初めての男
このお話しは、フィクションを含めた実話です。
過去…。
「あ!今日も会えた!ねぇねぇ、あの人カッコいいよね?」
私はとなりで眠たそうにあくびを繰り返す美幸に話しかけた。
通学のバスの中、たまに会う男子校の気になる彼。
この彼が、私の初めての男になった。
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>> 50
でも、ゆかさんは話してる最中どこかソワソワしてて、ゆたか君の車を気にしてる感じがした。
「どうしたんですか?ごめんなさい、あまり時間が無いんじゃないですか?忙しいのに本当にすみません」
「あっ、そんなんじゃないの。ねぇ、ゆたか…」
「う、うん…おい!もぅ出て来いよ!」
ゆたか君の車に誰か乗ってるのかなぁ。
…そう、車から降りて来たのはなお君だった。
「久しぶり…元気か…?」
照れた様に、でも真っ直ぐと私を見つめながら言った。
ギャー‼
まさにギャー‼だよ‼
「なに…?どーしたのよ、何で居るのよ?」
言いながら、私は泣き笑いの様になってたと思う。
「はるちゃんごめん‼今日はるちゃんが店に来た事なおに言ったら、俺も洗車場に行きたいって言うから。びっくりさせてごめん‼」
「もー本当にびっくりだよ‼」
ねぇ…。
なお君、何年ぶりかな…?
もぅ会う事なんて無いと思ってたよ…。
なお君と初めて会った日から、もぅ10年が過ぎていた。
お互いに、27歳。
会うのは5年ぶりだね…。
>> 51
「なお君、髪型変わったね(笑)」
「似合うだろ?今風にしてみた(笑)」
「そりゃ昔みたいにアイパーだったら笑われるし!」
そうなんです。
私達の住んでる所はド田舎で、ひと昔前とは言えリーゼントやアイパーかけてる高校生がゴロゴロ居ました。
まぁそんななお君が
カッコイイ‼(ハート)
な~んて思っていた私です…。
「何か…かなり痩せたね?」
「そぅ?まぁあの頃に比べたら痩せたかな」
突然現れたなお君と、何をどぅ話していいのか分からなかったけど、何だかいっぱい話がしたかった。
それはなお君も同じ様に思えた。
ゆたか君がコンポを付けてくれた後、せっかくだからみんなで夕食を食べに行こうとなった。
あぁ…。
何か不思議だな。
ひろと出会う前までは、なお君と会いたくてたまらない日々もあった。
好きで好きでたまらなかった。
二度の別れで立ち直れない日々もあった。
今、なお君が目の前に居る。
なお君に「ときめいてる」
とは違う、ただただ懐かしさで胸が熱くなっていた。
>> 52
それから4人で居酒屋へと向かった。
どうしよう。
どうしよう。
あ、ひろに遅くなるって電話しなきゃな…。
「友達とご飯食べて帰るから遅くなる」
「うん、ゆっくりしておいでね」
嘘。
ひろに初めてついた嘘…。
思わぬ再会と、ひろに申し訳ない気持ちとで心がザワついたまま居酒屋へ着いてしまった。
「とりあえず乾杯!」
ゆたか君が場を盛り上げる為に元気に言った。
まぁジュースだけどね。
「そぅ言えば七海ちゃん、元気?」
「うん、結婚したよ。あれから妹も会いたがってた」
「結婚したんだ!たまに連絡くれてたけど、あの頃はポケベルだったしね(笑)」
多分、それから色々会話をしたんだと思うけど、正直よく覚えてない…。
でも、七海ちゃんに連絡してほしいみたいな事を言われ、なお君と携帯電話の交換をした。
今考えれば、彼氏が居るのに元カレと番号を交換するなんて最低だと思う。
しかもなお君も既婚者。
でも、あの時は番号交換に対し何故かあまり罪の意識が無かった…。
>> 53
数日後。
知らない番号からの着信。
「はるちゃん?七海です」
「七海ちゃん‼」
「元気ー?お兄ちゃんと会ったんだって!?」
なお君との再会のいきさつを話し、お互いの近況を語り合った。
そして、なお君の近況も…。
なお君はデキ婚をした当初から、あまり夫婦関係は上手く行って無かった様だ。
七海ちゃん曰く、あまり奥さんの性格を知らぬまま子供が出来、すぐに結婚を決めたからだと言っていた。
そうなんだ…。
でも、私じゃなく彼女を選んだのはなお君。
今更そんな話を聞いてもどうなる訳でもない。
私にはひろが居る。
そう、ひろが居る…。
「私ね、お兄ちゃんとはるちゃんが結婚して欲しかった。結婚当初、お兄ちゃんの奥さんから元カノのはるちゃんはどんな人かって聞かれてさ。奥さん、あんまり感じのいい人じゃないんだよね…確かに美人だけど、本当にそれだけって感じ」
「そうなんだ…」
「でも、はるちゃんが今幸せなら良かった!早く結婚出来ればいいね!」
「ありがとう。又何か進展があれば連絡するね」
電話を切った後、凄く凄く切ない気持ちになった。
なお君。
何で彼女を選んだの?
