僕と携帯電話とおかん
はじめて小説を書きます。ほぼノンフィクションです。誤字脱字あるかと思いますがお許し下さい。
『貧乏な母親が僕にくれたもの。
それは携帯電話とお米だけ。
一人暮し、部屋4畳、風呂トイレ共同、家賃3万円が僕の城。
収入額、約月に6万円。
何が楽しくて生きているのかわからない。
でも親孝行がしたい。たったそれだけの気持ち。
18歳の僕。未成年からどん底。
それでも夢を見ます。』
貧乏人の頑張りを伝えます。
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「お母さんがいたということはもちろんですが、
自分が辛い経験をしてきた分、人に優しくなれたんです。
お金じゃ買えないものみつけることができました。
それは目に見えないものなんです…
なにかわかるでしょうか、
それは一人一人違うんです。
その目に見えない幸せな気持ちを
僕は歌にしました。
聴いてください。
『幸せのかたち』」
だいちゃんのギターがゆっくりと
体育館に鳴り響きだした…
【幸せのかたち】
『どうして夜空を見上げて
想い出たちが 僕の背中を押すの
あの星のように いつか僕も輝きたい
「帰っておいでよ」 君は一人じゃない
そんな優しい言葉が また僕の背中を押す
いつか君にありがとうを
言える日が来るはずさ
だからもう一人じゃない こんなに仲間がいて
どんなに辛くても 愛する人がいて
負けそうになるけどただ信じて
今まで感じたことのない ありがとうを
君たちへ送るよ』
歌っている途中に、暗い体育館に小さな光が射し込んだ。
それは誰も気付かないような光だったけど、
僕は気が付いた。
お母さんが、来てくれた…
控え目に、隅に立って
僕の方を見ている。
お母さんには隅っこが似合っているでしょって
僕に語りかけてるみたいだった。
僕もこんなに成長したよって
歌に乗せて伝えた。
努力は叶うって教えてくれた人
僕に夢を見る場所を与えてくれた人
生きることの意味を教えてくれた人
お金で買えないものを教えてくれた人
家族の温かさを教えてくれた人
人を好きになることの幸せを教えてくれた人
みんな、来てくれて、聴いてくれてありがとう。
僕の夢の時間がゆっくり終わった…
歌い終わった時、頭の中は真っ白だった。
だいちゃんが僕になんて言ったかわからない。
前に座っている人が何人か泣いてくれていた…ってことぐらいしか覚えていなかった。
拍手の中、僕たちはステージの裏に消えた。それでもまだ拍手が聞こえてくる…
先生が僕たちを迎えてくれる、
よく頑張ったなんて、僕らを抱きしめてくれた…
先生も泣いてるの…?
僕とだいちゃんは、喜びを分かち合うのではなく、
2人で泣いていた…
おかしな光景だったかもしれない、
でも僕たちは、今まで練習してきてずっと溜め込んできた想いを出しきったことで、
自然と涙が流れてきていたんだ。
周りとは少し違う涙の理由があった…
「だいちゃん、ありがとう…」
「こっちこそ、ありがとう。」
彼が亡くなって、潰れてしまいかけた僕が、彼のためも含めてちゃんとギターを弾けた。
天国に届いているかな…
僕とだいちゃん、カッコよかっただろ!!
君とだいちゃんと僕で、バンドなんか組みたかったよ…
君のお母さん聴きに来てくれたよ。きっと3人でステージに立ってる姿、想像してくれていたと思う。
そして、僕はクラス合唱までの間、彼女を連れて、つーちゃんたちやおかんのもとに行った。
彼女を紹介してあげたんだ。
おかんは思った通り、嬉しそうで、
インスタントカメラで僕らを撮っていた。
そこにはほっぺにキスをしてもらってる照れてる僕が写っているだろう。
おかんは彼女に僕の昔の話をしている…恥ずかしいからやめてほしかった。
つーちゃんや阿部さんたちはそれを笑いながら聞いている。
荒井さんが僕の肩をポンっと叩く。「ほら、ちゃんとあやまれよ」
そう金子さんに言って
金子さんは気まずそうに僕の前に立った。
「心配してくれて、歌、良かったよ、ありがとう」
金子さんは今日僕の歌を聴いたら、自首をするって…
荒井さんが最後に僕の歌を聴いてから行けって、説得してくれたんだ。
「刑務所に入って出てきた時…
俺も変わってる気がするんだ。彼女のこと大切にしろよ、じゃあな!!」
そう言って金子さんと荒井さんは去っていった。
クラスの合唱も終わった。
彼のお母さんはずっと泣いていたかな…
先生もなぜかずっと泣いていた。
来てくれたみんなはそれぞれ、またねと言ってくれて帰って行った。彼女も終わったら電話ちょうだいねって言って友達と帰って行った。
