僕の天使💐

携帯の相手は、母だ。

僕が、一人暮らしをしないのをいい事に、休みになるとタクシー代わりに、使う。

今日は、一人でいたかったのに、母には勝てない…と言うよりも、僕自身が…。


着うたを少し聴いてから、やんわりと出た。

ちなみに着うたは、『いい日旅立ち』


「もしもし…

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>> 1 「カズ！今どこ？３時に戻って来れる？」


ん？今日は？
違うぞ！


「何？戻れるけど。」


立ち上がり、服に付いた砂を払いながら車へ向かう。


「まあ、今日は別の用事だから…３時だから…時間厳守だよ！」


ガチャ…






プープー






切れた…？
何だろ？


いろいろ考えるのも、面倒だし…

車に到着！

エンジンを掛けてっと！

いつもの歌を聴きながら、行きますか！


家に向かい車を走らせた…


流れる景色を横目に、耳には…お気に入りの歌が流れて…

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>> 2 ー自己紹介ー

僕は、柳瀬和哉（やなせかずや）

歳は、２３歳

４月７日生まれ

父は、琢磨（たくま）
４８歳。

母は、雪子。

４６歳。

弟、和真（かずま）

１９歳

妹、百合子。

１６歳。

５人家族、


愛犬、ケンタ


家は人並みかな

父は料理人で、家には…あまりいない…優しいけど、顔が…



浜から…家まで約１時間ぐらいの距離、その間、聴いた曲は…竹内まりやに中森明菜、など。

家に着いた。

時刻は…２時半

「只今…

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>> 3 「ワンワン！」
ケンタに抱きつかれてビックリした。

不意打ちを食らった！

一通りじゃれあってから…


「母さ～ん？」
いないのかな？

リビングへ行くと、机の上に手紙が…何だろ？


「カズへ

今から…

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>> 4 今からお父さんの所へ出掛けます。夕飯までには戻ります。


あ！散歩お願いします。

あと、ユリを迎えに行って来てください。


今日は、部活で県の体育館で大会があって、４時過ぎに終わるそうです。

タクマは、バイトで遅くなるって言ってたから、帰りはタクシーで帰ります。

追伸

安全運転でお願いします


母


「なんだ。珍しい事も有るんだ？いつも…まあいいや。」

胸騒ぎを覚えたが…さほど気にもしなかった。

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>> 5 ケンタの散歩をゆっくり廻ってから、車へ。


エンジンをかけて車を走らせた…いつもの歌を聴きながら…


体育館までは３０分有れば着く。


車を駐車場に停めて、ユリを待っている間に寝てしまった。






コッコッ？

「お兄ちゃん？」

「ん～？あ！ワリィワリィ！
寝ちまった。」
頭をかきながら窓を開けて


「友達もいい？」


ありゃ！
可愛らしい子、芸能人と言うと、遥、綾瀬はるかに似てる？天然系らしい。

「すみません！お願いします。」

「お兄ちゃん？いいでしょう？」


まあ、とりあえず

「あぁいいよ！二人共後ろに乗ってね！」

あ！場所！

「で！友達は家どこ？」

「あの、○○町です。ちょっと遠いですけど、いいですか？」
あ！１時間ぐらいか？


「いいよ！じゃあ出発します。」


ゆっくりとスタートさせて、国道へ。


後ろで、堅くなってたが、ユリと話すうちに、慣れてきたらしく、笑い声も聞かれた、音楽のボリュームは聴こえる程度で、夕暮れ時の景色を見ながら…

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>> 6 ユリの友達を降ろしたあと、家に電話を掛けてみた…


