僕と携帯電話とおかん
はじめて小説を書きます。ほぼノンフィクションです。誤字脱字あるかと思いますがお許し下さい。
『貧乏な母親が僕にくれたもの。
それは携帯電話とお米だけ。
一人暮し、部屋4畳、風呂トイレ共同、家賃3万円が僕の城。
収入額、約月に6万円。
何が楽しくて生きているのかわからない。
でも親孝行がしたい。たったそれだけの気持ち。
18歳の僕。未成年からどん底。
それでも夢を見ます。』
貧乏人の頑張りを伝えます。
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休日の過ごし方は毎週変わらない。でも飽きることはない。
何気なく休日を過ごす。
お金はあれ以来使ってない。
お金がなくても楽しくやれていた。
日曜日の夜になっても彼は帰ってこなかった。
いつも帰ってくると、声をかけてくるのに…
電話をかけてみた。
電源が入っていないみたいだった
電車に乗っているのかもしれない。僕も電車に乗るときは電源をきるから。たぶんそうなんだろう…
僕の場合はめったに携帯電話は鳴らないし、電池がもったいないとか思っていた。
すこし貧乏臭い。
でも貧乏だから
仕方がない。本当のことだった
そんなことを思って笑えるようになっていた。
ギターと歌と彼に出会ったから
*はやく帰ってきてくれないかなぁ~
2人でトランプやりたいな~
友達できたよ。*
今日はこんなことを思ったまた日記に綴る。
月曜日の朝になっても彼は帰ってきてなかった。
また電話をかけてみた。
彼と話したいことがあった。
部活に入るかどうかだ。
運動部はお金がかかるから、それに彼は心臓が弱いから、
吹奏楽や美術といった室内の部活動をやりたかった。
一緒に決めようと言っていたんだ。
音楽が好きだから吹奏楽なんかいいなと思っていた。
ギターとかあるのかな、
教えてもらえるんだったら入りたい。
みんなと演奏とかしてみたい。
彼はどうなんだろう。
今日は1人で登校した。
担任の先生が入ってくる。 彼の姿はなかった。
朝の会で先生は彼が入院していてしばらく休むということを伝えた。
すごく心配だった病気を持っているって事を僕は知っていたからでもすこしホッとした。
もう会えなくなってしまうような嫌な予感がしていたから。
先生は退院は来週になると言った。彼の親が学校に伝えたみたいだった。
今週いっぱいで仮入部が終わってしまう。でも僕は彼と一緒に入るって約束したから彼が戻ってくるまで どこにも入部することはしなかった
寂しかった。
おかんと離れた時と
また違った寂しさだった。
病院だから電話はできない。
元気にしてるかな、僕は放課後、図書室に行って心臓病の本を読んだ…
僕ははじめて知った、いままで気がつかなかった…後悔という言葉を初めて実感することになった。
情けなさと悔しさ、
友達のことなんもわかってやれてなかった…涙がとまらない。
今回の涙は悔し涙なのと自分への不甲斐なさすべてが自分に向けられていた。
彼があんまり携帯電話をいじっている姿を見たことがなかった。
電話も1回だけ部屋に呼ばれた時だけだった。
なのに僕は彼の前で携帯電話で楽譜を見せたりしていた…
周りの事に気をつかうこととかいっといて、
電車で電源をきるのは電池がもったいないからだとか思ってて、
知識がないことにどうしても自分を責めた。責めて責めて責めまくった。
声を殺して泣いた…
ごめん…ごめん…
ほんとうにごめん…!!
心臓病って
携帯電話駄目じゃんか…
薄暗く周りを寄せ付けないような雰囲気を出して僕は寮に帰った。一言も口にだすことはなかった。
そして踊り場の椅子に崩れ落ちるように座り込んだ。
おっちゃんはどうしたのかと僕に近寄ってきたが、なにも言わず、そっとしておいてくれた。
もしペースメーカーを使用していたら悪影響だったに違いない。
他には、心筋梗塞とかになっちゃうのかな。
本とインターネットで調べたことが頭を駆け巡り出した。
彼が帰ってくるまで僕は立っていられるだろうか、
心配で仕方がない。
精神的に僕はやられていた。
その晩、ご飯は食べなかった、
ギターも弾かなかった。
次の日の朝も、ご飯を食べれる状態がなかった…
なんでこんな状態になったんだろう。
きっと彼が僕の中で本当に大切な友達だったから、
文献やネットの情報しかなかったから、
なにより僕は弱かったからだと思う。
学校には通う。弱くても、おかんが借金までしてくれた場所だったから。
その日も、彼の机はあいていた。
昨日の今日なのにその間がすごく長く感じられた。
授業中、集中できない…
頭の中で心臓病について得た知識を思い返す。
心臓の周りの筋肉が低下しているんだっけかな、
いまの時代は確かいっかい心臓を止めなくても手術ができるんじゃなかったっけ、
人工心肺装置?
治る?治らない?
