ロマンチストとリアリスト

レス26 HIT数 3476 あ+ あ-


2010/05/10 16:08(更新日時)

「いや、あんたスゴいと思うよ。
いろんなリスク省みずにそんな関係持てるって、ほんとスゴいわ。

私には無理だね。


絶対、無理」


口調は淡々としていたが、
歪んだ侮蔑の瞳が私を貫く。


分かってた


この人とは

姉とは

分かりあえないって。

No.1306229 (スレ作成日時)

新しいレスの受付は終了しました

投稿制限
スレ作成ユーザーのみ投稿可
投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.1

私は、早く結婚したかった。


とにかく誰かと、身体だけじゃない、思いだけじゃない、確かなもので繋がっていたかった。

だから、いつだって恋愛には一生懸命だった。


私がなんでそうなったのか、自分を省みて思いあたる原因は一つ。


家族だ。

No.2

私が小学校の低学年生だった頃、
両親が離婚した。


理由は何だったのか、幼かった私には詳しいところまてば分からなかった。

ただ、いつも父さんと母さんは喧嘩をしていて、
当時は学校にいる間が一番楽だったのはよく覚えている。


毎日二人の怒声が止むのを震えながら待っていた。
家の中はいつも荒れていた。
怒声だけなら良かった、
お皿が割れる音、壁を叩く音…


一番鮮明に記憶に残ってる『家族』の姿がこれ…。

No.3

離婚が成立して、私たち家族はバラバラになった。


お姉ちゃんは父さんが

私は母さんが引き取ることになった。


母さんと二人、母さんの実家に帰った日、

母さんは私を抱いてわんわん泣いた。
母方の祖母と祖父も泣いていた。

私はというと、喧嘩をしてるところを見ずに済むからホッとしていたりもしたのだが、
みんなが泣いてるものだから、

つられて、泣いてしまった。

No.4

泣いてる最中に、
祖母が私にこう言った。


「父さんとお姉ちゃんとは離れちゃっても、ばあちゃんとじいちゃんが一緒にいるからね」

と。


その一言で、私はお姉ちゃんと離ればなれになったんだと、漸く実感を持った。

そして泣いた。

周囲につられてではなく、心から涙が溢れて止まらなかった。

怒声の響く家の中で、一緒に耐えた姉はもう側にはいない。

二人でままごとも出来ない。

人形遊びも出来ない。

本も読んではくれない。


慰めあうことも、ない

No.5

次の日から、母は仕事を探し始めた。


私は転校を余儀なくされた。

しかし、正直な話。

辛かったのは最初だけで、子どもの私はあっという間に新しい環境に慣れてしまった。

自分で言うのもなんだが、なんとも薄情な子どもだ。


転校をするため前の学校でお別れの会をされた時には、泣きじゃくり、みんなのこと忘れないとか言っていたくせに、

1ヶ月もしたら涙はすっかり乾いて、
転校先の学校で新たな友人と笑っている私がいた。


ただ、お姉ちゃんがいないことだけはどうしても慣れなかった。

No.6

学校でいくら待っていても一緒に帰ることは出来ない。

家に帰ると、祖母が必ずいて、私と一緒にいてくれたけど、子ども向けの番組を見て一緒に騒いだり出きる訳じゃない。


日ごとにお姉ちゃんの存在は私の中で大きくなっていった。

No.7

お姉ちゃんに会いたい


その気持ちを母に伝えたのは、確か両親の離婚から半年近く経ってからだった。

その頃は、母が仕事に慣れ、祖父と祖母の家から出ていこうという話が出始めた頃だった。

私は我慢強かったのか、あるいは母に遠慮してたのか、
お姉ちゃんに会いたい、という思いを深刻に聞こえないよう、
冗談めかしで母に伝えた。

No.8

そうすると、母は顔を歪めて、苦しそうな表情を見せたものだから、

私は冗談だと言い発言を撤回した。


何故そんなことをしてしまったんだろう?


