指先の恋
私の最近のマイブームは、携帯のコミュニケーションサイト。いわゆるSNS。
指先で会話をしていろんな人と繋がる…
そんなことが楽しかった。
-フィクション-
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私は普通の大学に通って、居酒屋でバイトをしているまぁ、ごく普通の人間。
日常のなんてことないことに幸せを感じる
どこにでもいる女子大生。年齢は19。
今日も天気悪いなぁ…
「しぃーー!」
突然背中になにかが乗った―…
「いててて…もぉ!麻奈はいつも普通にやってこれないの?!」
「だって、しぃを見つけたら嬉しくって…」
私のことをしぃ、と呼ぶこの子は大学からの友達の麻奈。大学入学当初の食事会で出会って、「枝絵美(しえみ)です」と自己紹介したら
「しぃだね!」
と行きなり呼んでニコニコしてた。
それから大学では一番の友達になった。
そんな麻奈が
「あ、そうそう。私最近ハマってるサイトがあるんだけどさぁ」
と言って携帯を取り出した。
「"ピクシーブ"っていう、いわゆるコミュニケーションサイトなんだけど…とりあえず、招待メール送るから入ってみて!」
「え、なにそれ?ぴ…ピクミン?」
「ピクミンじゃなくて、ピクシーブ!てか私彼氏と待ち合わせなんだ。ごめんね!とりあえずはやってみて。じゃあねー!」
そう言って麻奈は走っていった。
「コミュニケーションサイト…」
そう呟いて携帯を開いた。麻奈からのメールを読んだ。
『ピクシーブへの招待状だよ!ピクシーブは、たくさんのゲームがあったりたくさんの人たちとの交流が楽しめたりするよ。他にも楽しい内容盛りだくさん★是非ピクシーブに遊びに来てね♪http://...』
正直、よくわからなかった。でもとりあえずそのサイトを開いてみることに。
「えーっと…登録?」
会員情報を登録してくださいと表示されたので指示にしたがって登録を進めた。
「名前?…しぃちゃん…自分でしぃちゃんはキモいかな笑」
名前はしえみの えみ にした。
年齢 性別 都道府県 パスワードを入力した。
「あとは…自己紹介………
なに書けばいいんだ?」
とりあえず、初心者です。よろしくお願いします。
と書いて登録を終えた。
なんだか登録だけで疲れたなぁ…。
私は携帯をマナーモードにしてから携帯を閉じて鞄にしまった。
それから電車を2つ乗り継いだところにあるバイト先の居酒屋を目指した。
バイト先に着いた。
「おはようございまーす」
よくある何時でもおはようの挨拶をして着替えをしに更衣室へ行くと2つ上の同じ時期にバイトに入った架波ちゃんが居たので何となく質問をしてみた。
「架波ちゃんはピクシーブって知ってる?」
「ん?CMでもやってるやつでしょ?私、あれやってるよ」
やってるとまでは思わなかったので少し驚いた。
「そうなんだ!実は大学の友達に誘われて入ってみたけどよくわかんなくって…」
「ほんと?!じゃあ名前教えてよ。友希するから!まぁ、最初はわからなくても楽しくなってくるよ!」
「と、トモキ?誰それ…」
架波ちゃんに笑われた。
「友達希望だよ笑」
なんだか、本当によくわからないサイトだなぁ。
その後も架波ちゃんはピクシーブのことをいろいろ教えてくれた。
バイトが始まる時間になり、私と架波ちゃんはホールに出た。
朝礼ならぬ夕礼を済ませ、それぞれの仕事にいく。
今日は私は厨房で架波ちゃんはホールだった。
同じ年齢のバイトの觜崎(はしさき)くんも今日は厨房だったので觜崎くんにもピクシーブのことをきいてみた。
「觜崎くんはさ、ピクシーブって知ってる?」
「あぁ!俺やってるよ」
二人中二人がやっていると回答したことに驚いた。
そんなに人気あるのかな?
「えっ?そうなんだ…私は今日はじめて知って登録したんだよね」
「まじ?じゃあリンクしようよ♪」
リンク…?いきなりゼルダの話?