「あれ？ユリ母さん出ないよ？まだ帰ってないのかな？」

父さんの所に寄ってくか！

「ユリ父さんの所に寄るから。」

「うん！わかった。」

ユリは一人でにやけてる、何でかわかってたが…


「何かおかしいか？」


「兄ちゃん？
春香可愛いでしょう？」


「あぁ～！可愛いな。」


素っ気なく答えた。


「兄ちゃん？春香が…兄ちゃんの事が好きなんだって！
妹がいうのも何だけど、兄ちゃんかっこいいと思う！」


やっぱり！


「え？マジで、有り難い事です。
兄ちゃん、モテないから…貴重なファンの一人だね！」


照れて見せて

「今度休みにデートしてあげてよ？駄目？」


それは…マズくない？


「いいのかよ？」

ユリは…気にしないらしい。


「いいでしょう？何かなっても…言わないから…。」


「ユリは優しいね。わかった！ユリの顔は潰せないからね！」

泣きそうな顔が明るさをまして

「ありがとう兄ちゃん、携帯借りるね！」

携帯を受け取ると、どこかにメールを打ち始めた…

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>> 7 父さんの店は、外見は喫茶店？と思う作り。

洋風の外観に蔦が屋根の方までびっしり伸びている！


今流行りの緑のカーテンだ。


その横の駐車場の奥へ車を停めて、裏口から中を覗いてみた…

今は暇らしく、覗くと父と目があった


「どうした？母さんなら、今帰ったぞ！」

素っ気ない返事

「わかった！捜してみるわ。」
ユリも顔出して

「今度、友達と食べに来るね。」

親父は笑って

「来る時は、連絡するように、頼むぞ！」

「了解。頑張ってね。」

「オー！」

この店のオムライスが旨いという評判らしい。子供のぼく達は食べた記憶がない？なぜだろう。


車に乗り込み、母を捜しに出る。

「母さんまだ先かな？」

前のバス亭に母らしき人が…


「あれ？母さんじゃあない？」

バス亭に止まった。


窓を開けて


「母さん？」


母だった。

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>> 8 ユリが窓から母に声を掛けた…

母は考え事をしていたらしく、一瞬！驚いた顔をしたが…


「いきなりビックリするじゃない？…迎えに来てくれたの？
ありがとう！」

いつもの母に戻っていた…。


その時は気にも留めずに、家に戻った。

車中は、母と妹の話しで、やかましいなぁ～と思いながら、運転していた…。

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>> 9 その日から数日が立ち、平凡な毎日が過ぎて行った。


ちなみに僕の仕事は、公務員。高校の卒業間近のある日…


友達の正樹が…

「一緒に公務員試験受けよう。頼む！」

「え？何で？まあ、就職決まって無いけど。」
拝みまくるから理由を聞いてみた。

「お前と一緒に受けるって親に言ったら…それならいいって！意味わかんねえけど、頼む。」

困ったぞ！
勉強してねぇ～…


「わかったから！それで試験いつ？」

「来週の月曜…お前の家呼びに行くから！今日時間ないから、行くわ！じゃな！」

走り去る正樹に

「おい！待てよー！」

無理だった。

マジかよ！

親父に何て言おう？

その日家に帰る足は重かった。

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>> 10 その日家に帰ると親父がいた…

恐る恐る親父の前に座って


「話し有るんだけど。」


親父は料理雑誌から目を離して一瞥すると


「ン？なんだ？金なら無理だぞ、悪いけど。」
「違うんだ。公務員試験受けてみる。」

驚いた顔をされて、怒られるのを覚悟した。
が、


「受けてみるのもいい経験だ！受かれば、将来安泰だ！頑張れ。で？いつ試験有るんだ？」

予期しない言葉に思わず

「怒んないの？」

何をって顔されて

「公務員になるって言われて反対する親の顔が見てみたい。
安定が１番だぞ！だから、いつ？」

そうかぁ～と思いながら…

「来週。」

「来週？」

「来週。」

あきれて

「マジで言ってんのか？」

「マジ。」

腕組みして、財布をおもむろに出して、中から万札を出した

「これで参考書買って来い。」
「親父、ありがとう！頑張るよ」

「受からなかったら…返せよ！」

それだけ言うとまた、雑誌に目を落とした。


「頑張るよ！ありがとう！」


雑誌を見ながら手をあげて

「おぅ。」


とだけ言った。


それから、毎日遅くまで死に物狂いで勉強した。



試験当日が早くもやって来た…

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>> 11 試験当日は、朝から快晴で早くに目が覚めたので、ケンタの散歩に出掛けた…。