あのとき、父と姉、二人との結び付きがあれば、

いま、こんなことにはなってなかったのに。

No.9

たぶん、私と母の関係は、どこか歪んでいたのだろう。


腫れ物に触る、とでも言うんだろうか、
私はいつも疲れた顔をしている母の顔色を伺い、
幼くしてそんな態度の私に、祖父と祖母は気を使う。

結局、家という場所は私にとって心底くつろげる場所、にはなり得なかった。

No.10

「ななちゃん、あと少ししたら、新しい家に移れるわ」

どこか嬉しそうな母の言葉。
その言葉に私は素直に頷いた

漸く慣れてきた祖父と祖母の生活を終わらせるのは、正直私にとっては喜ばしいことじゃあなかったけど、私は反対しなかった。

母は、プライドの高い人だった。
子どもがいるとはいえ、いい年をして親に養ってもらうことを良しとはしなかった。

祖父と祖母はもっと甘えてもいいんだ、と、私のためにも一緒に暮らそうと母を説得したが、母の意思は固かった。

No.11

私が母にこの件で意見したのは一つだけ、

「また転校しなきゃいけないの?」

それだけだった。

その質問に、母は笑って

「大丈夫、家が変わる以外は今まで通りの生活よ」

そう答えた。


切に思う。
母さんは嘘つきだ。


今まで通りの生活なんて、その後の私には用意されてなかった。

いま思えば、祖父と祖母と母と私、木造の家で、四人で暮らしたあの頃が、一番、順風満帆に人生を送れていた。

No.12

そうして母と二人、古くもなく新しくもないアパートに移り住んだ。

そこは祖父と祖母の家からもそんなに距離はないところにあったから、母が忙しく家に帰れない夜は、二人の家に泊まらせてもらった。

二人は、やっぱり出ていく必要なかったよなぁ、と時折苦笑いを浮かべ私に聞いてきた。

そうだよねぇ、と私は返してた。

母の忙しさは家を移ってから、さらに厳しさを増したのは子どもの私の目から見ても明らかだった。


不思議だね、と三人で小首を傾げた。

No.13

そのころ、私には好きな男の子が出来た。

となりのクラスのリュウくん。

格好よくて、勉強が出来てサッカーが上手くて…みんなの憧れの的というやつだ。
恋、とは言えないミーハーな気持ちのほうが勝っていたと思う。

友達数人と、カッコいいよね~とキャッキャッ騒いでいた。

No.14

しかし、理想と現実というものには必ずギャップがあって、
ある出来事によって、私の恋もどきはあっさりと終わりを告げたのだ。


ある日、リュウくんが入ってるサッカーグラブのマネージャーを募集しているという話が出た。
私は友達のリコちゃん、マナちゃんと一緒にやろうやろう、とムダにテンションを上げて意気揚々とグラブマネージャーに立候補した。

マネージャー候補の子は他にも数人いたが、お試し期間ということで全員参加させてもらえ、
私たちはリュウくんにお近づき出来ることとなったのだ。

No.15

あたしたちのテンションはあっという間に崩された。

一言で言おう。
リュウくんはかなりの毒舌だったのだ。

遠くから見ているだけなら良かった。
本当にカッコよかった。

しかし、マネージャーの子達に命令口調当たり前。
自分の言うことを聞くのが当然だとでも思っているのか、要領よく動けないと舌打ちをして、悪態つき放題。

女の子に何か恨みでもあるのか?と聞きたくなるほど、チームメンバーとマネージャーの扱いには差があった。


ちなみに、彼が私に言った最も心に刺さった一言は、

「そんなにどんくさくて良く今まで生きてこれたね?」

だったりする。

No.16

私は、マネージャーになるのを止めた。
お近づきになれた1日目で私のほのかな恋は終わったからだ。

しかし、リコちゃんはそのまま正式のマネージャーになった。
正直、私はその選択は出来たリコちゃんをスゴいとまで思った。


この出来事を母に話すと、
母はリュウくんを「初恋向きの男の子」と称した。

なるほど、あの頃の私はリュウくんその人にではなく、恋に恋していた状態にあったんだろう。
もしかしたら、初恋というのはこういう風に迎える人が多いからこそ、
「実らない」モノとされてるのかもしれない、と今は思う。

No.17

そして、数年後に私はリュウくんの真意を知ることとなった。
同じサッカークラブに所属していた男友だちに、何がきっかけだったかは思い出せないが、この思い出話をした時のことだ。

彼が言うには、女の子から大層モテたリュウくんは、他の子からそれについて冷やかされるのが凄く嫌だったそうで、
ちょうど私たちがマネージャーになろうとした時期は一番荒れてたらしく、
近づく女の子には誰だろうと見境なく冷たい態度を取っていた、ということだ。



