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彼女が貧乳だと嫌ですか?
立場と言い回しが噛み合わない。
もう期待させないでください。

私の幸せ

レス56 HIT数 17028 あ+ あ-

かいき( ♀ aXoQnb )
13/03/22 22:48(更新日時)

「オレ、会社の女に手を出して…今、彼女の
旦那が電話口にお前を出せって…」

姑の後ろに隠れ、振り絞るような声で旦那は
言った。

青天の霹靂。
私の横には二歳の息子がキョトンとしていた。



初心者です。ほぼノンフィクションで書きます。
誤字脱字ありましたらご容赦ください(--;)

過去を整理し、新たな気持ちで4月から
やって行くために書いてみようと思います。
宜しくお願いします。

No.1920896 13/03/01 00:06(スレ作成日時)

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No.1 13/03/01 00:28
かいき ( ♀ aXoQnb )

姑は言った。
「まあくんはね、アタシに電話に出ろって
言うのよ。でもやっぱりかいちゃんが
出ないとまずいから…」

わけがわからない。電話で何を話せばいいのか。
そもそもダブル不倫ってやつ!?
うそでしょーーーー。


ここで我が家の家族構成です。
私はかいり。ど田舎から都会へ嫁にきました。
田舎では両親、兄に大事に育ててもらい、
少々世間知らずで育ちました。おっとりタイプと
言われます(^-^;

旦那はまあくん。都会産まれ都会育ち。
姑曰く、厳しく育てたらしいが、全く説得力なしの
お坊っちゃん。勉強は出来る。対人、金銭感覚、
異性関係に難あり。

二歳の息子ははーくん。天真爛漫。当時、
まだひ弱で入院していたことも。

他に舅、姑、義妹は敷地内別居でいます。
義祖父、義祖母(危篤)がいます。

No.2 13/03/01 00:56
かいき ( ♀ aXoQnb )

状況を飲み込めない。
私は何を話したらいいのかわからない。
でも姑に息子を預け、母屋の和室で一人
電話に出た。

「あんたの旦那、うちの嫁になんて事を
してくれたんだ!嫁はそいつに脅されて
付き合ってたんだぞ!」

そうなの?じゃ、じゃあ謝るのかな?
「あ、アタシも今、聞いたところで…。
すみません。すみません。」

「すみません。じゃねーよ!嫁は妊娠中
なんだよ!何かあったらどーして
くれるんだ?!」

妊娠??
「ええ?うちの主人の子なんですか??」

そのあとの会話は正直、覚えていない。
ただ、不倫女の子供はあちらの旦那の子で
妊娠がわかってから、うちの旦那と
不倫関係になったとのことだった。

No.3 13/03/01 01:14
かいき ( ♀ aXoQnb )

「あんた、自分の旦那があんたのことを
なんて言ってんのか知ってるか?
自分のうちに男連れ込んで、息子の前で
って話だぞ!宅配の兄ちゃんとかだぞ!」

「…はあ。」

なんかやっと状況が見えてきた。
要は私の悪口を言うことで女(しかも妊婦)
と盛り上がってたわけね。
それがばれた。
不倫女は自分の旦那にメールを見られた。

私は怒りをぶつけたかった。
旦那は姑の影のまま。

私は一先ず
「そちらの奥様と話をさせて下さい。」

No.4 13/03/01 01:34
かいき ( ♀ aXoQnb )

あちらの旦那は
「嫁はショックを受けていてとても
電話に出れる状態じゃないんだ!!
男と女は違うんだよ!」

この言葉に私はカチンときた。

「こっちだって出てるじゃないですか!」

初めての私の声が荒くなった。
そして、しぶしぶ彼女が電話に出た。


「…グスっ………。もしもし……」

高い声。アイドルを彷彿させる
かわいらしい声。

ああ、うちの旦那はアイドル、好きだから
なぁ。



☆レス1の自己紹介で私の名前が
間違えてました。「かいき」です。
ありえないミスでごめんなさい(;o;)。

遅くなりましたのでそろそろ落ちます。
皆様もお休みなさい。

No.5 13/03/01 22:43
かいき ( ♀ aXoQnb )

「まあくんは…上司だから断れません
でした…。あたしは嫌だったんです~。
奥さんからひどい仕打ちをされてるから
慰めてあげたくて…メールだけだと思って
たから……。うぅ…」

男ならたまらないような声で言い訳を
する。
しかし私の怒りを逆撫でする声でしかない。

「…男を連れ込めるような家では
ありません。親と同居みたいなもの
ですから。彼の言ってたことは全て
でたらめですよ。」

「……ふぇ~ん……」

事実、生活空間は違ったものの、義家族は
息子世帯への出入りは自由だった。
それこそ夜の時間もお構い無しに。
孫かわいさだろうが、私達夫婦への配慮は
ゼロだ。それだけが原因ではないが
私達の夜はレスだった。

No.6 13/03/01 23:38
かいき ( ♀ aXoQnb )

その後、彼女には三歳になる娘がいること
を知った。うちの旦那とのデートの時には
仕事も偽り保育園に預けていたらしい。

彼女が本泣きになったので、すかさず
あちらの旦那に変わった。

「ふざけたメール送り付けやがって!
うちには知り合いの弁護士もいる!
警察にも訴えて逮捕だ!おれはあんたの
旦那を一生絶対に許さないからな!
仕事だってそっちがやめてもらう!うちは
生活かかってんだ!!!」

とにかくまくし立てられ、私は気分が悪く
なった。電話をうちの旦那に渡し、息子の
ところへ戻った。

「ママ?どうして泣いてるの?」
心配そうに私を見上げるはーくん。
その横にはばつの悪そうな姑。そのときの
姑の発言がこれだ。

「低姿勢すぎ~。もっと反論しないと
足元みられるよ。まあくんも悪いけど
かいちゃんも実家行ったり隙が
あったから、こんな騒ぎになったんじゃ
ない。」

この言葉は生涯忘れることはない。

実家は高速で二時間かからない。月に
一度、3日ほど泊まり実親にはーくんの
成長をみせていた。幼稚園に入るまで、と
私の中ではこれでいいと思っていた。

まあくんが不倫したのはわたしのせい…

No.7 13/03/02 00:20
かいき ( ♀ aXoQnb )

旦那がベソをかきながら戻ってきた。
通話は切れていた。

「明日、会社にあっちの旦那が
くるって。その後、警察にいくって…」

姑は笑い、
「大の大人がしたこと。未成年を
連れ込んだんじゃないから警察なんて
相手にも
されない。会社はパパに任せなさい。
んもー、大丈夫よ!」

うちの旦那は舅のコネで今の職に就いた。
舅は会社からの信頼が厚く、お得意様を
担当している。

なにひとつまあくんが動かなくても
解決の手段が用意される。

私はただ虚しいだけだった。

私がここに嫁いで、義両親にたてついた
ことなど一度もなかった。義祖母(舅母)の
お見舞いも忙しい旦那に代わり、週二回
行った。舅は一人で見舞うのを嫌がった
から、ターゲットになっていた。姑、義妹は
忙しいのを口実に見舞いは少なめだった。