私、なお君の事あんなに大好きだったんだよ?
今なお君が幸せじゃないなんて…。
あの時泣いた私、馬鹿みたい…。
>> 54
この頃のひろとの生活は、何事も無く穏やかな毎日だった。
でもそれは、多分お互いが本当に聞きたい事や言いたい事を言わずに過ごしていたからだと思う。
ひろは私の両親の事。
私は彼と子供との事。
この2つの事をお互いに聞かずに居れば、本当に幸せな彼氏彼女で居られる。
そんなある日…。
多分、本当に些細な事で口論になった。
その時、ひろが言った。
「大体何ではるの両親は俺を認めてくれないんだ‼」
「俺は犯罪者でも何でもない‼」
「何度行っても会う事さえしてもらえない‼」
「これ以上どぅ誠意を見せればいいんだ‼」
ひろ…。
そりゃそうだよね…。
ずっと我慢してたんだね…。
ごめんね…。
>> 55
私は何も返す言葉が見つからなかった。
このまま、両親の反対を押し切って結婚しよう!
何度もそう思った。
でも…。
丁度その年、私の友人が二人結婚した。
どちらも結婚式を挙げ、私は二人の友人代表のスピーチをした。
綺麗な花嫁衣装…。
多くの友人と親戚からの祝福。
そして…。
最後は両親へ向けての感謝の手紙を涙こらえて読みあげる。
これが、皆に祝福された幸せな結婚式。
当たり前の様に行われた友人の結婚式が、私には出来ない。
そう思うと切なくなった…。
ねぇひろ、私もう分からなくなったよ…。
「俺は犯罪者じゃない‼」
今までに無い、強い口調で言い放ったひろの顔が脳裏に焼き付いてた。
そうだよ。
ひろは誰よりも優しい人。
私はちゃんと分かってるよ。
どうしたらいいんだろうね、私。
>> 56
それから暫くしたある日、携帯に非通知から着信があった。
あの頃は、携帯を契約した時に「非通知」で申込むと、わざわざショップに行かないと解除出来ない?機種があった様で、友達数人が非通知でかけてくる事があった。
誰かな?
「もしもし?」
「あ…俺…」
「なお…君?」
「うん」
え‼
やっぱり動揺してしまう私。
「どうしたの?」
「あれから元気?」
「うん、まぁまぁかな(笑)」
「そっか(笑)」
暫く他愛もない会話をして、なお君が今度ゆたか君達と一緒にカラオケにでも行こうと言ってきた。
「そうだね。カラオケ、久しぶりだね」
断らないといけないのは分かってた。
でも、素直に行きたいと思った…。
「じゃあ又連絡するよ」
電話を切った後、不思議な感じがした。
「なお君から誘われた」
信じられない。
何で今?
昔、会いたくて会いたくて仕方なかった人。
何で今なの…。
>> 57
でも、なお君はマメに連絡する様なタイプでは無く、それから数週間が過ぎた。
それから「非通知」
で着信が鳴ると、やっぱりドキッとしてしまう。
何だ、友達か(笑)
私は何を期待してるんだろう。
何を待ってるんだろう。
そんなある日、「非通知」からの着信。
「もしもし?」
「…」
「もしもし?」
「…」
何?
無言電話?