混乱してくる。
いますぐに図書室に駆け込みたくなる。
その1週間、僕はずっと心臓病のことを考えていた。
気になるでも考えないようにしたい。元気に帰ってきてくれさえすればいい。
だから僕は彼が帰ってきた時に笑ってもらえるように、
『Let it be』をひたすら練習した。
携帯電話が駄目だからやっぱりギターしか今はなかった。
ギターをずっと弾く。
夜になると心臓病の勉強をする。
彼と最初に会った朝、彼が僕に言った初めて声をかけた言葉の意味をどんどん理解していく。
僕たちは似た者同士だからわかり合える。そんな感じがしていたんだ。
だから彼の前では、自分を隠すことはなかった。
それって親友って呼んでいいよね、
早く帰ってきてください。
神にに祈るように僕は
Let it be を弾く
そしてインターネットのほとんどのページを読み尽くした。
毎日2つの曲を練習する。
まだ上手くは弾けないが、
歌いながらゆっくりと練習をした。
彼は音楽を演奏するよりは聴くほうが好きだと言っていた。
吹奏楽なら指揮者がいいとかも話していた。
演奏してる人を見るのが好き
その特等席に立ってみたいって
ギターを弾いているときは、僕は色んなことを思い出し考える。
沈黙の部屋に、ギターの音だけがする。不思議な気持ちになる。
その気持ちを音に込めようと、難しいながらも挑戦し続けた。
彼の部屋へ、彼のもとにだけ聴こえるようにと
僕はまたギターを弾いているよ。想像してごらん。
そんな気持ちを彼に伝えたかった。
時間は必ず流れる。
またいつの間にか金曜日の夜だった。
おかんから電話がなる。
「友達が今実家の方で入院してる、でも帰ってきた時のために今ずっとギターの練習してるよ。ギターは寮のおっちゃんにもらったんだ。アルバイトはまだやらない。今はお金なくても楽しいから、まだ9千円も残ってるよ。」
僕はずっと喋りっぱなしだった。
おかんはそれを「うん。うん。」と聴いてくれる。
そして最後に「おかんも頑張ってるし、あんたが楽しそうでもっと頑張れちゃうよ」って言ってくれる。今を大事に楽しみなさいって…
そうやっていつも名残惜しそうに電話をきっていく。
僕もだけどおかんも
お互いがお互いなしでも大丈夫になっていく
そのような時間が経っていくことが寂しかったんだと思う。
時間が流れていく、それはたまに寂しいことでもあったんだ。
土曜日もいつものように起きてはギターを弾き
休憩がてらに学校の復習をする。
中間テストの期間にギターを弾く間がないとかが嫌だったから
外に出ては、散歩をする。
新たな道を発見しては
どこに繋がっているのかを確認しに進む。
たまに行き止まりになる時もあった。
それはそれで発見だった。
学校の人に会うこともある。寮に住んでいる人ではない人だ。
挨拶をしたりすることもあるし知らないふりをしたりすることもある。
悪気はないんだけど、私生活をあまり見られたくない時だってあった。
お金がなくても充分楽しめていた。そんな発見がまた自分に自信をつけていく土台になっていた。
日曜日の夕方くらいだった。
僕の部屋がノックされた。
おっちゃんだった。
彼がもうすぐ戻ってくるってことを教えてくれた。
嬉しかった。また携帯電話のことは謝らないことにした。
気を使われるのが嫌だと思ったから
まだ完璧に弾けてないので
あの曲を練習していることは内緒にして、
上手くなってから聞かせてあげようと思ったので
それも言わないことにした。
部活とこれからのことだけ聞いてみよう。
僕は踊り場の椅子でギターの初心者入門を見ながら、彼を待った。
おっちゃも遠くから彼が帰ってくるのを見ていた。
僕は指だけ動かして空気を弾いて待っていた。
彼は笑顔で戻ってきた。
「ごめん入院しちゃってた。心臓があんまりよくなかったみたい、明日からまた学校行くよ。」
あんまり深く聞かないほうがいいのかな、
大丈夫?なんて軽々しく聞いていいのかな、
「『Let it be』聴きながらトランプやろうよ」僕はそう言った。
「部屋で待ってて、荷物置いてすぐ行くから」と言って彼は小走りで階段を上がっていった。
それをみていたおっちゃんはまた満足そうに部屋の奥に戻っていった。
僕も本を持って自分の部屋に戻る
携帯電話の電源は切った。
CDコンポもちょっと遠目に置き直して、彼を待った。
彼はすぐ来たので『Let it be』をリピート再生にして
2人で高速ババ抜きをした。
最後の2枚になるまでが高速だったから高速ババ抜きだった。
2人だからそうなるのは自然の流れだ。
何回もババ抜きをしながら最後の1/2は白熱する。たったそれだけだったけど、
最後のカードを引くときの駆け引きがおもしろかったんだ。
