繰り返した不倫

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2012/11/11 15:22(更新日時)

なぜあんなん人と、不倫をしたのか・・・・・・・


結婚していて、顔は悪く、背も低い、性格も悪く、嘘つき。


若い時の過ち。


今でも、胸が苦しく吐き気がする。


二人の男。


思い出しながら、ゆっくり書いて行きたいと思います。

No.1773359 (スレ作成日時)

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No.51

しばらく沈黙が続いた。



「結衣・・・わかってるよね。
駄目だよ。
相手に気持ちバレてないなら、今のうち諦めな。」




「わかってる。わかってるから、誰にも言わないで、静かに片思いしてた。
けど、今日の忘年会で、気持ちが押さえ切れなくなって・・・会いたくてたまらないいよ。
綾さん・・・苦しい・・・」



「それでも駄目!!!
もし、相手に気持ち伝えたらもっと苦しくなる。何かあったら、大変な事になる。
今と比べものにならないくらい傷付く。」




綾さんが、言ってる事は、わかっている。
しかし、理性を失うくらいに小久保さんに惹かれてしまっていた。



「結衣。諦めな。絶対、幸せになれない。
幸せになれる人見つけよう。」



「・・・・・・」




私は、黙ったままライターを見つめていた。




すると『ピピピ~ピピピ~』



携帯が鳴った。




こんな時間に誰だろう?

No.52

携帯に出る気分ではないが、嫌々携帯を取り出した。





えっ…?







《小久保さん》





何度みても、小久保さんと書いてある。






「もしもし、どうしたの?」





「もしもし、結衣?今どこ?」





「今、先輩と遊んでる。」





「ちょっと会えないかな?」





ドキドキ・・・
どうしたんだろう???何かあったのかなぁ…。
理性を失っている私しに断る事なんて出来なかった。
どんな形でも、会いたい。





「いいけど、車ないし、どうしたらいい?」






「店まで、迎えに行くよ。」





店の場所を教え着いたら電話をくれる事になった。






嬉しい!会える!!!




店に戻ると、ソワソワしながら、携帯を目の前に置いて待っていた。





その前に、綾さんに先に帰る事を言わなくては。
小久保さんに会いに行くなんて言えない。





「綾さん。そろそろ帰るよ」





「そう?じゃぁ、送っていくわ。」





「い、いいよ。」




「え?だって歩いて来たでしょ」





「うん。友達が迎えに来てくれるって。」






「ふぅ~ん・・・わかった」






ヤバい!バレてる???




なんとなく、怪しまれているような空気。
しかし、綾さんに怪しまれても、なんとし
ても小久保さんに会いたい。





何となく、気まずくて小久保さんが着く前に、店を出る事にした。

No.53

「綾さん、そろそろ行くね。」








「うん。気をつけてね。」





私は、席を立ち出て行こうとすると






「結衣!!!」





綾さんに、呼び止められた。





「今の結衣に何を言っても、耳に入らないと思う。
けど、自分を大切にしな。
結衣には、幸せになって欲しい。
今の結衣の恋。応援できない。」





綾さんの目には、涙が溢れていた。




綾さん・・・・・・ゴメン・・・





「わかってる。ありがとう」




と言うと、店を出た。

No.54

外に出た。




時計を見ると、12時を過ぎていた。



綾さんが、帰る時に鉢合わせしない場所を選んで、小久保さんを待った。





『綾さん、ごめんなさい。
嘘ついてまで・・・私・・・バカだ」




暗くて、静かだ。




今日は、本当に夢みたいな変な日。
小久保さんに、信じられないくらい気持ちが、盛り上がってしまい、綾さんに心配掛けて、嘘ついて。
自分じゃないみたい。
人の1日を遠くから見ているようだった。




ピピピ~ピピピ~・・・




小久保さんからだ。

No.55

「もしもし、もうすぐ着くよ」




「わかった。広い道まで出るね。」





急いで、明るい広い道まで出ると、大きな黒い外車がちょうど走ってきた。




近くまでくると、小久保さんの車は止まった。




急いで乗り込んだ。



嘘みたい。会えた。





小久保さんの車に乗ってる。




あの雨の日と、今日が二回目。




緊張する。





「結衣。ごめんな。こんな遅くに・・・」






どうしたんだろう、なんか元気がない。





「いいけど・・・どうしたの?」






「どっかに止まるわ」





と言うと、無言で車を走らせた。





とても話しかけられる空気ではなかった。





しばらく走ると、大きな川沿いの静かな駐車場に車を止めた。





小久保さんの顔を見ると、下を向いたまま何も話さない。





「どうしたの???」








・・・・・・・・









「結衣・・・・どうにも・・・とめ・・・られない・・・・・」






「え・・・・何????」






「俺・・・・最低だ・・・・」






「よくわからない。」







「何度も、何度も自分の気持ち止めようとした。
けど・・・・・・けどさぁ・・・・無理なんだよ!!!
心配で、心配で、仕方ないんだよ!!!」






「何???」






小久保さん・・・・・・泣いてる?

No.56

「ちょっと・・・どうしたの?」





「・・・結衣が・・・好き・・」







「えっ?」





どうゆう事?聞き間違え???





「何度も、何度も、諦めようと努力した。けど、駄目なんだよ。」






「そっ・・そんなん・・・だって奥さんいるじゃん・・・」





本当は、私も好きだと抱きつきたかった。






しかし、綾さんの涙が、頭の中でグルグル回っている。






私が、気持ちを伝えたら不倫が始まってしまう。






あんなに、我を忘れていたのに、妙に冷静だった。






この時は、まだ、自分は間違った事はしないと、自信があった。

No.57

「結婚してる人が、他の女に好きなんて言ったら駄目だよ」







好きなのに、私も大好きなのに・・・






心と口は、バラバラで、女優にでもなった気分だよ。






「ごめん・・・・・結衣は、俺の事嫌い?」



「結婚してるくせに、私の気持ちなんか聞かないでよ。」




少しイライラした。







私だって、我慢してるのに・・・・






「そうだよな・・・ごめん・・・
送ってくよ」






そう言うと、車を走らせた。






いつから好きでいてくれてるのか?