切ろうとした時、女性の声で
「もしもし、あんた、誰からの電話か分かるよね?」
「は?非通知だけど?」
「嘘付かないでよ‼」
「はぁ?てか、あんたこそ誰よ‼」
「あのさぁ、なおって知ってるよね?」
あ、この人なお君の奥さんだ…。
「知ってるよ?あなたミキちゃん?」
相手は名前を呼ばれた事に驚いた様子だった。
知ってるもーん‼
昔同僚から聞いたもんね(笑)
そう、奥さんは私の務めてた会社の同僚と同じ高校。
私からなお君を奪ったミキちゃんね‼
しっかり名前覚えてますよーだ(笑)
>> 58
「で、何?」
私は冷静だった。
「名前、はるちゃんだったよね?」
「うん」
「なおと会ってるでしょ?」
「一度だけ会ったけど」
私はなお君と再会したいきさつを正直に話した。
「でもそれからも会ってるよね?エッチしたんでしょ‼」
何を言ってるんだこの人。
「え?してないよ?二人きりで会っても無いし、指一本触れてないけど?」
指一本…。
て、男が言う言葉だよね、普通。
言いながら思ったけど、まぁいいか。
今はそんな事どーでもいい。
「嘘‼なおは認めてるよ‼エッチした事‼」
かまかけてるよね。
「なお君が何言ってるか知らないけど、やって無いものはやって無い‼それに私、彼氏居るから」
「…え?彼氏居るの?」
「居るよ」
何で「意外‼」みたいな言い方たされるんだろ(笑)
「彼氏居るんだ…もう長いの?」
「うん、まぁ長いかな」
「私、はるちゃんはなおの事ずっと好きで、ずっと待ってるんだと思ってた」
「いやいや、あれから何年経つと思ってるの?(笑)」
「でも…」
>> 59
ミキちゃん曰く、なお君と結婚してからよくなお君は、
「前の女は優しかった」
「前の女は俺を思ってくれた」
「前の女は思いやりがあった」
「前の女は…」
何かある度に言われてきたそうだ。
てか…。
確かに私は尽くしてたけど、その前にあなたが我が儘なんじゃないの?
でも…。
この時
「勝った‼」
と思った。
性格悪くてごめんなさいm(_ _)m
なお君は、そんな風に思ってたんだ。
付き合ってる頃は、あまり感情を表に出さない人だから、あまり私を誉めたりはしなかった。
でも、ちゃんと見てくれてたんだ…。
それと同時に、「前の女は」なんて事、奥さんに言うんだと思った。
あのなお君が?
信じられないな。
「本当にムカつくんだよね、あの男。だから、私の中ではるちゃんは、なおが結婚してもずーっとなおを待ってるんだと思ってた」
「流石にそれはないよ(笑)」
「ふーん。そっか。アイツさ、はるちゃんの番号登録してたから問い詰めても何も言わないんだよね。あ、さっきのエッチの事嘘だから(笑)アイツも認めてないし」
やっぱりね。
何か嫌な女だな…。
>> 62
「行ってらっしゃい」
「うん、今日はなるべく早く帰るね。お弁当ありがとう♪」
最近ひろは仕事が忙しい。
私は朝5時半に起きて弁当を作る毎日。
その日は朝から何となく体がダルかった。
「何かお腹も痛いなぁ…そろそろ生理かな」
念のためトイレでナプキンを付け、少し横になる事にした。
そしていつの間にかぐっすり眠りに着いていた。
暫くして、苦しいと言うかお腹に違和感を感じ目が覚めた。
「やっぱり生理かな」
でも、突然お腹に今までに感じた事の無い激痛が走った。
「ちょっと…何…この痛み…痛み止め…痛み止め‼」
ベッドから、数メートルしか離れて無い引き出しにある薬も取りに行く事が出来ない。
「ひろ…助けて…痛い…痛いよぉ…」
それからどれ位ベッドにうずくまってたか分からない。
やっとの思いでベッドから這い出で、薬を飲んだ。
30分位したら薬が効いてきて、かなり楽になった。
そしてトイレに行くと、愕然とした…。
大きめのナプキンをしてたのにも関わらず、隅からすみまで血で染まり、トイレに座った瞬間血の塊が落ちた…。
「何…これ」
流産だった…。
