ感、悪くない。


「はい、お誕生日おめでとう」


「えっ?凄い!!!」


今まで見た事ないくらいの大きな薔薇の花束。

感動して、涙が出て来た。


シュンくんは、私の頭をヨシヨシしながら


「結衣ちゃん、この前、元気なかったから心配だったよ。」


「ありがとう。凄く綺麗、元気になったよ」


「俺、結衣ちゃんの事大好きなんだ。側にいてほしい。」


「私なんか、好きでいてもらえる女じゃない」


「どうして?結衣ちゃんは、素敵だよ」

「違う・・・素敵じゃない」


奥さんのいる人好きになって、愛してもらう資格はない。


「俺は、結衣ちゃんじゃないと駄目なんだ。付き合ってほしい」


「ごめん・・・無理なんだ。」


「好きな人いる?」

「うん・・・片思い。なかなか諦めれなくて・・・」

「じゃぁ、諦めれるまで待つ」

「絶対、駄目!!!」

今まで、自分が別れるまで待っていた。
本当に待つのは辛い。
人を待たせるなんて、有り得ない。

No.124

「迷惑かな?好きでいるのも駄目かな?」

「迷惑なんて・・・私も今まで好きな人を、待ってたの。
辛くて苦しかった。結局、待っても結ばれなくて・・・今でも引きずってる」


「俺は、待ってても辛くない。
片思いも、楽しいよ。」


はっ!とした。

結婚してる人を好きだから、こんなに苦しいの?
普通は、片思いでも楽しいの?


「とにかく、待たないで。
シュンくんなら、モテるでしょ?凄く可愛いお客さんのシュンくん見る目、ハートになってたよ」


「結衣ちゃんは・・・・特別だよ・・・」

「・・・・・・」

「初めて店来てくれた時に、一目惚れしたんだ。
話しているうちに、どんどん好きになってさぁ。
最近、来なくて・・・・・・・
結衣ちゃんと、もっと一緒にいたいなぁって思ってさっ・・・・・」


「ごめんね。私、まだ・・・他の人好きになれないと思う」


「そっかぁ・・・」

「シュンくんは、私には勿体無い」



「じゃぁ、友達でいて。絶対、待たないから」


「うん!」

「よしっ、この話しは終わり」


朝まで、いっぱい話した。

久しぶりに、沢山笑った。

No.125

朝方、家まで送ってもらった。

「ありがとね。素敵な花束もっ。」

「また、連絡する。友達だから遊んでくれるよなっ。」


「うん」


シュンくんと別れて、家に入った。



携帯の着信を確認する。
小久保さんからの、おめでとう電話もメールもない・・・


私、何やってるんだろう?