帰ってから、朝飯を食べていると、電話が鳴った。


母さんが台所からエプロンで手を拭きながら
出てきた。


「誰かしらね？はい、柳瀬ですけど？はい…いつもありがとうございます。
いえ、此方こそお世話になりまして、はい…はいわかりました。そのように、はい…わざわざご丁寧にありがとうございます。はい失礼します。」

電話に何回もお辞儀を繰り返している姿は少し滑稽に見えた。

「誰から？」

食べながら、誰か聞いた。


「正樹君のお母さん。正樹君が風邪をこじらせちゃって寝てるから一人で行ってって！」


「え～！まじかよ？嘘だろう？」


この時は正樹を恨んだ。

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>> 12 一人で試験会場へ向かいながら歩いて１時間。

余裕で着いた。

早過ぎてまだ1時間程有るので喫茶店で時間を潰そうと、小綺麗な建物の名前は…


螢（ホタル）



変わった名前だな…と思いながら…扉を開けて中へ。



心地良いBGMが流れ静けさがあった。


「いらしゃいませ～」


声のほうへ顔を向けた…

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>> 13 目が合った。


暫く見つめ合ってしまった。

口を開いたのは…彼女のほう…

「久しぶり！珍しい所で遭うね？どうしたの今日？」

カウンターへ導かれながら変わらない彼女を見ていた…
彼女は…高校の同級生で、市村美香！話しをした事はあるが…

「いや…ビックリしたよ！
ここは…バイト？」

照れ隠しに頭をかきながら、逆に質問してしまった。


「バイト！就職決まんなくって、今日どうしたの？」

「今日？あ！公務員試験を受けに来たんだけど、時間あったから暇潰しに来たら…」


「あ！なるほどで、何にする？」

メニューを差し出されて選んだのは…


「アイスコーヒーをください！」

「はいよ！」

アレ？奥から叔母さんの声？

頭が疑問符だらけになった？

「カズ！元気！久しぶりだね～！あ！言ってなかったか？オバサンは喫茶店してんの？」

と豪快に笑ってた。


僕はそう言われながらも、美香から目を外せなかった…

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>> 14 奥から叔母さんがアイスコーヒーを持って出てきた。


僕の顔を見て、にやにやしている。
小声で

「カズ！美香ちゃんの事好きだろ!?」


さすが叔母さん鋭い。


「え？」


自分でも赤くなるのがわかる。

「今客も少ないからね。

美香ちゃん！

積もる話しもあるだろうから、ここすわりな！何か？飲む？」

今帰った客の後かたずけをしていた美香に言った。

振り向いて、赤くなった美香は…


「え？そうですね？
わかりました。」


と言って横へ座って


「じゃあコーヒーフロートください。」
と言った。


僕は…実は、美香にあった時からずっと好きだった。

なぜ？かは…わからない？
理由がない！


けど大好き！


もう、心臓が飛び出す勢いでばくついてる。


彼女から意外な話しをされた…

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>> 15 予期せぬ出会いに舞い上がっていて、試験の事は忘れていた…