「え?ゼルダの伝説?」
「はひ???笑」
觜崎くんは「は?」じゃなくていつも「はひ?」っていう。
「だから…リンクって…シャー!!!って回るやつだよね?」
觜崎くんは笑った。ちょっと大きい声で。
「違うよ!あー友達希望!」
友達希望のことリンクともいうの?ますますよくわからない…それと同時に私はなにも知らなさすぎて少し恥ずかしくなった。
觜崎くんと話をしていたら後ろから声が聞こえた。
「手が動いてないぞ!」
その声で二人ともごめんなさいっといいながら振り替えった。
声の主は正社員の田中さん。多分50代前半。
「ちゃんと、口より手を動かしてくれないとね!…てか、ピクシーブ俺もやってるよん」
「へ?」「へ?」
私と觜崎くんは同時に声を出した。
田中さはいかにも携帯がダメそうにみえる…。
「釣りゲームにハマってるんだ。」
「あぁ!あれですか」
觜崎くんが話に乗った。
なにもわからない私はただ頷いていた。
ピクシーブの話で盛り上がる二人を見て
そんなにおもしろいのかな?と思った。
だって麻奈も、架波ちゃんも觜崎くんも…田中さんまでピクシーブをやっている。
ピクシーブの話もそこそこに、みんな自分の仕事に必死になった。
21:30からのたった20分の休憩も、一口水を飲んだだけで1分もしていない。
相変わらず目が回る忙しさだ。
23:30
やっと着替えてお店を出た。電車を乗り継ぎ家路を急ぐ。早くお風呂に入りたかった。
「ただいまぁー…」
「おかえり!」
そう言って出迎えてくれたのは高校2年の弟、零次(れいじ)
「疲れたわぁ!お風呂空いてる?」
「うん。俺が今上がったとこ」
濡れた髪の零次が言う。
「わかった。じゃあ、高校生は寝なさい!★おやすみー」
「ガキ扱いすんな笑」
そうして私はやっと湯船に浸かることができた。
あぁーじあわぜー
そんなおっさんみたいな声を出して浮かべたアヒルさんに話しかけた。
「今日ねー大学の教授のカツラがずれててねー爆笑したよー。あはははは」
変人以外の何者でもない。これが私の日課。
お風呂からあがって、髪を乾かし自分の部屋に行った。
鞄から携帯をとりだし、明日の目覚ましをセットしようとした。
携帯のランプが点灯していた
メールが来てる…
パカッ
「フンヌッ???!」
ディスプレイには
メール:27件
と表示されていた。
ディスプレイを見て私は固まった。
誰かからの脅迫メールかな……こわいな……
そしてメールボックスを開く。
大量のメールの主は…
ピクシーブだった。
27件中23件がピクシーブからのメール。
件名には「ミニメールが届いたよ!」
っとあった。
ミニメール????
小さいメール?????
そのメールにはられていたURLをクリックした。
メールボックスという名目…。
これはサイト内だけで行えるメールなのかな?
沢山のメールの件名には
「はじめまして」
というのが多かった。
とりあえずは一番上のメールを開いた。
送信元:ビガヂュウ
件名:はじめまして🎵
本文:僕も愛知県に住んでるんだよ。よかったら仲良くならない?
愛知県民なんだ!
へぇ~
私はすぐ右下の返信ボタンを押した。
件名:はじめまして。
本文:どうも、はじめまして。このサイトは登録したばかりなのでよくわかりませんが、よろしくお願いします。愛知県民なんですね。
なんだか堅苦しい文になっちゃった…。
まぁ、いいか。
送信…っと。
受信ボックスの最初のページをみたら、
件名:おあしす♪
これが目についた。
まさか…
送信元:パクちゃん
件名:おあしす♪
本文:元気が出る合言葉♪おあしすっ!しぃ、登録してくれたんだね~ありがとう!↓から友達になれるよ
私はカーソルを落としてリンク先にとび、友達登録とやらを行った。
勿論、相手は麻奈。
私は麻奈のページを開いた。
自己紹介には
やっほー★パクちゃんだよ♪何でもパクってしちゃうからパクちゃん。
下ネタに感じたそこの君!