一刻も早く忘れないと、幸せにはなれない。

わかってる。


でも、忘れられない。



お昼近くまで、寝ていた。


ピピピ~

綾さんからだ。



「もしもし、シュンくんとどうだった?」

「うん・・・付き合って言われたけど断わっちゃった。
私、バカだよね。」

「結衣、まだ・・・あの人、引きずってるの?」

「自分でも、どうしたらいいのか分からない」

「結婚してるくせに、結衣に待てとか、冷たくしたり優しくしたり。おかしいよ。
早く忘れて、シュンくんと・・・」


「シュンくんとは、友達だから。」

「結衣・・・・・」


こんな時でも、1日、小久保さんが何回も頭の中に出てくる。


もう、消えてよ・・・・・・・

No.126

シュンくんとは、友達としてよく遊ぶようになった。


私が、誰を好きなのかシュンくんは、知らない。
知ったら怒られるだろうなぁ。


小久保さんとも、相変わらず電話もないし、個人的にも会ってない。

けど、会社では元通り仲の良い友達を装っていた。



寒い冬になり、また、忘年会が近づいていた。


あれから、一年・・・・
早かったなぁ。

小久保さんの事は、少しずつ諦めれるようになってきた。

大好きな気持ちは、薄くなっていき本当の友達になりかけてきた。


あの日、あそこへ行かなければ・・・・このまま忘れる事が出来たのに・・・・・・

No.127

忘年会。

去年とは違い、小久保さんが何処で、誰と話していても、それほど気にならない。

小谷さん達と、楽しく忘年会が出来た。


大晦日。


綾さんと、宝来の人達と一緒にシュンくんの友達のお店でカウントダウンを待った。


美味しい料理に、楽しい仲間。
すべてを忘れてその場にいた。

何ヶ月振りだろう。

前に、シュンくんとここに来た時は毎日泣いていて、妊婦さんに過剰反応して途中でかえったよな。


今では、信じられない。


よく頑張った。

No.128

当たり前のように、シュンくんの隣で飲んでいた。


お酒を飲むのは、久しぶり。
すごく、お酒が弱いので殆ど飲まない。
飲んだ後の気持ち悪い感じが駄目だった。

今日は、カクテルをコップ半分飲んだだけで、顔は真っ赤。
気持ち悪くなる前に、酔いをさまそうと外へ出た。


寒い。

コート羽織ってくればよかった・・・・


震えながら酔いをさました。

すると、店のオーナーでシュンくんの友達のナオヤくんが店から出て来た。


「顔、真っ赤だね。あれだけで?結衣ちゃんは弱いなぁ。」

「私は、食べる専門なの!」

「へぇ~、あれだけで酔えるなんていいなぁ」


「ナオヤくんは、強いの?」

「酔えないよ。特に彼女に振られた時は、酔いたかった。」

「辛かったんだぁ」

「まぁ~ね、浮気されててさっ」

「そうなの・・・」

「もう、忘れたけどなっ。
結衣ちゃんは、シュンとどうなの?」

「友達だよ。シュンくんは、私には勿体無いよ。」

「そうかっ?シュンも同じ事言ってたぞっ。結衣ちゃんは、俺には勿体無いってな。」


「そんなん・・・・」

「本気だったみたいだよ。店の女の子と友達にだってなった事ないんじゃないかなぁ。」


「そうなんだ。よかった友達になれて。」


「結衣ちゃんの彼氏。俺立候補しようかなぁ。
このまま、2人でどっか行っちゃうか?」

「ナオヤくん、軽すぎ」

「その方が、気が楽だろっ?」

と言うと、私にコートをかけてくれた。

No.129

「そろそろ戻ろうかなぁ」

少し気まずかったので、中に入ろうとすると、

「ちょっと待って。」

と言うと、手を握ってきた。

「もう、酔ってるでしょ。しっかりしてよ!」


「だから、俺は酔わない。」

何なの?
握られてる手が痛い。

絶対、酔ってる。何だか目つきが怖い。


「もう、離してよ。店の中に入りたい。」


「駄目だ!!どっか行こうよ」

「無理だよ。綾さんもシュンくんも居るんだから。酔いをさましてよ。」


「酔ってません!!!
さぁ、歩きましょ!」

物凄く強い力。
手が切れそう。

シュンくんの友達だ。
心配ないよねぇ。シュンくんの気持ちも知ってるし。

No.130

店の駐車場を出た所で、不安になった。

「ちょっとぉ、離してよ。戻りたい!」