そうだったんだ、と素直に飲み込めた。
最初の頃はリュウくんの言葉を思い出してはイラっとしていたが、
数年経ってからことの真相を知ってしまえば、過去のリュウくんへの怒りは文字通り水に流れた。


しかし、実際のところは、その当時の私にはリュウくんのことでどうこう思ってる余裕がなかっただけ、だった。

No.18

歪みというものは、少しずつ少しずつ出来ていくもので、その存在に気がついた時には取り返しなんてつかないところまで到達している。


そして、私はそれに気がつけなかったちっぽけな子どもだった。

No.19

母は、日に日に仕事の忙しさが増しているようで、家に帰れない日が、
私を祖父母の家に預けないといけない日が増えていった。


そんな現状に、
祖父母はいっしょに住もうと母に再三申し出ていたが、母は頑として首を縦に振らなかった。

No.20

私は、母が帰ってくる日が待ち遠しくなっていった。

ただでさえこんな生活をしていて、かつ朝が早い母と私の時間は決して多くなく、

私は母と顔を合わせると、数日間の思い出をべらべらと母に語っていた。

母はそんな私の話をいつも黙って聞いていてくれた。



なんで気がつかなかったんだろうか。

母は、私の話を聞いていたんじゃない。
ただ、同じ空間を共有する何者かの口が動いてるのに
時おり頷いて見せていただけだって。

No.21

母が構ってくれないことを寂しいと思う気持ちは強かった。

でも、母に迷惑をかけたくなくて素直な良い子をいつも装っていた。

日々の中で、祖父母にこのことについて不平を言えば、そのことで母は祖父母から責められ、
結果、母が不機嫌になるということを学んだ私は、誰にもこのことについて文句を言うことは出来なくなった。


そのためだろうか、私は学校でイジメを首謀するようになった。

No.22

ターゲットは、クラスの中の内気な男の子だった。

自分から主張できない彼の性質を利用して、
彼を構ってあげているフリをして、陰湿なイジメをした。

彼にいじわるをした後、必ず言っていた言葉がある。

『私がいなきゃ、あんた友達一人もいないよ』

そう言っていた。

こんなのが友達のはずはないのに、卑怯な手段を取った自分。
でも、彼に意地悪をするとスッキリした。

No.23

事態が変わったのは、この秘密の遊びに他の子が介入したときから。

きっかけは、
『ななちゃん、Aくんと付き合ってるの?』(Aは私がイジメていた子)
と聞かれたことだった。

その時、ヘドが出そうな思いをした。
好きでもない人間とそういう噂を、そういう憶測を持たれることがどれだけ不快か、
私はまざまざと思い知らされた。


後に、リュウくんの真実を聞かされた時、リュウくんの気持ちと行動に納得がいったのは、恐らくこの経験があったからだ。

No.24

「Aとなんで私が付き合わなきゃいけないの?」
「違うの?」
「違うよ」
「でも、一緒にいること多いよね?」
「あぁ…だって、イラつくから」
「え?」
「ムカつくから、小突いてるだけ。好きだとか、付き合ってるとか、絶対にないから」

気分悪いと私は吐き捨てた。

「そう、なんだ…!じゃあシンくんのやってることって無駄なんじゃん」
「ん?」

なぜここでクラスメイトのシンくんの名が出るのか、私にはさっぱり理解出来なかった。

No.25

「シンくんが、どうかしたの?」
「あれ、やっぱりナナちゃん知らないんだ。
シンくん、ナナちゃんのことが好きなんだよ」

「はぁ?」

正に寝耳に水。
シンくんと私はただのクラスメイトでしかなくて、会話だって、私の記憶にあるのは数回程度。

「そんで、Aくんとナナちゃんが付き合ってるんだと思って、裏でAくんのことイジメてるの」
「はあぁ?」

なんだそりゃ。
確かに私は上手いことやっていた。
表面上しか見れないバカな大人連中は、私がAくんに優しくしてあげてるように見ていた。

No.26

「Aくんも、ナナちゃんは僕のこと好きなんだって言ってたって…」
「………なにそれ?」

ムカついた。
私とAくんの仲を邪心したシンくんに。
それ以上に、私が言ってもいないことをでっち上げるAくんに。
どうしようもないほど腹が立った。

投稿順
新着順
主のみ
付箋

新しいレスの受付は終了しました

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少

新着のミクルラジオ一覧

新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