おっちゃんとおかんは何か寮生活の話し合いをしているみたいで、僕が先に片付けのためその場を去った。
おかんは「じゃあお母さん帰るね。冬休み待ってるね」と言って手を振った。
片付けも終り、
教室でみんなが騒ぎ合っている中、
文化祭が終わったってことに浸っていた…やっぱり寂しい気持ちはあった…
これからの僕はどうなっていくんだろう…なにか目的がないと、
寂しさで潰されそうだ。
彼女がいなかったら…潰れてしまっていただろう…
ひとつ、僕の分岐点になった文化祭だったろう、
それからは、ただ普通に、日々を過ごしていた…
クリスマスにはお金はなかったけど彼女とルミナリエに行ったり、
冬休みは家に帰って、少し遅いクリスマスケーキを食べたり、お正月は家でゆっくりして、
いつのまにか、16歳になって…
高校2年生になっていた…
このままでいいのかな、
やりたいこと…また見つけないとって考えながら
毎日を過ごしていた…
*主です*
読んでくださっている方々、本当にありがとうございます。
誤字脱字たくさんありました。本当に申し訳ありませんでした。
これまでの話は大切な人達に出会ってきた僕の想い出をたくさん書かしていただきました。
高校1年生終りまでが僕の今までの人生のひとつの区切りになります。
これからの話は今の僕自身に至る話になっていきます。
どんなことがあっても負けないで頑張ってきた自分のことを書きます。
18歳になった時、僕はうつ病になりました。それを克服したい、同じ状況にいる人に勇気を与えたいと思っています。
それがこの小説を書かせていただいている根本的な理由になっております。
読み苦しいかと思いますが、引き続き宜しくお願い致します。
周りの人達に支えられ、僕は2年生になった。
僕の学校では2年生から大学受験の課題があがる。
そのために、文系か理系の選択をすることになる。
僕はもちろん文系に進んだ。
日本史や国語が好きだったのは昔からだったが、哲学に興味を持つようになった。
高校では学べない勉強だった。
ただ国語の先生が哲学が好きで、マイケル・サンデルと言うハーバード大学の名誉教授の話をしきり雑談に組み込んでいたからだ。
余談にはなるが、現在のハーバード白熱教室という番組の教授である。
そのテーマは、「正義」「幸福」について学ぶものであった。
*現在発売されている本の既出ではあるが少し説明すると、
日本の東京でテロを画策しようとしている日本人(無宗教者と仮定)がいるとする
確かな証拠はある。しかし実行には及んでいない、だから容疑者である。放っておくと1万人の命が失われる。その人間1人を拷問すること正しいか正しくないか、1人の命と1万人の命、どちらをとりますか?*
*ある人は1人の命で1万人が救われるなら、拷問すべきだと言う、またある人は容疑者なだけのその1人の命を奪うであろう拷問はよくないと言う。どちらが正しいのかなんて答えはない。
ただ1つの命と1万人の命をその場で天秤にかけているだけなんだ。
僕は1万人の命が大切だと思った。そう思う人は多いかもしれない、
それではその容疑者の子供を連れてきて拷問にかけるとしたら?
それはどうしても賛成はできなかった。もし僕が容疑者で代わりにおかんが拷問をうけると考えると、想像を絶した。
この時、同じ人間の命
1人と1万人の命どちらを選びますか?
人間の命の価値はなんなんだろうか、
これが哲学であった。
「ものの考え方」について
(決して本の宣伝などではありません内容を少し公表してしまったことをお詫びします)*
僕はこういった哲学に高校2年生で興味を持った。幸せとはなにか、正義とはなにか、
これからの僕には大切なことだった。
国語の先生はマイケル・サンデル名誉教授を尊敬した。
ハーバード大学の講義のディベートの様子を生徒に見せることもしばしばだ。
例えばこんな話もしていた。
タバコを吸うことについてどう思いますか?
タバコは体には良くない。ではなぜ日本は外国から取り寄せて、税金として売っているのか、
吸わない人にとってはそこから及ぶ影響で体を悪くするだろう。
分煙化は当時さほど進んでいなかったためか、深刻な問題である。吸わない人は、タバコなんて無くなればいいのにと主張する。
では日本がそのような税金を様々な施設やバリアフリー化を進めるお金に回していたとしたら、
タバコが無くなれば…幸せと言える人は減るのではないか、
パチンコ店もまた海外ブランドもそうである関税がそのモノの上に覆い被さっている。生活に直接関係のない興味の範囲でお金を使うなかには容赦なく税金が含まれている。
人はそれを嫌がるかもしれない、でもそれで幸せを得ている人もいる。幸せってなんですか?
