『春風』
隣街からバスに乗って
『聖霊病院前』で降りる。
そこから緩やかな坂道 桜の木の並木道
病室の窓側の隅に 君のベッドがある。
日当たりがよく 君もその場所が気に入ってるみたいだ。
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今日、歩き慣れた道で キレイな花をみつけた。 君みたいに笑っていて、輝いてる花だ。
ちゃんと約束どおりデジカメで撮ってきたよ。 そうしないと君が怒るから。
前は『もぅ、顔もみたくない』なんて言われたぐらいだ。
あれはかなりきいた…。
少し痩せた…。
髪も少し伸びた。
横顔がやけに大人ぽっくみえるよ。
『やぁ』
背中に呼びかける
『30分も遅刻です。』
窓の外を見ながら君が言った。
『ごめん。』
この子は『優菜』僕の大切な人。
『っで今日は何のよう?』
不機嫌そうに横目で僕をみながらそっけなく言う。
『いゃ、キレイな花を見つけて、ちゃんとデジカメに撮ってきたから見て欲しくて』
なんて言いながら 謝りに来た。 前お見舞いに来たとき 僕は優菜のために 菜の花をつんできたら 『花だって生きてるんだよ』って言われて、ケンカしたというか、嫌われた、その日は結局 5分もたたないうちに帰されて…。
今日は、行くってメェルしたけど、気分的に1本、バスを遅らせて来た。
これがますがった。
今度は、遅刻したことで、追い出されそうでビクビクしてるよ。
『すごい♪見せて』
あれ?今日はやけに機嫌がいい。 子どもみたいにはしゃいでる。
なんか嫌なことでもあった?
まぁ、とりあえず お姫様が怒らないならそれでいい。
僕は自信満々にその写真を見せた。
優菜も目を輝かせて
『可愛いパンジー』と素直に受け入れた。
『つぎは?』
優菜が目を合わせてくれた。もぅ一押し。
だけど、僕はそんな事も考えられないほどの 不器用な男。 ことごとく 彼女の期待を裏切る天才だ。
>> 5
僕は戸惑い笑いながら頭をかいた。
僕なりの許して貰うための努力だ。
まぁ、そんな事も全て彼女には悟られてしまうのだけど。
いつもだったら、ここぞとばかりにイヤミを言う。
でも今日は
『バカ』と一言。
明らかにおかしぃ。
ぁあ、亮平と何かあったな?
ケンカの場合はまっさきに報告してくるまぁ、大体愚痴だけど、ケンカじゃないとすると…。
『きのう、亮平きたの?』
軽くさり気なくきいた。
『きたよ。』
変に素っ気ない、やっぱりここに問題がある。
『ちゃんと会ってるんじゃん。えらい②』
この話になると彼女は弱い、急に静かになり、小声になる。
『なんか言われたの?』
いくつか予想をたてながら答えを待つ。
『そう言う訳じゃないけど。』
小声になる。
まだ、話のをためらっている。
それかまだ、自分の中に何か引っかかるのかもしれない。
『…。あたし亮ちゃんの優しさが怖い。』
ボソッと吐き出した。
少し考えている、でも素直な言葉だ。
『まぁ、元々いい人で優しいのは分かってるんだけど、嫉妬もしないし、私が何を言っても受け止めてくれて、ケンカしてもすぐ、謝るから…、いい人すぎる。』
優菜は自分の頭で考えていることをそのまま口に出してるみたいだった。
僕は軽く相づちをとりながらだまって聞いていた。
>> 7
まぁ、その時僕の頭の中に流れていたのは【神田川】で
その『ただ あなたの優しさが 怖かった』という歌のひとフレーズが僕の頭をながれていた。
優菜はまだまとまらない答えを口に出し独り言ように言っていた。
水嶋 亮平
優菜の彼氏。
勉強もでき。スポーツ万能、野球部のエースだ。
まぁ、顔もぃいし、完璧に近い人間と言えば説明がつく。
『ねぇ?聞いてる?』
『うん、何の心配もないと思うよ。付き合って3ヶ月っていったらなんか物足りない時期なんだよ。それに、亮平はそれだけお前が大切なんだよ。』
分かったような口を聞いているが、テキトーである。 正直半分は嫉妬してるからだ。
この関係は崩したくないけどさ…。
『うちらもそうだった?』
優菜が真剣な目で聞いた。