二人共黙ったまま、叔母さんがコーヒーフロートを置いて、奥に行くまで、黙っていた…


「カズ君？カズは、お父さんの店を継がないの？」

「え？ん～、考えた…けど父さんには…継ぐとは…先は…」

何で？


違う話ししたいのに…


「そう。…私ね。…今度引っ越す事になったの…。」

「え？…いつ？…」

「卒業式の…あと。…」


マジかよ！



「試験終わったら…話したいことあるから…会ってくれる？」
今日しか…


「え？…うん…わかった。…ここで待ってる。…いても４時ぐらいだよ。」

あれ？終わるの何時だっけ？


「わかった！」
残りを一気に飲みして


「叔母さん、後で来るから…ごちそうさま。

美香ちゃん！
あとで！」

時間がなくなったのでダッシュで会場へ


「美香ちゃん！ちゃんと、気持ちは伝えたほうがいいよ…」

美香は叔母さんの胸で泣いた…

卒業式を２日後に控えていた…

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>> 16 試験は…何とか出来た…


何の試験かと言うと市の職員採用試験だった。

今３時半！



「ふ～間に合った。」



急いで、螢へと向かった！



扉を静かに…




開けて入った。

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>> 17 そこにいたのは…叔母さんだけ？

「あ！カズお帰り、美香ちゃんね、親御さんが迎えに来て帰ったよ。それで、手紙預かってるから！」


可愛いい封筒を渡され放心状態の僕肩を叩いて優しく言った。

「元気出しな、逢えない訳じゃ無いんだから。逢う逢わないはカズ次第だよ。」

もう一度軽く叩いて

「今日は奢りだから…もうお帰り！みんなにくれぐれもよろしくね。」


「ありがとう…」

そう言うのが精一杯だった。…店を出て、どう帰ったか覚えていないくらいに…





ショックだった…




部屋に入り、

ベッドに横になって、手紙を出して読んだ。
手紙にはこう、書いてあった。





柳瀬和哉君へ

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>> 18 久しぶりにあったね。
本当は、もう一度会って話しがしたかったの。だけど、お父さんの仕事が早まったから、直ぐに行く事になったのごめんね。
試験どうだった？
カズ君は頭いいから大丈夫だよね。

私ね、前からカズ君の事ずっと


ずっと！






好きだったの、言えなかった。





カズ君の気持ちはわかってたよ。（笑）

見ればわかる？わかりやすかったから。


でも応えてあげられなかった。ごめんなさい。

もし！もしだよ！

今度巡り会って二人共独身だったら






お願い私を、






もらってください。

奇跡を夢見て


追伸
捜さないでね。
市村美香より愛しのカズへ

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>> 19 この時、僕は布団をかぶって泣いた。


母さんが呼びに来るまで泣いた。

ある決意を胸に刻みながら…




それから間もなく合格の通知が来た…春卒業式も終わり桜の咲く４月頃の話し、もの思いにふけって散りゆく花びら達を眺めてた…






あれから…五年…君の言った…奇跡に近づいているのか？


今もどこかの空の下元気してますか？


僕は相変わらず





君に逢う事を






願ってます。

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>> 20 あれからまた、何も変化のない日々が続いた。


そんな平凡な毎日の中、妹があの子のデートの日取りを持ちかけてきた…あまり乗り気はしないのだが…仕方ない、妹の顔をたててあげよう。


「お兄ちゃん！今度の休みにお願いね！」


にやにやしながら、後ろから抱きつかれた


「え？何」


わざと聞いた。「もう、春香とのデートだよ！」


「あぁ、どこいこうか？わかんねえよ？」


妹が顔を覗き込んで言った。

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>> 21 「春香に聞いといてあげる！」

と、にやにや笑いながら、『お願いね！』と言って部屋から出て行った。


まぁいいか、と思いながら、読みかけの雑誌を見ていた…目に懐かしい顔が飛び込んできた…美香？

そこには笑顔満点の美香が友達と写っていた…地域特集と書かれた人気の食べ物店のコーナーだった。

「こんな所に。」美香の写っていた店は、オムライスの美味しい店で食べている所が写っていた…


相変わらず…
良かった。


しばらく眺めてから、
その雑誌を切り抜き、取って置くことにした。




休みがやって来た…

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>> 22 美香が朝から浮かない顔で、僕の部屋に来た。

「お兄ちゃん！ごめんなさい。春香風邪ひいてダメになっちゃた。」

手を併せて、謝ってきた…ホッとした自分がいた…。

「いいよ。今日はちょっと用事が出来たから…良かった。」

「どこいくの。私も暇だから、連れてって？」
「ダ～メ。プライベートだから…今度な。」

車のキーをつかんでユリの頭を撫でて部屋を出た。

「絶対だよ！気をつけてね！」
ユリの声を背中で聞きながら、右手をあげて
家をあとにした。


いつもの音楽を聞きながら、三時間程のドライブを楽しんだ。

店に着いた。

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>> 23 ここは、高速道を使って三時間程の場所！かなり遠い。パッと見は、父さんの店に似ていた…色が茶色？黒に近い？に、今流行りのグリーンカーテンがしてある。中は、木目調の家具で統一されていていい感じ、BGMもさほど違和感なく流れていた…とりあえず、雑誌に写っていたオムライスを注文してみた。待っている間、今度父さんのオムライス食べてみようと、思った。