優しくしたり、素っ気なくしり、小久保さんさんも苦しかったの?





聞きたい事は、沢山ある。





けど、これ以上話したら、私も我慢出来なくなる。






無言でいた。

No.58

だんだん家が近づく。



もっと、一緒にいたい。





離れたくない。




けど・・・・駄目・・・・・・






すると、小久保さんが急に手を握ってきた。






ドキドキドキドキ・・・・・・




「結衣・・・俺さぁ…離婚するんだ。」





「はい???だって奥さんもうすぐ子供産まれるじゃない???」






「あ~、前から不仲でさぁ、子供産まれて落ち着いたら離婚する事になったる」






「嘘・・・・・・・・」






嬉しかった。
小久保さんが、離婚???
そうしたら、不倫じゃない!!!





「離婚したら、もう一度告白する。」





「うん」





そう言って車を降りた。




まだ、付き合えない。





けど、いつか付き合える。




待っていたい。





ほんの何分か前と、全く違う気持ちだった。

No.59

自宅に着くと、一気に力が抜けた。


化粧も落とさず、ライターを眺めながら長い1日を振り返った。


ずっと片思いでいるつもりでいたのに。
忘年会で、気持ちが押さえきれなくなり、綾さんに始めて小久保さんへの気持ちを話し、小久保さんの気持ちが、私と一緒だと分かった。



まだ、頭の中が整理出来ない。




とにかく、眠ろう・・・・・・





が、やっぱり眠れない。




今日から、お正月休みかぁ。
小久保さんに会えない。寂しい・・・・

No.60

休みに入り、寂しいお正月になった。



1日は、親戚の家に行き2日は、地元の友達と遊んだけど、小久保さんの事で頭がいっぱいだった。



今頃、何してるんだろう?
家族と一緒かな?
どこに住んでいるんだろう?
付き合えるかなぁ?



そんな事ばかり考えていた。


3日は、家でゴロゴロしていた。
気がつけば、夜の11時。お風呂でも入って寝ようかと思ったその時、携帯が鳴った。



小久保さんだった。




急いで出た。

No.61

「もしもし・・・・」



「もしもし、今何してる?」



「家だけど・・・」



「ちょっと、会えないかな?」



「うん・・・いいけど・・・」



「さくら公園の駐車場で、待ってる。」



さくら公園は、家から車で3分。
大きな公園で、駐車場は夜になると暗くほとんど人は居ない。



急いで車を走らせた。



あっという間に着き、少し駐車場を走ると、小久保さんの車があった。




隣に車を駐車して、緊張しながら助手席のドアを開けた。



「結衣、乗って。」



本当に小久保さんが、目の前にいる。
アイドルと始めてのデートみたいに信じらんない気持ちで、いっぱいだった。




しかし・・・間違えを起こさないように、必死で冷静に話した。

No.62

「どうしたの?」




「休み中、結衣に会えなくて、寂しくて我慢出来なかった。」



小久保さんも、私と同じ気持ちだったのかぁ。嬉しい!・・・けど、駄目だ。




「結局してるのに、そんな事言わないで。夜出てきて、奥さん何にも言わないの?」




「今、釣りの帰り。それに、俺に感心ないからどこに行こうが、何にも言わん。」



「へぇ~、なんか寂しい結婚生活。」




「まぁ、その内終わるし、ほとんど家居ないから、気にならない。
家庭内別居してるからなぁ。」




奥さんと、別れるのは嬉しいけど、結婚って何かイヤだなぁ。と思った。




今までと、変わりなく友達のように接した。



30分ほど、話すと・・・・



「そろそろ、帰るかぁ。」



と、小久保さんが言った。



奥さんと、家庭内別居とか言いながら無難な時間に帰るのかぁと、少しムッとした。




「何???結衣怒ってる?」



「別に・・・・・」



「今日は、会えて嬉しかった。又、電話するわぁ。」




そして、家へと帰った。

No.63

それからは、毎日のように、電話がかかって来るようになった。




休みの日は、釣り帰りの夜。
仕事の日は、朝と仕事帰りに電話があった。




まだ、好きな気持ちは、伝えてないのに気持ち止まらなかった。




好きで、好きで、おかしくなりそうだ。



別れるまでは、友達と決めていたが、苦しくて、携帯をいつも持ち歩いてた。




もし、電話がかかってきて気がつかないと、かけ直す事は、出来ない。



付き合っている訳ではないのに、自然に影になっていた。




早く付き合いたい。



堂々と、会いたい。



焦っていた・・・・・

No.64

小久保さんも、だんだんとエスカレートしてきた。




電話たけだったのが、仕事帰りに会う事が増えていった。




仕事が終わると、小久保さんから電話があり、会社近くの川沿いの駐車場で待ち合わせし、車の中で話した。




特に何をする訳でもなく、ただ、話しをした。




友達ゴッコをしているみたいに・・・・・




いつも、小久保さんのペース。
私の気持ちなんか、気にもしていない。



電話も会う日も、一方的で、振り回されていた。




あの時は、会えるのが嬉しくて、気が付いていなかったが・・・・・彼は、かなり自分勝手だ。

No.65

そして、私達の関係を変える大きな出来事があった。





いつものように、仕事を終え小久保さんからの電話を待っていた。



なかなか、鳴らない電話。



待ちきれず、会社まで戻り彼の車を確認すると・・・・・





ない!