『いや、俺たちは3ヶ月で別れただろう、だから分からない』
ムキになってくる、優菜の場合はもぅ、過去っていう気持ちで俺とは友達だとばかり 思ってる。
冗談じゃない。
初恋なんてそんなに簡単に忘れることなんて出来る分けない。まだ 好きに決まってる…。
優菜はずるい。
>> 8
『そっかぁ~。でもいい思い出だよね。初々しいって感じ。』
優菜は笑いながらさらりと言う。
悔しい。僕の時もこうやって悩んでいたのかなぁ~。
本当は別れて欲しい、いや、でもそんな事思っているのは最低かぁ…。
心のなかで葛藤しながら僕は頷いた。
『そろそろ、帰るね』
そう言って僕は立った。
『えっ?うん、今日は何かあるの?』
『これから、静香とあうから』
本当はこの話を続けるのが嫌だった。
余計な事、言いそうで…。
でも、今日は静香に会いに行こう。
『じぁ、またな。』僕は優菜の髪の毛をくしゃくしゃと撫でる。
『また来てね。
はる。』
優菜はそう言うって手をふる。
軽く答えて僕は病室を後にした。
携帯で時間を確認するとあと5分でバスがくる。
慌てて駆け出した。
頭の中では、優菜が最後に言った、自分の名前と優菜の笑顔を浮かべては逃げるようにバス停まで走った。
坂を下りている途中バスがいってしまった。
ハァーため息をつき両手を膝に当て呼吸を整える。
ブーッブーッ携帯のバイブだ。
『バーカ😁✨
あと一時間待ちじゃん😜✨笑
戻っておいで🌷✨』
優菜に見られてた。絶対病室にいったらバカにされる。
僕は優菜の病室の窓をみた。
優菜が笑いながら見ている。
僕は病院に入った、だけど休憩場所に座った。
タッタッタッ…
嫌な予感がした。
いきなり首が締められた。
と同時に笑い声。
『なんでもおみとうし。こんな事だろうと思ったよ。』
ひじで首を締めながら優菜が言った。
『お前のどこが悪いんだよ?』焦って僕は言った。優菜の優しい匂いが心地いい。
『アハハ、分かんない。まぁ、頑張って走ったのにね~、どんまいだ。温人くん』顔をニヤニヤさせながら、肩をたたき横に座る。
すっと優菜が手をだす。
『のど渇いたなぁ~』
満面の笑み。
憎たらしい。
『あっあんなところに自動販売機!』
渋々財布に手をかける。
『温くんも紅茶花伝でいい?』
『はぃ、どうも。温かいのね。』
『わーい。温くん大好き。』
無防備な笑顔、嬉しそうに小銭を握りしめて走ってく。
なんであーもサラッと言っちゃうかね。
頭をかいて、タバコをくわえかけた。
ハッとして慌ててしまう、すぐに優菜をみた。
大丈夫、バレてない。
危ない、本当に地雷を踏むところだった。
1人で胸をなで下ろしていると、優菜が戻ってきた。
『はい、どうぞ。やっぱ、このミルクティーは最高だね。』
フタを開けながら、優菜が言う。
『昔からそれ好きだよなぁ~。』
『思い出があるからねぇ~、なんか飲んでると青春時代に戻れるんだよね。』
優菜はそう言って、両手で大切に持ちながら、少しずつ飲んだ。
ミルクティーは初恋の味。
優菜の初恋は亮平だ。 紅茶花伝は亮平と初めてキスした時の思い出の味。
なんとも素敵な話だ。 紅茶花伝のミルクティーを見るたび切なくなる。
小沢温人(おざわはると) 18才
今は大工の修行中。
ブーッブーッっとまたバイブだ。
着信が入った、静香からだ。
慌ててポケットから携帯をとると、優菜に断り、その場をはなれた。
『もしもし 学校終わった?』
静香は『うん』と答える。
『今日 会いに行っても平気?』
静香はまた『うん』と返す。
『じぁ、また連絡する 電話わざわざありがとう。 次は俺からかけるから。』
『待ってるね。』
静香は俺が切るまで切らない。
『切るね。』
そう言ってきる。
『へぇ、ちゃんと連絡とってるじゃん』後ろから声、と同時に髪の毛をクシャクシャとやられた。
振り向くと優菜が笑ってる。
『缶捨てといたよ。』
そう言って手をひらひらっと振った。
『ありがと、またくるわ。』
丁度いい時間くらいか、何気ない優しさ、優菜…。
中学一年生の時、僕の町では、小学校と高校は町にあるが、中学校だけは、隣町に行かなければいけなかった。