「何処行こうかぁ、タクシー呼ぼうかなぁ」


絶対、酔ってる。


「ナオヤくん、しっかりしてよ!」

「うるさいなぁ。俺、浮気されて落ち込んでる。慰めてよ。」

「なんで、私が?」

「シュンを振って、好きなヤツと上手くいってるんだろ?幸せだろ?」


「はっ?何それ?」

「とにかく、行こうよ」

ナオヤくんは、よろけながらも凄い力で引っ張る。


「もう、離して!!!」

駐車場の方へ、戻ろうとすると後ろからギュッと抱きしめてきた。


「いい加減にして!!!」


本当に嫌。
止めてよ~。


大声で、何回も叫んだ。

「結衣!!!」


綾さん・・・・・・・・・

No.131

駆け寄って来た。

「ナオヤくん、何してんの?」

「おぅ、綾さん」


やっと、離れてくれた。

私に掛けてくれたコートを取り店に戻ろうとするナオヤくん。

「ちょっと、結衣に何した?」

「別に。ちょっと付き合ってもらいたかっただけ」


「そんな感じじゃなかったけど。」

「結衣ちゃん、大袈裟なんだよ。」


と言うと、ナオヤくんは店に戻った。


「結衣・・・・・・」


腕がズキズキ痛む。

見ると赤くなり爪で引っ掻いたような傷があった。


「これ、ナオヤくんが?」

「私、バカにされてるよね。」

「許せない、ちょっと言ってくる。」


「何もなかったし・・・・」


「ケガしてるじゃん。
何もなかったにしても、結衣、長い時間戻って来なかったよね。その間・・・言ってくる。」


「もう、帰ろ。この店に来るとロクな事ない。」

No.132

恐る恐る、店に荷物を取りに行った。

シュンくんは、女の子と話していた。
顔見知りなのか、妙に親しそうに。

あなたの友達、最悪だったんだよ。
何、呑気に女と話してるの?

シュンくんの側へ行き

「先、帰る。」

とだけ言い、綾さんと店を出ようとする。

ナオヤくんは、居ない。
お店の男の子に聞いてみると、
奥で寝ているらしい。

呑気な人。
覚えてすらいないだろうなぁ。

手、腕、痛いんですけど・・・・・


私達の分のお金を払い店を出ると


「結衣ちゃん、どうかした?何か怒ってる?」

「起こるも何も、ナオヤくん、最低だね。」

と綾さんが言う。

「あいつ、何かした?」

「結衣を無理やり連れ出そうとした。手と腕見てよ!」


綾さんは、私の腕をシュンくんに見せた。

私は、放心状態でどうでもよかった。
バカにされてる事が、ショックでこの場から、早く立ち去りたかった。

「結衣ちゃん・・・・あいつ、何した?」


「浮気されてショックだから、慰めてほしいって。
どっか行こうって無理やり引っ張られた。酔ってたとはいえ、もう会いたくない。」


「ごめん・・・あいつ、酒癖悪くて・・許せないな。」


友達の事だけに、シュンくんもショックを受けていた。


「なんで、結衣ちゃんにそんな事・・・」


「とにかく、今日は帰るから。」


呼んでいたタクシーが来た。


綾さんと乗り、家まで帰ってその後も家で一緒にいた。

No.133

最悪な年越しになった。

朝まで、綾さんと話していた。
ナオヤくんの悪口は、すぐに言い飽きてしまい、昔の思い出話しに花がさいた。

中学生の時に付き合っていた人の話しや、ハチャメチャな事をしていた頃の話し。

不思議とナオヤくんへの怒りも無くなった。


朝ごはんを食べて、綾さんは帰った。


冷静になると、私も少し酔っていたんだろうな。

今なら、もう少し上手く断れた気がする。


ふっと、シュンくんとナオヤくんの事が気になった。

小久保さんとの事以来、自分から電話するのが苦手になってしまった。

相手が今何をしているのか、分からないから怖い。

よっぽど親しい友達以外、電話はほとんどしない。


シュンくんに電話出来なかった。



1日。

実家に帰ろうかと思っていたが、疲れているし1人でいたい気分だから、明日にしよう。


ビデオをレンタルして、のんびりした。

恋愛からアクションまで観て気がついたら夜。

正月から、何しているんだろう?
急に寂しくなる・・・・・・・

23時。


携帯が鳴った。



・・・・・・・・・・・・・


小久保さん?



たしかに、小久保さんだ。


どうしたんだろう?