国語の先生は自信満々に問いかけてくる。
難しい質問だった。
「幸せ」という言葉を求めている僕にとっては興味津々だった。
論文を書く機会があった。
他のクラスのみんなは嫌がっていたけど、僕は嬉しかった。
昔にもこんなことがあった。
小学生や中学生の時、夏休みの宿題で読書感想文がだされる
みんなは嫌がって「あとがき」などを引用していたが、僕は何枚でも書くことができた時があった。
僕が幸せについて選んだテーマは『携帯電話』だ。
この携帯電話にはたくさんの思い出が詰まっている僕の宝物なんだ。でも…時には人の幸せを奪ってしまうものなのではないかと考えてみたかった。
彼が心臓病だったことが頭を過る。きっとこの最先端の技術の中にも、たくさんの人の幸せと不幸が入り交じってるって思った。
遠くにいるおかんと電話ができる。大好きな彼女とメールができる。その裏側に、たくさんの真実を含んでいる。プライバシーの侵害、個人情報、
もっと考えたら、公衆電話や固定電話を作っている人達のワーキングプア問題とか、
いっぱいある…考えたくて考えたくて、いっぱいだった。哲学を好きになっていた。
僕は「幸せ」について携帯電話を含む科学技術と職人の手を比較した論文を書いた。
携帯電話は便利だ。人間がみな1つは持っているといってもおかしくない。今や小学生から高齢者まで持っている。
科学技術と引き換えに奪われた職人の手についてまとめた論文は、福祉的な面を帯びていた。
田舎の高齢者が職人として公衆電話の部品を作ることを職にしていた。
その田舎町は若者が出稼ぎに行ったりと人口のほとんどが高齢者であった。
もちろん、携帯電話が流行した中、公衆電話は減っていく。
そのため公衆電話の価値は下がっていった。
その職人のお父さんは奥さんと2人で生活をしている。
年齢的に、もうすぐ65歳と後期高齢者になる。
科学技術の発展の裏側に、苦しむワーキングプアの問題である。
労働弱者問題は田舎の場所で起こる問題だった。
仕事はしている、しかし需要が減った…時代の流れなんだとお父さんは考えていた。
収入の割りにかさばる食費や光熱費、そして税金。
町内会等ではもっぱらその問題を考える場所となっていた。
お父さんには貯金があった。
100万円ほど銀行に貯金をしている。それは身体が悪く、病院に通っている奥さんのために手をつけないでいた。
奥さんの寿命はもう長くなかった…
あまりの生活の苦しさと闘いながらもその貯金には手をつけないでいたのは奥さんのために立派なお墓を買ってあげたかったから。
しかし税金は上がっていく。お父さんは、役所に行ってワーキングプアのことを告げ、奥さんの病気のことも告げ、生活保護の申請をするために行った。
しかし、申請は受理されなかった…貯金が100万円あったためだ。
お父さんは何度も主張した。このお金は使えない!!奥さんのためにお墓を買うからだと、
国はそれでも受理しない。なかにはもっと苦しんでいる人がいるからだ。
100万円という大金を持っていながら生活保護をしてくれ、馬鹿にするな。そんな罵倒もあった。
お父さんは携帯電話を恨んだ…自分の手で掴んだ職をかっさらっていった科学技術の発展にも…
このままの技術で良かった。なにも得などしていない…
奥さんの病院代、栄養を摂らなければいけないため…お父さんは貯金を切り崩した。
その1年後、奥さんは癌で亡くなった…貯金を切り崩したため、1年間寿命が伸びたといってもいい。ただ、お墓を買ってやることはできなかった。
その後、お父さんはもう殆どない収入とわずかな年金で生活をすることになった。
この職人のお父さんにとって、携帯電話を含む科学技術の発展は幸せと呼べたのでしょうか…
この話は僕が作り上げた話だ。
実際に起こっている問題なのかもしれない
幸せという「ものの考え方」
その原点に僕は戻った気がした。
平凡な日常から「ものの考え方」を意識してみると、
とても面白かった。
人間にとって幸せは無限にあって、好きな人と結婚をして子供を授かること、お金持ちになって高級車に乗ること、また趣味に人生を注ぐこと、それは仕事であったりギターであったり…
しかし、その中で必ず悩みや悲しみも持ち合わせながら生きているってこと。
それが人間という存在であって、人生を生きているってことなんだと思う。
2年生の夏、彼女と海に行った。それは幸せなことだった。
彼女も楽しそうだった。幸せな時間を過ごしていた。
その時、彼女には悩みがあった…
「ママが体調が悪いの…」
風邪を引いてお世話になったあの日以外にも何度も食事に招待してもらったり、買い物にも連れていってくれたりしていた。
本当に家族のように、接してくれていた。それを知っているおかんも安心して僕の生活を見守ってくれていたんだ。
彼女は僕に悩みを打ち明けた、僕を信頼してくれていたんだ。
僕に打ち明けてくれた後もしばらく体調が優れなかったみたいで、彼女のお母さんはお父さんと一緒に病院へ向かったそうだ。
そこで衝撃の事実を聞かされた。
子宮がん。
彼女は心配で仕方がなかった。その病名を僕に教えてくれた。それぐらい彼女は気持ちのやり場がなかった…
「ママ、死んじゃったらどうしよう…」
そんな言葉が僕の胸を打つ。
僕にとっては知り合いを1度失っているという過去がある…
忘れられない、でも2度と同じ経験はしたくなかった…
僕に返す言葉が見つからない、
下手なことを言っても彼女を悩みから救い出すことなんてできないのだから…
幸せの裏側に在るのは悲しみで悲しみが幸せを上回ってしまうと、人間は弱く脆くなる。