「僕さ心臓病だから、部活入れないかも、土日には病院にいったりするから迷惑かけちゃうよ」
唐突に彼が話し出した。
Let it be だけが穏やかに流れる。
「わかったじゃあ僕がギター上手くなって聞かせてあげる。だから僕も部活入らないや。
それにさ、僕んち貧乏なんだ。
だから楽器とか買わないといけなくなったら
僕んちには買うお金ないし、だったら2人でなんかおもしろいこと見付けて、遊ぼうよ。
散歩とか楽しいよ。あと、今度から暇そうだからおっちゃんも誘って、踊り場でトランプしようよ。」
彼は静かに頷いてくれた。
Let it be がもっともっといい曲に聴こえた。
彼が自分の病気のことを話してくれた。
「僕ね、生まれながらに心臓病じゃなかったんだ。実は少し発達障害があった。
筋肉が弱いみたい。筋ジストロフィーまでにはいかないんだけど、リハビリするために運動するようにお医者さんに言われてたんだ。
でもね、発達障害で筋肉が弱くて、心臓の周りを支えている筋肉がすごく細くなってしまったんだって、
だから心臓に負担がかかりやすいんだ。
だからリハビリの運動もできない。
僕はいずれ、歩くことが出来なくなってしまう。
立つための筋肉が弱くなっちゃうみたいなんだ。
だからね、指揮者にもなれないんだ。
だからね、座っていてもできる音楽を聴くこと、本を読むことしかできないんだ。
ごめんね。散歩でさえできなくなっちゃう。
ごめんね。いずれ、寮もでなくちゃいけないんだ…」
彼はゆっくりと話してくれた。
最後のほうは涙を堪えながら鼻をすすりあげていた。
「携帯電話もダメなの?離れなくちゃいけなくなっても携帯電話があれば…
携帯電話も……ダメ?」
「うん…。今は平気なんだけど、手術するから、機械を体にいれるからダメになっちゃう。
そしたらね、CDもよくないって…」
彼は涙を堪えきれなくなってしまっていた。
「手術は心臓のほうなんだ。
いっかい心臓を止めるんだって…入院中に聞いた、
こわいよ…死んじゃうかもしれないんだよ。
心臓を止めたら死んじゃうでしょ…
僕にそれに耐えられる筋肉あるかって言われたらないよ…
手術しないと、結局、死んじゃうんだよ…
成功しても、音楽も聞けないし、そのうち歩くこともできなくなっちゃう…
僕はもっと君と遊びたかったよ、たくさん遊びたかったよ…。」
ずっとずっと Let it be が流れている…このメロディーがまたすごく切なく聴こえた。
歌は本当に、その時の気持ちで聴こえかた、伝わりかたが変わるんだ。
なんであんなに彼がビートルズのCDが欲しかったのか
今じゃないと聞けなくなってしまうからだったんだ。
あんなに嬉しそうにCD屋さんに行った時にそんな想いがあったなんて、知らなかった。
おっちゃんがコンポを貸してくれるって言ってくれた時
2人で跳び跳ねて喜んだんだ。
電気を発しているから駄目。
そんなんあんまりじゃないか…
貧乏のほうがよっぽどいいよ…
楽しいことを見つけた途端に
奪われちゃう。
そんな運命を彼は背負ってきたんだ…
あんまりだよ。どうして…
すごく仲良くなれたのに、
僕はギターを取り出した。
まだ上手くはないけど、彼に聞かしてあげたい。
ほら、ギターって電気放ってないだろ。
僕がギターで『Let it be』聞かしてあげるよ。
僕は泣きながら演奏する。
友達に届けって、
*let it be の意味を調べたんだ。
彼はきっとその意味を知っていた。頭のいい学校だったから…
僕は英語の文法は苦手だった。一生外国に行くことなんかないって思ってたから…
でも必要だったんだ。
たくさんの意味があったけど
『ありのまま』そこに続く単語を彼は自分で付け加えていたと思う。自分なりに、その歌を聴くために…
『Let it be alive,but I cannot live so long.』
文法は得意じゃない。でも伝わった。彼もこの文法が正しいなんかわかっていなかった。でもこれでいいんだ。伝わればいいんだ。
『僕は長生きできないが、ありのまま生きたい』*
僕に今できること、
たった1つだけ、
僕はギターを弾く、君に伝えたい。新しい気持ちの伝えかた。
上手く伝わるかな、
君のためにはできること、
僕にはこれしかない、親友!!
そうなりたい。
涙をこぼしながら、君に伝えた。
2人でずっと泣いていた。
しらない間に眠っていた。
起きた時、彼はいなかった。
トランプが片付けてあり、
CDも止めてくれていたみたいだった。
電気も消えていた。
携帯電話の電源を入れると、
メール着信があった。
彼がメールをいれてくれていた。
『昨日は話を聞いてくれてありがとう。
ギター上手くなってたね。
また聴かせてよ。
機械を体にいれるまで、携帯電話大丈夫だから!!