帰ってしまった。



おかしい。
いつもなら、必ず電話があるのに。




何?????




嫌な予感・・・・・




モヤモヤしたまま、家に帰った。


気になる。




寂しい。会いたい。




小久保さんの事で、頭がいっぱいで、何も手につかない。




何してるの?



電話したいのに、出来ない悲しさに泣けてきた。
待っても、待ってもならない電話。




明日が、待ち遠しい。
明日、会社で会えるまで、我慢だ。



気持ちを隠しているから、どうして電話くれないの?なんて、聞けない。



さりげなく、聞いてみよう。

No.66

ほとんど寝ずに朝を迎えた。




朝、通勤の時にも毎日電話がある。




携帯を目の前に置いて、会社に向かった。






かかって来ない・・・・・・




鳴らないまま、会社に着いた。



彼が、来るのを待った。




来ない・・・・・・





小久保さんは、休みだ。




おかしい?
何かあったの?



気になるが、会社の人には、聞けない。




胸が、締め付けられそう・・・・




ぼ~としたまま、何とか仕事をし、1日を終えた。




帰り、小谷さんに飲みに行かない?と誘われた。
気乗りはしなかったけど、鳴らない携帯を待ってるのに疲れたから、行く事にした。



「結衣と飲みに来るの久しぶりだねぇ。最近、変わった事あった?」




「う~ん・・・特には、ないかなぁ」




「彼は???」




「好きな人は、居るけど微妙で・・・・」




「そうなの???上手くいきそう?」




「どうかなぁ?いつか、付き合いたいと思ってる。」




「へぇ、一番楽しい時だね。」




そうか、両思いと分かって付き合うまでって一番ワクワク、ドキドキして楽しいよなぁ。
なんで、こんなに苦しいの?




小谷さんに、相手を言う事も出来ない。




適当に、友達の紹介で出会った人と嘘をついた。

No.67

家に帰っても、知らず知らずに、携帯が気になる。





トイレにも、持っていった。




お願い。鳴って!!!



今までに、味わった事のない苦しさ。



なんで、こんな思いしなくちゃいけないの?



気持ちは、隠さないといけない。
人に言えない。
電話も出来ない。
会いたいとも言えない。
待ってるばかり。



もう、嫌。




何が奥さんと、上手くいってないだ!!!



ふざけるな!中途半端に私に好きなんて言って。
いきなり、電話なくて!!!



このまま、大嫌いになってやる!!!





奥さんと、産まれてくる子供と・・・・






はっ・・・・・・・・・・・・・







体が震えた。
涙が自然と出てくる。




もしかして・・・・産まれた???






だから、連絡ないの?






分かってはいたが、嫉妬でいっぱいになっていく。

No.68

きっと、そうだ。

産まれたんだ!!!



私は、必死で友達でいようと頑張ってるのに、あの人は、呑気にさっさと私に好きって言っておいて・・・子供産まれたら連絡もない。




何よ!!!




無性に、彼が欲しくなる。




不倫でもいい。




彼が、好き。隠したくない!!!





今度、電話があったら、伝えよう。





もう、我慢しない。



狂ってしまっていた。




病的に、彼に依存していく・・・・

No.69

土日と、仕事は休み。






小久保さんからは、電話はない。




携帯の前で、ずっと待った・・・



何もしないで、ずっと・・・




日曜日の夜。




ピピピ~・・・・




小久保さんだ!!!




