物語を…
つくりませんか?書き出しは私から…続きを一緒につくっていきましょう☆
友達に合わせて
作り笑いして
感情なんか忘れてしまった
私は機械だ
そう思って 生きて来た
貴方に出会うまでは…
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>> 2
しだいに彼女は身を守るため、自分の感情を表に出さないようになった。いつも人に合わせて、嫌われないようにしていた。
傷つくことが怖かったから。
やがて彼女は高校に入った。
入学式の後、新入生はそれぞれの教室に入った。
彼女は窓際の席に着いた。外は眩しく、桜の花が校庭に散っていた。
…これから、3年。
大人しくしていれば大丈夫だ。目をつけられるような事をしなければ。彼女は自分に言い聞かせた。
その老犬は彼女をちらと見ただけで、すぐに疲れたように体を伏せてしまった。いつもの子犬も気になるが、それよりこの老犬は、何か彼女の心に引っかかるものを感じさせた。
彼女は、何気なくその老犬の絵を描き始めた。少しも動かないので描きやすかった。
保健所から出てきた彼女の腕の中には、あの老犬が抱えられていた。どうしても老犬に自分の姿が重なってしまい、見捨てることができなかったのだ。
それから毎日、彼女は老犬の絵を描いた。
自分を見つめているようだった。
思えば、自分の事をしっかり見つめた事なんてあっただろうか。
「ねぇ」
彼は言った。
「犬、知らない?」
人に話しかけられるのに慣れてない彼女は、ただどもってしまった。
「い、犬…?」
あの白い犬の飼い主なのだろうか?
「うん。黒くて年寄りの犬なんだけど」
彼女はドキっとした。あの老犬は、彼女にとって自分を見つめる事の出来る、唯一の鏡のようなものだったからだ。失ってしまうのは怖かった。
「あの犬年取ってたし、最近見ないから心配してんだ」
「もう帰って来たの」
母親が言う。彼女は何も言わない。口を開けば、何かしらされるに決まっている。
「あーあ、何でこんなコ産んじゃったんだろぉ」
母親が歩み寄って来た。途端、彼女の身体がすくむ。
「産まなきゃ、よかった」
いつもの事だ。いつも言われている。
産まなきゃよかった。
何度言われただろう。
何度言われても、何故慣れられないんだろう。言われるたび悲しくなって、彼女は家を飛び出してしまうのだった。母親の思うつぼだと分かっていながら。
「こんな所で何をしているんだ」
「すみません。雨が降っていたので…すぐ帰ります」彼が言った。
「親御さんも心配するのだから、早く帰りなさい」
何とかやりすごすことができた。
「やれやれ。君は…帰らないの?」
彼女は何も言えなかった。あの家に帰りたくなどなかった。
「あの犬…どうしたかなぁ」
彼がふと呟いた。
「保健所に連れてかれてしまったかな…」
彼女は言うことにした。あの犬は自分の家にいる事、そしてできれば飼い続けたいという事を。
彼に言うと、彼は安心したようだった。
「良かった。あいつは元気だったんだね。」
それから毎日、彼女は学校が終わると彼の『家』に行った。そしてそこで遅くまで犬と少年の絵を描いた。
そこでは何の遠慮や気兼も無く、彼女は自分らしくいることができた。
彼とも色んな話をした。彼の生活、彼女の学校の話…そして彼女が絵を描く事が好きだということ。
家族のいるありがたさなんて、感じたこともなかった。
母子家庭の彼女は、虐待する母親から逃れる術もなく、毎日泣いて、母親を恨んでいた。
けれど、今更ながら母親も辛かったのかもしれないと思った。
家に帰ると母親がいた。彼女は、思い切って言ってみた。
「…ただいま」
何年振りに言っただろうか。もちろん、反応は無かったが。それでも彼女は続けた。
「お母さん」
途端、母親が振り向いてこう言った。
「私は、好きであんたの母親になったんじゃない!『お母さん』なんて呼ぶんじゃない!」
「聞いて、お母さん」
頬に痛みが走った。母親に話しかければ何かされるとは分かっていたが、彼女は話し続けた。
彼女の父親は子育てに自身がもてず、彼女と母親をおいて逃げてしまった。当時仕事も無かった母親は相当な苦労をし、またそのことを相談する相手もいなかったので、捌け口は自然と彼女への虐待に向かってしまった。
「私、家を出る」
彼女は決心した。これ以上この家にいてもお互い傷つくだけなのだ。母親は何も言わなかった。
彼女は、あのホームレスの少年の家に来ていた。
「あきら」
話しかけてきたのは、あきらのかつてのホームレス仲間だった。
「さとし…」
さとしはあの後家族とも和解し、今は幸せな生活を送っているのだという。
「あきらも、孤児院に戻ったらどうだ?いつまでもあの家に居るわけにはいかないだろう?」
「孤児院?」
彼女は、あきらが孤児院から逃げ出して来たことを初めて知った。
「もう、あそこには戻りたくないんだ」
あきらもまた孤児院でいじめを受け、行き場の無くなってしまった身だったのだ。
彼女は、再び自宅の前に立っていた。