もちろん義祖母が元気なころは優しくて。
初ひ孫のはーくんはもちろん、孫嫁の
私までとてもかわいがってくれた。だから
お見舞いが嫌だったわけではない。

義祖母、舅、旦那のために見舞いに来た
知らない親戚に頭を下げ続けた。二歳児を
見ながらなので重労働とストレスを感じた。

どうしてアタシはここまでやらなきゃ
いけないんだろう。姑だって仕事の帰りに
でも病院来ればいいのに。

旦那のため……と思うしかなかった。
ただ、その頃の旦那の脳内には危篤の
祖母もかわいい息子も存在しなかった。
もちろん、わたしは淫乱の嫁という役を
する人形だったのだ。

虚しい、という言葉が適当だった。

No.8 13/03/02 01:00
かいき ( ♀ aXoQnb )

もう無理だ。一秒だってここには
いたくない!
「明日、私とはーくんは実家に帰り
ます。」

旦那より早く姑が反応した。

「そんな事言わないで…ね?仕事は大丈夫
だし。」

わたしは今までにない鋭い目線で
「だって、私達、別れ話が出てたん
でしょ?アタシは初耳だけど。それに
まあくんにはお似合いの女がいるわけ
だし。」

ガックリしたまま動かないまあくん。
小声で

「いやだ……オレはあの女に騙されたんだ。
……いやだ………いやだ………。でもかいきが
そうしたいなら、オレは止める権利が
ない…………」

姑は
「何言ってるの!わたしは許しませんよ」

姑が許そうがなんだろうが関係ない。
明日の朝の状況をみてから田舎に帰ろう。
朝一で母に電話しなきゃ…。なんて
言おう、こんなこと……。

まだ姑が何か言いたそうだったが深夜に
なってしまっていたのではーくんの
寝ている横で寝転んだ。

旦那は舅に説明に行ったきり朝まで戻らなかった。途中、舅のどなり声が聞こえた。


☆今日はこの辺で失礼します。

No.9 13/03/02 15:22
かいき ( ♀ aXoQnb )

最悪の夜が明けた。
朝六時半。田舎の母は早起きなので
起きてるだろう。番号を押す。

「もしもし、……お母さん……」

私がこんな朝早く電話なんて。
ただ事ではない、と思ったのだろう。

「なに??どうしたの!?はーくんが
死んだの!?」

なんでやねん。

母はびっくりすると意味不明なことを
言う。母がボケ、私は突っ込みだ。
私は吹き出してしまった。

「あはははは。んもー、なんで
そーなるの?はーくん、元気だよ!
それより……お父さん、起きてる?」

私の実家では子供に関する大事な話は
父から先に聞いてもらう習慣がある。
母は察して電話を変わってくれた……。

「何かあったのか?」

頼もしい父。典型的な昭和の父。厳しくて
怖くて。でも優しく明るく正義感のある人。

声を聞いた瞬間、
「お父さん~…………」

子供のように泣き崩れてしまつた。

No.10 13/03/02 15:52
かいき ( ♀ aXoQnb )

この時の父の心配はどれほどだった
だろう。それでも急かさず、うんうんと
話をきいてくれた。

仕事のこと、はーくんのこと。
そして義祖母のこと。義祖母はこの
一週間で反応が鈍くなって来ていた。
舅はたびたび病院へ駆けつけ、また安定し
帰宅という生活をしていた。

父は
「事情はわかった。今から新幹線で
そっちに行くから早く荷物を
まとめなさい。」

心配性の父、二歳の子供と私の高速
二時間は禁止だった(笑。

ただ、まあくんの職場と警察沙汰の結果を
確かめてからでも遅くない。

「ありがとう。安心した。その位
我慢しろーって言われると思って
たんだ。……大丈夫、昼にまた連絡する。」

もう一度、大丈夫?と確認され、電話
を切った。

「……良かった……」

逃げ場所の確保ができて本当に良かった。


まあくんが隣にきた。

No.11 13/03/02 18:01
かいき ( ♀ aXoQnb )

「……田舎に帰るんだね。」
多分、舅に叩かれたのだろう。
まあくんの頬が赤く腫れていた。

「仕方ないでしょう?それより仕事、
今日行くの?」

「少ししたら上司に連絡入れて……
指示待ちする。」

「そっか……。」

舅の根回しも時間がかかるだろう。
社会人としては情けないが、私が言える
立場ではない。そこの給料で生活して
いるから。

No.12 13/03/03 07:30
かいき ( ♀ aXoQnb )

朝御飯を無言で食べた。
寝ていないので、ほとんど食べずに
終わる。はーくんは教育テレビの時間だ。
まあくんのケータイが鳴る。上司だ。

「定刻出社で」
ま、当たり前だな。

まあくんがはーくんを抱き締めながら
言った。

「パパはちょっと悪いことをしてママと
はーくんとは一緒にいてはいけなく
なったんだ。少しの間、田舎の
じーちゃんばーちゃんと暮らすんだよ。」

はーくんは不思議そうな顔をしたが
「はい。」
と答えた。

いつものスーツを着ていつも通りの時間に
家を出る。
しかし、気分は今生の別れの様だ。

「……ごめん……、かいき、はーくん。
本当にごめん…」

私は目を合わさず軽く手を振った。



さて、とにかく荷造りをしなくては。
頭のなかを昨夜のことがぐるぐる回る。

「絶対に許さねーからな!!!」

あちらの旦那は何故その言葉を私に
言うのだろう。旦那のケータイにも
しばらく脅しのようなメールが連続して
入った。

頭に血の登った人間が何をするか
わからない。
昨今なニュースで最悪のケースが容易に
想像できた。

「ここはやっぱり危ないかも………」

心配性は親譲り。考えすぎ!なくらいだと
思うがこの時の私ははーくんと自分を
守るのが大事。

「ようちゃんのところに遊びに行こう。」

ようちゃんは都会に来て初めてできた
ママ友だ。
嫁いで、すぐ勤めはじめ、同時期に妊娠、
いろんなことを話すうちに友達になれた。
面倒見のいいようちゃん、彼女に
会いたかった。

連絡をとると即OK してくれた。
荷物の用意だけ済ませ、彼女の家へ
向かった。

No.13 13/03/03 08:07
かいき ( ♀ aXoQnb )

車で15分、ようちゃんの家へ着いた。

玄関を開けるとようちゃんの息子、
ひーくんが歓迎してくれた。
はーくんはひーくんとリビングへ走って
行った。

コーヒーの匂い。私の心が少しだけ
温かくなった。

ようちゃんはブラック、私は砂糖2の
牛乳割。私の好みもインプット済み
らしい。
コーヒーだけでも私は甘ちゃんだ。

たどたどしく昨夜の話をした。

「そんなこんなで…しばらく実家の
世話になるしかなくて…」

うーん、と二人で唸った。
ようちゃんは言った。

「……あのね、かいちゃん。厳しいことを
いうようだけど、もう少し話し合いが
必要なんじゃないかな。確かに理不尽で
許せない。っつーか、気持ち悪くて
一緒にいたくないのもわかる。でも
正直……シングルは甘くないよ?」

私の性格をわかってのことだろう。
即離婚したからといって、私が大変になる
だけだ。

「相手も攻撃ばっかりであまり賢く
なさそうね。警察なんて行っても恥かく
だけだよ!んなので逮捕されてたら
ホテル入る客、端から捕まえなきゃ。
無理矢理引きずって行ったら止められる」

姑も言ってたが納得だ。

「相手が騒ぐだけ墓穴を掘るよ。弁護士
だって相手にしないよ。今の時点で何も
してないかいちゃんが一番強いからね。」

不倫の二人は加害者、相手旦那はご丁寧に
メールで脅迫。

冷静なようちゃんは神に見えた。

No.14 13/03/03 14:31
かいき ( ♀ aXoQnb )