どんなに強く生きたって、悲しみのない人生に人は成長していけないから。
彼女は今、とても脆く弱くなっていた。少し押しただけで全てが崩れさってしまう、そんな状況だった。
僕たち2人にできることはインターネットで子宮がんを調べること。それだけで、
その情報が自分達の望んでいる良い知らせの時は安堵し悪い知らせの時は絶望に浸る。
文化祭以来、いつか結婚したら2世帯で住めたらいいね、なんて言ってくれていた、婿養子とかなんか憧れるなど…
幸せに向かっていくはずだった…
簡単に描きかけていた幸せの夢だったのに、またひとつ壁が立ちはだかる。
1人の命か1万人の命か、
人間の命の価値は、
1万人の命を選べるだろうか、
科学技術、高度な医療技術はワーキングプアのお父さんにとっては必要のないものだったとしても…今の僕らには必要でないと言えるのだろうか、
どんなに考えても、客観的な視点でしかものを考えられなかったら、いざ主観的な立場に立ってみた時、自分の意見になんの説得力もない…
これが国語の先生やマイケル・サンデル教授が言いたかったことなのだろうか…
結局は自分1人の幸せを考えてしまう…悔しかったけど、
本当に的を得ていた…
あれらの質問に答えなんてなかった…
幾度となく僕には試練が与えられる…
きっと僕だけではないだろうが、
やっと、幸せを見つけ出した途端にこれなんだ。
これを乗り越えても、きっとまた次の試練がくる。
その基本的ベースに貧乏というものが存在しているのだろうか、
偶然ではなく必然という言葉を僕は嫌う。
僕が今まで歩んできた道は、必然で決められた道だったなんて思いたくないから。
偶然が何度も重なって今がある。それこそが運命だと僕は思う…
だから貧乏から始まった必然的な人生の運命の道とは思いたくなかった。
偶然が何度も重なって、与えられた試練を貧乏のせいになんかしたくない!!
彼女のお母さんも、必然的に子宮がんになったなんて思わない、例えそれが遺伝であっても、将来彼女に遺伝したとしても…
巡り合わせの中が偶然が重なりあって生まれたことなんだ。
僕は偶然に貧乏だから読書や勉強しかすることができなかった
そして偶然に赤い分厚い本でこの学校を選んだ、そして偶然に彼に朝出会った。
アルバイトで偶然、阿部さんのチームに入って彼女と出逢った。
そして偶然に風邪を引いて彼女のお母さんに面倒を見てもらえた…
確率でいうと、信じられない確率になる…
これは必然とかあらかじめ決められていたとか、そんなんじゃない。僕の意志で選んだ道に起こったことなんだ。
哲学を考えながら物事を考えると、なにがなんだかわからなくなる。
ただ、巡り合えたこと。その事実から僕は彼女のお母さんと彼女らと幸せになりたいと願う。
だからいるかわからない神に祈るんだ。
彼女のお母さんは病院に入院した。
1ヶ月、2ヶ月の間、レーザー治療や抗がん剤治療をうけた。
髪の毛も抜けていく、体重も重さを感じないくらい軽くなり、手首はあまりにも細くなっている。
心配をする彼女には側にいてあげることしかできなかった。
手術は成功した。
もともと早期発見であったことで抗がん剤が効いたみたいだった。転移もなく、ゆっくりリハビリをすることで退院することができる。
また幸せの続きをみることができる。僕は安心して心から喜んだ。
だがしばらく彼女のお母さんは恥ずかしくて、人に会いたくないと言っていた。髪の毛がなくなって、伸びるまで1年ほどはかかるそれが恥ずかしかったみたいだ。
カツラを被っていることその事実を知っている僕にも引け目を感じていたみたいだった。
おかんが僕に引け目を感じたことが1度だけあった。
それは、小学校のPTA会議の時だった。あまりにもおかんが学校で惨めな思いをしたことは覚えている。僕に対して周りの親から過保護すぎると間接的に言われたこと。
小学校の頃の僕が受けたイジメの1つにマザコンというものがあった…
父親がいなかった僕には頼る人がおかんしかいなかった。またおかんにとっても僕はたった1人の家族だった。
運動会もおかんだったし、参観日もおかんだった…なにかあるとおかんが学校に来てくれていた。
そのことを周りにはマザコンと言われていた。
おかんが言われたのはもっと子供を自律させたほうがいいと…
それを周りが親から聞いたのか僕に向かって言ってくる。
「お前のおかんは過保護だ、お前はマザコンだ。」
だから僕はあまりおかんに頼らないほうがいいと思った。
学校でそんなことを言われていることをおかんは知った。
自分のせいだと思ったのか、僕の態度を見て、あまり構いすぎないようにしようとした。
しばらく、おかんは僕を心配しないようにした、今日は学校でなにがあったの?とか給食はなんだった?とか、
そういった質問さえなくなった。
それでも僕は学校でマザコンと言われ続けるのは変わらない。
「今日も早く帰って、おかぁちゃんのおっぱいでも吸うのか?」
こんな酷いことも言われた。
貧乏だからとイジメられたこととは違った辛さがあった…
おかんは自分のせいで、自分のせいで…と思っていたに違いない。
引け目を感じるというよりは、むしろ自分のせいで辛い思いをさせたくないということがあったのかもしれない…
しばらくの間、おかんは僕に干渉しない…家でそんなことをしたって変わらないとはわかっていただろうけど…自律させようと努めてくれたんだ。
すこし状況は違うが、彼女のお母さんを見て僕は昔を思い出した。
息子だと思っているから、そう言ってくれる。
気を遣わせたくないという愛だったのかな…
僕の2年生は彼女のお母さんの心配と進路のことでいっぱいだった!!
