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続・ブルームーンストーン

No.47 18/11/22 20:13
自由人
あ+あ-

「ピアノだ…」

加瀬君が目を見開いて感嘆の声を漏らす。

シックなレトロ調にまとめられた店内は外から見るより広く、コーナーの一角にグランドピアノがドンと置かれている。

ここは私が以前住んでいたマンション近くの最寄り駅前。

近いと逆に行かないという通説通り、
私もこの店に来たのは初めてだった。

「何か大人のお店って感じですね。」

加瀬君がソワソワと店内を見回す。

「ご注文は?」

品の良さそうなマスターらしきおじいさんがオーダーを取りに来た。

「えと、ウインナーコーヒーお願いします。」

「え!?ウインナーコーヒー!?
あ、俺もそれで!」

加瀬君が興味津々といった目をして私の真似をする。

絶対「何か」を期待してるだろお主。

案の定、ウインナーコーヒーが運ばれて来ると加瀬君は不思議そうにカップを覗き込んだ。

「あれ?ウインナーは?」

……やっぱり。

てか本当にコーヒーにウインナーが浮いてたら飲むつもりだったのか?

「ウインナーコーヒーはウイーン風コーヒーって意味だよ。」

笑いながら教える。

「あっそうなんだ。俺、あ、いや、僕こんな大人っぽい店に来たことなくて…
何かいつも同級生とマックとかそんなとこしか行った事ないから、大人の女の人とこんな店に来れて緊張します。でも…嬉しい…」

「こらこら緊張する所が違うでしょ。今日話しに来たのは昨日の事でなんじゃないの?」

「あ、はいそうです。昨日は本当にすみませんでした。」

その言葉を皮切りに加瀬君は色々な事を私に話してくれた。

やっていた格闘技はスカウトされるほど強かった事、そんな中怪我をしそれが完治しても何故か急に格闘技に対する気持ちが冷めてしまったこと、友人関係、進路への不安etc.
彼は胸の中に溜めていたものを吐き出すかの様に一気にそれらを話し切った。

「そうか。色々あったんだね。
でも辛い気持ちがあっても周りへ八つ当たりはダメだよ?」

「はい。もうしません。
皆とも仲良くします。
だから…あの…またこうやって…」

「ん?また大人っぽいお店に行きたいの?
いいよ。今度パスタのお店でも行こうか。
その代わりちゃんと仕事頑張るんだよ?」

「ほんとですか?!
はい!頑張ります!!」

加瀬君が明るく答える。

そこには今までの暗い陰は無く無邪気に笑う18歳の男の子の姿があった。

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