「まあ、でも怖いのもわかるわ。
法テラスで対処だけでも聞いてみる?
相談だけならただだよね?」

ようちゃんは少しでも私を落ち着かせ
ようと提案してくれた。
私はかけてみた。

まず、電話で一度だけのやりとりでは
脅しとはいえない、ということ。
何度もなら証拠、録音は必須とのこと
だった。明らかな犯罪行為があれば
力になります、とのことだった。

ようちゃんの薦めでその場で録音機を
通販で注文した(笑)。SD カードタイプ。
まー、便利な世の中です。

かなり緊張もほぐれ、子供たちと遊んだ。

しかし、すぐに闇に突き落とされることに
なる。

No.15 13/03/03 18:49
かいき ( ♀ aXoQnb )

楽しく過ごした一時。お茶のお代わりを
頂いたときだった。

♪~

ケータイがなる。

まあくん?違う。姑だ。

ようちゃんは頷き、子供たちと距離を
とってくれた。

「かいちゃん、お義母さんが
亡くなった!……どこにいるの~。
帰ってきて、お願い……」

義祖母が亡くなった。


『ひ孫をみせてくれて、ありがとう。
ここまで生きててこんなに嬉しいことが
あるなんてね』

おばあちゃん……

No.16 13/03/03 23:32
かいき ( ♀ aXoQnb )

義祖母の病院までようちゃんの家から
20分。脳梗塞で一年以上も寝たきりだ。
時々目を覚ましても話せない。表情も
ない。

しかし、女の本能だろうか、子供の声には
良く反応した。医師はもう何も判らない、
と言っていたが、はーくんが来ると目が
良く動いた。まるではーくんを
追いかけるかのように。本当はわかって
くれてたんじゃないか……

病院に到着した。病室近くのソファーで
義祖父が座っていた。丸く小さい背中を
はーくんがトントンと叩く。

目は腫れていたが、覚悟していたのだろう。

「よく来たなぁ。ありがとなぁ。」

はーくんを抱き上げた。病室には
舅姑義妹。
舅は義祖母の温もりがなくなるまで背中に
手を当てていた。

義祖母と対面したとき、ここ何週間とは
全く違うことに気が付いた。……小さい。
むくみが取れてほっそりしていた。
だが表情はおだやかで少し神々しい感じ
さえした。

髪を撫でて私は自然と
「……おばあちゃん、ごめんね」

何に対してのごめんかわからない。
でも人生の終わりにこんな心配事を残して
旅立つのは悲しいだろう。

きっとまあくんにアタシとの時間を
強制的に取らせたかったのかもしれない。

ずるいなぁ、おばあちゃん。
方法が究極すぎて本当に泣けた。

No.17 13/03/04 00:05
かいき ( ♀ aXoQnb )

まあくんが病室に着いた。駅から走って
来たのだろう。スーツもカバンも大変な
有り様だった。

舅は席を立ち、まあくんの頭をぽん、と
叩いた。そのまま姑たちは外に出た。

義祖母とまあくんと私だけになった。
義祖母の横にまあくんは立った。


長い沈黙に感じた。



「……オレは……バカだ…………」

そして泣き出した。

心の中で
『うん、大バカ。』
と思うほかなかった。はーくんが私を
呼んだので、部屋を後にした。

こんな時は好きなだけ泣くのがいい。



☆今日は手が空いた時更新でした。
明日は夜更新になりそうです。花粉の
辛い時期です。マスクをお忘れなく。
お休みなさいませ。

No.18 13/03/05 06:07
かいき ( ♀ aXoQnb )

義祖父祖母はうちから車で10分ほどの
ところに住んでいる。
義祖母とお坊さんを迎えるために掃除を
しなければ。都会でも多少女手が必要だ。

と言っても私は孫嫁。玄関だけ綺麗にし、
あとは子守だ。

はーくんが昼寝というか夕方寝を始めて
しまったので祖父のベッドを借りた。

舅が
「もう準備できたからかいちゃんも
少し休みなさい。夕飯は出前をとるから」

確かにものすごく頭が
痛かった。
眠い気持ちはあるけれど、全員気をつかう
相手なので起きていなければ…
と思っていた。

しかしはーくんがベッドから落ちたら
危ない。私ははーくんの隣で横になった。


実家には連絡した。
父はきちんと手伝いなさい。と言って
くれた。でも心配は尽きないだろう。

ベッドの上でいろいろ考える。

目まぐるしくて。

すべて夢かも、と思うくらい。



薄暗くなった部屋で泣いているうちに
眠ってしまった。

No.19 13/03/06 14:05
かいき ( ♀ aXoQnb )

都会の火葬場とは本当にエラいところに
あるものだ。ビルの間をすり抜けた
住宅街の真ん中にある。

滞りなく葬儀は終わり、喪服を脱いだ。
明日は田舎に戻ることになった。

荷物をまとめ直す。

「こんなことになったけど、考える時間が
できて良かったわね。」

KY な姑の発言を覚えている。
私が両親に下手に知恵をつけられるのが
気に入らなかったのだろう。
何としても孫を渡したくない、という
オーラがあった。でも私は実家に帰る
決意は変わらなかった。

「帰ってきてくれるわよね?」

「少し落ち着きたいので……」

「なんてご挨拶すればいいのかしら?
どうしたらいいの…?ねぇ、かいちゃん、
かいちゃん。」

気分的にははり倒したいが、そんな訳にも
行かず。

「(言い訳したいなら)手紙でいいんじゃ
ないですか?」

必死に文面を考える姑の横にはオロオロ
するだけの旦那。

葬式で連休をまとめてとり、両親が迎えに
くる日はどうしても出勤しなくては
いけないらしい。旦那もだ。

「次の休みに皆で田舎にご挨拶に
いくわ。」

どこまでも姑中心だ。
いい加減、イラついたので

「私はまあくん一人できてほしいです。」

だってまあくんがやったことなのに。
まあくんの目が泳ぐ。父が怖いのだろう。

「だめよ!絶対だめ!!」
「オレにそんな権利、ないから……」
↑まあくんはこの『権利』という言葉を
困るとよく使う。自分が逃げたいだけ
なのに。

『まあ、どうでもいいや。』

早くこの人たちから解放されたかった。

No.20 13/03/06 15:51
かいき ( ♀ aXoQnb )

相手の女のほうはというと、

あの夜が明けて八時には仕事場に
乗り込んで来たらしい。多分、旦那のみ。
朝は配送の人しかいないため、わけが
わからなかったらしいが、一番偉い方が
対応してくれたらしい。
どんな教育をしているのか、会社として
責任を取れ、とのことだった。
若干お金か?と疑惑になった。

その後、メールのやりとりを印刷し、
直属の上司が彼女の家まで行ってくれた。
内容を見せて、会社とは関わりのない
事案だったことで二度と会社に来ないで
ほしい、と伝えた。

彼女は派遣だったし、産休に入り、その後
やめたらしい。義父の根回しがあったの
かもしれないが、私の知ったことでは
ない。

うちの旦那も左遷になった。クビに
ならないのが不思議だ。
三年間、片道二時間の子会社へ
飛ばされた。

警察には奥さん連れで行ったらしいが
案の定相手にされず、知り合いの弁護士
とやらも存在していたのか不明。

未だ裁判に呼ばれる様子もない。

うちの旦那には高めな服をねだった
らしく、何枚か新しい服をそとで
燃やされた、との噂だった。


私はしま○らの服を買うのも値札と
にらめっこだったのに…………

No.21 13/03/06 23:14
かいき ( ♀ aXoQnb )