こじんまりとした、一両しかない私電にのり、登下校 をしていた。
一時間に一本しかないこの電車は、僕の自由を奪い、部活にもはいれなかった。
同じ小学校のやつらは、ほとんど、自転車で通い、僕だけ一人虚しくって感じだ。
ガタンゴトン…
ガタンゴトン…
委員会活動が長引き、目の前を電車が、行ってしまった。
あの時だ…。
あの時、出会った。
さっき起こった状況と出会った時のことが妙にダブって…。
はっとした。
あの時も優菜は紅茶花伝を飲んでいた。
なんでだろぅ…。
少しその事が嬉しい。
僕はバス停の青いベンチに座り、バスを待ちながら、ぼんやり思い出す。
- << 18 『あの!すいません』 その声に驚き振り返る。 中学から下り坂を一気に走っていた僕は気づかなかった。 その子は息を整えながらカバンから何かを取り出した。 僕の定期券だった。 『これ、忘れてました。』 僕は受け取りながら謝った。 彼女は気にしないでと軽く言った。 『足速いから、大変だったけどね。』 額の汗をかわいらしいミニタオルで吹きながら、笑顔で答える彼女、 こんな顔で笑うんだ。 駅に一本はえている桜の花を背景に彼女の笑顔が目に焼き付かれた。 桜の花びらが散るように、笑い、風にまうショートロングの黒いストレートの髪一本一本に風が通り抜けている。 『部活入ってないの?野球部なんてどう?』 笑顔で気さくに肩をたたく。 『俺、入ったら、帰れなくなるし。』 『大丈夫、自転車でなんとか。お願いします。』
>> 16
中学一年生の時、僕の町では、小学校と高校は町にあるが、中学校だけは、隣町に行かなければいけなかった。
こじんまりとした、一両しかない私…
『あの!すいません』
その声に驚き振り返る。
中学から下り坂を一気に走っていた僕は気づかなかった。
その子は息を整えながらカバンから何かを取り出した。
僕の定期券だった。
『これ、忘れてました。』
僕は受け取りながら謝った。
彼女は気にしないでと軽く言った。
『足速いから、大変だったけどね。』
額の汗をかわいらしいミニタオルで吹きながら、笑顔で答える彼女、
こんな顔で笑うんだ。
駅に一本はえている桜の花を背景に彼女の笑顔が目に焼き付かれた。
桜の花びらが散るように、笑い、風にまうショートロングの黒いストレートの髪一本一本に風が通り抜けている。
『部活入ってないの?野球部なんてどう?』
笑顔で気さくに肩をたたく。
『俺、入ったら、帰れなくなるし。』
『大丈夫、自転車でなんとか。お願いします。』
>> 18
『俺の家だけ武藤(むと)っていって山一つ越すんだよ。』
まだ視線を合わせれない僕をじーっとみつめながら彼女は、頼み込む。
『そうだ!そういえば、淡田(たんだ)から来てる子いるよ。』
『え?チャリで??』
『うん、大丈夫じゃん♪お願いします。ってそういえば、あたしは、藤谷優菜よろしくね。んで、野球部の新人マネージャー』
『よろしく、俺は、小沢温人。』
『んじゃ、携帯貸して。』
彼女は赤外線で自分の番号を登録すると、笑いながら決めたら報告してっと軽く言う。
それから僕は、お礼にミルクティーをおごった。
彼女の笑顔は春の日だまりのようにあたたく、僕はただ、自分の中にある感情をよく整理できないでいた。
『ありがとね。温人くん。』
そお言うと、学校へ向かって歩いていった。
風のような出来事
フシューバスのドアが開く僕は乗り込み、一番後ろの右隅に座った。
今日は一つに縛ってる。エプロン姿の彼女。
『おじゃまします。』
『病院の匂い…』
『うん。今日は優菜に会ってきた。』
『元気だった?』
『うん。もう走ってたし、退院はすぐそこだな』
靴をぬぎ、キッチンに向かい 鍋の中をみる。
『おっ今日はシチューかぁ』
『まだ、だからね。』
遠慮ぎみ言いながら混ぜる。
『俺なにすればいい?』
『…。混ぜて。』
静香は口数もそんなにないけど、少しぬけてて、ドジをする。手を差し伸べてあげたくなる、可愛い女の子。
『うまい!』
3回くらいおかわりした。
静香は笑って頷く。
