幸せの景色

No.5 19/06/27 23:33
漣音 ( ♂ PFdSnb )
あ+あ-

3月23日


健二の月命日までの間、千里と7カ月になる
娘と過ごす為に、僕は健二の家に行けるだけ足を運んだ。

少しでも淋しく辛い時間をなくさないといけない。僕にできることはこれしかないのだから。

毎日のルーティーンだった詩織とのやりとりは、千里とその娘と過ごす時間に変わった。

そんな僕に、詩織はいつもと変わらず接してくれていた。

僕には詩織がいるけど、千里には誰もいない。
だから僕が支えないといけない。そんな僕を詩織はわかってくれているんだ。
僕は千里のことを1番に考えなくてはいけない。

こうして、詩織とのやりとりも会う時間も僕はないがしろにしていった。

千里まで健二のようになってしまったら…
健二のように死のうとしてしまったら…

僕は千里のことが心配で、だから健二の家に時間のある限り行っていた。


そんなある日、詩織は僕に
「レンのしてる事に何の意味があるの?」
と言ってきた。

……は? 何の意味?!

「健二の家族との関係を知らない詩織には分からないよ!おまえには優しさがないのかよ!」

信じられなかった。何でそんなことが言えるのか。詩織の相手をする時間が減ったから怒っているのか?そんな自分本位な人間だったのか?僕のことを理解していると思っていた詩織が、そんな薄情な人間だったとは……もういい。


そうして相変わらず会社と健二の家を行き来していた僕だが、なぜか仕事でミスを連発するようになっていった。

得意先訪問のダブルブッキングをし、提出すべき資料は忘れるという、いつもの僕では信じられないミスを犯した。その大きなミスをカバーしていこうとすればするほど、またさらにミスを繰り返すようになり、僕の仕事に対する自信は奪われていった。

いったいどうしてしまったんだろう?
これ以上、他人に迷惑を掛けないようにしなくてはいけない。

そういえば最近、寝る時間が足りてなかったかもしれない。いつから寝不足なんだろう。まあいいや!とりあえず今日は早く寝よう。

普段の僕は、24時前に寝ることはなかったが、この日は22時前にベッドに横になった。

しかしこの日に限って午前1時を過ぎ、2時を過ぎても眠れなかった。結局、5時前くらいだっただろうか。ずっと眠れずにいた。

次の日も、その次の日もそうだった。

5レス目(12レス中)
このスレに返信する

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

カテゴリ一覧