本当に本当に初期段階だったらしい。
この時、母が頭に浮かんだ。
「私もお母さん同様、流産しやすい体質なのかな…」
でも母は…。
もっともっと苦しくて怖くて、そして悲しい思いを2度もしたのだろう。
>> 64
「もしもしはるか?」
「お母さん…」
突然の母からの電話。
何か嫌な予感がした。
「久しぶり…どうしたの?」
「お父さんが…お父さんが…」
「何‼どうしたの!?お父さんがどうしたの‼」
「…倒れたのよ…今病院にいる。はるか、来れる?」
「すぐ行く‼何処の病院?」
電話を切った後、慌てて用意しながらひろに電話の内容を話した。
「はる、行くのか?」
「え?」
「病院に行くのか?」
思いもよらないひろの言葉。
「…何言ってるの?」
「二人で生きて行くんだろ?親と縁を切ってでも籍を入れるんだろ?」
「ちょ…。お父さん倒れたんだよ?今そんな話し関係無いでしょ!?」
「行くなよ‼親と縁を切るってこう言う事だろ‼」
「何言ってるのよ‼ひろ‼本気で言ってるの‼」
「…そんな中途半端な気持ちだから、赤ちゃんもダメになったんじゃないのか?」
…私はもう言葉が出なかった…。
>> 65
私は泣きながら家を出た。
ひろから言われた言葉と、父が心配でもう頭が混乱してどうにかなりそうだった。
「お父さん…生きててよ」
病院に着くと、ベッドに寝かされた父と、隣に寄り添ってる母の姿があった。
お父さん…。
こんなに白髪があったっけ…。
父は、軽い脳梗塞だった。
家に居て、父の異変に気付いた母が直ぐに救急車を呼んだので大事には至らずに済んだ。
「良かった…」
「はるか、元気にしてるの?」
久しぶりの母との会話。
「うん」
「彼とは上手く行ってるの?」
「今はそんな話しいいから…」
「そうね…でも、お父さんが本当に心配してるの。」
「分かってる」
今、私は
「彼は本当にいい人なの。ちゃんと認めてほしい」
とは言えなかった…。
「赤ちゃんもダメになったんじゃないのか?」
この言葉が頭から離れずにいた。
>> 68
ひろと別れてから少しして、久しぶりになお君から電話があった。
「おれ」
「うん、なお君元気だった?」
「今度、みんなでカラオケに行かないか?」
「でも、ミキちゃんは大丈夫なの?」
「あぁうん、大丈夫だから」
いやいや…。
ミキちゃんにバレたら、又私に攻撃の電話があるに違いないじゃん。
それに、なお君は私の近況も一切聞かない。
当然、奥さんからのあの電話で私に彼氏が居る事は知ってるはずだ。
当然、別れた事は知らないはずだけど…。
それに、あの時はひろと別れたばかり。
ひろとの3年間は、私の中ではやっぱり大きい。
初めて「結婚」と言う現実を意識して付き合った人。
「彼氏」「彼女」を越えて
「人間同士」で付き合えた人。
お互いに、何の駆け引きも無しにとことん話し合い別れを決めた。
だから、別れた事に後悔は無い。
でもやっぱり気持ちの切り替えには時間が必要だった。
そんな中でなお君からの誘い。
ミキちゃんの事を抜きに考えると
「嬉しい」
「会いたい」
と言う気持ちと
「今はまだ会いたくない」
とが入り交じった感じ。
「じゃあ、来月の○日でも大丈夫かな?」
「…私はいいけどさ…」
「じゃあ、みんなに聞いて又連絡する」
そして電話を切ろうとした時、なお君が言った。
「俺、離婚したんだ」
>> 69
「えぇー‼」
「だから、アイツの事は気にしなくて大丈夫だから」
「…いつ?」
「半年前くらいかなぁ」
「そうなんだ…」
「まぁ、結婚当初からあんまり上手く行って無かったし」
「そっか…」
私もそれ以上は聞かなかった。
だけど…。
本当にびっくりした。
この頃は、私の友人らは結婚して幼稚園の子供が居たり、まだまだ新婚さんだったりと、「離婚」と言う経験をした友人は居なかった。
現在の私の周りには居るし、この年になれば珍しい話しじゃ無いけどね(^-^;