ほんじゃあ明日の朝ご飯の時にね」
携帯電話の時計を見た。もうすぐ朝食の時間だった。
彼とはいつも食べる時間を決めている。
そして僕はおかんに電話した。
僕に買ってくれたお守り、どこで買ったのか聞くためだった。
おかんが起きる時間は知っていた。
「もしもし、僕だよ。」
「おはよう!どうしたの?寂しくなってきたの?」と笑いながら聞いてきてくれた。
彼のことを少し話した。
親友って呼べる友達ができたこと
その子が手術をうけること
だから僕と同じお守りを買いたいということ
おかんは親身になって聞いてくれた。また買った場所を教えてくれた。
それは僕が風邪をひいて熱を出していた時に、近くの神社に慌てて買いにいってくれたということと
それから僕はすぐに元気になったということ。
同じものがまだ売ってるかどうかわからないことも教えてくれた。
それは僕がまだ小学生くらいのすごく昔の話だったから。
でも僕はどうしても同じものが欲しいとすこしワガママを言っておかんを困らせた…
おかんは探してみとくと行ってくれた。また見つかったら送ると言ってくれた。
そう言って電話を終えた。
僕は今その小さなお守りを携帯電話に付けている。毎日持って歩くものだったからだ。
そして、そのお守りを眺めた。
きっと彼は手術に成功する。
神様も頑張っている人を見捨てたりしない。
彼はきっと良くなる。信じてる。信じているものはいつかきっと報われる。
(よく利くんだよこのお守りは)
僕は待ち合わせの朝食のため部屋を出た。
いつも通りの時間、明日が来るってことが
この時間を繰り返すことができるってことが
幸せなんだよ。
彼はすでに待っていた。
なぜだかおっちゃんもいた。
後で知ったことなんだが、
*おっちゃんは彼の両親から事情を聞いていたみたいだった。
だから僕たちが遊びにいったりして帰ってきた時に
玄関で待ってていてくれたみたいだった。
おっちゃんは結婚していない。
おっちゃんにとっては寮にいる学生は息子みたいなものだった。
初めて寮を訪れてきた親元を離れた1年生が3年後笑顔に巣だっていく。
毎年、春にその日を迎える。
それがまた寂しいんだって、でも嬉しいんだって、
その数日後には初々しい1年生と出逢える。
出逢いと別れをおっちゃんから学んだ。*
「おはよございます。」彼とおっちゃんに挨拶をする。
「おはよう!よく寝れたか?ギター上手くなってきたみたいだな、おっちゃんにも今度聞かせてくれ」
ポツポツと他の寮の学生たちも朝食を食べに来る。
また挨拶をする。
仲は悪くない、クラスが違うためあまり話す機会が多くなかったけど…
朝ごはんの目玉焼きを食べて、味噌汁を飲む。
おっちゃんは片付けをすると言って行ってしまったが
彼は久しぶりの寮のご飯とみんなに嬉しそうだった。
このまま3年間ずっとここにいたい、そんな気持ちも伝わってきた。
その日の学校は彼が登校したことでもちきりだった。
「おかえり」そんな言葉が飛び交っていた。
また彼は朝ごはんの時と同じように嬉しそうに笑っている。
ゆっくり時間が過ぎていく。また今日が終わり明日が来る。また明後日がくる。次第に日記のページ数が増えていく。
そうやって毎日を同じように過ごしていた。
1ヶ月くらいが過ぎたころ。5月から6月に変わるじめじめとした天気が続く中で
僕宛に寮に封筒が届けられた。
中を開けると、小さなお守りが入っていた。それと手紙が入っていた。
おかんからだった。
『遅くなってごめんね。なかったから同じものを取り寄せてもらったよ。間に合ったかな。
友達は大切にするんだよ。
あんたやったら大切にしてあげれるからね。
お母さん、あんたに親友ができて嬉しいよ。
体に気を付けてね。あとお友達良くなるようにお母さんも祈ってるから。また電話します。』
僕はその手紙を読み
日記に貼りつけた。
電話でおかんにお礼を言って、
そのお守りを大事に、カバンの中にしまった。
ギターを弾きながら
外を見る。
雨がたくさん降っている。
ザーっと降っている。
こんな天気が続いていると、
僕はどうしても不安になってしまうんだ。
その数日後、久しぶりに空は晴れていた
夏の暑さが出始めた頃
彼は授業中に胸を抑えて
机から倒れてた。
すぐに保健室に運ばれた。
なんでもない毎日の繰り返しの中で、彼の心臓はゆっくりと動くペースを緩ませていた。
授業が中断する。混乱する。
すぐに病院に運ばれた。
僕は心配で心配でずっとそわそわしていた。
無意識に僕の心臓をずっと握っていた。
授業が終わり、僕は保健室に行く。彼の状況が気になった。
携帯電話でおっちゃんに電話する。
おっちゃんも病院に向かうと行っていた。彼の両親も向かっているそうだ。
両親の話によれば、土日に帰ってきてる時から体調は良くなかったと
彼がどうしても学校に行きたいって言うから聞いてあげるしかできなかったと
手術の日も決まっていたということも、
おっちゃんも慌てていた。
「僕の部屋からギター持ってきて」
僕は早く学校が終わらないずっと緊張していた。
お願いだから死なないで…一生のお願い…2つ同じお守りを握りしめて、神様にお願いした。
昼休み、僕は担任の先生に会いに職員室に向かった。
駄目だってわかっていたけど、
お願いした。
「病院に行きたい!!早退したい」
担任の先生はご飯を食べるのをやめ、僕を保健室に連れていった。
話を聞くと…でもそれはできないって、心配してるのは君だけじゃないって…
そんな言葉、僕には頭にはいってこなかった。
「お願いだから…
ねぇ…先生お願いだから…行きたい
友達なんだよ
初めて親友って言えるくらい仲良くなった友達なんだよ…
お願いだから…ちゃんと勉強もするから、
ちゃんと補講も受けるから…
連れていってよ…
ねぇ…先生…連れていってよ、僕いないとあいつ心から笑えないんだよ…僕もそうなんだよ
連れていって…ください」
声に成らぬ想いをを伝え続けた…
それでも先生は駄目だって、
わかってたけど
信じているんだけど、
もう話したりできなくなっちゃうかもしれない
早いよ、まだ出会ってすぐじゃんか…
お守り…渡せなかったよ。
僕は信じてるよ。だからあと2時間勉強して、すぐ行くから!