身支度が済み、姑からの手紙を預かった。
旦那も

「来月のかいきの誕生日には御祝い
したいから…許してもらえるように
頑張るから…。」

もう帰ってきたときのことを考えている。
自分が許される、というのが前提なのだ。
もう少し現実をみて、とだけ伝えた。
旦那たちは仕事に行った。

少し経って母が到着した。
はーくんが嬉しそうに抱きつく。私も
抱きつきたい気分だ。姑の手紙に目を
通す。無言でバッグにしまい家を後にした。
高速道路では二時間の間にいろいろな、
はなしをした。

No.22 13/03/07 22:00
かいき ( ♀ aXoQnb )

「だって、あの時だって大騒ぎで、
アタシたちは生きた心地がしな
かったよ。そこにきてこの騒ぎでしょ…」

母は後部座席のはーくんの隣でため息
混じりに呟いた。

そう、今回の親族巻き込み大騒ぎは
二回目。

この時より三年ほど前………。旦那は
もう1つ社会に迷惑をかけ、親族をも
傷付けた事件を起こしていた。

No.23 13/03/08 06:09
かいき ( ♀ aXoQnb )

私とまあくんは学生時代のバイトが
きっかけで知り合った。お付き合いは
七年ほど。その間、六年経った頃、
私はこっぴどくフラれた。
他に好きな子ができた。
パチンコが好きな子だった。
結果、3ヶ月しか続かず別れ、借金だけ
残ったという(笑)。
姑は
「かいちゃんがマトモだったのに…」
とぼやいたらしい。

私はというと、1ヶ月ほど落ち込んだが
2ヶ月で立ち上がり仕事に精を出した。
ボーナスも入り、当時最新のHDD ナビを
愛車に付けた。

パチンコ女と比較し、私とやり直したく
なったのか、学生時代の友達とともに
呼ばれた。

実はこの時に軽くお見合い話が出始めて
いた。親戚先の4つ年上。優しく、
思いやりがあるとのことだったが、結局
会うこともないままお断りした。

結局、やり直すことになるのだが、
パチンコ女からバレンタインのチョコを
もらったことが判明。

人生の決断を間違えたと完全にキレた
私は自作のチョコケーキを投げ、
田舎に帰る!とおお泣き。
そこでプロポーズとなり、その場で
義親に報告。

そこからトントン拍子に話が進み、
いよいよ入籍、あと3ヶ月で結婚式と
なったとき、またまた予想外な事件が
起きる。

No.24 13/03/08 21:40
かいき ( ♀ aXoQnb )

田舎の仕事を寿退社し、数日、実家で
親子水入らずで過ごした。
ウェルカムボートや、ティアラを作って
結婚するんだ、と実感した。

当時、まあくんは全国展開のチェーン店で
働いていたため、300キロも離れた
ところにいた。遠距離だったので準備は
ほぼ私ひとり。私の友達も協力してくれ
なんとか手作り関係は準備ができた。

そしていよいよ300キロさきのまあくんの
元へいく日が来た。

父も母も涙ぐんで見送ってくれた。
心配性の両親、高速の休憩ごとに無事の連絡を入れた。

長い長い運転。全く苦にならない。
ナビが道を教えてくれる。好きな歌を
聴きながら新たな土地にワクワクした。

そしてまあくんの部屋へ到着した。
まあくんもその時、県内移動があり
引っ越ししたばかりだ。部屋には
段ボールが積まれていた。

「ま、しょうがないね。アタシの荷物も
あるし、明日からゆっくり片付けようか」

「……そうだね。でも、まだ開けないで。」

「?でも早く生活できるようにしないと。」

まあくんの様子がおかしい。

「ちょっと会社でトラブルがあってね。
俺だけが悪いんじゃないんだけど……」

「ふ~ん。ま、仕事してるとそういう事
もあるよね。まぁ、何とかなるもん
だよ。」

トラブルなんてよくあること。
社会なんてそんなもの、と思っていた。

No.25 13/03/08 23:03
かいき ( ♀ aXoQnb )

翌朝、まあくんは仕事に行った。

「……さて。」

仕事は山ほどある。朝御飯の洗い物をし
洗濯物、風呂場掃除をして一息。
そして自分の服をクローゼットにしまい
始めたときだった。

ガチャ。

玄関が開き、まあくんが帰ってきた。
まだ午前中、仕事中のはずだ。

「どおしたの……?」

青い顔のまあくんに問い掛けた。

するとその場で土下座をし、私に

「ごめん!かいき、オレは逮捕される
かもしれない!」

はああ???

「会社の金に手を付けたんだ…………」

新婚一日目のことだった。
私は目の前が真っ暗になった。

No.26 13/03/08 23:30
かいき ( ♀ aXoQnb )

懲戒解雇。

被害額数十万円。

部屋は会社が借りているものなので
今日中に明け渡すこと。
追って裁判になる、とのことだった。

うずくまって動かないまあくん。
私もしばらく動けずにいた。

この時点でもう籍を入れていたのだ。

私が聞くより早く姑の耳に入っていた。
電話が掛かってくる。

「とにかく二人で荷物まとめてこっちに
戻りなさい。」

引っ越し業者は今日の今日はむり。
とにかく持てるものは二人の車二台に
詰め込んだ。

部屋の鍵を預かりに中年の女性が現れた。
部屋をチェックしたあと、遠目にみてた
私に気が付いたのだろう。私は深々と
頭を下げた。彼女は憐れむように私を
みる。

『あぁ、現実なんだ』

まあくんは脱け殻のようになり、運転が
心配だった。とにかく事故でも起こ
されたら堪らない。

今回は300キロないくらい。しかし、雨で
視界が悪く、ゆっくり走るしかない。

「………実家に帰りたくない、もう
死んでも構わない……」

ぐずぐずいうまあくんを励まし、尻を
叩きながらなんとか夜中に義親宅へ
到着した。

般若のような舅が出迎える。

私はお風呂のあと客間の布団で昼まで
眠った。
あのまま見捨てて田舎に帰ってたら
まあくんは自殺めいたことをしたに
違いない。ただ、絶対死なない方法を
使うだろうけど。

生かして帰る。私の使命だった。

No.27 13/03/10 11:51
かいき ( ♀ aXoQnb )

翌日、実家の親に事の次第を話した。
旦那実家は一部屋空いているのでそこに
同居するか?という話が出た。
私は一度実家に帰りたかったので
丁重に断った。

冗談じゃない。

小姑つきでいきなり同居、しかも無職。

離婚したくて逃げたくて。

しかし、田舎に帰っても私の仕事は
もうない。

しかもバツイチになるのか。
今まで、何のためにやってきたのか。
全て全て無駄になった。

こいつのせいで私の人生は
どん底だ。

どうしたらいいのかわからない。

帰りたい、帰りたい。

とにかくこの家から早く出ないと
逃げないと………。

旦那を好きという気持ちはまだあったのか
わからない。

No.28 13/03/10 13:23
かいき ( ♀ aXoQnb )