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>> 24 何げなく、携帯を開いてみた…あれ、Ｅメール来てる？誰だ？開いてみた…あ！それは、ユリの友達春香からのお詫びのメールだった。いいのに…と思いながら、読んで、返事を返して、携帯をしまう。日頃から携帯をさわらないから今日は、たまたま持ってるけど、忘れる事のほうが多い。それでいつもユリから怒られて、ユリが母さんかとたまに錯覚しそうになる。と、

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>> 25 「お待ちどう様でしたオムライスです。」

「ありがとう。食後にアイスコーヒーをブラックで！」

「ブラックですね？食後にお持ちいたします。失礼します。」
店員が伝票を隅に置いてから、オムライスを頂きます。

美味い！

こういう雑誌に載ってるのは、信用していない。


裏切られる事のほうが多いから。

でも、お世辞抜きに美味い！

久しぶりにガッツイテ食べた。
食べ終わる頃にアイスコーヒーが来た…。


最近目覚めて、何も入れない
コーヒーを飲むようになった。

満足のひとときが終わった。


食後に散歩でもしようかな？


店に行って、車のキーを預けて、裏の浜まで歩いた。


あ！海の側に店がありました！

歩いて十分程の所に海がある！


海をボーっと眺めるのが好き。海音！
潮の香り！

たまりません！

ワクワクしながら到着しました。

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>> 26 海に着いて、しばらくボーっと眺めていた…


３０分程経っただろうか？

馴染みのある音楽がなった。


家からの電話、ちなみに、…やめとこ。


「もし、何？」
「カズ！お父さんが…うう…」
「え？親父が…どうしたの？」
「兄ちゃん、すぐ帰ってきて、父さん倒れたのお店で！今○○病院だから…」

「わかった。すぐ行く！」


走った。転びながら、店でキーを貰い、それは今までに、記憶にないくらいに飛ばしまくり！

事故らなかったのが、不思議なくらいだった、病院まで普通は４時間の所、２時間ぐらいで着いた。


父さん…

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>> 27 「親父は？」


ロビーで、うなだれている母とユリとカズマ

「今手術室に入った。」

カズマが答えた。

「手術？何？」
まさか？

顔から血の気が引いていく。

「癌が見つかった。倒れたのは、心労からだって、レントゲン取ったら…癌が…」

母が…続ける。
「この間、父さんと話し合ったの。バス停で乗せて貰った時に」

「そうなんだ。何かあるなと思ってたけど、で何話したの？」
母は深呼吸してから話しだした。

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>> 28 「あの日…


父さんから電話で話しが…あるから、店に昼頃来てくれって、で店に行ったの。

そしたら、母さん。
跡継ぎを誰にしようか？
母さんは、カズヤとカズマとどっちがいいと思う？

って聞かれて、」

「どっちがいいと思ったの？」
「俺は、無理！」

カズマがすかさず言った。

母がカズマを見ながら

「だろうね！

ハ～…。

で、カズヤのほうがいいって行ったら…お父さん、なんて言ったと思う？」

母さんは、今度は僕のほうを見ながら聞いてきた。

「わかんねえ。」

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>> 29 「父さんね。カズヤがせっかく安定した所にいるのに、辞めてくれって言えねぇだろう？

どうしょうかな？
母さん！

って言われた…」

また泣き出した、ユリが背中をさすりながら、「兄ちゃん達、どうするの？」
「カズヤ兄ちゃん！俺は、出来ない。
味音痴だから…ごめんなさい。」

「考えさせてくれる。とりあえず、１ヶ月！」
と、手術室のランプが消えた。

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>> 30 医師が出てきた。

「手術は成功です…が、転移が見られまして、これ以上は無理です…！」

母さんがひざまずいて泣き出した

「いつまで生きられますか？」
溢れる涙を拭いもしないで聞いた。

「持って、一年！長くても、二年もつかどうか、お父さん次第ですね！」

僕達にお辞儀をして、医師は去って行った。

みんな、泣いていた…お父さん

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>> 31 それから、半月いろいろ考えていた…そんな頃、父さんも少し動けるようになった。


