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続・彷徨う罪

No.102 13/03/22 00:27
ゆい ( vYuRnb )
あ+あ-


夜明け前まで、芽衣を抱いていた。

次第に冷たく硬くなる身体を実感しながらも、離れられなかった。

僕は倉庫に戻り、零を迎えに行った。

人に見られる前に、近くの養護施設の門に彼女を置いた。

『どうか、元気で…』

後ろ髪を引かれる思いだった。

倉庫に戻るまで、僕は零の産まれた日の事を思い出していた。

小さな手足…
懸命に泣く力強さ…
人差し指を差し出すと、その小さな手で僕の指を握り返した。

初めて寝返りをうった日。
腹這いで僕の後を付いて来た日。

“おいで!”

そう呼ぶと、ハイハイで抱き付いて来た。

「ちゅーちゃ!」

初めて僕の名前を呼んだ日…

色々な事を思い出して思った。

そうだ…

「僕は、零と過ごせた日々が幸せだった。


ちゃんと満たされていたんだ。

今頃、大切な事に気付くなんて遅い。

僕はクスっと笑い、幹部のパソコンを起動させた。

自首なんてしたくない。

だから、一か八かで例のハッカーとコンタクトを取ってみた。

『せいじ…』

君が本物の天才なら、この暗号を文字に変換出来るはず。

そして、信号を受信してこの場所を突き止められるだろう。

それから、この場所で二日間夜を明かし
た。

数台のパトカーのサイレンが遠くから聞こえる。

パソコンの画面には、短い暗号が表示されていた。

“部屋を出てお前を見てやる”

彼からのメッセージだった。

「君の望みが叶ったよ…」

僕は、届くハズのない言葉を呟いた。

この倉庫に、漂う魂に…。

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