なかなか趣味あうねー笑
冒頭がこれで、あとは好きなものや嫌いなものが書かれていた。
麻奈ってこんな子だったっけ?
私たちは合コンに幾度か出席をしているが
下ネタ系の話になると
「なぁにそれ?」
とキョトン顔になる。
まぁ、あまり気にしないことにした。
誰だって合コンの時とか人変わるよね…―。
自分のページに戻って
メールを返した。
20件なんて単位相手にしたことないから大変だったが、大体みんな同じような内容。
自己紹介を変えることにした。
短文は苦手です💦
これを冒頭においた。
それからサイトをちょこちょこいじっていると、
「写メをはる」
という項目があった。
ポチっ
更に
「写メをはる」
「皆の最新写メ」
という項目が出てきた。
皆の最新写メとやらを開くと
顔写真やらプリクラが沢山出てきた。
成る程、こんなこともできるんだな…
興味本意に自分のプリクラを載せてみることにした。
載せてから数分後、メールが届いた。
めちゃくちゃ可愛いね!
俺はトモって名前。
23歳でシステムエンジニアやってます。
是非絡んでよ!
トモのページには写メがあった。市原隼人似の爽やかイケメンだ。
イケメンに盛り上がった私はすぐさま返信をした。
はじめまして。トモさんも凄く素敵ですね!
私は大学に通ってる学生です。こちらこそ、仲良くしてください😄🎵
トモさんからの返信を待っている間にも、さっきメールを返した相手からメールがくる。
でもみんな似たり寄ったりな質問…彼氏いるの?だとかどこの大学?だとかで正直。印象に残らないメールばかり。
まぁ、携帯のなかだけの話だし…と思って早くも適当な返事になった。
というよりも中身のない人には返さなかった。返す言葉がなかった。
トモさんから来ないなぁ…
私は携帯を閉じた。
―――…
♪~
携帯のメール受信音が鳴った。
うとうとしていた私はちょとビクッとなって
携帯を開く。
ピクシーブからだった。
「トモさんからメールが来たよ!」
トモさん!
メールを開いた。
女子大生かぁ…
いいねぇ✨って俺も去年まで大学生やったわ!
でも大学生に戻りたい。
俺に若いエキスくれぇ~(笑)
エキスって…(笑)
おじさん臭い表現に笑ってしまった。
4つしか年変わらないのになにオジサンみたいなこと言ってるんですか(笑)
まだまだ若いで……………………………………………
(((((((ジリリリリリリリリリ!!!)))))))))
はっ!!!
目覚まし時計で飛び起きた。
朝の6:30
手にはしっかり携帯が握られていて、画面をつけたら文字が入力途中になっていた。
そうか、昨日は眠たすぎて知らぬ間に寝ちゃったんだ…。
トモさんおこってないかな…
すぐに文を作り替えた。
おはようございます!
昨日はごめんなさい。
知らぬ間に寝てしまって…💦
本当にごめんなさい💦💦
メールを送ってから私は出かける支度をした。
顔を洗い、歯を磨いていると
♪~
メールの着信音が聞こえた。
トモさん!と感じた私は口に歯ブラシを突っ込んだまま
携帯を見た。
ピクシーブからのメールで
「トモさんからメールがきたよ!」
私は少しニヤけてしまった。
送信元:トモ
件名:おはよう
本題:
寝ちゃったと思ってたよ~
目覚めの気分はどう?
俺はコーヒーを飲みながら新聞読んでるよ
よかった…全然怒ってないみたい。
トモさん、優しいな…
さっそく返信をした。
おはようございます♪
コーヒーに新聞ってなんだかお父さんみたい笑
送信をしてから洗面所に戻り歯磨きを終わらせた。
今日は早くから大学に用事があったので7:30に家を出た。
電車の中でトモさんからのメールを開く。
コラコラ!お父さんとか言わないの。
まだ23だぞー!えみちゃんは19歳だし兄弟的年齢じゃないか!