そして逃げるように田舎に帰った。

一昨日、涙で送り出した娘がボロボロに
なって帰ってきた。

どんな気持ちで………

「寿命が縮んだわ。」

そうだね、寝られなかったもんね。

怒りは計り知れない。

でも私の好物を並べ、食べろ、とにかく
食べろと薦めた。

この辺りのことはやっぱり記憶が抜け
落ちている。泣いて過ごしたのだろうが
覚えていない。

まあくんが義両親を連れて来たのを
覚えている。

「会社へのお金も返した。一から
やり直す。だから結婚はしてほしい。」
「うちでやっているマンションの一室が
空いたからそこで暮らせばいい。
同居じゃないんだから。」
「しばらく生活費はみてあげるから。」
「裁判にはならない。不起訴になる。
弁護士も腕のある人だ。」
「二度とこんなことは起こさせない。」

だから…………

父はどうするんだ?と私にきいた。

私の頭のなかは
籍のこと、招待状を出してしまっている
こと。家族、特に兄夫婦のことを
考えていた。

田舎はこういったことの噂は広まり
やすい。

私はどうするべきなのか……。

重圧に潰された。

「わかりました。そちらへ行きます。」

笑顔のない返事に一同静まり返った。

No.29 13/03/10 15:23
かいき ( ♀ aXoQnb )

だって、バツイチになって、新しい仕事
探すの?親戚、地域の人、みーんなに
知られて。あの娘は結婚して数日で
出戻ってきたんだって。
いずれ実家に住む兄夫婦に邪魔者扱い
されて?
仕事だって特殊な資格は持っていない。
貯金は少しだけ。
そんな度胸、私にはない。
ここにいたらだめ。
私はまあくんを愛していた。そう、だから
結婚したかった。そうよ、ここで
戻ったらいけない!

目先の問題のほうがグルグルまわり、
先々のことは考えられなかった。
母はこのとき、この結婚はだめよ、とまで
言ってたのに。私はでもでもだって
といって結婚しなくてはいけない、と
信じてやまなかった。冷静な判断に
欠けていた。

そして、このまま結婚式をすることに
なったのだ。あくまで私のための。

本当にこのとき、わたしもまあくんも
結婚したかったんだろうか。

No.30 13/03/10 16:41
かいき ( ♀ aXoQnb )

結婚式当日。

私の親戚、友達、元職場の社長、支店長、
株主。
旦那の親族、友達。職場の人間は当然
一人もいない。その代わり舅の旧友が
席を埋めていた。

ドレスを着て、メイクをしてもらう。
準備が終わり、まあくんが控え室に来た。

「どうせ、似合わないっていうんでしょ」
「……今日はそういう事は言わない。
キレイだよ。」

ぶっと吹き出してしまう。

「やっと笑った。」

花嫁が笑わない。そりゃまずい。

「本当に幸せにするから…」


ライトが私たちに当たる。
旦那の友達からは
「奥さん、しっかりしてそう……」

頼りないまあくんと背筋を伸ばし決意に
満ちた目をした私。
無駄に目力をアップさせてしまった。

両親への花束贈呈のとき、私の両親は
号泣、義両親は満足の笑みだった。

私はこの人たちと生きる道を選んだ。
後悔しない結婚はないんだよ、と
恩師は言った。名言だ、と思った。

No.31 13/03/10 17:22
かいき ( ♀ aXoQnb )

それから三年が経つ。

喉元すぎれば熱さを忘れ、今回の不倫
騒動が起こる。

結局、あれだけのことをしても私を
大事にしてくれることはなかった。

女性のメールも複数。私は再三に渡り、
注意してきた。トラブルが増える、私は
いやだ、いい事ないと。受信トレイに
入るとわたしに見られると思った
のだろう。auoneメールから受信トレイに
入らないように小細工をしていた。
だから私は気が付かなかった。

まさか女からバレるとは思わなかった
のだろう。

またも私はまあくんに地獄へ落とされた。

当時の話をしているうちに田舎に
到着した。

父が玄関から出てくるとはーくんを
抱き上げる。

「早く上がりなさい。」

あの時と同じ。私の好物を並べ、
とにかく食べて元気つけなさい、と
言ってくれた。

今度こそ離婚かな………。
必然的だったのか。本当にこの結婚は
大間違いだったのか。

私は最愛のひとに人生を踏みにじられて
いたのか。

No.32 13/03/10 19:40
かいき ( ♀ aXoQnb )

少し余談に入ります。

3.11のことを少しお話しようと思います。

まあくんは私と付き合いだして三年後、
陸前高田市へと転勤しました。
私も月に一度程度お邪魔してました。
まだ、震災の起こる前。
あそこはほんっとに田舎で。電車は二時間に一本。ドラゴンレールなんて
かっこいい名前がついてたけど一関まで
二時間かかりました。

私の田舎も相当ですが、本当に
のどかな場所でした。
まあくんが仕事中、私は一人高田松原の
海岸を散歩しました。海水浴もできる
ようになってたかな。美しい場所です。
そこには美しい景色に似合わない
コンクリートと鋼鉄でてきた壁が
ありました。防波堤です。
正確な高さは覚えてませんが、5mくらい
あったと思います。

あの防波堤を余裕で越えた津波。
マイヤ、しまむら、キャピタルホテル、
道の駅。テレビでキャピタルホテルだけが
残っているのをみたとき、まあくんは
泣きました。
まだ名前を覚えるひともどうなったのか。
市長さんも先ほどテレビに出て
いらっしゃいましたね。彼の本に当時の
ことが書いてあるので興味のある方は
図書館などで読んでみて下さい。


もう二年、まだ二年。まだ現地には
伺えず、申し訳ないというか情けないと
いうか……。はーくんに見せるのは早い
かもしれない。でも地震のことをおぼ
えていてほしい。

道の駅のおばちゃん、ホヤをみせて
くれた。初めてみたからぶっちゃけ
気持ち悪かったよー。 でもおばちゃんの
笑顔が忘れられないよ。

募金くらいしかできないけれど、必ず
そちらへ手を合わせに行きます。

No.33 13/03/12 23:32
かいき ( ♀ aXoQnb )

田舎に帰ってきて、旧友にゆっくり
会えた。ようちゃん繋がりで仲良く
なった友達とも会えた。皆、年単位で
会ってない友達ばかりで嬉しかった。

友人と会うことで、寂しさを紛らわせて
いたのかもしれない。
ショックでまあくんのことを少しでも
考えたくなかった。

まあくんから毎日メールがくる。
「愛してる」
「早く帰ってきて」
「寂しい」
「悪かったよ。反省してるから」

まっっっったく心に響かなかった。
送る相手間違えてるんじゃない?くらいの
ことを考えていた。

一度、突き離したかったが、姑が
しゃしゃり出てきた。

「まあくんがショック受けて大変なの。
別れるとか言わないで、ね??」

うるせーーーーーーーーー!!!!
すっこんでろー!
なんて言いません。無視はしたけど。

それから数日して義家が実家に来ることに
なった。
私の希望はまあくん一人の謝罪だった。
希望かなわず、だったので、こちらも
考えた。

父に
「今回、かいきとはーくんは同席するな」

私は
「え?どうして?」
私とまあくんが話し合わなくて
どうするの?