久しぶりに見る。待ちに待った小久保さんからの電話。





「もしもし。」





「もしもし。なかなか、電話出来なくてごめん。ちょっと、会えない?」





「いいよ。」





ドキドキしながら、いつもの公園へ急いだ。





先に、小久保さんが着いていた。





小久保さんの車に乗り込む。




「夜、遅くにごめん。寝てた?」




「ううん、寝てないよ」




「結衣には、言っておきたくて。
子供、産まれた・・・」



「そう。男の子?女の子?」




不機嫌そうな低い声で、聞いた。



「女」



「へぇ・・・・可愛い?」





「わからん・・・サルにしか見えん」




「ふぅ~ん。」




嫉妬で、泣きそうになった。




「俺、別れるから。結衣が、好き」




「好きとか、簡単に言うな!私が、どんな気持ちで・・・」





怒鳴っていた。
ワンワン泣きながら。気持ちを隠すのは、限界だった。




「結衣・・・・」



「何が子供産まれただよ!!!
電話、急にしないで。どんな気持ちで待ってたと思う?
もう、嫌だ!!!
好きなの!!!大好きなの!!!」




「結衣!!!」




と、言うとキツく抱き締めてきた。




小久保さんの温もり・・・ずっと、こうしたかった。抱き締めて欲しかった。




「苦しいの。何とかしてよ。」




「ごめん。結衣。
もう少しだけ、待ってて。すぐに、迎えに行く。」





「うん」




始めて自分の気持ちに正直になってスッキリした。
もう、友達のフリをしなくていいんだ。





しばらく、キツく抱き合っていた。
幸せで、いっぱいだった。






小久保さんが、時計を見る。




ドキッとする。帰るって言われる。




この日から、時計を見る素振りが大嫌いになる。





「さぁ、そろそろ帰るかぁ。」




嫌だ。帰りたくない。奥さんの所、帰ってほしくない。




「イヤ・・・・・・・」



「また、明日電話するから。」





「わかった・・・」




困らせれば、離れていきそうで、我がままは言えない。




この我慢が、私を益々追い詰めて行く事になる・・・・

No.70

この日から、両思いとお互い分かってはいるけど、付き合っているような、不倫のような曖昧な関係が始まった。




すべて、小久保さんのペース。
電話も出来ない。
かかって来るまで、ただ待って、会う約束も出来ず、会おうと言われるまで待っている。




辛い日々。



いつか、付き合える日までの我慢だと耐えていた。





2月14日、バレンタイン。



チョコレートを渡したいが、手作りだと重いし、奥さんが何と思うか・・・結局義理チョコっぽい、無難な物を選んだ。



夜、小久保さんから電話があり、近くの公園で会う事になった。




「今日も仕事疲れたなぁ~」



小久保さんが、後部座席に横になる。




「今日、バレンタインだよね。
これ、食べて。」



「お~、嬉しいなぁ。結衣から貰えるなんて、思ってもなかった。」




嬉しそうに、ラッピングを空け中を見た。




7個ほど入ったチョコレート。




「食べてもいい?」




「うん、いいよ。」




1個ずつ、味わって食べている。




見ているだけで、幸せだった。
会っている時は、普通のカップルみたいに思いたかった。

No.71

気がつけば、全部食べてしまっていた。




箱は、大事にとって置くよ。と、ダッシュボードの中にしまった。




なんだか、嫌な気分。



持って帰れないから、全部食べて箱まで隠したの?



そんな事を考えてしまう、自分が嫌になる。



小久保さんが、チラッと時計を見る。




ドキッ・・・・・・・・





「そろそろ、行くかぁ。」



まだ、会って30分くらいなのに。
いつも、会社帰りか釣りの帰りに30分~1時間しか、会えなかった。
奥さんに、バレないように言い訳出来る時間に帰るんだろうなぁと思っていた。