今は電車で通勤中だよ。
目の前のスーツビシッと決めたオッサン…
明らかにズラずれてるんだけど、どうしたらいいかな…汗
電車の中なのに笑ってしまった。
しかもニヤけ笑い…
恥ずかしさでいっぱいになりながら返信をした。
ごめんなさい笑
もう、トモさん勘弁してくださいよ…
このメール電車の中で読んだんですけど
ニヤけちゃったじゃないですか!
…とりあえず、フーフー息ふきかけて
ズラ直してあげたらどうですか?!
送信して携帯を閉じた。
右側の扉が開きます、ご注意ください。
車内アナウンスが流れて
私は電車を降りた。
大学に着くと突然背中になにか重くのしかかった。
ボソッ(…麻奈…)
「えーバレたー?私何も言ってないし、
しぃは振り返ってもないのに!」
「だぁ!そんな登場の仕方するの麻奈しかいないわ!」
ヘヘヘーと笑う麻奈を見て、ふと
麻奈のピクシーブの自己紹介を思い出した。
下ネタ好きを公言した内容…
普段全然なのに…
ぼーっと麻奈を見ていると
「しぃ?どうしたの?」
麻奈に言われてハッとした。
「ううん、なんでもない」
「変なしぃ~」
「麻奈に言われたくない笑」
そうだ、なにも気にすることなんてない。
「そういえば!登録ありがとうね」
「?…あぁ!ピクシーブ?」
「うん♪どう?登録してみて」
「ん~まだよくわかんない。―…あ、でも、
メールのやり取りをちょこちょこしてる人がいるんだ
なんだか素敵な人。そう感じる」
「ふ~ん…」
麻奈の反応が少し冷たく感じた。
時計を見ると用事の時間。
「あっごめん麻奈、私行かなくちゃ!」
「うん、わかった~。いってらっしゃ~い♪」
手を振って別れた。
12:30
私は中庭で昼食をとった。
携帯を開くとトモさんからメールが来ていた。
電車でニヤけちゃった?!えみちゃんもなかなか
ベースケだね~笑
それ、名案!
お腹が苦しいってのを装ってフーって息はいたよ。
…見事にズラ落ちた泣
オッサン気づかないし…泣
拾って「落としましたよ」って言ったら
わっ私のじゃないって必死に言ってたよ。
今度は電車の中じゃなかったので
声に出して笑った。
なんて面白い人なんだろう…
いちいち表現がオッサンくさいし…笑
ベースケって何ですか笑
ほんと、いちいちオッサンくさいですね笑
わー可哀相!
普段から、ポンポンするだけで髪が太く見えて髪の毛あるように見える
あの某CMの商品持ち歩いたら良いんじゃないですか?!
返信をして私は午後の授業に出席した。
午後の授業も終わって私はバイト先に急いだ。
着替えをしてすぐに厨房に出た。
「おはよう」
そう挨拶してきたのは觜崎くんだった。
「おはよう。觜崎くん、今日も厨房なんだね」
「うん、今日も本城(ほんじょう)さんと一緒で嬉しいよ。」
私はドキっとした。社交辞令…?