不思議に思いながら電話に出た。



「もしもし……‥」

「ごめん、忙しい?」

「忙しくないけど・・・・」

「神社、行った?」

「行ってないけど・・・」

「今から、行かないか?」

「???」

「俺も行ってなくてさぁ。無理かな」


なんだろう?
友達としてだよなぁ。

「いいけどさぁ・・・どうして・・・」

「なんとなく、連れは皆付き合ってくれないし・・・」

「ふぅ~ん・・・」

「今から、迎えに行くよ。」

「私、ノーメークだし凄い格好だけど笑わないでよ。」

「今更、気にならん。」

気にしてよ・・・・・・・・


こうして、小久保さんと2人で神社へ行った。

No.134

久しぶりに一緒に車に乗った。


今までは、奥さんの事が気になったり言いたい事、聞きたい事も聞けず辛い気持ちで会っていた。


今日は、憂鬱な気持ちもなく本当の友達になれたような気がした。

すごく、楽しい!





油断した・・・・・・・・



夜中なので、誰も居ない。
肝試し感覚で、ダッシュで競争しながらお参りをして車に戻った。

笑いが止まらない。

2人でケラケラ笑った!

テンションも上がり、カラオケに行く事にした。

小久保さんは、歌う事が苦手で俺は音痴だぁ、なんてよく言っていた。

必死で歌う姿が、面白くて又笑いが止まらない。


朝までカラオケをし、モーニングへ行く。

まだ、テンションは下がらない。
小久保さんの話しが面白くて笑ってばかり。

顔の筋肉が痛くなってきた。

楽しい朝食を食べ、車は家へと向かった。



帰りたくない・・・・・・・

No.135

「結衣、久しぶりに公園の駐車場行こうか」


「うん。」


車は、駐車場へ入っていった。

頻繁に来ていた頃と、気分は全然違うけど、あの頃の憂鬱な気持ちが蘇る。
二度とあんな待つばかりの生活はしたくない。


「今日は、楽しかったなっ。結衣と普通に付き合っていたらすっげぇ楽しいだろうなぁ」


「変な事言わないで!」



・・・・・・・・・・・・・



「彼氏出来た?」


小久保さんが、聞きづらそうに言う。



「まだ、いない。すぐ、彼氏つくるよ。」


「結衣・・・・・・・・・」


小久保さんは、私をジッと見つめていた。
嫌。ドキドキする。
心臓の音が、小久保さんまで聞こえそう。何か話さないと・・・・



「小久保さんの歌、面白かったね。あんな必死な姿、あんまり見られないよね。」



「結衣・・・アイツ、又、出て行った。」


アイツ・・・・奥さんだ。


「へぇ、そんな話し私にしないでくれる?」



「忘れられない。大好きだよ、やっぱり結衣じゃないと駄目だ。」



「止めて!!!私がどんな思いで諦めたと思う?
やっと、平気になって泣かなくなって、ご飯も普通に食べられるのに。
奥さんと仲良くしてよ!!!」


「無理だ。今度こそ、離婚する。アイツの実家に行って別れてくる」



「別れなくてもいい。私は、望んでないから。もう、嫌なの!!!
電話出来なかったり、待ったり、少ししか会えなかったり、辛すぎる。
私は、彼氏がほしい。普通に付き合ってくれる彼氏!!!」



「付き合って!!!」



「・・・・・はい????付き合うって、冗談でしょ?」



「本気だよ。どうしても結衣と一緒にいたい。」



「全然、会えないくせに!電話も奥さんいたら出られないくせに!よく言うわ!」



「結衣!」



小久保さんが、抱きしめてきた。




ドキドキ・・・・・・・・・

No.136

「ちょっと・・・・・」



すごく、ドキドキする。
なんで????
忘れたのに。努力したのに・・・



「俺、結衣の事忘れたいのに忘れられない。
努力したのに、結衣が頭から離れない。」



「とにかく、離して。」



これ以上、抱き合っていたら気持ちが戻ってしまいそう。
しっかりしないと!!!