みんなで家族旅行に行く事にした。


父さんの療養も兼ねて、ユリが一番はしゃいでた。


この時には、もう僕の気持ちは決まっていた…

美香への気持ちは忘れてた…

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>> 32 それから、
仕事場に有給休暇を一週間貰い、レンタカーを借りて静かな森の中にひっそりと佇んでいる旅館へ予約をいれた。


出発前、親父と久しぶりにしゃべった。


「カズヤ！」

車椅子を押していると不意に、振り向いて呼んだ。「何？」

「今度、お前にオムライスを作ってやるよ。」

照れくさそうに前を向いた。


「あ～！前から食ってみたかったんだ！」

嬉しかった。

「足が、歩けるようにならないとな。」

動かない足をさすりながら、悔しいと背中が言ってた…

親父の足は、歩けるようにならないかも、しれない。


「うん…頑張ろう。」


としか、言えなかった。


親父…






背中こんなに、





小さかったかな？

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>> 33 出発前日

「カズヤ！ちょっと！」

部屋にいると、母さんが読んだ。

「は～い。」

階段をおりて、リビングに顔を出すと、テーブルに、美味しそうなオムライスがあった！

「何？あ！父さんの？」

微笑んだ父さんが

「やりにくかったけど、母さんが手伝ってくれた。食べてみろ。美味いぞ。」

母さんは少し涙目になってた…

「いただきま～す。ん！美味い！何これ！凄すぎ、こんなの食ったことないよ。こりゃ大変だ。」

がっついてると
「何が大変なんだ？」


やべえ…まだ言わないよ。


「美味すぎて、大変だって、休めないから。」

父さんは、気づかないふりをしてくれた、母さんは、気づかないみたい。


「何言ってんの。こぼさないでよ。
掃除大変なんだから…」


「は～い。」


３人で笑った！

本当にうまかった。


味が出せるか？不安だった、


もう一度！






食べれると思ってた…






まさか…

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>> 34 温泉へ出発の日快晴のいい日より！

「みんな！行くよ～！」

「は～い！」

久しぶりの家族旅行だ！

３泊４日！

のんびり過ごそうと、みんなで決めた。

昨日あの後、ユリもカズマも、父さんのオムライスをいただいた。

車で、２時間ぐらいで目的の旅館へ着いた。


車内で、子供の頃の話しで盛り上がった。

着いてから、夕飯前に、散歩に行く事にした。

みんなでゆっくり散歩道を散策その日は、夕飯を済ませて、風呂に入り就寝。


夜中に目が覚めた…！


時間は、３時を少し回ってた…


布団を抜け出して、静かに部屋出て外へ。


ロビーで、煙草に火をつけて、一服。

めったに吸わない1ミリの軽い奴、ボーっとしていたら、白々と夜が明けてきた。


このまま…

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>> 35 ボーっとしていたら…母さんが来た。


「おはよう！カズヤ？早いね？寝れなかった？」

「いや…目が覚めたから、寝れなくて、母さん俺決めたから。」

何？って驚いた顔して

「え？辞めちゃうの。
その事で父さんとも話ししたの、父さんはカズヤが決める事だって、言ってたけど…母さんは、反対します。でも、父さんに似て頑固者だから…カズヤが決めた事なら…反対はしないよ！」

