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日めくり

No.1 12/03/07 23:22
SHIINA ( tGzN )
あ+あ-

わけがわからず、聞き返すと。

「婆ちゃんは、あなたが生まれる前に亡くなってるもの」

母は真顔で言った。

「昨日、昔話聞いたもん」

食い下がる私を見て母は笑い、

「夢でも見たんじゃないの?」

と言われてしまう。

婆ちゃんの部屋に駆け込むと妙にガランとしている。

まるで、何年も使われていないような部屋。

「どうして?」

私は、その部屋を飛び出して、従姉妹たちの所に走った。

「昨日、婆ちゃんに日めくりの話し聞いたよね?」

「え?」
「何言ってるの?」
怪訝そうな二人。

「婆ちゃん、あたしが小さい時に亡くなったもん。れなちゃん、会ったことないわよね?」

お姉さんの明子ちゃんが言う。

「どうして?」

聞くと。

「こっち来て」

連れて行かれたのは、一度も入ったことのない部屋。

「これが、婆ちゃんだよ」

白黒の写真が飾られた小さな仏壇。

「わああんっ」

私は、泣き出していた。

私がやったいたずらの所為なの?

「どうしたの?」

私の泣き声に母が飛んで来る。

「婆ちゃんがしんじゃったぁ」

どうしていいかわからず泣きじゃくる。

「れな…………」

母の顔に、婆ちゃんの顔が重なって見えた。

「日めくりは絶対にめくり忘れちゃあなんねぇ」

「ああ…………」

抱えていたリュックがしたに落ちる。

中身がばらけ、隠していた日めくりがとびたした。

私の回りがビデオテープの早送りみたいに動いた。

「れなちゃん、帰り支度できたの?」

母の声が私を起こした。

「うん」

飛び起きて、返事をし、リュックをつかんで婆ちゃんの部屋に行ってみる。

「帰るがぁ?」

優しい婆ちゃんの笑顔。

「婆ちゃん、日めくりちゃんと毎日めくるからね」

大きくうなずいた婆ちゃんは、何もかも知っているようだった………。


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