―私はもう、機械じゃない。
ドアを開ける。
「お母さん!」勇気を振り絞って言った。母親が奥から出て来た。
「あんたはもう、うちの子じゃない」
逃げ出したくなる自分を抑えて、彼女は話し続けた。
「私、ずっとお母さんの事恨んでた。ずっと、ずっと愛されたかった」
母親の平手が頬に飛ぶ。
「でも、私お母さんの気持ちなんて考えたことも無かった。お母さんだって辛かったのに…いつも自分が可哀想だとしか思ってなかったの」
母親が動きを止めた。
「ごめんね…ごめんね、お母さん」
それだけ言って彼女は家を出た。
…あきら。
私に『感情』を再び持たせてくれた人。
彼を救いたいと思った。
何一つできないちっぽけな私には傲慢な考えだろう。それでも何もせずにはいられなかった。
彼女は、あきらの『家』の前に来た。
あきらは、あの公園の遊具の下にいた。膝に顔をうずめている。美咲はあきらのもとに行った。
「あきら…さっきはごめん」
あきらは何も言わない。老犬は悲しそうに鼻を鳴らした。
「私…あきらに沢山助けてもらったんだ。だから、私もあきらのこと、助けたいの」
「もっと頼っていいんだよ。もっと、皆に弱い所見せていいんだよ…一人で頑張りすぎると、私みたいになる」
そう。誰かに相談すれば良かったのに。自分から殻を閉ざしてしまったから、結局もっと苦しい思いをすることになってしまった。
「戻ろう、孤児院。まだ間に合うよ」
「…」
あきらは黙ったままだ。
「ここでこのまま暮らしていたって、何も変わらないでしょう?」
あきらは、自分の過去を美咲に語った。
「いや」
あきらは立ち上がった。
「美咲に話して楽になったし、勇気もらった。…俺、孤児院に戻るよ」
「無理しないで」
彼にこれ以上傷ついてほしくなかった。
「あなたばかりがそんなに傷つくこと、ないじゃない…」
美咲は止まらない涙を拭おうともせずに言った。
「昔、母さんが言ってた。試練は、神様が、乗り越えられる人だけに与えるんだって…
俺は、神様に認められた人間なんだぜ」
彼は、笑ってこう言った。
朝が、来た。
「おはよう」
美咲は明るく振る舞った。彼の未来にとって今日が門出になるのなら、涙は流したくなかった。笑顔で見送ろうと思った。
灰色の毎日が過ぎていく。
ここは東京。様々な夢を持ち上京してくる若者達に容赦なく厳しい現実は立ちはだかる。
古びた木造アパートの一室に彼女は住み、毎日バイトと学校生活に追われていた。
美咲はあれから高校を卒業し、今は東京で美術を専門的に学んでいる。学校生活は充実しているし、毎月母親からは手紙が来る。
ただ、画家としてまだ芽が出ず、苦しい日々を送っていた。
あの家は取り壊され、家のあった場所は綺麗な公園になっていた。あきらはベンチに座り、目を閉じた。あの頃の思い出が浮かんでくる。
-初めて美咲に出会ったのも、公園だったっけ。
「美咲」
振り向くと、そこには一人の男が立っていた。-そう、クロが出てきた、あの場所に。誰だかなんてもう分かっていた。
「…あきら」
「公園に行ったら、会える気がしたんだ。」彼は、あの頃と変わらない笑顔だった。
美咲は泣いていた。
「あきら…会いたかった」
再び別れの日。あきらは、駅のホームに美咲を見送りに来ていた。
「またそのうち、暇ができたら遊びに来るね」
「うん…俺も自分の夢見つけて、自分に自信持てる人間になるよ」
電車が来た。
「じゃあ、元気でね」
電車は発車した。美咲もあきらもお互いが見えなくなるまで手を振っていた。
-いつか必ず、美咲の隣にいられる位立派な人間になるから…そうしたら…
-次に帰って来るときは、きっと夢に近づいているから。
二人は、それぞれ自分の心に誓った。
美咲とあきらはあの公園に来た。あきらは美咲の写真を撮った。
「まだまだ半人前だけど…これから頑張ってプロになるんだ」
「夢を見つけたんだね」
美咲も、画家として最近は仕事も入るようになってきた。
「あれから5年か…」
あの頃、夢も生きる希望も無くて。
友達に合わせて、作り笑いして、感情なんか忘れてしまった。
私は機械だ。そう思って生きてきた…
貴方に出会うまでは。
しばらく二人はベンチに座っていた。やがてあきらが口を開いた。
「美咲…あのときの返事、今ならできるよ」
美咲は黙ってあきらを見つめた。
「俺の隣で、一緒に生きて下さい」
美咲の頬を涙が伝った。
「俺、夢を見つけて、自分に自信持てるようになった。今なら美咲の隣にいられる。
…待たせてごめん」
【完】…ですかね!
どぅも!スレ主です。途中からハンネで参加していました。
すごく素敵な物語ができて嬉しいです(≧▽≦)皆さん、ホントに有難うございました☆またいつか物語作りましょう!!
>> 72
いえ②、旅人7サンも沢山書き込んで下さって有難うございました(^-^)
他フリーター1サン、匿名5サン、匿名14サンも本当に有難うございました!
(私たまに織笠でした)
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