雨が降っていた

No.86 17/03/19 21:10
パンダっ子 ( UUqVnb )
あ+あ-

私はそれでも止まれなかった。
「あなたがもし友香に近付いたら、私は迷わずあなたの旦那さんに言います。あなたが女の人を好きなのに、世間体で男性と結婚したと言います。」

美咲の顔に笑顔が戻った。
「私を脅す気?無駄よ、主人はそんなのとっくに知っているわ。それを承知で結婚したのよ。私達はお互いに恋人が出来ても離婚なんてしないのよ。」
「あなたが不倫をしようと、旦那さんは意に介さないわけですか。良いご関係ですね。」

美咲の余裕の理由が分かった。結婚相手に不倫を知られた所で、美咲には痛くも痒くも無いのだ。
打つ手が一つ減ってしまった。

「主人に話すと言えば私が思い直すと思った?残念だったわね。」
私は黙って唇を固く結んだ。美咲は店員を呼んでワインのお代わりを頼んだ。
「あなたも私も引かないのなら、仕方ないわね。友香に選んで貰うしかないんじゃない?」
「・・・そうですね。」

「ねえ、私と賭けをしない?」
美咲の目が怪しく揺れた。
「もし友香があなたを選んだら私の負け、私は二度と友香に近付かないわ。一生、死ぬまで。」
「・・・・・私が負けたら私が二度と友香に会わない。そうですよね。」
店員が入って来て美咲の前にグラスを置いた。美咲は手を伸ばさない。

「違うわ。あなたと友香さえ良ければ、付き合っていていいのよ。」
「??」
「私が勝ったら・・・あなたを貰うわ。」

聞いた瞬間、鳥肌が立った。

気持ち悪い。
目の前の美咲が、とてつもなく気持ち悪かった。
「お断りします。私は・・・冗談じゃない。あなた、おかしいですよ。私が友香に言ったらどうするんです?」
「もちろん高科さんに言ったら、約束は反故にするわ。あなたが勝っても、私は高科さんから手を引かない。」

「もし私が負けたら、私もあなたの不倫相手の一人になるんですよね?」
「いいえ、私もそんなに暇じゃないもの。一晩よ。一晩私のものになって欲しいの。」
美咲がテ一ブルの向こうから身を乗り出した。
「忘れられない夜にしてあげる。」

再び鳥肌が立った。私は自分の顔が引きつるのを感じた。

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