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【携帯小説】萌えんでいいっ【BL】
†閲覧非常に感謝致します。
†手違いで10歳になっていますが2010年で14歳になりました。(小学生ではないという主張でございます。他意はありません。)
†2010年1月7日から書き始めた当携帯小説の著作権は“ななせ”にあります故に他掲示板での転載及び晒しはお断り申し上げます。
†突発的文章ですので途中、いきなりの閉鎖になる場合がございます。(その時は著作権は放棄致しますのでご自由に使用して下さっても構いません)
†当小説の中心はボーイズラブ(男同士の同性愛)となっておりますので不快感を感じてしまわれる方や意味を知らない方はお楽しみ頂けません。
†更新は不定期です。読者が忘れた頃に書き出したりするので、思い出した時に読んで下されば嬉しいです。
†感想または苦情は申し訳ないのですが当スレ内では書き込まないで下さい。(心の中で“つまらない”“面白い”と少しでも当小説を思って下さるだけで光栄です)
†主はアホの確信犯で(ry
†題名…萌えんでいいっ
始書日…2010年1月7日(木)
作者…ななせ
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「お前、俺に死ねって言ってんの…?」
物語の冒頭はこの頭の可笑しな同級生の一言で始まる。
知るかバカ、と雅樹は心の中で悪態をついた。すると勘か何かで感じたのか同級生の慎吾が小さく唸る。
「正直、俺、気付いてたんだ。お前が最近、俺に冷たい事。」
慎吾が大袈裟に眉を垂れ、床に顔を向ける。それがうざったくて雅樹は腕を組み、何も言わず溜め息と共に壁に寄りかかった。
「…やっぱり俺がうざくなった…?」
慎吾は捨てられた仔犬のような目でじっと雅樹を見るが雅樹はピクリとも反応しない。
怒っている、と言うより呆れかえっている、と言うあからさまな態度だった。
「…でもしょうがないだろ…ッお前だけの都合で俺は生きてねぇよ!」
いきなり慎吾の声が大きくなり少しだけ雅樹の肩が揺れる。
だが雅樹の表情から呆れは消えない。
だが、誰もが彼の表情の訳を知っている。
「だって俺、お前に萌えちまうんだよ…!!」
「萌えんでいいっ!ドアホ!」
「萌えなきゃ俺、死んじゃうっ」
雅樹が慎吾を殴り、慎吾は嬉しそうに抱き着いた。
そんな変態同級生とツンデレ主人公の物語。
†第一章 萌えんでいいっ †
随分、大きな物がこの小狭い部屋に入ったものだ、と雅樹は夏の日差しを背中で受けながら、深い溜め息をついた。
「溜め息つくと幸せが逃げちゃうよっ」
慎吾が後ろから雅樹を抱き締める。そのすぐ後に「あ、キスしたら塞げるか」なんて恐ろしい事を口に出すものだから雅樹は躊躇なく慎吾の顔面を殴る。
「ベタベタ触んな。暑苦しい。」
暑いからか断片的にしか言葉が出てこない。雅樹はTシャツの裾で汗を拭うとまた項垂れるように床に座った。
「やだ、腹チラ!」
また殴る。それでも嬉しそうにまた騒ぎだす慎吾を横目に見ながら「コイツはMなのだろうか」と雅樹は頭を抱えた。
此処はこのキャッキャッ騒ぐこの男、慎吾の部屋であり、そして雅樹の伯父が管理しているマンションでもある。
「慎吾…何故俺がお前のクソみたいな引っ越しを手伝わなきゃいかん。せめて理由を言え。」
雅樹がそう言ってもう一度汗を拭う。
「なっ…!コイツ、今言ってはならんことを言ったぞ!」
慎吾がカッと目を見開き、構える。
あぁ、もうコイツ地獄落ちてくれればいいのに。
ふと雅樹がそんなことを思う。
慎吾の部屋に入ってすぐ、確かに違和感はあり余る程にあった。
この家賃激安の小狭い1人部屋にしてはあまりに大きすぎるダブルベッド。そして備え付けの小さな洗面所に置いてある2つのコップと歯ブラシ。
まるで既に恋人同士が住んでいるかのような光景に雅樹は幽霊の存在を一瞬だけだが信じてしまった。だがその想像は慎吾の一言によって呆気なく崩れさる。
「そのコップに雅樹の名前、書いとけよ。」
必然的であるかのように慎吾が雅樹に油性ペンとコップを渡す。しかも命令口調だ。
雅樹は声にならない思いで思い切りコップを床に叩きつけるとプラスチックのコップは転がり、慎吾の足のつま先に勢い良く当たる。
「痛いっ!何か地味に痛いっ!こんな微妙な痛さ嫌だ!」
つま先を押さえながら慎吾が変な顔をする。
「おい。さっきのは何のジョークだ?言っとくが俺はお前と東京に行って漫才する気はねぇよ」
そう言って慎吾の首根っこを右手で叩く。「いてっ」と言う声の代わりに「やんっ」と男にあるまじき声が聞こえた。