「離したくない。もう、離さない。
待ってとかも言わない。付き合ってほしい。俺が、離婚する前に結衣に好きな人出来たら、俺が、諦めるから。」




「不倫するって事?」


「すぐに不倫じゃなくなるよ。」



頭の中が、グジャグジャだ。
無理矢理、気持ちを抑えて忘れようとして来たのに、抱き締められただけで、閉じ込めた感情が溢れてきそう。



まだ、好き・・・・・・・・・・

No.137

「私、もう辛い思いも寂しい思いもしたくない。」




「いつでも、電話して。いっぱい会ってデートしよう。もう、寂しい思いはさせないよ。」



「私に好きな人出来たら別れてくれるの?」




「あぁ、その前に離婚するけど。」



「奥さんとの事いろいろ聞くよ。早く別れてって急かすよ。」



「うん、それでも一緒にいたい。
もう、離さないから・・・・・」



「うん……ねぇ、今日から小久保さんって私の彼氏なの」



「うん、ってか、小久保さんって止めない?」



「なんて呼べばいい?」



「マサでいいよ」



「マサ、なんか照れくさいなぁ。」



照れている私にマサは、優しくキスをした。

マサとの両思いが分かってから、一年。
ただ、会って話して中途半端な私達から、付き合う、そう不倫が始まってしまった。


遅くても、夏までには友達や親にマサを合わせたい。
彼氏と堂々と言える日は、遠くないと信じていた。

No.138

その日も、夜まで一緒にいた。

こんなに、長い時間一緒に居るのは初めてだった。
1日一緒にいても、まだ、足りない。


マサは、私の家に泊まった。


マサに抱かれた・・・・・


やっと、一つになれた・・・・


幸せで、次の日も布団の中で2人でイチャイチャしていた。



何気なく携帯がバイブになっている事を思い出し見てみると
シュンくんから、何件か着信が入っていた。

この前の事かなぁ・・・・・

マサと付き合ったから、なんとなく、電話しにくい。
その後の着信も出ないでいた。



明日から、仕事だ。

ずっと一緒だったのに、離れるのが寂しい。
しぶしぶ、バイバイした。


部屋に1人・・・・・・
今までと変わらないのに、マサが部屋に入った瞬間から違う部屋になったみたいな気がした。

なぜか、泣けてくる・・・・

信じてるから、いつかずっと一緒に。



ピンポーン



誰だろう????



「はい」


「俺だよ」


マサ?
帰ったはずなのに?急いでドアを開けた。

マサは、照れくさそうに
「明日、早く起きて帰る。夜も一緒にいよう。」


嬉しくて、抱きついた。

そして、また、抱かれた・・・・・・・・

No.139

次の日、マサは朝早くに帰り私も会社へ行く支度をした。

出勤時、久しぶりのおはようコール。
さっきまで一緒に居たのに、声が懐かしい。

本店の日は、給湯室で、一緒にコーヒーを飲むのが日課になった。
支店の日は、お昼休憩の時に必ず電話で話した。


支店の日。

お昼休憩に電話しても出ない、かかっても来ない。

どうしたんだろう?
トラブルかなぁ?

心配で、ご飯どころではない。


ピンポーン


お客さんかなっ?