「いつも、すぐ帰るね。」



少し、いじけた顔で冗談ぽく言ってみる。




「ごめんよ。今度どっか行こう。結衣行きたい所ある?」




「釣り!!!小久保さんがいつも行ってる所がいい!!」




「よっしっ!今度の日曜日に行こう。」





「うん。」




待ち遠しい。




ものすごく楽しみに、日曜日を待った。

No.72

そして、待ちに待った日曜日。



いつもの公園で、待ち合わせ。
朝から、会うなんて始めて・・・



小久保さんの車に乗り、海へ向かう。

目をつぶっても行けれそうなくらい慣れている。



「なんか、朝から結衣とデート。嬉しいな」


「いつも、夜だもんね。」



「ごめん・・・もう少し待って・・・」



「ねぇ…赤ちゃん元気?」



「わからない・・・全然会ってない。」



「えっ?」



「今、実家帰ってる」



そうかぁ、赤ちゃん産んで実家帰ってるんだぁ。
だから、朝から1日一緒に居られるんだ。


複雑・・・・・・



「奥さん、いつ帰ってくるの?」



「さぁ…気が向いたら帰って来るんじゃねぇの?話してないから知らん。」



「へぇ・・・・・」


憂鬱になる前に、この話しは止めよう。

No.73

あっという間に海へ到着。


手際よく準備をしている。
本当に毎日来ていんだなぁ。


餌をつけて、海に投げ私に渡す。
釣れたら魚を取って又餌をつけてくれる。


一つ一つの行動が嬉しい。
短時間でしか、会えなかったから今まで知らなかった小久保さんの優しさが、もっと好きになる。



しばらく釣りを楽しんでいると、おじさんが近づいて来た。


「おぅ!今日はどうだ?」


「あんま、良くないよ。」


海でよく会う人らしい。


「あれぇ~、お前彼女いたの?」


「まぁ~ね…」


「いいなぁ、デートかぁ、彼女さんコイツ釣りばっかで、寂しいでしょ?」


どうしよう・・・・・・


「も~おっさん、彼女に話しかけるなよ~」



「はい、はい。邪魔者は消えます!」



おじさんは、少し離れた所で釣りを始めた。

No.74

「ねぇ…おじさん、小久保さんが結婚してるって知らないの?」



「あ~、知らないなぁ。聞かれた事ないし、釣りの話ししかしないしな。」


「へぇ・・・・」


「結衣が、彼女になったら自慢しまくるけどなっ。」


そうだよなぁ、まだ、彼女じゃない。


ちょっとした事でも嬉しくて、小さな事でも傷つく。

情緒不安定。


当たり前の事が、当たり前じゃなくなって、感覚が麻痺していく。



夕方まで、釣りを楽しんだ。




「そろそろ行く?飯でも食いに行くか?」



「うん。」


1日遊んで、夜ご飯まで一緒。普通のカップルみたい。




「何食べたい?この近くに魚がウマい店あるけど。」



「うん、そこがいい。」



車で5分で、着いた。
小さなお店だけど、おしゃれで常連さんばかりな感じだ。



「こんばんはぁ~。」



「おぅ!いらっしゃい。
何だ???彼女かっ?????」




「まぁ~な。可愛いだろ?」



「何だか不釣り合いだなぁ?彼女さん、コイツのどこがいいの?おじさんの方が、カッコいいぞ!」




笑ってごまかした。

No.75

「結衣、何食べたい?」



「小久保さんのオススメでっ。」



「じゃぁ、適当に頼むわぁ。」



ズラリと美味しそうな料理が並ぶ。



私達は、いつも車の中で会ってばかりだから相手が何が好きかとか、何も知らない。



又、憂鬱になりそう・・・



美味しい料理を沢山食べて、嫌な事は考えないようにした。



食事も終わり店を出て、いつもの公園まで、帰った。



もう、帰るよなぁ・・・離れたくないなぁ・・・



「結衣、もう少し一緒にいられる?」



「うん、今日は遅くまで大丈夫なの?」



「大丈夫だよ。しばらくは、沢山会えると思う。」



「本当に?」



「休みの日とか、行きたい所ある?」



「映画観たり、水族館行ったり、普通のデートしたい。」



「わかった。今度の休みは、映画でも行くか?」



「やったぁ~!」



嬉しい。普通のデート。




けど、奥さんが帰って来るまで限定。



複雑だ。今を楽しもう。



自分の気持ちに嘘ばかりついていた。

No.76

車の中で、しばらく話してから帰った。


1日、小久保さんと一緒で幸せなはずなに、何か違った。


会っている時は、嬉しくて大好きなに離れると何か虚しい。


ただ、会って話しをする。



キスもした事はない。


物足りない・・・・・



奥さんと別れるまでの我慢。そう言い聞かせていた。




次の日曜日。約束通り、映画館へ行った。



2人で映画なんて、夢みたい。
ずっと、手を繋いでいた。



帰りにご飯を食べて、駐車場で話をしてから帰った。



付き合っているような、日々がしばらく続く。

No.77

お互いの気持ちが分かり頻繁に会うようになってから、半年ほどが過ぎた。



相変わらず、会社帰りに会って車の中で、話しをしている。



付き合っている訳でもなく、友達でもない。



奥さんと別れると聞いてから、半年以上過ぎているのに、まだ・・・・・
信じて待っているけど、いつになるんだろう?
彼女でもないのにいつ別れる?なんて、聞けないでいた。



ただ、待つだけの日々が辛くなってきた。



その頃、会社では中途採用で女子社員が、2人入って来た。
それと同時に、会社内で大きな移動があった。
私と小谷さんは、サービスから営業へ移動になる。
お店の受付になった。



これから、小久保さんと引き取りに出られない・・・・・



寂しいなぁ・・・・・・・・

No.78

新入社員の1人は、サービスになった。



私より2歳年上で、上原早紀。
元ヤンな感じで、派手な化粧。姉御キャラ。
私は、苦手な感じ・・・・・・



給湯室で、コーヒーを飲んでいると上原さんが入って来た。


「私も、コーヒー飲んでいい?」


タメ口だぁ~!!!


「うん、いいよ。」


「この会社どう?なんかさぁ、偉そうな上司とかいるよねぇ。」



「まぁねぇ、あんまり関わらなければ大丈夫だよ。」



上原さんの迫力に圧倒されながら少し話していると、小久保さんが入って来た。



「おっ、俺もコーヒーちょうだい!」


「いいよっ、入れてあげるわぁ。」


上原さんが、コーヒーを入れる。
私が、入れたかったのに・・・・



3人で、コーヒーを飲む。


小久保さんと上原さんは、楽しげに話している。
小久保さんも、元ヤン?な感じなので話しが合うのかなぁ・・・・



「あっ、そう言えば後で引き取りあるよ。多分俺と。」


「マジ?宜しく!」


小久保さんと上原さん、引き取り行くんだぁ。
今までは、私だったのに・・・・


2人を見てると、理由はないけどモヤモヤする。

No.79

会社の帰り、小久保さんから電話がきて、川沿いの駐車場へ待ち合わせをした。


「お疲れ~、受付はどう?」


「退屈だよ。外には、出れないし。
そう言えば、上原さんの引き取りどうだった?」


何気なく聞いてみたけど、本当はすごく気になってた。

「べつにぃ~、普通だった。」

「ふぅ~ん・・・なんかさぁ、上原さんってちょっと・・・馴れ馴れしいよね。」



「そう?気にならないけど。」


あ~最悪だぁ~!
なんで、悪口言ったんだろう。嫉妬だ。
バカみたい。

「奥さんどう?帰ってきた?」


「まだ・・・まぁ、別れるつもりだから、このまま帰って来ないかもなぁ。」



じゃぁ、別れ話し早く進めればいいのに。
お互いに別れたいなら、何をモタモタしているんだろう?



焦る。



「そっかぁ、私は、待ってればいいんだよね?」


「うん、もう少しだけ待って。」


もっと急かしたい。
言いたい。
早く別れて。


焦る気持ちが、爆発しそうだったから早々奥さんの話しは切り上げた。

No.80

その後も、妙に上原さんと小久保さんが気になる。



給湯室で、コーヒーを飲もうと向かうとサービスの事務所で2人が仲良く話している。


何回も、2人で話している所を目撃し、嫉妬でいっぱいになる。


小久保さんは、何にもない。と言うが気になって、2人の行動をチェックしていた。



ところが・・・・・



会社の支店ができ、そこへ小原さんと交代で応援に行く事になった。


一週間交代。


朝、本社に出勤しミンティングの後、支店へ行き、又、夕方本社に戻り帰る。



2人を見れない。


私が居ない間に、もっと仲良くなったら?



不安だった。

No.81

支店は、受付と営業さんしか居ない。



営業さんが、営業に出てしまえば私だけで店番をする。



暇だった・・・・・


暇だと、考えたくていい事ばかり考えて憂鬱になる。



お昼。コンビニで買ってきたお弁当を食べながら雑誌を読んでいた。



ピンポーン



お客さん??


店にお客さんが来店するのは珍しい。


見に行くと、




小久保さん。



「どうしたの?」



「結衣、寂しがってないかな、と思って遊びに来た。」



「お昼ご飯は?」


「いらない。焦って来たから買う
暇もなかったし。」


「じゃぁ、私の半分あげる」


上原さんへの嫉妬も忘れるくらい嬉しくて2人でお弁当を食べた。



幸せ。



「今度、結衣の手作り弁当食べたいなぁ。?」




「いいよ。来週は、本店だから作って行くよ。」



「やったぁ~!」



子供のように無邪気な笑顔で喜ぶ小久保さん。
可愛い!



時間は、あっという間に過ぎ小久保さんは本店に帰って行った。



夕方になると営業さんが帰ってくる。
私も本店に帰り、小原さんの仕事を手伝う。



支店にいると、寂しい。
1人で、事務仕事をコツコツやるだけ。


上司は、暇でも店が開いている事が重要らしい。



絶対、私が居ることは、無駄だと思っていた。

No.82

今日は、本店の日。
約束のお弁当を作って会社へ出勤した。


お昼休みに川沿いの駐車場で、待ち合わせをしていた。

楽しみで、朝からワクワク、ドキドキする。


少しコーヒーでも飲んで落ち着こうと給湯室に入ると・・・・




あっ・・・・・・・・・・・・



小久保さんと上原さんが、2人で話しなが、コーヒーを飲んでいた。



クラクラする。



目の前が、真っ白・・・・・・



どうして?????




