亜弥と紗弥

レス27 HIT数 6082 あ+ あ-


2010/08/10 20:11(更新日時)

まずはじめに…



母 亜紗子について話したいと思います


私達は双子姉妹。
私達には10歳離れた兄がいます


私達双子は母を知りません。


母は自分の命と引き換えに
私達を産んでくれました


祖母からは
百合の花のように清純で綺麗な心を持ち強い人だったと聞いてます


おかあさん…

会いたかった…

タグ

No.1370044 (スレ作成日時)

新しいレスの受付は終了しました

投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.1

父(啓介)と母(亜紗子)は高校の同級生


父の完全な一目惚れから始まりました

母の笑顔に父は一撃でやられたそうです

父は母に何度も告白して
(ほぼ毎日告白してたらしい)やっとオッケーを貰い、父と母の交際が始まりました


高校3年生の時だったそうです。

父はその日から母と交換日記を始めました

No.2

父の日記より


亜紗子ちゃんへ。

もう付き合って一ヶ月
今日から亜紗子ってよんでいいかな?
亜紗子ちゃんは進路どうする?俺は…
医者になりたいんだ!
小児科医になって、一人でも多くの子供を助けたい!


医者になれば、亜紗子に美味しい物いっぱい食べさせられるし俺は頑張るよ!

No.3

母の日記


啓介くんへ

亜紗子ってなんか恥ずかしいね。
じゃ、私は啓ちゃんってよんでいいかな?

啓ちゃんはお医者さまになりたいんだね!

素敵な夢!
尊敬します

私は、幼稚園の先生になりたいんだ

啓ちゃんも私も
子供が好きみたいだね

No.4

その後、父は大学に入り医学部に
母は短大に行き幼児教育部に行った


交換日記は毎日から一週間、二週間に一回に減った。


母は短大なので父より一足先に卒業し、保母さんになった。


母は子供達の事を日記に綴った。

No.5

父も何とかギリギリ(日記で単位が危ないと話してた)大学を卒業し、大学病院の研修生になった


父は母にプロポーズをした



亜紗子
一緒にならないか…?
まだ食わしてやれるお金はないが
おまえを不幸にはしない
これだけは約束する
絶対に幸せにするよ



母からの答えは

No.6

ノーだった


日記には

啓ちゃん
啓ちゃんはお医者様だよ

私なんかは釣り合わないよ

もっといい人いるよ。


私なんかが奥さんじゃ
啓ちゃん笑われちゃうよ



さよなら

亜紗子

No.7

母は、勤めていた保育園を辞め、父に日記だけを残し行き先も誰にも告げず

姿を消した


父は日記に


亜紗子
会いたい


その文字ばっかりを
書き綴った


そんな空白の時間が半年経ち


父は母の居場所を突き止めた

No.8

父は一ヶ月前から休みなく働き教授のご機嫌を取り



教授から一週間の休みを貰い



母を迎えに北海道の室蘭まで向かった


電車と船の旅


父は東京で途中下車し、宝石店で小さなダイヤモンドのついた指輪を買った


サイズがわからないので、店員さんの指を片っ端から触り、母の指に1番近い指を探したらしい。


母に会えなかったら
どうするつもりだったのか…

No.9

室蘭についた


父は
もう少しで会えると意気揚々


母の住んでいるアパートを見上げた。


そこに母の姿があった


父は大声で母の名前をさけんだ

母もビックリだったようだ





父のしつこさは母もわかってただろうけど……

No.10

その半年後、父と母はめでたく結婚した。

そして、この日記を将来、子供が探し当て見るとは露にも思ってなかったのでしょう


初めてのエッチ
そんな事も書いていた。

二人とも未経験だったんだ!
これには私達双子もビックリした(笑)


結婚してすぐ、母は兄を妊娠した

No.11

母の日記より


啓ちゃん!
やったよ✌
赤ちゃんできた!

今日病院行ってきたの!
生まれるのは啓ちゃんと同じ5月だよ~


そういえば、病院で啓ちゃん見かけたから手振ったのに全然気づいてなかったね

お仕事お疲れさま

たまには啓ちゃんとゆっくり話したいな…

もう一週間会ってないよ

体大事にしてね

おとうさん❤

亜紗子

No.12

父も母の妊娠に喜び舞い上がった


病院の前に赤ちゃん服をおいている小さな店があったらしく


家に帰れない時は
宅配便を使って送っていた


父は女の子が生まれる!と思っていたらしく、ピンクの服や靴下、よだれかけを送っていた

母の日記には

まだ性別もわからないのにね…ってため息マークがいっぱい(笑)


父と交換日記はつづかないので手紙に切り替わった

No.13

母からの手紙


啓ちゃん、今日赤ちゃんの性別がわかったよ!

あの…期待させて悪かったんだけど…

チンチンがついてた!!

男の子だって…

だからもうピンクはいらない…よ?