見に行くと・・・・・



「マサ!!!!」


「結衣!ビックリした?」

マサが、内緒で会いに来てくれた。
嬉しくて抱きついた。

「心配したんだよっ」

「ごめん、会えて嬉しいよ」


優しくキスをした。
何回も何回もキスを・・・・・・


今まで、抑えていた気持ちが溢れ出て、全く周りが見えなくなっていた。

奥さんとまだ、別れていない事を忘れてしまうくらい夢中だった。

No.140

会社が、終わるとマサから毎日電話がある。

週の半分は、彼は釣りへ行く。行かない日は家に来た。

朝まで、一緒に過ごし出勤する日々が続いた。


今日は、マサが釣りに行く日。

会社も終わり、家に着くとマンションの駐車場の前に黒い車が止まっていた。



シュンくん。



駐車場に入り車を止め外へ出ると、
シュンくんが、車から降りて来た。


「シュンくん、どうしたの?」

「結衣ちゃん、電話にも出てくれないし、この前の事、怒ってるよな・・・」


「あっ、怒ってないよ。私もナオヤくんも酔ってたし。」


「ごめんな。ナオヤも反省してる。
腕の傷は、大丈夫?」


「うん、何ともないよ。わざわざ、ごめんね。」


「電話、どうして出てくれなかった?」


「ごめん・・・・・・彼氏出来た・・・シュンくんとは、友達だけど・・・何となく言いづらくて・・・・・・」


「そうかぁ、彼氏・・・友達って言ってても好きって顔に書いてあった?
彼氏・・・・・ちょっと、ショックだな・・・時間が経てば、本当の友達になれると思うから、電話には出てな。」


「わかった。」


「彼氏に優しくしてもらってる?」



不倫なんて、言える訳ない。


「うん、優しいよ。」


「いいなぁ、俺も早く彼女ほしくなってきた」



「シュンくんなら、すぐ出来るよ」



「当たり前、結衣ちゃん、いつか俺振ったの後悔するかもなっ。」



本当だよ。
後悔するよ。
お正月、シュンくんの電話に出ていたら、マサとこんな事になっていなかったかもしれない。


しばらく、立ち話しをしてシュンくんは帰って行った。

No.141

季節は、春になった。

マサとは、相変わらずの日々だった。



1人部屋で、ゆっくりしながら雑誌を見ていた。

もう、春かぁ。
暖かくなってきたからなぁ。


あれっ?


もう春?



マサは、毎日釣りか、家に来ている。

いつ、奥さんと別れ話するの?


別れるって言ってから3カ月以上経ってる。



どうなっているんだろう?
まだ、奥さん実家にいるハズ。帰って来ているなら、こんなに会えない。



モヤモヤする。



電話してみよう。


緊張しながら、電話をかける。



あれ?
出ない・・・・・・・・



釣りをしているから、気がつかないのかなぁ。



もう一度、かけてみる。


やっぱり、出ない。


着信に気がついて、かけてくれるかもとお風呂にまで、携帯を持って行った。



結局、朝まで電話はなかった。

No.142

出勤の時、携帯が鳴った。


「昨日は、ごめん。釣りしてて・・・」


「そうなんだぁ」


「何だった?」


「朝から話す話しじゃないから、仕事終わってから話すね。」


「ごめん、今日も釣り。」


「今日も行くの?話したい事あるんだけど」


「悪い。今、シーズンでさぁ。どうしても行きたいんだ。」


「わかった。」



なんか、モヤモヤするなぁ。



そして、次の日も話しは出来なかった。



春から、週半分は家に来ていたのが、釣りに行く前少し会ったり週一回家に来たりするくらいになった。



不満だ。


一年もかかって付き合ったのに。

寂しい思いさせないって言ったのに。

奥さんと別れるって言ったのに。


どうなってるの?