私が、2人の仲を心配してるの知っているのに、わざわざ2人でコーヒー飲んでるの?



怒りが爆発しそう!



冷静を装いロッカールームまで急いだ。




入った瞬間に泣けてきた。



どうして???
我慢してる事、言いたくても言えない事沢山あるのに!!!



これ以上、不安にさせないでよ!!!



もう嫌だ!!!!!




思いっきり泣いて、何事もなかったように店に戻った。




お昼休み。




川沿いの駐車場へ行く。
先に小久保さんがいた。



車に乗りお弁当を食べる。



「ウマいなぁ!!!
朝から作るの大変じゃなかった?」



「頑張ったよ。」



心は。ボロボロなのに笑顔で話す。



小久保さんは、追い詰めると面倒になり逃げる人。
我慢しないと。




こんなに、自分の気持ちに嘘をつくのは、始めて。



我慢・・・・言いたい・・・・我慢・・・言いたい・・・我慢出来ない!!!



「ねぇ・・・・最近、上原さんと仲いいよね。前にちょっと心配って言ったよね・・・」



ものすごく優しく言ってみた。

No.83

「さぁ~、そんな事ないよ。」


やっぱり、面倒そうな態度。


イラッとする。



「すごい一緒に話してる所見るんだけどさぁ・・・」


「はぁ・・・・
話しかけてくる。無視できん。」


ダルそうに言う。


なんで、心配ないよって言ってくれないの?
不安にさせる態度とるの?


「あんまり、仲良しだと不安」


「だからさぁ、関係ないって!」



少し怒る。


「奥さんの事で、我慢してるの。
これ以上の嫉妬は、耐えられない。」



「だから~!!!俺は、知らん!」



知らない?って何だ???
もっと、気の利いた返事は出来ないのか?



「私達って、付き合ってないよね?」


「あぁ・・・・・・」


やっぱり付き合ってないよね。


「だから、ちょっとした事でも不安になるの。
逆に、私に好きな人出来たらどうする?」



「わからん・・・・何も言えない・・・」




どん底に突き落とされた。

No.84

あれだけ、待っててと言ったのに、会社の女がちょっと心配って言っただけで、この態度???



はぁ・・・・・・・



休憩時間が終わる。



話しは途中だったので、帰りにもう一度会う事になった。





仕事に戻った。



駐車場に用事があり工場の前を通ると、





また?????????????




小久保さんと上原さんが、仲良さそうに話している。




怒りで手が震える。



情けない自分。
惨め・・・・・・・・・



なのに好き。



どうして・・・・・・・・

No.85

全く仕事に集中出来ない。


頭の中は、小久保さんと上原さんの仲良く話す姿ばかり。

本当は、何もないかもしれない。

けど、奥さんへの嫉妬が、上原さんに向いてしまっている。

待っているだけで、付き合ってもいない。
どうやって愛されていると、信じればいいの?

不安になっても、面倒な顔される。

ただ、大丈夫だよって言って欲しいのに・・・・

私って何?


涙が溢れてきた。


急いでトイレに駆け込む。


鏡で、自分を見ると顔色が悪く、輝いていない。恋愛している女のオーラではない。


ゾッとした。



なんとか仕事を終え、川沿いの駐車場で、小久保さんを待った。



今日は、気持ちを伝えよう。

もう、限界だ。

最近の私おかしい。


奥さんの事も、上原さんの事もハッキリ聞いてみよう。

No.86

なかなか、電話が鳴らない。

おかしい・・・そろそろ仕事終わってもいい時間。



ピピピ~



小久保さんからだ。


「もしもし、駐車場で、待ってるよ。」


「ごめん、今日行けない。」


「えっ、どうして?」

「サービスだけで、飲み会。上原さんの歓迎会まだやってなくて、今日やるだってさぁ」


「そうなの?どうしても聞いてほしい話しあるのに・・・・」


これ以上、我慢出来ない。
半年以上、言いたい事も聞きたい事も、グッと我慢してきた。


「終わったら会えない?」

「わかった。終わったら電話する。」


「待ってる・・・」


苦しい・・・・・・・


しばらく駐車場で、ぼ~としていた。



ピピピ~


あっ、綾さんから・・・・


「もしもし、久しぶり。今日何してる?」


クラブで、会ってから話していなかった。
小久保さんの事を秘密にしているから、綾さんに嘘をつきたくなくて、距離を置いていた。


「夜、約束あるんだけど・・・それまでなら大丈夫。」


「じゃぁ、後で家行くね。」



急いで自宅まで帰った。


どうしよう・・・・

小久保さんの事話したら怒られるよなぁ。

No.87

綾さんが、来た。

部屋に入りコーヒーを飲みながら話した。


「結衣、最近どう?」

「うん、あんまり良くないかなぁ。」


「なんか、痩せた?ちゃんと食べてる?」


「うん・・・」


「あの日から、結衣が気になってたんだけど、言い辛い話しありそうでね・・・」


綾さんは、何でもお見通しだ。


「別に、そんな事ないよ・・・」

「そう?なら良かった。」

綾さんは、笑顔で話しを続けた。


「宝来のシュンくん、覚えてる?」


宝来は、綾さんと良く行くラーメン屋の店長。すごくカッコ良くて、店長狙いで女の子達が、ラーメンを食べに行く。

私達も、シュンくんを見て癒された。
カッコイイだけじゃなく、男らしくて優しい。


「もちろん、覚えてるよ。」

「久しぶりに食べに行ったらさぁ、結衣が最近来ないって、寂しがってたよ。」


「えっ?」

「結衣、彼氏いるかも聞かれて。今度、一緒に行こうよ。」


「うん・・・」


シュンくんが???