はやいものだった…高校受験を終えて、1年と半年すこしでまた進路だ…
大学はさすがに諦めていた…
また様々な悩みがあった…
今回の受験は周りもいっぱい勉強するということ、予備校に通ったり、授業も有名大学の過去の問題をやるということ…その環境の中で僕は持ちこたえられるのか不安だった。
それよりも大きな悩みが彼女のことだ…僕はずっと一緒にいたいと思っている。彼女もそう言ってくれる。
そんな互いを引き裂くのが大学受験でもあった…
だいちゃんの過去が僕にもやってくるかもしれない…
付き合い当初はそんなこと考えていなかった…貧乏だから楽しく付き合うことができるかしか考えていなかったんだ。
どうしようもない壁がまた僕に立ちはだかる…
貧乏人が受験と恋愛をどちらも望むなんて…できないことなのかもしれない。
周りが受験の姿勢に向かっていくのが寂しかった…
どこへ行くあてもない僕はただ課題をこなすかのように授業を受けていた。
東大を受ける、京大に行きたい。私立は早稲田や同志社…
そんなみんなの話題に、取り残されてる…
わかっていたはずなんだ、
高校受験をして合格をした時に…
僕はここで終わりなんだって、
もう、人生に一度のわがままをおかんに聞いてもらった、
僕は就職する。
ギターももう弾くことはほとんどなくなってしまうだろうけど、
僕は学校の推薦を断った。大学受験はしません。と提出を求められた紙に書いた。
もう、後戻りはできないくらいの決心を固めた。
おかんにも彼女にも相談しなかった、このことばっかりは2度と誰かに甘えることができなかった。
勝手に決めた…
それがいけなかったのかな…
悩んでるんだったら…打ち明けてよって言った彼女の言葉に、
僕は当たってしまった…
彼女の家で僕の進路について
どこにいくんだろう、
関西の大学に行くのかな!?
東京の大学受けるのかな?
そんな話題があったみたいだ…
有名高校を特待生、期待されてあたりまえだった…
文化祭の時に僕が彼女を含めたくさんの人に貧乏と打ち明けた。
僕は高校までなんだ…だからたくさん青春したいって意味を込めた想い。
伝わってるはずだった…
どうしようもない、寂しい叫びだったけど…
いつまでも、心に閉まったままではいけなかった。
だからこそ、知っていたからこそ、彼女は進路について相談してほしかった…
おかんには高校で終りということは告げていた。
「ほんとにそれでいいの?」
いいんだ…僕は高校に入れたことでもう将来ないだろう楽しさや幸せを感じることができたんだ。
いまを大切に過ごそうって思う。
たとえ離れていても何年経っても、こうやって出来た出会いは永遠だと思う
限られた時間の中で限られた幸せを得ることが精一杯の楽しみだった。
共に笑いあって、同じ時間を過ごす
あと1年半、僕のタイムリミットだった…
彼女は納得してくれた…1年半後のことはまだ考えないようにしよう、
いま一緒にいれる時間を一緒に過ごそう…
恋愛をやっぱりしなければよかったって思いたくない。
彼女は大学に進むだろう、
僕は働く、
付き合っていくというのは簡単じゃないと思う。
大学に入ったらもっといい人に出逢えると思う。
僕は自分のことばっかりで彼女を考えてあげられる時間なんてもてないと思った…
でもいまは考えない、小さく指切りをした。
彼女の家でも僕が働くということに対して驚きはあった。
でもそのことが僕にも辛い選択だったということをわかってくれている…
だからそのことについては触れないんだ…
彼女のお母さんは徐々に体調がよくなってきていた。
カツラも似合うようになっていて、いつの間にか僕に引け目を感じることはなくなっていた。
「今日ご飯食べにおいで」
そんな誘いも次第に多くなってきた。きっと今の時間を大切にしてくれてるんだろう。
高校を卒業したら僕は実家に帰る…ほとんど会えなくなる。
だからいまのうちにいっぱい食べに来てと言っているみたいだった。
けっして言葉にはしないけど、僕にはそう感じた。
彼女はまだ受験勉強は始めていない。僕の高校だけだろう、2年生の2学期から受験を意識しだすなんて…
周りとの違いを感じずにはいられなかった…独りだけ取り残されている。
おっちゃんも僕が受験をしない、そのことを知ってか、あまり大学の話しはしてこない。
僕の周りは僕に、大学のことには触れてはいけない…と思っている。
僕は周りに壁があるような、どうしようもない寂しさに包まれるしかなかった。
残された時間がそんな寂しさで過ぎ去っていく…
あまりにも寂しかった…
このまま卒業を迎えるのは嫌だった…
もっとみんなと楽しみたかったんだ。だいちゃんも一緒にギターを弾く時間が作れない…東大への夢を追いかけているんだから、邪魔もできない。
彼女と過ごす時間が多くなった。思い出を1つ1つ作り上げていく。その思い出がいつか本当に思い出になる…なんて、考えたくなかったけど。
僕も仕事を探さなければいけない!!だからって今からできることは限られていた…職安にいっても話しさえ聞いてもらえないだろう、1年半後の就職について大学の就職活動じゃないんだから、
僕は資格をとることにした。本当は司法試験を受けてみたかった。弁護士になりたい…
それも大学に行ってロースクールに通ってと課程がある。お金がかかる…