久しぶりに、綾さんと宝来へラーメンを食べに行く約束をしていた。

仕事が終わった後、マサから電話があり釣りの帰りに家に来てくれる事になった。


やっと、ゆっくり会える。


すごく楽しみにして、綾さんと宝来へ行った。

No.143

比較的、お店はお客さんが少なく綾さんとたわいもない話しで、盛り上がっていた。


時計を見ると、23時を過ぎている。


そろそろマサから、電話が掛かってくる。


いつも、釣りの帰りは23時~24時頃


もうすぐ、会える。


数日前から、気になっていた奥さんの事。

何も話してくれないから、どうなっているのか知らない。
今日は、絶対に聞いてみよう。

マサからの電話が待ち遠しく、携帯を眺めながら、綾さんと話していた。

「そろそろ行こうかぁ」

「うん」

私達は、お会計を済ませ外で少し話していた。
今日は、現地集合、現地解散だった。


すると、シュンくんがお店から出てきた。


「ありがとなぁ」

「美味しかった、ご馳走さま~」

しばらく、3人で話していると


ピピピ~


マサからだ。


2人から、少し離れて電話に出た。



もちろん、2人共付き合っている事は知らない。
不倫しているなんて、恥ずかしくて言える訳ない。

No.144

「もしもし、釣り終わった?」

「あ~・・・」


何かおかしい?妙にテンションが低い。嫌な予感・・・


「帰り来るよね」

「今日は行けない」

「どうして?」

「どうしても・・・・」


やっぱり、おかしい!
マサの態度が冷たい時は、何か隠している事がある。
約束したのに・・・


「話しあったんだけど・・・」

「また聞く。今日は行けない」

「今、海?」

「・・・・・・・」

何?
変な空気・・・・・・


電話の向こうが、妙に静か。
マサの声もいつもより低い。


「ちょっと、電話で話していい?」


「ダメだ・・・・」

「えっ?」

「もう、切るわ」

「ちょっと待ってよ!また、急に冷たくなるの?
最近、釣りばっかりで全然会えないから話しも出来ない。
5分で、終わるから切らないで!」


「無理」


マサの冷たい態度に頭は真っ白になり、涙が溢れてきた。


「もう切る」

プ~、プ~、プ~


切られた・・・・・・・



ショックで、泣き崩れた。



ビックリした、綾さんとシュンくんが走ってきた。

No.145

綾さん:「結衣、どうした?」


「ごめん、なんでもない」



シュンくん:「何でもないって・・・」


綾さん「もしかして・・・あの人?」


シュンくん:「彼氏か?喧嘩?」


綾さん:「彼氏って?結衣、あの人と付き合った・・・・・?」



「綾さん・・・黙っててごめん。」



綾さん:「どうして?この前、電話でもう会わないって言われて、終わったよね」



「うん、しばらくしてまた連絡あって・・・」



綾さん:「あの人は、駄目だって。止めなよ。」



シュンくん:「駄目って?どうゆう事だよ。優しい彼氏だろ?」


「2人共、ごめん・・」


綾さん:「また、何かあったの?」


「また、冷たくなった。寂しい思いさせないって、いっぱい会おうって言ってくれたのに、3カ月で元通り不安で寂しくて・・・」



綾さん:「もう、終わろう。未来は、ない。あんないい加減な人、無視してよ!」



わかってる。

マサの言う事、信じてる訳じゃなくて、信じたいだけ・・・

私は、都合のいい女。

都合が悪くなると、冷たくして突き放す。

最低男。


どれだけ嫌いになりたかったか。


忘れたいか。


忘れようとすると戻ってくる。


奥さんと別れてもないのに堂々と!