「はーくんには見せるわけには
いかないし、まあくんが一人で
来れない以上、かいきがいる必要は
ないからな。」

父も言いたいことがあるのだろう。
私は近所のショッピングモールへ
行くことにした。

母は意地でわたしとはーくんの気配を
消した。写真ですら会わせたくないの
だろう。荷物もおもちゃも全部奥へ
しまった。

母としてはもう別れて一緒に暮らそう、
と喉まで来てたと思う。

No.34 13/03/13 12:26
かいき ( ♀ aXoQnb )

……そろそろまあくんたちが実家に
つく頃。私とはーくんは少し離れた
ショッピングモールのプラレール
売り場の模型の前にいた。

はーくんは大喜びで電車で遊ぶ。
買い物があるわけではないので、
ブラブラするしかない。

はーくんを見ながらようちゃんに
電話をかけた。

私は
「今頃、何を話してるだろーねー。」
「皆、一応大人だから修羅場はない
でしょ。」
「約一名、未成年みたいなおっさんは
いるけど(笑)」
「あ、保護者つきのね。」
和ませてくれるようちゃんの優しさが
嬉しかった。

地元の友達はまだ独身が多く、こういった
既婚の悩みは相談しずらかった。

電話を切ってしばらくすると母から
終わったと連絡がはいった。

No.35 13/03/13 23:45
かいき ( ♀ aXoQnb )

帰ると父は畑へ出掛けていた。
母だけがお茶を飲みながら座っていた。

「……どうだった?」

母の話では……
まず、皆で奥の客間に。
舅の謝罪から始まった。
そしてまあくんの謝罪。
「来月のかいきの誕生日には
都会の家で御祝いしたいです…」
と言ってしまい、姑に肘でど突かれて
いた。

まだ、そこまでに帰らすなんて
言ってないのに…。

そのあと、母と姑はリビングに出された。

父は姑がいると本気が出せないのだろう。
「相手の女性とは本気だったのか?」
まあくんは泣きながら
「……違います。」
「遊びの相手にかいきのことをこれだけ
傷つけたのか?!かいきの人権は
ないのか!?」
「…………」
「こんな扱いをするなら今すぐかいきを
ここに返してくれ!!かいきが
まあくんのところにいたら死んでしまう」
「……済みませんでした………」
「前の仕事の問題の時も、おばあちゃん
の時もかいきは随分尽くしてたはずだ。」


舅は
「はーくんもかいちゃんも私たちには
なくてはならない家族です。どうか
もう一度だけ…お願いいたします!」
涙を流し、懇願していた。
まあくんの頭を畳に擦りつけて……。

まあくんはこのときの父ほど人に
怒られたことがないらしい。

さて、リビングでは実母の不満が
大爆発していた。
「私たち、実の親としか暮らしたことが
ない同士ですね。かいきの気持ちに
鈍感すぎたかもしれないわ。」
そう、この二人は両方マスオさん取で
同居嫁ではないのだ。
姑は
「……そうですね……、かわいそうな
ことばかりで申し訳ないです。」
と私を気遣う素振りをした。
母は
「本当、親としても見ていて
かわいそう。結婚の時といい、また
こんなことが起きたらどーして
くれるんですかね??」
「…………」
姑はうつむくしかない。

そして最後にあとはかいきの決めること
である、として締められた。

次に来るときは必ず一人で、との約束を
した。

No.36 13/03/14 00:06
かいき ( ♀ aXoQnb )

母は
「今回のことでわかったでしょう。
そろそろ次の道を考えてもいいんじゃ
ない?」

母の言葉はありがたかった。
これ以上我慢しなくてもいい、よく
やったと。

離婚かぁ。

避けられなかったなぁ。

ようちゃんの声が響いた。
「話し合わないと。」

まあくん………、どうして私を大事に
してくれないの。
ずっと一緒だっていったのに。

愛してくれてると思ってたのに。

どうすればいい?

No.37 13/03/14 15:27
かいき ( ♀ aXoQnb )

シングルの道を選ぶか?
それとも、サレ妻人生で耐えるか?

女と借金は治らない病気。
いつまた問題が起きても不思議ではない。

また選ばなくてはならない。

今度ははーくんがいる。慎重に考え
なきゃいけない。

どうすればいい???


自分のなかでは答えは出ず。
苦しい、逃げたい、誰か助けて。

そして思い浮かんだ人がいた。

『仲谷さん』

大学時代、憧れの先輩。男の人だ。
結婚してから一度も連絡していない。
彼は確か高校時代から付き合った彼女と
出来婚し、去年離婚している。

私と彼は付き合ったことはないが、
お互い両思い?の時期はあった。
お互いかれかの持ちだったので、浮気
までは行かず、という関係だった。

ここで連絡をとったら負けだ…。
でも正直、アドバイスが欲しがった。
会う気はない。彼の地元は田舎からは
200キロだ。

二、三日悩んで、やっぱり経験者の
アドバイスが聞きたかった。
彼の声がききたい、という下心も
あったと思う。

まだ使っているかどうかもわからない
電話番号を押した。

No.38 13/03/14 21:02
かいき ( ♀ aXoQnb )

コール音は何故か『夏祭り』。

「かいき?」

懐かしい声が聞こえた。そうだよ、と
だけ答える。

「どうして……。」

掛かってきたのが余程びっくりしたの
だろう。そう、結婚した私からの連絡
なんて100%ない、と思っていたらしい。
くそ真面目。そんな面倒くさい女から
久々の電話。

「ちょっとききたいことがあって…。
迷惑だった?今、電話大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だけど。何か
あったのか?」

私は言葉に詰まった。何をこの人に
求めているのか。

「……何かあったんだな?とりあえず
話してみなよ。大丈夫だから。」

察して促してくれた。

整理しながら話すのになかなかまとめ
られない。それでも聞いてくれた。

「で、離婚かどうか迷ってるのか。」
「うん………」

「俺は助けてやれない。」
「わかってるよ!助けてなんて
言ってない!」
「そうやっていつも意地張ってるよな。
原因の一つなんじゃないか?意地で無理
してんの、旦那にバレてね?」
「っっ………」

「お前に足りないのは素直さだよ。
だから俺らも、だめだったんじゃん…」

「……。」

何も言えない。

「俺はお前の離婚には反対だ。」
「なんで?」
「お前には無理だ。」
「ーーーー!」

図星だ。免許と簿記だけではーくんを
育てられる自信がない。

「俺は離婚したからわかるんだよ。
俺も嫁も息子も今じゃバラバラだ…。
お前にこんなの味わってほしくない。
離婚は避けろ。」

No.39 13/03/15 23:33
かいき ( ♀ aXoQnb )

「じゃあ、この気持ちはどう
すればいいの!?まあくんも女も
憎くて!二人でどっか行ってくれたら
良かったのに!アタシだけずっと
ずっと苦しまなきゃいけないの?
私、そんな悪いことしてないのに?
どうしてよ!!」

吐き出す私はとても情けなくて醜く
感じた。彼は

「そのまま気持ちを伝えてやれよ。
包み隠さず。責任感じれば受け止める
しかないだろ。黙ってるから大丈夫と
勘違いする。男にはそう見えるんだよ。


そんなこと、まあくんにできるの
だろうか。私は性格上、チクチク言う
タイプだ。それに合わせてくれるくらいの
責任はとってほしい。

「あと、お前は同居みたいなものだから
隙を見せるな。こうやって俺みたいのに
連絡とるのも、向こうからみれば
隙だぞ。」

たしかに電話で話しただけでほらお前も
だろ!って言われるのはイヤだ。

「……そうだね。迷惑だよね。ごめん、
もう切るよ。」

「待って。」

「…………何よ、もう掛けないから
安心して。」

「聞けよ。」

「…………なに」


長い沈黙。

「お前が変わってなくて正直、嬉し
かった。もう俺は誰からも必要とされ
ないと思ってたから………。俺も声が
聞けて嬉しかったんだ。頼ってくれて。」

「うん…」

「ありがとう。強く生きてその家の
天下を取れよ。恩を売ってでも。
お前の幸せが俺も嬉しいんだから。」

「……うん、なんかお父さんみたいだね。」

笑った。
「そうだな。愛の深さは子供並みかも。」

男女の仲が、いつの間にか親子並みに
された。

「突き放すのも愛だからな。……履歴
消しとけよ。」

「面倒はごめん、だよね。了解。」

「じゃな、頑張れよ。」


下心は見事に散ったけど、なんか
スッキリした。

「よし。」

履歴を消したケータイを投げ、大きく
息を吐いた。

『天下ね……』

No.40 13/03/16 21:23
かいき ( ♀ aXoQnb )