なので、なお君の離婚は私にとって衝撃だった。
考えてみれば、まだお互いに10代の頃に知り合い、親のお金で生活に困る事も無く、お互いに好き同士だったから付き合ってた私達。
でも…。
10年も経てばなお君は結婚もして子供も出来て、家族を養う為に仕事をし、そして離婚した。
そっか…。
あれから10年以上。
お互いに色々あったんだよね。
きっと、私の知らないなお君がいっぱいだよね。
私も、なお君が知らない私がいっぱいだよ…。
>> 71
「久しぶり」
「うん」
お互いになかなか目が合わせられない。
「なぁ~に2人共照れちゃってさ!」
ゆたか君が茶化しながら言い、私は本気で恥ずかしかった。
ゆたか君の彼女のゆかちゃんも一緒で、4人で居酒屋に行き、その後カラオケに行った。
「ねぇ、彼氏は続いてるの?」
突然のなお君の質問に、私はドキッとした。
「…ううん、別れちゃった…」
「そっか…なぁ、俺は幸せには出来ないから、誰かに絶対に幸せにしてもらえよ?」
「え…?いきなり何よ(笑)」
「はるかには、ちゃんと幸せになってもらいたいから…」
え?
え?
え?
今、「はるか」って名前で呼んだよね?
しかも呼び捨て!
えー‼
初めてなんだけど‼
なお君の横顔を見ると、やっぱり照れた様に見えた。
「まぁ、はるかが30過ぎても結婚出来なかった時は、俺が貰ってやるけどな(笑)」
「30って、後少しじゃん‼頑張ろ(笑)」
>> 72
その日は、結局朝までみんなで盛り上がった。
帰り際、なお君が私の手を握り言った。
「…今度は二人で会わないか?」
「うん…」
自分でも顔が真っ赤になってるのが分かった。
「じゃあ、なお君仕事頑張ってね!」
「はるかも、早く仕事が決まればいいね」
「うん」
「又連絡するよ。気をつけて帰れよ」
「うん、ありがとう」
楽しかった。
久しぶりに笑った気がする。
私…なお君が好きなのかな…。
分からない。
でも、昔あんなに好きだった人。
なお君と会うのは、何年経っても緊張する。
ドキドキする。
何だろう…。
なお君の前では、私は「女」になる。
自分でも笑える位、古い言葉だけど「ぶりっこ」だ。
>> 75
同じ営業仲間の先輩に、突然告白された。
「ずっと気になってました。彼氏…居ますよね?」
「え…あの…居ませんけど…え?私が好きなんですか‼何で?」
本当に突然で、しかも前田さんと言うこの社員さんが、私に気があるなんて全く気付かなかった私は思わず「何で?」って聞いてしまった。
「何で?って(笑)えっと…頑張ってる姿とか、見かけによらず優しい人なんだなって。綺麗だし…」
「…ありがとうございます…」
「あの、友達からでいいです。今度、飲みにでも行きませんか?二人がダメなら、友達を誘っても構いません。僕も誰か連れて行きますし」
「じゃあ、友達も一緒でいいですか?」
「はい‼みんなの都合が合う日でいいんで‼」
「分かりました。友達に聞いてみますね」
前田さんは私の1つ年上の好青年ってイメージ。
恋愛感情は無かったけど、頼りになる先輩だった。
>> 78
中学の時の先輩、真由美さんからだ。
「真由美さん?」
「久しぶりー♪」
「本当に!どうしてます?元気ですか?」
「うんうん、相変わらずだよ」
真由美さんは、中学の頃から凄く美人で私達の憧れだった。
真由美さんも面倒見がよく、私の事も可愛がってくれてた。
「どうしたんですか?」
「うん、ちょっとお願いがあってね。私、昔スナックで働いてたでしょ?子供が出来て暫く止めてたんだけど、子供も来年中学生だし、来月お店をする事になったの」
「え?子供さん…もう中学生になるんですか‼」
「そーよ(笑)早いよね」
「ほんと、早い(笑)で、お店ってスナックですか?」
「うん、元々は叔母さんがやってたんだけど、もう年だしね。代わりに私がやらないかってなって」
「真由美さんはやり手だし、ママも似合いますよぉ♪旦那さんは大丈夫なんですか?」