ことごとく、夢を潰されていく。音楽の道に進みたい。ただ安定を求めるばっかりで、自分に自信が持てない。
何をすればいいんだ、
とりとめもなく…ただ簿記の勉強をしていた、
その先になにがあるかなんてまったくわからなかったけど…
2月に簿記2級に合格した。
それはそれで嬉しかった。じゃあ次は1級だと思って勉強を始めた、3年生になって、6月。
ひたすらに簿記の勉強をした。
1級にも合格した。
ただそこまでだった…
彼女と過ごしながら残り1年、タイムリミットが迫ってくる。
資格をとって僕の価値をあげようと頑張ってはみたものの、
やっぱり…将来がまったくみえない。
誰に何を伝えればいいのかもわからない
ただ彼女に好きだっていう気持ちしか伝えられない。結婚して幸せな家庭を作ろうなんて、嘘でも言えない、自分にそんな力はない…
きっと大学に行ったら、頑張ればできることなのかもしれない、司法試験だって受けることが出来たかもしれない
暗記すること、記憶力には他よりたけている。簿記1級をとった時に先生にそんなこと言われたけど
お金がない、貧乏だから、その才能を活かせない。
高校受験の時と同じだ。あの時はおかんに甘えた…
歴史は繰り返す、あの時に甘えたから、今また、同じ時を繰り返しているんだ。
死にたくて仕方がなかった…
自分の人生があと1年間。
その1年でさえも苦しみぬかなければいけない…
今すぐ楽になりたかった…
気がついたら、彼が死んでからちょうど2年…
あの時とは違っていた自分がそこにいた。彼の分も生きたい。そう誓ったはずなのに…
携帯電話で調べて精神内科に行ってみた。
様々な質問に答えていくうちに、でた結果は、鬱病だった。
薬をもらう…これでなにが変わるんだと思いながら飲んでみる。
ただ眠たくなって、朝を迎えて同じ苦しみの日々がやってくるだけだった。
そしてまたタイムリミットが1日迫る…
もう、なにもやる気が起きなかった…
いつのまにか、携帯電話も充電がきれたまま…ほったらかしにされていた。
夏に向かう梅雨、僕は彼女を初めてデートした場所に呼び出した。
付き合って2年、僕と彼女で作った2年間。
貧乏ながら、動物園にも行った、映画館にも1度いった。
買い物も一緒にいった。
ずっと手を繋いでいるだけで幸せだった。
彼女の家にも何回も行った。
美味しいご飯を食べさせてくれた。風邪を引いた時もあった。
これ以上ない感謝の気持ちでいっぱいだった。
貧乏だったのに、なにひとつ文句を言わないで2年間付き合い続けてくれた。
あの環境が、僕を幸せにしてくれた。いつまでもずっと忘れることはできないと思う。
ギターを弾いている時の僕が一番好きって言ってくれた。
あの左手で弦を押さえている手よりも弦を弾いてる右手が好きだって…
それを見て弾いてる僕の顔が好きだって
思い出すだけで、僕の気持ちが揺らぐ…
僕とすこし連絡がとれなかった彼女は心配そうに、大丈夫?と尋ねてくる。
それに僕は大丈夫だよって伝える。そして心配かけたことを謝る。
「ママも心配してたよ」ってすこし怒ったように僕に言う。
謝ることしかできない。
空気の匂いが2年前を思い出させる。懐かしいって気持ちにさせた。
すこし涙ぐんでいる僕を見て彼女は「どうしたの?」とさっき言った言葉が悪かったのかと優しく尋ねてくる…
「ごめん…」
その一言に彼女は全てを察した。
「嫌だっ」って言う。
あまり人通りが多くない公園だった。彼女は両手を口にあてて必死で涙と声を塞いでいる。
彼女の潤んだ目が僕を見つめる。
僕は出しかけた言葉を一度呑み込んだ。
気持ちが揺れているのを感じる。本当はずっと、一緒にいたい…でも僕は今の自分の状況に耐えることができなかった。
死にたいって思うぐらい悩んで、自分が楽になってしまう前に…
いつ自分が自分に負けてしまってもいいように…
僕の人生に未来がまったく見えない…若すぎたからかもしれない。でもそんな若すぎた僕には今の現実が、辛すぎたんだ。
自分勝手なのかもしれない…でも僕が貧乏に負けてしまった時に彼女が悲しまないように…
下を向いて、彼女の目を見ることができなかった…
大好きだった…こんなに大好きになれる人、他にいない…
大好きだからこそなんだよ…
こんな僕でごめん…
「別れたい…」
時が止まったのを僕も感じた。
ゆっくり流れる涙だけが…
伝わった。
これで本当によかったんだ…
この環境をこのまま1年後まで持っていくと
僕はどうしていいのかわからなくなってしまう…
彼女は我慢していた涙と声を出して泣いた…
「嫌だ、嫌だ…別れたくない…」
その言葉が僕には辛かった。
僕も大好きだったから、
「なんで…どうして…!?」
神様は僕にしっかり告げていた。「君は恋をしちゃ駄目なんだ。自分を傷付けるだけならいいが相手を傷付けてからでは遅いんだ」
泣き崩れる彼女が僕に「別れたくない」って抱きついてくる…
本当にごめん…僕は生まれながらに恋をしちゃ駄目なんだ…
涙をぬぐって、か弱い声で伝えた…
「ごめん…好きじゃなくなったんだ。」
僕の目から涙が一気に流れ落ちた…辛い嘘とともに…
彼女は僕の足元に崩れ落ちた。本当は僕が先に崩れ落ちそうだったんだけれども…堪えなければいけなかった。
「あたし…じゃ駄目だった!?