あきらめた顔してた。

「ありがとう！頑張ってみるから、俺なりに。」

「母さ～ん！」
ユリが走ってきた。

「置いてかないでよ！」

「あ！ごめん忘れてた。」

「もう！さあ風呂風呂！朝風呂だぁ～！」

嬉しそうに母さんの腕をつかんで

「じゃあね！」
二人手を振って風呂へ


目をつぶって、寝てしまった…

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>> 36 その後…夢を見た。


美香が誰かと歩いてる…


「美香！」

呼ぶと、こっちを向いて微笑んで手をふり、また歩き出した。

追いかけるけど追いつけない。

もう一度、叫ぼうとしたら…


「カズヤ兄ちゃん！」


カズマが目の前にいた…

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>> 37 「あ！カズマ？」

不思議そうに顔を見て

「兄ちゃん飯だから…こんな所で寝てたら風邪引くよ！」

目をこすりながら立ち上がって

「ん～！あ～行くか、気持ち良かった…」

伸びをして歩きながら、夢の事を考えてた…


「まったく、みんな待ってるから」

「え？母さん達起こしてくれなかった？」

「知ってたけど…すぐ来ると思ったらしい。」
「マジで、そうか。」


いいながら、夢がまだ気になっていた…


美香！今何をしてますか？






僕はまだ、






奇跡を信じてます…

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>> 38 家族旅行も無事帰って半月がたった頃…

僕は、辞表を出した。

上司には、どうしても辞めるのか？

と引き留められたが、承諾してくれた。
その日の内に
同僚達が、送別会を開いてくれた。

その会で１人同級生の女の子がいた…
高校ではあまり目立たない子だった、その子が
「やなせ君？美香の事好きだったでしょ？
今どこで何してるか、知りたくない？」

思いがけない話しで、どうしょうか？悩んでると、ニヤリと笑って

「どうしょうかな？
教えてあげるけど…変わりに、私と付き合って」

有り得ない。


「ごめんなさい。

無理だから…！」

「え～、やっぱり！
付き合うっていうたら、どうしょうかと思った！」

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>> 39 「私、彼氏いるからちゃんと、で、美香今１人らしいよ！
何人も付き合ってって言われたらしいんだけど、断ってるんだって。
何でかな？」

そうなんだ！

「何で知ってんの!?」

「私この間、彼と温泉言って来たの、そしたらそこに中居で居たのよ！

あの有名な○○旅館。
今度行って来れば？」

「ありがとう！今度言ってみるよ！」

行かないけど…

嬉しかった、美香も１人でいてくれた事が…


その日嬉しくて飲み過ぎて、カズマに迎えに来てもらった！


「兄ちゃん？珍しいな！こんなに酔ってるの。」


「あぁ、飲み過ぎた。わりいな。」


「いいよ。兄ちゃんには、いつも助けてもらってたから。」


その後の記憶がない。


朝、頭が痛くて半日死んでた…

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>> 40 それから、程なくして僕は調理師免許を取りに学校へ通った！