「うん大丈夫!その辺は理解出来る人だから。でね、オープンの時だけでもはるかに手伝って貰えないかと思って」
…今思えば、この時、本当に本当に断っておけばよかった…
この店で客として知り合った男と
私は結婚する事になる
そして
人生最大の後悔の日々が始まる
>> 79
真由美さんのお店オープン当日は大盛況で、次から次へとお客さんが入り、私はヘトヘトだった。
「はるか、今日は本当にありがとね!助かったよぉ~」
「もぅ、私酔っ払ってダメで~す(笑)」
「てかはるか、夜の仕事合ってるんじゃない?凄いじゃん‼やっぱ私の見る目は間違ってなかったわぁ」
「イヤイヤ、お酒の力と日頃営業してるからですよ!」
私はお酒はわりと強い方だと思う。
人と話をするのも嫌いじゃない。
でも、
初めて会った男の人とお喋りするのは難しい。
今日も、何人かのお客さんはエロさ全開だったから、やっぱり戸惑いもした。
そしてこの日から、何故かズルズルと週末は殆どこの真由美さんのお店「アイ」でバイトをする様になった。
>> 81
「はるか、無理言って毎週出て貰ってごめんね」
お店を閉め、片付けをしながら真由美さんが言った。
「お客さんで変な人とか、嫌な思いしてない?」
「うーん…今の所は大丈夫です!でも、あんまり若いお客さん居ませんね(笑)」
「そーなのよ!(笑)元々は叔母がやってたお店だしね」
「でもその方がいいのかも。優しい人ばかりだし」
昔から水商売に対し、私はあまり悪いイメージは無かったし、「アイ」はいわゆる「客層」がいいのだと思う。
「ねぇはるか。本当に彼氏居ないの?」
「居ないんですよね」
「でも、そろそろ結婚考えた方がいいよ?てか、ちょっと遅い位よね」
「はい…そりゃいい人が居たらしたいんですけどね」
「この店で、何か素敵な出逢いがあればいいね!うちの店、そんな変なお客さん居ないし」
「ですね!」
お客さんとの出逢い…
それも悪く無いのかなぁ…?
>> 82
それから数ヶ月した頃。
営業の仕事で、ちょっとした失敗をしてしまった。
私の勘違いで、お客様に間違った説明をしてしまったのだ。
幸い、とても優しいお客様だったから、クレームにはならずに済んだけど、やっぱり落ち込んだ。
「はぁ…今日は土曜日。お店行きたくないな…休もうかな…」
家に着いてそんな事を考えてたら、真由美さんからの電話が鳴った。
「はるかごめん‼もう帰ってる?今日ね、⚪⚪さんの会社関係の方達で、団体の予約が入ったの‼少しでも早く来れる?」
こりゃ休むなんて言えないよな(笑)
「分かりました!なるべく早く行きますね!」
とりあえずバタバタとシャワーを浴び、先週真由美さんから借りた服に着替えて家を出た。
>> 84
彼の名前は「奥田 孝之」
通称「たっくん」
彼の第一印象は…「デカッ‼」
顔は…「まぁ普通」
全くタイプでは無い。
ただ今まで会った誰よりも、本当に「面白い人」
初めて会ったこの日も、私は何度爆笑したか分からない。
彼の面白さは本当に天性だと思う。
「はるちゃん」
「たっくん」
と呼び合い、直ぐに意気投合した。
それから、たっくんは一人でもよく飲みに来る様になった。
でも誘って来たり、電話番号を聞いたりもして来ない。
「はるちゃ~ん!会いに来たぜ‼」
って飲みに来て、私を爆笑させて「じゃあ又来週飲みに来るね!」
って帰って行く。
「真由美さん、たっくんって何なんでしょうね?」
「はるかに彼氏が居るって思ってるのよ。だからどうせ無理だってね!」
そしてクスクス笑って「奥手なのよ、あぁ言う人は」
「そうなんだぁ」
「気になるの?」
「全く(笑)タイプじゃ無いですし」
「そう?でも、はるかすっごく楽しそうよ?」
「だって、笑えません?あの喋りは」
「確かに(笑)そぅそぅ、たっくん、かなりお金持ちらしいわよ」
お金持ち…何の仕事してるんだろ…