「東京じゃなくても頑張れば地元でも漫才でき…違う違う!ジョークじゃないし!」
慎吾がコップを拾う。
拾ったコップを撫でながらブツクサと文句を呟く慎吾を見ながら雅樹は額の汗が引いていくのを感じた。
慎吾がこんな笑えない冗談を言い始めたのは雅樹の“甥”が雅樹と仲良くなり始めてからだ。
雅樹の姉の水樹は雅樹とは親子程、歳が違っているため、雅樹が物心つく頃には、水樹は県外で1人暮らしを始めていた。水樹からの連絡は一方的でそのほとんどは留守電が多い。
水樹からの最初の報告は「好きな人が出来て、その人と付き合っている」と言うものだった。そこから報告の内容は親が心配する間もなくエスカレートしていき、果ては「結婚式を再来月挙げたい」と言う水樹らしい一方的な留守電である。
当然、何の相談もないうちに娘が決めた結婚に父親は断固反対し、弟である当時幼稚園児だった雅樹はほとんど会った事のない姉の一方的さに混乱するが母親の方は二人には内緒で結婚式の費用を送っていたらしい。
そしてその少し後に家のファックスに水樹の結婚式の写真と水樹の子供の写真が送られてきた。
そんな雅樹と3つしか歳の違わない甥の宏平が雅樹に兄弟のように引っ付いて回ってきたのは雅樹と慎吾が出逢った中学生の頃だ。
「それで?話は変わるけど、最近、甥くんとはどんな感じなの?」
唐突に話が変わり、雅樹の手から持っていた段ボールが落ちる。
「わ。大丈夫?」
目を丸くして、落ちた段ボールを見、慎吾が段ボールを持ち上げ、俯いている雅樹の顔を覗く。
雅樹も慎吾も互いに19歳、大学生。甥の宏平は16歳と思春期と反抗期の間にいる状態だ。
「宏平くん達がこのマンションに入居して来てからもう5年は軽く経ってるよねー。」
雅樹が黙っていると慎吾が話を進めようと笑って言った。
「…別にお前には関係ないだろ。」
雅樹の声が少し低くなる。
確かに最近、あまり宏平は家に来ない。家と言っても雅樹は伯父の家で世話になっているため、もう16歳と言うこともあって遠慮しているのかもしれない。
宏平の母親であり雅樹の姉である水樹とは相変わらず必要以上の会話は交わさないし近所付き合いもほとんどない。
「あれ?ちょっと駄目な質問だった?」
白い歯を見せながら慎吾が壁に寄りかかり笑う。
「別に…。」
雅樹は慎吾から顔を背ける。
「もう帰る。」
間を置いて雅樹は呟くように言うと部屋を出た。
マンションから出ると雲1つない青空が雅樹を迎える。
雅樹と水樹の両親が他界したのは宏平が歩くようになったよ、と水樹から報告を両親と雅樹が受けて間もない夏だった。
不運な交通事故。そう一言、幼い雅樹には告げられた。
両親仲良く買い物に出掛けていた日に酔っ払い運転の車に跳ねられた挙げ句、お盆の時期だったためか救急車が来るのが遅れ、救急車の中で亡くなった。
水樹はもう大人で伯父からも詳しい話を聞いていた筈だが、水樹も伯父と同じくまだ幼稚園を卒業してもいない雅樹に教えるのは酷だと何も言わなかった。
水樹の家は宏平を育てるのに手一杯なため、雅樹を引き取ったのは独身の伯父。
暫くして大きくなった小学5年生の宏平を連れて伯父の管理するマンションに姉夫婦が引っ越してきたのは雅樹が中学生になった頃だ。
「…宏平は今…高校生か…」
蝉がけたたましく鳴いている。
『その泣き顔、萌えたっ!』
この一言があるまで、ずっと雅樹の世界は伯父と宏平だけだった。
あの一言が雅樹を大きく変えた。
突然、携帯の受信音が鳴る。予想以上に大きな音だったため、雅樹は小さく叫んだ。
「ったく…誰だよ…。音の大きさ変えたの…」
ぶつぶつと文句を言いながら雅樹は携帯を開く。
新着メール一件の文字。最近の携帯は便利だ。その文字の横にある絵文字を見るだけで中身が大体分かる。怒の顔文字が横についていた。それだけで見る気が失せる。
「あ…」
伯父からだった。
件名:無題
本文:すぐに帰って来なさい(怒)
わざわざ(怒)と書く伯父を見てそれほど怒っていないのだな、と雅樹は小さな笑みを溢す。
仕事が早く終わったのだろうか。それにしても伯父が電話ではなく苦手なメールを使うとは珍しい。
件名:RE:無題
本文:分かった。
そう打つと、雅樹は伯父の家へ向かった。
伯父はマンションの管理人だが、家はマンションより少し離れた一軒家で、その辺りには伯父の家しか建っていない。
だから雅樹は幼い頃から伯父の家へ行くときに迷子になった事は一度もなかった。
「赤い屋根…みっけ。」
携帯をポケットにしまうと、雅樹は赤い屋根の伯父の家に向かって走って行った。
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