終わりにしたい。



けど、今の辛く苦しい日々より、別れた方がもっと苦しい。

あの頃は、そう勘違いしていた。

No.146

綾さん:「今まで、何があったか話して。」



「うん。」


シュンくん:「俺は、聞かない方がいいか?」



「聞いて。もう、嘘つくの嫌だから。」


シュンくん:「ちょっと待ってて」



シュンくんは、店を任せて少し早く早退してくれた。



冷静にゆっくり話したいから、ファミレスへ行く事にした。



ドリンクバーを頼んで、話す準備はバッチリ。

怒られる覚悟で、私は話し始めた。

No.147

>> 146 今日最後まで読ませていただきました。朝からずっと見てて号泣したり共感したりで♪ヽ(´▽`)/
続きを読めるのを待ってます☆

  • << 151 主です。 読んでいただいて、有り難うございます。 最後まで、頑張って更新していこうと思いますので、よろしくお願いします。

No.148

もう会わないと言われた日から、今日までの事を2人に話した。


2人は、ほとんど口を挟まず聞いてくれた。


そして、話し終わると



綾さん:「結衣、わかってると思うけど、止めなよ。
あの人、最低だよ。
都合良く、結衣を振り回しているだけだよね。」



シュンくん:「同じ男として、恥ずかしい。一体、ソイツ、何やってんだよ!おかしい。」


「うん・・・・」



綾さん:「今は、辛くても必ず忘れるから」



シュンくん:「俺、結衣ちゃんが幸せならって諦めたけど、そんなヤツだったら諦めきれない。
絶対、おかしい」



2人の言っている事は、頭ではわかっていた。
でも、諦められない。

マサの奥さんと別れるからと言う言葉が、忘れられない。

離婚すれば、普通に付き合える。
今、辛くても、いつか幸せになれる。


だって、マサは私を愛してくれているから・・・・・

No.149

何かに取り付かれているかのように、思考回路がおかしくなっていた。



2人は、朝まで私を説得しようと話してくれていた。



うん、うん、と聞きながら私達は違う!普通の不倫じゃない!絶対、幸せになれる。と自分に言い聞かせていた。



綾さん:「結衣・・・まだ、諦めれない?・・・そんなに好き?」




「・・・・・うん・・・」



綾さん:「どうして、冷たくしたなら最後まで突き放してくれないの?これじゃ、結衣が忘れられない!」



綾さんは、泣いていた・・・



シュンくん:「男は、バカからさぁ・・・結衣ちゃんが受け入れる限り何回でも戻ってくると思う。
本気で、別れる気もないくせに。」



「そんな事ない!別れるよ!彼が言ってたもん。今度こそ、離婚するって!」



完全にシュンくんに八つ当たりしている。



シュンくん:「別れるって言ってから、どれだけ経ってるよ?
奥さんと結衣ちゃんと両方上手くやってんだよ!」



「違う!奥さん、実家で一緒に住んでない!このまま、離婚するんだもん!」



シュンくん:「はっ?別居してて、別れたいならとっくに別れてるでしょ?
だって、奥さんが出て行ったって言ってるんだろ?
本当は、その男が離婚したくないんじゃねぇの?」



「何言うの?違う!酷い事言わないで!」



シュンくん:「誰が酷いよ!その男だろ?奥さんだって騙されてるんだよ!」



「奥さんの話ししないで!シュンくん、どっちの見方?
奥さんが、騙されてる?そんなの知らない!」



綾さん:「ちょっと、2人共、落ち着いて。外出よっ。」

No.150

3人で、車に乗り宝来の駐車場で続きを話す事になった。




私は、涙が止まらない。


シュンくんに言われた事。

何度も思ってきたけど、そんな事ないと蓋をしてきた。



人から言われると、現実を突き詰められているようで悲しくとても苦しい。



綾さん:「落ち着いた?」


「うん」



綾さん:「彼に会わせて」



「えっ?絶対無理・・・面倒な事嫌いだし、綾さんに会ってくれないよ」



綾さん:「そうでしょ?私もそう思う。結衣・・・ハッキリ言うよ。
愛されてない。結衣だって、わかってるよね?」



「そんな事ない。どうして、綾さんもシュンくんも彼を悪く言うの?」



シュンくん:「なぁ、2人だけの問題じゃないよな?
その男には、奥さんと子供がいて。大切な人裏切って、結衣ちゃんと付き合って。冷静になって。その男、優しいか?」



「・・・・・・奥さんが・・・彼を大切にしなかったから・・・・彼は、悪くない」



シュンくん:「結衣!!!!」



綾さん:「ちょっと・・・シュンくんも熱くなり過ぎ。結衣?そんなの本心じゃないよね?昔から、人を傷つけたりする子じゃない。」



シュンくん:「わかってるよ・・・結衣ちゃんが好きだから・・・・」



泣きすぎて訳が分からない。

2人に話さなかったのは、恥ずかしさもあったけど、不倫を止められるのが嫌だったのかもしれない。

忘れたくても無理で。

奥さんと子供の事考えると胸が張り裂けそうで。
一生懸命、考えないようにしてきた。

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