あたしじゃ、支えになってあげられなかったの?」
なんて言葉を返したらいいのかわからない、これ以上自分に嘘をついて彼女を苦しめたくなかった…
付き合う前は振られることが辛いと思っていた、振ることがこんなに辛いのかって実感した…
それでも彼女の方が辛かったと思う。
ごめん…以外にかける言葉が見つからない。
僕じゃ君を幸せにできないんだよ…僕にはもう1年間しかない。
真っ暗闇の未来へ君を連れてはいけない…
僕は君と出会って恋をして、本当に幸せな2年間を過ごしてこれたんだ…
でもね、一生忘れない。僕は君以外を好きになることはないと思う。僕が貧乏である限り、幸せにはなれないんだ。
君と幸せになることを必死で探してはみたけれど…見つからなかった
僕は彼女に手紙を渡した。
「約束してほしいことがある。
すぐに読まないでほしい…
しばらくしてから読んで欲しいんだ。すこし僕は独りになりたい…わがままでごめん。」
彼女を家まで送った…最後の帰り道、手を繋ぐことはなかった…
彼女は僕の後ろを歩いて、僕の服を握ってついてくる。
彼女の家についた…彼女は「連絡はしてもいいの?」と聞いてくる。
いいよとも言えず…僕は黙って頷いて彼女が家に入っていくのを見守った…。ほんとうに幸せだった。ありがとう。
僕はゆっくり駅まで向かって歩き出した。
今までの楽しくて幸せだった時間が蘇ってくる…
僕は道端に崩れ落ちて、声を出して泣いた…
不甲斐ない自分と…僕が彼女に言ったこと…押し殺していた大好きな気持ちがりつめた弦のようにプツンと音をたてて切れたこと…
あの環境がもう戻ってこないこと…
こんな僕を…どうか、許してください…
帰り道、僕はおかんと電話をした…。
ごめんなさい…僕はもう生きていくことに疲れちゃった…
なにもまわりが見えない、
自分が死んでしまったあと、誰がどう悲しむかなんて頭に入ってこなかった…
生きていても先が見えないことが辛かった…だから大好きだった彼女と別れを決意した。
おかんはその言葉を聞いて、
「やめて!!お母さんを1人にしないで、お願いだから死ぬなんて、言わないでよ…
お母さんあんたいなくなったらどうやって生きていけばいいのよ…
大学受験もしたらいいのよ…お母さん大丈夫だから、
あんたが生きてくれてたら、それだけでいいんだから…ね」
僕は、大学受験はしない…
高校で借金してもらって、そんなことばっかりおかんに迷惑かけたくない!!