待っててよ。絶対だよ
僕は昼からの授業をすごく集中して受けた。信じてるから、だから考えないようにした。
やっと学校が終わった。
僕はすぐにおっちゃんに電話して病院の場所を聞いた、電車で少し行った所にだと。今は緊急手術中だとも聞いた。
でも僕…お金もってきてないや…
途方にくれた。いっかい寮に戻らなくちゃ、そんな時間ないよ…
その時、放送で僕は担任の先生が今すぐ職員室にくるようにと
走っていった。
「連れていってあげるから、駐車場で待ってて」
僕は駐車場で待っていた。
どの車かわからないが、女の先生だから小さくて、かわいらしい車だと思った。
「こっちこっち」と先生が呼んでいる。
そこには綺麗に使われているであろう高級車があった。
学校の先生ってお金持ちなのかな、って思った。
はじめてバスじゃない車に乗った。
忘れもしない。こんな時に車に乗るなんて思ってもいなかった。
助手席から運転席はかっこよかった。
ハンドルをさばく姿も、チラチラ周りの車を確認する姿も、
自転車に乗ってる時
自分はカッコいいと感じていた。
あまりにも僕が持っている現実は小さかった。
助手席から見える外の風景はあまりにも早かった。
窓を開けさせてもらった。
その風は感じたこともない
強さだった。
「君と彼は仲が良かったの?」と先生が信号待ちの時に聞いてきた。
僕は頷いて、それ以上なにも言わなかった。
それは僕と彼だけが感じる絆みたいなもので、他の誰かに簡単な言葉で伝えるにはあまりにも難しかった。
信号が青に変わる。右折をしようとする先生の車の前を
ゆっくりと青信号を渡ろうとしている白い棒を持ったおじいさんがいた。
「先生ね、ひまわり教室って言う障害を持った子供たちの力になっていたんだ。今の学校はそういうのはないんだけどね。
転勤してくる前はそういう場所で働いていたの。
車椅子に乗っている子や目の見えない子、話すことができない子
たくさんの子供たちがいたわ。
みんなにそれは自分の個性なんだ。だから他と比べたり自分だけが…とか思わないように教えていたの。
でもね、やっぱり障害を持っているってことは、健全な子供たちからすると虐めの対象になってしまったりしていたの。」
「小学生や中学生って成長期だからそういったことが多くてね。
だから中学生の時に人権について勉強したでしょ。
モンスターペアレントって言葉にもたくさん悩まされたわ。
親が子供を守る。それはすごくいいことなの
でもそれだけでは虐めがなくなるってことには繋がらなかった。『自分の子供は虐めなんかしていない。』って何度も聞いたわ。
でも障害を持った子供たちの親は本当に自分の子供のことが大好きで愛していたって伝わってくるの。『自分の子供は虐められていないでしょうか』とか。
まったく逆の考えで板挟み状態。
そんな中で障害を持った子供たちにとってはね、大人だけじゃなくて、仲良くして楽しく過ごすことができる友達の存在っていうのが一番楽しそうで嬉しかったみたい。
子供には友達っていう存在が
どれほど大切か感じたの。
昼休みにあなたに言われて、午後の時間に再確認しちゃった。だから先生、あなたを病院に連れていこって思ったの。」
そんな先生の話を聞いている間に、老人はゆっくり渡りきっていた。
後ろの車がクラクションを鳴らす。
先生はペロッと舌を出して車を発車させた。
僕のおかんは僕が貧乏で虐められていたと思っていたと思う。
実際に、「貧乏が移る」とか言われていたけど…
本当は僕が虐められていないかどうか学校に確かめたかったんじゃないだろうか。
小学生や中学生の頃には僕には友達と言えるほど仲良くしていた子はいなかった
おかんは心配だったんじゃないかな…
だから僕に親友ができたと聞いた時のおかんは嬉しそうだったんだ。だから寮生活も安心して見守っていてくれてるんだ
僕が彼に出来ることがまたひとつ増えた。
友達になってやれる。支えになってやれる。
一人で抱えている悩みや辛さを
頼りないかもしれないけど
すこし僕にも預けてみて、
君のもとからすこしでもそれらがなくなるんだったら、
僕は全然、かまないから
先生の話を聞いて僕はそう思った。
病院が見えてきた。
先生は車を駐車場に停めて、
僕を引っ張るように、
病院に駆け込んだ。
フロンとで彼の名前を言う。
手術の待合室を教えてくれた。
そこにはギターを持ったおっちゃんと彼の両親が座って、祈るように下を向いていた。
先生はおっちゃんと彼の両親に挨拶をして状況を聞いた。
彼の母親は泣いていた。言葉は出せないそんな感じがしていた。
彼の父親は落ち着かない様子で
その場をうろうろしていた。
おっちゃんが彼の両親に承諾を得て話をしてくれた。
とても危険な状態であると、
手術にはある程度準備が必要だった。緊急手術だったからと。
更には心臓をいっかいとめる。
それがどれほど危険で難しい手術であるかということ。
成功しても今日の夜を乗りきれるかということも。
手術はずっと行われている。
それがどれほど彼がキケンナ状態にあるのかということが伝わってくる。
ずっと沈黙がながれる。
不安に押し潰されそうなのはみんな一緒だった。
生きていてほしい。
信じている。
こんなに愛されている。
早く帰ってきなよ。笑顔を見せてくれ。
発達障害と心臓病。そんなんに負けるな!!