そして、久々まあくんに会う日がきた。
私は背中まであった髪の毛をバッサリ
切り、決意した。

私はまあくんの目をみる。
睨んでたのかもしれない。

「許す気持ちはありません。それでも
私に帰ってきてくれって言えるなら
やり直しましょう。」

テーブルの隅で居心地悪そうに
頷いた。

「どうしたの?居心地悪い?そうだよね、
私も都会にいるときは毎日そうだから。
まあくんがやったことでもあたしが
悪いとか舅姑に言われて。
本当は毎日顔みるの辛かったんだよ。」

「………」

「お義祖父ちゃんの家の掃除とかも
どうして孫嫁の私なの?姑も叔母さんも
いるのに。皆やりたくないから
逆らわない私にやらせたかったん
でしょ。その時、まあくんは何して
たの?庇ってくれなかったよね。
困るって意思表示してたのに。」

「………ごめん………」

「ずっとずっと我慢してたの。
嫁だから、まあくんの為だからって。
こんな無駄なことを続ける意味ないって
思い知らされたよ。あんな風に
汚い女扱いされれば、ね。」

「…………」

「もう、私ははーくんしか家族と
思いません。姑の言うことも
ききません。それでもやり直す?」

「………帰ってきてくれるなら……」

まあくんはうずくまるように頭を下げた。

黙って聞いていた父が口を開いた。

「娘の嫁ぎ先の家庭事情まで口を
挟みたくないが、お義祖父さんの面倒を
かいきに頼るのはやめてほしい。」

「はい……」

「かいきも我を通すことだけに拘らず
皆で明るく暮らすことを考えなさい。
はーくんの為なんだからね。」

「はい…」

「この間も言ったが、二度とこんな
ひどいことは起こさない様に。」

母は唇を咬んで泣くのをこらえていた。

そして私は次の週末、都会に帰ることに
なった。

No.41 13/03/17 08:34
かいき ( ♀ aXoQnb )

その一週間は穏やかに過ごした。
サファリに行ったりショッピングモールに
行ったり。
三キロほど落ちた体重も戻った。

ようちゃんに戻る日を伝えると
喜んでくれた。次に会う日もすぐ決まった。

大丈夫。やられてばかりの私はもう
いない。

まあくんが迎えにきた。

「ご心配をおかけしました。」

深々と頭を下げて車に乗った。
父は
「頑張るんだぞ。」
といい、はーくんを離さなかった母は
小声で
「いつでも帰ってきていいから!」
と言って笑った。父に軽く睨まれてた。

二時間、いろいろな話しをした。
まず、義実家は夜九時以降は息子宅に
入らないこと。
義祖父の面倒は叔母さんがメイン的に
お世話することになった。
(長男嫁の姑は何故かやらない)

相手女の結果もこの時に聞いた。

「本当にごめん……」

「だから謝っても許さないって言って
るでしょ。結婚生活が約三年だから
倍の六年かけて謝ってね!」

「うん…」

本当にその時、許せるかどうかわからない
けれど、目安的に六年経てば気持ちが
変わる気がした。

家に着いて義家族は帰ってきたことを
喜んだが、私は早く寝たかったので
さっさと自宅へ戻った。
誰も私に意見する人はいない。

「……ふん。」
自然と笑いが出た。

No.42 13/03/17 10:03
かいき ( ♀ aXoQnb )

ここからは義家よりもフラッシュバック
に苦しめられることになった。

昼間に思い出し、うずくまった。
はーくんが背中をさすってくれる。
これじゃだめだ、泣いてははーくんに
心配かける、と思っても体が言うことを
きかない。まあくんにも随分辛く
当たっていたと思う。抱き締め
られても、引っ掻き、暴言を吐く。

今までの膿を出すかのように
悪妻になった。いい嫁をやめたので
落差が激しかった。

それでも正気に戻るとはーくんを
抱き締めまあくんとは普通に話せる
ようになった。

姑はというと、相変わらずkyで。

「家庭が楽しくないからあんなことに
なるのよ。楽しくなるようにゲームでも
買いましょう。」

宇宙人がいるかと思った。
まあくんは同時の最新ゲーム機を買って
もらった。マジで意味不明。

そして私の誕生日、スパへ三人で行った。
いろいろな種類の温泉、プールに
はーくんも大喜び。私はウォーター
スライダーでギャアギャア叫び
まくった。まあくんも大笑いしていた。

この時が楽しすぎて私は大事なことに
気がついていなかった。

No.43 13/03/17 11:36
かいき ( ♀ aXoQnb )

スパから家に帰って来ると私は熱が
あった。はしゃぎすぎた……。
はーくんも疲れたのだろう。よく
寝てくれたため、私もよく休めた。

そして数日後、お義祖母さんの新盆の
話になり、カレンダーをみた。

…………あれ?

生理予定日を4日も過ぎてる………

………………………………………
………………………………………

げえーーーーーーーーーー!!?

自慢ではないが生理は早まることは
あっても遅れることはない体質だ。

まさかまさかまさか!!!!
そんなまさか!!!!!

No.44 13/03/17 15:58
かいき ( 30代 ♀ aXoQnb )

三日間待っても生理は来なかった。

はーくんが昼寝をしたので検査薬を
使う。

出た。

頭が真っ白になった。


どうしよう………。

アノオンナトオナジカラダニナッタ……


気持ち悪くなり、洗面所に向かうも
吐けず。あの女の声が聞こえるみたいに。

心が体の異変を拒絶しているよう
だった。

この時の私に受け入れることはまだ
出来なかった。まだ数ミリの子供に
対してこんな気持ちになるなんて。

母親としては失格だった。

あの女と同じ妊婦の体になんてなりたく
なかったんだ。

そのままはーくんの横で泣きながら
寝てしまった。

No.45 13/03/19 23:59
かいき ( 30代 ♀ aXoQnb )

数日後、産婦人科に予約をいれた。

まあくんに報告する。

「じゃあ、早く産婦人科に行って
調べてもらおう。検査薬で出ただけ
だろ?」

なんかあまりにしらけた返事をされた
気がする。最近の検査薬は99%の
精度だって知らなかったのか?