『明日も仕事だよね。帰り大丈夫?』
洗い物をしながら言う。
『明日は田中と2人だから大丈夫。朝も早くないし~、今日は泊ってくよ。』
洗った食器を布巾で拭きながら答える。
『じぁ、あの…。』
『おぅ、お風呂行こう。時間はあるし、ゆっくり支度すればいいし。』
静香の言おうとする事は大体分かる。
『ありがとう。』
洗い物を終えて、静香は準備を始めた。
『一本吸ってくるわ』
ベランダにでて、煙草に火をつける。
ブーっブーっ
優菜からだ。
『どうした?』
『ごめん、電話して。寂しくて。亮ちゃんでなくて』
『窓の外見てみ、星きれいだよ。』
初めて優菜が弱みをみせてる。
『…。温くん?』
少し沈黙。また優菜が口をひらく。
『どうした?』
『星が泣いてるようにみえる、輝いてるんだけどね、どこか悲しそうなの…。』
『優菜、大丈夫だよ。星には周りにたくさん光ってる星がいる。悲しくても、そばにいる。』
『温くん。優しい、もし、わたしが死んじゃうって思ったらね。なんでだろぅ、誰に会いたいと思ったら、温くんだった。亮ちゃんは次。』
優菜の話してるところの上から声をかぶせるように。
『大丈夫。お前はあの時の事まだ引きずってるだけだよ、俺はもう気にしてないし、俺が悪いから、もぅ、謝らないで、傷ついたけど、いい思い出だから。』
優菜、頼むから。
これ以上、期待させないで。俺はあの時決めたんだ。
お前がしあわせならそれでいい。俺はお前の2番目でいい。
俺がもし、亮平にないものを持っていってもお前は最後は俺を選ばない。
分かってる…。
優しい気持ちも、我慢も、全部お前に貰ったから、味方でいるよ。
『…。温くんのバカ!!すぐそうやって先取りして分かったような口きいて。自分を傷つけないようにする。』
優菜は泣いていた。
『ごめん。』
『ずっとずっと好きだったんだから。』
夜風がないている。アパートから見える街灯が、ついてはまた消え、ドックン。
心に穴が空いたみたいだった。
優菜は『ごめん。』と言って、電話切った。
プーっプーっと電話は切れた。
心の穴に夜風が吹き抜けしみる。
今更。
僕たちはその言葉でなにもかも諦めていた気がする。
もし、ひとつだけ願いを叶えられたのなら、この気持ちを素直に伝えていれば…
首を振る。
ガラガラガラ… 。
『優菜ちゃんから電話だった?』
静香がベランダに来た。
僕は何も言わず首をふると静香を抱きしめた。
『大丈夫。私は温くんの事を待ってる。そばにいるから。』
静香は全てを受け入れてくれるように抱きしめた。
大人の女性。
僕はすーっと肩の力が抜けた。
そして
『ありがと。準備できた?』
『うん』
『じぁ、行こうか。』
何事もなかったように振る舞う。
こんなに甘えている自分が惨めだ。
優菜の気持ちに目をそむけ、静香の気持ちに甘える自分に苛立ちながら、それでも戻れなくて進めなくて、 頭の中を駆け巡り、心を幾度となく刺す。
またあの頃押さえていた気持ちが走馬燈のように僕の中に蘇り、ただ、ボーとしているだけの僕がいた。
そんな僕を気遣かう静香のけなげな姿が愛しくて。
僕は溺れるように体を任せた。
>> 27
静香はベットからでると、僕の隣に座った。
『昨日は珍しかったね、あたしより早く寝ちゃった。』
微笑みながら静かな声で言う。
それから台所に行き、ミルクティーを作ってくれた、白いマグカップを渡しながら静香はまた僕の横に座った。
『なんか、ミルクティーって静香みたいだね』
少し照れたように静香はクビを振る。
『優しくて、あったかくて、甘くて、落ち着いて…。』
僕はそう言って彼女を見つめた、そのまま彼女にキスをした。
そっと抱き寄せて、『ありがとう』と言った。
シャンプーの匂いが香る長い髪に鼻をくっつけ
しばらくそのまま静香という存在を確かめていた。
静香は心の居場所
寄り添ってくれる人…
>> 33
その10分後に田中が来た。
『お前珍しく早いなぁー』
くしゃくしゃな笑顔を見せながら近づいてくる。
『おぅ、おはよう』くわようとしたタバコを指で挟み軽く手をあげる。