無常にも時間が流れる。
手術中のランプが消灯する。
みんなが一斉に立ち上がった。
お医者さんがでてくる。
お医者さんの話では、手術は成功した。あとは彼が意識を取り戻せるかどうかだった。
心臓も一度とめて、機械を入れてもう一度鼓動し始めたこと。
ただあまりにも不安定な脈拍でまだ安全とは言えない。
今日の夜が彼のやまだと言う。
病室には彼の両親が付き添う。
おっちゃんは、フロントで寝ると言っていた。
先生は僕を寮まで送ろうかと聞いてくれたが僕は断った。
先生はわかってるよみたいな顔をして言った。
「先生も心配だけど、今日は帰るね。明日朝、電車で学校にちゃんと来るんだよ。明日あなたが朝いれば、先生も安心するから」
そう言って、僕に千円札と先生の携帯番号の書かれた紙をくれた。
「じゃあね、また明日学校でね。」
先生は病院のフロントの人に
頭を下げて出ていった。
後ろ姿は切なかった。
先生も自分がなにもしてやれない。こんなことしかしてやれない。そんな雰囲気が伝わってきた。
僕はおっちゃんからギターを受け取って外に出た。
広場になっている場所のベンチに座って
携帯電話の電源を入れて『先生』と登録する。
僕のアドレス帳の4人目だった。
そしておかんに電話をして状況を話す。
また空を見上げた。
夜空に広がる海が黒くて、その中にひとつ真ん丸と光る月を見ながら、僕はまた『Let it be』を弾く。
今までで一番悲しい演奏だった。
ギター弾きながら僕はチリンという鈴の音を聞いて思い出したんだ。
いろいろ一気にありすぎて忘れてしまっていた。
お守り渡にいかなきゃ…
携帯電話の電源をまたきって
僕はギターを弾くのをやめてまたおっちゃんに預けた…
何度も起こしてごめん!!
そして僕は彼の病室に向かいノックした。
彼の母親がいた。
父親は別室で待っているみたいだった。
「あの、すみません。僕、お守り渡したいんですけど」
彼の母親は、ありがとうと言ってお守りを受け取ってくれた。
優しそうな母親だった。
彼を見て僕は泣きそうだった。
いっぱい管が繋がれていて
テレビで見たことのある機械がかろうじて彼が生きているってことを教えていた。
時計の音と機械の音しかならない部屋。
彼の母親は彼の手にしっかりお守りを握らせて、
「ほらあんたが家でずっと話してくれていたお友達さんが来てくれてんだよ。頑張って…」
彼は今、どういう夢を見ているのだろうか、
それともまた何も見ていない真っ暗なところをさまよっているのか、
その出口にそっと光を差し込んであげたかった。
帰ってきて…
はやく前みたいに一緒に遊ぼうよ。
彼の心拍数は今にも横一線になってしまいそうなぐらい弱々しく波を打っている。
僕は彼の母親に頭を下げて部屋を出た。
耐えることができなかった…
あの部屋にいると、彼が死んでしまう。そんな気持ちにしかなれなかったから。
信じ続けることが絶たれてしまいそうな程
彼は弱々しくなっていた。
そのまま病院の外に出る。
何度も夜空を見上げては、
何度も何度も泣いた。
その数時間後、
彼の発達障害と心臓病と闘った人生が終わった。
はじめて親友と呼べた
あまりにも短い間だった
もっと早く出逢いたかった
若すぎた僕にはあまりにも辛い現実だった…
僕がその事を知ったのは
知らない間におっちゃんの横で寝ていて、
おっちゃんに起こされた時だった。
午前5時、僕は6時間程夢を見ていたみたいだった。
深い睡眠じゃなかった。夢の内容は思い出せない、
ただ今までのことが意味もわからず移り変わっていくそんな夢だった。
高校にいると思いきや小学生の頃にタイムスリップしたり
訳のわからない夢だったと思う。
おっちゃんは悲しそうな顔をしていた。
売店で買ってくれたおにぎりを2つ僕に差し出して、