No.14

5月8日
兄 康介誕生

兄が誕生した事によって

病院から1時間かかる自宅を引き払い、病院から10分の住宅地に家を買い引っ越しした


それを機に、父の両親との同居が始まった。


私達は祖母や祖父から母の悪口や至らない点を聞いた事がない。

母は太陽のように明るく、家事は子育ては完璧。
父が仕事で遅くても寝ずに待ち、

『あんな息子で大変でしょ』
と言えば、
『啓介さんを尊敬してます』と返ってきたそうな。




兄が産まれて三年。

母は自分が妊娠しないのを不思議に思っていた

No.15

母の日記

康介の時はすぐ妊娠したのにな…

啓ちゃんは焦るなって言うけど、私はどうしても啓ちゃんに女の子の赤ちゃんを抱かせてあげたい


啓ちゃんはどう思ってるのかなぁ…




そんな内容の日記が続いた

No.16

兄が5歳の時、母は二人目を妊娠した。

母の喜びようと言ったら、日記でも凄かった。


けど、妊娠6ヶ月


母は急な激痛と発熱に見舞われ


次男を死産した


親戚中が父を『医者のくせに自分の子供を守れないのか』『医者なんかやめちまえ』と非難した


母はおかしくなるどころが退院したその足で親戚中をまわり
『自分が悪いのだから、啓介さんの事を悪く言わないでください』と懇願してまわった。




母、亜紗子
おそるべし…

No.17

そして兄が9歳になった時

私達が母のお腹に宿った


母は私達が双子だと知った時の感想をこう綴っていた



双子ちゃんだって!!!
嬉しい~!!!
幸せ~!
幸せ~!!
絶対大事にしなきゃ!
私の命をかけてでも無事に産まないと!



命をかけて産む…

それが本当の事になってしまうなんて…

おかあさん、ごめんね

No.18

母は私達を妊娠する前から、体の不調を自分でも感じていた



だけど、子育て・月に何度もある教授夫人達とのお茶会や食事会…。
教授夫人達は皆、高学歴な方達だったようで
普通の短大を卒業した母は


父の顔を立てる為にも
父がしていた研究の為にも


どんなに体調が悪くても
教授夫人達からの誘いは断らなかった



母が病院に行く事はなかった

No.19

母が病魔の正体を知ったのは


私達がお腹に宿って3ヶ月の時だった


産婦人科の主治医から

『血液検査の結果が出たので、明日病院に来て下さい。高橋先生にはもうこちらから連絡しておきましたから…』

と家に連絡が入った



母は私達双子に何かあるんではないかと不安で不安で仕方なかった。


『啓ちゃんなら何か知ってるかも』


母は父が帰ってくるのを待てず病院まで向かった

No.20

病院に着いたのはいいが


今まで勤務中の夫を呼び出した事なんてなかったから
どうすれば良いのかわからなかった


とりあえず、ロビーのソファーに座り


父が偶然にでも通り掛かるのを待った


1時間…2時間待っても
現れない


私何やってんだろう…
とりあえず家に帰らなきゃ
康介が帰ってくる

啓ちゃんだって帰ってるかも知れない

母は家に戻った

No.21

結局この日父は帰ってこなかった



母は不安なまま
朝を迎えた
一睡もできなかった


母は
義両親が結婚40年の記念に海外旅行に発つ日でもあったので車で空港まで送り、

その足で
兄を実家に預けた。





そして指定された時間に病院に向かった。

No.22

母が診察室に入るとすぐ
父がやってきた



そこで母の検査結果が伝えられた


『亜紗子さんの
白血球が異常に増加している。精密検査が必要
すぐにでも精密検査した方がいい

入院しましょう…』





父はすぐに何の病気が疑われるのかわかった

No.23

重苦しい沈黙が続く中




母は冷静に聞いた

『…私、お恥ずかしながら知識が全くないのですが、それは白血病って事ですか…?』



『精密検査をしてみないとわからないです…』

医師も冷静に答えた




『…赤ちゃんの姿を見せて頂けませんか?』

母の希望により
内診する事になった

No.24

その後、病院の計らいで母は小児科医局がすぐ隣にある産婦人科病棟の個室に入院した





母は日記を書いた



白血病なんて怖くない。

赤ちゃん達が無事であれば私は何も怖くない。

それに…まだ決まった訳じゃない。


私は負けない!

No.25

父も日記を書いた



すぐにでも治療が必要な状態だ
亜紗子を守りたい


双子の命も大事だが亜紗子を危険な目には遭わせられない




俺は医者として失格だ…

No.26

数日後

精密検査を受けた






精密検査の結果はすぐにでた

No.27

朝7時
起床とともに教授が病室にやってきた。


父も同席すると予定だったが、小児科の方で急患が出た為
母は一人で結果を聞くことになった



教授は非常に言いづらそうに
ゆっくりと母に


『…検査の結果ですが』

と話出した



今から何を言われるかすぐ察知できた。


母は『私…白血病ですか?』
と落ち着いた口調で聞いた


教授はうなづき、ゆっくりと

『赤ちゃんは諦めましょう…』と母に言った

投稿順
新着順
主のみ
付箋

新しいレスの受付は終了しました

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