『今日はとりあえず階段作るやつお前なぁー』
田中は仕事熱心
田中と呼んでいても2こ上だ、気さくで、敬語を使われるのが嫌らしい。
『オレまだそんな技術ないですけど。』慌てて笑いながら言う。
『大丈夫だ、教えてやるから、オレ一人の時暇すぎて大体のことやっちまったから、この一階とこ掃除したら、オレ向こうにいるから呼んでくれってまだ7時半か、メシ行くか。』
田中の黒いエスティマに乗り込むと『すき屋』にいく。
迷わずカウンターにすわると、カレーに単品で納豆、マヨネーズを頼みかけて食べる。
オレには、牛丼の並にセットで豚汁と決まっているらしく、ごはんを食べるときは終始無言だが今日は食べながらオレの顔を見て何か言いたそうだ。
>> 34
カレーを口の中にいっぱいにしながらは肘をつきこっちを向いた田中は
『お前ってほんとに顔にでるよなぁ』
と笑い 続けて聞く
『なんかあったか?』
『いや、ないっす』
一言いい目を合わさないようにする。
この人は変なんカンが妙にいい。
こういう事は話をするまで聞かれるパターンだ。
『田中さん、みっちゃんとはどうなったんですかぁ?』
反撃開始だ。
『お前が何か隠すときは敬語がでる。』
『話そらしてんじゃねー言うまで仕事いかねぇからな。』
今日は本気だ。
何かバレたか。
『おめぇ、昨日病院いただろ?』
『はい、いました。』
『他に女いんのか?静香いるのに、俺はそういう事だったらお前を許すわけにはいかねぇ。』
こういう事か、気持ちがホットした。
>> 35
『あの子はそんな子じゃないですよ。』
笑いながら否定した。
『じぁ、なんなんだよ。』
田中は顔をしかめる。
『まぁ、元カノって言えば元カノですけど、今は大事な友達です。』
『静香は知ってるのか?』
『全部知ってます。昨日も病院行った後静香の家行きました。』
『お前…、静香だけは傷つけるな。優しい顔して笑ってても一人で悩んでる奴だし、絶対人前じゃ泣かない奴だから…。』
静香を紹介してくれたのは田中だ。
俺にはもったいないくらいの人だといつも説教がましく言われる。
でも、分かってる。静香が優菜のことを何もかも認めてる訳じゃない、全部自分のせいなんだって事も。
笑いながらも切なくなり、田中の言葉に自分を責めながら、今日は田中の言うことに素直に頷いた。
原付を走らせながら親孝行の事を考えていた。
最近は彼女の家か、先輩の家、または親方の家だ。
昔から迷惑かけてきたがそれがかえって絆につながった気がする今は人前で一緒に歩くことがあんなに嫌だった自分がアホらしくなる。
心配されることもなくなって自由になったけどなんか切ない。
『こんばんわ~』
『あら、温くんよくきたね。』
『おばさん、こんばんわ、亮平いる??』
『2階にいるわよ。自分の部屋じゃないかしら』
『あい、ほんじゃ、おじゃまします。』
階段を上がり右手の一番奥の部屋に入る。
>> 40
亮平は真剣に優菜を見つめている。
そして僕を見つめてこう言った。
『俺は優菜と結婚する。』
優菜はひと粒涙をみせながら僕をじっと見つめている。
なんて言ったらいいのかわからない。
素直に喜べない自分がいる。
思いもよらない、でもどうすることもできない現実。
それが亮平の決意だし、それだけ優菜の体に異変が起きているということだ。
きっと亮平はそれに気づいてる。
わからない…
優菜の気持ちは分からない。
あんなに手に取るように分かるあの表情も今は分からない。
どうしてそんなに泣いているのか、悲しみか、苦しみか、誰に向けてなのか、ただ一つだけ言えるのは僕の中で優菜の存在が果てしなく大きいことだ。
痛い…
切ない…
優菜なんとか言ってくれ
すごく愛しい
『いいんじゃないか、俺には分からないけど優菜は幸せになればいいし、亮平は守ってやれる。俺がとやかく言うんじゃなくてこれは多分二人の問題だよ。』
心に自分を押さえ込み必死に笑顔をみせながら淡々と話す。
優菜の方は絶対にみれないが…
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