彼が亡くなった。その事を教えてくれた。
どんな気持ちだったんだろうか
思い出すだけで、辛くなってしまう。きっとまだ夢の中にいる気分だったんじゃないだろうか…
彼の両親は彼の横でずっと泣いていたんだろう。
僕とおっちゃんはそんな病室に入ることさえできずに、
ロビーで、毎朝繰り返されている朝のテレビを眺めていた。
今の僕にできることは何一つなかった。涙も流れてこなかった…現実をまだ受け止められていない
ぼんやりとしていた。
ただ刻一刻と流れていく時間に逆らえず、ただ流れていくそれだけだった。
生きているってなんなんだろう、人の死ってなんでこんなに突然で呆気ないのだろうか、
死んでしまった彼は今どこで何をしているんだろうか、
もう1時間が経とうとしていた。
彼が死んでしまってから
僕がその事を知ってから
徐々に時間が刻まれていく。
おっちゃんが沈黙を破る。
「病室に行こうか…」
僕とおっちゃんは現実を受け止めに行くんだ。
彼が残した軌跡をしっかりと受け止めに僕らは病室に向かった。
その間も無言の状態で
静かにエレベーターの機械的な音声だけが響く。
彼の病室にはお医者さんが出入りをしていた。
その中に入ると、泣いている彼の両親の後ろ姿が見えた。
やっと現実を受け止めた。
僕もおっちゃんも一気に涙が込み上げてきた。
彼の姿は穏やかだった。
もうすぐ運ばれる
だから最後にしっかり目に焼き付けておかなければならなかった。
彼の手にはお守りが握らされていた。
おかん、
僕の願いは
届かなかったよ…。
ボロボロと滝のように流れてくる涙、その感触が頬に伝わる。
おっちゃんはしゃがみ込んでしまった。
僕よりもっと声をあげて泣いていた…
「なんでだよ…なんでだよ…」
おっちゃんは毎年たくさんの出逢いと別れを経験してきている。
笑って旅立っていく子供たちを自分の子供のように
彼の両親も辛かっただろう、でもおっちゃんも同じくらい辛かったんだ…
死別それがどれほどつらいことなのか、おかんがどれほど僕を産む前に辛い想いをしていたのか…
僕はもう…立ち上がることができなくなっていた。
その日、僕は先生に貰った千円札で電車に乗り学校に向かった。
駅員さんに学校へはどうやって行けばいいのかを聞いて
彼の両親はお葬式を実家で行うと言っていた。もう彼に会うことはできない…それはわかっていたけど、
僕が病院に残っていても何もできることはなかった。
ただ立ってそこに居るだけだったから僕は学校に行ったんだ。
目の下は真っ赤だったと思う。
あれからずっと泣いていたから
もう学校には連絡は入っているだろう…
学校には担任の先生だっている。クラスメートだっている。
寮にはおっちゃんも他の寮生がいる。
今は1人になりたくない。
だからこの電車の時間がもっとも辛かった…
学校の最寄りの駅、徐々に同じ学校の人たちと顔を合わせだす。
学校に近づきだす。何も変わらない朝の風景。
僕も彼と出逢っていなかったらこの風景の一部として存在していたんだろう
朝一、先生がその事をクラスに伝える。その時、先生は僕をチラッと見た。
僕がこの場にいることを確かめたんだ。
クラス中がざわつく…言葉を失っている人もいる、知ったような素振りをする人もいる。
僕はその風景を客観的に見ていた。
無心とはこの事を言うんだと気が付く。
本当に無心だった。意識があったのかなかったのかわからない…
ただ僕が気付いた時、学校の最後の先生の話を迎えていた。そして各々が部活や帰宅へ向かう。
その日、僕は生きていなかった。
帰り道、1人ぼっちを実感する。
ただそれだけで
ただ明日の休みをどうやって
過ごせばいいのかを考えていた。
まだ部活動がやっている時間だ。でないってわかっていたけど、僕は先生に電話した。
なんでおかんじゃなかったんだろう?