小久保さんの事がなかったら、凄く喜んだよなぁ。

No.88

しばらくシュンくんの話しで盛り上がっていた。




ピピピ~



小久保さんからだ。



綾さんに怪しまれないように、部屋の外へ出た。


「もしもし」

「もしもし、ごめん、今日帰るわぁ」

「えっ。どうしたの?」

「歓迎会疲れたから寝る。」


はっ???疲れたから寝るぅ???


「どうしても話ししたかったのに・・・」


「無理、寝たい。」

何?
怒りで手が震えるが、なんとか冷静に話す。

「約束守れないのに、もう少し言い方あるんじゃない?だから・・・」


「だから?何???」

「上原さんの事も、もう少し違う言い方してくれたら、不安にならないのに・・・」


「又、上原の事?ウザッ!!!」


「何、その言い方!!!上原の事だって言いたい事我慢してるんだよ!!!
ウザいほど、言ってない!!!」


怒りで、泣きながら怒鳴っていた。


綾さんが、ビックリして部屋から出てきた。
バレてもいい。
この怒り収まらない!!!

No.89

綾さんが、小声で『どうしたの?』と言いながら心配そうに見ていた。



「・・・・・・とにかく、帰る。」


「ちょっと・・・お昼から話し途中だし、今だってこのまま切るの?」


「もう、いいわぁ」

「何が、いいの?言葉が少な過ぎてわからない。」

「はっ?俺の勝手だし・・・」

「このままモヤモヤするの嫌。ちょっとでいいから会って。」


始めて私から会ってと言った。


「今日、会いたい言うなら、もうこれから会わん。」


耳を疑った。
目の前が、真っ暗で倒れそう。


泣き崩れた・・・・



何も話せない。


「もう切る。」


プ~、プ~、プ~、・・・・・



本当に切った。


もう終わりだ。

No.90

泣き崩れ、立ち上がれない。


嘘・・・・・・


もう会わない、言われるような事した?

今までの時間は、何だったの?

付き合ってないと、別れる事も出来ないんだぁ。
会わなければ終わり。


苦しいよ。



「結衣!!結衣!!しっかりして!!」


綾さんの声が聞こえてきた。


「・・・・綾さん・・・・・・」


息が出来ないくらい、泣き続ける。
今までのすべての辛さが、一気に出てきた。



「とにかく、部屋に入って。」



綾さんに、抱えられてなんとか部屋に入った。


泣き崩れている間中、綾さんはずっと私の背中をさすってくれていた。

No.91

しばらく、何も話せず泣いていた。


「結衣・・・さっきの電話・・・」


「・・・・・この前話した人・・・」




「付き合ってるの?」

「付き合ってない。」


「じゃぁ?????????」


「不倫はしたくないから、付き合ってない。何もしてない。キスも・・・・・・」



「うん???ごめん・・・ちょっと分からない。相手は、結衣をどう思ってるか知ってる?」


「・・・・・うん・・・・・・好きって言ってくれた。」



泣きながら、何とか話した。


「えっ?・・・・・・・・・・」


「奥さんと別れるまで、待ってて・・・ほしいっ・・・・て・・・・」



「はぁ?何それ???」

「私から、会いたいとも言えないし、電話も出来ない。
このハッキリしない関係が、辛くて。
会社でも、他に仲良くしてる女の子がいて・・・・昔の私達を思い・・・・出しちゃって・・・辛くて。
やっぱり、付き合ってないのに、待つのは苦しい・・・」