ちなみに本城は、私の名字。
フルネームで本城枝絵美(ほんじょうしえみ)
「それよりも、本城さん、ゼルダやってくれるって話してたじゃん!」
「へ?!ゼルダ?!💦」
「シャー!だよ、シャー!」
と言って觜崎くんは回って見せた。
「リンク…」
やっと気づいた。
「ピクシーブ!」
「笑。そうだよ!俺、あれから待ってたんだからねー」
「ごっめん!全然忘れてた」
「ストレートだね笑せめて忙しかったとか言ってよ」
「ごごごごめん」
「いいよいいよー。あ、どう?ピクシーブ楽し?」
「んーよくわからないけど、メールとか楽しいかな?♪」
「ほー。どんな人?」
「んー23歳の人なんだけど、とっても面白いんだ!」
「ふむ、男?」
「うん、男性」
「…そっか。てか俺のこと忘れてその人のメールに夢中だったのか」
そうふてくされた彼の横顔にキュンとした。
「ほんとにごめん!」
「じゃー遊びに行こうよ」
「ほ?!」
「俺とはいやかぁー!!!」
と泣くまねをしてみせる觜崎くん。
「ちょちょちょちょ、嫌なんて言ってませんがな」
「じゃあ明日はどう?」
「立ち直りはやーいwいいよ!」
「ほんと?!午後2時からでいい?」
「おっけーおっけー!」
「じゃあ午後2時名駅(名古屋駅)金時計前で」
「うぃ」
「うぃって笑」
こうして觜崎くんとデートすることになった。
その後の觜崎くんはよりバイトに気合が入ったようで
鼻歌交じりにご機嫌だった。
バイトが終わって私は觜崎くんと一緒にお店を出た。
彼に話しかける。
「一緒に帰るのって…初めてだよね?」
すると彼のほっぺたがガラス細工のように空気を含んで膨らんだ。そこに赤色の塗料を注したように赤らんだ。
「あれっ?!違ったかな?!ごっごめんっ💦」
そう言ってアタフタする私を見て彼はガラス細工から空気を抜いて更に赤色の塗料を注いだ真っ赤なほっぺたで笑った。
「あははは!うん、実は二回目なんだよ!」
私は必死に記憶を辿った。
そういえば!
まだ私がこのバイトに就いて間もない頃、帰り道に不安になっていたら觜崎くんが声をかけてくれたのを思い出した。
「駅まで送ろうか?」
今思い出すとその笑顔は私の不安を吹き飛ばしてくれて更に嬉しい気持ちにまでしてくれるような素敵な笑顔だった。
お言葉に甘えて駅まで送ってもらったけれど…
途中
歩道の段差に足を躓けて転んでしまったのだ。
しかもド派手に。
しかもスカートはめくれあがって。
すなわちパンツは見られた。
「大丈夫?」
と声をかける觜崎をよそに
私は立ち上がるなりボルトにも勝る速さで駅へ走った。
それからはあの恥ずかしい過去を封印したのだった。
「あ…」
思い出して赤面する。
顔が爆発しそう。
「街灯にほんわり照らされてたあの水色…忘れられないわ~♪」
「なっ…!!!」
そういってライフポイントの残り少ない私に更に攻撃を仕掛ける觜崎くん。
「あっはっはっ!!!ごめんごめん。あまりに可愛いからからかっちゃったよ!」
「か…かわいっ…て…」
自分の顔がさらに真っ赤になるのがわかる。
「でもあのときもっと一緒にいたかったから残念だったよ。段差に注意がいかなくて支えられなかったのがいけないんだけど」
そういって少し悲しい顔をする觜崎くん。
どうやら彼なりに心配してくれていたみたいだった。
「觜崎くんが気にすることは何もないよ!私がどんくさかっただけだからさ!」
そう笑って見せる私。
それから他愛もない話をしていたらすぐ駅に着いてしまった。
「なんだかあっという間だったね!」
「そうだね…本城さんは電車、右回り?」
「ううん、左回り」
「そっかぁー俺もそっちからいこっかなぁ」
「嬉しいけど、早く帰った方がいいんじゃない?明日朝早いんでしょ?」
「…うん。あー………」
寂しそうな表情を見せる彼がかわいい
「明日、遊ぶやん♪」
「そうだね。じゃあ、本城さん、気を付けてね!また明日」
觜崎君に手をふった。
觜崎君はずっとこっちを見ていて私も彼をみていた。
「本城さんが行かないと俺が行けない笑」
その言葉を聞き、くすっと笑って改札口をくぐった。
エスカレーター前で振り替えると彼はまだいた。
小さく手をふってエスカレーターで降りた。
ホームで電車を待っていたら携帯のバイブが振動して私を驚かせた。
…
アラーム?
なぜこんな時間に…
不思議に思いながら携帯を閉じた。
携帯を再び鞄に戻そうとしたところ、ピクシーブを思い出した。
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