たぶんおかんには心配かけさせたくなかったんだんだと思う。
おかんにおとんの時のことを思い出させたくなかった…
また今すぐに誰かに頼りたい…
それがおかんでもなく、おっちゃんでもなく、先生だったのかもしれない。
もしかしたらすぐにあの車で迎えに来てくれるかもしれない…
僕はそんなに遠くない寮までの道のりを先生が折り返してきてくれるまで遠回りしながら帰った。
いや、帰るつもりはなかったと思う。帰っても1人で泣いているだけってのがわかったから…
いつの間にか
ポツポツと雨が降ってきた…
神様が僕に風邪を引くから帰れって言ってるみたいだった。
それでも僕は足を前に出すことを拒む。
だって神様は彼を救ってくれなかったんだよ…
言うことなんか聞けない
せっかくの近くの七夕祭りも中止になってんじゃないかな、
僕に帰れって言わせてしまったばっかりに…
どこからか、Let it be が聞こえてきた…
あのメロディがまた僕の記憶をいっそう濃いくする。
『僕とおかんは貧乏でどうしようもなく辛くて、でも僕には親友がいるから、おかんには僕がいるから、だからどんなに遠くにいても彼と僕とおかんは繋がってるから…ありのまま生きよう。』
それが僕の Let it be だった。
『僕と携帯電話とおかん』
僕とおかんを繋いでいる携帯電話にはたくさんのものが詰まっている。
その中には彼もおっちゃんも先生も携帯電話を買うに至った思い出も僕の努力も涙も、おかんの優しさも涙も、ギターも歌もすべてが詰まっているんだ。
どんなに遠く離れていても
僕たちは繋がっている
それは僕とおかんだけじゃないんだ、天の川の向こうに行ってしまった彼とも繋がっている。
彼には電波は駄目だけど
僕は風に乗せてギターで歌を歌える。
携帯電話が教えてくれた、インターネットで世界中のどこにいる人にでも僕の想いを届けることができる。
だから彼に伝えることだって不可能じゃないんだ
僕の頭の中に流れている歌のように、きっと今も彼の頭の中にはあの歌が流れている。
ありのまま生きよう。彼がそう訳したように僕もありのまま気持ちを伝える
だから僕は立ち上がって雨の中、前に向かって歩き出した。
歩いている。僕は前を向いて進みだした。僕の今、帰るべき場所へ!!
携帯電話が鳴った。先生からだった。僕が歩き出した後で良かった。僕はもう誰にも迷惑をかけたくない、心配かけさせたくない!
「もしもし、先生…」
「どうしたの、大丈夫?」
優しい声だった。
「先生…僕は大丈夫だよ。すこし落ち込んでいたけど、もう歩き出したから。今から寮に帰るんだ
おっちゃんがご飯作って待ってるから…金曜日だからおかんからも電話くるから。
先生は辛かった?僕はとても辛かったよ…
でも下ばっかり向いてられないんだよ!!彼は上にいるんだから」
精一杯の強がりで、必死に歯をくいしばって涙を堪えていた。
「今から先生そっちに行くから寮の前で待ってなさいね」
僕はそう言ったのに先生は僕が強がっているのがわかったみたいだった。
僕はビショビショに濡れながら、
約束通り寮まで帰った。
わからない、おかん以外にこんなに女性から優しくされたことなんてなかったから…
初恋だったのかな…
彼が亡くなってひとりぼっちにまたもどった。
厳密に言うとひとりぼっちではないのかも知れない… ただその言葉が今はぴったりだった。
寮が見えた時、先生の車があった!!先生は僕を見付けると車から降りてきて、精一杯の励ましの言葉をくれたんだ。
その言葉のひとつひとつが
学校ではない、業務的じゃない感情のこもった言葉だった。
その優しい言葉に僕は甘えた。
思いっきり泣いた。
僕は絶対に年上の人を好きになる!!そんなおかんの言葉が突き刺さる。
暖かすぎた、僕は彼も含めて出逢った人は少ないかもしれないけど…好い人に囲まれていた。
貧乏だったけど幸せに思えた。
涙の数だけ強くなれるっておかんが口ずさんでいた曲を思い出す。
そして僕がギターで弾きたかった、ケツメイシの『出会いのかけら』
僕の周りには、光があった。
*僕が彼にもらったもの、本当に心から笑える時間、優しさを見つけられた。
お金じゃ買えない価値のあるもの。
僕は君のお葬式にも行けなかった。でも先生に聞いたんだ。
君のお葬式には『Let it be』と『出会いのかけら』が流れていたってこと。
すごく幸せそうな顔で眠っていたこと、
たくさんの人が君との別れに涙を流したこと、
最後まで僕のあげたお守りを握りしめていてくれたこと。
ありがとう。君と出逢えたことで僕には優しさを伝えることと人を好きになることができた。
いつまでも、わすれない。君の分も僕はがむしゃらに生きる。
どんなことがあっても負けない!!
もう、声を聞いたり、君を見たりすることはできないけど、
絶対に忘れやしない。
バイバイまた明日ね。ありがとう。*
幾分日にちが経った。彼がいない生活に、ちょっとずつ向き合いはじめた。
先生は既婚者だったから、初恋は終わった。
初恋は実らないっておかんに言われていたけど寂しかった。
でもそれはそれで、
夏休みを迎えた。
僕はおかんのもとに帰ろうかと思ったが、おかんは毎日仕事で忙しいから、おとんのお墓参りのお盆休みに帰ってきなと行ってくれた。
だから僕は先生に相談して、学校に特別許可をもらい。
派遣のアルバイトをすることにした。
アルバイトの面接も初めてだったけど、携帯電話と住所があれば大丈夫みたいだった。
僕はおっちゃんに手伝ってもらって履歴書を書いた。
写真はおっちゃんがとってくれた。携帯電話って便利だと思った。
僕が選んだ仕事は、マラソン等のイベントをするスタッフとして、ジュースを配ったり、うちわを配ったり、時にはイベント会場の片付けをする仕事だった。
だいたい50人くらいの人とアルバイトをすることになった。
そこには本当にたくさんの人がいた。
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