大学なんていかない…
親孝行したい…
…
でも…楽になってしまいたいんだよ…
「おかん…ほんとうに、今までありがとう…」
僕はおかんが何か言ってるのを聞かずに電話をきった…
そして電源をきった。
そして、泣きながら階段を上っていく。
どこかのマンションの屋上は静かで暗くて高かった。
全てが終わると思った。
遠くを見つめながら、自分は最低なことをしようとしていることに気が付く。
彼のこと、彼女のこと、おかんのこと…
全てを裏切ろうとしている…
文化祭で誓った、頑張るって言う決意はなんだったんだ…
貧乏なんかに負けないって言ったじゃないか、
でも…後戻りはできなかった…
僕はなにも成長できなかった
みんな、ごめんなさい…
僕は、最後に携帯電話の電源をいれた。
不在着信がたくさん入っている…おかんからと非通知がたくさん…
それに、彼女のお母さんからも、おっちゃんからも、
先生からも、
なんで、どうして、
メールもたくさん入ってきている。おっちゃんからだ「いまどこだ?」
先生からだ「いまどこにいるの?教えて、みんな心配してるよ」
彼女のお母さんからだ「ママだよ、お話聞いたよ、手紙も読んだよ、あんまり1人で抱え込まないで別れちゃったのは残念だけどいつだって遊びに来ていいからね。」
おかんからだ…「いまどこにいるの、お母さん今から行くから、教えて、」
お願いだから…もう…楽にさせてよ、
みんな…優しいよ。生きたいって、思っちゃうだろ、
もう終わる予定だったのに…
おかんは携帯電話をもっていない…
おっちゃんのアドレスからのメールにおかんの言葉が入っていたから理解した。
おかんがおっちゃんに連絡したんだ…
探してほしいって…
非通知はたぶん、警察の人だと思う。
どこにいるか伝えたら、僕はきっと死ねない…このまま電源をきれば、あとは飛び降りるだけなんだ…
でも…
どこか、僕を止めてほしいって期待してる自分がいる。
こんなにたくさんの人に迷惑をかけてしまっているのに…
電話が鳴る…
公衆電話…って表示がされている。
間違いなく、おかんだと思った…
でる勇気がなかった、
何回もかかってくる。
3回目で僕は電話をとった。
「もしもし、お母さん!!いまから向かうから…待ってて!!お母さん行くから…あんた独りぼっちじゃないから…待ってるんだよ。
お母さんいまから…行くからね。」
公衆電話から必死に、僕を呼び止める。
おっちゃんからも電話が鳴る…
「どこだ?心配だから教えてくれよ…」おっちゃんも泣いている。
「今から帰る…約束するから、寮で待ってて、」
僕はそう言って、ゆっくり階段を降りた。これからどうやって生きていこうか必死で考えながら…
説得された自分が惨めだったのかもしれない…
中途半端な気持ちのままみんなを裏切ろうとしていたのかもしれない…
合わせる顔がなかった…
僕は寮にもどることができなかった…
ただ生きてるって知らせるために…
阿部さんに教えてもらった、mixiにログインをする。
伝わっているのかわからないけど…せめてもの償いだった…
声を顔を見せることができずに、ただインターネット上で僕の存在を知らせる。
今更、誰にも合わす顔がない。
死ぬこともできなかった…
僕はもうからっぽだ、
あんなに近くにみんなが探してくれている寮があるのに…
パトカーも止まっている。
生きていく世界にも行くことができない…
たださまよっていた…
僕がみんなの前から姿を消して1日が経った…
学校も行かなかった、またなにも食べていなかった。
携帯電話の電池もあと少しになっていく。
絶えず鳴る電話に、僕は耳をふさいだ。
ログインだけはする。
誰が見ているかなんてわからないけど…
おかん…ほんとうにごめんなさい…もう帰ることはできない。
僕はこのままさまよってる…
最後の最後まで心配かけさせちゃってるね…
たった1人のバカな息子でごめんなさい。
もう携帯電話の電池も赤く終わりをつげてきている。
僕は今、どこにいるのかさえわからない…
ただ漠然と、宛もなく歩き続けている。
寮や学校からは遠く離れていってるのだけは、確かに感じる。
僕は彼女に会いたかった…会って「ごめん、本当は…大好きだったんだよ…」って伝えたい。僕のこと…好きでいてくれた君が好きなんだ…
僕はあの日に戻りたい…
まだなにも知らなくて、無邪気に本を読みながらおかんが作ってくれたカレーライスを食べていた頃に…
進む時間を止めて、そう願っていた。
深い悲しみが、押し寄せてくる。帰る場所がほしい…
暖かくおかえりって言ってくれみんなのところに
あと1年でみんなとお別れ、そんな日がいつかくるかもしれないけど…
それでも、
それでも、僕と一緒に過ごしてくれたみんなと笑ってお別れがしたい…
メールが届く…僕の携帯電話には、大好きな彼女の名前が浮かび上がる…
見ようと思ったんだ…
嘘ついたこと、謝らなきゃって必死だった…
携帯電話を開けた、そこには最後の望みを打ち消すかのように、電池切れの文字があった…
僕はまた…泣き崩れた。
どんなメールだったんだろ…
電源ボタンを長押ししてみるが画面が明るく切り替わることはなかった。
ここがどこなんかわからない…誰にも連絡がとれない、お金もない…ましてや、未来も…ない
高校2年生、17歳で迷子になった大きなデパートでお母さんとはぐれた子供のように、不安をいっぱい胸につめて、泣き出しそうなのを必死に我慢しているように…
なんでだかわからなかったけど、腹のそこから歌が歌いたくなった、
寂しさと孤独感からか…鼻唄を歌いながら歩いてきた道を戻ることにした…結局、一人じゃなにもできない。戻っても何かが変わるわけじゃない、
心配したと言ってくれるだろう、怒ってもくれるだろう、
鼻唄から徐々に歌詞が加わっていく、
そのバラードは、とても儚くてどうしようもない自分を励ます、そんな歌を無意識に歌っていた。
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