姑にはまだ知らせなかった。どうせ
気分悪くなることしか言わないから。

そして久々の産婦人科へ一人で向かう。
はーくんの時の初めての時は姑が
着いてきて異彩を放ってたなぁ。
すごく苦~い思い出。
二度と一緒に妊婦検診なんか受ける
もんか。

そんなことを思い出しているうちに
順番がきた。

「おめでとうございます。」

少々複雑な顔でつくり笑いをする。
慣れた様子で流れるように説明を
受ける。

「予定日は…四月●日ね。」

ありゃ、はーくんの入園式にドンピシャ
かい。


エコーで心音を確認する。

トクトクトクトクトクトク………

私は目をつぶり、この音に聞き入った。

私の中にいる、たった数ミリの
子供の心臓の音。

ざわついていた心が一気に静まり
返ったようだった。

No.46 13/03/20 16:23
かいき ( 30代 ♀ aXoQnb )

あぁ、本当に私のお腹に赤ちゃんが
いるんだ…。はーくんの時に感じた
気持ちと全く一緒だ。

ここでやっと自覚し、赤ちゃんに
愛情を感じた。

私が守ってあげなくちゃ。

病院を出てすぐまあくんに連絡した。

「良かった!帰ったらエコーみせてね。
つわり、きつければ寝てていいから。」

先生の診断でやっと信用したのだろう。
緊張のほぐれた声で喜んだ。

「あの……おかあさん(姑)には
言わないで。もう少し、落ち着いて
から……」
「そ、そうだよね。わかった。」

あれから私が姑を避けているのは
わかっていたのだ。

とにかく私にストレスになるものは
避けたかった。

そこからだろうか。

まあくんは今までになく、私を庇い
私を守るようになった。
前の妊娠でつわりは大変と覚えていた
みたいだ。

しかし、どんなに優しくされても
記憶が消えるわけではない。
つわりとフラッシュバックの
ダブルパンチに苦しみ続けることに
なった。

食べなきゃ、と思っても吐き気が襲って
来る。寝なきゃ、と思ってもあの女の
声が耳から離れない。

二週間後の検診で点滴と鉄剤を
受けるほど弱ってしまった。

No.47 13/03/20 17:33
かいき ( 30代 ♀ aXoQnb )

そんな妊婦生活だったので、あまり
いい思い出がない。

5ヶ月に入り、やっとつわりが一段落
ついた。

義家の親戚先で不幸があった。
私は妊婦だし、はーくんが騒いでは
迷惑なので留守番だ。

まあくんが仕事から帰ってきて
喪服に着替える。

私に上着を預け、急いで車に乗って
出発した。

上着から名刺入れが落ちる。
バラバラと紙やらガードやらが落ちる。
やれやれ、と拾うと一枚のカはードに
手止まった。

「………何これ…………」

消費者金融のカード………。

以前、これ系で借金して返せなくて
悪さして解雇されたのに。
また作っている。二度と作らない、と
私や義家に誓ったのに、3年ちょっとで
また…………。

しかもこれから子供が産まれるという
のに。

バカなんだろうか。

帰ってきたら許さない。

No.48 13/03/20 22:00
かいき ( 30代 ♀ aXoQnb )

まあくんが帰ってきた。

着替えて座ってもらう。
姑も同席してもらう。
このころにはケータイでカードの番号と
パスワードがあれば借入残高が
みれた。あっさりいくら借りているかが
わかった。一ヶ月だけだがどこで
使ったのか明細もあった。

24万円。

カードとケータイの画面を机に置く。

「これだけの額をこずかいで返して
行くつもり?」

まさかバレるとは。このフレーズは
何回目だ。
本当毎回詰めが甘い男だ。
個人情報とかあるだろうが、私や
義家族には、んなことよりまた借金!?
という気分だった。

いつもの通り、下を向き、だんまり
するまあくん。

姑もあの横領騒ぎを収束させる
ために大金をはたいた。二度と繰り
返さない、と誓った息子にたった
3年で裏切られて震えていた。

「払えますよ?でも他のものが
払えません。はーくんの入園費か
この子の出産費が足りません。
24万なんてまあくんのお給料からは
とてもとても。」

出産費は一時金が返ってくるが一度
払わなければならない。余分を
考えても80万円必要だ。
入社二年目のまあくんの給料で貯める
には相当頑張らなくては。
私自身の貯金もあったが存在自体秘密だ。
また何かあったときの逃走資金
として取ってあるものだから。

「どうするの?この子は諦めるのかな?」

下を向き、頭を降る。

「じゃあ、どうするの!!!
ふざけるのもいい加減にして!!」

声を荒らげた。

No.49 13/03/20 22:50
かいき ( 30代 ♀ aXoQnb )

姑がビクっとした。

「わ、私たちが一先ずどうにかするわ。
かいちゃんは身籠っているんだから、
落ち着いて、ね?」
「これが落ち着いていられますか??
どうせ女に使ったお金も含まれて
ますよ!そんな事で子供にまで不自由
させるだなんて!おかあさんも
すぐ肩代わりするから懲りないん
ですよ!甘やかしすぎなんですよ!!
全く、安心して産めないじゃない
ですか!」

妊婦様パワーで姑を圧倒しました。
あわあわする姑。
もう、小さくもの静かな嫁はいない。

「田舎の両親に借りてきましょうか?
なんかその方が懲りると思います。」
「そ、それだけは……」
「とにかく、まあくんには月々少しずつ
返してもらうわ。金利がものすごい
から一度私たちから払う。ね、ね??」

私のケータイとカードを持って舅に
報告にいく二人。

私ははーくんと布団に入り、絵本を
読んで寝た。

因みにこずかいは五万だ。
内、本人の趣味で入ってるケーブルに
一万、あとはランチ代、遊興費。
お弁当を持っていける日は
週一、二回。少ないですか?

舅は充分って言ってたんたけどなぁ。

あ、舅のどなり声。あ、姑の叫び声。

あぁはなりたくないね。はーくんの頭を
撫でた。

No.50 13/03/21 01:09
かいき ( 30代 ♀ aXoQnb )

数日後、舅から

「俺が一緒に行って全額返してきた。
二度とそことは契約できないように
した。まだ、返せる額で済んだ。
かいちゃんが見つけてくれなかったら
と思うとゾッとする。
本当にありがとう。済まなかったね。」

「いえ、多分、亡くなったおじさんの
導きじゃないですかね。」

「そうだね。おばあちゃんの時にも
そう思ったよ。何かと助けてもらう。
まあのやつ、もう、さすがに怖くなった
んじゃないか」

「お化けとかすごく怖がります
ものね。」

はーくんが

「僕もお化け怖いよー」
舅に抱きついて怖がった。
舅は笑い、
「はーくんはいい子だから、お化け
なんか来ないよ。」
といい安心させた。

そう、私やはーくんは故人に結果的には
守られた形になった。お腹の子も。
まあくん自身も。
不思議なものだ。


そしていよいよ9ヶ月に入った。
今回ははーくんの入園式と時期が
重なるので里帰りは断念し、
都会で産むことになった。
姑は張り切ったがはーくんの
面倒はまあくんがみるし、退院後は
実母が田舎から来てくれるため、
特にすることがない。はーくんに
ちょっかいを出すくらいだ。

まあくんは立ち会い出産を希望
した。はーくんのときには私が
急変してしまい、急いで出したため、
今回が最初で最後だ。
血が苦手なまあくんが立ち会い
なんて…とは思ったが父として
もう少しマトモになってはくれないか、
と思っていたからだ。

ずっと逆子だった。針灸に通い、
まあくんにはツボ押しをしてもらう。
しかし、治らず、帝王切開の手術日
を決めようかーと先生が言った日に
ひっくり返った。
先生は驚き、へそ曲がりだ、と言って
笑った。

そして正期産に入ってすぐに破水。
まだ痛みもなく、あてものをして
普通に歩ける。メールの文面は少し
意地悪に「破水した。」とだけ書いた。

案の定、すっとんで帰ってきた。

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