「結衣・・・・・・苦しいね。こんな事になってるなんて。
付き合って、不倫してるかと・・・・・」


「もう・・・・終わったよ。」


「さっきの電話?」


「会いたい言うなら、もう会わないって。・・・・・あの人・・・・私を・・・好きじゃないとわかったから、私も忘れる。もう、待たない。」


綾さんと朝まで、今まであった事などを話した。

始めて自分の気持ちを聞いてもらって、少しスッキリした。

No.92

「綾さん、ありがとう。
もう、大丈夫。泣きすぎて目痛い。」


「何かあったら、連絡して。辛いのに我慢しないように。」


「はい。」


「あっ、シュンくんの所行こうね。もっといい男いっぱい居るよ。」


「うん。ありがとう。」


綾さんが、帰って行った。


一人になると、もう会えない実感が湧いてくる。
あんなに、ムカついたのに寂しい。
彼の何を見ていたんだろう。
私の何を見てくれていたんだろう。


心にぽっかり穴が空いてしまった。

No.93

小久保さんからの電話は、あの日からなくなった。

不思議と、あれから小久保さんと上原さんが話していても、なんとも思わなくなった。


結局、上原さんは彼氏とラブラブと言う事が後でわかった。


上原さん・・・ごめん。


お陰で、小久保さんが私を好きではないと分かったよ。


待つ日々から、解放された。


毎日、姿を見てしまうから、そう簡単には忘れられない。


早く、新しい恋見つけなきゃ。

No.94

それから、しばらくして綾さんから電話があった。
宝来にラーメン食べに行こうと誘われた。

小久保さんの事を忘れていないから少し戸惑った。
けど、このままではいけないと言い聞かせ宝来へ行く事にした。


「いらっしゃい。結衣ちゃん久しぶり~。」

やっぱり、シュンくんはカッコいい。


綾さんと、カウンター席に座る。

シュンくんは、他のカウンター席の女の子達と料理をしながら話している。


モテるなぁ~・・・・・


「結衣、あれからどう?大丈夫?」

「この前は、ありがとう。お陰でなんとか生きてる。泣く日も少なくなってきたよ。」


「よかった。早く幸せにならないとね。」



「お待たせ~。」

シュンくんがラーメンを持ってきた。


「シュンくん、ちゃんと結衣連れてきたよ。」

綾さんが、ニヤニヤしながら話す。

「おぅ。ありがとう。結衣ちゃん最近来ないから気になってたんだ。」

「いろいろあってね。来る余裕がなかったんだ~。」

「これからは、来いよ~。」

「はい、はい。売り上げに貢献しますよ。」


シュンくんは、忙しそうにしていた。


「結衣。なんだかシュンくん忙しそうだね。せっかく来たのに。」

「シュンくん、常連の私が急に来なくなったから、心配してくれたんだね。」

「そうかなぁ~・・・この前は、そんな感じじゃなかったけど・・・」

「綾さんの勘違いだよ。シュンくん優しいからねっ。
帰ろっ。」

お会計をして、シュンくんを見るとお客さんと話していたので、そのまま店を出た。


綾さんは、不満そうに車に乗った。


私も乗ろうとした時、


「結衣ちゃん」


振り返ると、


シュンくん・・・・・・・・・

No.95

「ちょっといい?」

「えっ?いいけど・・・・」


綾さんに車で少し待っていてもらった。

「急にお店に来なくなったから、気になってた。
寂しかったんだ。
よかったら、携帯番号教えてくれないかなぁ?」

「いいけど、お客さんによく聞くの~?」

冗談ぽく聞いた。

「結衣が、始めて。」

「そうなの???私って凄いねぇ。」

「本気だよ。」


ドキッとした。


「今度、会ってくれる?」

「私、いろいろあって・・・・・」

「結衣、痩せたけど、今辛いの?」

「今、立ち直ってる最中。」

「じゃぁ、俺、立ち直るの協力するわ。」




「ありがとう、なかなか難しいよ~。」


「又、連絡する。今日は、ありがとう。」


シュンくんは、走って店に戻って行った。


車に戻ると、綾さんが満足そうに、

「やっぱりねぇ~、前から結衣に気があると思ってた。」

「いつから?」

「ずっと前からだよ、2年くらい前かなぁ。」


「それはないよぉ。まだ、分からないし・・・」

「そう?結衣は、鈍感だからねっ。」


「綾さん、私、男の人信用出来ないから・・・・」


「焦らないで、ゆっくり行こうね。」


「うん。」

No.96

シュンくんの気持ちは、イマイチよく分からないけど、気分は良かった。

このまま素直にシュンくんの気持ちに答えていれば、これ以上苦しまなくてよかったのに・・・・



小久保さんから電話がなくなってから1ヶ月ほど過ぎた。


今日は、サービスが妙に忙しそうにしていた。


受付に座り事務仕事をしていると、
工場長が走って来た。


「ごめん、澤田さん。
今日サービスすごい忙しくて、引き取り出る人がいないんだ。
行ってくれないかなぁ?」


「はい、わかりました。」

出掛ける支度をし、工場へ向かっていった。


「じゃぁ、行ってくるわ、誰が一緒に行くの?」


えっ?


まさか、小久保さんと・・・・・


「澤田さんと行って。」


やっぱりそうだ。どうしよう・・・・・・



「じゃぁ、行くかっ。」


小久保さんは、動揺する様子もなく私に声を掛けるとスタスタと歩いていく。

小走りに追いかけ、車に乗った。



気まずい・・・・・・・・・


チラッと小久保さんを見ると平気な感じで運転している。


小久保さん、平気なんだぁ。
あれから、私の事すっかり忘れて生活してたんだろうなぁ。
奥さん、帰って来たのかなぁ。


はぁ・・・・・・・・・・・

No.97

小久保さんは、無言で運転している。


何か話してよ。

そんなに、私が嫌いになったの?

私は、まだ・・・・・・・・・

一緒に車に乗った事で、まだ、小久保さんに気持ちがある事を確認してしまった。



気まず過ぎたので、勇気を出して話し掛けてみた。


「あの・・・どこまで引き取りなの?」


「まだ、少しかかるよ。」


最後の電話の時と違って、一応優しい口調だった。


シ~ン・・・・・・・・・


チラ、チラ、小久保さんを見る。
笑顔がない。


その後も結局、何も話さないまま引き取りは終わった。


店に帰って、受付に戻ると自然に涙が溢れてきた。

No.98

何ヶ月も待っていたのに、こんなに態度が変わってしまうなんて。

嫌いになりたいのに・・・どうしてまだ好きなの?


自分が嫌になる。


ロッカーに行って落ち着こうと、向かう途中サービスの事務所の前を通ると、


またかぁ・・・・・・


小久保さんと上原さんが、話していた。


小久保さん、笑顔だぁ。


上原さんの事、好きなの?


虚しいなぁ・・・・・・・・・

No.100

ロッカーで、少し休んでいると、


ピピピ~


シュンくんからだ。


「もしもし。」

「ごめん、仕事中だよね?」

「うん、でも今サボってる所。」

「あ~、見つかったら怒られるぞ。」


「じゃぁ、電話切らなくちゃ。」

「おい!ちょっと待って。今日、夜予定ある?」

「別に・・・・・・」

「ご飯でも、食べに行かない?」

「うん・・・・」

「仕事終わったら連絡して。」


行くと言ってしまったけど、体が重い。
どうしよう・・・

戸惑いながら、仕事に戻った。


ゴミ箱を見ると、ゴミがいっぱいでこぼれそうだった。
気晴らしに、焼却炉まで捨てに行ってこよう。


トボトボ外を歩いて、焼却炉まで行った。

前を見ると、


小久保さんが、休憩で焼却炉の前でタバコを吸っていた。

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