>> 85
それから数ヶ所した頃、私は働き過ぎ?で体調を壊してしまった。
やっぱりもぅ若くない。
昼夜と働くのは本当にきつかった。
派遣の仕事は、基本的に3ヶ月ごとに更新となる。
幸い、私は営業の成績が良かったので毎回更新となっていた。
「きつい…辞めるならやっぱり夜の仕事だよなぁ…」
そりゃそうだ。
なのに…
私はこの時、派遣の仕事を辞めアイでフルで働く事を選んでしまったのだ。
両親は、未だに私が水商売をしてた事を知らない。
幸い一人暮らしだったから、何とかバレずに済んだのだ。
水商売…
聞こえは悪いかもしれない。
確かに、お客さんを騙したり利用したりした事も事実。
でも本当に大変な職業だ。
ママをしてる真由美さんも凄い。
とにかく肝が据わってる。
私にはとてもママになれる様な器は無かった。
毎日アイで働く様になって、たっくんは週に3日は飲みに来る様になった。
>> 86
そんなある日。
「はるちゃん、今度の正月休みは何してるん?」
「う~ん、特に何も。実家に帰ったり久しぶりに地元に帰って来る友達に会うくらいかなぁ」
「じゃあさ、1日だけ俺の為に時間作って!初詣行こう!」
たっくんからの初めての誘い。
「うん、いいよ!」
「やったぜー‼」
別に嫌じゃ無かった。
お店でしか会った事は無いけど、たっくんと話すのは楽しい。
2つ年下だけど、カラオケで歌う歌もお互いに全部知ってる。
とにかくお腹が痛くなる位に笑っても居られた。
何だろう、久しぶりに居心地がいいと思える人。
そんな感じだった。
「じゃあ、空いてる日が分かったら教えてね!」
「了解よぉ~」
こうしてたっくんと初詣に行く事になった。
>> 87
こんばんは(*^^*)
主です。
何かダラダラとした小説になってすみません(泣)
なんせ素人で、読みにくいとは思いますが、興味を持って頂けるなら、最後までお付き合い頂ければ幸いです(^^)
これからの続きは、旦那との付き合いから結婚に至るまでになりますが…。
書こうかどうか迷いました。
正直、付き合ってた頃のいい想い出を書くことさえ、腹が立つと言うか(笑)
あんな頃もあったよなぁ♪
なんて思いたくもない位、結婚生活は苦痛でした。
なので、旦那との事は箇条書きの様な感じで書く事にします。
ご了承下さい(汗)
結婚生活の事はしっかり書かせて頂きます。
では、書ける時には早いペースで、書けない時はしばらくお休みする事もありますが、必ず完結しますので、よろしくお願い致します☆
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それは昨日の話 自分は小腹空いたなぁとコンビニに行っておにぎりを選んだ、選んだ具材はツナ おにぎ…
30レス 754HIT 張俊 (10代 男性 ) -
ディズニーの写真見せたら
この前女友達とディズニーに行って来ました。 気になる男友達にこんなLINEをしました。ランドで撮っ…
49レス 1490HIT 片思い中さん (30代 女性 ) -
ピアノが弾けるは天才
楽譜貰っても読めない、それに音色は美しい 自分はドレミファソラシドの鍵盤も分からん なぜ弾けるの
20レス 484HIT おしゃべり好きさん -
既読ついてもう10日返事なし
彼から返事がこなくなって10日になりました。 最後に会った日に送って、1週間後に電話と返事欲しい旨…
23レス 726HIT 一途な恋心さん (20代 女性 ) -
娘がビスコ坊やに似てると言われました
5歳の娘が四代目のビスコ坊やそっくりだと言われてショックです。 これと似てるって言った方も悪意…
18レス 554HIT 匿名さん -
一人ぼっちになったシングル母
シングルマザーです。 昨年の春、上の子が就職で家を出て独り立ちし、この春下の子も就職で家を出ました…
12レス 293HIT 匿名さん - もっと見る