この五年あまりで貯金は…一軒の店を出せるぐらい貯めた。


親父は…相変わらず足が…動かなかった…少しふさぎ込む事が多くなって来た。


気晴らしに、母さんが散歩へ行くが…すぐに帰って来た。


そして定期検診の日、重苦しい空気をまとい病院へ親父は向かった…



神様…

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>> 41 その日僕は調理の授業を受けていた…

昼からの授業中メールが来ていたのに気づいたのは…帰る時だった。

メールを見て驚いた！


「カズヤ！父さんの癌が…消えた！
消えたの凄くない！やったー！今日は、外食するから、真っ直ぐ帰って来てね！
母より」


しばらく固まって、だんだん嬉しさが…自然と涙があふれて、拭いもしないで、ただ！まじまじとメールの文書を何回も読み返していた…






神様はいるんだ！

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>> 42 親父にも笑顔が戻り、毎日が明るくなった。


暑い夏が過ぎ…木々も衣替えのように…
緑から黄色… そして、赤…


そんな頃…









カズマが…

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>> 43 意識不明の重体…


何が…遭ったのか？


その日弟カズマは、朝いつものように家を出た。

友達の話しによれば、学校が終わると１人でいつも家と反対のほうへ、行くらしい。


一度聞いたが…笑って誤魔化されたと言っていた。


病院へ着いた。

そこへ


「カズマさんのご家族のかたですか？」

細身の若い女の人が聞いてきた。

青ざめた顔で…
「はい…そうですけど！」


誰だろうと思っていると


「私の施設にいつも、手伝いに来て頂いてありがとうございます！
うちの近くで、事故だって聞いて、慌てて見に行くと、カズマさんの車だったので」

「私は兄です。親父が不自由なんでいませんが、それで、事故がなんで起きたか？わかりますか？
知ってたら、教えて頂けると有り難いのですが？」


「聞いた話しでは…

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>> 44 「カズヤ！カズマは…カズマ？」

ロビーに駆け込んで来た母は…泣いていた…

僕にしがみつき
「カズマは…どうなったの…どうして…」

泣き崩れて、座り込んだ母を抱き上げ椅子に座らせて

「まだわからないよ。
医者に任せよう。」

「すみません。さっきの続きをお願いします。」

母をなだめながら聞いた。

申し訳なさそうに


「お母様で、いつもカズマさんにはお世話になっております。
施設ひまわり園の保母をしてます。
姫野真理といいます。

今日も来ると言われてたので、こんな事になるとは…それで

みた人の話しでは…カズマさんの車は一旦止まって、左側から猛スピードで車が来たそうです。カズマさんの車が出た直後に、で車は一回転して止まったらしいです。」

母は黙って聞いてた…まだ理性があったらしい。普通なら…この人に当たり散らすだろう

「ありがとうございます。

息子がお世話になってるのを知らなくて、目を醒ましたら、怒ってやらなきゃ。」

「いいえ、こちらこそ、子供達にも人気があったんですよ、残念がってました。」

母はまた泣き出した。

真理さんの手を取り何度も何度もお辞儀して…


そして





手術が終わった…カズマ

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>> 45 手術室から医師が出てきて
「柳瀬さんですか？」

「はい！カズマは…」

「手術は大丈夫です。でも、頭を打っているので精密検査が必要です。」

「はい！命は…」

「はい…今のところ、頭のほうが

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>> 46 精密検査をしてからです。」


「保証は…出来ない…」


「そうですね…検査結果は…２日後ぐらいです。
今日はまだ、明日意識が回復次第、検査します。
」


「よろしくお願いします！」


「では失礼します。」


母はうなだれたまま、ぼう然としていた。

真理さんはそんな母を抱いて、手を握っていた…


カズマ…

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>> 47 次の日、カズマの意識が戻った！

「か・あさん？」

か細い声が聞こえた…


「カズマ…」

母は立ち上がって、顔を覗いた
「母さん！僕生きてる？
イテッ！しゃべるといたいや！」

母は泣いていた…

「良かった、良かったよ…あ！先生呼ばないと。」

呼び出しのボタンを押した。

すぐに看護婦さんが顔を出して、医師を呼びに行った！


程なくして、医師がやって来た。

簡単な検査のあと、精密検査をしに、病室を出る。

「カズマ…母さん着替え取って来るからね！」

「わかった！気をつけてね！」
医師に委ねて、家路へ、どうかなんともありませんように…


母は祈っていた…

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>> 48 検査結果の日

朝から母は落ち着かなかった、今日は学校も休みなので、親父と三人で行く事に、そわそわしている母に親父が、言った！


「落ち着きなさい。
聞く前からそんなんじゃ身がもたんぞ。」

「そんな事言っても…」

ムッとしたが、親父の言った事に納得したのか、落ち着きを取り戻した。


「行くよ。」


病院へ向かった…
親父は、まだ松葉杖を使わないと歩けないでいる。


病院に着くと、真理さんが待っていた。

「こちらは、カズマが世話になってる施設ひまわり園の姫野真理さん、父です。」

親父が頭を下げて


「ありがとう。私は聞いてましたよ。
いつもありがとうね。
カズマを頼みます。」

母はびっくりした。

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>> 49 「父さん？いつの間に聞いてたの？」

父さんは、頭をかきながら


「え？母さんに言うって言ってたけど？
聞いてない？
参ったな～？」

「元気になったら、とっちめてやる！」


「母さん？」

母さんは我に帰って

「あ！真理さんあなたがだめじゃなくて、カズマが私に言わなかったからね！」

真理さんは困惑した表情で苦笑いしてた。


「じゃ！行きましょう。」


検査結果は…

• << 51 医師の所へ向かった… 部屋に入り、椅子に座ると 「検査結果ですが、異常は観られませんが、最初は…半年の間は２週間に一度検査に来てください。」 親父も母さんもほっとしていた。 「半年程様子をみまして、大丈夫であれば、何ともないでしょう。不安であればもう少しのばしますが？」 「半年たった時に決めます。 ありがとうございます。」 カズマの病室へ 「何ともないって、検査にはこないといけないけどな」 みな安堵していた。 良かった…

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